今回は年少者を見守る年長者の視線を幾つも感じる回だったな
その最たる例がアドルフか。既に長い時を生きているのにそれと感じさせない振る舞いをしつつ、時には年少者を導く発言をする
年少者達はそういった年長者の言葉を頼りに道を歩んでいくのだろうと感じられたよ
生きた年月的にはエリアスの方が遥かに上なんだろうけど、感情や感性に鈍い彼は人間に学ばなければならない事ばかり
普段はチセ相手の問答も、より人を知っているアドルフ相手に行われたりする事も有るわけか。アドルフもそれを理解しているから、自分の出生なんて踏み込んだ話を敢えてしたのだろうね
それはエリアスにとってまた一つ学びとなる
アドルフの姿勢の特殊性はレンフレッドを前にすると尚目立つね
アリスへの過ぎた言葉で弱る彼の愚痴相手になる姿勢は年長者そのもの。けどアドルフはレンフレッドの後輩として振る舞いたがる
それは重ね行く年月を認めたがらないようにも見えるし、もしくはわざとらしく年少っぽく振る舞う事で幼さを自分の中に留めようとしているかのよう
温かみのある関係性が幾つも描かれていただけに、フィロメラの実家環境は驚き
本人を前に堂々とした陰口、孫娘と相対していると到底思えない祖母の振る舞い
どれもがフィロメラに安寧を齎す場所とは感じられないものであり、同時にフィロメラはあの場所で子供として扱われていないのだと察せられるね…
自らが慕う者の為に出来る事を重ねる面々の姿が目立った印象
邪魔役となるアヌビスだって王や国の為を想ってサリフィにキツく当たる。けど、サリフィだってレオを想って挑戦している
自分の為ではなく他人の為だから譲れない、衝突する。でもそれによってレオを悲しませたら本末転倒なわけで
サリフィが挑戦した聖獣召喚はサリフィが挫けそうになるくらい厳しいもの。なら見守る側にとっては更に辛いものになる
そこでサリフィが立ち返って自分を慕うレオの想いに気付けた流れは良かったね
だから難儀な筈の召喚が成功する展開に納得感が生まれる
ベンヌの件も同じかな
慕われる存在であると証明する為の飛翔。最初の羽ばたきをするにはまず自分がサリフィに慕われていると、想われていると知る事から始まる
それでも抜け殻である彼には難しかった筈の飛翔がサリフィの飛翔で成功した事実、それはベンヌもまた彼女を慕い始めたのだと伝わってきたよ
童話めいた話にクラクラしてしまう面はあれど、小春という女の子が何に憧れ、何を大事にしているかが見えたような
親から愛され人をにこやかにし、ヒョウ君からもきっと大事に想われている。その時点で彼女は特別でお姫様のような少女。でも今の小春はそれを否定するんだね
彼女が頻繁に迷子になるのは惹かれるものが多いからかな。だからふわふわと歩き回ってしまう
蝶を追って歩き彷徨うだけに留まらず、小動物達にアイドル仲間の面影を見る。彼女を普通の少女の枠で捉えるのは難しい
なんてったって夢はお姫様だし
だとしたら、そんな小春を助けるナイト役が必要で、それがヒョウ君になるのか
小動物達が小春を慰める間にヒョウ君がPを誘導するとか童話感が強すぎて本当にクラクラするんだけど、だからこそ小春がどのようなお姫様になりたいか、そして目指すシンデレラ像がはっきり見えてくる描写だったとも言えるのかな?
