前半で地に足付いたSFロボット戦争ものかな?と思わせてからの勇者ロボ&主題歌熱唱は流石にズルいって(笑)
後半部は見ていて変な笑いが漏れてしまうのだけど、それはネガティブな笑いじゃなくて、「これで良いんだよこれで」な要素を「ここまでやっちゃうのか…」と感嘆の笑み。そのくらいに満足度の高い初回でしたよ
人類にとって絶望的な強さを持つ敵陣営に対し色々と無茶苦茶なイサミとブレイバーンが主軸となって抗っていくのだろうけど、それだとスミスの役割が無いわけで
イサミがあのぶっ飛んだ状態になるなら、スミスはスミスでどうなっていくのかと期待せずに居られないし、きっと期待以上の展開を見せつけてくれるのだろうと信頼出来る内容となっているね
視聴前はここまで心を沸き立たせてくれる作品とは全く予想していなかっただけに、このギャップのズルさには感服してしまうよ
土地と過去を巡るこれまでの旅とはまた違う魔法使い試験
フリーレンが6人の人間に負けた事が有ると語るように、この一連のEPは人間やその魔法使いの魅力を探る話となりそうな
またフリーレン自身も長命故に気付けなかった人間性が強調される作りとなっているね
フリーレンが持つ聖杖の証は知る人が少ない為に何の証明にもならない遺物に。人も物も証明しないフリーレンの素性、だからヒンメルの言葉にも納得できなかった
でも、フェルン達が今の彼女を知ってくれている事に価値を感じている
すぐ死んじゃう人間から得られる証明にフリーレンは安らぎを感じられるようになった
試験はいつものメンバーでなく初対面の相手と組む事に
ヒンメル達との旅ではフリーレンは信頼を築けなかった。でもその経験がフェルン達と信頼を築かせている
なら全く縁もない相手であればどうか?
ラヴィーネとカンネはすぐ喧嘩する不仲。シュタルク達に関してザインに一任していたフリーレンが仲裁役に回るほど
フリーレンに求められるのは彼女達から信頼を得るよりも、2人の関係性の観察
見えてくるのは案外彼女らの仲が悪くないし相性も悪くない点。それは観察し、対話したからこそ判るもの
それを土台として、これまでと一風変わった選抜試験にてフリーレンの人を知る気持ちがどのような意味を持ってくるのか楽しみたいね
紺野をやる気にさせるなんて、伝手を持っていない友崎には難題。それをゲーム的思考によって解決するというのは本作ならではの攻略法
でもゲーム的に考えるからこそ落とし穴に嵌まる。ゲームはボスを倒せばクリアでも人生にクリアは無い。問題解決後の新たな問題には別のアプローチが必要と見えてくるEP
紺野をやる気にさせる為に中村への好意を利用するのは妙手。でも紺野の想いが叶わない状態なら悪手になりえる
ただ、平林への嫌がらせは時間経過で収まる可能性は有ったのかな。そもそも八つ当たりだし、平林は何も返して来ないから
続く花火への虐めは花火が反応し続けるから苛烈になった。紺野は引き際を失ってしまったと言える
双方に過ちがある状態。普段の日南ならここでアプローチの変更を提言出来るのだろうけど、彼女は彼女で花火を肯定する過ち
誰も彼も間違っている状況で人生の攻略法を変えられた友崎だから気付ける花火の攻略法
花火が誰かに助けられるのではなく、花火自身が自分を助ける為に行う人生攻略。虐め問題を前に本作は新たな局面を迎えそうだ
「アレ?話飛ばしたっけ?」と困惑するくらいにダイジェストに話が進んでた……
