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良い

好きな人に近づく為、探偵に依頼をしたりお化けに変装したりなんてあの少年がやる事は恐ろしく大袈裟だね。それが報われれば彼の苦労には意味があったと言えるだろうに、実際は南雲の同情を引けた程度だったという
大袈裟にやったからって良い結果が得られるとは限らない。そう示すかのように想い人である真白が本物のお化けを連れて来るのは度肝を抜くけど、間が抜けているとも思えるコメディ劇と思えましたよ

探偵が偽りの罪で逮捕されるという幾らでも面白く出来る展開を唯のそっくりさんでしたオチで終わらせる本作は凄いね
このように大袈裟にしない方が面白くなる場合もある
だからか続くCパートも爆弾解体という王道展開というかコナン映画を彷彿とさせるストーリーなのに、解体せず蹴り飛ばすオチへと至るのは何と言うか話を大袈裟にしないという意味では正しいのだけれど、展開としてはすっごい勿体無いんだけど、逆にそれが笑えるという奇妙な感覚に
また、その場に何故か根津が居た事もお笑いポイントを高めていたよ(笑)



普通

テーマを明確にして描き直すことで気付ける要素って有るんだなと思えましたよ



とても良い

コミカライズ既読
れな子っていわゆる高校デビュー組であり、真唯達に合わせる為にかなり無理をしている、いわば相手に合わせて演じていたタイプ
そんな彼女が陽キャグループの中で心安らぐ居場所を得るなんて難しい…と思われた構図が、打ち明け話を経て圧倒的陽の者である真唯とて相手が望む自分を演じているのではないかと不安を抱くタイプであると知れる
純正の真唯と急造のれな子。真逆と思われた二人に見つかる共通項。それが友人関係の構築に役立たず恋愛へと至ってしまうのは難儀な展開だ(笑)

自分を陽キャだと演じるれな子はそれ故に演技を必要としない、いわば真実を打ち明けられた真唯をこそ本当の友達として欲した
だというのに真唯は同じ理由でれな子相手に恋心を抱いてしまうなんてね
厄介な点は真唯が同性でも惚れてしまいそうなスパダリタイプである点か。彼女の威風堂々とした言動にれな子は翻弄され魅了されてしまいそうになる。いわばれな子は真唯を恋愛的な意味で好きになりそうな心を偽りつつ、真唯に友達関係を求めている
それは初めから破綻した即興劇を見ているかのよう

恋人や友達の素晴らしさを互いに教え合う日々。それは対等な勝負であるようでいて、友達と恋人の切り替えスイッチを真唯が握っている時点でれな子は圧倒的に不利なのだけど、そこに気付かない純真さをこそ真唯は好いているような
互いに求めているのは偽りが差し込まれない本物として向き合える関係。過程はほぼ同じなのに最終的な結果は相容れない。果たして二人が辿り着くのは友達か恋人か。両立しない関係を巡る二人の鍔迫り合いは一風変わった百合モノとして存分に楽しめそうですよ



良い

番組が飲酒等に関する諸注意から始まるって本当に凄いよ、この作品は……
海中に潜っている時は真っ当なダイビング作品なのに、それ以外の時が酒と裸に占められているのもヤバいし凄い
本編、伊織は栞への言い訳に苦慮していた筈なのに、それが通り過ぎればお色気写真を如何にして見るかに脳が締められてしまうなんて随分と享楽的
そんな彼が天罰を受けるように奈々華に落とされる、このようなお馬鹿ギャグには今期も愉しませて貰えそうで嬉しい限りですよ



良い

原作既読
賑やかなゲームセンターを舞台に描かれるのは異なる言語を用いる蓮司とリリーによる恋愛物語
アニメにおいて異なる世界・常識に居る2人を主軸とした物語なんて数多く存在するけれど、本作で描かれるのは言語障壁という身近な問題だからか最初の擦れ違いも意味の取り間違いという有り触れたお題
リリーは蓮司が自分にどのような感情を向けていたかについて完全に勘違いしていた。それだけに、彼女の勘違いをどう収束させるかという点に本作の良さが滲み出ていたよ

蓮司は店員だからリリーがクレーンゲームで苦戦していても過度に手伝えない。せいぜいが取り易い位置に変える程度か
だから蓮司が客と店員の障壁から抜けてリリーと接するには業務時間外である必要があって
それでも蓮司がリリーと向き合った際の言葉には擦れ違いがあった。勘違いで生まれた恋心を放置せず、丁寧に相手の言葉へと翻訳して想いを伝えた彼は相手の世界へ踏み込んで交流したと言える。だからリリーは真実を知っても彼に裏切られたと思わず、むしろ好きにさせると再チャレンジを誓えたわけだ
ゲーセンという舞台で行われる異文化交流、2人のこれからに期待が持てる初回と思えましたよ



とても良い

原作既読
これは傑作になれる作品だと思いながらアニメ化を待っていたけど、いざお出しされた作品が想定以上だったものだから嬉し泣きしそうですよ
千鳥の凛太郎と桔梗の薫子、街中では普通に会話できる二人も学校に所属する生徒としては校舎の間にそびえ立つ見えない壁によって安易に話しかけられない間柄となる
凛太郎にとって薫子は別の意味で高嶺の花。そして凛太郎は同じ校舎の友人にさえも壁を作っている。だからこそ、壁を飛び越えて信じてくれた薫子に凛太郎が魅了されるのはとても良いボーイ・ミーツ・ガールものとして成立するわけだ

桔梗の生徒と擦れ違ったシーンに表れるように、桔梗と千鳥の間には見えない壁がある。それを理不尽だと翔平達が考えないのは向こうとこちらでは住む世界が違うと理解しているから
この諦観に近い感覚を凛太郎は同じ校舎の友人にすら抱いているのは特質すべき点か
不良からも怖がられる見た目なのに、実家はケーキ屋。それも壁と感じてしまうから、ケーキ屋ではない友人達にはそれを明かせないと
そう考えると、可愛らしい女の子なのに沢山のケーキを口いっぱいに頬張る姿で登場した薫子は壁を打ち砕く存在か

