サービス開始日: 2016-03-14 (3649日目)
前回時点ではハーネスがどれだけレベルアップに繋がるのか…と見守る気持ちだっただけに、あっさりと壁を突破したいのりに驚愕……。え?高難易度ジャンプの壁ってあんなあっさり乗り越えられちゃって良いの?
魚淵の手助けはあんまりにも簡単そうで、ハーネスを使えば誰でも簡単な結果を得られると思えてしまうもの。だから司も真似しようとしたのだろうけど…
ここに来て夜鷹の言葉が響いてくるなんてね。雪に対しては問題なく成功した。だからこそ、そこに驕りのような油断が潜んでしまったのかな
ただ、司は「自分なら何でも出来る」なんて傲慢な考えでハーネスを使用したわけではないね。魚淵も言及していたようにジャンプは選手人生に直結する。だからハーネスの助けは重要
でも、司はそこばかり重く見てしまったような。自分を軽視した司の怪我はいのりに不要な心理的外傷を齎す事に。いのりがジャンプを跳べていたのはハーネスの助けだけじゃない。そこには司の助けが有った。なのに司が自分を軽視したからいのりのジャンプも傷付いてしまうわけだ
自分に問題が有ると気付いた後の判断は凄いね。無理に自分で頑張る道を選ばずに魚淵を頼ると決めた。また、新潟への車中でも賑やかな時間が生じた。まるで怪我の功名
でも、怪我であるからには傷は癒やした方が良いに決まっている。そこで司やジャンプの傷を気にすいのりに夢を語る司の姿勢は良かったなぁ
そうしてちゃんと癒してやれたからか、予想外の治癒も待っていた。誰も認めてくれないまま傷として残っていた司の才能をいのりが静かに肯定してくれた。いのりはちゃんと司の存在を重視してくれている
まるで奇跡のような瞬間を受けて、司がいのりへ奇跡が降り注ぐ未来への決意を新たにする姿に胸が温かくなったのでした……
早くも2回目の年度末か…。いや、ほんと早いな
つまり零があの学校に来てもうすぐ2年が経つという事であり、当初は人間に失望していた彼が人外達の学校で何だかんだ上手くやれているという事であり
理事長であるトバリの進路すら気に掛けるのは零がちゃんと教師をやれている、人として成長できた証か
特に二人の会話は良かったな。人間らしいとは何か、改めて考えてしまったよ
最終課題はまたもやバラバラな内容…。それぞれに何が求められているのか測るのは難しい。当事者も理解しきれないから向き合い方も難しくなる
カリンは判り易く壁にぶつかっていた印象。トバリは逆に問題無さすぎて何を心配すれば良いのやら…(笑)
意外な状況に追い遣られたのは一咲と彗か。特に彗は普段の言動がキツいのに手紙をで真摯な想いを渡すなんて普段と逆、つまりは苦手を求められているも同然。だから言動のキツさを彗自身が自覚して悩んでしまう
でも、こういった壁にぶつかって悩んだ上で答えを出すのが最終課題の本質なのかも知れない。思えば鏡花もそうだったわけだし
一咲はいさきとの手紙で書き慣れてはいる。けれど、自分が感じた想いを答えとして出す事には躊躇が有る
それだけに言葉だけで伝わらない想いを手紙として渡してくれた彗の”答え”は一咲に道標をくれたようで
そうして苦手を乗り越えた一咲といさきが卒業要件を満たすのはめでたくもあり寂しくもあり……
まず思い浮かんだ感想としては「随分とグリグリ動く作品だなぁ」という感嘆と「特定の年代には超弩級に刺さるだろうなぁ」なんてものだった
というかNetflix配信だとどれだけ常識外れな作品が出来てしまうかという実例を目撃してしまった気分
本作のベースにあるのは日本人ならおおよそ知ってるだろう『竹取物語』。童話向けのお話として触れるのが最初にあり、古典の授業でも扱うだろうし、近年では高畑勲監督作品としてのイメージもある。いわばどの年代相手でも「かぐや姫とか判らない」なんて事はない題材
本作は仮想空間が舞台とか歌要素とかの色付けはあるものの、ベース部分に対して大きな改変を含ませているね。原題においてかぐや姫を拾ったのは竹取の翁と媼の夫妻だった。それ故にかぐや姫は夫妻の娘として育てられ、彼女が去った跡にも福が残された
