何が正義を正義と足らしめるのか、恣意的な人の意思なのか客観的な科学なのか
清廉で潔白で正しい社会の実現したこの社会でいつの間にか人の手から離れていってしまった不安定な自らの意思や選択の尊さを感じさせられた
たとえそれが間違っていても自分の責任である限り、それが自分の人生を本当に形作るものである
それが確かならば、社会の中でどこに進めばいいのか分からずにただ漂う孤独に陥ることなく、自分の居場所やあるべき姿をしっかりとその手に握り締めることができるのだと強く印象付けられた
すこーしテンポが緩慢な感じがしなくもないとこもあったけれど、躊躇のない凄惨で残虐な描写は時に感情を鋭く突き刺すようで印象強かった
誰もがシビュラシステムとの対話、いやそれ以下の神託を受けるだけの孤独な社会の中で、狡噛と槙島はお互いに唯一の存在だったのかもしれない
システムの統治する社会と人の意思が選ぶ社会との間で葛藤を抱える朱をシビュラシステムも理想と捉え、きっと社会もそのように徐々に人ののものへと却っていくのかもしれない
エピローグの先輩監視官としての朱がすごいカッコよかったし頼もしかった
大切なものを当たり前だと慣れきった社会、それはシビュラシステム下の社会でもあるし、人が自ら選択して生きていた社会でもある
自分の意志や葛藤という生きる本質から逃げ出して、自分への責任を全てシビュラシステムに放棄した人間たち…
そんなものは間違っていると信じる槙島と朱だけど
朱にはそんな人間にも生きる価値がある、正しく生き直す理由があると信じてる
ゴブリン呼ばわりと脱法エルフ呼ばわり好きすぎ
いつも以上にアルヴィンのカーラへの当たりが強いしキレッキレで良かった
ある意味でレッテル貼りのようなプロファイリングの結果、治安維持への信頼が失われ暴動に……
ロサンゼルス暴動のドキュメンタリーで見たみたいな光景…
シビュラシステムの正しさよりもそれが正しいという認識の方が正しい、社会システムとしては確かに正しくもあるけれど、そこには宗教のような危うさを感じるなぁ…
純粋でプラトニックな中学生の恋が本当に良かった
最後がキスとかじゃなくて手を繋いで終わるのが本当に好き
あと、友だちの恋のために泣いちゃう子とか、人の惚れた腫れたをあげつらう男子とかが高校生の恋愛にはない要素がとても良かった。継母や実母との関係というのも個人的には好きな要素だったし、思春期の不安定な心に揺らぎをもたらすものとしても良かった。
日之出に想いが伝わらない美代は猫になることで彼から愛されることができる、猫になれば思いのままの新しい自分になれたような気がする。
だけど、猫でいる限りその関係は本物じゃないし、繋がりの間に壁がある。だからせっかく愛されてるのに嫌われたくないからと、自分が猫だと言いたくても言えなくなってしまう。
でもそこには猫の仮面をつけている限りは自分の気持ちばかり人に押し付けている自分がいて、だから例え本当は想いが通じ合ってても通じあえなくなってしまう。
ちゃんと向き合ってみんなの気持ちに応えて、好きって言われたいだけじゃなくて、好きって伝えたい気持ちが二人を結びつける、って感じ。