薫子の特質すべき点は一度は逃げてしまったのに、再び会いに来てくれた点だね
彼女は壁を越える事を恐れていない。壁の向こうに何が有るかをしっかり見定めようとしてくれる
でも、彼女の誠実さに直面した凛太郎はすぐに薫子を受け容れるなんて出来やしない。なんてったって凛太郎って壁の中に閉じ籠もっているような状況だから

だから凛太郎が真の意味で薫子の隣へ行くには彼自身も壁を越える必要があったわけだ
か弱い薫子は不良に絡まれても凛太郎は怖い人ではないと信じる心を止めず立ち向かった。ならば凛太郎だって壁を越える為に行動する必要があって
薫子を抱きしめた瞬間、二人の間に壁はなかった。だから薫子の「有難う」が痛い程に響いてくるのだろうね
少年と少女は出会ってしまった。そして少年は少女が壁の向こう側で学んでいるのだと知ってしまった
これから二人が数多くの壁をどのように打ち砕いていくのか、そしてその最中に交わされる優しい物語がどう描かれるのか期待大ですよ!



とても良い

本作って「オタクに優しいギャル」みたいな構図の作品なのだけど、その実態はマジョリティの側にいる海夢がマイノリティな生き方をする若菜の傍に寄り添い、彼の力を借りた上でコスプレというマジョリティとは言い切れない趣味を楽しむ様子を描いた作品なのだと思っていたり
だから、屋上近くの階段踊り場にてアニメを語らう若菜と海夢の姿はまるで多数派から隠れて趣味を楽しむ少数派かのように見えてしまう
その要素は若菜の失敗やラストのカラオケシーンへと繋がっていくのがまた本作の面白さだと思えるのです

第二期初回のコステーマはバニースーツ。海夢が主張するようにバニースーツは多くの作品やファンアートで用いられてきた人気ある衣装。そして布地が多いわけでもないから難しい衣装ではないように思える
そこに若菜が嵌まった罠が有ったようで。若菜は見た儘から材質・内面を想像してしまった。でも見た後に一旦立ち止まって考えてみれば種や正しい姿は見えてくるもので
そんな間違いを驕りではなく、楽しめば良いと教えてくれた宇佐美は若菜や海夢の多様性すら認めているかのよう
…まあ、理解が有りすぎて若菜がバニー衣装を着ると勘違いしてしまうのは良いんだけど今回は流石にね(笑)

若菜や海夢が普段しているコスに比べれば断然ライトなコスで集まったハロウィン。正体を隠した集団はそこに混じった者がマジョリティかマイノリティか判らなくさせるもの
でも、見た目なんて他者が見て感じ取るもので。だから若菜は浮いた集団の中でも浮いた衣装のまま自分は混じれているかなんて気にするわけだ
それだけに男で化粧が出来るのは普通と受け容れて貰えた上で雛人形師である点も凄いと褒め称えられた事は、自分は多数派に受け容れられない人間なのだと思い詰めてきた若菜の認識に罅を入れるものとなったようで温かい気持ちになれるね
でも、若菜があの集団に受け容れられる為の本当の疑問は別にあったわけで。これに若菜と海夢はどう返すのやら



とても良い

TVシリーズやって劇場作品を3作やって再びTVシリーズに戻ってくるという風変わりな構成の本作、まさか大学生編を映像化してくれるとは思っていませんでしたよ。しかもタイトル的に大学生編のクライマックスは再び劇場で流してくれそうな予感…!
原作は完結してしまったけれど、本作にはまだまだ楽しませて貰えそうですよ
さておき、大学生に成り咲太や周辺の年齢層が上がった事で思春期から脱したと思いきや、再び巻き起こる思春期症候群、咲太は未だ思春期から脱せられていないようで

冒頭で翔子による不可思議な報告が在りつつも、現在の咲太は大学生活を満喫していると判るのは良いね
変わらずスマホは持っていないし、友達関係も限られている。けれど、麻衣との関係は維持されているし、花楓を始めとして周囲の人間もそれぞれの生活が上手く進展していると察せられる。咲太的には余計な不安を背負い込まず、彼らしく青春を押下していると察せれられる
それだけにかつて麻衣が扮していたバニーガールを想起させるサンタクロースと擦れ違った瞬間から日常がズレ始める流れは本作ならでは

前作TVシリーズでは出番が少ないながらも、アレな発言で抜群のインパクトを残した卯月は変わらず空気を読まない言動で周囲を賑やかにしているね。その点は咲太に思わせ振りな対応をする美東とは少し異なるタイプながら卯月の魅力であると判る
彼女は周囲よりも煌めいている。だから彼女が何のきっかけも見えない形で没個性的で人の気持ちに配慮するタイプへと切り替わってしまった姿は変じゃないけど凄く変。まるで日常が何かの拍子に豹変してしまったかのような…
のどかの「これでいいの?」という台詞に集約される卯月の変異の本質。高校から大学へと舞台が変わった本作にて卯月という少女から女性へと変わっていく彼女がどう描かれるのか楽しみですよ



とても良い

死体安置所で眠る猫猫の姿はまるで墓守かのよう。死に接した場所に居る彼女に近づく壬氏とて楼蘭の死だけでなく多くの死に接してきたばかり
だからか二人が話すのは喪失に係る話ばかり。互いの傷を見て残りやしないかと気にするのも喪失を増やさないためか
それだけに傷に関わりなく壬氏という人間の本質に美しさ以上の価値を見出した猫猫の発言、これは壬氏が隠してきた正体すら関わりないと言ってくれるものだから後ろめたさが有った壬氏は感激してしまったのだろうな
……だからってあの場で致そうとするのは本当に良くないと思う(笑)

