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とても良い

姫の臨海学校について行き陰ながらフォロー。もしもに備えて避難訓練、お祭りではグッズを大量購入
父の労力は娘の知らぬ所で行われる
一方で娘の心も父に知られず隠されている

可久士は目に入れても痛くない姫を虐めの対象にしないためカブトムシを買ったり、インド人シェフを雇ったりと無茶苦茶な
でも、流石に母親が居ない点についてはフォローのしようがない
「ママに教わらなかったの?」の言葉を可久士が聞くことはないし、その心を知る事もない

考えても仕方ないことは現実逃避するしか無い。つまり目の前の現実から隠すということ
その行為は祭りのシーンで可久士が姫の視界からグッズを隠す行為に似ているし、ある意味姫が隠し事を知ろうとしなかった点にも通ずるもの

一方で目の前から隠されて居る事で意味を持つものもある
押し入れに隠された年齢の描かれた箱。まだ開けては駄目だと一目で判るそれは秘密が開かれていく楽しみになる
同時に可久士には押入れに隠されたそれらから既に隠された人の想いを知るきっかけとなる

本編後に描かれる未来の話。娘には隠されていた可久士の描く仕事が明かされると共に大きくなった姫は幼かった頃の自分の心も述懐する
本編では隠されていたそれらが明るみに出て、箱の中の箱が開かれるエピソードには心を打たれるね



良い

原作だとこのエピソードのサブタイは「黒い霧を抜けて」だったりします
その名に相応しく陰のある野球部を活気のある空間に生まれ変わらせるエピソードだったように思う

グラウンドは有っても人数が足りない野球部では本格的な野球はまだ無理
でも、詠深達はただのキャッチボールであっても楽しそう
思ったような野球ができず負け続きだった中学時代を過ごした詠深にとっては今の形の野球であっても「楽しい」もの

新たに入った菫と稜も競って口喧嘩してばかりだけど、本当に仲が悪いわけではないし楽しそうに野球をしている
不祥事があったという野球部は詠深達の入学によって楽しい空間に生まれ変わる

でも、それでは陰を湛えた野球部であっても存続させてきた先輩たちに報えない
だからこそ、怜と理沙を詠深達の「楽しい」野球に巻き込む必要があったわけだし、その巻き込み方は無理やりではいけない
怜に詠深達の「楽しい」野球を誠実に教えなければいけない

心置きなく野球部を辞める腹づもりで挑んだ勝負を怜は楽しんでしまう。急激に曲がる詠深のボールを真剣に打ちに行き、無事に飛んだボールも「自分なら捕れていた」と誠実に負けを認めた
詠深が形作る野球にのめり込んでいなければ出てこない発想

廃部寸前だった野球部に続々と人が集まり、遂に後2人で9人
本作は投球モーションを綺麗に描いているし、野球シーンの動画には期待が持てそうな気がする
早く彼女らの試合が見たいね



良くない


良い

ゲーム主人公がアニメ化された際、個性が薄いとか、物語への関わり度合いが低いとかは見た事あるけど、知能が感じられないって初めて見るパターンかも
……記憶を失ってるから仕方ない面はあるけど、お金をもぐもぐするとか一周回って可愛らしいのかもしれない

でも、それ以上に可愛らしいのがヒロインたち
主人公を母親のように面倒を見るコッコロからは多大な母性が感じられるし、トラブル発生時のバッテンお口も非常にキュート
ペコリーヌは腹ペコキャラなんだけど、その分とても美味しそうに食事をしているね。また、人の悪意を疑わない純真さも好評価

そしてヒロイン達の可愛らしさを描くだけに留まらず、戦闘シーンがダイナミックに動いている点には驚かされた
第一話でこれならキャラが増えて物語が動くようになったら、更に素晴らしいシーンに出会えるんじゃなかろうか

それでも、幼児退行したかのような主人公が理知的になるシーンは想像もできないのだけどね(笑)



良い

数カ月ぶりのフルーツバスケットですよ!
優しさに満ちた空間で繰り広げられる遣り取りは心の清涼剤になりますな

皆川素子の視点で語られる由希
彼女って学校における由希を一番見ていた人物なんだよね。由希に願望を押し付けつつも由希の変化を一番見ている
だから由希をあっさり変えてしまった透が許せないし、変わってしまった由希を上手く受け入れられない

素子との最初の出会いでは「綺麗」と言われて皮肉めいた微笑を浮かべた由希
それが今では柔らかく微笑むようになり、素子を気遣う優しさも併せ持つ
第一印象は日常に紛れ込んだ非日常のような在り方だったから王子と例えられた。納豆が好きだなんて明かしてしまう今の由希は普通の好青年

そんな彼に王子のようなイメージを押しつけることはもう出来ない。かといって受け入れるのは難しい
でも、変わってしまった今の由希こそ本当の由希であるなら、そんな彼を受け入れないのはプライドが許さないといった所かな?