四人同時に首を切っても死なない喜怒哀楽鬼、鬼化している玄弥と絶望度合いは高い筈なのに、一瞬にしてコメディに変えられる炭治郎は強いなぁ(笑)
暴走して可怪しくない状態になりつつ有る玄弥が、だからこそ炭治郎の言葉に耳を傾けられるし、それが後に彼の行動を変えるきっかけになる
敵の方もコメディ入っているのはどういう偶然か
強力無比な喜怒哀楽鬼の本体は小人鬼。笑えるような事態でも打開策が無いという意味では積みも同じ。笑いは転瞬の間に絶望へ
この構図は玄弥の過去も同様か。兄と支え合い希望有る家族を守っていけると約束した矢先に絶望に叩き落された
玄弥は無力で気付かないままだったから絶望に負けた
対して炭治郎は彼の気質により絶望をコメディに変えた。状況を変えられるなら諦めてはいけない。変えちゃいけない望みの為に変えなければならない
鬼に勝つ為に炭治郎に譲った玄弥の姿は雄々しいね
誰にとっても難しさは有るコミュニケーションの齟齬を恋人関係のものとせず、一旦仕事上の躓きとして扱った上でその後に家族や恋人の温もりによってそれを丁寧に解かしていく流れにはほっこりとするね
本作は話に派手さは無いからこそ、落ち着いた話運びに安堵感を得られるよ
絵柄の違いで仕事が取れないというのは経験の浅いしおりには対処の難しい話。おまけに姫だった過去も邪魔となっているかもしれない
その意味では焼肉屋が初めてというのも新たな齟齬を生むかもしれない土壌
けど、まち達が初めてだらけの彼女を優しく受け容れているからしおりの齟齬は苦いものではなく美味しいものになる
一郎がしおりへの言葉に迷った挙げ句、手紙すら掛けず最終的に80ページの漫画を書いてしまうのも実はディスコミュニケーションなのだけど、少しズレている者同士だから逆に温かな交流となるわけだ
又、仕事の件は佐野の方に齟齬があったと判るラストは良いね。齟齬が解消された後には幸福が待っている。そう思えたよ
サリフィもレオも互いに魅せられて結びついた二人だけど、レオは王の立場。恋愛感情だけで全てを決められる訳では無いし、レオに近づく女性も恋愛感情からではない
だからこそ、レオは自分の意志で見初めたサリフィだけを望むし、そのサリフィが側室を勧めるを良しと出来なかったのだろうね
いわば朝食の席は政治劇の現場。それを理解しないサリフィはアミト姫の面倒を見る程
でもアミトもアミトで政治を意識しつつヨルムンガンドへの慕情も併せ持つ
姫君達の政治は理解できないサリフィでも誰かを思うアミトの気持ちは理解できる
それを基に踏み出せる
それこそがレオに最も届く行動原理でありビビアンを恐慌させるもの
そしてビビアンの自分本意な感情は、他人を想うレオを想うサリフィの心を呼び覚ます
まだ明確に己の感情を定義付け出来ていないようだけど、それでもサリフィはレオの隣りに居ると決めた
それはとても大きな一歩だろうね
それにしてもアミト姫の顔がインパクト有りすぎて……。サリフィとも親しくしてくれるし、本当に良い子なんですけどね(笑)
でもマンドラゴラのスコーンとかちょっと怖すぎて口にできる気が起きないな。悲鳴を上げるスコーンって何だ(笑)
アイドルを志す梨沙とサッカーを好む晴の対比で見るから梨沙を女性的、晴を男性的と見そうになるけど、本質はもっと深い部分の個性や人格に関する差が二人には有ったのかな
けど、それは決して対立するものではないから、それぞれの言語を介する事で最終的にステージに並び立てたのだろうね
性差による違いではなく個性による言語の違いが判り易く生じたのはバックダンサーを語る晴とPのシーンかな
サッカーとアイドルに喩える二人は通じ合っていると思えるけど、異なる言語で話しているならどうしたって擦れ違いは起きる
だから晴とPは衣装に関する懸念が抜け落ちていた
男子に混ざりサッカーをしスカートを受け付けない晴。それは男っぽいからではなく、結城晴という少女のアイデンティティが受け付けないという話。また自分の意志でアイドルになった訳では無いという納得不足も関わっていたのかな
異なる言語の為に梨沙と衝突し、サッカーなら語れる晴が納得出来る環境作り、それが観戦よりもプレーという話だったのかな