Bパートは喪失を乗り越えた先の始まりが描かれたね
猫猫は後宮を去った。それは厄介事からの解放を示すけど、同時に友との別れも示していて。楼蘭との関係は「わからない」で終わってしまった彼女が小蘭の手紙で涙したのは、あれを読んだ事で改めて3人での関係が尊いものだったと気付けたからだろうね
また、子の子供達が生き返ったのも喪失の中で得られたせめてもの慰めといった印象
それだけにラストに彼女が登場した事は色々な意味で驚いてしまったけども。玉藻と名を変えた彼女も喪失を乗り越え新たな始まりへと旅立ったようで

そして良くも悪くも変わらないのが壬氏と猫猫だなぁ(笑)
猫猫が後宮から出た事で二人は上司と部下の関係ではなくなった。おまけに壬氏の正体も直接に明言した訳では無い。その意味で二人はこれまでの関係を取り消して新たな関係を始められるだろうに色気も何も無い普段通りの問答
何も変わらなすぎて呆れてしまうけれど、そこに壬氏が掛け替えのない安寧を見出し、猫猫がそれを許しているのは見て判る
変わったようで変わって無くて、失ったようで失って無くて、始まったようで続いている。そんな曖昧なラストに穏やかさを覚えつつ、それでも続編制作決定を嬉しく思えてしまうのでした



良い

中年男性あるあるでゴリ押しする作品かと思いきや、ボケ・ツッコミ変幻自在な真白により、話がテンポよく展開していたのは良い驚き
南雲が体現する探偵像が古いものだと示されているわけだから、真白が近年の探偵像を体現した存在になるかと思いきや、彼女は彼女で探偵像からも助手像からも乖離しているってどういう事なの…(笑)
彼女が示すのはイマドキの若い子がどう生きているか。だから不倫の決定的証拠は直接撮るのではなく自撮り越しに撮るし、害虫と言われても虫じゃないものを駆除してしまうという…(笑)
その意味で真白は補ってくれる存在ではなく、南雲が不足する現代知識を素頓狂な方面へと引き摺り込んでしまう存在と言えるのかもしれないね
いや、それにしてもテンポ良いギャグに楽しませて貰えそうな作品ですよ



普通


良い

本作の主人公はオグリキャップなのだけれど、彼女の異名が『怪物』であり時折怪物の如き苛烈な表情を魅せるものだから主人公ながら主人公らしからぬと思える時がある
代わりに主人公然として来るのがタマモクロスだね。先行しオグリの猛追を受ける様子は彼女こそ困難に立ち向かう主人公であると示しているかのよう
オグリはタマモの強さを指して「本物」と言ったわけだけど、それを言ってしまった瞬間からオグリは主人公としての栄光もタマモに奪われてしまっていたのかもしれない

ただ、タマモとて今回のレースが勝てて当然だった訳ではないね。ロードを抜く為に脚は限界まで酷使していた。脚質に適した走り方をしていた訳でもない
彼女が勝利を掴む為には負けそうな自分を超える必要があった。その際に師匠から受けた薫陶が脳裏をよぎって限界突破・"領域"突入を果たすなんてそれこそ主人公の振る舞い
ルドルフやマルゼンはその突入を見て、「私達の仲間入り」というけれど、彼女らが時代を作った寵児であるならば、そこに仲間入りしたタマモとて時代を作る者という話になる。タマモは今回のレースに拠って今はオグリキャップの時代ではなくタマモクロスの時代であると存分に示したわけだ

他方で"領域"突入はタマモ一人で成し遂げられた訳でもなく
ノルンや北原が言うようにオグリがタマモを追い詰めなければ発生しなかった限界突破。いわばオグリがタマモを主人公にしてしまった形
それだけに、オグリはここで終わらないと気迫を見せた事により、タマモからライバル認定された事はオグリが主人公の座を奪い返すチャンスをその手に残したという話になる
だからこそ気になってくるのは二人が競う次なるレース。そこへ向けて世界の強豪が集まってくると示唆する予告編やら彼女の先行登場には興奮してしまったよ!第2クール目が早くも待ち遠しいね



とても良い

最終回は物語初期との対比を思わせる表現が目立ったような
大掃除に年越し更に初詣。それらは1年間に有ったイベントを綺麗に整理して、新たな始まりへと向かう季節の象徴的イベント。そう思えば大掃除の中で初期に行われたイベントを振り返る時間は生まれてくるし、振り返れば今との違いも見えてくる
そう思えば、冒頭にて中華料理屋へ一人で入店し注文したまこの行動に現れるように、まこはあのサークルに入って大きく変化・成長したと感じられるし、他の面々も何かしらの変化を経たのだと感じさせる最終回でしたよ

初期において食文化研究なんてダミーサークルの言い訳であり、彼女らの集まりに食なんて本来は不要な筈だった。けれど今では炬燵の魔力に負けても良い場面や水の冷たさに耐えても料理するのが当然な雰囲気が醸成されている
しのんは美食を味わえるイベントである年越しを月イチでしないと勿体無いと言うけれど、今の彼女らは何かしらのイベントにかこつけて美味しい料理を食べている。つまり今の彼女らは集まれる理由などが有れば一緒に居て美味しい料理を食べるような間柄になったという事で
この点にも初期との違いが見えたね

初詣はこれからの1年を意識するイベントだからか、つい去年を思い出す場面が有ったとしても、口に出るのはこれからの思い出に向けての期待感
また、合言葉である「ごちそうさま!」は美味しいものを食べた時に言葉であり、初日の出をバックに撮る際には不似合い。けど、それを口に事で彼女らがそれまでの一年間で味わった沢山の思い出を咀嚼しているようにも感じられて良かったな
お腹いっぱいまで食べてもつい考えてしまうのは次はどんな美味しい料理を食べようかという楽しい想像。それだけに新歓を通して食文化研究部をより楽しい集まりにしようとの気概が感じられたのは初期との最大の変化であると温かな気持ちで思えるような最終回でしたよ



