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とても良い

その勝負は誰と勝ち負けを競うものなのか?という点においてマーチははっきりしているね。彼女が目指すは東海ダービー、つまりはカサマツだけじゃなく東海一帯に居る者全てに勝つつもり。だからゴール直前で不調に陥ったオグリを許せなかった
対して走れる事が夢のゴール地点だったオグリにとって、レースの勝敗は副賞品のようなもの…だった筈がマーチへの惜敗によって彼女の中で新たな感情が目覚め始める様は良いね

マーチの次にオグリと勝敗を競う事になったのはノルンエース
けれど彼女は走る前から勝ちを諦めているタイプか。地元で有名だとしてもトップに立てるとは限らない、負けも有り得る。「頑張った状態での負け」に負けてしまった彼女はそもそも頑張る事を辞めてしまうと
そんな彼女がオグリの影すら踏めないのはある意味当然かも。オグリは勝ちにこだわっていなくても早い走りにこだわりはある。雑念に惑わされず一生懸命に走る彼女はそれこそノルンと次元が違う
ただ、そこでダンスの力量も別の意味で次元が違う為にノルンがオグリを助けたいとの想いを抱くようになる展開は良かったな

オグリを助けるという点ではベルノも挙げられるか
彼女とて競技者の筈だけれど、練習中の様子やオグリ程に練習に時間を費やす描写が無いように、彼女は既にレースに不向きな匂いがする
レースという勝負に出られないなら、負けしか得られないのかというとそうではなく、オグリを助ける事によって間接的に勝ちの側に回っているとの考え方は良いね
確かに今のオグリって北原の教えが有ったとしても、北原自身が完璧ではないせいで色々と足りない部分がある。そうしたオグリがレースで勝つ為に必要な要素を埋める存在としてベルノは誰よりも勝っていると言えるのかもしれない

ただし、ウマ娘である以上は観念的な意味合いでの勝ちではなく、実際のレースにおける勝ちが欲しくなるわけで
その意味では明確な目標を持ち、オグリを敵と認定するマーチとの対談はオグリにとって転機となるものだったようで
オグリはまだ明確に自分がレースで勝ちたい理由を掴めては居ない。けれど、勝ちによって得られる報酬、負けた時の悔しさは理解し始めた。それは今後を占う上で貴重な判断材料だね
また、今後という意味では最大のライバルである彼女の顔見せに思わずテンションが上がってしまいましたよ
……あと、オグリの盆踊りシーンも変な意味でテンション上がってしまったけども。あれは笑い転げてしまうって



良い


良い

一度見ただけのスイーツまで作れるなんて猫猫は本当に凄いね
本来は見様見真似や知識だけで出来る事に限りはある筈。それでも彼女がアイスを作り上げられたのは彼女の基礎能力が確立されているからか
勿論、アイスは完璧な作りに出来たわけではない。それでも間に合わせの代替品として提供するには問題ない。何よりもそれによって小蘭や子翠の笑顔を守れたのなら充分
ただし、見様見真似の代替品で間に合わなくなったのがBパートの話か

猫猫は薬屋と呼ばれ様々な難事を任される程に頼られている。でも、それは彼女が出来る範囲の対応に留めている点と後宮の医官がヤブなんて呼ばれる程に頼りないから
薬に関する知識と見様見真似しか持たない彼女では外科手術が絡む領域は如何ともし難い。そこで無理に自分を代役とせずに養父を頼る選択が出来た猫猫は己を弁えているね
ただ、玉葉妃側にすれば玉葉妃こそ替えの効かない人物。それ故に紅娘は反対したのだろうけど…
子を産む為に何をすべきか、何を信頼すべきか。それを冷静に見極めた玉葉妃は高潔な人物ですよ



良い

今回は出逢いにフォーカスした話となったような。そもそも球場が多くの人が集う場所といえるわけだし。その様はまさしく袖触れ合うも他生の縁といった処か
デニスの状況は判りやすいね。彼はメジャーへと自分を連れて行ってくれるスカウトとの出逢いを求めていた。けれど彼が出会ったのは思わず虜になる程の女神。一時的には集中不足となるけど、偶然の作用は彼に球場の大歓声との出逢いを齎す。また、その出逢いが彼にチーム愛精神とも邂逅させるものとなっていたね

