数か月のうちにフットサルやバレー、バスケなどをセミプロレベルまで上達させつつ、学校に行き、歌やライブの練習もしたりといくらギアがあるとはいえ精神と時の部屋でも使っているのかという詰め込みっぷりだが、葉山陽和とRISEのサクセスストーリーとしては王道かつ爽快感があり、登場キャラクターは皆ひたむきで不快になる要素は全くなく、見ていて楽しかった。陽和がたった一人から始めた挑戦を「S×S×S」や「RISE BLOG」で補完しながら見ていった時の最終回のライブシーンは、見ているこちらも涙が出るほど。RISEの話も他のチームの話ももっと見たい。
設定やストーリーはツッコミどころが多くとも、主題歌、作画演出、キャラの掛け合いの良さで駆け抜けたアニメという印象。
ストーリー面では強引な幕引きに行ったり、DA上層部がアホだったりとB級ハリウッド的な展開に唸る場面もあり、設定を生かし切れていないのではと感じた。
一方で千束とたきなの感情や動作の見せ方は、作画の丁寧さも相まって特徴的なリアルっぽい魅力があり、さらに演出(特にEDへの引き)の上手さがストーリーのガバさを補い毎回の満足感を高めてくれた。このあたりは作監を長く務めた足立監督の手腕が発揮されているのかもしれない。
キャッチコピーに「ふたりの時間、選びとる未来。」とあるようにストーリーは舞台装置として割り切り、千束とたきなの掛け合いと行く末に注目するのが一番この作品を楽しむことができる見方なのだろう。