人間とアンドロイド、存在の境界を越えて思いの通じ合う場所で、切なさを纏う冷たさの裏に愛情を見つける物語。
アンドロイドが人に置き換わったりしないか、そもそも人が作り出し使役するモノが人のを超えてしまうのではないかという潜在的な恐怖と忌避が倫理という名の下に、人とアンドロイドを分断する世界。でもそれって、機械みたいに冷たいのは人の心じゃないの…?
アンドロイドの機体や命令に従えられた動作には人への想いが宿っている。彼らは家電じゃなくて家族。
一方通行の想いも理解ろうとしてみれば伝わってくるはず。例え相手がどんな形をしていても、信じることで彼らの想いは彼らだけじゃなくて私たちにとっても本物になる。
無機質な機体にだって暖かさも愛も宿る、そう信じてみたくなる物語。
ちさきが要の手から離れていってしまう描写と要の焦燥感がすごく丁寧に描かれていて、なんだかこっちまで苦しくなってしまいそうだった
誰にも見せたくない膝の呪いを要だけでなく紡にも見せたこと
紡だけは地上の子の中でもちさきを認めてくれること
海神様と生贄の子孫たちと海を捨てた子たち
アバンのインパクトがすごかったから、てっきり出会ってはいけない彼らとの遭逢の話かと思ったけど、そこはもうそういう世界観が出来上がっているのねって二重に意外だった
エリスの大人になっていく過程
自分がどういう身分か弁えて受け入れて…、あの一夜はそうやって子どもが大人になるための儀式だよね
そして、ルーデウスにとってはエリスが去ったことだけではなく、妹分のような彼女がいつの間にか子どもでなくなっていることへの寂寥があったんだろうなぁ
むせび泣くルーデウスは反動でまるで子どものように映る