又、Pも晴に近づく為に敢えてスカートを履いて踊るという奇行にも出てる
スカートが本当に似合わない人が履いたらどうなるかを見た晴が着たのはスパッツという折衷案。梨沙とは違うけど、限りなく近い姿
そして異なる人格を持っていた晴と梨沙は「キックオフ」という言語で結び付いた
そのような二人が後ろから練り上げたステージはLiPPSの実力も有れど、素晴らしいものだったよ
前々回にてエリアスがチセに求めたのが恋愛や家族的な意味での「嫁」ではなく、一緒に居る理由付けである点が示されたからか今回は言葉の意味に迫る描写がチラホラと
「嫁」だから一緒に居るのか、一緒に居るから「嫁」なのか。究極的にはどちらでも良い謎掛け。それでも相手との関係性に名前があるのは意外と嬉しいものなんだろうね
素直に「友達」と言えないチセとアリスにサイモンが煙に巻くような言葉を通じて友達と言わせるのは良いね。年長者の貫禄を感じさせる
傍から見れば特定の言葉でしか表現できない関係性でも当事者が明言するのは難しかったり、気後れしてしまう場合がある
だから別の視点を持つ者が言及するのが大事だったりするわけだ
ただ、それが宜しくない関係もあって、それがアリスとレンフレッドの場合かな
「魔術師と護り手」か「養父と娘」か。どちらの言葉であってもアリスには不満足。またレンフレッドはアリスを「娘」という言葉で縛る事で何かを制限しているような…
二人は言葉がある事で逆に息苦しさを感じているように思えてしまうよ。だからこそアリスの負けん気に感銘を受けるのだけど
逆にチセとエリアスは言葉で始まった関係なだけに、その時の言葉は正しかったのか、今の関係を表す言葉は有るのかという点を丁寧に考えているね
相手を縛る為に使った「嫁」という言葉、正確な意味で使ったわけではないから嘘のように思えて、言葉に釣られて関係まで嘘ではないかと不安になってしまう
だから言葉以上の感情が必要になったのだろうね
以前の言葉は言葉として残しつつも、一緒に居られる感情に従って言葉を新しく定義する
不器用で人として未成熟な二人だからこそ、そうやって段階を踏んで自分達が一緒に居る今を肯定する
チセとエリアスの触れ合いはじれったいからこそ、見ている者を温かい気持ちにさせてくれるよ
上弦の鬼に刀鍛冶の里が襲われ、半天狗や玉壺は炭治郎達に襲いかかる危機的状況は変わらないままに甘露寺蜜璃が参戦したことで幾らか安心感が生じたね
又、里の者達もただ助けられるだけでなく、自分達も戦い他のものを助けようとしていた
そういった助け合いによる力強さを感じる回だったかな
炭治郎からの親切、そしてお館様の言葉によって自分の行動を変えた無一郎。炭治郎からの更なる気遣いを知った事でより自分の行動を変えたようで
子鉄を助ける際には散々悩んだのに、千本針魚殺の際は躊躇なく己の体を盾とした
彼はピンチに陥っているけど、その変化が彼を助けるのではないかと思えるよ
炭治郎と禰豆子は互いに助け合う様相
炭治郎が気絶する間は禰豆子が背負い、禰豆子が気絶すれば炭治郎が背負う
だから半天狗攻略の鍵となる赫刀も二人で生み出す
互いを助け合う兄妹愛が生んだ素晴らしいヒノカミ神楽だったね
ターフを駆けるウマ娘達の姿に観衆は歓喜を覚えるわけで
その勇姿はまさしく輝き。なら全身全力で自分らしい走りを完遂した時こそ、最も華々しい輝きが放たれるのかもしれない
だからこそ、トプロやオペラオーの輝きにアヤベも引っ張られたのかな?
アヤベ達に勝つ為に自分らしさを捨てようとしたトプロがオペラオーの真っ直ぐな輝きに感化されて、自分の走りに回帰する流れは良いね
そうして光の下に改めて立った彼女だからこそ、暗闇に落ちていきそうなアヤベの手を引き止められた。彼女を光の下に戻れる可能性を残した
でも、他人から幾ら輝きを与えられようが結局は自分で光を取り戻さないと自分らしい輝きは戻ってこない
その最後のピースが亡き妹からのメッセージか…
勝手に不幸だと決めつけていた妹から幸福を願われた。それと同調するトプロの言葉
だからアヤベも走りを取り戻せたのかな?
