姫野先輩にとって今は一人の戦いじゃない。自分が最初で最後の一人じゃなくて、後ろには仲間がいるという後押しに頼もしさも勇気も湧いてくる。
だから、今こそ一度終わったはずの青春のもう一本を、今までで一番苦しくて楽しいこの一瞬に全てを懸ける。それはもう後悔が微塵も残らないくらいにやりきったワンチャンスだったから、例えここで負けても気持ちは晴れ晴れとしている。涙が滲むけど、それは後ろ向き曇ったものじゃない、前向きな虹の射すようなもの。だから、最後の四人目の永遠に受け渡されて、一人じゃなくて四人で取った一本に繋がった。
一瞬に込められた姫野先輩の思いと、そこに繋がる一人じゃなくて四人で勝ち取った一本に胸が熱くなる一話でした。
それぞれの戦い方、それぞれの思い
決勝で恵梨佳先輩との対戦を誓う永遠に、3年生としての戦いに思いを新たにする姫野、未知に続いて次は自分の出番と奮起する早苗、試合には出れないけど対戦相手の分析という土俵で仲間のために戦う安奈。その誰もが未知の戦いぶりに魅せられて、焚きつけられていた。
安奈の自分の気持ちに正直なとこ、それを貫いた1話でした。
安奈の未知ともっと一緒にいたい、同じ舞台で頑張りたいという想いはきっと、彼女への憧れなんだと思う。一瞬一瞬に全力でぶつかって、笑顔で楽しんで…。そんな未知の柔道というのが、安奈の自分の気持ちのままに後悔したくないということを突き詰めた先にあるものなんだと思う。
「3年間しかないから」その言葉に込められた安奈の決意と青春の儚さと熱さと真っ直ぐさを感じました。
柔道の気持ちよさを教えてくれた先輩、一本背負いの勝ち方を教えてくれたその先輩に一本背負いで勝ったその瞬間に滲むのは涙。
そこには、きっと永遠も恵梨佳も、すれ違いのわだかまりを払い除けられたような爽快感に満ちていたんだと思う。
そして、先輩が教えてくれた「もっと上の気持ちいい」が今こうやって先輩に打ち勝ったことで先に見えてくることへの感謝の想いが永遠の頬を伝っていたように映った。
そして、未知の試合。結末は最後まで一本を狙って攻め続けた未知の敗北だった。だけど、相手の強さや仲間の強さを知る中で、自分自身が全力を投じてきた成長も感じることができた。負けて終わりじゃなくて、負けて知る爽快感もそこにはある。
そんな底抜けの青春らしい真っ直ぐな爽快さを味わう未知だからこそ、安奈に「剣道をやめたいって言ったらどう思う」なんて青天の霹靂をもたらすことになったのかもしれない。
そっか…永遠に最初に勇気をくれたのは恵梨佳先輩だったんだ。なのに……永遠の原点の全てが恵梨佳先輩だったのに、誤解したまま別れてしまって。
そこに残した後悔は、永遠の悔しさと恵梨佳の情けなさ。晴らしたいその思いを今こそ畳の上でぶつけ合って、お互いにあの頃より少し強くなった自分を見せて、また仲直りをしたい。
一人だった自分と一緒に柔道の道を歩んでくれたのが永遠だったから、臆病だった自分に勇気をくれたのが恵梨佳先輩だったから。もどかしいすれ違いが拭えないままで、だからこそ全力でぶつかりたいって不器用だけど純粋な真っ直ぐさに泣かされた。
永遠が対するのは中学時代の先輩、柔道の実力では勝っていても気持ちのところで気圧されてしまう。
でも、そんな時、未知が背中を背中を押してくれる。柔道では弱くても、気持ちのところでどこかあっけらかんとしてる強さが未知にはある。
永遠と安奈の対面、安奈は永遠こそが未知をインターハイに連れて行ってやれと言うのに対して、永遠は未知も弱くなんかないと返す。その言葉に込められていたのは、未知がくれる勇気の力強さなんだと思う。
ソラちゃんはやはり脳筋アホっ娘ということが明らかになってきたな
だからこそ、バカみたいにヒーローになるって宣言できるだけの度胸もあると
ソラのうめき声とか力込める声とか勇ましさとか力強さが伝わってくるのはかなり良かった
ただバンクの時の声がかわいさよりだったのが気になるな……、ソラにどういう印象付けさせたいんだ?