真っ当にグループの結束を高め高得点を狙っていく綾小路属するグループに対し、南雲の戦い方は真逆。結束を乱す事で狙いを成就させる
そうして強調される南雲の人間性が今回の肝となったのかな
結成時はバラバラで信頼も皆無だったグループが就寝時の打ち明け話から結束し始めるのは面白い展開
元々は敵対してるから他クラスの人間なんて信じられない。それを試験に苦しむ同士として信頼させ結束させる。青春っぽい光景だね
一方でそういう風に誘導した橋本の実力も見え隠れするが…
他方で南雲がしたのは信頼を許さない自爆攻撃
試験の仕組みは綾小路のグループで見られたような結束を求めているのに、南雲は学校のシステムを利用した悪意を見せつけた
掘北学は身を切る救済を行った点を考えると、掘北学から南雲への代替わりは学校どころか試験の傾向さえ変わるのではないかと思わせるものとなったね
原作既読
同作者の『惑星のさみだれ』が哀しい出来に終わったため、本作に対しても戦々恐々としていたのだけど、初回はまずまずの印象
世直し姉弟と流浪の剣士、そして闇。それらがどのように交わるのかじっくり見届けたいよ
人々の命は軽く道を外した無法者が跋扈する時代。いわば他者を顧みる事が少ないだろうご時世に世直しを標榜する迅火とたまは異質
そんな2人は互いに同質というわけでもなく、人間好きのたまと闇を愛す迅火と異質。当然、真介も2人と異なるタイプ
そのような2人と真介が闇や人が蔓延る世と関わっていくかが本作の見所となりそうだね
原作既読
音の無い世界を生きる雪に対し、逸臣は音の有る世界に居て物理的にも世界を見ている。二人の間にコミュニケーション手段はないように思えてしまう
けれど相手に近づこうという意思がコミュニケーションの端緒となり、そして淡雪のような恋に繋がっていく様子は本当に尊いよ
本作を見て改めて感じるのは雪のコミュニケーション手段の多さかな
聞こえなくても手話で話し口で聞き取れるし、スマホやボードも活用している。割と普通に話せる
それでも異なる世界の住人として扱われてしまうから、相手が自分をどう見ているかに敏感
そんな雪の前に舞い降りた逸臣は全く異なる目で見てくれる人
それでもいきなり彼の世界に行く事は出来ないから、繋いでくれる役としてりんが居るわけか。彼女とて恋する乙女だし
でも、全てを繋いでくれる訳ではないから時には断線も起きる
それを予想外の勢いで踏み込んでくれる逸臣は本当にイイ男だよ
そんな彼でも難しいのは雪の世界に入る事のようで
雪の世界は発話だけじゃ入れない
それを逸臣は手とゆびさき、更にはLINEでも通じてくれた。でもそれ以上に…
雪の世界に入りたいとそう『言ってくれた』点が何よりも世界を越えて雪と話したいという逸臣の想いを感じさせたよ
原作でも素晴らしい恋愛描写をしてくれた本作、アニメでも充分期待できそうですよ
2クール目初回は穏やかな話となったね
今度の猫猫は攫われたのではなく、自分の意思で後宮で務める事になった
つまり猫猫自身のそこで働きたいという意志が肝要になる。けれど、周囲の懸念や心配を他所に猫猫はどこか気の抜けた再出勤となったような(笑)
対して秘めた熱情を持っているのが壬氏か
壬氏の事情は曖昧なものの皇帝を前に何かを狙っている様子が伺える。彼は彼で与えられた職場にて何かを成そうとしている。天性の美貌を利用して
その企みの中で猫猫の扱いは駒から気になる女の子に格上げされたのが今後の彼にどう活きてくるのかな?
