詐欺師が詐欺られるという刺激的な第一話!
単純に騙す側が騙されると言うだけでなく、序盤で枝村が採った手法がそのままやり返されているという構図には興奮してしまう
枝村はまず判りやすい詐欺を相手に看破させることで次の詐欺を成功させるという手法を採った
ローランも同様に財布の入れ替えという判りやすい事象を枝村に看破させることでその後の詐欺を成功させている
相手に「自分はちゃんと判っている」という過信を抱かせることで思い通りに動かしている
それらの手法はどこか舞台を演出しているかのよう
そう考えれば枝村が最後に吊り下げられたのがハリウッドの看板であったのはちょっと面白い
大掛かりな手法で枝村を騙しきったローランの目的は薬の売買だけなのか、それとも他に何か目的があるのか気になってしまうね
第一期で一番助けたかったエミリアを完全に助けたはずなのに、今度はレムを助けられなかったという無力感
しかも、今回は死に戻りしてもレムを助けられる時間まで戻れないことも有ってなおさら絶望感が凄いことに
以前は死に戻ればやり直しが出来、失ったものを取り戻すチャンスに巡り会えた。何度も失う事態に疲れてもレムが支えてくれた
今回はそのどちらも許されないわけだね
ならもう何も出来ないのかと言えば、そうではなく。この現状であっても何が出来るか判りやすく示していたのがクルシュとフェリックスの主従
記憶を喰われた事で以前のクルシュとは別人のようになってしまったクルシュ
これも一種の喪失であり、彼女の変わり果てた姿を見てフェリックスが同盟を解消しようとするのは何ら不思議なことではない
でも、それは論点をすり替えただけであり問題解決には役立たないし、クルシュの意志すら無視してしまう
記憶を失っても抗う道を選んだクルシュ
同様に記憶と意識を失い眠ったままであってもスバルに戦う意志を選ばせたレム
第二期は最初から袋小路に迷い込んだかのようにスバルは追い詰められている。けれど、レムを助ける意志は固めたし傍にはエミリアが居る。
まだ希望は失われていないと感じられる26話だった
元になった『崩壊3rd』という作品を全く知らないせいで登場する少女たちの関係性は全く判らないのだけど、それでもボルシチを作る中で垣間見えるブローニャとキアナの関係性
現在と過去を織り交ぜて二人の絆を描く手法は好み
ボルシチ作りの工程が非常に丁寧だった点も好印象
前回、アルテに迷いを生じさせたマティの言葉。それが今回では言葉の筋そのものは変わらなくても、アルテが持つ価値をきちんと捉え直した形になっている。
それがフィレンツェに戻るかヴェネツィアに残るかを迷うアルテの指針となったようだね
女性であり貴族であるのはアルテの価値である事は確か
でもそれだけじゃなくて画家としての実力もアルテの価値であり、それは更に伸ばすことが出来る
なら、ヴェネツィアですぐに一人前になるよりもフィレンツェで為すべき事を為す
それがアルテの選んだ道
もう一つアルテの価値であり魅力とも言えるのはその交友関係だね
最初は反発していたカタリーナとも今では友達で、フィレンツェで天井画に取り組んだ際も大勢の人がアルテの為に集まった
それは貴族だからとか女性だからとか、画家としての実力があるとは関係なくアルテの努力が実を結んだもの
描き上げた天井画はアルテをそのまま表しているかのよう
絵に込められた優しさ、ヴェネツィア風の装飾、そしてアルテに関わった人々を模した人物像。けれど、光への計算は未熟
レオと母に見せつけた今アルテに出来る渾身の絵
差別や偏見に負けず、自分の価値を見出したアルテがどのような画家かひと目で表す素晴らしい絵が出来上がったようだね