壁一面に顔の皮が貼られているとかかなりのトラウマ映像……
また、旧Fトンネルの悪霊も恐ろしい。入り込んだ螢多朗達を囚えて離さない恐怖の檻。それは先に囚われていた者達をも悪霊にさせてしまうもの
だからこそ、これを打ち破るには別の檻が必要となったわけか
鬼軍曹が仕掛けるのは自分が味わった苦しみ。恐怖の連鎖に他人を引き込む立場だった悪霊が引きずり込まれてしまう程の呪われた祈り
それは鬼軍曹が天珠を全うしても解放されなかったレベルなのだから、彼を殺しても悪霊が解放されるわけもなく
だから、夜宵が悪霊を檻から出してやったとしても行き先はまた別の檻
鬼軍曹の力を借りたとはいえ、これまでは他者を恐怖に閉じ込める側だった悪霊を人形に閉じ込めた夜宵はやはり恐ろしい少女だね
けど、彼女は無闇矢鱈に霊を成敗する者ではなく正義を有している。そんな彼女が安奈を滅しようとしたのは当然の成り行きと言えるだけに彼女を庇った詠子の「仕分け」が気になる処
彼女とて一度は恐怖の折に囚われてしまった人間なわけだし
二人でアイドルを目指し始めた未来と静香。では具体的に何を目指しているの?という点を静香の苦悩を中心に描いていたね
アイドルというジャンルを目指していても、アイドルとして何を表現すべきかまで定められてはいない
それを「頑張れ!」に心震わせた未来が中心となり扉を開いてみせたね
翼は積極的にアイドルになる理由を持っていたわけじゃない。才能を備えていただけ
才能という点では静香も高い歌唱力を持っているけど、父から受ける圧などで目指すものが見えていなかったような
また、Pも担当アイドルは決められても、それをどのように輝かせるかは決められていなかった
必要なものは持っていても、輝きを束ねる鍵が足りない
それが未来の応援力となるわけか。またあのシーンでは翼による下支えも大きかったね
挫けそうだった静香が未来の応援を受けて、夢を表現する歌を歌い上げる
それはP達が見たヴィジョン以上に本作が目指す方向性を指し示すものになったと思えるよ
臆病者シュタルク、彼は竜と戦う気なんて起こせないが、だからこそ竜の近くに住む村人の怯えも判る。その繋がりで言えば前回竜から逃げたフェルンだってその恐怖は判る
けどフェルンは恐怖を抜け出す時に発揮すべき覚悟も知っている。それは動けずにいたシュタルクに武器を振るわせる勇気へと繋がるわけだ
未熟としか受け取れなシュタルクの震えが実は師のアイゼンに通じるものであるという点は印象的
ならシュタルクは弱い人間ではなく強く成れる戦士。当初は竜と戦えると思わず、最中も囮のつもり。だというのに一人で倒してしまった
その事実はシュタルクを臆病者にせず、正しく英雄と扱い直してくれる。村の守り人である彼を気持ちよく旅へと送り出してくれるものになるね
三人旅になった道程、新加入のシュタルクを通し旅とはどのようなものか教えてくれるね
昔アイゼンとした小さな旅。スイーツのサイズ感がシュタルクに時の尊さを味合わせる。それは2年も足止めされたくないフェルンも持つ感覚。不仲そうに見える二人でも協力できる余地となる
でも一応の違いは有り、それが恩師の生存か。フェルンは恩師の時の終わりを看取ったけど、シュタルクの恩師はまだ時の中に居る
シュタルクは時の中で出来る恩返しの為に旅の下らなさを楽しみたい。だから旅を進める為の苦労を惜しまない
だというのにフリーレンは手っ取り早い方法を持っていたわけか(笑)
時が幾ら経っても変わらない勇者一行の送り出し。それは期せずしてフリーレン達の新たな旅がヒンメル達の旅をなぞっている点を改めて強調するものになっていると感じられたよ
閉じられたカレッジにおける生徒達の遣り取りは何処か距離感が近いものに成り、普段は突っ込めない部分も触れられるように
