幾つも有ったはずの空白はあっと言う間に埋められて、スタンプカードは遂に完成
と、同時にスタンプラリーの裏が明かされる展開
風変わりな場所ばかり巡ると思っていたら、そういった事情がありましたか
全ては山梨県民になったばかりのなでしこに山梨の良い所を沢山知って貰い、梨っ子にする為のちょっとした計画だったわけだね
このラリーを通してなでしこは充分に山梨の良い所や楽しい所を知れたんじゃなかろうか?
次回はへやキャンなのにキャンプに行ってしまうのかな?それはそれで有りな気もするし、いつものように野クルのメンツで駄弁っているだけでも満足な気もするし
何はともあれ、ラストはなでしことリンの会話で締めて欲しいかも
鋼人を倒すために手練手管の限りを尽くし虚構を組み上げる琴子
前回は紗季を思わせる女性警官を犯人に仕立て上げたと思ったら、今回は亡霊説に変質者説と無軌道ぶりが目につく
それでも琴子は解決を披露し続ける
通常の推理モノにおいて名探偵は皆が気付いていない真相を掘り当てるのが役目
本作に於いても琴子は皆が想像もしていなかった虚構を次々と披露していく
振り子殺人も亡霊説も変質者犯人説も無理のある虚構。けれど、推論の組み立てそのものは説得力が有る
だから皆思わず傾聴してしまうし、虚構に穴があれば批判の声も上げる
名探偵の言葉は人に聞いて貰わねば意味がない。だから琴子も怪異が存在しないという虚構を信じ込ませるために、信じられる可能性が高い物語を披露する
議会は六花が支配しているけど、流れは完全に琴子に来ている
琴子の解決はどれも最後には否決されてしまったけど、どの解決に於いても「それは確かに有り得そうかも」という部分を含んでいる
解決そのものが否決されても、鋼人の動きに影響を与えているのは解決を聞いた大衆の心に影響を与えているからだね
名探偵の言葉は少しずつ大衆を納得させ始めている
琴子は4つの解決を組みあげた。けれど、ここまで披露した解決は議会を席巻できていない。
泣いても笑っても次に披露されるのが最後の解決。次回、大衆や視聴者は琴子の虚構に果たして納得させられてしまうのか?
その瞬間が待ち遠しいね
冒頭から髪を短くしたすずの姿はインパクトが大
これは想いを伝え、みさが居なくなったことで過去の想いに区切りをつけた証なのだろうか……
あと、もしかしてだけど、桜先輩とモンロー先輩は同居してるの……?とても気になりますよ?
新生地学部の活動が始まる第10話
モンロー先輩達が去り、みら達が先輩になる事でこれまでと異なる視点で部の事を考える必要が出てくる。部の存続や新部員のこと等々
特に明確すぎる程にやりたいことを持っている七海が志向している気象分野に対応できるのか、そして彼女が掲げる目標を叶えてやれるのかと悩むイノ先輩の姿が印象的
部長になった事でイノ先輩の視点も変わってくる
七海は生真面目な性格だけでなくシリアスな背景を持っている
洪水で苦しんだ人を知っているから、人の役に立たなきゃと気象学を志す
では義務感で気象を学ぼうとしているかといえば、そうではなくきちんと気象現象のあれこれを好きなんだね。
彼女を見る目が変わった瞬間
一方でみらとあおは自分達の夢を進めようとしている
星を見上げもっと知りたい思っていた頃から夢を進化させてきら星チャレンジへ。だというのにあおだけ通過せず……
一見すると不幸な事態だけど、先輩達の助言を通す事で価値を見いだせる。あおも「前に進まなきゃ」とみらを励ませる
「来ちゃった…」の台詞には度肝を抜かれたけど、一人でのチャレンジに不安になっていたみらにとっては心強いサポートとなる……のかな?