とても良い

猫猫不在の中で行われた今回の話は解決編というより締めの処理といった印象を受けたよ
猫猫は名探偵のように賢いから誰かが救われる解決策を提示出来たりする。けれど、既に救われるラインを超え猫猫の手を振り払った子の一族に残されたのは解決策ではなく身の振り方だけ
それが判っているから子昌も楼蘭も悪役に徹し、その中でせめて守れるものだけは守ろうとしたと受け取れる終幕は美しいものでしたよ……

子昌は悪に徹して舞台に散った。そんな彼は己の分相応を理解しない神美にずっと振り回されてきたというのは哀しいね…
彼女を愛し後宮から救い出す為に様々な策を弄した。だというのに神美を取り戻す為の策が神美の気に障ってしまい彼女だけでなく子の一族の破滅に繋がってしまうというのは何とも言えない
それはむしろ神美に振り回されたというより、帝に振り回されてきたと言えるのかも。だからって皇帝に逆らおうとすれば一族皆殺しとなってしまうと考えれば、帝や女帝の方針に振り回されてきた彼らは早い段階から追い詰められており、身の振り方について選択を突きつけられていたとも受け止められるか

それだけに追い詰められた状況下、己の意思でどう振る舞うかを決断した子昌や桜蘭はやはり目が惹き付けられるものがある
名探偵はいない、自分の解決編は自分で見つけなければならない。世紀の悪女として自分こそが悪の中枢なのだと示した楼蘭は哀しいけれど美しさに満ちていた
けれど彼女の死が帝の問題が絡む形で引き起こされたなら、壬氏は傍観者になる事は許されず、身の振り方をどうするかが求められる
危険な目に遭わせてしまった猫猫への対応含め彼は己の真実と共にどのような解決策を示すのだろうね?そして猫猫はそれにどう返すのだろうか?



とても良い

温和な人であった重蔵が鬼へと染め上げてしまう描写はあまりに心痛むもの
けれど、どんなに染まったとしても染まらぬ前を信じてしまう事もあるもので
前回、隣家の娘は父がどれだけ乱暴に成っても鬼へと変じても父に殺される寸前まで傍に居た。同様に奈津も眼の前で鬼へと変わり果てる父を見た筈なのに、甚夜に殺さぬよう懇願していた
また、甚夜とて鬼を討つ者へと自身を染め上げたのに相手が父となれば躊躇う弱さを捨てきれていなかった
それらを思うと、どれほど一つの色に染め上げたとて、他の色が消え去る訳では無いと示唆するような話と感じられたよ

鬼へと変わり果て討たれた重蔵、鬼へと変じた甚夜を罵倒した奈津
どちらの姿も甚夜にとって喪失であり、父と飲み交わした瞬間も奈津と語らった時間も大量の雪に埋もれてしまったかのように、何処にも見えなくなってしまった
けれど、どれだけ後悔したとしても甚夜は己を鬼を討つ鬼へと染め上げてしまったから奈津は癒せない。鬼を生み出す元凶を討つ変わらぬ行動をするしかない
それだけに甚夜が他に選びようのない行動を選んだ果てに待っていたのが変わらぬ愛情であったのは唯一の救いであったように感じられたよ…

鬼を生み出す泉へと利用された白雪は鈴音によって染め上げられた存在。けれど、全てを失わず甚夜を信じる心を残し続けていた。彼女がそうして待っていてくれたから、甚夜も鬼退治屋へと染めていた自身の中から巫女守という己を見つけ出せた
それはまるで深い雪の中から春の芽吹きを見つけるような行いだったのかもしれない
時は流れ続け人は変じ続ける。その中で年を経ない甚夜は変わらぬようで居て変わる部分もある。そうした繊細な変化を尊く感じられるような締めのエピソードに思えましたよ



良い

折角のクリスマスイベントなのに、若干のホラー要素を含んでいるってどういう構成なんだろうね(笑)
学生にとって時間を過ぎて校舎に残っている段階でちょっとした怖さが有るだろうに、そこへフード女の噂を混ぜ込む事で何とも言えないホラー風味となっているね
ただ、これが本格的ホラーにならないのはフード女の正体がさくらである為なんだけど、正体が明かされた事を誰も知らずに終わってしまう為にやっぱりホラー風味になるという
噂が怖いというよりさくらが怖い展開だ(笑)

クリスマスは楽しみだけど、そこで友達を家に招くとなればちょっとした怖さが先立ってしまうもの。過度に掃除して飾り付けるまこの姿は理解できるけれど遣り過ぎ
それだけにくれあ達がまこの持て成しや料理を喜んでくれる展開は反動的な嬉しさが有るね
……と、楽しいクリスマスとして終わりそうだった所へさくらのサプライズプレゼントがまこを恐怖へ陥れるという。さくらには一欠片も悪気なんて無いのだけれど、齎された結果、というより届いた肥料の塊がホラーみたいだ…
しかも、当のさくらはロマンチックだなんだと言っているのだから、この話をコメディと取るかホラーと取るか難しい
だとしても今回のせいでさくらって存在が怖いタイプに思えてきたような…(笑)



とても良い

幼少期タマモのエピソードを此処に持ってくるとは
あれってタマモが位置取りたい場所をオグリが先に位置度っていたと解釈出来るかのような話で少し興味深いんだよね
そんな話から始まった為か今回は己のポジションをどう確保するかという話に終止したような
オグリとタマモ、どちらも偉大な記録が掛かっているが、記録に辿り着けるのは片方だけ。どうやって自分だけが最高のポジションを手にするか、そこを競うレースはレース開始前をじっくり描いてくれたのもあって白熱の一言!

