I-1に負け再び窮地に陥ったWUGの再起は盛り上がったし、WUGの後輩であるランガの登場も物語に華を添えてくれたが、「少女たちの奮闘を描くために、大人の大半をアホか精神異常者にします」というのは前作から思っていたが違う気がする。
行動の根底にあるのが興味と自分勝手な願望の仮託である早坂はそういうキャラだからいいとしても、丹下が許されてるのは全く納得できない。
確かに丹下はWUGを幾度も助けてきたが、だからといって松田へのハラスメントや普段の横暴さが正当化されるわけではない。
ツンデレにしても度を越しているし、そもそもWUGの運転資金スッたことを未だに1ミクロンも謝ってねえからなこのBBA。
I-1をまるで軍隊と勘違いしているしているような白木のスタンスは相変わらずオーバーで現実という舞台から浮きまくっている。
終盤、WUGやI-1のカウンターパートとして登場したデジタルアイドル「マキナX」に実態が伴っておらず、マキナXがどのような強みを持ってWUGやI-1のパイを奪おうとしているのかが全く見えてこないのもシナリオ的には痛い。
劇場版でかわしたbvexとの契約はどうなったのか、という根本的なツッコミどころがあるのも辛いところ。
だが、一番の問題はやはり作画。2010年代のそれとは思えない乱れまくりの作画はアイドルアニメとしては致命的。
制作側の「もう無理」という悲鳴が聞こえてくるようで、怒りを通り越していたたまれなかった。
しかし、そうしたツッコミどころを加味しても7人の少女たちの復活劇には引き付けられる熱量があったし、
ライブでのアクシデントを乗り越えて「ファンと共に歩んでいくアイドル」という形でマキナXにない「強さ」を示したラストシーンは最終回にふさわしいものだった。
リアルのWUGは解散が決定したが、後輩であるランガがその後をついで、コンテンツとして存続することを祈るばかりである。
『ガルパン』で戦車戦にこだわりを見せた水島努らしい妥協なきレシプロ機の空戦バトルが非常に熱かった。自分はミリタリー方面には疎いので初見では何がすごいのかわかりにくいシーンもあったものの、後々解説を見るとどの機体のマニューバも実際の空戦に基づいたもので、それを踏まえて戦闘シーンを見るとさらに面白く、一粒で二度おいしい作品であった。ただしバトルシーンに文句はないものの、それ以外についてはせいぜい「中堅」に収まる作品、というのが最終的な評価。
まず、作品全体で不自然なまでに「死」という事象が画面から排除されていることが鼻についた。監督の前作『ガルパン』では、最初に「これは戦車道という武道です」という設定を提示することで、少女×戦車という本来ありえない取り合わせを無理なく実現したし、「戦車はスーパー超合金で出来てるから人死には出ません!」という大胆に割り切った設定のおかげで「戦いへの葛藤」をうまく回避できていた。しかしコトブキにはそういった工夫がなく「少女が兵器に乗って人殺しをやっている」という異常な状況が劇中で全く放置されている。
その上劇中で不自然なほど撃墜機や戦死者の描写が乏しく、まるで登場人物全員実際の戦場ではなく、シューティングゲームを楽しんでいるようにしか見えない。「死」と、殺人への葛藤を描くことから逃げているように思える。年長組のザラや「孤児院の維持」という明確な目的を持つレオナはともかく、外見も精神年齢も小学生なチカが敵機を撃墜して「やったー!」と喜んでいる姿にはどこか不気味さを感じてしまう。
最終的に「自由博愛連合vs反イサオ連合軍」という流れになるのも、オウニ商会にいまいちイサオとの因縁がないので盛り上がりが弱い。そりゃイサオはオウニ商会を騙して使ったし、コトブキ飛行隊的にはサブジ―・アレンの仇ではあるが、自由博愛連合がいかにして「独裁」をするのかが見えてこない上、サブジー殺害とアレン撃墜の一件はイサオの「僕がやったよ(要約)」というセリフだけで説明されてしまうため、コトブキ飛行隊と敵対する状況を作るために取ってつけた感は否めない。
つまらなくはない、むしろ面白かったのだが、こうした設定の甘さで完全にノリ切れなかった。『#ガルパン』は未視聴だが、あっちもこういうノリならノーサンキューかな…。