遂に始まる芸華祭ファッションショー。ここで披露される数々の服飾をお洒落と見るかダサいと見るかは個々人の自由だけれど、それらの感性とは関係なく伝わってくるものがある
ファッションショーにおいてその服の完成度やお洒落さも問われるのだろうけど、最も重視されているのはショーのコンセプトであるように思える
だから、最初の方では退屈そうにしていた審査員たちもコンセプトが明確である香留や育人が表れると途端に身を乗り出す
それらのコンセプトは言葉で説明されたものではなく無言の主張。それでも判る人には伝わってくるもの
それはショーの舞台だけではなく様々な場面で言える
遠を追い越した育人の主張、扉を開く事で勝負相手として敬意を払う行動
これらは言葉にしなくても意図は相手に伝わっている
葵の名前から連想した青い光、ほのかが好む曲。これらの要素はこれから始まるショーが津村育人のものであると主張してくる
またその後に続く服の数々は素人目にはただのお洒落な服だけど、見る人が見ればそれが「世界を巡る」というコンセプトに則っている事が判る。
どちらも伝わる人にはきちんと伝わるようになっている
審査員からすると育人のコンセプトはあまりにも明確。ただ明確とはつまり予想しやすいって事になるのだけど、育人は見事に審査員の予想を裏切っているね。だから段々と育人のショーに夢中になる。
次に何を仕掛けてくるのかと身を乗り出してしまう
伝わるべき人に正しく伝わる主張はそのまま評価に繋がる。だからこそショーの終わりに育人は拍手で迎えられるし、子供の為に笑顔でいようと決めていた母親も滂沱の涙を流すほどに感動してしまう
無言のまま行われたショーは充分に育人のメッセージを載せている
それにしても育人や香留のショーだけでも服飾を通じたコンセプトの伝え方の多様さが伝わってくるのにまだ心や遠のショーが待っているという……
ようやく語られるソマリとゴーレムの出逢い
それは単純に二人が初めて出逢った瞬間というだけでなく、二人が親子となる瞬間の物語でもあったね
ソマリは何故かゴーレムを「お父さん」と呼んだ。あまりに意味不明だからゴーレムも当初は受け入れない
けれどその呼称は「ゴーレム」でも「森の番人」でも無いんだよね。「お父さん」という彼だけを指す示す言葉
だからあの瞬間からゴーレムは少しずつ個としての性質を得て父親になっていく
ソマリの腹が減ったら食事を与え、付いてきてるか確認する為に振り返り、溺れたら助けてしまう
全てが森の番人には不要だけど、父親には必須な行動
「お父さん」になったゴーレムの行動は急激な変化を彼自身にもたらしている
ソマリの行く末を案じた。彼女に名前を名付けた
それらは全て父親として求められる行動
そしてソマリを大切に想う心を持った彼は番人として森に留まるのではなく、父としてソマリを人の元に届ける決断をした訳だね
ソマリは今回も元気に愛らしく子供として行動している
父親へのプレゼントにとお絵かきをし、それでは満足せず編み物を始めた
一方で仕事から帰ってきた父親に離れていたのは寂しかったと言わんばかりに抱きついてしまう
だからこそ忘れてしまう。ソマリは誰しもに愛される普通の子供ではなく、この世界では狩られる側であるということを
過去のゴーレム、現在のソマリを描いたあとにやってくる不穏な未来
ソマリを守るためにゴーレムが無理をする光景しか思い浮かばない……
これまでのような死に戻りからのリスタートではなく、心機一転からのリスタートを始めたスバルの交渉術が輝かしい
過去の経験や見てきたものから相手の欲しているものを推測し、それに見合った対価を用意した
アナスタシアに教えられた点も正しく実践できているね
19話ではスバルだけでなく、様々な人物がリスタートを迎えようとしている点が印象的
ヴィルヘルムに始まり、かつて大切な者を奪われた老兵達
彼らは単純な復讐の為だけではなく、悲願を叶え、大切な者に顔向けできる自分になろうとしている
この状況をスバルが作り出したのかと思うと感動的
新しく何かを始める為にはそれまで蔓延っていた何かを終わらせなければならない
スバルが先頭となり、白鯨に蹂躙されてきた歴史を終わらせようとしている
その行動は同時に自分の弱さに負けてしまったスバルの過去からの脱却であり、終わりであり、新たな始まりである
この戦いを通してスバルが手にする新しい自分がどのようなものか次回が待ち遠しいね
何度も死に戻りして、それでも上手く行かなくて諦めかけたスバルが生まれ直し、リスタートするかのようなエピソードだった
まさにこのエピソードの為に王選編はあったのだと思える内容
パックとの邂逅でスバルが何を得るのかと気になっていたけど、蓋を開けてみればスバルが得たものなんて何もない。改めて自分の罪を突きつけられただけだった
スバルが目を逸らし続けてきた罪、親しい者からの指摘であり最早スバルに誤魔化すなんて出来やしない。
幾度にも及ぶ死に戻りでスバルが理解させられたのは自分の無力さ
だから彼は自分を信頼してくれるレムを連れて逃げようとするのだけど……
「スバル君は自分の事しか知らない!」というレムの指摘が事態を打開する一言がとても気持ち良い
スバルは自分の無力さしか理解しない。けれど、レムはスバルの素敵な所を一杯知っている。
スバルが何も話さなければスバルは自分の嫌な部分を見ることしか出来ない。ここにスバルをとても好きなレムが居る事でスバルは理解していなかった自分を理解できるわけだね
