エピソードとしてのまとまりはいい。が、田舎における駅の位置付けについては、引っかかるところがなくはない。
早苗は「駅は街の玄関。そしてそこに暮らす人達のランドマーク的存在」と言うが、自分の実感とはズレがある。自分が子供の頃(ン十年前)、地元の駅も確かにそうだったが、移動手段の中心が鉄道やバスといった公共交通機関から自家用車へと移行するにつれ、みるみるうちに寂れていった。商店が集まる場所も、駅からロードサイドへと移った。地元民にとって、駅はもはや街の中心ではない。
だが、自分のように普段車に乗らない人間にとっては、駅が街の玄関であるのも確か。旅行先で降りた駅が寂れていると、少なくとも「歓迎されている」とは感じ難い。
さらに言えば、田舎においては駅どころか鉄道の存続自体が危うかったりする。今回のいかきぼ計画は駅の存続が大前提なんだけど、たぶん現実だとその大前提自体が危うかったりするんだろうなあ。
由乃達が考えた間野山彫刻の振興策に否定的な一志や商店会会長を見ていて、かつて自ら敷居を高く間口を狭くしてやがて衰退していったSF界(個人の見方です)を思い出した。
自分は観光協会会長の考え方に近いかなあ。保護されるようになったら文化としては末期だと思う。アニメはまだ保護を必要としていないけれど、それは産業として成り立っているから。産業として成り立つくらいには求める人がいる、というのは大衆文化として大事なことだと思う。
早苗は、自分にしかできない仕事ではなかったこと、自分は替えのきく存在であったことを思い知ってショックを受けていたが、それってそんなにネガティブなことかな?
組織として見た場合、特定の一人にしかできない仕事がある、その人がいなくなったら仕事が回らない、というのはむしろ避けるべきことで。自分の代わりを務められる人がいれば、安心して休んだり辞めたりできるですよ?