オグリやタマモ、それぞれに適した脚質があるように位置取りの仕方はそれぞれ。勝利可能性を上げる為には自分の走りをしなければならない。相手に合わせて自分の走りを変えるなんて本来はしない筈で
そう考えると、以前は届かなかった勝利を確実に手中へと収める為に走り方を変えたロードとタマモは異質。特に脚質に合わない走り方をするタマモは際立っている
でも、彼女の走りは天皇賞(秋)勝利だけでなくもっと大きな勝利への位置取りを考えていたわけだ

タマモがしているのは一回だけ勝てれば良いという走りではなく、常に勝ち続けられる走り方や位置取り。その精神性は立派だが、これまでの自分がそれを出来なかったのは脚質等に合わないという不利が存在していたからで
だとすれば、未知なる勝利の為にタマモが走り方を変えた中でも走り方も位置取りも変えなかったオグリは特別な脅威となる
未知へ至るタマモ、既知を走るオグリ。たった一人しか手に入れられない栄光はどちらの手に転がり込むのだろうね



良い

作中的にはシーズンの終わりであり、作品的には最終回。ともすれば様々な締めを描かなければならないだろうに、むしろ本作で描いているのは始まりだね
アオナは売り子引退して球場を去るわけだけど、それだって教員としての始まりを前にしたワンシーンとなったわけで
同様にCS進出を逃したモーターサンズのシーズン最終日とて来シーズンに向けて火種を燃やす日々の始まりとなるわけだ

売り子の中で去りつつも新たな始まりへと向かったのがアオナなら、チーム内にて去る姿が描かれたのが松戸監督か…
彼自身の新たな始まりは描かれないけれど、彼が去る事で桐谷新監督によるチーム采配が始まる事が間接的に描かれているね
興行的なスポーツである以上は成績を付けられて人事の刷新が行われるのは仕方ない。ただし、サプライズコメントや胴上げ、そして観客の歓声を通して彼が球団の多くから愛されていたのだと感じられたよ
あの球場は去る者を追い出すのではなく、祝うようにして送り出すのだね

そして村田とルリコはシーズンが終わった事で一時的には球場を去ったわけだけど、同じ回で開幕戦が描かれた事で球場での日々を改めて初めた様子も描かれたね
二人の関係はビールを通して始まった。だから改めて始める時もビールを通してで
二人を祝すかのようでありつつ、球場の全てを祝す花火をクライマックスに持ってくる構成も、これまでに登場した人々が映る流れも良かったな。
球場では様々な人と人が交流し、一つのチームを精一杯応援する。独特な尊さが描かれた作品であると改めて感じさせる開幕最終回でしたよ



良い

酒は飲んでも呑まれるなというが、今回の話では酒によって人間性が呑まれてしまった者達が描かれたね
水城屋の主人は酒を呑み過ぎたら可怪しくなるのは当然だなんて言う。けれど人間らしい感情が破壊され鬼と化す酒は人の世に在って良い物じゃない。そのような酒が泉から湧き出る異常事態は人の世と鬼の世が近づいたかのような錯覚を受けさせるね
特にそこにあの鈴音が関わっていると成れば尚の事

甚夜が認めたように誰の心にも憎しみはある。しかし、誰もが憎しみ以外の感情も心に持つから憎しみだけで生きずに済む。例えば、前回は甚夜に憎しみの言葉を吐いた善二が失敗を取り戻すべく仕事に励むように。例えば、善二に厳しい事を言った重蔵が実は彼の失敗に失望しつつもまだ取り返しが付くと許容しているように
けれど鈴音が齎した酒は幾つもの感情が宿る心を憎悪一つに染めてしまう物
人間らしい複層的な心が憎悪一つだけと成れば、人は人で無くなり鬼と化してしまう

そのような酒を呑んでいるとなれば重蔵や奈津の安否は確かに心配になるね
ここで思い起こされるのは葛野に居た最後の夜の出来事か
あの時、甚夜は鬼の相手をさせられ鈴音が憎悪一つに染まる瞬間に間に合わなかった
それを思うと、秋津が鬼の相手を申し出てくれたシーンには尊さを覚える。勿論、秋津が甚夜を行かせたのは善意だけではないが、そうした複層的な感情が甚夜に猶予を与えてくれたのは事実
甚夜が鈴音を許せない心も重蔵を助けたい心も真実。その複雑に折り重なった感情の下で走る甚夜は今度こそ大切な人達を助けられるのかな?



良い

前回にて怪物と形容されたオグリはその名に恥じない走りを今回も魅せつけたね
全員が自分をマークし、進路まで塞いでいる。その環境下で勝つなんて普通は不可能。それでも不利を跳ね除けて1着を勝ち取ってしまうなら異質と表現する他ない
けれど、肝心のオグリ自身は別に怪物的存在を目指しているわけではなく。彼女が何を背負っているのか、そして何を目指しているのか。それを捉え直すようなこの回は六平が懸念していた目標の再定義が彼女の中でピタリと嵌まった印象を覚えるよ

中央に来てから出番の減ったカサマツ組。それでも電話や裏話でちょくちょく出番は有ったからマーチ達とは離れている印象はそこまで無かった。懐かしさを覚えてしまったのは彼女らより接触機会が減っていた北原
それだけに彼がカサマツの想いを背負ってオグリに会いに来てくれたシーンは良かったな。オグリなんて想い人と再会できたみたいな表情をしているじゃないか
北原が持ってくれたカサマツの想いはオグリを「カサマツの星」と評してくれている。それは怪物などという名称ではなく、きちんとオグリをスター扱いしてくれている。オグリが何を目指すべきかを明確にしてくれる

そしてオグリが目指す日本の頂点において、最大の壁となるのがタマモクロスか
オグリに目指すべきものが有るように、タマモの側も背負う想いや目指す光景があるようで
これまではオグリの独擅場と言えるようなレースばかりだった。それだけにオグリ以上かもしれないオーラを持つ本物の強者の出現はオグリのレースをより面白くしてくれると思える
彼女らが競うレースを早く見たいものですよ



