サービス開始日: 2016-09-30 (2995日目)
ネタバレ:アリスもテレスも出てこない!
それはさておき。
見ながら何度も心を揺さぶられました。一度最後まで見ていろいろわかった上で、もう一度最初から見てみたい。きっと同じシーンでも感じ方が変わるはず。
自分にとっての岡田麿里さん脚本の魅力である、猥雑で生々しさを感じさせる人物描写を、本作でも存分に堪能できました。相反する面を平気で同居させることができる、多面性を持った人間。
バカじゃないのかと言いたくなるくらい単純でありながら、同時になぜそこでと言いたくなるようなところで捻くれている。自分でもわけのわからない苛立ちがいつも心のどこかにある。映画を見ているとそんな思春期の頃の自分が心の中に蘇るようでした。
芝居も映像表現も、劇場作品に相応しいとても見応えのあるものでした。影の主役と言っていい製鉄所をはじめとする美術も素晴らしかったです。駐車場で雪が雨に変わるシーンとラストカットが特に心に残りました。
今回のエピソードで最も大事な瞬間は、朝礼台の上で小村くんが三重さんの顔に手を添えて彼女を見る瞬間であろう。原作では1ページ1コマの大ゴマで三重さんの表情をアップで見せる(台詞もなし)ことでその瞬間を強く印象づけている。
翻ってアニメ版では、その直前に三重さんが「いいよ」と言ったところでも三重さんの顔のアップを使ってしまっているため、大事な瞬間のインパクトが薄れてしまっている。
加えて、大事な瞬間の三重さんの表情のニュアンスが原作からずいぶんと変えられてしまっているのも残念。目をどのくらい開けているかとか、何より口の表情が原作のニュアンスを汲めていない。加えて、(アニメ版は常にそうだが)髪の毛が動きまくっていて、それが三重さんの表情に注目するのを妨げるノイズになってしまっている。
俄然攻勢を強める三重さんを見て、前回のエピソードを経て彼女の中で確かに何かが変わったのだろうと思う。
美術準備室に行くエピソードとか、二人きりになりたい以外のなにものでもなく、前回までの三重さんには見られなかった行動、のような気がする。
しみじみと、いいエピソードだなあ。
ここまで概ね「好きな子がめがねを忘れた」というシチュエーションから始まるコメディが主だったけど、原作はこの辺りから心情描写がより深く繊細になっていく。
三重さんと小村くんだけでなく、あすかちゃんと八坂くんの関係も変わっていくのがいいし、そこからさらにあすかちゃんの表情と小村くんの表情が重なることに気づいたことで三重さんの恋心も大きく動き出す、という変化の連鎖が本当に見事。
で、その小村くんの表情の意味に三重さんが気づいたときの演出、原作では1ページ1コマの大ゴマで三重さんの表情をアップで見せる(台詞もなし)ことでその瞬間を強く印象づけているのだが、アニメ版では大ゴマに代わりになるような手法を用いるでもなく、原作に比べるとだいぶ印象が弱くなってしまっていたのが残念。
今回はちょっとエロいエピソードが多かったなあ。
と思ったけど、アバンタイトルの三重さんが濡れた靴下を脱ぐエピソード、自分はたいへんエロいと感じるのだが、その感じ方は果たして世の中で多数派なのだろうか?という疑問が浮かんでしまった。
原作からそうだったのだが、スクール水着がちゃんといまどきのデザインだったのはよかった。
三重さんが夜中にトイレに行こうとするエピソード、三重さんがうっかり電話を切り忘れたまま用を足してくれないかなーとか思いませんでしたよ、ええ。
Aパートは原作でも屈指の……小村くんの気持ち悪さが炸裂する(褒めてます)エピソード……もとい、眼鏡っ娘ならではの眼鏡フェチ度の高いエピソードでお気に入り。
ただ、アニメ版では小村くんの部屋にいるイマジナリー三重さんが「三重だよ」としゃべるけど、原作通りしゃべらない方がよかった気がする。なんだろう、しゃべると実在感があり過ぎると感じるからか。
伊藤昌弘さんによる小村くんの気持ち悪さの表現が、回を追うごとにパワーアップしている気がする。緊張をほぐすために三重さんの手を握ったときとか、声の演技だけで笑ってしまった。
次回は原作でも特にお気に入りのエピソードなので楽しみ。
どの三重さんもかわいかったが、自分のお菓子食べたい欲を「めがねないから」で誤魔化そうとする三重さんが殊の外かわいかった。
スーパーでピンチとチャンスを高速で行ったり来たりと神に振り回される小村くんも面白かった。
めがねスキーの人達にとって「好きな子のめがねを選ぶ」というのは夢の一大イベントだったりするのだろうか。
今回はコートを着るくらいの寒い季節のエピソードで始まって、半袖の季節のエピソードで終わった。ざっと確認したが、各エピソードの季節は原作準拠。確かに原作は順序を入れ替えても問題のないエピソードも多いが、それでも二人の関係は時間の経過に伴って少しずつ変化していっているので、順序変更は注意が必要。エピソードの時系列シャッフルが面白さに繋がるタイプの作品でもないしなあ。原作の順序を守るでもなし、順序変更に伴って季節を調節するでもなし、というのは中途半端に感じる。
「相手にめがねをかける」ということがメガネスキーの人達の間では特別な価値のある行為だと知ったときは、自分には全くない発想だったので大きな衝撃を受けたことを思い出した。本作にもそういう価値観がちゃんとあるので信頼できる。
掃除の時間のエピソードは原作だと三重さん達が3年生に進級してからのエピソードだけど、特に違和感はなかった。改変した意味も特にないので尺調整かもしれないけど、問題なし。
当方原作ファン。先行上映イベントで第1,2話を見た後、あらためてTV放映を見た。
三重さんは若山詩音さんの声を得て、さらに魅力を増している。
眼鏡描写については、レンズへの映り込みはあるものの、レンズ越しの部分の輪郭線はずれていなくて、そこはこだわって欲しかったところなので残念。
絵はきれいなのだが、三重さんの表情があまり目つきが悪いように見えないことが多い気がする。原作と見比べてたりもしてみたのだが、眉の表情とか、眉と目の距離とかの微妙な違いがニュアンスの違いを生んでいるのかも。
演出については、特に第1話は画面に映るオプジェクトを増やせばリッチだろう的な方向性で、広角や超ローアングルを多用したり、画がうるさいと感じた。好みもあるが、作品にマッチしているかという点でちょっと首を傾げる。
U149のみんなのライブを心から楽しんだ。感無量。桃華の担当Pとしてもアニメファンとしても大満足の、至福の三ヶ月だった。スタッフのみなさんに、心から感謝を。
ライブパートの絵コンテがまさかの河森正治氏でびっくり。最初のカメラがぐーっと引いて入道雲がモリモリ盛り上がるところでもう心を揺さぶられまくり。衣装の色が途中何度か変わるのも、現実には(まだ)不可能な、フィクションならではのアイデアでとてもよかった。「AKB0048」ファンとしては、メンバが各々靴に乗って飛びながら歌うのを見て同作を思い出さずにはいられなかったり。
今回、前回までとは違ってありすが柔らかい表情を見せることが多かったのが印象的だった。彼女の確かな変化がしっかりと繊細に描かれている。
EDが、みんながそれぞれの家に帰るところだったのも、あたたかな終わり方で後味よし。
と思ったら最後に新メンバー四人のサプライズ! ライブのシーンでモブの中に紛れていたのは気づいたけど、こういうことだったのか! いつか、この四人も加わったU149のステージを見られたら、と強く希望。