そう考えると徹頭徹尾輝きを失わなかったオペラオーって凄いなと思いつつ、自分らしい走りと輝きを掲げアヤベも光の下に戻したトプロが栄光を手にする展開は納得
ラスト、忘れてたウイニングライブとうまぴょいにずっこけてしまったものの、良い作品を見られたという充足感を得られたよ
サブタイトルがストレートにEP内容を示しているね……
譲れない大切なものが互いに有る。相手に譲れないなら相手を負かして自分の大切を通す他無い
決闘システムの根幹に回帰するような激烈な対立構造でしたよ……
プロスペラの企みを知り、過去の因縁を知ったミオリネから見ればスレッタは囚われの姫君
騎士として救おうとすれば、その境遇から解き放つのが最適。序盤の関係から見事に逆転しているね
当時のスレッタにはガンダムという剣があった。剣を持たないミオリネが使える武器といえば騙し討ちだけ…
スレッタに囚われの姫君のつもりはない。むしろ騎士として大切なミオリネを守ろうとしている。その時点で二人は衝突している
本来、衝突回避の為には片方が大切さの順序を譲る事が肝要
例えば、グエルの恋心はスレッタに届かなかったが、グエルが他を一番の大切とした事で無用な衝突は回避された
スレッタはミオリネを大切としつつ彼女を一番と出来ていない。母の要求なら無茶でも呑むのに、ミオリネの要求は呑めなかった
だから、ミオリネが大切なスレッタを守る為には彼女の意思を無視してスレッタの心を折り、エアリアルを取り上げるしか無かったわけだ
結果、他を大切と出来たグエルはジェタークの皆の応援でトラウマを乗り越え一刀を振るえた
対して大切の順序を譲れなかったスレッタは、大切なものの為に大切なものを壊す決断をしたミオリネに負けてしまった
ラスト、スレッタにとって本物の試練が始まるのだと感じられる叫びでしたよ……
恋人になっての初デート!…に該当する筈だけど、幼いまちとふみおが居る事で家族旅行の体を成しているのは面白いね
恋仲となった若い二人だけの時間が阻害される形。けど、どちらもまちとふみおを邪険にしない。むしろ4人で居る事で彼ららしい温かみが形成されていたね
それでもしおりの方には一郎に触れ合いたいという欲が見え隠れしていたね
一郎の両手が塞がっていると残念がるが、ここでしおりを優先するようでは好きになった一郎ではなくなる
だから彼女が申し出たのが一郎の時間を分けて欲しいとの願いか
彼を家族から切り取りたいわけじゃない。まちとふみおを一番に考える一郎が欲しい
そういった欲求が高まりすぎて、彼のうなじを触りたがるしおりの図は面白かったけども(笑)
欲求のせいで「どこを好きになったのか?」という当初の疑問が捨て置かれてしまうような、しおりの天然さに癒されるし、しおりの欲を受け止める一郎の優しさにほんわかしてしまうね
集団生活特有の軋轢や衝突がはっきり生じた回。ただ、ここはカレッジだから各生徒の個性には魔術的な特性や家格的な因縁が絡む
それは当事者には大変なんだろうけど、傍目には賑やかな様相。けど、今回ゾーイとルーシーに生じた諍いはもっと単純な人間関係の問題だったのかな
ルーシーはチセとの遣り取りに現れるように直截な言動は彼女の飾らない性格を端的に示しているけど、それは相手によっては不要な傷を呼び込むもの
チセ相手ならチセの態度により問題とならなくても、ゾーイのように特別な事情があれば想定外の問題を生んでしまう
ルーシーは過度に人と関わらないから、距離感を間違えてしまった
対してゾーイも似たような罪を持っていたね
特殊な生まれから自分の秘密を隠し、その過程で察したチセへの違和感から彼女を過度に遠ざけてしまった
そうすればチセは不安になるし、その態度に苛つく者だって出る
だからルーシーやゾーイに必要だったのは互いの腹を割って話し合う事だったわけで
ゾーイの特殊性が忌避に繋がらないのは偏にあそこが特殊な人間ばかり集ったカレッジだった点とチセの方が余程特殊な事情を抱えていた為か
故郷では嫌な想いをしたゾーイも、カレッジでは特殊性の渦に呑み込まれる。頭の蛇を美しいと言ってくれる人に出会える