王選編はいわばスバルがあまりに無理解であった為に様々な衝突や軋轢が生じたエピソードだったと思っている
だからこそ、転機となる場面でレムが語るスバルの素敵な部分をスバルが知ることで、自分を理解していく工程はとても素晴らしいものだと感じられる
かつてレムに「笑えよ」と言って人生の転機を迎えさせたスバル。今度はレムがスバルに「レムの英雄が笑って未来を迎えられるなら」と彼の再起への協力を宣言する流れ
ここから始まる二人のリスタートにワクワクしてしまうね
自撮り肝試しの前フリからなでしこだけはぐれる展開。これは千明が仕掛けたイタズラだろうと思っていたら、まさかのリンの登場に驚き
リンがなでしこを安心させるに留まらず、スタンプラリーの台紙を届けてくれる展開には胸が暖かくなりますね
解決編の始まり。通常の推理モノであれば、真相が語られると共に事件は華々しく解決されるのだけど、本作はそうはならない
何故なら幾つもの虚構を積み上げて鋼人を打ち倒すシナリオだから。
そういった意味では実は今回のエピソードは本当の解決回ではない
掲示板という無責任な議会を舞台に虚構をぶち上げる琴子。それはどう見たって大げさだし無理がある。
けれど、そこには鋼人は存在せず何かから目を逸らすための囮ではないかと思わせるだけの論理はある。琴子が提示した女性警官が犯人ではないかという説は一定の説得力は有る
真相以外認められない場ならこのような説は提示できないけど、ここで行われているのは琴子と六花、どちらの虚構に納得できるかという票の取り合い
筋道だった推理しか真相だと認めない者もいれば、荒唐無稽な説を真相だと思う者も居る。
それらを同時に納得させるのは不可能だから、幾つもの虚構をぶち上げる必要があるし、一見納得しづらい説も真相の一つとして提示できる
動きは少ないけれど、「果たして琴子の語る虚構は納得できるものなのか」という点で思わず魅せられてしまう内容になっているね
またリアルタイムで掲示板を更新する公式のサービスからも目が話せない
残り3つの解決策を琴子がどの様に語るのか、気になるね
相手への想いの伝え方がかなりクローズアップされていたように思う
相手の立場が違えば伝え方も変わってくるし、自分の性格に問題があれば相手に気持ちを伝える行為そのものが難しくなってしまう
あおは母親に対して資料を作り残りたい意思を伝える。それは自分はちゃんと考えているアピールなんだけど、そのスタンスを取ってしまうから母親は「考えが足りてない」と返さざるを得ない
そうではなく、みさが言ったように子供としてお願いすれば子供の夢を応援したい親はきちんと応えてくれる
生真面目な桜先輩は友チョコを送るのだって精一杯
だから前日にすずに作り方を教えて貰いながら作るし、部員たちに渡す際もちょっと大げさ
でも、難儀な性格をしている彼女はこれくらい気合を入れないと自分の気持ちを伝えるのは難しいのかもね
そして本心を見せないといえばモンロー先輩。まさか彼女があそこまでドライだったとは
本心を見せない彼女が何を考えていたかは部員達には外側しか伝わらない
だからこそ、みら達が追加した写真にはちゃんと笑顔になっているモンロー先輩が映る
それがどれだけ嬉しかったか伝える相手が桜先輩だけというのはちょっと印象的。
最初は反発していた二人はきちんと絆を築いていたということなのだろうね
みらとあおに反発した部分なんて見当たらない。同居すると決まった際もお互いに不足していた点を謝り合うし、改善するとも誓う
でもそれは友達としての距離だからこその伝え方。同居する中でこれまでと違った距離が求められると想いの伝え方も関わり方も変える必要がある
仲違いするみらとあおという珍しい構図。それがペアカップという互いの夢を思い出させるアイテムで解決されるのは何とも微笑ましい
その後はベランダに並んで星を見上げる二人。その構図は初めての筈なのにいつもの二人だと感じられる不思議な安心感
そして本心を見せず、みさへの想いがどのようなものかも明かさないすずの想いがどう伝わったかは明かされず
彼女の本心は明かされないどころか、想いの結果も視聴者には明かされない。
けれど、彼女の秘められた想いを視聴者に伝えるにはもっと良い描き方だったのかもね
認められたいから見返したいへ。その変化が様々な覚悟を持って描かれた回
育人も千雪も心も望んだ夢ははっきりしているのに本人にはどうしようもない事情で何度も阻まれる。だから単純に「認められたい」だけでなく、認めなかった奴らを「見返したい」との想いが強くなる
それが戦う原動力になるし、千雪には自分を救ってくれた育人よりも心を選ぶ理由になってしまう
だからこそ、それが判る育人は戦う理由が無くなりかける。全てを捨てない彼は千雪にも心にも報われて欲しいと願う。自分よりも彼女らに周囲を見返して欲しいと願ってしまう
育人に必要なのは認められたい、見返したいだけでは足りない
それこそ「見て貰いたい」が必要だったのだろうね
母親に「見て貰いたい」を確かにした育人だから、千雪や心との戦いを迷わなくなる
また、すれ違い去ろうとした遠を「見返させ」、デザイナーの自分を「認めさせ」ようと勝つつもりで居ると明かした育人
いつになく挑発的だね
それぞれがこれまでに培ったものを全力で注ぎ込む芸華祭、そのファッションショーがどこまで輝かしく描かれるのかワクワクしてしまうね
それはともかく育人と千雪のラブコメシーンが大幅に削られた件については流石に言いたいことがありますよ?