だからって人の心が開かれているわけではないから、相手の深い場所は知れないまま。本来は相手の事情なんて知る必要はないけど、誰にも理解されないフィロメラが孤独を深める様子は辛い…
それでもチセが彼女の心に手を触れようとするのは同じように理解されない苦しさを懐いた経験があるからか。また、ルーシーも素っ気無いままにフィロメラを気に掛けているね
だというのにフィロメラはそれらの手を取れない。その事実はフィロメラを追い詰めると共に彼女に掛けられた呪いが強固である点を改めて突きつけ、彼女を苦しめているね
フィロメラは壁の中により閉じこもりつつあるけど、彼女を気に掛ける者が多い点は救いに思えるね。チセを始めとしてリアンもアイザックも彼女を気にしてる
ただ、多感な年代だからか異性を気に掛ける行為が色恋沙汰としても扱われてしまう点は微笑ましいな(笑)
小さい頃は天真爛漫だった子が現実を知って曇る様子って本当に胸に来るものがある……
テイオーに憧れるばかりだったキタサンが理解されられた憧れに届かない無力感、それは余りに辛く血反吐のような悔しさ
キタサンに有った原動力はテイオーへの憧れ。それは時に憧れ以外を見えなくさせる
逆に憧れの気持ちが落ち着くと見えなかったものが見えてくる
前を走るドゥラメンテに驚愕し、自分の不甲斐なさを嘆き、敵の負傷を喜ぶ己を知る
それは憧れだけで走ってた頃は知らなかった感情
キラキラした先輩や憧れを共有するダイヤには話せない苦しさを理解してくれるのがあのネイチャだなんてなぁ
中々輝けない、それでも走るのを辞められない。泥のように走ってきた彼女だから話せる生々しさ
それはキタサンに綺麗事ではない綺麗さを教えるもの
憧れだけの自分から脱却し、勝利欲を手にレースを走りきったキタサン
タイトルにあるように彼女の、彼女だけのスタートはここから始まったのだと判るね
いつかはテイオーに追いつき、追い越せるようなウマ娘に成れるのではないかと期待してしまうよ
本作において、残虐性トップクラスの旧Fトンネルの霊。内容は事前に知っていただけに身構えながら視聴したけど、それでも怖い……
というか、あの内容をぼかさずに映像化したスタッフ凄い…
オカルトスポットでの思い掛けない出会いは詠子に楽しさではなく恐怖を齎す存在だったようで
前回、心霊現象に心躍らせた詠子の浅はかさを嘲笑う脱出不可能の恐怖。安奈が味わった恐怖であるという点が更におぞましさを煽り立てるね
そして安奈やその友人は自らが味わった恐怖から詠子達を逃がす存在ではなく、むしろ同じ恐怖に引きずり込む悪魔と化している点が何よりも醜悪と思える
詠子を守ってくれるかに思えたSトンネルの霊はあっさり敗れてしまった。ならば、次に待たれるのは前回回収した卒業生が示すだろう実力
旧Fトンネルの霊によって視聴者も恐怖を味わっている筈なのに、この先に待つ血飛沫舞うオカルトバトルを見たくなるなんて、本作は本当に恐怖の使い方が上手だよ…
他人の夢や活動の応援は得意だけど、自分の夢となるとからっきしな未来が出会うのはアイドルですか
ここで視聴者が知らない存在ではなく、あの765プロアイドルだという点は納得感が有るね
夢が無かった少女が自分の夢を掴みつつ他人に夢を与えられるアイドルになる、充分過ぎる初回だったね
一人では進めなかったかもしれない夢への道。同じ席に巡り合った静香と一緒に輝きの奔流を目にする事で自分の夢も形に出来るし彼女が口に出来なかった夢も確かなものとなる
探したけれど見つからなかった夢が偶然と空間の共有によって未来と静香の手に降りてくるわけだ
アイマスシリーズのアニメは幾つか見てきたけど、ミリマスは全く知らずの状態。それだけにOP映像に居るアイドルの人数に驚いてしまったり
でも、基本は今回登場した未来、静香、翼の三人を追っていけば良いのかな?