サン四郎は色々な人と出逢ってくれるマスコットかな
バッティングに悩む者が居ればアドバイスし、英語を話す者が居れば英語で返し、不調を来すルリコを案ずる発言をした。球団を訪れる者達に楽しさと出逢わせる際に無くてはならない存在だと判る振る舞いばかり
でも最も多くと出逢っているのは売り子だったのかもしれない
良い客にも悪い客にも出逢いつつ、そして村田とも絡んだりしつつ売り上げたビール150杯はルリコがあの日球場で出逢った人の数を示していたと言えるのかもしれないと思えたよ



普通


良い

鬼と目される辻斬り退治を行う事になった今回。けれどその協力者こそ鬼であり、また追い詰める甚夜とて鬼である構造は少し面白いね
被害者は人間だけれど2人は人間を守る為に辻斬り退治をするわけではない。それぞれの目的・背景・歴史の為に討とうとしているから、そこでは人であるか鬼であるかは本質的な問題とならない
ただ人を害する辻斬りを許せないという想いがあるだけ

茂助という人物は面白いね
異能を持ちながら戦闘能力に秀でている訳ではないし、時の過ごし方とて平凡なもの。人と変わりなく妻を愛そうとして、何事もなく日々を生きようとしている。その生き方を鬼と呼ぶ者は誰もいないだろうね
それは彼が鬼だから人だからという括りは無く、彼の持つ歴史が茂助という存在を表している
それは甚夜にも言える話かな。妹を止める為に鬼を討つ彼は復讐者だが、妹を誅すべき悪と割り切れなず憎悪の背景を「意味もなく」と言ってしまう彼はまだ兄としての在り方を消しきれていないように思える

人か鬼か、兄か復讐者かの境界が曖昧になる状況は他のものも曖昧とさせたような
特に前回の描写から察せられる事では有ったけど、改めて甚夜の口から実父に対する印象が明かされたのは印象的。父を許せず家を飛び出た甚夜、今では父の気持ちを判りつつ完全に許せたとは言い難いようで
明確な区分が難しくどっちつかずな在り方。それだけにユキヤナギという曖昧な在り方でありながら、おふうに言わせれば「自分を嫌いではない」、つまりは曖昧な己を肯定している花はこのEPを象徴するものであり、どちらかに決められない者達を癒やす存在と思えたよ



良くない


良い

スターを育てたい北原はオグリを掴みたい。レースを走りたいオグリは出場権を掴みたい。いわば両者の利害が一致した事によるチーム結成
ここにベルノも混ざるわけだけど、オグリに走る理由を聞いた彼女とて明確に走る理由を持つわけではない。その意味では彼女は何かを掴めたわけではない
そのようなベルノがオグリとは何者かを見詰める事でオグリがこのエピソードで他に何を掴んでいるかが明白に成っているように思えたよ

北原は他トレーナーが狙っていたマーチではなくオグリの手を取った。彼は勝てれば良いという基準ではなく、カサマツのスターとなるウマ娘を育てたい目標が有る。彼の夢はオグリが東海ダービーを征した時に本当の意味で掴めるわけだ
一方で現状のオグリの夢は既に叶っているようなもの。走るだけで奇跡のような境遇だった彼女にとって、夢を今も掴み続けているに等しい
だからか、自分をそこまで育ててくれた母を大事に思っているのだろうね。いつになく可愛らしい表情にこちらまでニコニコしてしまいましたよ

対してマーチの夢はまだまだ先、何もその手に掴めては居ない。それだけに自分を他所に東海ダービーがどうのと言われていたオグリを警戒するし、彼女に必要以上の敵愾心を抱く
その構図はライバル誕生を思わせるけど、肝心のオグリが東海ダービーを理解していないのは肩透かし感が凄い……!
オグリは何かのレースが夢なのではなく、走る事こそが本懐。地面を強く掴み蹴り出す一歩一歩が夢そのもの
夢へとひた走ろうとするマーチに無垢なる走りで追い縋るオグリ。果たしてこの先のレース結果はどのような感情を両者に掴ませるものとなるのだろうね?