今のゴーレムとソマリからは円熟した親子関係を感じられるね
親であるゴーレムはソマリを想い、娘であるソマリはゴーレムを想う
そういった関係性を感じられる回
切り株小屋で始まるお菓子作り。親であるゴーレムはソマリのために料理を始めるわけだけど、この時ソマリにも手伝わせているのは印象的
何もかも親がやってしまっては味気ない。子供が成長できる部分も残さなくては
親が子供の為に作り、子供も手伝った粗挽き小麦のスフレ。美味しくないわけがないよね
ただ、それでも涙を流すほど美味しかったというのはゴーレムにとって驚きだろうけど。
感情のない筈の彼から垣間見える嬉しさの本流には見ているこちらまでニンマリしてしまう
歯が抜けたソマリの歯を一度は荷物になるからと断ろうとしたゴーレム。それを思い直して持っていくと決めたのはソマリとの思い出を残したいとの考えが有ったのだろうけど、それ以上に親として求められる振る舞いに準じたように思えた
ソマリとゴーレムは似ても似つかない二人だけど、ソワクからは「親子揃って」なんて言われるくらい、今は自然に親子をしている
でも、要所要所を見ればやはり彼らは普通の親子ではない
スフレを作る際の「雲になるまで」が二人共判らなかったり、歯の生え変わりを知らなかったり
それはやはり二人の関係が親子として始まったわけではないからだろうね
親子関係が成熟し、互いを想い合えるようになったゴーレムとソマリ
だからこそ、改めて彼らがどのようにして親子となるに至ったのか。その始まりが語られるべきなのかもしれない
今となってはソマリの父である自覚有るゴーレムが振り返る二人の始まり。気になってしまうね
交渉材料を持っていなくてもスバルの傍にはレムが居た。それが狂気に堕ち、怠惰になっていたスバルに戦う意志を再び灯させ、交渉の席に向かわせた
だというのに突然襲い来る白鯨にレムの存在ごと奪われてしまう容赦のなさ……
こうなっては元々何の情報材料もテーブルに揃えていなかったスバルに誰かを信じさせる言葉なんて言えるわけがない
ラムだって信じないし、エミリアだってスバルの言葉を理解できない
何故なら、スバルの言葉には最早中身など無くなっているのだから
ならばとスバルはなけなしの切り札を切ろうとしたわけだけど……
魔女からしたら今のスバルから奪うものなんてない。だからエミリアの命を奪うということか……
何処までも容赦ないな、この作品
エミリアの死体を抱えるスバルの前に現れたペテルギウスに怒れるパック
彼らの登場はスバルに何か必要な材料を与えるものになるのか、それとも最後に残った命すら奪うものになるのか……
全ての情報は手元に揃っているのか?とスバルに問いかけたくなる一連の話
スバルの醜態が本当に酷いね
でもそれって彼が何も理解してないからなんだろうなぁ
幾度にも及ぶ死に戻り。その中でロズワール領が襲われると知ったスバルは未来の情報を手に王候補達に交渉を仕掛ける
スバルは必要な情報がテーブルに揃ってると思っている。でも、その情報はスバルにしか見えないものだから交渉相手はスバルに取り合わない
代わりに彼女らに見えるのはスバルの人間性だけ。今のスバルの言動は相手を全く見ないものばかりで非常に自分勝手
だから狂気の沙汰とか薄汚い豚とか侮辱されてしまう
唯一スバルに付き従うレムもスバルの言葉を信じているのではなく、スバルを信じているから傍に居るといった印象
その中でアナスタシアはかなり親切だね。スバルのテーブルには何も乗っていないことを理解した上で、彼から話を引き出しスバルが交渉材料と思っていなかったものを材料としてスバルの交渉に応えた。おまけに交渉のいろはまで教えてくれる
ただし、自分しか見えていないスバルはそれを取引とは考えないのだけど
競い合うあまり着地点を見いだせないように思えた山梨と静岡の対立
それが二つの県に跨るなでしこや富士山、マグロ丼の存在によってほっこりとした空気に落ち着く展開