けれど本作は違うね。最初の日こそ彩葉の身には子育て奮闘記が始まりそうだった。けど、かぐやがあっという間に成長した事で2人は親子ではなく親友の間柄になったし、そこにはアニメ的な文脈での百合を見る事も出来る
平安時代においては娘を偉い身分に嫁がせる事によって家の繁栄を目指す手段は珍しい話ではない為に原題にもその傾向は見えるものの、本作の場合は2人の関係が親友であるが故に福とか残されても困るのだ。彩葉にとってかぐやは財貨に変えられる存在ではない、居なくなった後に大金だけポンと渡されても意味なんてない。本作はそうした改変がベースにある為に魅力的な作品となったのだろうと思えたよ
他方でキャラクター造形…というか配置に関しては非常にシンプルな作りとしてるね。原題の要素には結婚を望まないかぐや姫が求婚して来る貴族に対して無理難題を吹っ掛ける工程も存在する
けれど、本作ではそれらの要素をあっさりとし、更に求婚しに来た男も彩葉の兄として配置する事で恋愛要素を本作の主題とならないよう配慮しているね
また、他の登場人物の配置も比重としては軽い。台本に占める彩葉とかぐやのセリフ量が2人で7割近くあっても驚かないかもしれない。そのくらい、本作では彩葉とかぐやの関係性にだけ注視できる作りとなっている
なら、本作において彩葉とかぐやの関係性として何が主題となっているかは出会いと別れであり、それこそ『竹取物語』の主題にも通じていると言えるのかもしれない
彩葉は彼女の本質に刻まれてしまう程の重い別れを抱えた人物。父の死に別れ、母を理解できなくなり、兄は自分の近くから去ってしまい…
そんな彼女が好いたのはAIのVチューバー・ヤチヨ、お別れなんて発生しそうもない相手。生きている人間ならいずれお別れがあるかもしれない。でもプログラムなら理不尽なお別れは早々ない
そして、学業を疎かにせず学費も自分で稼ぐ彼女に理不尽な変化も訪れる筈はなかった。だからこそ理不尽で無茶苦茶な出会い方をしてきた“かぐや姫”は彩葉の人生を変えうる訳だ
かぐや本当に無茶苦茶だね。様々な意味で彩葉の人生を変えてしまった。一人暮らしが二人暮らしになり、貴重な財産は使い潰され、彼女の正体が世間にバレるかもと心配事を抱える羽目になった。何よりも多くの人との出会いの契機となった
かぐやの無茶により彩葉の生活は変わってしまう。その最たるものはヤチヨカップへの参加か。彩葉としては遠くから眺めているだけでよかったヤチヨに近付く切っ掛けとなり、もう続きを描けないからと封印していた楽曲を紡ぎ直す起点となった
その工程は彩葉の可能性を試すものとなるね。学業とバイトを頑張っていれば付け入る隙のなかった日常が不確定なものになってしまった
普通の人は不安定よりも安定した状態を好むもの。なら、かぐやに引っ張られてどうなるか判らない状況に追い込まれたのはストレス要因。あの忙しい日の中で彩葉が体調を崩すのも当然というもの
けど、不安定要因となったかぐやは同時に安定の鍵ともなるね。彼女が作る美味な料理や騒がしいイベントの数々は彩葉に忘れかけていた日常の彩りを思い出させるもの
そうなれば、彩葉にとって輝かしい新たな日常はかぐやと紡ぎ直すものと成り、かぐやとの別れは人生が詰まらないものになってしまうかもしれない認めがたいものとなってしまったのだろうね
そう思えば、母の影響下から脱し不必要に人を頼らない生活をしていた彩葉がかぐやを守る為に兄や友人達に頼るのはそれだけかぐやが大切な証左であり、誰かに頼れるような彩葉へと成長できた証明だったのかもしれない
でも、少し成長できた程度では運命は変えられない。理不尽なめでたしめでたしは訪れる。そこで彩葉が運命に抗うが如く予定調和的な進路をぶった切って無茶苦茶な未来へと突き進んでいく姿は爽快感が有ったなぁ