夢を一緒に叶える約束をした未来と静香、別の場所でそれに近づく翼。三人はどのようなアイドルを魅せてくれるのだろうね
フリーレンがヒンメル達と居たのはたった10年、彼女の体感的に短い期間。でも短かったとして、人生には永い影響を齎す場合もあると判るのが幽霊騒ぎだね
以前の幻影が偽ったのは永きを共に過ごしたフランメ。でも今回は短き交友のヒンメル。その違いと彼を撃てる事実がフリーレンに遺した影響を何よりも物語っていたよ
フェルンの方はハイター。彼女とて彼と過ごした時間は10年に満たない筈。それでも出てくるという事は彼女にはとても大切な存在というわけで
時間や体感だけではない繋がりの価値が有るから撃てる幻影。それでも生じる躊躇と後悔
それを察し「本物に会いに行こう」と慰められるフリーレンは少し師匠らしくなってきたね
紅鏡竜を前に逃げたり震えるのは間違いではない。強者に立ち向かう勇気なんて誰もが持ち合わせている訳では無い
シュタルクは竜から逃げなかったという事実を以て村民から慕われている
でもその実態は臆病者、戦闘経験すらゼロ。既に戦闘経験が有るフェルンが軽蔑するのも仕方ないというもの
今のシュタルクには実力に見合わぬ期待が一身に寄せられている
村民だけでなく、アイゼンは彼を「良い戦士」と評するし、フリーレンも何かを期待している。その答えの一端が削り取られた崖かな。次回は臆病者が示す勇気が見られるのかも
それはそれとして、幻影だったとしても自分を「撃て」と言えるヒンメルは勇気と正義の塊と再確認できたよ
学び舎であるカレッジが封鎖されるという決して明るくない事態。でも生徒に緊張感は薄かったね。敵のように現れたアルキュオネが留まる事への警戒も薄ければ、見るからに怪しいザッケローニへの警戒も薄い
若い青少年達はカレッジが封鎖された程度では事態の深刻さが飲み込めない。だから痛みの感触に接する必須科目が必要だったのかも
チサ達がカレッジの敵と繋がり有るフィロメラを囲んで普通に話し合えるのは以前にも似たような会話をしたからかな。あの時の感触でフィロメラが危険でないと判っている。その流れでアルキュオネも受け容れたのかな?
相手を危険かそうでないか判断するには実際に接するのが一番。だから武器を使う実技、口だけ達者な生徒への制裁が必要になる。そうすれば痛みは避けるべきと判る
その点ではエリアスとシメオンの交流もその類
友達の定義が判らないなら友達らしい行動を。その経験がエリアスに他の知人との関係も友達と言い表せるようになるのは良い成長と変化だね
一方で使い魔との戦闘で呪いのような戦闘能力と接してしまったチセは自分の体をどう考えているのか……
新たな主役を冠す物語がいきなりの敗北続きとは…。でもその構図がテイオーに憧れるキタサンブラックの挑戦を面白く彩っていくのだろうなとも感じられたよ
また、これまでの物語で見かけたウマ娘達が脇を固めているという点も愛されるシリーズならではの現象といった印象を受けるね
キタサンは人助けに留まらず商店街の人に囲まれていたりと、周りはとても賑やかで笑顔に満ちている
でも彼女はまだ成長途中だからレースにおける助言も欲している。その点では憧れのテイオー等に囲まれ精進できるスピカは彼女にとって良い環境と言える
キタサンの前に立ち塞がるドゥラメンテはキタサンと対極の人物だね
言葉少なで表情も静か。それはダービーを自分の知るお祭りに重ねたキタサンにすれば全く知らない次元
彼女の猛攻を前にキタサンが失速したのは知らない世界により自分すら失った為かな…
なら、ここからキタサンが挽回するにはお祭り以外の力も必要となるのかな
それにしても親友と同室になっているというだけでも色々想像してしまうのに、その上で親友のぬいぐるみと一緒に寝ているとかどういう事……!