対立して一つを選ぶよりも二つを味合う方がお得だよね
……あのマグロ丼は高すぎて中々手を出せるものじゃないけど
無責任な議会を舞台とした真実と虚構の対決を前にして、紗季や視聴者に最後の情報が示される回
…その割に緊張感よりもコミカルな感じが目立っているのは意外な構成では有るけれど
紗季と琴子の回想によって語られる六花の人間性。二人が持つ紗季への印象がだいぶ異なるのは面白い
紗季は六花を恐れ関わらない方が良いと判断し、琴子は六花をコミカルに。けれど淡々と事実を中心に語る
六花への見方の違いはそのまま紗季と琴子のスタンスの違いへとなっているね
六花を過度に恐れず、かと言って過度に見過ごさず。だから琴子は一時期同居していた六花の企みを下手な憶測を交えずに推測することが出来る。
でも、六花の狙いを話している時に琴子が見ているのはむしろこの話を聞いている紗季なんだろうなとも思う
紗季と九郎の交際は既に終わっている。琴子は自分が寝ていた1時間半に何が有ったかと懸念するけど、それによって二人が復縁するとまでは思わない。むしろ紗季に六花の事情を知られても「痛くも痒くもない」と思う
まともな世界だけを見て生きると決めた人と評された紗季が九郎や六花の事情を知る意味はない
河童が恐れた九郎を見て逃げた紗季。色々思う所は有ったのだろうけど、今では九郎の隣に相応しいのは琴子だと理解している
だからここで紗季が裏側を知ろうとしたのは九郎を理解し復縁する為ではなく、彼と自分が異なる世界に生きているのだと納得する為
紗季は自分の中にある議会で九郎と自分の関係性について評決を取ろうとしているのだろうね
可能性に可能性を積み重ね鋼人を介してこの世の在り方を変えようとしている六花
秩序保つ知恵の神として鋼人が跋扈する真実を別の虚構に塗り替えようとする琴子
遂に解決編に突入する物語にワクワクが止まらないね
イノ先輩が地学オリンピック、あおの転居問題
どちらも未知への世界に対する不安に満ちているのだけど、そこから導き出される感情は全く別物
地質を愛する者として地学オリンピックに挑んだイノ先輩。桜先輩にとっては別世界の話だった地学オリンピック。名前の仰々しさからして、ただ好きなだけじゃ踏み入れてはいけないような気がしてしてしまう
でも、第一歩を踏み出す決意をしたイノ先輩だからこそ踏み込めた世界なのかもね
でも、別の世界と思われたそこは結局は地質が面白くて仕方ないと思う者達が集まる場所で別世界などではなかった
そこで出会った冴木もイノ先輩と同じタイプだからこそ、一緒に小道探索ができる。写真の同じフレームに収まれる
イノ先輩が自己採点では駄目だったと言いつつ、楽しそうな顔を隠さないのは新しい世界を知ったと同時に自分と同じような趣味を持つ者が大勢居ると知れた高揚感が有るからだろうね
でも未知の世界に挑戦していたのはイノ先輩だけでなく、桜先輩も同じ
地質研だった彼女が空を見上げ、星の名前を上げるなんて以前なら考えられなかった行為
その楽しさを教えてくれた地学部に向けてのプレゼントはモンロー先輩含め自分達が味わった未知の世界の楽しさが凝縮されたものなのだろうね
そして明かされるあおの悩み。子供にとっては如何ともし難い親の転勤問題
あおにとっては行く場所も未知ならば、地学部にとってもその問題は未知の領域
だけど、解決するのは無理だと決めつけずに何とかしようとアイディアを出し続ける様からは彼女らの成長を感じられた
まともな解決策が見つからない中で示されたみさの一発逆転の手。それは状況を打開する手であると同時に視聴者的には美味しい展開に繋がりそうだけど…
みらとあおが同居するかもしれないという未知の展開。この先どうなるのか読めず、つい期待してしまう
本人にはどうしようもない境遇の不利。施しを受けて夢を諦めるしか許されない絶望的な状況で育人を救ってくれたのは他人ではなく過去の自分