熱情に違いがあるから猫猫と壬氏はどこか交わらない。壬氏は猫猫を取り立てようとしているのに、猫猫は官女試験に落ちてしまう体たらく
別口では壬氏の色香に惑わされない部分は彼女の美点となるけれど、同時に壬氏に魅了されない人間であるという点も見えてしまうね
気になってくるのは新たな舞台でどのような難題が降りかかるのかという点かな
既に怪しい素振りを見せる人間は登場している。彼・彼女らが今後どのような形で猫猫と関わりそして独り言を発さずには居られないような難題を提示するのか、今後に期待させる話となったね
フリーレン達と別れるべきかという選択は他方でこのままパーティに留まるべきか先に進むべきかという選択を突きつけるものでもあるね
ザインはフリーレンが道を示してくれたから村から出れた。でもそれは彼女らと仲良し小好しする為では無かった筈で。彼は改めて旅立つ決断が求められたと言えるね
離別前の1ヶ月間は言う程は皆と一緒に過ごさない。それはザインにとってあのパーティが居心地良いものだから引っ付いている必要がない証
それは停滞のようなものだから再び進む事が求められる。似たような経験をした同類へのフリーレンの助言とて更なる進展を求めている。進んだ事で得られた体験は楽しいと伝えてくる
離脱時、静かだと呟く彼の中にはまだフリーレン達と旅した楽しさや温もりが残っているのだと感じられるよ
だからこそ彼の再加入がいつになるのか待ち遠しくなってしまうのだけど、それは本当にいつになるのだろうね?
別の面から見ると、今回の件はパーティからザインが欠けたという話になる
シュタルクとフェルンの仲介をしてくれる人物が居なくなった。彼の残した手記が体調不良の理解を助けてくれるが、そもそもの不調をすぐに見抜けないし、治すのも一苦労
ザインはもう頼れないのだから別の頼りが必要になるわけか
一つは仲間同士の助け合い、でもこれはいつもの事
もう一つが人の温もりか。苦しい時に握ってくれる掌は何よりも労りの気持ちを教えてくれる。それはもしかしたら僧侶が使う魔法以上の効能かもしれない
今居る仲間の温もりだけでなく、かつての仲間から与えられた温もりや道中で出会う温もりを糧に彼らの旅は続いていくのだろうと思えたよ
元弱キャラの友崎がクラス内でポジションを獲得し強キャラとなっていく過程が見られる本作、まさか2期が見られるとは…
コンティニューした彼の人生攻略は多人数が関わる球技大会から。多人数を操る術の無い友崎がどのようにこれを制するか、ゲーム的だからこそ面白い
球技大会のキャプテン決め、男子と女子の違いは印象的
真っ先に立候補しながら周囲からイジられる為に役を任された竹井
他薦が2回も外れた後に役を押し付けられた平林
空気の支配としては共通しつつ、竹井はポジティブで平林はネガティブ。だから解決しなければならない課題となる
かといってエリカへのツテが無い友崎にいきなりどうにか出来る手段はない。という段で情報収集し、協力者を集う流れは非常にゲーム的
ゲームは一人じゃ詰まらない。友崎だけでなく指南役として日南が関わる事で面白いイベントとなりそうで期待が膨らむ初回となったかな
3学期始まって早々に特別イベントとは飛ばしてる
これまではクラス間対抗がメインだったのに、他クラス他学年と協調して高得点を目指す混合合宿とは異様な話
また合宿という場でも有るから学力は頼りにならない。なら各生徒は何を頼るべきかという点が見える初回となったかな
綾小路が掘北から頼りにされないように、食事時の風景から察せられるように、今回の合宿で物を言うのは信頼か
ただ、信頼とは生まれ持ったものではなく普段の素行が基。リーダー格の一之瀬達やら寝起きの諍いを仲介した橋本のように
協調性から来る信頼が合宿では求められる
そうなると、綾小路の特異性がどう活きるのか気になるね
