サービス開始日: 2016-09-30 (3476日目)
ラストの桃香の泣き顔が素晴らしかった。本作はいつもいい表情が多いが、際立ってよかった。仁菜と桃香の対立の終着点でありバンドの出発点という大事なシーンに相応しい、心に残る表情。
相手の存在に、相手の音楽に救われたのは、仁菜も桃香も同じ。だけど桃香はそれを思い出にしようとし、仁菜はそんな桃香に一緒に未来へ行こうと言う。
いい最終回だった。
……や、登場人物達のドラマとしては一つ大きな区切りがついて、本当にこの先どうなるの!?
仁菜の放送室占拠エピソード、あれこそまさに仁菜が桃香の曲に救われた瞬間だったとは。
談合坂での仁菜と桃香のケンカシーン、くるくると入れ替わる上手と下手から演出の意図を想像するのも面白そう。
「AKIRA」ばりにかっこよく演出された軽トラに笑った。
さてここで仁菜の過去シーンに刺激されて唐突な自分語り。自分が十代の頃、誰かと揉め事になったとき、どちらが正しいかなど一顧だにせず、揉め事を起こしたことそのものが罪だと言わんばかりにただただ場を収めることだけを強いる周囲が、特に大人が大嫌いだった。
正しさ(その正しさは視野の狭い浅薄な考えだと今ならわかるけど)が軽んじられる悔しさ。正しさが通らない世界に対する苛立ち。そして、そんなときに誰かが生み出した音楽や物語に救われることは確かにあるのだと自分は経験として知っている。
仁菜の中に自分が見える。
仁菜が度々口にする「間違っていない」という言葉を、そのときの彼女の心情を、自分はそんなふうに受け取った。
情報量が……情報量が多い!!
バンド名の由来、それでええんか。
桃香がバンドを辞めると言い出したのには本当に驚いた。バンド活動にいまひとつ積極的でなかったのはそういう理由かあ。その理由でさえ、彼女自身の口から語られたのではない、というのが寂しい。
さらに、智とルパの家庭事情も。これだけでもなかなかに重いけど、二人にはさらに以前組んでいたメンバーの話もあるんだよなあ。
仁菜、家を出るとか予備校をやめるとかいきなり極端な決断に走りがちなあたりが若いなあ。それでもやはり彼女の突進力こそが鍵。
素直に姉に甘える仁菜とか、ミネさんに敬意を払う桃香とか、みんなのこれまでとは違う一面が見られたのもよかった。人ってこんなふうに多面的だよね。
ラストのセッション、ベースとキーボードが加わったことで音がこれまでとは別次元へ至ったことが、音が仁菜にもたらす喜びが、映像でも伝わってくる。わかりやすい演出ではあるが、実写では成立しづらい、全てが絵であるアニメだからこそ成立するシーンであろう。
客を増やすためなら前回あれだけ否定したダイヤモンドダストと同じ方向性さえ本気で考える。さすが、第4話で豪快な手のひら返しを見せてくれた仁菜さん、パネェ。
新メンバーのルパと智は、楽器面で足りなかったパートであるというだけでなく、武道館を目指す上で必要になるいろんな知識や経験を補ってくれる存在でもあるわけか。
ルパはいまのところキレた姿が想像もつかないけど、ぶつかり星から来た仁菜にどこまで耐えられるか。
練習のとき、すばるが椅子に座る際にちゃんとスカートを整えながら座るのがよかった。日常の何気ない仕草を丁寧に拾ってくれるの大好き。
どんな衣装を用意するんだろうと思ったら、そうきたか!
ラストのライブハウスのステージ、曲もさることながら新川崎(仮)の三人の表情と動きが本当に楽しそうで、強く感情を揺さぶられた。
仁菜が語る「爪跡」の話は、まるで仁菜自身のことを語っているようだった。桃香は仁菜とすばるよりも歳上なこともあってか、二人とは少し距離を置いている印象があったが、厄介な女・仁菜にひっかかれてかさぶたを剥がされて、やっと対等な関係になれたんじゃないかな。
何も解決してねえええ! 普通そこはすばるが役者を目指すかどうかについて何らかの区切りがつく流れじゃろ? 手のひらクルックルな仁菜にはもはや笑うしか。
という字面だけだと楽しめなかったみたいですが、全くそんなことはなく。ニュアンスを表現するの難しいな。
すばると初対面のときはあんなに壁を作っていた仁菜がすっかり懐いているのにほっこり。
すばるに「明日時間ない?」と聞かれて一度「ない!」と返してから前言撤回する仁菜がよかった。ストーリー的にはなくても問題ない一言だけど、とても仁菜らしさを感じる。
花田十輝氏の脚本に「宇宙よりも遠い場所」のときのようなきらめきを感じる。つづきが楽しみ。
主人公である仁菜はすごくめんどくさいキャラなんだけど、過去の自分が喚起されてそのめんどくささに共感できてしまう。