なんて感動的な展開
突然降って湧いた母の治療費問題。でもそれは母の「大丈夫」を鵜呑みにしていたことに因る先送り
育人の母は病に臥せっているが、それでも母の言葉によって育人は母の病状よりも自分の夢を優先できていた
それは母の庇護下に有ったも同じ
だから、母が本格的に倒れ庇護を受けられない育人は最早夢を追いかけるなんて出来ない。治療費を稼ぐので精一杯になってしまう
でも、育人は全てを捨てないからその状況でも夢を追おうとする
それは遠からすれば愚者の妄言
庇護を失った育人に迫られるのは大切なものを決めて別の何かを捨てること
遠からはデザイナーの夢、五十嵐からは心の夢。それらを諦めないなら家族の平和
高校生の育人が選ぶにはどれもキツイ選択肢
同様に千雪も辛い現状。数年かけて貯めたお金でパリに出向くも身長を理由に歩く事すら出来なかった
千雪が低身長により望んだ舞台に立てない描写はこれまでも有ったけど今回のは輪をかけて辛い
育人も千雪も自分の力ではどうしようもない壁を突きつけられて夢を諦めろと迫られている
だからこそ、誰かの施しではなく自分の行いで救われる展開には胸を打たれる
過去の自分の行いがあるから救われるに値する。服の価値が育人にはまだデザイナーとしてやっていけるのだと教えてくれる
あの服を着て自分と育人の可能性を示した千雪も同時に救われる
他者の庇護や施しではなく自分達の行いによって道を切り開いた育人と千雪
なんて最高の展開なんだろう、と思うと同時にラストの千雪の台詞があまりに素晴らしすぎるね
異なる存在の者が歩み寄る難しさを感じさせた回
本作は異形集団の中で人間が生きる難しさを描くシーンが多いけれど、今回はその逆が描かれている
魔女のフェオドラが迷い込んでしまったのは人間の村。
村人達は異形を非常に警戒している。だからフェオドラは彼らの中で過ごす為には正体を隠さなければいけない
ただ、やり過ごすだけなら彼らと親しくなる必要はない。けれど、フェオドラはミヤを始め村人達に馴染もうとする。少女達の髪の毛を結い、染め物を共にする
そこには彼らに歩み寄ろうとするフェオドラの心が見える
でも、人間の臆病さがそれを不可能に……
見た目は恐ろしくても実害のない異形を問答無用で殺した村人達。「俺は何もしてない!」の言葉に耳を貸さず、むしろ言葉を発したことを「気持ち悪い」と思ってしまう感覚
それはフェオドラとは判り合えない断絶
だからフェオドラも怯え隠れ出ていこうとする。それでもミヤにもし私が異形だったら?と聞いてしまったのはまだ期待したい気持ちがあったからだろうね
結局はフェオドラは村人の前で正体を表すことになったけど、それによってミヤはフェオドラの必死の想いにも気付けたわけで
最後の最後、フェオドラを異形ではなく「友達だ!」と言い放ったミヤ。小さな彼女に出来るたった一つの、けれどとても尊い歩み寄りであるように思えた
そう思えば、ゴーレムとソマリが半ば侵入のような形で館長の傍まで行ったのは意味があったのだろうと想う
ハライソの伝記を読めば、魔女と人間の顛末を知ることは出来る。でも、フェオドラの願いやイゾルダの悔いに寄り添うことはできなくなる
異形を忌み嫌う人間達の中でミヤの想いを受け取ったフェオドラの心がイゾルダを通して異形の中で生きる人間のソマリに伝えられた
この先、ソマリが寄り添う相手となるのは人間となるのか、異形となるのか、それともどちらとも歩み寄ろうとするのか気になるね
視聴者を容易く翻弄してくるあおいのホラに笑顔が止まらない
足湯でのホラは「ああ、いつものが始まった」と身構えられたのにラストのホラは予想外過ぎて……(笑)
なでしこはホラを人を笑顔にするものだと受け取ったけど、あおいの場合は他人の都合よりも単純に自分が楽しいと感じる最高のタイミングでホラを吹いているような気がするよ…?