綾小路は会話量が少なく実力も見せないから表向きの信頼は無い。なのに坂柳から作戦方針を明かされ、堀北学から南雲対策で頼られる
そんな裏向きの信頼を持つ彼がこの合宿でどう動くか気になるね
島の真実を知って以来、戦い続けてきた少年少女達の嘘みたいに幸せで嘘みたいに平和な、でも嘘偽り無い日々のお話
この後の時系列でサヨナラした人物が元気に生きている光景を見られるだけでも貴重なのに、それをにこやな笑顔を伴って描いてくれる本作は確かに平和なお話だったのだと思える
本作で描かれたのは一騎達がパイロットではない別の道を模索するまでの物語
唐突に平和が壊され戦場に放り込まれた彼らにとって、今更別の道を自ら模索するなんて難しい話。かといって無闇に戦い続けるのは間違いであると示すのが一騎の生存限界だね
平和は永久に続いて欲しいと願うものだが平和に身を置く自らが有限なら命の使い方を考えずに居られない
でも、そんな事は島にいる誰もが考えてる事かもしれなくて
だから誰もが己の役目に生き急ぐ。それは時に遠見のように無謀な振る舞いとして諍いの元になる
それを別角度から見られるのがカノンだね
一騎達とは逆で、戦場から平和に放り込まれたカノンにとって命の使い方とは明日を生きる事。損なう為ではなく保つ為に命で在り続ける
カノンが竜宮島で平和を知ったように一騎達も彼女から平和を知る
命を保てれば、ファフナーに囚われていた少年少女が別々の道を選んでも平和なままで居られるのかもしれない
このEPを見て穏やかな気持ちになった部分が有りつつも、幾人かの人物についてこれから訪れる悲劇を知っているだけに微妙な気持ちにもなりつつ……
それでも悲劇の彼方に置き忘れてしまった彼ら彼女らの笑顔や平和を再び見られた事には大きな意味が有ったように思えるよ
遥か昔に小説版を読んだ気がするのだが、ぼんやりとした印象を第1話第2話について覚えているのみで終幕の第3話が全く記憶になかった為に補完する意味合いを込めて鑑賞
見終わって最初に出てきた感想としてはとても美しく美術的な青春風景と男性的な恋愛観が内包された作品といった処だろうか?
貴樹と明里の恋は何段階か存在しているね
出会ったばかりの頃は小学生らしい淡い恋模様が見え隠れしている。一緒にいるけどそれ以上の意味を持たない、持たせたくない。それが中学進学に拠って崩れ、一緒にいる為に栃木まで向かうわけだけど、その道は事前の想像に無かった困難に満ちたもの。これは2人の関係が空間的に離れてしまった点を暗示しているかのよう
だからこそ、キスをして特別性を見出そうとしたのかな?でも貴樹も明里もそれまでの二人を繋いでいた手紙の事を言及できなかった時点で2人は既に一緒に居られない事実を自覚していたと言えるのだろうね
第1話では手紙を出す明里と会いに行く貴樹と双方向的な繋がりが描かれたけど、第2話では花苗という別の少女に拠って2人には繋がりが有ると間接的に描いているね
花苗から見れば貴樹は一人で居る事が多くて、それが花苗には他の男子と違って見えた。でも、それは視聴者には判るように貴樹の心が此処に無いからそう見えてしまうだけで。心が在る場所は精神的な世界であり、そこでは明里と一緒なのだろうな。空間的な距離があるからこそ精神的な一緒を求めていたのかもしれない
そんな状態では他の人物と心を通わせるなんて出来る筈がなく。第3話で破局した女性も同じ理由か
第3話では2人の繋がりが完全に絶たれた様子が描かれるけど、貴樹より先に明里の方が別の道を選んでいる為に貴樹の虚しさが強調される形に
この頃の貴樹は働いているわけだから空間的な距離は関係ない。それでも明里の傍に行けないのは精神的にも既に離れていたから。明里はそれを認められたから新たな恋というか人生へ進む事が出来た
なら、貴樹に求められるのは既に自分達は離れ離れになっていると自覚して別の道へ歩みだす事で