素子からすれば由希を柔らかく変えてしまった透はライバルと言うよりも敵に該当するのだろうな
素子はどうしても視聴者からは嫌われやすいポジションに居るのだけど、由希に必死に振り向いてもらおうとするスタンスはどうにも嫌いになれないんだよね

それにしても由希に最も懸想する素子を通して由希の変化やその背景を描写するのは面白い試みだった

素子が以前の由希と今の由希を比べていたのに対し新生徒会メンバーは新たな由希を発掘しそう
由希を「女顔」とおちょくった真鍋、由希を「触らないで!」と拒否した真知
どちらもきっと由希にとっては初めてのリアクション。二人の登場は由希を更に変化させる出会いになったような…

第2クールの始まりのエピソードが由希メイン回である構成には驚かされたが、第1クールの頃から変わっていない雰囲気を感じ取ることも出来た
今後のエピソードに期待が持てる第一話だったね



普通

良い意味で安心できる作り
前半では度重なる事件の原因と思われても可怪しくないかずやの存在を当たり前のように受け入れるクラスメイトの姿に心が温かくなる…と思っていたら、後半の展開が酷すぎて(笑)

『小さいときに好んだ服』
『忘れられた道具は寂しいもの』
『最後は望んだ相手と一緒に』
下手に扱っても感動モノが作れそうな要素を絡め合わせて何故あのような光景を作れてしまうのか(笑)



良い

どんな時代だろうと、自分の夢を掴むために一生懸命になる女性の姿というのは輝いて見えるものです
ただ、アルテが生きる時代は「女性が絵描きなんて」と思われるような時代

あまりこの時代のことを知っているわけではないけど、それでも作中描写からは女性が手に仕事を持つなんて可怪しいという感覚は充分に伝わってくる
それらはある意味時代が形作る常識。だからアルテが超えなければならない壁は非常に分厚いもの

その壁は髪を切ったくらいじゃ破れないし、きっと乳房を切り落としても難しい
なら必要なのは女が絵描きをしたいなんて言ってもどうせ本気ではないだろう、という認識を改めてもらうこと

思えば、レオだって回想からすると順風満帆に絵描きになれたわけではないのは判る
女性が絵描きになるのは難しい時代だけど、男なら簡単というわけではない。レオだって「物乞いなんて!」と突き飛ばされた事があった
レオの経験はアルテと重なる

アルテは一夜にして酷い仕打ちを乗り越えるわけだけど、これを持ってレオはそのまま認めた訳ではない。あくまでも本音を話し合う前提

最初の会話シーンでは椅子に座る親方とその前に立つ弟子志望という構図だったのが、アルテが本気であると知ったレオはアルテと同じように床に座り彼女の話に真正面で耳を傾ける
この話の中でレオは絵描きとしてアルテを認めると同時にアルテを一人の人間として認める

今回はまず絵描きになるどころか、話を聞いて貰うだけでも大変な目にあったアルテ
それでも滅気ずに絵が好きという気持ちを心の真ん中に置き、そして認められない悔しさをバネに一生懸命頑張り弟子入りが認められた。
それらの展開は王道的でありつつ、とても素晴らしいもの

アルテの父は絵を描いていればアルテの魅力に気づく殿方はきっと現れると言った
アルテは自分自身の力で生きられるように絵描きを目指したいと言った
レオの工房で活動する中でアルテが手にするのはどちらの未来になるのだろうね



良い

一部界隈では大人気の悪役令嬢モノ。本作はそれに則った作品なわけだけど、こうして見ると悪役令嬢モノとして必要とされる要素を第一話で判りやすく示しているね

物語的には悪役ポジションだからどうしたって最後には不幸になってしまうのは決まりきっている
だからそれを回避するためには並々ならぬ努力が必要だし、時には本来のヒロインに恋するヒーロー達を奪わなければならない
ただ、ここで打算的に動いたらそれこそ悪役なわけで
カタリナは憎めない天然タイプだけど、キースに手を差し伸べる姿は格好良く主人公然としているね

本人としては破滅フラグを回避しているつもりが主人公が立てるべきフラグを成立させてしまっている面白さ
こうなってくると他のヒーローともフラグを立ててしまうんじゃないかと思うけれど、そうなってしまったら今度は本来の主人公との兼ね合いが問題となってくる
本作がどのような方向へ進んでいくの興味が湧いてくるような第一話だね

何はともあれ、悪役令嬢なのに畑を耕したり、木登りする姿があまりに元気溌剌としていて微笑ましい気分になってしまうのでした



良い

原作既読
ベテラン漫画家の久米田康治先生の自伝的要素を含みつつ、でも自伝じゃないしギャグ漫画でもない作品の正体は可久士と姫の遣り取りがとても尊い作品なのです

下ネタ漫画を描いている事を隠すために二重生活ならぬ二重仕事をしている可久士
何があっても姫には描く仕事をしていると知られてはいけないと必死に漫画に関わる物を隠そうとする可久士の姿は面白おかしい

と言うより、ベテラン漫画家である久米田先生が描く漫画家あるあるネタが本当にツボにハマる(笑)
漫画家として色々な作品を作ってきて、色々なやらかしのある久米田先生だからこそ描けるあるあるネタの数々は漫画を好む人には容赦なく刺さりそう

そうしてしょうもない漫画家ネタで話を転がしつつも要所要所で姫の純真な発言で話を締め、それに対して可久士が父親としての言葉を返す
コメディ描写とは全く異なる空気感で描かれる後藤家のゆったりとした親子の時間
これがとても尊いものに見えるからこそ、姫が可久士の隠し事を知る未来の話へ本編がどう繋がるのか気になる作りになっているね