まあ、それが結果的に周囲を楽しませているのだけどね
前回、鋼人七瀬を倒す為に人々を合理的解釈で納得させる手法が示された
それが寺田の死によって時間的な制約がつくと共に整合性を取るハードルが凄まじく上がってしまう
人はどうしても衝撃的な真相や「もしかしたら」というものを想像してしまうし期待してしまう。紗季が馬鹿な質問と言いつつ寺田が幽霊になっていやしないかと期待していたように
そういった想像や期待は簡単に止められるものではない。止めようと思えば反論が不可能な別の真相をぶち当てるしか無い
そうまでしないと人々は想像や期待が思い違いであったと納得しない
琴子は事件の真相を目撃者を介して知っている。それでも合理的虚構を求める彼女はただ真相を求めるには不要である情報さえも知ろうとする
そうすることで真相とは異なる虚構を組み上げることが出来る
紗季が呆れているようにこれは最早推理ではなくトンチだね(笑)
でも、真相を求めるのでなければ可能になる方法がある。それが九郎の示した真実の積み重ねだね
何も一度に万人を納得させる必要はない。万人のそれぞれが最終的に納得できるなら偽りの真相は一つである必要性はない
分割された虚構はそれぞれにとって納得できる真相へと構築されていくわけだ
本作も役割の分割が行われ、それぞれがそれぞれの立場で必要な行動をとってきた
探偵役の琴子は事件の解決策を推理し、助手兼彼氏の九郎は鋼人と戦いつつも琴子を支えたり。紗季は探偵と警察を繋ぐ役として琴子に情報を。寺田は怪異を信じない者として現実的な手法で鋼人と対峙した
それらが最終的に鋼人を倒す虚構へ繋がっていく
そもそも、今回の九郎の行動は何かと琴子を支える描写が目立つ
琴子の前では嫌そうな顔を隠さない彼だけど、疲れている琴子にチョコを差し入れ、琴子がだらしない格好をしていても何も言わず、紗季の来訪時にも琴子が身繕いをするまで待った
何よりも琴子に最後の閃きを与え、彼女が寝た後には鋼人と対決する算段を立てた
彼氏として立派な振る舞いだね
そうこうしつつ物語は最終局面に入るわけだけど、そんな鋼人との対決前に示されるのは黒幕である六花の事情
ここまで伏されてきた九郎の従姉の存在は物語に別種のスパイスを加えることになりそうだ
世代交代で新部長となったイノ先輩。部長に向いてないと考える彼女の今回の行動はどころそわそわうろうろしたものばかり
写真がぶれたように彼女は自分のやるべきことがはっきりせずぼやけている
観望会でもイノ先輩は空回り。まあ、地質班だから仕方ないけど……
代わりに他の面々はやるべきことをしっかりやってる印象
得意の絵を使って子供たちに星の知識を教えるみら
小難しい話から少女に一歩進んだ星の魅力を教えたあお
美味しいパンで子供たちの気を引いたすず
観望会を楽しいものに出来たみらとあおの気持ちは通じ合ってるように見える。別の場所に居ながら同じ星を眺める事でまるで一緒にいるかのように錯覚するのは第一話でもやったこと
けれど、今回みらは布団であおはベランダ。その身に纏う温かさの違いはそのまま熱量の違いに繋がりそうな予感……
役を降りた三年生は受験の真っ最中。
彼女達が志望校を教えなかったのは後輩たちに余計な心配をかけさせないため。桜先輩の気の利いた優しさは尊敬してしまう
モンロー先輩は厳しい状況のようだけど、彼女も彼女で自分のやるべきことに全力なのだろうと伝わってくる
そうした中でイノ先輩なりの部長像が垣間見えた気がした
休んだあおに対して「大丈夫ですか?」と問いかけ、翌日には「何かあったらいつでも話して下さいね」と。あおの異変を感じつつ、無理に問いただしたりはしない。けれど、気にかけている
小さいことに気付くイノ先輩の特性と部長像が繋がったような気がした
イノ先輩が進む部長像は何も三年生に倣ったものでなくてもいいし、まずは自分に出来ることをやってもいい
モンロー先輩の苦戦を見つつ、小惑星関連の纏めをするみらとあお。地学オリンピックを目指すイノ先輩
それら、踏み出した一歩の先に素敵な事があって欲しいと願ってしまう
それぞれの流儀や戦い方が示される第7話
自分に不向きなフィールドであっても戦い方を心得ればやれないことはない
それでも……といった内容
身長が低くし撮影の趣旨にも有っていないが、それでも気持ちから溢れ出るオーラを纏ってやり遂げようとした千雪
しかし、心はそんな千雪をあっさりと、しかもモデルを辞めたいと思いながら上回ってしまう
そこにあるのはごく単純な持つ者と持たざる者の差
終いには舞台からも……