再び出逢えたかもしれない明里を前にして、その再会を阻んだ電車に憤るのではなく、電車を越えて会いに行くのではなく。桜舞い散る光景に背を向けて歩き出せた様子は貴樹がようやく失恋を終わらせた瞬間と言えるのかもしれない
と、色々見えてくるものは有るものの、全体的に貴樹を主軸とした恋愛性が作品を支配している為に貴樹にどう感情移入するかで作品評価が大きく変わりそうだなと思ってしまったり。特に第3話は状況が語られる貴樹と語られない明里の落差をどう捉えるかも評価に影響しそう
個人的には第2話の花苗はもう少し報われて欲しかったと思ってしまったり
また、絵と脚本のバランスが少々難しい事になっていると思う部分もあったかな
背景や情景はとても美しく仕上がっていると思うだけに、絵によって充分に表現されている心情をモノローグでも言及してしまうシーンが幾つか見られたのはクドく感じられたり
それだけに台詞が無くなって主題歌が大きく流れて貴樹・明里・花苗の恋物語を美しく描き出すシーンはとても上手く嵌っていると逆に思えてしまったよ
最後のレースをどう飾るか、ライバルはどう送り出すか、観客はどう見届けるか
訪れた一つの終幕へそれぞれが全力で臨む事は変わらない。でも臨む意気込みが変わってくる
志したお祭りそのものにはならなくても最高のレースにする。そのようなキタサンの願いの影響を誰からも感じた最終回となりましたよ
キタサンを彩る特別衣装は格好いい上に彼女が背負うGⅠ6勝という輝かしい栄光を表しているかのよう
それを着込む彼女の覚悟は充分に固まっている。ならライバルや観客の覚悟はどうかと言えばそれも問題ないようで。キタサンが去るからと容赦したりせずライバルは走り、観客は声高くエールを送った。それらが合わさった時にスターが輝くステージへと変貌するね
誰もが声援を送り、キタサンがそれに応える。ラストランであろうと変わらない関係
そうして作られたお祭りはこれまでで最も輝きを放ったのではないかと思える程。キタサンがピークを過ぎてからも気力を絞って走ったから作られたもの
スターの終幕を有終の美として飾る。それが実現したステージはとても尊い想いが沢山詰まったものと感じられましたよ
以前に発表された実写映画は見た事がなく原作も知らず。事前情報がほぼ無い状態で今更鑑賞
原作小説が発表されたのが1984年である点が関係しているのか、根底にあるフォーマットの古さをほんの少し感じてしまうものの、恋愛物語としてはとても良い作品に仕上がっているとも感じられたよ
運命的な事故から出会ったクミ子と恒夫はジョゼと管理人という役柄に拠って結びついていくね。ジョゼは車椅子に乗りながら外の世界に憧れる女性として、管理人は外の世界からやってきた男性として
クミ子は絵を描いたり想像する事でしか外の世界を味わえなかった。そんな彼女を恒夫がジョゼから見た世界がどのような色をしているか知りたいからと連れ出してくれる構図
これだけを見れば、クミ子にとって恒夫はとても都合のいい男だね。祖母から匿われ高飛車な臆病者になっていた彼女を導いてくれる
様々な場所に行って、様々な体験をして、友達も出来て…
恒夫が居なければクミ子がそれ程の体験を一人でするのは難しかったかもしれない
でも見方を変えると、やはり恒夫はクミ子にとって外界の人間に過ぎないわけで
恒夫はクミ子のように何処へでも行けるし、海にも潜れるし、沢山の友達が居る
ジョゼと管理人の立ち場のままでは2人は世話される者とする者という関係性を乗り越えられない。外界に居る恒夫は更に外の世界にも行けてしまう。対して世話されるクミ子は恒夫の交友関係には混ざれないし絵の仕事だって満足に出来る気がしなかった
それでもクミ子がジョゼとして恒夫の傍に居る事で沢山の勇気も経験も貰えたのは事実だったのだけど…