普通

原作既読
本作は女子野球を描くというより、男子野球を女子に置き換えてみた、みたいな世界観だったりします
というか原作で男を見た覚えがない……

中学時代は捕手が魔球を取れない為に思ったような投球ができず、それが負けに繋がり楽しい野球ができなかった詠深
野球は一人で出来るスポーツじゃないからどうしたって仲間や相棒が必要になる
それが望めないから詠深は高校を野球で選ばなかった

だというのに最良の相方に出逢ってしまう不思議
詠深はカラーボールで投げた魔球を硬球でも投げられるようにと努力した
珠姫は強豪チームの練習について行けるようにと必死に努力した
離れていた間にしたそれぞれの努力が再び二人を結びつけ、詠深の魔球を珠姫がキャッチするに至る流れは良いね

珠姫とのキャッチボールの中で「楽しい」の感覚を思い出した詠深
ラスト一球には中学3年間を振り返る万感の想いも込めてしまう。そして、その想いは珠姫にきちんと伝わる
なら詠深が野球を止める理由なんてもうない。
再会から始まる二人の物語がどこまで届くのか気になってしまうね

そういや、視聴した多くの方から作画への言及が多数上がってるみたいだけど、本作の魅力の大部分はふとももの造形に籠められていると考えている人間なのでそこさえしっかり描いてくれるなら特に問題ないと思っていたりする



良い

全てが十全に整った最終回ではそれぞれの行動よりもどうしてその行動を起こすのか、という点がクローズアップされているね
特に王選編に入って以来擦れ違っていたスバルとエミリアが「どうして?」を重ねつつ徐々に近づいていく描写はとても良い

それにしてもペテルギウスはしつこい敵だった。
でも、何度でも姿を変えて襲ってくる彼の姿はスバルに降り掛かった死に戻りの運命を体現しているよう
彼は魔女の寵愛を得る為に行動してきた。もしかしたらスバルもエミリアからの愛を欲するあまりこうなる未来も有ったのだろうか、なんて想像してしまった

でも、スバルとエミリアはペテルギウスとは決定的に違う。擦れ違っても会えば会話ができる
ヴィルヘルムの言葉や村人の対応、更に子供達からスバルの真意を垣間見たエミリアは改めてスバルの行動を振り返る
「どうして?」と考えてしまうのはやはりスバルのことを理解したい、関係を終わりにしたくないとの想いがあるからなのだろうね

再会したスバルとエミリアの会話は珠玉
二人は互いに自分が「どうして」相手の為に行動してきたのか、「どうして」あんな事を言ってしまったのか、そして相手と「どうなりたいのか」を話し合う
間違った言葉を正しい言葉に。間違えかけた関係を望んだ関係に
やり直しの果てにこの光景まで辿り着いたのかと思うと感動もひとしお

清々しい顔で「好きだよ」と言えたスバル、彼に「ありがとう」と伝えられたエミリア
全てが綺麗に終わったと思ったら……
最後の最後にとんでもない爆弾を放り込んできたなぁ……



良い

ペテルギウスや指先を打倒しながらも死んでしまったスバル
あと一歩という所まで行ったからこそ、今回のエピソードからは「今度こそ!」という想いをひしひしと感じるね

死に戻りを理解してすぐに意識憑依について話したスバル。また指先が居る場所にも先回りして行動を封じている
事前準備の無い情報開示には危うさを感じるが、彼が「今度こそ」ペテルギウスを確実に倒したいとの想いがあるからか

意外に見えたのはエミリアの前に出たこと
エミリアとの間に色々有ったスバルからすればエミリアの前に出るのも緊張する筈。その緊張を無視しても村人に嫌われていると考えているエミリアを説得し、且つ子供達にも根回ししてるなんて随分周到に思える
でも、それもやっぱり「今度こそ」失敗したくないから

それらの労力は正しく報われる
村人は事前に逃し、商人に紛れていた指先も騙す
ペテルギウスにも前回より慎重に接近し、対策としてユリウスとの協調も充分。
全てが前回よりも素晴らしい出来栄え。それらの描写は終盤の物語を彩るに相応しいものだね



良い

つまり九郎はツンデレであったことが判る最終回(えー
九郎が琴子を大切に想っていると察せられる場面はこれまでも有ったが、言葉にしたのは初めて。
ようやく二人は恋人らしい恋人に見えたのでした

今回は秩序を重んじる琴子が秩序を壊そうとした六花の企みを砕いてあるべき秩序を取り戻した
だからこのエピローグで描かれるのは有るべき世の姿。
これまで琴子の恋人らしい姿を見せなかった九郎がここに来て琴子を巻き込みたくないとの想いや怪我をする琴子を案じる心を口にした九郎
どちらもしっかり彼氏らしい姿

紗季は世界の裏側を知りつつもう夜の坂道を怖がることはない。最早そこに怪異や鋼人が現れることはないと知っているから
まとめサイトも消え、鋼人七瀬の怪異は別の都市伝説へ。怪異を生み出したネットはドラマを語り現実に影響を及ぼさない場に戻った

秩序は世界だけでなく人の有り様にも
怪異を理由に別れた九郎と紗季。改めての会話で今の九郎は琴子を大事にしているとの変化を知った紗季は怪異を理由とせず離別する。
七瀬かりんに生存の可能性はなく、寺田を殺した犯人が捕まることはない。
どの有り様にも怪異はもう含まれていない