それもうダブルベッドとか持ち込んで一緒に寝れば良いんじゃないかな…
命を失っても可怪しくないH城址での恐怖を詠子との会話を通して飲み下しているのに、「とっても楽しめたんだね」と別の意味で消化させる詠子は恐ろしい…
だからこそ否定できない螢多朗が「恐怖を愛している」という点も見えてくるのだけど
あれだけの目に遭いながら辞められない螢多朗は立派な恐怖ジャンキーだよ…
旧Fトンネルへ行く前の卒業生回収、前回の大僧正がヤバかったように本作は武器回収も命掛け
でも、そうなるのは卒業生が地獄に通じる存在だからかも
今回の卒業生は背景からして生地獄を味わった者。それが成仏できず現世に留まり続けるならその周囲はどう取り繕っても地獄。だから回収も命掛けになる
それでも夜宵が居るならまだ危険性は低く思えるね
いわば制御された恐怖。だから螢多朗は今回の行動を後悔しないし、詠子も恐怖に惹かれていく
けどこれから向かうは危険な卒業生が必要な悪霊が棲まう場所なわけで
その意味では次回こそ本物の恐怖が振り撒かれるのだろうな…
原作既読。流石に1話単位で感想を上げるのは手間なので一纏めに
魔王を倒した後から始まる物語。人間にとっては時代の転換点と言える程であり、ヒンメル達にとって永遠とも言える10年。けど長命のフリーレンには「たった10年」で些細な話
ヒンメルの死という停止を前にようやく「たった10年」の意味を知るべきだったと悟った彼女の物語は類を見ないもの
人間とエルフで異なりすぎる時間感覚が本作をとても良い作品にしている
フリーレンにとっては短い時間でも人間はあらゆる変化を内包できる。フリーレンは変わらないままなのにかつて接した人は老いてしまう
フリーレンにはたった10年や80年でも世界はそれだけの時間が過ぎている。つまり、フリーレンが知らず過ごした時間にはたくさんの「知」が詰まってる
ハイターが拾ったフェルンは時間経過の象徴だね
勇者パーティの旅には居らず、出会った当初は世話される幼子。でも共に過ごす内に彼女は成長しフリーレンと旅するように。それどころかずぼらなフリーレンの母親代わりみたいになってしまった
フェルンの身に起きる「時間」はフリーレンに人間の何たるかの一端を教えるもの
また、異なる時間を持つフェルンとの旅はフリーレンの「時間」にも少し影響する
フリーレン一人なら半永久的に続けそうな蒼月草探し。でもフェルンの時間はそれを許さない。そんな関わりがフリーレンの行動を変え、想いを変えるわけだ
それが明確に現れたのがフェルンの誕生日を祝うシーンかな
1年に1回なんて「頻繁に」訪れる出来事を彼女は祝った。それはフェルンを知る前のフリーレンなら考えられない行為だろうね
旅の折々で見るヒンメルの足跡はフリーレンに彼という人間を教えてくれる、いわば対話の一つ
でも、その遣り方では人間を知った上でヒンメルと語らう事は叶わない。ハイターやアイゼンが気遣ったのはそういう点
魔王討伐と同じ道を辿る新たな旅はフリーレンの「たった10年」を「掛け替え無い10年」に変えるのだと察せられる素晴らしい初回となったね
最終回はAIやヒューマノイドがどうのという話ではなく、単純に人と人の繋がりを問う話になったような
須藤が探し求めるのは母のコピー。それは前回のリサとトゥー・フィーで示されたように母とは別人、須藤とは他人
それでも須藤が探すと言うならそれは最早感情論ではないのだろうね
出逢ったばかりの頃の須藤とリサは他人だった。けど、似た境遇という要素が他人で片付けられない関係性を築かせた
血や家族以外にも人は誰かと他人じゃなくなる瞬間が有る。逆に言えば、あっさり他人になれたりもする
須藤がリサや瀬戸にしたのは他人になる為の儀式
須藤はそれで良かったとしても、他人にされた側は堪らない。だから須藤はきちんとリサと話し合う必要があって。
最初は他人で、他人じゃない時間を挟んで改めて他人になってしまった須藤とリサ。それでも繋がりを求めるならば、一緒に居たという時間の存在が二人に他人ではないという人格を与える事になったと言えるのだろうか
これまではAIやヒューマノイドが存在する社会を上手く描いていたように思えただけに、色々と中途半端に終わってしまった最終回は少し残念だったり
かといって須藤が旅立ってしまった以上はこれまでのような話も展開出来ないだろうしなぁ…
結局MICHIは須藤に何を求めていたのだろうか?