クミ子を守っていたもう一人である祖母が亡くなった事でクミ子の日常は一気に崩れ去るね。彼女が外の世界を拒めたのも、外から安全そうな恒夫を呼び込めたのも全ては祖母が居てくれたから
彼女を守る人が居なくなってしまえば、クミ子は強制的に自立を求められて、自立できないならヘルパーが必要という話になって。それは自分の夢をどうこう言える立ち場ではないと告げられたようなもの
既に自立して自分の夢を掴もうとしている恒夫とは雲泥の差となってしまうわけだ。それを間接的に健常者とそうでない者と表現するなんて、クミ子がその内心に何を抱えていたかが見えるかのようだったよ……
そのタイミングで恒夫が障害者と成りかねない大怪我を負ってしまうのは運命の悪戯としてもあまりに酷いと言いたくなるもの
でも、この境遇を味わう事に拠って恒夫はクミ子から見た世界がどうなっているのか、彼女が抱える夢への難易度を知る事が出来る。一方でクミ子は恒夫がもし歩けなくなったとしても夢を諦めて欲しくないとの想いを自覚できた
あの一件は2人の想いを大きく揺さぶるものとなったね
そうしてジョゼが作り上げた絵本は素晴らしいものに
恒夫をどう見ていたかが判るようになっている点も良いのだけど、個人的には貝殻の役割に感銘を受けたり。
貝殻には別の願い事をしてはならなかったけど、翼有る男性への願いは良い事として人魚を肯定される
これをクミ子と恒夫の関係に落とし込むと、貝殻は絵に相当するのかな?クミ子にとって絵は趣味で出来れば仕事にしたいもので自分の為のものだった。けど、傷ついた恒夫の為に使った時にクミ子の絵は意味を持ち、恒夫を再び歩かせる原動力となった
でも絵本にて二人の道が分かたれたように、既にクミ子は恒夫との別離を覚悟していたわけで。絵本がクミ子の想いそのものなら人魚のようにクミ子は海の底へ戻っていかなければならない
でも、やはりそれは絵本の話なんだよね。クミ子の絵に勇気を貰った恒夫の想いまでは含まれない。何故ならそれをクミ子は知らないから
最初に出会った時のように運命的な再会をした2人が交わすは思いの丈。雪景色をバックにした告白シーンはとても美しいものでしたよ…
そう思えただけに、巡った桜色の季節にて夢と恋を叶えた2人が仲睦まじく過ごす光景には余計に感動してしまったり
成り代わりと遭遇し、手元では卒業生相当が潤った。遂に準備は整ったと始まる神殺し作戦はかなり大規模になるようで
相手が常識を超えた存在なら、こちらも常識を超えた作戦を。立案者の夜宵が規格外なのは既に証明され尽くしている。そんな彼女に付いていくなら、螢多朗も詠子も規格外になる事が求められるわけだ
螢多朗はその身で出来る精一杯の遣り方という感じだったけど、詠子は監視カメラに加えて無限修復人形を考案する事で規格外に。ていうか、彼氏の家にノリノリで監視カメラを取り付ける彼女って嫌だなぁ(笑)
でも、そこまでする事で2人も規格外になれる。夜宵の神殺しに同行可能な常識外れの存在になる
夜宵達が神に対抗できる陣容になった他方で描かれるのは愛依の境遇か
神に魅入られた為に無限の恐怖に引きずり込まれそうな愛依。常識の中に居た筈の彼女に襲いかかる常識外の災厄。これに夜宵がどこまで応えられるのか…
いよいよこれから常識外れの戦いが始まると予感させるタイミングでアニメは終了。原作付きの宿命と言ったらそれまでだけど、出来ればこの続きもアニメで見たくなると思える終幕でしたよ
それっぽい感想を述べる事は出来るかもしれないけど、流石にこの内容への感想は実際に現地に居た人や前々からミリマスを推してきた人の熱量や感動には負けてしまうだろうなぁ
それくらいこれまでミリマスという作品を応援してきた人達への感謝と愛情を感じる内容だったよ
それでも何かを述べようとするなら、この最終回もバトンを繋ぐという点を意識した描写が幾つも見られたのは良かったな