未知の試合中はあんな楽しそうで負けたらあんな寂しそうで、そんな全力に永遠は魅せられた
それはまた早苗も動かした、高校で母親に柔道をやるなと言われていたけれど、それでも自分のやりたいを貫く勇気を道から受け取った
未知の無自覚だからこその全力がみんなを動かしていく、そんなアツい1話だった
だんだんと二人の特別な関係を知る人も増えて、二人が互いにそうとは言わずとも既成事実化は進んでいく
あとは想いのもう一押しだけ...
シビュラシステムによって、法律は不要になるだろうか?それが今回の問いであり、議題だった。
神の視座から愚かな人間たちに絶対的な裁定を下すAI、それがシビュラシステム。究極の客観性を携えたその支配システムは、私たちに汚れた人間の主観を一切排した答えをもたらしてくれる。その真実に疑いの余地はない。しかし、まだ根本的なことを語り尽くす必要はあるだろう。それが、正義の価値観だ。
外務省海外調査部現地調査隊、通称ピースブレイカー。かつての政府の飼い犬で、今は首輪の外れた狂犬と成り果てた組織。一体何が彼らをそうさせたのか。
そこには、日本が近隣諸国に仕組む略奪経済や国内の平和の代償にまき散らした世界紛争、ピースブレイカーたちを死ぬまで戦わせる体の良い駒として使った過去があった。そして、そんな不平等を生み出す陰に隠れた人間への復讐と是正こそが砺波率いるピースブレイカーの目的であり、正義であった。彼らが目指すのは歪んだ人為、正義の名により下される悪の暴露と天誅なのだ。
だからこそ、ピースブレイカーたちは神に祈る。正しくない人間と相対する絶対神のAI・ジェネラルこそが、真に平等な裁定を人々に下すものとなり、彼らを導いてくれる。そして、だから、彼らは聖戦に対する死の恐怖を捨て去って、自らの一切合切を捧げることができるし、人に科せられた原罪の赦しを得られる。
その具現化がディバイダー。神を憑依させてくれるその装置が、愚かな人間の主観と客観を分離してくれる。ピースブレイカーたちは脳に埋め込まれたチップにより、痛みの感じない兵士となり、犯罪係数も偽装できる。その上、彼らの預言者もといリーダーである砺波が各員の行動をハックすることができる。そんなピースブレイカーの戦い方は、まさに神とその預言者によって、人の弱さや汚れを排したものだった。
慎導篤志の経歴というのは、ここまで見事に成功を続けてきたものだった。なぜなら、彼は神になろうとした人間だったからだ。彼は正義の遂行のためであれば、容赦なく手駒を切り捨てる。事実、彼はピースブレイカーをおびき出すために、ストロンスカヤ博士が殺される結果を招き、さらにピースブレイカーに潜入させていたワシリー・イグナトフを不幸にも自らの手で殺さなければならない事態をもたらした。
慎導篤志は汚れた正義の執行者なのだ。それを正義ために必要な経費と見るか、正義を名乗るには許されない罪と見るかは揺れ動く価値の上にある。しかし、それでも、彼の正義が完全なる潔白な善でないことは確かだ。
でも、だからといって、彼を以て人間を絶対なる悪と定義できるだろうか?