血筋に基づく正当性にこだわるセト、想いに立脚する正当性を掲げるレオ
だからレオは玉座に座れなくても王者として国を先導出来るのに対し、セトは自らが王の血を引いていない程度で絶望する
でもセトが手に入らなかったのは全くの別物。彼は血筋にこだわる余り己の喪失にずっと気付かずに居たのだろうな…
自分の出自を理解したのにそれを認めず暴走した彼は遂に命すら失う
彼はレオに負けたのではなく自分自身に負けた。王たる己にしか存在理由を見出さなかったから王でない彼は己すら失った
対するサリフィの叫びは様々な種族を混じり生きる魔族の国で人間ながらに暮らした事で懐いた理想を踏まえたものなんだろうな。そしてそれを体現するのがレオとなるわけだ
正当性に縛られていたのはアヌビスも
信奉する王に仕える気持ちがレオを裏切らずに済ませたけど、その為にレオの本当に姿に気付けなかったし、彼が友を求めていた点にも目を向けられなかった
でもサリフィによって血筋より想いを掲げられるようになったレオはアヌビスに友としての貢献を伝えられる。それが失われたと思われていた友という繋がりを復活させたのだろうね
レオの出自は人と魔族の血を引くという特別性より、愛によって生まれた愛された息子であるという特別性を伝えている
日記に拠ってレオは本当の己を手にしたけど、それは人に拠って与えられた本物。ここで彼がサリフィと自分が望む本物の自分を偽りのない己とし、民衆の前に出る展開は良かったなぁ
レオが目指す在るが儘に生きられる世の中を端的に表しているように思えたよ
サリフィによって己を手にした一方でサリフィもレオによって己を手にしていたという流れは良いね
望む己を大変な苦労の果てに手にした二人の子供だからリチャードはレオとは全く異なる子供時代を過ごせるのだろうね
彼の在り様はサリフィとレオに拠って代わり始めた新たな国を体現する存在であり、同時に二人が形作った幸福を一身に浴びる幸福な子供であると判るね
いわゆる『美女と野獣』タイプの系譜なんだけど、終わってみれば現代の問題に通じそうな要素をファンタジー作品として綺麗に纏め上げた作品だったように思えるね
原作漫画の時点で充分に楽しめていた作品だけど、アニメとしても不足なく楽しめる、とても良い作品でしたよ
ティアの話とリリィの話の温度差が有り過ぎて…
でも辛いティアの過去を受け止めているのがリリィがリーダーを務める『灯』なのだと思えば、別の意味で組み合わせが良かったと言えるのかな(笑)
リリィは疑惑を誇る、ティアは疑惑に悩む。そのズレが『灯』をより良い空間にしている
勘違いから『灯』をラブコメの嵐に巻き込んだリリィはズレの先導者。リーダー・リリィが率先して間違うからエルナ達も各々で勘違いしていく
リリィが『灯』の中心として雰囲気を作っているが、他の面々もスパイチームらしからぬ雰囲気醸成の一助となっている
一方でそれに流されない者も居るというズレも同時に存在しているわけだ
打って変わってティアはスパイの闇、自身の闇と向き合う。だからこそ紅炉が遺した自らへの光にも気付けたのかな
それでも心が負ったダメージは大きいから彼女を癒やす者が必要となって…
ティアと完全にズレた雰囲気でラブコメしてる『灯』が傷付いたティアを受け止める居場所となるわけだね
『灯』は『焰』という家族を失ったクラウスにとっても居場所となったようで
『焰』では異なる立場だった彼は『灯』での立場を認められなかった。でも卒業したリリィ達により認められたなら彼は教師でありボスであり…
変則的なスパイの教室が誰にとっても良い空間となっていると判る最終回だったよ
恋愛が判らないあまり家族すら判らなくなるローレンには苦笑してしまうけど、そもそも彼は親しい者との関係にどのような名を付けるかという点を悩み続けた人間だったのかもしれないと思えたよ
だからこそ、恋愛を求めながらも家族だと受け容れてくれたセシリアの想いに応える事が出来たのかな?