そのような行動に出れたのも運命に抗いながらも運命に従うしかなかったかぐやの悲哀を認められないからというのもあるのかもしれないけど。
そして知らされるのはかぐやは運命に従ったように見えて何処までも運命に抗っていた点。かぐやは予定調和的な運命をぶち破る為に無茶をした。その果てに待ち受けていたのはいずれ訪れる運命の時まで待ち続けるという孤独な時間。そんなかぐやを孤独を抜け出し大切な人を見付けられた彩葉が無茶苦茶な遣り方で時には兄も頼りつつ迎えに行って、再び出会うという構図が本当に美しく感じられましたよ……
あの結末ってちょっと無理矢理なものに思えてしまうのは事実なのだけど、かぐやと彩葉が紡いだ物語の終着点且つ新たな物語の始まりとしてはこれ以上ないものなんだよね…
ストーリー面で言及したくなる要素は他に幾つもあるけれど、それ以上に本作はグリグリと動く絵力と退屈させない展開力がこれでもかと暴れまくる作品だったね
冒頭でも述べたけど、Netflixという媒体で制作を行うとこのような作品が出来上がるのかと感嘆してしまう。あの絵力は何度見ても飽きが来ないのだろうと思える
戦闘シーンで縦横無尽に動き回る様子も良かったけど、特にライブシーンにおける迫力は凄まじかったね。各キャラの性格を反映した細かいフリや観客を楽しませようとする喜も楽も詰まった千変万化な表情や仕草には魅了されてしまったな
あと、楽曲面では何と言っても聞き覚えのあるボカロ曲が流れるのは豪華に感じられたね。ライブシーンではボカロを愛するほぼ全員が知っているだろう有名曲を導入に用いて、本作オリジナルの楽曲でかぐややヤチヨの心情表現をするなんて大胆な遣り方ですよ
特にエンディングに使われた『ray』なんてBUMP OF CHICKENと初音ミクがコラボした楽曲という、つまりは現実世界とデジタル世界が融合したかのような楽曲を締めに使うなんて感極まる想いを抱いてしまったよ…
あの瞬間は多幸感に満ちていたなぁ……
彩葉とかぐやの物語はまるで尺足らずかのように突然終わってしまう。けれど、お別れで終わってしまった原題よりも先へと到れたのは確かな訳で。また、最後のMVでは少しだけ再会後の光景が描かれていた。その意味では予定調和すら無くなったハッピーエンドのその先を彩葉とかぐやがどのように楽しく過ごしていくかを自由に想像しつつ、もう少しだけ本作の余韻に浸りたくなるような素晴らしい作品だと感じられましたよ
神技のレヴォルテは魔族でありながら武を極めんとした存在か。そうした求道については説明が難しいもの。そういうものだとしか言えない時がある
同様に今回描かれた様々も説明が難しい要素に満ちていたね
ゲナウが語る前の相棒、良い奴なんて判りやすいようで居てその実は判り難い。ゲナウに構い、人から好かれ、子供を庇い、そして死んだ。前回ゲナウは死んだ村を見て「何で私達ではなくこいつらなんだろうな」なんて理不尽な死を嘆いていた
きっと前の相棒に対しても、「何でこいつが…」なんて通らない理屈に悩んだのではないかと思えてしまう
レヴォルテが利用する”人間の習性”、この行動原理を彼は説明できない。けれど、人間ならばそうするという経験則に基づき、粛々と罠を狭めていく
ゲナウが率先して村に残るのは理解できない魔族からすれば”人間の習性”と蔑まれるもの。でも、そこには理屈は通らなくても”何かしら”はある。だからゲナウと似た経験を持つシュタルクはゲナウに同調して死者を守る為に村に残る訳だ
ゲナウがシュタルクに明かした胸の内はそれこそ彼自身も説明し難いもやもやした感情だったのかも知れない
メトーデの習性は…説明が難しいようなそうではないような…(笑) てか、魔導書を貰えれば何されても良いとするフリーレンも何と言うかアレだね。それで良いのか最年長者(笑)
さておき、会敵する人間と魔族。フリーレンはまさかのフェルンに戦闘を託す姿勢。そこに理屈は有るのか無いのか?また、共闘するのは初めてなシュタルクとゲナウは仲間の戦い方を把握しないままにどこまでやれるのか?