良い

幽霊を目撃した里樹妃の恐怖を解決する為に奔走する事になった今回の事件。一方で彼女を悩ませるのはそれだけではないね
己を尊重しない侍女達とて里樹妃を悩ませているだろうけど、彼女はそれを解決すべき問題として挙げない。それをプライドと単純に受け取る事は出来ず、むしろ助けを求められない孤独を抱えていると捉えるべきなのだろうな…
そう考えると、幽霊騒動を通して、それらを改善する道筋が付けられたなら良かったと言えるのかもね

事件を解決する猫猫も助けを求められない問題を抱えているが、彼女の場合は真摯に真実を明かそうとした壬氏を無茶な程に拒否った結果なので同情の余地は薄い
けれど、味方が少なく精神的にも未成熟な里樹妃は別。上級妃という立場を抜きにしても彼女は助けたくなる。反面、上級妃という立場が彼女に助けを求める声を上げさせ難くしているね
幽霊については助けてと言える。けど、意地悪な侍女に関しては言えない。壬氏が当初は踏み込めなかったように本来は里樹妃が解決すべき問題だから

でも、姿が明るみに出ればそれらは他者でも問題として提起できる。猫猫が幽霊解明の中で屋敷の腐敗を見つけたように、壬氏が簪から侍女の分不相応を責め立てたように
他にも過程で浮き出たのは里樹妃が抱える本当の孤独。幼くして家や母から引き離された彼女は形見の銅鏡を抱え込む程の寂しさを抱えている。でも、それについて誰にも助けを求められなかったし、さすがの猫猫もこの問題は解消できない。
けれど、泣き沈む彼女に寄り添う河南の献身からいずれこの問題は解決できるのではないかと思えたね
そして新たに始まる助けを求められない者に起きた問題。親友の難事を猫猫はどう関わってやれるのかな?



良い

今回は野球観戦以外の目的で球場に集まる人達の姿が描かれていたような
それは試合をしている選手達に対して不真面目な姿勢と言えてしまうかもしれないが、裏を返せば球場はそういった人々をも内包する心の広い空間であるとも表現できるかもしれなくて
だからこそ、野球観戦を純粋な目的としない者達にもそれぞれの楽しさを提供してくれるのかもしれないね

コジロー目的では有るけれど純粋に野球を見に来た訳では無いユキも、野球を見るよりナンパが目的のおじさん連中も本来は球場に来るべき人物ではない
けれど、それぞれの目的が他の観客や売り子等と交わると途端に球場の空気に染まってしまう。ユキは嫌っていた筈の野球観戦者や球場の雰囲気を良いものと捉えられるようになるし、ルリコをナンパしたおじさん達もルリコがバズるのに貢献してくれた
結果的にそれぞれが楽しめる空間に成っている

前回の滝本が一応は野球選手のサイン目的が有ったのに対して、弁当屋の山田は選手目当てですら無いね
売り子に憧れたのに理想とは異なる働き方。なら、彼女は球場を楽しめていないのかと言うと、そのような尺度では計れずむしろ球場に来る人に笑顔を齎す側となっているね。そして、自分が振る舞った弁当で球場に来た思い出を良いものと出来たお客の顔を見て彼女自身が充実感という球場の楽しみを抱いているのだとも判るよ
……ただ、幾ら血迷っていたからって村田にときめいてしまうのはどうかと思いますよ?



良い

先行上映鑑賞済み
鑑賞当時は『Beginning』を経た上でジオンが勝利した世界での物語を観ていた為に多少の納得感を得られたのだけど、アマテ達の物語からスタートした事で「赤いガンダム」に対する異物感を強く感じられるように成っていたような気がするよ
また、本来のガンダムとは異なるカラーリングのガンダムが登場し、それに主人公が搭乗するわけではない事から、余計に”本物”や”偽物”の定義について考えさせられる構図に成っていたよな

そもそも冒頭からシャリア・ブル達は本物や偽物に翻弄されている
追っている赤いガンダムが求める本物かは判っていないし、それを追うエグザベはコアックスに相応しい本物のニュータイプか判らない
そのような状態のまま出撃するから、赤いガンダムと対峙して相手を本物と認識したが為に、エグザベは同等の力を出せない己を余計に偽物のように扱う羽目になる
その意味では赤いガンダムに対して、エグザベもコアックスも偽物という話になる