良い

連休になれば一緒に旅行をしたくなる。今のサークル面子はそうした触れ合いを当然するような仲の良さと成っている
だから気になってしまうのはこの面子以外との触れ合いでまこはどうなるのかという点で
里帰りから久方振りに旧友へ会いに行く様子は緊張の一言。昔は楽しく話していた相手と今になってどう話せば良いのかという点は難しい問題
けれど、見知った相手がいるから落ち着ける雰囲気がある。そのように感じられる内容でしたよ

「身長が伸びた」、これは祖母にも旧友にも言われた事だけど、リアクションの違いにまこが抱く相手との距離感が現れているね。祖母は気の置けない相手として、ゆなやひよりには踏み込むのが難しい相手として
その調子のままだと二人と昔と同じ仲を取り戻すのは難しい。それがしのんをイジるという昔ながら且つゆなやひよりと変わらない行動を取る事でまこから緊張が消える様子は良かったな
それはまるで昔と今が繋がるかのような行動で。だから4人で楽しく思い出巡りが出来たし、これから紡ぐ思い出に関しても前向きになれたのだろうね

まこ祖母宅は古民家というか下手したら郷土文化レベルでは…?
それだけに今を生きるつつじ達が昔の遣り方に応じた調理をするのは難しいもの。囲炉裏の火熾しは今風なネット知識を活用して出来たものの、それ以上を求めるのは酷。かといって囲炉裏での調理をしないという選択肢を取らず、現代の利器を使って囲炉裏に火熾ししたまこは今の遣り方を用いて昔を楽しんでいるなんて言えるのかもしれない
交差した今と昔。それ故に頭に浮かぶ未来の姿。まこが5人でのこれからを想像しながら今を振り返る様子に心温まる気持ちになってしまいましたよ



良い

禁軍が目前に迫る状況において、子の一族が辿る運命はほぼ決している。それを理解する楼蘭はいわば身の振り方、つまりは楼蘭妃として何をすべきかも判っている
だから、彼女は判ってくれるだろう父・子昌にも身の振り方を考えるよう促し、判ってくれる余地のない母に対しては何も求めないと
対して子の一族ではない為に処断される可能性が無い猫猫に死を覚悟した子翠から「後は頼んだ」と任されたという事は、猫猫は生きる為に必要な身の振り方をすべきという話になってくるね

意外な人間性を見せたのが子昌か
狸のような油断ならない人物と思われてきた子昌だけど、その実態は神美の暴虐を見過ごしてきた弱い人間か。彼は子の一族を率いる立場でありながら身の振り方が出来ていなかった
というより、先帝に頼み事をされた瞬間から彼は責任ある行動ができていない。そのような状態だから神美にも責任ある言動を求められず、逆に責任が無いと思っていた楼蘭が意志を強く持ち行動していた事に驚いたのだろうね
どうなるにせよ子の一族が辿る道は決まっている。その中で彼らが見せる責任とは…?

羅漢に詰め寄られた事で責任者としての姿を晒す事になった壬氏は見違えたね。禁軍を率いる立場として時には決断が求められる。そしりより被害軽減、猫猫より敵地の制圧。少し前の逃げ隠れする姿など見えはしない
彼は己に定められた身の振り方に準じていると判るね。それだけに今後は猫猫と以前のような付き合いもできなくなるのかな…
壬氏と猫猫は無事に再会した。これにより、後宮で難題を見事に解決していたように子の一族の反乱も被害少ない形で収められると良いのだけれど……



普通

一年間の総決算と言える大一番はCS進出を懸けた一戦というだけでなく運命を分かつに相応しい日だから関わる皆の想いが凝縮される
本作の場合、此処に至るまでに選手だけでなく観客や関係者の事情を丁寧に描いてきたから、要所要所で映される彼らがあの試合をどのような目線で見ているかが判る
そうした点が伝わってくるから、一瞬落ち込みかけた雰囲気が多くの人物と関わってきたルリコの声援を契機に盛り返す流れは、彼らの想いがそれだけの力を持っているからだと理解できる作りとなっているね

想いがあれば勝てる訳でも無いとの作りは辛辣でありながら、モーターサンズの挑戦が途上にあると教えてくれるもの
けれど、想いがあるから負けてしまったとしても顔を俯かせる理由にならず、もう一度CS進出を目指そうじゃないかというあの光景へと繋がるのは良いね
ただ、原作がそうなっているから仕方ないとはいえ、大一番がたった1話で終わってしまったり、その為に試合内容がダイジェストだった点は物足りなかったかも
こちらについても今度こそ!な光景を期待してしまうが…



良い

酒の酩酊感は気持ち良さを齎すものの、酒量も過ぎれば気持ちの良さを通り越して気持ちだけでなく心まで酔いの底へ引き摺り込んでしまうもの
仕事への真っ直ぐな取り組み方を評価されて番頭まで引き立てられただろう善二まであの醜態を晒してしまう酒を良い物と持ち上げる事は難しい
ある程度の危険性を感じ取れるのに酒という身近な物である為に人々の生活に平然と潜り込む。そうしたお酒を主題とした今度の異変は厄介度が高そうだ

話の筋としては酒が人の心を曇らせるというものだけれど、他にも曇りを齎すものは存在しているね
甚夜は鬼を斬り過ぎた事で心の曇りを気にする。善二は無様な振る舞いを反省して表情を曇らせる。また、矢鱈と降りしきる雪は空を曇らせるもの
他方で晴れを齎すものは確かに存在しているね。善二を祝う席は笑顔に溢れているし、善二の曇りなき心を信じる奈津の言葉はいずれ善二に晴れを齎すだろうと感じられる
今は曇りが多くてもいずれ晴れが人の心に満ちると思える作りになっているね

気になるのは「ゆきのなごり」に対する味の感想が各人で異なる点か
善二や直次は不快感を催す程なのに甚夜は味が薄いと感じる程度。その反面、極上の味と持て囃す者も居る。味の感じ方にその後の症状が関連しているかというとそうでも無さそうだし。そして最も気に掛かるのは重蔵があの酒を愛飲している点
黒船来航により世は乱れ人の心も乱れている。そんな時期にあの鬼らしき存在の再登場を予感させるカット含め不吉な事が起きてしまいそうな予感にこちらの心まで曇ってしまいますよ



