本当にスゴイ作品だった。男子フィギュアスケートという、アニメでは未踏の題材に挑み、これだけの作品を完成させたスタッフに、敬意を禁じ得ない。
第1話を見終わったときは、プログラム丸ごと描くなんてシリーズで3回も見られれば御の字と思っていたが、ほぼ毎話、しかも1話で複数のプログラムを見られるとは……スタッフ正気か!? どうやればこんなことが可能なのか、と呆然とする。
グランプリシリーズの結果だけを見れば、ユリオがシニアデビューの年にSPで歴代最高得点を叩き出してファイナルで優勝という、ユリオが主役と言っていいようなシリーズだったわけだけど、選手それぞれが主役のドラマがあったことは、本作を見た人ならみんな知っている。予想外だったけど、納得の着地点だと思う。
最終話を見終えて、満足感と寂しさが入り混じった、なんともいえない気分。
毎回、今日はどんなところへ連れていってくれるかな、とワクワクしながらTVの前に座った3ヶ月だった。やっぱりアニメって楽しい。
スタッフのみなさんに心から感謝を。
ヤヤカの変身きたあああ!!
と思ったらパピカとココナがさらに変身したあああ!?
ミミの「あなたが自分で選ぶの。あなたが進みたい世界を」という台詞の後、ココナの瞳に光が戻る前に、もう一つ、ココナはどうやって自分が進みたい世界を選んだのか、というステップがあって欲しかった。
このシーンこそが、ココナの内面のドラマの転換点のはずだが、そのステップがなかったために、ミミに言われたから選んだように見えなくもないのが惜しい。ココナの選択が、もっと心の深いところからの能動的な選択であったなら、さらにカタルシスが増したように思え、惜しい。
ともあれ、残すところあと1話。次回を楽しみに待ちたい。
手放しのハッピーエンドではないけれど、とても腑に落ちる、納得のいく最終話だった。
ヨーロッパ以外にレイラインは存在しないのか、レイラインが自然に復活することはないのか、というのはちょっと気になったけど。
イゼッタとゾフィーとのラストバトルは、「それを投げるか!?」という無茶な物の投げ合いで、最後に相応しいエスカレート具合。ゲーム「グラディウス」で言うオプション、ガンダムで言うファンネルを使った戦闘も、板野サーカス的快感があり、見応え十分だった。
シリーズ全体としては、こんなにメカアクションが充実した作品になるとは、全く予想していなかったので嬉しい驚き。スタッフの作品に対する真摯な視線が伝わってくる、見てよかったと思える作品だった。