集団生活だからこそ、自分を過度に隠すよりも打ち明ける方が受け容れて貰える可能性が高まる
だとしたら、今回の一件を経ても自分の事情を話さい為に壁を残し、これからも軋轢が生じそうなルーシーやフィロメラは気になるね
また、メインにはならなかったがセント=ジョージの二人や<七つの盾>等、まだまだ視聴者に明らかになっていない各々の事情を思えばこれからも本作は楽しめそうだと思えるね
これまで人の信仰を誘導する形でミタマの力を増幅させてきた征人
そんな彼が信じていたものが足元から崩れるような展開にはゾクゾクするね
かといって、そこでやられっぱなしにならず、反撃の糸口を探す彼の姿は格好いい
対するロキはその名が示す通りにトリックスター的な人物か
幻覚で人を騙し、偽神の凋落を画策する
だからこそ、そんな人物に征人が一杯食わせるべく彼の想定を超える道を選んだ事でこれから始まるだろう競争劇に期待してしまうね
お洒落に注力し『好きな人』を明確に持つ梨沙は小学生ながらに大人びた少女かな
彼女は目標が明確だから自分の遣り方やチャンスの掴み方を確立している。けど、それが逆に彼女自身の可能性を縮めているような印象を受けた前半だったよ
日焼けNGだからと同年代との遊びを拒み、映画主役のオーディションと聞けば詳細を聞かずに快諾…
その意味では主役としては不合格としつつ、友達役を代わりに提示した大人達は梨沙に新たな可能性を与えている
Pも自分より大人な存在から新たな道を受け取っているね。梨沙を子供ではなく一人の人間として扱う方法
でも新たな道を歩むなんて簡単ではないから不安は避けられない
従前の遣り方で行き詰まってしまった梨沙とPは新たな道の模索は共に向き合う形で
Pは道の進み方を判っている訳では無いからまともなアドバイスが出来ないが、だからこそ等身大の視点で彼女と一緒に悩める。梨沙も不安感を吐露し、Pを信頼出来る相手と見定められる
そうした梨沙が進むは新たな道ばかり
ライバルと思っていた仲間に相談、普段と様変わりした姿、励まされる役柄
以前と全く違う新たな姿。そこにPが梨沙らしさを残すアクセを用意していたのはナイスだったな
ラスト、誰も想像しなかった道を野望として掲げてみせた梨沙の大物感にやられてしまったよ(笑)
魔族を勉強する前半部、人間を勉強する後半部に分かれていた印象
サリフィは街の様子から魔族と人間の共通項を見出しているね
魔族も人間も異物を恐れるのは同じ。だから両者から異物と扱われるサリフィは排斥されてしまうと…
その哀しさが有り余る程に描かれていたよ
魔族も人間もサリフィの正体を知る前は優しさと温もりに満ちていたのに異物と知り一変した
反面、相手の正体や異質さを知っても態度を変えなかったのがサリフィとレオの組み合わせ
魔族の世界において瘴気で弱るのは異物の証。だからサリフィは捨てられたと思ってしまった
でもレオだって瘴気がなければ姿を保てない異物。排斥する理由はない
サリフィが貰った指輪は瘴気という異質に少しずつ慣れていくためのもの。いきなり全てに迎合するのではなく少しずつの変質
また、サリフィが魔族の国を勉強し始めた点を併せて考えれば、今後時間をかけて彼女が魔族を受け容れ、また魔族から受け容れられていくのだろうと想像できた回だったよ
前回はトプロやアヤベが身を置く環境を支えであり負荷であると感じたけど、今回はその傾向がより強く見えたな
トプロは敗北で支えを負荷と感じてしまった。アヤベは負荷を罰と扱い更に力とした
二人の向かう先は対称的である故にライバルとして成立している
過負荷にも程があるトプロの追い込み。それは自分を信じる者達に応えられる自分にならなければという焦りの現れ
でもそれは本当の意味で信頼に応える動きではないんだよね。見えない期待ばかり追っては体が重くなるばかり
その意味では見える期待に回帰させたトレーナーは有能だね
対してアヤベはまさかの方向性…
勝負を楽しむなんて何も間違いではないのだけど、喪った者を支えにしてきた彼女だから得る事を否定してしまう。走る未来を失う自分に安堵を覚えてしまう
暗闇に落ちそうなアヤベをトプロやオペラオーは果たして引き上げられるのだろうか?