唯一、六花だけは別
九郎と六花は共に不死身であり未来決定能力を持っているが、最大の違いは自分の有り様への対応
九郎が自分の不死性を受け入れているのに対して、六花は神を造り抗おうとしている
九郎は秩序に従い、六花は秩序をひっくり返し秩序を見出そうとしている。だから琴子は六花を許さない

九郎は神話に喩え自分が琴子の傍に居る正当性を語る。でも、二人は神様じゃないし琴子にイワナガヒメの特徴は当て嵌まらない。神話の喩えは二人にとって正しい喩えではない
だから、二人に正しい有り様を示す言葉はその後の九郎の言葉に詰まっている
二人はやはり人間らしい尺度で付き合う方が似合っている

相手をどのようにして納得させるか、という点から始まった本作が紆余曲折を経ながらも大衆を納得させる物語を紡ぎ、虚構を用いて世の有るべき姿を取り戻すストーリー
虚構が持つ力を様々な意味で感じ取らせてくれる作品でも有りましたね



とても良い

きら星チャレンジで新天体を見つけられなかったみらとあお
でも、彼女らは新天体発見に匹敵する尊いものを幾つも手に入れたように見える

きら星チャレンジに挑むみら達を周囲の大人は優しい表情で見守る。幸は「楽しんで」と声を掛ける
このイベントの目的は天体観測だけど実際はそれだけに留まらない。天体観測に係る経験を得る事が何よりも大切なものだったのだと見えてくる

結局新天体は見つけられない。観測は朝まで掛かったし、勉強は難しいものばかり
でも、そこでの経験は全て天体発見に繋がるもの
きらチャに挑んだからこそ、どうやって見つければ良いかも判らなかった天体を「どうしたら見つけられるか」が判るようになる

そしてみら達のチャレンジは先人による成果が積み重ねとして有り、今回のみら達の成果は後人が天体を見つける際の一つの経験や文献となるわけだね
皆の努力がまるで地層のように積み重ねられていく描写は素晴らしい

天体を見つけられなくてもみら達にはとても貴重な経験となったし、観測に挑んだ時間はとてもキラキラとしたものだった
海をバックにジャンプする四人の少女の絵は関わった全ての人にとっても記憶に残るものになりそう

天文班に地質班、それに気象。新聞部が取材に来て、すずはパンを届けに。地学部の多様性は凄いことになっているけど、余計なものが混じっているという訳じゃなくて、それぞれが持つ要素は互いに趣味や可能性を広げるのに大いに役立っている

地学部の有り様はみら達だけじゃなく、イノ先輩達の夢までも大いに後押ししている
まるで宇宙のように多様な状態になっている地学部でなければ、ここまでキラキラした日々を描くことは出来なかったんだろうなぁ

当初は高校生が星を見つけるなんて大それた夢を1クールアニメで描けるのかと疑問だったのだけど、終わってみればその認識が間違っていたことが判る
部活動なんだもの。目的が叶うだけが全てじゃなくて夢に向かってキラキラした努力をする様を描いてくれた本作は充分に良作と言えるものだったね



良い

綾野遠のショーが描かれるとともに、芸華祭終了に合わせてそれぞれの頑張りの結果が描かれる最終回
やはり遠は別格だったね

ファッションショーだというのにまずブランドロゴ入りTシャツから始めた遠。その自信を裏付けるように披露される服の数々は異次元
育人や心がコンセプトや魅せ方で工夫していたのに、遠は単純にデザイ能力の高さだけで会場を魅せつけてしまった

でも、遠が目指していたのは別のもの。
他の参加者がグランプリを目指していたのに対して、遠だけはバイヤーからの買付を意識していた
そして祖母を超えられなかったから棄権したというわけで。彼にとってはハナからグランプリなんて目に入っていなかったわけだね

それをひっくり返してしまったのが育人になるわけど
遠のチームにパタンナーとして入らなかったから。たった一人のバイヤーに遠よりも育人の服の方が良いと判断させたから。
育人はこの芸華祭で優勝を目指しつつも、遠を見返すことを目標として挑んだ。知らずしてそれは達成されていたわけだ

ただ、育人からすれば今回の結果は悔しいもの
デザインはアイディアに欠けていたと判断されてしまう。それはデザイナーを志す者ととして屈辱的な評価
あまりに悔しいからすぐには口に出せない。
けれど、千雪が促すことでようやく形になる。やはり持つべきものは競い合う友だね

それにしても千雪は今回のショーで才能を力強く主張できたようで
まさかの専属モデルですか
一位を取れるかと不安がる心の尻を叩き、育人に悔しさを話させた。そして自分は最大の結果を手に入れた
芸華祭で先に歩みだした彼女は一歩も二歩もパリに近づいたのかも

ハイペースで進んでいくアニメの物語に付いていくことは中々に難しかったけど、それでも逆境に負けずファッションデザイナーやモデルの夢に喰らいつこうとする彼らの姿には感動してしまうシーンも有った。
でも、じっくりと描いて欲しかった気持ちはやはり消えないなぁ……



良い

ソマリを害されそうになり暴走したゴーレム。その姿は化け物と呼ぶしか無い。
無機質で理解不能。けれど、本作はゴーレムが感情を手に入れていく物語。ゴーレムが化け物になることはない

