サービス開始日: 2021-04-30 (1742日目)
エルダのキャラ設定がめちゃくちゃ上手いなと思う。
この作品には二つの軸がある。一つは「月島の良さを伝える」という軸。もう一つは「巫女小糸と御神体エルダとのハートフル・コメディを展開する」という軸。そして驚くべきは、この二つの要件を「出不精で御神体のエルフ、エルダ」というキャラ設定一つで満たしてしまっていることである。前者は江戸から続く御神体としてのエルダにその説明の役割を担わせることで成功している。一方で後者もまた、エルフエルダの出不精という秀逸な設定があることで成立している。特にこの神様を出不精と捉える発想の転換がとにかくすごい。この設定が神道宗教という歴史的なものと、出不精、エルフといったある種現代的なものとの繋ぎこみの役割を果たしている。そしてこの「エルフの出不精」という設定は、それを解決する小糸との関係性の発展という可能性までも包含している。
まさに設定で成功が約束された作品。
手のひら返すようだけど、最後これならやっぱり私の11話を見た最初の感想を撤回する。
やろうとしてることは常に一貫してた。けど、欲をいえば、11話で母親が殺されたところでDaddiesの二人にはもっと葛藤して、悩んでほしかった。
バディダディ11話、一晩寝かせて改めて考えたら筋書き的には良かったのかもしれない。
この作品の良いところの一つは、旧来の形に縛られない家族観を(ファンタジーとして)展開しながら、子育てに必要なことであったり、苦労話が垣間見える面白さ。
一方でミリに目を向ければ、彼女自体は「輪るピングドラム」的に言えば、親の真っ当な愛情を受けてこなかった「運命」に選ばれなかった子供。(ここの母親の描写が中途半端だったのも上手く伝わらなかった理由だと思う)
ただ思えば、この母親の子を引き取りに戻ってきた動機も「死ぬ前になって大事なものに気づいた」という極めてエゴイスティックなものだったなと。(お前が死んだ後の子はどうなる?) これらを踏まえた上で、母親の死は一度育児放棄した者(関係することを諦めた者)に対する厳しい姿勢であり、それと同時に母-子という関係に縛られない別のかたちを提示したという解釈もできる。ただここは難しいところで、ミリが何を望んでいるかという問題もある。理想はミリに関わったもの全員が「関わり続ける」ことだが、それはあくまで理想の話。殺し屋側も母親側も元を辿れば、「まともな」関係ではない。
最初観た時に、ここ数話で変わろうとする母親の描写があったので、その母親を殺すなんてなんと報われないのだろう、と考えたが、そもそもそうした想定自体が何よりも「子供は血の繋がった『母親』に育てられるべき」という価値観に「私が」固執している証拠であった。
まとめると、筋書き自体は至って真っ当でリアリスティックであるが、殺し屋側の(血の繋がりのある母親を差し置いてまで)関わろうとする決意の描写が個人的にうまくいってないと思うという感想である。
12話が楽しみだ。