とても良い

新章突入の初回はこれまでとこれからを整理するお話となったような
東海ダービーに日本ダービー、オグリは目標を絶たれ目ぼしいライバルが隣に居る訳でもない
その意味では六平が今回示した要素は今のオグリにとって重要なもの。新たなライバル、これからのレースに向けた心構え
どちらもオグリにはよく刺さったけれど、最も彼女の心に響いたのはかつてのライバルであり今の友人である彼女の言葉だったようで

最強という言葉を体現した如くオーラを放つタマモ。一番人気・マイルの帝王との異名を持つアキツテイオーをあっさり抜き去ってしまう姿には確かに最強との話は本当なのだと感じさせる
けれど、これに似た姿を私達視聴者はこれまでも見ている訳で
オグリとて並み居る競争者達を物ともせず何度も1着を勝ち取ってきた。クラスは異なるものの、怪物とまで呼ばれるオグリに最強と呼ばれるタマモはこれから最良のライバルになるのではないかと感じさせる組み合わせ

新たなライバルの登場を予感させた後だけに、かつてのライバルが不遇な戦績に涙する様子は堪えるものだったね…
オグリとマーチは同じく東海ダービーを夢見ていた。けれどオグリは中央へ移り、残ったマーチは栄光を手に出来なかった。二人は異なる道へ進んだ。でも似た部分は持ち続けている
だからオグリがマーチに投げ掛けた「挫けたらまた私に負けてしまう」も、マーチがオグリに言い放った「お前が走るレースを最高のレースにすればいい」も、それこそ自分が欲している言葉かもしれなくて
この二人は別の場所で戦っていたとしても同じ戦いをしているのだと再認識できたよ

オグリは走る目標を再定義できた。その勢いで新たなレースへとすぐ挑むのではなく、小休止を挟むなんてね
考えてみればオグリは新しい土地へ移ってきてからレースを走りっぱなしで上ばかり見上げてきた。ならばこそ、少しだけ休んで街へと繰り出すのも良い経験。…その過程で無限に食い続けるオグリの様はインパクトが凄かったけども
食を求めるオグリの行動が貪欲であるように、強敵を求める心とて貪欲。タマモの話を聞いて食より走るへと切り替わる姿には改めて彼女の本質を感じられたよ
けれど、ここからはただ速いだけでは勝ちを拾えない領域。タマモクロスとの勝負を経て日本一のウマ娘にならんとするオグリがこれからどれだけ素晴らしい激走を見せつけてくれるか楽しみですよ



良い

大学祭の出店とはいえ、自分達で店舗企画・運営・宣伝を行おうと思えばそれは小規模な経営とさして変わらない。ちょっとしたバイト経験しかないまこ達には荷が重いもの
そこでテキトーなカレーをそれっぽく提供して済ますのではなく、「いい思い出」にすべく自分達もお客も満足できそうなカレーを作り上げる奮闘は素晴らしいものだったね
また、一から全てを作り上げるのではなく、以前の交流が出店に活きる展開も良かったな

何の経験もない学生がいきなり出店なんて難しい話。それは材料確保の意味でも接客の意味でも
だから、ななは学際前に人と接する練習の必要性へと駆られるし、まこ達はどうやって人が食べたくなる材料を手にするのかと悩む事になる
そこでつつじが普段している格好のアレンジっぽい遣り方や前回のさくらとの関係が早速反映される作りは良いね
課題は確かに存在する。けれど、解決不能なんて事もない。それはまるで難問を一つずつ紐解いているかのよう

まこ達にとって初めての出店だから、どうしたって不安は拭えない。開始当初の「お客が来ない」と不安になる様子は共感できるもの
だから、宣伝やカレーの美味しさが手伝って無事に完売まで辿り着ける様を見てこちらまで嬉しくなってしまう
カレー完売によりまこ達の手元に残ったものは特に無い。けれど当初の望み通り「いい思い出」になったからこそ終わる寂しさを実感できる訳で。その寂しさが次への意識を目指すという意識の報酬としてまこ達の手元に残る展開は良かったなぁ
…普段自分が見ている有名人が知らぬ間に自分のお店の商品を食べてたとかそりゃパニックにならざるを得ないよなぁ、なんてラストシーンには思ってしまったよ(笑)



とても良い

他者を甚振り傷付け反抗の奮起を許さない神美は横暴と悪意の化身。口答えしても殴られるだけなら何も言わないのが正しいとなってしまう。けれど、渦中において猫猫と楼蘭だけが神美に反抗を続けているね。何もかも神美が望まない事をするわけではない。時には彼女に頭を下げ命令を聞く事も有る
それでも静かな反抗を辞めないのは彼女らに矜持が有るからなのだと伝わってくる話でしたよ

猫猫は不老の薬が有るわけ無いと判っていても調薬を続ける。それは神美の命令に従う為というより、薬師としての矜持が不可能な挑戦へと駆り立てる
また、楼蘭は神美のお人形として過ごしつつも、裏では神美の意志から外れ翠苓と仲良くしていた。これは子翠としてどう生きていきたいかという矜持か
反抗を行うのは何も猫猫と楼蘭だけではないのだけれど、中途半端な反抗は潰されるだけ。響迂や翠苓の反抗はむしろ神美の神経を逆撫でる結果に終わってしまうのは矜持の持ち方の違いか

そして誰よりも反抗の練達者として過ごしてきたのが楼蘭か
翠苓との関わりのみならず今回も大活躍。てか、流石に火薬に火を投げ込むのは危なすぎるが……
彼女には悪意に染められた役割が有り、表面上は従っている。ただし堕胎剤を飲んでいたように、自分の内面に有る悪意を吐き出そうとしていた
それだけに子供達を先に死なせた行動が悪意か善意かは曖昧になる
それでも彼女の行動に矜持が見受けられるのは確か。静かだけれど覚悟有る反抗心はあの砦で猫猫に何をさせるつもりなのかな…?