格上に思える魔族を相手にそれぞれは己の理屈をどのように通して、相手の支配的な強さから脱せられるのだろうね?
微ミステリな内容に物珍しさを覚えてしまったけど、探偵事務所が舞台なのだからこちらの方が通常営業か
透乃眼は自分の姿は見えないけど、眼の前の景色は見える。しずかは眼の前の景色は見えないけど、自分と相手の姿は”見える”。そうした齟齬は露天風呂と景色が同時に見えてしまう窓ガラスを前にした時に最も表出したね。”見える”透乃眼はガラス越しにしずかの入浴を見ないようにとカーテンを閉じて去ったけど、”見えない”しずかはカーテンを閉じている事で透乃眼が景色を見ないようにと気を遣っているのではないかと憤った
そこには両者の”見える”と”見えない”のありのままが交錯しているが故の面白さが有ったね
そして旅館で起きた微ミステリもありのままが原因か
中居達にとってはありのまま、当然の現象。けれど知らない者からしたら恐怖の対象
これは透乃眼という存在についても言えてしまうのか。服を纏わぬありのままの姿は誰にも何も”見えない”姿。それは泡を纏っていれば最低限の見た目を保てるが、纏う物が本当に無くなった時に彼を見る事は出来ない。元カノさんが恐れを抱いたのは仕方ないと言える
けど、しずかは”見えない”故に”見える”。彼女にとって姿が”見えない”事はありのままの現象、見えないなら触れて”見える”ようにする。彼女はそうして生きてきた
互いに”見えない”を持つ透乃眼としずかがありのままとして接する事で”見える”ようになる構図はとても美しいものに思えましたよ
色々印象的なポイントはあったけど、慎一郎が36歳な事に超ビックリした……。もっと年取ってるものかと…
さておき、光も居る強化練習に参加できた事はいのりのレベルアップを判り易く示してくれる要素。けど、レベルが上がればそれだけ別世界と感じていた上位も身近に感じて却ってレベル差を感じてしまう事もある
現状のいのりはレベルが上がり続ける皆が跳べるジャンプが跳べない。その差を司の指導の下、どれだけ埋められるのだろうね
レベルが上がった事で近づいた存在は光だけではないね。いるかはかなりのクセ者のようで。おまけに年上だし普通に怖い
年上で怖くて実力者で、そんな相手にいのりは姉と己の尊厳を守る為に立ち向かったね。可能性が問われる世界だからこそ、終わった後の可能性を語る事は御法度。いのりの抗議方法は可愛らしいものだったけど、上位者であるいるかを退ける点においては有効だったと言えるのかな…?
まあ、皆がジャンプを跳べている中でジャンプを苦手じゃないと明言出来たいのりは必要な可能性を己は持っていると示せたのかもしれない…かも
けど、いつまでも可能性にしがみついてなど居られない。上がったレベルを更に上げる行為が必要になる。その為には何よりもいのりが自分のレベルを上げたいと発する事が必要。そうすれば司も彼女の意気込みに応えてやれる
ここで中部ブロックでの布石が上手いこと働くのは気持ちいいね。司といのりの協同が効いている。…その割に想いが擦れ違っているのは笑って良いかもしれないが
レベル補正器具とも言えるハーネスを用いての練習。これでいのりが短期間でどれだけ実際のレベルアップに繋げられるかが課題となるのかな?