暴走したゴーレムはローザだけでなくヤバシラにも暴力を振るう。またロボットのように目標を殲滅するなんて言う彼は恐ろしい
そんなゴーレムにソマリは「いつも撫でてくれる!」と彼の優しさに訴える
それに応えるようにゴーレムは止まる

だからソマリにとってゴーレムの本質は変異したと見做されない。組紐も変わらずに結ばれる
けれど、自分の感情を判っていないゴーレムは上手く動かずソマリの世話ができない身体を目にして自分は変わった、活動停止には抗えないと感じてしまう

収穫祭のカゼノリバナを見て、ゴーレムは理解不能だ、魂は存在しない、無意味な願望だと切り捨てる
森の番人として生まれた彼は自然の摂理を信奉して居るからこそのスタンスなんだけど、死は終わりではないという言葉を信じられず反発しているようにも感じられる

活動停止への不安があるからこそ、ゴーレムはソマリの前から去ろうとしたのだろうね
当然ソマリは認めず寂しいと訴えるけど、ゴーレムは自分に感情はないと返す。ゴーレムからすれば感情がないからソマリから離れることに何の後悔もないとの考え方

でも、ソマリに「お父さん」と呼ばれた瞬間から徐々に変わったように今のゴーレムにはきちんと感情があるんだよね
これまでのソマリとの旅路でのふれあいを通して得たもの。今、ゴーレムの胸中に渦巻いているもの
そもそもソマリを危険に晒すかもとの思考はゴーレムに感情がある何よりの証明なんだよね

自分に感情があると認めないゴーレムにちゃんと感情があるんだと訴えるソマリの言葉にはじ~んと来る
ソマリの感情の本流を受けきって、自身の感情を認めたゴーレム。有ると認められたから感情に従って言葉も出てくる。涙のように体液も流れる
ようやく発された彼の「本音」には感動してしまうね

新しい装いとなり、改めて親子となった二人。
彼らがどのような未来に歩んでいくのか気になるけど、流石にこの先は漫画を見てねということだろうか……



良い

23話も22話と同じ構図が続く。
スバルは望む場所に至る為に更にユリウスに踏み込みつつ、ペテルギウスの指先に懐に挑み続けなければならない
それだけでなくハーフエルフを恐れる村人達の心にも踏み込まなければならない
それらを越えないと手に入らないものが有る

流石にこれらは難行となったけど、ここでも助言をくれるフェリスやスバルの言葉を補強するラムの存在が力強い
諦めず、下を向かず、戦い続けたスバルだからこそ到れる局面
遂にはユリウスと曖昧な言葉だけで意思疎通が図れるようになった描写からはスバルの著しい成長を感じさせたね

遺恨ある相手との和解、ペテルギウスや指先との戦い。幾つもの試練を越えた先に待っていたのはまさかのスバルが操られるという展開
ようやくエミリアの前まで来たというのに……
スバルは自分が死ぬしかない状況を越えられるのだろうか?



普通

因縁有るユリウスと行動を共にすることになったスバルが向かうのはこれまた因縁有るペテルギウスの元
けれどそれらを越えた先に待つエミリアにこそスバルは謝らなければいけないわけで
スバルにとって試練となる回

スバルがまず踏み込んだのはユリウス相手だね
ただ、この場面は先に礼を口にしたユリウスの方が大人か。彼の言葉があったから、スバルも彼に対して以前の非礼を詫びることが出来る
両者が互いに譲り合い、そして踏み込んだ為に越えられた遺恨
大嫌いだと伝えあった事で二人の丁度いい距離感は定まったようで

次にスバルが対峙したのはペテルギウス。恐怖も憎しみも有るはずなのに、それらを越えて囮となる道を選んだスバル
ここでも彼が相手の懐に踏み込んだお陰で奇襲は成立する
スバルの姿勢が打倒ペテルギウスへと繋がったわけだ

ただ、ここで終わらないのが厄介な驚きであったけど……
因縁が終わらないなら、味方を死地に追いやった悔恨があってもスバルは姿勢を変えてはいけない。変わらずに戦い続けなければならない
ヴィルヘルムの言葉は俯きかけてしまったスバルに必要なものだったね



全体
とても良い
映像
とても良い
キャラクター
良い
ストーリー
とても良い
音楽
とても良い

一作目を見た際、衛宮家に留まる桜の存在は士郎にとって暖かい家の比喩的存在になっていると感じたのだけど、桜にとっても衛宮家の存在は寄る辺となっていたようで
筆舌に尽くし難い過去を持ち、現在進行系で自身が危うい存在となりつつあることを自覚していた桜。そんな彼女に士郎は何でもない穏やかな顔で接してくれて、あまつさえ家の鍵を預けてくれた。桜にとって衛宮家で過ごす時間は心を温めるような時間だったのだろうな
でも、本作はそんな甘っちょろい穏やかさを許すような作品ではなくて。明かされるのは桜が既に侵食された存在であるということ。普通に笑っていられるだけでも奇跡のような時間であり、いつ自分や自分の周囲が壊れてしまうかあやふやな身体で居たということ
それを考えれば彼女が士郎の傍から消えようとしたのは周囲を守るためなんだよね。だというのに士郎は「俺が守る」なんて言っちゃうんだもんなぁ…
それは桜からすれば奇跡の継続であり、同時に壊してはいけないものが増えてしまった瞬間でもある