アマテは己を取り巻く偽物の重力に鬱憤を溜めている。偽物の空に反逆する為に逆立ちするなんてかなりイカれてる
だからか彼女は偽物の世界を壊してくれるかもしれない非合法品やクランバトルに興味を持つ。でも、彼女が望むのは本物の自由、自分を拘束する偽物の破壊
だからってコアックスに飛び乗って勝手に動かして己の意志で戦いを選ぶなんて相当ぶっ飛んでいるけどね。けれど、それによって彼女は本物のガンダムパイロットになった訳だ
連邦とジオンに拠る戦争は終わったのに自由を勝ち取れなかった本物とは異なる歴史を歩んだ世界でガンダムに乗る事を選んだ少女は何を掴み取るのか興味深く見守りたくなる初回でしたよ



良い

第一話が人や鬼の浅ましさによって取り返しようのない後悔を抱く話だったなら、続く第二話は後悔を抱かぬようにと己に出来る事柄に懸命になろうとする話だったのかな…
第一話はあまりに展開が悲惨すぎて苦手意識を抱いたのだけど、このような話は好みかも
甚夜は再び鬼と出会う時の為に憎しみをその身に抱き続けるしかないと思いきや、彼が鬼を追う中で過ごす時が鬼や人との向き合い方に苦しむ者達の救いになっていくのではないかと思えたよ

奈津は恵まれた立場に居るとのだけど、それだけにやっかみも陰口も向けられる。より強固な保護を求める彼女の心が鬼を生み出したわけだ
奈津の悩みは家族の悩みだから、傍に侍る善二であっても立ち入れない。本来それは旅人である甚夜とて同じ筈だったのだけど…
彼が信じたのは実父・重蔵の善性。かつては妹を守る為に捨てた父だけれど、成長した今は父の事情を慮る事が出来るし、父が心から奈津を想っているのだとも信じられる
時を経た事で甚夜は人との向き合い方が変わったのだと判る

だから甚夜が奈津に投げかけるのも己や重蔵との向き合い方の変化だね。鬼を倒すのに必要だったのは刃ではなく、奈津の心だったわけだ
異変を経た奈津が積極的に重蔵を手伝おうとするのも、重蔵が口には出さなかっただけで甚夜に気付いていたというのも良かったな
すぐに人は変われないかもしれない。けれど、後悔を経験したから、または後悔してしまうかもしれないなら。そうして少しずつ時を掛けて人は変わっていくのかもしれない
そう感じられた第二話でしたよ



普通


とても良い

原作既読
これまでのアニメ・ウマ娘で描かれてきた物語が、集客力の高いレース場で頂点へと挑む強者達が描かれるレースだった事を思えば、閑散とし中央をレベルが違うと宣うカサマツは別世界感がある
いわば、それは夢を見るなぞ馬鹿げていると囁かれているかのような環境で
だからこそ皆して同質的な低飛行が暗黙のうちに望まれるからこそ、カサマツのウマ娘達から浮きまくっているオグリキャップが抜け出てくる構図と言えるわけか

北原が望む「自分と重ね合わせられるスター」というのは厄介な基準だね
スターというのが本来は他よりも抜け出た存在の筈なのに、抜け出せない自分と重ね合わせたいと思っている。だからか北原は中央のレースを観て興奮しても、彼女らを中央だけでなくカサマツを含めたスターとは思えない
北原が欲するのは自分と同じようにカサマツで燻る逸材。そう思えばこそ、オグリキャップという存在に彼が応援したくなるスター性を見出してしまうのは必然だったのかもしれない

北原はオグリをそのように見るけれど、カサマツのウマ娘達から見ればオグリは浮き過ぎているね
皆が制服の中で一人だけジャージ、食べ放題だからと食堂を潰し、物置に追い遣られても気にしない。それは暗黙的に明示的にも同質化を全く受け入れていない姿勢
これだけであれば、オグリを「空気の読めない変わり者」と受け取るしかないけれど、彼女の原点にこそむしろ同質化出来なかった事情が見える構成は良いね

回想やEDで示されるように幼い頃のオグリは満足に立って歩く行為すら難しかった。走る事を宿命とするウマ娘においてそれは異質な原点
そんな彼女を育てた母の教えは「沢山食べる事は悪い事じゃない」、つまりは皆に合わせて我慢しなくても良いとの教え。また目一杯走れとも促してくれている
だからオグリはトレセンやレースの常識を知らないままに走る本能だけを研ぎ澄ませてられたのだろうね。出遅れた筈なのにぶっちぎるレース模様は圧巻
カサマツという地方ですら誰も名前を知らなかったオグリキャップがどうやって天下を勝ち取るのか、その伝説を見守りたいものですよ