人間に成りたい理由を明かさなかった寧々子担当回。人間に成りたい理由はそのままあの学校に居る理由となる本作において特殊な存在だっただけに、そもそも彼女自身は人間に成りたいとは思ってなかったのは予想外
寧々子は何者に成りたいのか?それを明かせない彼女に教師として零はどう寄り添うべきか?結局彼女は学校を去る事に成ったけど、零は寧々子の価値観を否定せずに向き合う教師が出来たのだと思えるよ
神社にてトバリから明かされるように、ただ人間に成るだけだと失敗リスクがある。だからあの学校で人間の文化に馴染めるよう教え込むわけだけど、逆に言えば学校に居続けると元の自分らしさが薄れてしまうとも言えるのかな
寧々子は猫又に成りそうだからと学校へ預けられた。変わる事は避けられない。でも、寧々子自身は変わりたかったのかという点はアリスとの対話においてはお座なりにされていたとも言えるのかも
零が問う寧々子の望み。彼女としては主人の望みに沿いたい、それこそが在るべき姿と捉えていた。けれど、零は良い事を言うね。違いを間違いではないと言ってくれた。普通でなくても寧々子の絵を隙だと言ってくれた
そうして寧々子が起こしたのは問題行動で有り、親への我儘。普通でない黒だけの世界への希求
寧々子は学校を去った。けれど、彼女の好きな色だけで描かれた零の顔が微笑んでいた点は彼女があの学校で大切な事を学び終えられた証左であるように思えたよ
冒頭で断片的に描かれる村の破滅、しかしそれで全てが判る事はないし、この時点では敵の正体も判然としない。それもあってかこの回は痕跡を辿るような要素が幾つも見られたような
そもそもあの村はゲナウの故郷。表情変化の少ない彼の心の痕跡を視聴者は些細な仕草や声の揺れに探してしまう。魔族相手にすら「頼むから少しは本当の事を言ってくれ」なんて無駄でも求める彼は律儀者であると判る。それだけにゲナウが滅んだ村に過去の痕跡を探し残そうとしているのが見えて物哀しい気持ちになってしまうね…
原作よりゲナウとパン屋の彼の会話が盛られた事でゲナウの心情がより伝わりやすくなっているね
「贅沢は言わん」との台詞と手の動き、何よりも既に死んでいると知ってなお彼を安全圏まで運んだ。それはどれだけ失おうとも、故郷の痕跡を僅かでも残したいと、そして彼を痕跡の中に留めてやりたいとの想いが見えたよ
他方で彼は戦いを求められる立場。悲しみに暮れるより、人々を傷付けた魔族を討滅を優先しなければならない
だからこそ同じく戦う者でありながら、死者に祈りを捧げ、似たような経験をし、当然の疑問を口にしてくれたシュタルクの存在は彼にとって死を悲しむ時間となったのではないかと思える
ゲナウとシュタルクは死を悲しめたから、フリーレン達は空腹を満たせたから、次へ進める。倒すべき魔族の痕跡を探す行為へ
一つの剣では足りない、二つでも足りない。そうして見えてくる宿敵の姿。既にあの村には命は無く痕跡しか残っていない。それでも死体という平和の痕跡を守る為に彼らが四刀流という破格の魔族とどう戦いを演じてくれるのか楽しみですよ
2人は共に”見えない”を持つ者である為に仲を深められたと安易に捉えていたのだけど、ここに来て”見えない”が他の意味を持つようになったような。冒頭のしずかが誤って透乃眼に座ってしまう描写は顕著
”見える”者であれば互いの表情や仕草から思惑を測れたりする。けれど”見えない”2人は良くも悪くも相手の思惑が見え辛い。唐突なお泊りの誘いはしずかを困惑させてしまう。透乃眼としては今後を見据えたものだったけど、あまりに軽々しく誘われた事でしずかは余計な勘繰りをする羽目に。他方で透乃眼もしずかがお泊りの誘いに喜び過ぎてテンパる様子に気付けなかったり
ただ、今回は”見えない”が表面的な意味だけでなく、互いの想いが見えない部分もダイレクトに意味していたような。自分では使わないドライヤーを家に置く透乃眼にしずかがモヤるのは当然
だから鬼木羅に同棲の馴れ初めを聞いてしまうし、透乃眼の方も鬼木羅にスパダリの意味を聞いてしまう。恋人として望ましい在り方が”見えない”から二人はどこか抜けた遣り取りをしてしまう。でも、それはそれで初々しいカップルらしくて可愛らしいんだけどね
他方で透乃眼が”見えない”ままとした何かについては気になるね。本格的に同棲を始めれば互いの様々が”見える”ようになってくる筈。その時までに透乃眼はしずかにどこまで自分の姿を見せられるのだろうね?
