輝く(物理)
愛のステージを見て憧れた詩織にとって、愛は「伝説」であり「最強の象徴」だったのかもなと。好きだった時代のセンターを崇拝してしまうのは、現実のアイドルでもよく起きる現象なので……。
世の中に受け入れてもらえない身体になってしまったからこそ「居場所」の重さがあるし、時間の経過について語られたときの切なさがある
やっぱり話の肝がアイドルではなくゾンビのときのほうがこのアニメは面白い
しかし、樹璃役の三石さんがいらっしゃるアニメで暁生乗りが出るのシュールだな……
ゾンビアイドルもの。ぶっちゃけオープニングが一番ホラー。
アイドルとして王道ストーリーの合間にゾンビ要素が挟まってくる感じ。
後半になるにつれて表舞台での話が多くなるので、自然とゾンビ要素が薄れていく。でも、問題の解決策がゾンビの特質ありき。結局彼女たちがゾンビィであることが大前提の話なのである。
本物のアイドルに取材して得たディテールの細かさもなかなか。
個人的にはリリィの話がピークかな。愛と純子の話が思いのほか良かったせいでハードルがあがってしまった感が否めない。
特に終盤は余裕がないさくらに対しての理解が少なく、今まで尽力していた彼女が可哀想なまま話が転がっていく感じは見ていられなかった。
その上、2期の匂わせをして終わるという残念さ。既にリベンジが出ているからいいものの、死んで伝説となったアイドルがゾンビとして生き返ってロコドルをしている、いわゆる「身バレ」という一番ドラマチックで面白い展開をやらず、それどころか二期を匂わせて終わりという締まりの悪さはいかがなものか。
総評としては「大味なファンタジーアイドルもの」。ゾンビ要素が強い前半は面白いけど、アイドル要素が強くなる後半になるにつれて面白さが減っていった印象。
例え持ってないとしてもさくらに助けられてきたからこそ、さくらと一緒に失敗して心中する覚悟のある六人。その熱意と決意に呼応するようにステージに立つことを決めたさくら。
まあゾンビだからどれだけ持ってなくても関係ないんだけどね!!!!!!!!!
これまでもゾンビという性質に幾度となく助けられてきたフランシュシュ。
それが最終回にして愛ちゃんと同じかそれ以上に活きて、さくらのトラウマすらその不死身は打ち破っていく。
その努力と持ってないところをおそらく小学生の頃からずっと幸太郎は後ろから見ていて、故にさくらに諦めないでいてほしかったんだろうな。
が、たえちゃんの正体を筆頭に謎は多く残ったまま。
活躍すればするほど彼女たちの過去を知る者の目に触れる可能性が高まり、同時にゾンビだとバレる危険性も高まる。
自分としては実はそっちのほうが気になってはいた。
記者の人が芸能活動をしていた三人に触れて終わるということは、リベンジで触れてくれるのかな?
ひとりだけ記憶が戻らない状況でそれに繋がる場所でのライブが決まり、焦ってしまうさくら。
それ自体がとても普通のことだからこそ、もう少しメンバー同士でのやりとりというかさくらに向けての言葉があってもいいんじゃないだろうか。
さくら含めて全体的に自分で気付くことに任せすぎでは……?
曲が完全にパロディで笑っちゃった
マブダチが憧れた「普通」を守りたいサキなんだろうな……
まさかリリィちゃんが男の娘だったとは……
親子愛に弱いもんで泣いてしまった
しかし、ゾンビものとして見始めたけど物凄く良質なアイドルものですね
全体的にアイドル解像度が高い
愛も純子もアイドルとしては正しいんですよ、とても
現実でアイドル論の押し付け合いというのは本当に死ぬほどあって、スキル・ビジュアル・性格や対応に分かれて仲良くなれないこともある
だけど、愛と純子のように、互いの価値観を理解して「あなたがそうなら私はそう」ってやってる人がほとんどなんだよなと改めて現実のアイドルについて思い直してしまった
ただ、私の涙スイッチは完全にたえちゃんだった
彼女がマイクをしっかり持って踊っていることに気付いた瞬間、努力がハッキリと見えてきて、気付いたら最後のライブパートで涙が止まらなくなっていた
しかし、巽、お前、いいこと言えるのにあんな締まりが悪いんだ……(笑)
放送当時にヤサコたちと同じような年齢だったけど結局最後まで見れてなかったのをアマプラ配信をきっかけに視聴。
最初はいわゆる小学生が持っているバカさや明るさの印象が強いが、イサコのやっていることやしたいことが紐解かれていくごとにストーリーが徐々にシリアスへと展開していく。その過程自体に加え、事件が起きる場所の狭さがいい意味で「小学生」という感じ。人間模様も含めて色々と妙にリアルでよかった。
ただ、電脳コイルの作品としての評価はストーリーではなく世界観にあるんだろうなとは思う。SF特有の世界観に対するワクワクや憧れが強く補正をかけているように感じる。面白いは面白いんだけどね。たぶん妄想とかする人にやたら刺さるだけで、そうでない人たちにはあんまり刺さらないと思う。
個人的には発毛回がお気に入り。あれ面白すぎない?
現実の痛み(イジメ・仲違い・価値観のズレ・死別)をきっちり描いているからこそ、最後の「痛みの方向に進め」が活きているように感じた。
痛みに慣れていく前の思春期の心の機微に触れているような感覚があとに残った。とても曖昧なんだけど、とても柔らかかったなと思う。
妹のいるヤサコ、兄のいるイサコ、弟のいるフミエとメインを担う子どもたちに総じて兄弟がいるのに対し、おそらく一人っ子であろうダイチが終盤のシリアス本編から外れているのは意図的なのかな。
しかし、サッチーの手は最初から飛ぶためにデザインされてるとしか思えなくてちょっと笑ってしまった。翼としての違和感がなさすぎる。
イサコイジメのときもそうだけど、電子ペットがなかった世界での生活が長かった母親のバーチャルに対する無理解が妙にリアル。そのあとのヤサコの言葉や犬の鳴き声で心が痛かった。
一方、猫目のリアルを蔑ろにする感じも、マユミと仲違いしたまま引っ越したヤサコもまたリアルで……この小学生を中心に描かれている人間としての仕草たちのリアルさが電脳コイルのいいところだなあと。
唯一の救いは、デジタルではイサコに負けていたダイチがフィジカルの強さを手に入れて物理で制したことだけか。
あと、声が矢島晶子さんだからこその京子の良さを登場するたびに感じている。