トプロやアヤベが迷う横で負荷とか支えとか些細な問題だと言わんばかりのオペラオーが癒やし
サイダーが顔に掛かった事をケチが付いたと考えず、箔が付いたと考える彼女は本物の王者だよ
敵が無限に分裂しそうだとか、子鉄達を助けるのは正しいのか?とか、考え過ぎても考えなくても正しい答えを出すのが難しい状況
必要なのは間違いの無い考えのもとに適切な答えを出すこと
その点を無一郎も炭治郎も巧く遣れているね
命を削り取られるような限界ギリギリの戦い、普通なら思考停止に陥りそうな境界で敵の戦い方や傾向を適切に見抜く炭治郎は流石
それでも何もかも見抜くまで待ってから攻勢を仕掛けているのではなく、時には考えを切り上げてタイミングに合わせている
だから半天狗の考えを上回れる
対して幾ら考えても正体が見えないような禰豆子や玄弥の特殊体質が半天狗に焦りと恐慌を齎すのは面白い
考えなければ答えは出ない。一方で戦いの中では命を諦めた時点で戦いは終わる
考える炭治郎と考えさせる禰豆子や玄弥。その組み合わせは意外な強さを生みそうだ
親子や家族の繋がり、総裁選…。そういったしがらみが前面に押し出された事で子供の側から見た世界の閉塞性も強調されたような
デリングの罪によりプロスペラは多くを喪い復讐に奔った。けどそうならなければスレッタとミオリネは出会えなかったわけか……
エアリアルの成り立ちやテロ騒動の根幹、ベネリットグループ…。それら全ては過去の何かしらから今に至るもの
しがらみはあまりに雁字搦めになっていて子供の力ではどうにも出来ない。過去から通じて支配者の側に立つ者が有利な構図
その意味では子供が支配者に成れる総裁選は分水嶺となり得るか
しがらみの輪は一方で仲間意識を形作るものでも有るね
サビーナがニカを勧誘したのは同じ曰くを持つから
ラウダやペトラがグエルの帰還に安心したのはジェタークを支える家族だから
チュチュ達がミオリネの周りに集まるのは彼女を仲間と認めているから
スレッタに自分の過ちを謝り、彼女の価値観に向き合おうとしたミオリネに突き付けられたのはどうしようもない隔絶、同じ価値観を有していないとの疎外感
むしろミオリネはプロスペラに通じるしがらみを有しているのかな
二人は支配者の側に立つ人間
プロスペラが過去に囚われているように、ミオリネの出自は過去に関連している
ミオリネがデリングの功罪を否定するなら、今のミオリネを否定する事になる。ミオリネが目指せるのはきっと罪というしがらみの先にある未来
総裁選は物語の焦点となりそうだ
晴れを待たないもしくは晴れを自ら呼び寄せようとするしおりや一郎達の振る舞いは素晴らしいものだね
本当は動物園に行きたかった、本当はタロットが壊れて悲しい
子供が見せた利口さに対し、大人二人の対応はとても息のあったものだったよ
動物園やタロットが台無しになった際にふみおとまちが見せたのは我慢
確かに待っていればいつか叶う、報われる日は来るかもしれない。でも今日という日を我慢して過ごせばそれは楽しいと言えないわけで
ハレを率先して作り出す一郎としおりはとても素敵
一郎としおりのハレはまち達だけに向けられるものではないね
一郎はしおりに漫画家を勧め、しおりは罰から逃れる為に自身を騙すよう勧める
大切な人にハレを与えられる二人だから、お似合いじゃないなんて有り得なくて
慎重に過ぎる一郎の断り文句。だからこそ、慎重さとか正直さとか超えた先にあった一郎の告白が本能レベルのものだと感じられる素敵なワンシーンだったよ
今に辿り着く道、これから辿るべき道。エリアスとチセが別々の場所でエリアスの過去を知る者と歩んだ道を語る事で見えてくる今を形作る構成要素
一人の存在として色々不出来なエリアスが今の人格を形成した背景、チセが自分を壊さない遣り方を探し始めた背景。それらが見える回だったね
幾度かに亘って過去を語られてきたエリアス。けど今回の話を経ても彼の全貌は見えないまま
それでもチセにとってエリアスがどのように現在の形に成ったか知れたのは大きい意味を持つようで
今のチセに「嫁」は大きな意味を持たない。代わりにラハブの模倣から始まった彼と今を楽しく過ごしている。彼の傍でチセは生きている
そんなエリアスを育てたラハブにチセは助けられたと言えなくもないわけで
チセの感謝以上にラハブが救われたと思えたのはエリアスが自分の手元に居た頃以上に成長しチセと暮らせるようになった点なんだろうなぁ
今のエリアスは不器用でも人間と暮らせている。だからその中で不器用な生き方をしているチセを案じて彼女を試練を課しているわけだ
エリアスが歩んできた道の先でチセと出逢って、二人の道が交わる事で二人の人生は変わって…
でも道を歩む中で別の道を歩む者と入り交じるなんてある意味当然の話。だとしたらカレッジで日々を過ごす中でチセと関わりと持つ事で道の形が変わりそうな少年少女たちにこれからどのような変化が起きるのか楽しみに思えてくるね