身近な愛する人を形容する言葉としては恋人とか彼氏・彼女とか色々あるけれど、ローレンはそれ以前にセシリアとの関係をどう名付けるかを決められていなかった。だから常に聖女呼びだし、聖女以外の彼女が何か判らない
その意味では一緒に暮らすという点から「家族」と形容できたのは彼にとって大きな前進なのかも
…随分回りくどいけど(笑)
家族を言い訳にハグしてしまったのはこれまでを考えれば大き過ぎる変化。でも、セシリアが最終的に目指すのは家族であったとしても、その前段階があるわけで
セシリアは女の子からローレンを譲られた。なら関係を変える時間はまだ有る筈で。そういった意味ではセシリアとローレンの関係は始まったばかりとも言える最終回となったのかな
夜宵生存は予告でネタバレされたのは仕方ないとして、本格攻勢を仕掛けるH城址の霊に対して、夜宵も卒業生を繰り出す流れは大バトル感が有って良いね
また、その中で無力に過ぎない螢多朗にも見せ場があったのは好印象
夜宵を模した悪霊を前にしながら、又は逃げ去るH城址の霊を追う際も。螢多朗は状況を冷静に見て起こすべき行動を実行しているね
そもそも夜宵がああして卒業生を顕現できたのも螢多朗が夜宵の名を呼び続けたから
夜宵の方が強いのは事実だけど、螢多朗は立派に夜宵の相棒を出来ているように思えるよ
H城址の霊は恐ろしかったけど、それ以上に卒業生である大僧正はヤバい存在だったね
毒を以て毒を制すと言わんばかりの脅威。関わる事すら間違いと感じる卒業生だけど、最終的にはこれらを束ねて神様に挑もうというのだから本作の目指す境地がどれだけ人知を超えたものであるかを察せられる回となったね
途切れていた関係が修復された二人が目指すは次の関係
洞窟で不能へ舞い戻ったのはルディにとってキツい流れだが、それによって問題をシルフィも共有できる構図に
サラと違い、シルフィは不能に直面してもルディを非難しなかった。この時点でシルフィがルディにとって最愛の人に成り得ると見えてくるね
行為は失敗しても二人はそれで終わらない。昔からの関係があるから、肉体的な繋がりが無くても自分達の旅路を話す事で二人の心は充分に結ばれる
だからシルフィもルディと同じように治療方法を模索し始める。そうすれば彼女に協力的なルークやアリエルも同様となるわけか
…まあ、ルークがああまで理解を示すとは予想外だったけど
ルディだけが探すのでは見つけられなかった治療法も三人寄れば文殊の知恵、あっという間だったね
……その過程でルークが色々爆弾発言していた気もするが(笑)
方法が見つかり、シルフィに覚悟があるならば、次の関係に進むのは難しい話じゃない
それでも試練のようなものだからシルフィだけでは重荷
緊張の空間を和らげるのもやはり昔語りになるんだね
それでも「薬」を飲んでしまえば進む以外の道はなくなり、次はルディが試される番
不在の空間を見て、思い出すはエリスとの別離か…。だからこそシルフィが当たり前の顔して戻ってきたのはルディにとって感動となり、不能から抜け出す瞬間と成り得たんだろうね
ルディが覚えた最大級の感謝はシルフィを始めとしてアリエル達にも向けられるもの。アリエルの助力になるとすれば、シルフィとの関係も更に進めるきっかけとなるのか
仲間も目的も失いかけ、宛の無い旅を始めたルディがシルフィとの再会を経てこれだけの幸福を手にするなんて第二期を見始めた時は思いもしなかったなぁ
これは早くも続く物語を楽しみたい気分ですよ
欠片達の物語も遂に最終回、けど立ち上がりに特別感は無くいつも通り
お寝坊な彼女の髪を弄っていつもと違う髪型に。それが結果的に友達に受けて好印象ってなんだか青春模様に満ちている
そして、その構図がラストに繋がるのだから良いね
些細な力比べから生徒会に全員集合して更にわちゃわちゃするとか日常風景の極みかのよう
特に海に行く話とか、本編におけるドライブの約束を踏まえたものになっている事も合わせ、卒業後も彼らの絡みは続いていくのだろうと期待できるものになっていると思えたよ
本編最終回にも有った誰とも繋がらない世界の堀版
けど些細なきっかけから繋がりが薄かった面々が絡み始める様子は誰とも繋がりが生まれないなんて有り得ないのだと思えるし、本編では透の拾ったピアスを受け取れなかった宮村が、こちらでは堀の携帯を拾っている
運命のような偶然が結局は繋がるべき人を繋げているのだと思えるね
そこから更に堀の述懐へと続くわけか
本編では宮村が答辞のように堀と出会ってからの日々に感謝の言葉を紡いでいた。でも感謝しているのは宮村だけじゃなくて
本編では描ききれなかった欠片達の物語だからこそ本編とは異なる堀の答辞を描けたのだろうね
そしてエピローグ、いつも通りの呼び出しかと思いきや、広がっていたのは見たこと無い堀の姿。恥ずかしいだろうにあれを真っ先に宮村に見せたいなんて可愛らしい
そんな可愛い彼女に合わせて宮村も短くするなんて
本当にこの二人は出逢った事で新たな世界を次々と広げていくね