普通


良くない


良い

後宮や妓楼が舞台となりつつもお色気的表現については控えめにしてきた本作、まさかのお風呂回が来るとは
しかも推理要素はほぼ無いままに、ひたすら下女3人や赤羽の和気藹々をメインに据えるなんて贅沢なものですよ
ただし、その内容は猫猫達が楽しむ事を目的としたものではなく、そこに集う妃達を楽しませる事を目的としている。そして他者を楽しませた先に何を求めるのかという話でも有ったのかな

本来の猫猫は翡翠宮に勤める身だから、小蘭の為とはいえ他でバイトをするなんておかしな話。でも、子翠や小蘭がツテ目的だったりするように、相手を楽しませ口を軽くする事こそ彼女らの真の目的となる。玉葉妃がそうした環境だからこそ出来る情報収集を猫猫に命じたのも似たような理由
リラックス出来る湯殿や按摩ならではの暴き立て。事件は起きて無くても、事件が起きた際に有用となる情報はこうして集められる訳だ

赤羽の参加も別の目的を持ったものか
白羽三姉妹にすれば翡翠宮にて得体の知れない猫猫は壁を感じる相手。だから親しくなるイベントが必要で、それが湯殿への同行となるのか
妃達にすれば按摩師の下女が誰かなんてあまり気にしない。赤羽は下女に紛れる事で猫猫達と分け隔てない間柄と成れたと言えるね。…まあ、それ故に視聴者はあのシーンで下女が一人減った事に気付き難いのだけど
けれど、そうしたって浮き出てしまうのが上級妃の存在で、里樹妃の語る幽霊騒動か
果たしてそれは人間が起こす陰謀かもっと別の何かか?猫猫は次から次へと事件に遭遇するようになってきたね



良い

原作既読
球場を舞台にギャルが根暗をからかう話…と見せかけて、それは呼び水要素に過ぎず、野球の楽しみ方が控えめだけど球場に通う村田とそんな彼に野球の面白さを教えつつも自分も目覚めていくルリコを導入として球場そのものの楽しみにフォーカスしていく物語
初回はそれこそ本作の売りとは何かを象徴したものと成っていたような。村田とルリコの絡みにニヤニヤしていただけに、Cパートは良いギャップを感じられたよ

村田はマニア的な野球ファンでは在るけれど、応援席ではなく自由席でスーツ姿のまま観ているように応援の為に球場に来ている訳ではないね。ストレス発散や球場弁当等を楽しむ為に来ている
でも、それでは球場の全てを楽しんでいるとは言い難い。それこそ折角頼んだビールが泡だらけになっているような…
だからビールを入れ直してくれたルリコと絡む事で村田は知らなかった球場の良さを体感していく訳だ
まあ、イチャツイてないでちゃんと試合見なさいよ…と思わなくもないけども

楽しいとは気分を高揚させる現象だけに留まらず、物事の奥深さからも感じる事が有る。それを味わったのが滝本か
彼も当初は球場の良さを知っていたわけではない。そもそも警備の仕事もサイン目的だったし
けれど、彼は昔に味わった球場の良さに再び邂逅し、今は小さな女の子に楽しい思い出を提供する立場になれていた。それは彼が球場での仕事の意義を再認識するきっかけとなっただろう出来事
ルリコはこの事態を部外者として少し味わっただけ。それでも涙を流さずにいられない球場に集う人々の交錯。それを丁度よい味わいで調理していると判る初回でしたよ



とても良い

物語が始まる前のいのりの姿から始まった時はドキッとさせられたけど、つまりは自分を嫌っていた頃と自分を好きに成れた今のいのりを並び描いたわけか
前回に語られたように、いのりは以前の自分を嫌っていたとしても不要とまでは思っていない。でも、それはいのりの中だけの感覚。他者からは今も昔も変わっていないなんて言われてしまうかもしれない
けれど、最終回らしい数多の語らいは以前と現在のいのりを意外にも繋げ語りつつも成長を見出させてくれるものとなったと思えるよ