そもそも次々にアイドルが登場して曲を歌い繋ぐという点がそれだし、あのような素晴らしいステージに到るのもこれまでのデビュー活動でアイドル達の頑張りが後に続く者達への指標になったという点も上げられるだろうし
極めつけはやはりトラブルの瞬間だろうね
これまで繋がっていた全てが理不尽に途切れてしまった。バトンは繋がらず終わる雰囲気
だというのに、曲が途切れても歌って繋ぐ杏奈達、音が途切れた時間を拍手で繋ぐ観客、暗闇に支配されそうな空間を灯す幾千の灯
これこそがシアター組が形作った新たなバトンの形であり、彼女達の輝きの象徴であるように思えたよ
というか、それぞれの楽曲が持つパワーやそれを歌い上げるアイドル達の様子はどれも素晴らしいものだったね
贅沢に最終回の殆どをライブ描写でやってのけた本作。彼女達のこれからの活躍も見たいと思わせる魅力が詰まったものとなったよ
猫猫が処刑の関係に名を連ねるなら、責任者として情を挟まず処断するのも、情に拠って見逃すのもどちらも正しく出来るのが壬氏
それ以前に、人として彼女の想いに寄り添うなら後宮に留めるべきか?
壬氏は猫猫にどう接したいか、彼女をどう扱いたいか?命令する者とされる者という身分の境があった2人の関係を問う話となったね
様々を考慮して盛大に悩む壬氏に対して、猫猫の悩みは何処かコメディ寄り。本人にとっては至極真面目なのだが…
壬氏は「どうしたい?」と身分を越えて猫猫の意志を尊重しようとしたが、猫猫はこれまで通り身分に頼る。ならそれを変えようとする壬氏が手放すのは当然の話で
どちらにも望ましい結果とならないのはディスコミュニケーションの典型か
そんな二人の再会は妓女と宦官という別の身分が存在する場
接客と賓客、命令を下すのではなく会話で饗す関係性。だからか後宮では交わされなかった言葉がスイスイ出る
壬氏は猫猫の想いを察せられなかったが、猫猫も言葉が足りなかった。肩の荷が下りたような壬氏の挑発はこれまで通りだけど、これまで以上を感じさせたよ
壬氏が猫猫を変わらず受け入れるなら、今度は猫猫が我をどう断ずるかの話になる
関わりたくない後宮、花街と対して変わらぬ鳥籠。全てを飲み下した猫猫が選ぼうとしたのは良い意味の現状維持かな
……だというのに、冬虫夏草に釣られ我を忘れる猫猫は本当にしょうもないなぁ(笑)
クラフトが長寿に依る弊害を描いたなら、今回のフォル爺は長寿の末期における侘しさを描くものになったような
永く生き過ぎて知り合いも少なく、話す相手も無い。大切にした者は自分の中ですら朧気。それでも何かを大切にした人生まで損ないたくないから大切にする行為を続ける
フリーレンがいずれ到る領域がそこに有る
死者との約束を守るフォル爺の話を聞いて短命のヒンメルは何を思うのか…
その時は判らなかったろうけど、ヒンメルの記憶を忘れない今のフリーレンならそれを察しているのだろうね
無駄なシーンだって含まれるだろう彼の記憶、でもフォル爺に比べればきちんと覚えているだけ幸福で
思い出せない記憶に縋り続けるのはどんな気持ちなのだろうね……
記憶は覚えていても整理しないとごちゃごちゃになる。その意味では魔王討伐を忘れてしまったフォル爺は哀しいけれど、それこそ彼にとって無駄な記憶だったのかもしれない
フリーレンという同じく悠久を生きる友との再会を経て、大切な人に夢を通して出逢えた。それこそ大切な記憶は決して失われないという証明となったように思えるよ
ザインの友ゴリラはインパクト大な分、多くの記憶に残る。それは歴史に名を残すだけでなく、後から追うザインにも道標となるね
ザインの中で友の記憶は失われない。フリーレン達と旅をしていても揺るがず有り続ける
現状維持か、過去の為に未来を選ぶか。ザインはこの選択とどう向き合うのかな?