慎導篤志は神になろうとした人間なのだ。いや、厳密に言えば、神は絶対なる正義という価値観のことである。だから、正確に言えば、彼はこの世に神なる正義をもたらす預言者になろうとした。それが意味するのは、正義の相対性と、神の不完全さ。
慎導が切り捨てた手駒も見方を変えれば、正義のために命を懸けた殉教者と言える。それに、神なるシビュラシステムではジェネラルを信仰することで犯罪計数を偽るピースブレイカーという異教徒を裁くことができない。そして、この後に訪れる真実として、シビュラシステムの目の届かない犯罪者たちに東京は蹂躙されることになる。
だから、常守朱は人とシステムを共生を叫ぶのだ。そうでなければ、人は人が生きる価値を失ってしまう。だからこそ、法という人による正義の価値観が必要なのだと訴える。それが、彼女の正義の在り方なのだ。
シビュラシステムは今回の事件を、慎導たちがピースブレイカーによる海外での破壊活動を命じた結果として砺波の離反を引き起こしたと結論づけた。すべて迷える子羊たる人間たちが全てを招いたのだとした。
だから、常守朱はシビュラシステム・局長を撃ち殺した。そして、その神殺しの事実と、それでもなお犯罪計数を低く保ったことにより、彼女はシビュラシステムを公然と否定してみせた。常守朱という人間の正義の価値観によって、シビュラシステムという神に敵対することを選んだ。そして、彼女は「他人の悪を疑い、自分の正義を疑え」と戒め、人間らしく自分のやり方で正義を問えと残された人間たちに道を示した。
彼女が慎導篤志や砺波告善と決定的に異なるのは、正義も罪も自分自身で背負うことにある。彼女は決して人を駒として扱うことも、人に責任を転嫁することもない。自分で選んだ正義だからこそ、その代償も全て自分自身の身で受けようとする。それが神やAIに自分の行動原理も価値観も委ねはしないということであり、それこそが彼女の言う人間の生きる価値なのだと思う。
神を殺した彼女は牢獄に囚われ、泣き声を上げる。それは決して自らの選択を悔いているからということなんかではない。自分の正義に伴う責任も痛みも苦しみも、一人の人間として言い訳せずに背負ったからこそ、常守朱は人らしく涙を流すのだ。
「おかげで俺は幸せ」
周のその一言が表したことには、真昼の料理こそが彼に幸福をもたらしたということ以上のものがあった。
きっと真昼はこんな私でも、幸せを知らなかった私にも周を幸せにできるんだというそのことに、これ以上ない幸せを感じて身悶えていたんだと思う。私と彼だけの繋がり、それを示す淡くて愛おしい1ページだった。
本格農業系異世界スローライフアニメ、詰まる所は異世界DASH村ってとこかな
最初はヒラク一人から始まった生活拠点がだんだんと人が増えて大きくなって…、そして村となっていく様は見ていて楽しかった。それに村にやってくる人たちも種族や個性豊かで、それぞれがそれぞれの村での役割を担っていくのも村の発展に直結するもので、毎度毎度とおもしろかった。特に来る人来る人がとんでもない強者たちで、それに周囲の勢力がびびるというお決まりのパターンもスローな村の雰囲気のアクセントとなって楽しかった。
改めてこの大樹の村の暮らしを俯瞰するような回、やっぱり設定が緻密なだけにありありとこの村での暮らしが感じられるようで楽しい
そして、ルールーシーの子どもは一体誰の子なんだ………
真昼と真昼の父母の話
そもそも真昼の父と母は互いに愛し合ったわけではなく、真昼という子を産むつもりもなかった。だから、彼女はそうやって愛を知ることがなく、必要とされることのなかった。それが椎名真昼。
それでも、愛が欲しくて、報われないと分かっていても頑張ってしまう。その果ての姿が天使を演じる彼女だったように映る。だけど、それは本当の椎名真昼ではなく、みんなが求めるのはその天使を演じる椎名真昼のように感じて仕方なかった。
だから、たった一人、本当に自分を、可愛げがないところも好きだと言ってくれる周が、真昼にとって、ただ一人心から自分を解放できる相手となっていった。その告白が物語られた一話だった。
バレンタイン、真昼が周に贈ったのはオランジェット。そこに込められていたのは、「甘いものはあまり好きじゃない」という周の以前の言葉、真昼だけがそれを知っているという特別な味だった。
真昼にも分かった幸せの気持ち、それは家族との団らん。藤宮と彼の母と父と囲む食卓の味は真昼にとって初めてのものだった。
初詣で真昼が祈った平穏な日常が続くことというのは、こんな幸せの日常のことだったのかもしれない。