内容もさることながら、内容よりも
企画をめぐるトラブルのほうに話題が集中した。
監督が打ち切りに不満を表明した報道から察するに、
打ち切られたことは事実らしく
監督は雑誌のインタビュー記事で
業界に対する問題提起をしたようだが
おおかたの視聴者は「打ち切りの原因は内容」と捉え、
監督に同調する者はほとんどいないと思われる。
「いかにして視聴者を不快にしてやろうか」とでも
思ってそうな演出に心血を注いだ本作に加え、
被害者意識をにじませたコメントが
メディアに流れる経過がひたすら痛い。
監督は原作・脚本を兼ねており、ブレーキ役がいないことの
弊害を示す例として認識されることになるのではないだろうか。
主人公チームが、試合に向けて奮闘し
試合中も助け合う場面の数々は美しく、
その点は称賛に値するだろう。
公式戦の戦績には疑問がつく。
サンダースは中盤から車輌を大洗と同数にし、
プラウダは大洗の籠城に際し突入を急がず待機、
黒森峰は西住まほが増援を待たず、一騎討ちに臨んだ。
対戦相手が物量作戦や短期決戦を決行していたなら
大洗は負けている可能性が高く
「手加減してもらえたから大洗は優勝できた」という印象が残った。
あるいは、演出上の意図で
あえて「文句のつけようのない勝利」にはしなかったのか、
とも思える。
主要な登場人物の言動から、
「ホースにはモデルが存在する」と察しがつく。
作者が自分の私的感情を劇中のセリフにこめることは
先行作品でも行われてきたことだから、
その行為自体をとやかくいうべきではないのだろうが
主張の趣旨には同意できない。
その言い分を許容できるほどのカリスマ性が
ジョーロとパンジーには備わっていないからだ。
他者を罠にかけて恥じない者が
主人公とヒロインだとは嘆かわしい限り。
商業作品においてキャラクターの取り扱いは重要。
作者の手駒として使おうとしたことを厳しく評するしかない。