とても良い

モーターサンズの挑戦魂を象徴するような内容でしたな
ナツメは売り子からアイドル、そして女優へと転身していった人物。それだけを見れば本人の望む栄光を手に出来ていないとの印象が強くなる。そのような評価はナツメの自己認識すら落ち込ませてしまうもの
それだけに第二の故郷と言える球場に受け容れられた事で彼女に眠っていた挑戦魂や諦めの悪さが蘇る様子は良いね
そして、自分がこのように諦めないのだからかつて応援していた椿も諦めていないで欲しいと願う。そうした想いがラストに響く構成は本当に良かった…

日本を腰掛けと考えていた登場初期とは違って今のデニスはどうしたらチームにもっと受け容れられるかなんて悩んでいる
ブライアンからすればデニスの足りない点は明白。けれど、気付けないから状況は変わらない
ここでデニスが諦めず、自分流の遣り方・ホームランによって存在証明を行う姿には彼の挑戦魂が感じられたね
でも、それ以上に彼が不器用ながら片言の日本語を話したのはもっと球場に受け容れられたいとの想いも感じられたよ

そして椿ですよ……!
考えてみればコジローとて諦めの悪い存在。引退を考える年齢ながらバッターボックスに立ち続けている。だからか、かつてコンビを組んでいた椿も同様に諦めないでいて欲しいとの想いが有ったのだろうけど…
今の椿の在り方を諦めていないと受け止めるのは簡単ではない。けれど「プライド持って働けてる」という言葉が何よりのプライド。かつて共に挑戦した間柄だから尊重できる彼の今
サン四郎というマスコットが良い意味で只者でないと判り、そして彼が居る球場の深みを改めて感じられたエピソードでしたよ…



良い

見た者の未練を現す鬼が敵となった点にも、そして現代から江戸時代を振り返る展開にも現れているけど、過去を振り返る行為が主題となっていたような
未練とは後悔した過去の姿そのものだから、幾つもの後悔を故郷に残してきた甚夜だから未練を斬るのは難しい
刀を向ける事すら慣れぬ様子で、消えた兄を忘れられぬ直次が幾つもの過去を振り切って鬼を斬ろうとした行為には未来へ向かう力が感じられたよ
だからこそ、語れぬ過去を持つ夜鷹は彼に惚れたのだろうし

一目惚れに近い形で夜鷹に魅せられた直次は当然のように夜鷹の過去も気にする。定長の助言を受けて夜鷹の事をより知ろうとするけれど、それって相手の現在や過去を知る事が相手を知るようなもので
けれど、過去なんて本人が語らぬ限り見えるものではない。今回は未練という過去が鬼となって現れたのが特殊なだけで
その意味では直次は未練という過去が見える状態が異常だと、これは斬るべき鬼だと考えられたのだろうね。その瞬間から彼自身も過去への未練を乗り越えようと出来た

本当に過去を斬り払ったのは甚夜なのだけど、それは現代には伝わっていないようで
現代からすれば過去において何が真実かなんて見えるものではない。真実を知る甚夜があの劇で気に入らない部分があるのは仕方ない
でも、薫が感じ取ったように、夜鷹が直次をとても好いている点はこれでもかと見えてくる。全てが過去となってしまった時代においてそれさえ残っていれば、残された者である甚夜にとって充分な真実なのかもしれないね
それはそれとして、甚夜は何で平然とした顔で学生やってるの…?



とても良い

異なるレースが重ね合わせられたかのように演出された今回の演出方はルドルフが夢想したように、もしオグリが出走していたらレース結果はどうなったのか?と考えずに居られないもの
そう思えば、夢を見せるという点においてオグリは誰にも勝るダービー出走条件を満たしていたのではないかと惜しい気分になってしまう
それだけにオグリに不足していたものは何だったのかという点が焦点となる内容でも有ったね

冒頭のマルゼンの台詞に表れるようにダービーを走る事は誰にとっても名誉な話。それこそ多少の不利を受け入れたとしても
そう考えれば、1万の署名を集めた藤井や諮問委員会に乗り込んだルドルフもオグリをダービーで走らせる為にリスクを承知で行動していたと判る
オグリの走りには夢を見てしまう。だから夢が実現する光景が見たい。願いとしては単純であっても、夢とはそう易く実現するものでもないから夢と表現されてしまう
その点は頂点を取れる者は限られているという此処数話の問答に凝縮されているね

日本ダービーは最も運のあるウマ娘が勝つ、その格言に従ってしまえばオグリは運が無かったという話になり、勝ったチヨノオーは運が有った、つまりはオグリが居なかったから勝てたかのような印象を持ててしまう
けれど、その点は原作よりもレース描写を増やし、オグリが走るレースを誤認させる要素を減らす事により、チヨノオーは勝者に相応しい好走を見せたのだと判る内容となっていたね
勝ったチヨノオーを称える観客の姿を描く事で、彼女とて大勢の人が待ち望んだ夢を実現出来るウマ娘であると、ダービーを走り獲得するに相応しい頂点であるとも描いていたと受け取れたよ

そしてチヨノオーがそのような描き方をされているから、ダービーを走れなかったオグリがチヨノオーと同じような歓声を受けている事によってダービーを走るに相応しい品格を備えていると判る
だから、今回は無理でもオグリというたった一人の人物を機にルールを改訂しようという機運が生じる展開に無理がない。オグリはダービーを走れなくても実力で常識もルールも覆したわけだ
オグリキャップという存在をこれでもかと刻み込んだこの中央編入篇を終えて始まるのは最強との激走。彼女がオグリが走るレースへと本格参戦してくる未来が楽しみに思えるエピソードに思えましたよ



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