無理にでも心にモデルの仕事をさせようとする五十嵐も元はモデル。ショーモデルに向かなかった彼女は戦い方を選ばなかったせいで望んだ舞台も色褪せたものになってしまった
だからこそ、モデルとして天性の資質を持つ心が服飾の道に進むことを許さない
結局は彼女も心に「本気でやってよ」と思っている一人なのかもね
五十嵐が自身の経験から学んだ「人はやれることしかやれない」という考え
これは自分の限界は超えられず、型から抜け出せないという意味
だから同じ道を先に歩んだ者として引導を渡せと雫に要求する
なのに、雫は千雪が歩んだ道を後ろから歩いていき、いざとなれば慰める気で居る
五十嵐が言うのは道を歩く者の戦い方について、雫が言っているのは歩み終わった者が出来る支え方の話
戦いが終わった者は戦っている時とは違うことが出来る事が雫の発言からは見えてくる
だからこそ注目される育人の戦い方。
芸華祭は勝ち抜きたいが、心は応援したい。なら、優しくて全てを捨てない育人が心を支えようとする気持ちで選ぶ戦い方とは……
というタイミングでそもそも無事に戦えるの?と言いたくなるトラブルが……
嘘や罪を乗り越えて、絆を取り戻しより強固にしたウゾイとハイトラの様子に胸が温かくなる
一種の帰結を得た二人を前にしてゴーレムとソマリも思う所があったようで
ウゾイは弱っていくハイトラのためにソマリを手に掛けようとしたし、ハイトラの罪を知ってもなお一緒に生きる道を選んだ。
そこには大切な者の傍に居たいという想いが有る
それを見せつけられたからこそ、ソマリもゴーレムと自分の有り様を見つめ直す。旅の目的である人間探しに目を向ける
ゴーレムはハイトラと同じようにソマリが大きくなるまで共に生きることは難しい。
ソマリに自身の限界を教えず、共に居ることはある種の嘘である
それでも同じように「子育て」に苦労したハイトラの言葉を受けて、ソマリが幸せに生きていると理解できた
少し安心したという事はそれだけ自分の嘘を気にしていたのだろうね
自分が人間の事を何も知らないと知ったソマリは魔女の村で随分積極的
でも、子供が積極的に動けば危険に鉢合わせることもあるし、それによって親が危険な目に遭うこともある
親が子供を守るなんて当たり前だけど、ウゾイとの関わりを経て庇護されるだけの存在から脱却しようとしているソマリには納得できない
ゴーレムが傷付いたことでソマリが涙を流すとは……
原作と話の順番が入れ替わっていることでソマリのリアクションが原作と比べて所々変わっている点は興味深い。
次回、人間に繋がるかもしれない記録に接してソマリがどう反応するのか気になるね
王城の中はスバルの理解していないルールばかり。これまでは無理解のままでも成功してきた啖呵や口上もここでは不利に働く。騎士団を侮辱してしまうし、エミリアの望まぬ言葉を口にしてしまう
スバルの無理解さはエミリアを恐るべき存在ではないと示す言葉となるが慰めにもならない
王城のルールを理解せず、そしてエミリアの胸中も理解できず。だからスバルが口に出来るのは自分が知っている、これまでの行動の成果だけ
でも、そんな驕りを口にして「何故か」自分の為に助けになりたいというスバルをエミリアは理解できない
二人の擦れ違いは決定的となってしまう
お人好しすぎて損する性格な二人がここに来て互いの為を思って行動したことで結果的に相手の望まぬ行動をしてしまう
これからも無理解の連鎖が続いて更に擦れ違ってしまうのか、それとも相手の行動の根幹を理解することはあるのか。物語の分岐点であるように思えた
王選を前にして王都に行くことになったエミリア。彼女の為になりたいと考えるスバルは必死に彼女に付いていこうとするのだけど……
擦れ違いが積み重なっていく二人の様子があまりに辛い
そもそも二人のすれ違いは早い段階から始まっている。
魔獣騒動の有った村への貢献を自覚していないスバルとそんな事はない、判っている人は居ると否定するエミリア。この程度の違いはまだ微笑ましい
けれど、二人の見えているものの違いが垣間見えるシーンでもある
エミリアはスバルに王選の事を何も話さない。遠ざけ、知らせない事で王選の中で生じるだろうゴタゴタからスバルを守ろうとしている
対してスバルはまずエミリアの傍に居ようとする。そして王選の事を知らなくても無理が出来れば助けになれると思っている
この二人の認識の違いはこの回でずっと続く。擦れ違ったまま状況は進んでいくものだから、王選を理解しているエミリアと理解していないスバルの間には分厚い壁が作られていく
遂にエミリアは「私を信じさせて」なんて言ってしまう。つまりスバルを信じられなくなる直前ということ