つまらない訳ではないけど「凄腕スパイ」と「コメディー」のバランスがうまく取れてなかった印象でした。
スパイといえば、抜け目ない・冷徹・完璧といった単語が連想されるけど、コメディーはその対極にあるわけで、コメディー展開のロイドにはちょっと違和感を感じたし、逆に真面目な展開になるとロイドの凄腕スパイっぽさが出るけど、話の勢いがトーンダウンするように感じ、ちぐはぐ感が拭えませんでした。
国の平和がかかったオペレーションが子供の成績頼りだったり、設定的にも疑問に思うところがあって、その違和感や疑問を打ち消すほどの勢いまではなかったように思います。
例えば「ロイドは三流スパイだけど、やる時はやる奴で、別の凄腕スパイが行う本命オペレーションのバックアップとしてオペレーションストリクスが実行されていた」みたいな設定で、ロイドがボロを出しながらもオペレーションを進めていくって感じのコメディに振り切った内容だったら、すんなり感情移入できたかもしれません。
チャンプルーは「混ぜこぜにしたもの」という意味があるらしく、その名の通り、おちゃらけてたり、シリアスだったり、ラップ取り入れてたりと各話でテイストがコロコロ変わっている。時代背景も基本は江戸時代だけど、「バイト」とか現代の言葉が出てきたりして、そういったところもチャンプルーたる所以の一つかもしれない。
何でもありな、ある意味潔さのある作品だと思う。深みのある考えさせられるアニメ、というより、殺陣シーンや奇抜さを楽しむアニメという感じ。
まあ、結局のところ1話冒頭で出てくる通り「ガタガタ言うな。黙って見やがれ」ということだろう。
一人ひとり個性的で、見ていて面白いんだけど、一話にいろいろ詰め込み過ぎてキャラクターの感情の変化が急変したように感じるシーンもあった。
キャラクターも増えたし、2クールかけてじっくりやっても良かったんじゃないかと思う。
一果が成長していく姿を巡る季節に合わせて丁寧に描かれていた作品だと思う。
特徴として「季節」を意識しているように感じられた。各話タイトルには季節を連想させる言葉が入っているし、OPのタイトル背景がストーリーの季節に合わせて変化したり、作中でも桜、蝉の鳴き声、夏祭り、ススキ、柚子搾り、ハロウィンやバレンタインといったイベント等々、目につくところに季節を感じさせるものが描かれているし、ホームページに至っては、桜の花びらが舞い落ちていて、これでもかと言うぐらい季節を意識させる作りになっている。
一果目線で季節とエピソードを見てみると
春(出会いの季節):和との出会い(和への感情:和菓子作りから逃げ出すような勝手な人)
夏(花火など活気のある季節):佳乃子との出会い。佳乃子と美弦の恋の鞘当てあい
秋(実りと収穫の季節):母との再会
冬(冷たい寒々しい季節):父との悲しい思い出
春(雪解けの季節):和とおでかけ(和への感情:お父さんと勘違いされても良い関係)
となっていて、こじつけかもしれないけど、一果の感情の変化が季節のイメージとリンクするようにエピソードが組み立てられているように思える。
テーマの一つでもある和菓子についても、季節を代表する和菓子がその由来や意味合いを挟みながらエピソードに花を添えている。
どこまで意図されているかわからないが、個人的には考えられた構成ではないかと思う。
各話の流れも、シリアスな中に上手くコミカルな展開が取り入れられていて、飽きのこないメリハリのある構成だったし、醸し出される空気感も個人的には非常に好みで、素晴らしい作品に仕上がっていると思う。