実叶は繊細な言葉選びによって今昔のいのりを語ってくれたね。以前は頑張りの要求、現在は頑張りの分与。それはいのりが明確に変わったと云うより、いのりを見る人の目が変わった点が大きいのかもしれない。でも、そうなったのはきっといのりが何かを変えたからで
それを更に言及してくれるのがのぞみの言葉かな。いのりは母が変わってくれたから自分は変われたと云う。けれど、のぞみが言うのはいのりが気付かせてくれた、つまりはいのりが自分を変えてくれたのだという
いのりだけが変わったのではなく、いのりを中心に皆が変われたのだと見えてくる

ならば、いのりを指導する司が彼女を変えたのかというときっとそうでもなく
若年の司とて様々な者に見守られて変化・成長してきた。加護一家は言うまでもなく、いのりを否定した夜鷹すら司を導く一人と言えるかもしれない
そして重要なもう一人がいのり当人か。司はいのりが以前のように紐いじりが必要ではないかと心配になり差し出したが、彼女が返したのは結んでくれた事への感謝。そこから見えるのは司がいのりを変えたのではなく、いのりに必要な気持ちを司が結び付けた点
その意味ではいのりは真の意味では以前となんら変わっていないかもしれない。司はいつもと変わらない力強さで彼女を送り出してやれる

最終回を飾るスケーティングは美しく、自由で、壮麗で、感動を覚えるもの
その様は俯いていた頃のいのりとは全く異なる姿。けれど別人に変化したわけではなく、以前を含めた積み重ねが実って見えたという話で。だから今のいのりが放つ輝きに目が惹き付けられる
いのりは一人前のスケート選手として認められるだけの存在に成れた。けど、そのようにいのりが成長する間にライバル達も成長していて
これから始まるだろうメダルを懸けた本格的な競争をまだ見届けられると知れた事が最終回におけるもう一つの感動なのかもしれないね



良い

猫猫はこれまで秘された真実を幾つも紐解いて来た。そんな彼女が考えないようにしてきた壬氏の秘密が遂に白日の元に晒されたね
…その割に結局猫猫は考えないを維持して壬氏の打ち明け話を一切聞かなかったのはどうかと思うけれども(笑)
そこで壬氏と猫猫の違いとして存在してしまったのは何を守ろうとしていたか、という点か。猫猫はこれ以上踏み込んではならないと保身に走ってしまった。対して壬氏は打ち明ける事で守れる筈のものを守れなくなる事を危惧していたような…

手の感触、壬氏の態度、これまでの違和感。全てが一つの真実を指し示している。なのに、猫猫はそこから目を逸らして壬氏の言葉を遮って
対して壬氏の側も煮え切らないね。壬氏がしたいのはあくまでも真実の開陳。なのに、拒む猫猫に行ったのは押し倒し。壬氏の思惑と異なる行動
その意味では両者にとって李白の介入とそこから始まる襲撃者の炙り出しは渡りに船、間違いかけた行動の仕切り直しになる

ただ、仕切り直した程度でどうにかなるならこの二人の関係はもっとスッキリしていた筈で
牛黄に負ける壬氏の正体って……
ED曲冒頭の”何故か「キミ」にだけ「ボク」が伝わらない”というそこそこ染み入る歌詞が今回ばかりはギャグのように思えてしまったよ(笑)
それでも良い点を上げるなら、人の心の機微が解らない猫猫をして一応は壬氏という人物への理解に一定の区切りを見せた点か。ラストに明かされた壬氏の正体、それを思えば猫猫が真実を知らないままであるのは危うい反面、彼を貴き身分の者と安易に扱わない姿勢はきっと彼にとって安息の場所に成り得るように思えたよ



とても良い

衝撃的な失恋を経たばかりの雛は停滞真っ最中といった印象。代わりに動き始めたのが菖蒲になるなんてね。というか、彼女はもしかしたら雛以上に大喜が雛を振った事に納得せず、彼女と同じくらいに心乱している
また、大喜の方とて雛を振った責任感からか、自分の恋愛に関して真っ正直に動き始めた
キツい心境でも動こうとするのは不出来な現状を変えたいと思うから。そうした感覚が大喜や針生をバドへと向かわせ、そしてライトな恋愛を好んでいた筈の菖蒲の恋愛観を変える事になるようで