桜に忍び寄る侵食。本作では桜を中心として様々なものが侵食されていく様子が描かれている
有るべき姿を無くしていく聖杯戦争、士郎に移植されたアーチャーの片腕、衛宮家に次々とやってくる少女達、凛も共有していた士郎との思い出、
その状況は桜を追い詰めたのだろうなと推測される。変わってしまった片腕は目に見える異変であり、見えぬ異変は近づいていく凛と士郎の関係。元々身体が限界だったのも有るのだろうけど、桜を大胆な行動に走らせたのは自分と士郎で構成されていた衛宮家が侵食されたからなのだろうね
そんな彼女を力強く受け入れた士郎がとても格好いい

このHFという作品に対して士郎が掲げる正義の味方という精神は非常に適っている。
囚われた心を持ち自分は悪い人になると考え、自身が他人に与える恐怖に怯える桜。そんな彼女を前にして彼女が恐れながらも最も欲している言葉を何の迷いもなく言い放てる士郎の姿は正に正義の味方としか言いようがない
だというのに本作は一方で士郎が掲げる正義を試すような展開に進む

間桐臓硯が悪であり、彼を倒せば桜の平穏な日常は手に入る。それが理想的な正義の物語だったけど、本作はそんな生温い事許してくれない。
大を救うために小を切り捨てる。切嗣はこれをやって行き詰まった。そして切嗣を目指して正義を志した士郎に突きつけられるのは全を救うために桜一人を切り捨てなければならいという現実

一方で有る種哀れに思えてしまったのが慎二の存在
彼は間桐を継ぐ者であった筈が持つものを持っていなかったために桜に負けて、弓道で士郎に負けて、預けられたライダーも自分のものとはならなかった。誰からも期待されず、本物になれない偽物の魔術師
そういった環境に居たとなれば彼が少しずつ追い詰められていったことは容易に察せられる
彼が桜にしたことは到底許されるものではないけれど、それでも彼を哀れに思う気持ちは止められない

士郎と過ごした日常を侵食から守るために自分を押さえつけていた桜の背を押してしまったのは、別の侵食される日常の中で生きてきた慎二。そして姿を表す全ての歪みの元凶
誰がどう考えても望まれる正義なんて一つしか見つけられ無い状況で桜だけの正義の味方になると誓った士郎に一体何が出来るのだろうか



良い

最終回ではどんなキャンプをするのかと思いきや……
良い意味で野クルらしい、へやキャンらしいキャンプになりましたな

場所は校庭で、食べるのもツナ缶鍋にマシュマロと手が込んでいるわけではない
それでもいつもと変わらず温かいキャンプ模様に見えるのは梨っ子スタンプラリーでの蓄積が有ったからこそ。ぱっと見は寂しいキャンプでも、ラリーに関する思い出話や裏話をするだけで楽しい空間になる。想いがこもったキャンプになる

楽しいをたくさん教えてもらったなら、今度は自分が知ってる楽しいをたくさん教えたくなる
野クルがなぜこれ程までに「楽しい」に満ちた空間であるか、伝わってくるかのような最終回だった



全体
とても良い
映像
とても良い
キャラクター
良い
ストーリー
良い
音楽
とても良い

正義に固執する少年衛宮士郎と囚われの少女間桐桜を圧倒的な映像美で描いた物語。Fateシリーズに触れるのは随分久しぶり
この章は導入部分でもあるためか、物語の芯の部分はあまり描かれず。これまでも幾つものパターンで描かれてきた聖杯戦争を舞台としつつも影に潜む者達の暗躍によって歪んだ聖杯戦争となっていく様子が描かれている
英霊たちのバトル描写を楽しむ流れは以前のUBWを思わせる要素があるからこそ、英霊たちの戦いが「影」によって穢されていく描写は何とも辛い。Fateシリーズに思い入れがあればあるほど、心に響いてくるだろうね

そういった展開の中で最も印象的なのは士郎にとって桜が暖かい家の比喩的存在になっていく様子
切嗣によって引き取られながらも唯一の家族である切嗣を亡くしてしまった士郎。面倒を見てくれる藤姉はいてもやはり彼は孤独。だったのに押しかけるようにして桜が現れて、いつの間にか桜がいる生活が当たり前のようになってしまった。合鍵を渡す形で桜を家に居て当然の存在と定義する流れは良いね
桜を気にかけ受け入れている士郎だから、その兄貴の間桐慎二には思う所がある。そして慎二は慎二で弓道において自分より優れた成績を修めながらも執着無く去っていった士郎にコンプレックスがある。そういった関係性なのに、士郎は慎二に対しても善人面をしてしまうのだから慎二としては堪ったもんじゃないよなぁ……
聖杯戦争が始まった辺りから慎二は行動が過激になっていくのだけど、それって少なからず士郎が理由になってるように見える
でも、そのような状況になっても士郎が慎二に目を向ける理由は聖杯戦争に参加するマスターだからではなく、桜の兄貴だからという辺り慎二は更に歪んでいきそう。そして慎二の歪みがまっさきに向けられるのが桜であるという理不尽

一方で見えてくるのは桜の士郎への信頼と依存。士郎の家を訪れ始めた当初は暗い表情ばかりだった少女が士郎との触れ合いを通して徐々に明るい表情になっていき、幾つかのシーンでは普通の少女のような表情をする風景は見もの。また、最初は服を綺麗に畳むことさえ出来なかったのにいつの間にか上手になり、料理にも積極的になった。それらの変化が何よりも桜が衛宮家で過ごした時間の長さを表している
一緒に過ごした時間が長いということは一緒にいることが当たり前になってきたという意味でも有って。士郎によって提案される桜を家に泊める展開。これはちょっと驚かされる部分もあるけれど、両者にとってこの提案が素っ頓狂なものとして扱われないのはそれだけの蓄積があるからなんだよね
「もしわたしが悪い人になったら……」という日常ではあまり聞かない言葉を使った桜。彼女が抱える闇に対して正義を志す士郎は何処まで立ち向かえるのか、今後のストーリーが気になりますよ?

