現実の痛み(イジメ・仲違い・価値観のズレ・死別)をきっちり描いているからこそ、最後の「痛みの方向に進め」が活きているように感じた。
痛みに慣れていく前の思春期の心の機微に触れているような感覚があとに残った。とても曖昧なんだけど、とても柔らかかったなと思う。
妹のいるヤサコ、兄のいるイサコ、弟のいるフミエとメインを担う子どもたちに総じて兄弟がいるのに対し、おそらく一人っ子であろうダイチが終盤のシリアス本編から外れているのは意図的なのかな。
しかし、サッチーの手は最初から飛ぶためにデザインされてるとしか思えなくてちょっと笑ってしまった。翼としての違和感がなさすぎる。
イサコイジメのときもそうだけど、電子ペットがなかった世界での生活が長かった母親のバーチャルに対する無理解が妙にリアル。そのあとのヤサコの言葉や犬の鳴き声で心が痛かった。
一方、猫目のリアルを蔑ろにする感じも、マユミと仲違いしたまま引っ越したヤサコもまたリアルで……この小学生を中心に描かれている人間としての仕草たちのリアルさが電脳コイルのいいところだなあと。
唯一の救いは、デジタルではイサコに負けていたダイチがフィジカルの強さを手に入れて物理で制したことだけか。
あと、声が矢島晶子さんだからこその京子の良さを登場するたびに感じている。
作戦を伝えられるシーンもそうだったけど、背負ってきたことがあまりに多すぎてシンが潰れかけているようにしか見えず……
ここまでくるともういっそそれぞれが思っている形でいいから満足のいくような結末になってほしいと願う
それが命を散らすことでも
誰かのためにならないことでも