雛を振った大喜はそれをしこりに感じつつも、悩み続ける事を良しとしてない印象
自分を許せない反動は前へ進む原動力に。良くも悪くもその感情は大喜に猛烈なまでにバドに向き合わせ、千夏をデートに誘うきっかけとなる
その状況は逃げに等しいかもしれないが、針生が逃げていた大喜との試合を行った事を「良かった」と言ったようにいずれは雛と向き合う時間を良いものと捉えられるかもしれない。その為に少し回り道が必要なだけで
ただ、現状では罪悪感が強い点は今後千夏と向き合っていく上で障害となりそうな気もするが……

今回の菖蒲は様々な表情を見せるね。特に号泣する雛に釣られて涙を流すシーンには驚かされた
彼女が抱く罪悪感は前回までのような「応援したい」との感覚とは異なる原動力となっているね。それが明確な意味を持つのはゲーセンで雛に庇われたシーンか
菖蒲の元彼への反論は大喜を庇う言葉であり、未だ大喜を好きな証であり
雛は無惨に振られても大喜に悪感情を抱いていない。それは何よりも相手を深く想う愛情の印であり、菖蒲が焦がれてしまうもの

雛との経験は菖蒲の進む方向性を定め、彼女を猪突猛進なタイプにしていくのだと感じさせるね
大喜も同様。雛を振ってしまって迷いを許されなく成った彼とて千夏に近づく為にその名の如く猪突猛進
他方で今回は進むも停まるも見えなかったのが千夏か。彼女は恋愛をゆっくりと育てたいタイプ。だとしたら、自分の知らぬ処で三角関係が激変し、大喜が自分への猛アピールを始めた事は彼女の恋愛観にどう影響していくのだろうね?
何はともあれ、大喜・千夏・雛・菖蒲の4人が部活動を交えつつどのように恋愛を行っていくのか、その道行きを期待しつつ待ちたいものですよ



良い

最終2話のEPが事前に予想していた流れと全く異なっていたのでちょい戸惑い気味…
さておき、この最終盤で描かれたのは選択の物語。瑞希は既に家と放送部を比べて、放送部の活動を選び終わっている。だから兄が結婚しても参加は断るつもりだった
なのに、彼女の祖母は他者の選択を強要し支配するタイプだったようで。だから瑞希が家から自由になるにはまずグレる必要が在って、その後に一人暮らしが在って
それでも支配してくる相手を往なす方法を瑞希一人では持ち合わせていなかった。選択の結果が脅かされた瑞希には花奈が必要だったわけだ

当人の意に反して実家に閉じ込めるなんて許される遣り口ではない。けれど、それが保護者という大人の意思であるならば同じ大人である吉祥寺は口出しできない
だからこそ、大人ではない子供達は少々無茶をしてでも瑞希の実家へとアタックしていく道が出現したと言えるのかな。いや、それにしても取材依頼の体で光希にアポを取るなんて凄い遣り方だけどさ
その道が通じたのは光希自身に家への不満が燻っていたからかな。彼の前に花奈達が現れた事で彼は祖母に従うとは別の道を選び取る事が出来た

瑞希へと手が届いたなら、後は既に選択を終えている瑞希自身によって解決できる
そもそも彼女はグレた状態から風紀委員の言葉によって新たな道を選び取っている。それでも自身を押さえつけようとする祖母に対する朗読は自由の渇望であり、彼女の心を示したものだったのかな…
それをまともに理解できれば既に瑞希は己の言うが儘に操れるとは思えないだろうし、光希に兄として何をすべきかを自覚させるもの。最終的に光希が2つの花を胸元に挿したのは彼なりに道を選び取った証であるように思えたよ

ただ、道を選んだ後も判断に纏わる諸々に悩む事が有る。そんな瑞希に寄り添おうとする花奈からは瑞希への多大な感謝を感じ取れるね
花奈が選択した後の瑞希に寄り添うのは彼女自身がそうだったからか。島から出て高校の放送部に入り、趣味の朗読から競技的な朗読へと進み、そして今は瑞希に負けないよう大会を頑張るつもりでいる
瑞希が花奈にさせた選択が回り回って瑞希へと返ってきた形。それだけに彼女らの選択の意味が明らかになる大会での朗読が描かれなかったのは残念だったり。この続きがアニメで表現される日は果たしてくるのだろうか……?



普通


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