事態は混迷を深め、士郎の隣からセイバーは居なくなってしまった。それでも士郎の帰りを待ってくれていた桜の存在には士郎だけでなく視聴者まで癒やされてしまうね
でも、先の展開を思うと……



良い

待ちに待った真の解決編
やはり推理モノに於いて探偵が真実を明らかにする瞬間というものは興奮するものです
本作では真実ではなく虚構なんだけどね

ここまで辿り着くのに随分時間がかかったが、それもその筈。琴子は解決と偽って3つの虚構によって仕込みをしていたわけだね
鋼人を消すには人々を納得させなければいけない。そして納得するにはただそれらしい解決を授けるのではなく当人に推測させなければならない
人は誰かに貰った答えよりも自分が見つけた答えを信じるものだから

その為に琴子が行ったのはこれまでの解決で示された要素を土台とした「七瀬かりんは生きている」という物語の披露
その刺激的な物語に人々はこれまでに提示された解決を拝借して解釈を与えるようになる。
そこに「サイトの管理人はかりんである」と更に刺激的な話を加えれば最早亡霊が信仰される隙はなくなる

鋼人七瀬という不自然な存在の出現を肯定してきたまとめサイトが一瞬にして鋼人を否定する論拠となる瞬間は痛快
鋼人は虚構から出現した存在。面白く刺激的な嘘によって成立したから、そこに別の刺激的な解釈をぶつけられれば支持を得続けるなんて出来やしない
ここで立花が下手な否定をした所で「管理人は七瀬かりんである」と疑われる根拠になってしまう徹底的な封鎖

勿論、この解決は琴子の推理力だけでなく九郎が何度も死んで未来を決定し続けたから成し得たもの
琴子だけでは足りず、また九郎だけでも足りなかった。二人の合力によって届いた虚構による虚構討伐
うん、素晴らしい解決編でした



良い

前回の育人はコンセプトを用いて自分のショーを表現したけど、今回の心と千雪はモデルの力とデザイナーの発想によってショーを表現する
だから、千雪は心に勝つ隙が生まれるし、心がデザイナーとしての力を示す場ともなる

心と千雪は協力するけど友達じゃない。モデルとしてライバルであり、モデルとデザイナーという従属関係でもある
だから馴れ合いにはならず、切磋琢磨する関係になれる
「素敵なウォーキングをして」「私の想像を超える服を作って」と要求し合う関係は良いね

一方で二人が胸に抱く「見返したい」「認められたい」との感情
また、心はモデルよりデザイナーをしたいが同時に五十嵐へ「恩を返したい」とも思う
二人が作り上げた舞台は様々な感情の上に立脚しているね
だからランウェイを歩く千雪はただ歩くだけで済むわけじゃなく、様々な演技を求められる

千雪は一人で何往復もしてモデルとしての自分を遺憾なく発揮した
心は努力に努力を重ねるデザイナーとして大量の服とアイテムを用意した
でもそれらは小手先の誤魔化しでもある
だからこそ、ラストに心と千雪がすれ違うことでネタバラシがされる局面が用意される

心の登場はやはりオーラの凄さが滲み出ているが、同時にそれまでランウェイを支配していた千雪の才能も伝わる
また、五十嵐に違和感なく着られるスーツを用意した心のデザイナーとしての力量も示される
このランウェイによって五十嵐はモデルとしての千雪もデザイナーとしての心も認めざるを得なくなる
二人は五十嵐を見返して認めさせたわけだね

育人のコンセプトショー、心と千雪のモデルショー
素晴らしい二つのショーの後に待ち構える本命の遠の存在が恐ろしい……



とても良い

出会いは人を変える程のパワーを持っている
そして人はそのパワーを持って自分の行動を変えることが出来る
そんな事を感じさせた内容だった

沖縄まで着いてきたあおの行動には驚かされたが、両親や皆の強力あってこそでしたか
それもこれも全ては転勤問題の際に行動したことで事態を好転できると知った経験があったから。
そして何よりもみらとの出逢いが星を見つけたいとの想いを強くさせていたんだろうなぁ

この回のあおは背もたれに頭をぶつけてしまうくらい前のめり。
困ったちゃん扱いされる行動だけど、職員には根性があると評価される
遂には見学者の筈がノートを持って講義を聞く姿勢がいつの間にか参加者との壁が薄くなり、飛鳥に引っ張られることで参加者との境が無くなってしまう
これも全ては行動の結果だね

ナナからは「そんなの駄目だ」と反対されるあおの行動。一方で諦めないあおの行動はイノ先輩にも今できることをしたいとの想いを強くさせ、遂には七海自身にも影響する
あの堅物気味なナナが「石垣島に届くくらい」の大量てるてる坊主を作るとは思わなかった。
その行動には直接の意味は無いかもしれないけど、何もしないで後悔などしたくないとの気持ちを感じさせた