自分の望みを口にして呪いから脱したフィロメラが次に行うのは呪いからの完全解放か
彼女にとって呪いとは祖母との繋がりから生まれた束縛。フィロメラがしたのは祖母の言葉を否定し、自分は何者にでも成れると証明する事
そんな最終回は彼女の明るい未来の予兆が感じられたよ
フィロメラは呪いまみれの窮屈な家で過ごしてきた。呪いから解放された彼女が放り出されたのは果てのない銀世界。何をしろと要求されるでもなく、何をしてもいい自由な場所
チセのようにツリーの飾り付けやクラッカーをしたって良い。彼女と居ればフィロメラとて何でも出来る
でも何でも出来るのは時に悩みにも繋がるようで
チセは今回の一件で大きな力を振るった。フィロメラという友を助ける為にそれ以外を犠牲にした。他者の死を誘発した点、そして今のチセが不安定になり始めている点は気になる処
自由に成り過ぎてしまったチセだからこそ、自由の使い方に関する悩みと不安は尽きない
でも悩みがあるのと自由が有るのはやはり似ている話で
ポプリに使う布を決められないフィロメラ。それはそれで本人にとって大変な悩み
でも沢山悩んで良いなら、彼女にとってそれは楽しい自由な悩み
カラフルな布が目の前に広がり、自分を心配してくれる友が居る。最後に浮かべた笑みが何よりも彼女が手にした明るい自由を象徴しているように思えたよ
キタサンの引退は多くのウマ娘に影響を与えたようで
GⅠ6勝という大成果を見せつけての引退、彼女に勝ちたいと思っていた者達にとってそれは奮起の機会となるようで
寂しさより燃えるレースを。それはキタサンを送り出す何よりも花束となったね
キタサンの引退まで残り2戦、それは彼女と競い合える残り時間でもあるね
だからドゥラメンテは間に合わないと悔やみ、商店街の者達は笑顔で送り出そうとする、クラウンも勝負を楽しもうと意気込む
他方でキタサンが去る事に異なる感傷を抱いたのがシュヴァルグランとなるわけか
シュヴァルはキタサンが居た為に栄光を掴めなかった。でも裏を返せば、彼女と常に競い合ってきた間柄とも言える
今回のレースにてシュバルはやっと勝利を掴むわけだけど、彼女の苦難の物語においてキタサンは欠けてはならないピースだった。キタサンが居たからこそシュバルの物語は願いを成就させた瞬間に最大限の輝きを放つ
シュヴァルがレース中に述べるはキタサンへの惜別であり餞。彼女と競ってきたライバルとしてシュヴァルは彼女へ感謝を伝える役目となる
けどその美しい光景は同時に熱狂に浸れる時間が残り少ないとキタサンに教えるものでもあり…
沢山の想いを向けられたキタサンはラストランというお祭りの場でどう返すのだろうね?
子供達を恐怖のどん底に突き落とす教師の悪霊。でも蓋を開けてみれば、彼はむしろ被害者だし、彼の怪異で本格的な害を受けた者も居なかった
この学校の怪談は彼の恐ろしさを伝えるより、他者の悪意に拠って狂わされてしまう者の悲哀を感じられたかな
その分、事態の元凶たるドロシーの悪辣さが目立つ目立つ
でも、そんなドロシーを倒すのではなく騙す事で今後の余地を生む夜宵は一枚も二枚も上手。自身の目的である空亡だけでなく、同級生への報復へ繋がる道を残す
悪霊は恐ろしくても、怖がらなければ遣り様は有るという事か
前々から思い続けてきた点だけど、恐怖を使いこなす夜宵は悪霊以上に恐ろしい存在だよ