それらの行動を起こさせたのはやはり出会いが大きな要素となる
みらはあおに、イノ先輩は桜先輩に、七海は地学部に。そして幸はかつてのきらチャンで仁科と出逢ったことがその後の人生を変えさせた
出会いは人を変えるし、自分が変わることで行動も変わってくる

そして、この回を見るとみらはずっと前のめりに行動していたのだなと判る
会ってすぐに相手にあだ名を付けて仲良くなる距離感も夢に真っ直ぐな姿勢も。
あおと出逢って以来、彼女はずっとアクションを続けてきた
それがこのきらチャンで報われるのか、気になる所



良い

ローザを始めとする人狩りによる危機はソマリが人間であるが為に訪れたかのように見えるけれど、実際の所は種族の違いってそれぞれの行動理由にはあまりなっていないような気がする

ゴーレムの為に組紐を編んだソマリ、ソマリの為に組紐を買ったゴーレム
二人の行動に違いなんて無いね。どちらも親を、子を想う気持ちがあってその気持ちを示すために組紐を用意した
そこには種族の違いなんて無く、被ってしまった贈り物は互いが同じ想いを抱く証

シズノの提案で雪遊びすることになった面々。当初はソマリとシズノ、子供に見える二人だけだったのにいつの間にかヤバシラもゴーレムも巻き込まれてた
夢中になって遊ぶ彼らに違いなんて無い。皆同じように楽しむ
親子の雪だるまが並ぶ光景。人間のソマリとゴーレムの間にある種族の違いも見えなくなるね

人狩りが迫る中、ソマリが人間と知って驚くヤバシラ
シズノは種族を理由とせず、友達だから守ると言った
ならばヤバシラも種族を理由としない。作った菓子を美味いと言った。また皆で食べたいと言った
それがヤバシラにとってソマリを守る充分な理由になる展開は胸が温かくなる

ゴーレム達を騙し檻に閉じ込めたローザ
彼女の語る昔話は異形と人間のすれ違いの物語。ここには確かに種族の差があり差別へと繋がった。でも、それだけ
今を生きるローザ達がソマリを殺していい理由にはならない
結局の所、ローザ達がしているのはかつての人間と同じ。自分と違うから狩る。その行動には何の違いもない

何もかもが滅茶苦茶になりソマリが傷つけられようとする中で訪れるゴーレムの異変
人間ではなく異形にカテゴライズされる筈の彼の姿は異形にすら恐れられる
それぞれの違いが見えなくなる中で示される明確な異形
ゴーレムは異形として全てを壊すのか、父親としてソマリを守れるのか……



とても良い

白鯨が三匹になってもスバルの戦意は消えないまま
多少の強がりは有るだろうけど、「このくらいの絶望で」と豪語できるのはこれまでに歩んだ道があったからこそ
そして最も弱い彼だから、天高く避難する本体を見つけられるし、兵士たちの士気を取り戻す象徴にもなれる

スバルの抵抗と同時に描かれるヴィルヘルムの過去。
守るために剣を手にしたヴィルヘルム。だというのに彼の前に現れたか弱いように見えたテレシアは彼よりずっと強く、剣の運命に囚われた存在
ヴィルヘルムは現在で白鯨の支配に抗いつつ、過去ではテレシアを縛る運命にも抗う

閉ざされかけた未来を手にすべく先陣切って戦うスバルが居るから、ヴィルヘルムもあるテレシアとの遣り取りを回顧しながら初期衝動を掴み直し白鯨へと挑む
この瞬間、ヴィルヘルムにとってテレシアとの逢瀬は過去ではなく現在となり、愛の言葉を捧げる未来へ繋がるわけだね

白鯨の消滅と共に終わる夜
なら次にスバルが向かうべきは魔女教の脅威
スバルを奮い立たせてくれたレムは傍に居ないまま旅立つことになるとは。
遺恨有るユリウスやこれから対峙するペテルギウスにスバルは何処まで抗い、未来を掴めるのかな?



普通

高い空からやってきて、スバル達の未来を押し潰し飲み込むかのように襲撃する白鯨
それに対し、未来を切り開きその手に掴むが如く突き進むスバルの姿が格好いい

巨大な白鯨に対して一番槍を取ったスバルとレム。二人を追うようにしてクルシュ達は照明弾で夜を引き裂いた
それはあたかも白鯨に支配され閉ざされていた未来への道が開かれたかのよう
だからか、照明弾で夜が消えている間はヴィルヘルム達の攻撃はよく通る

それが変わるのは白鯨の霧によって再び夜が訪れてからだね
白鯨の攻撃で存在が消される兵士が続出し、残った兵士たちは恐怖に縮こまる。
おまけに精神攻撃まで受けて阿鼻叫喚の地獄絵図。
白鯨が支配する夜の時代が訪れ、未来は閉ざされたかのよう

この状況を再びスバルが変える展開は素晴らしい。
夜に包まれたままでもスバルはレムと共に白鯨に抗う
スバルが開いた道に付き従うかのようにヴィルヘルムも再び剣を振るう
スバルの行動は白鯨に支配されていた時代への抵抗をそのまま表現している



普通


普通


普通


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