寧々に求められたのは演技力、経験のない行為・感情をどう表すか?つまり演技とは対面した者を騙す技とも言い換えられるのかな
寧々は感情表現そのものは問題なく出来てるんだよね。最初の「好き」は良い表情だったし、山吹相手に泣き怒るシーンも感情表現が出来ていた。だから必要なのはその感情表現力で相手を騙す力で
そんな調子だからか山吹も寧々を騙すような作戦を採ったね。…いや、よくよく考えなくても寧々の恋人役に成って浮気相手役のイコとイチャイチャする姿を見せるとか凄い作戦だな!と思うけども
疑似体験としての恋人・浮気。山吹とは付き合ってない寧々にとって、そんなの全く真に迫ってないのだから身に付かない。だから真に迫る体験とする為に寧々を騙す事から始める必要があったわけだ
ただ、ここでややこしいのは、寧々もイコも山吹に何かしら感情を抱き始めている点。イコと山吹が付き合う姿は演技だけど、思い当たるフシが有るイコも寧々もこの演技に騙されそうになる。互いに他の女性に靡きそうな男を引き止めたいという感情が沸き起こってしまう
それこそが寧々にとって、そして図らずもイコにとっても真に迫る体験と成ってしまう訳だ。演技を飛び越えて本気になろうとしていたイコは可愛らしかったね
恋人の浮気という疑似体験を経た寧々の演技は面白い事に
演劇部では山吹とイコの姿を思い浮かべ、得られた感情をそのまま表現。大泉はなんか評価してくれたけど、あれって演技じゃないよね……。むしろ山吹が本気で浮気して許しを請う際に言いたくて堪らない台詞だよね…
そしてまさかの山吹相手に演技するなんてね。山吹を慌てさせた寧々の衝動的演技。なら、彼女はそこに籠められた感情をどこで体験して我が物としたんだろうね?なんて考えるとニヤニヤしてしまうよ
慎一郎が導いた先が色々な意味で予想外なフィールドだった…。てか、これ司は場違いとかじゃない?大丈夫?
…さておき、見せられたのはトップスケート選手の世界と言うべきか。慎一郎も夜鷹も言うに及ばずトップ層。けど、それは実力を指しての言葉ではなく、スケートリンクとの付き合い方における在り方か
慎一郎はエキシビションを思わせるリンクを好んでいるようだし、夜鷹は滑れない環境に堪えられなかった。これらはそもそもスケート選手に成れなかった司とは隔絶した在り方。けれど、夜鷹によって環境が違えば司とて同じ世界へ入れる可能性が示されたのは驚きの瞬間だったよ
夜鷹は20歳で選手を辞め、司は20歳にして選手と成った。その在り方は対称的
けれど、才能は相通ずるもの。最初はスケートリンクに入る事さえ不格好だった司が夜鷹の飛び方を見る中でどんどん上達し、更に一度見せられただけのバックフリップさえ飛べてしまった。それは異様な才、放って置く方が可怪しい
夜鷹は司に対し「可能性を捨てた」と吐く。それは司の才を世間だけでなく彼自身が放置したと責め立てるも同じ。でも、司にとっていのりをメダリストに導く事が可能性の、己のスケート選手としての在り方の使い方なのか
ただし、夜鷹が示唆するように達成は難しいというのが何とも言えない。絶対的なライバル、夜鷹・光ペアが居る限り、司・いのりペアが栄光を掴む事は出来ない。それでも才能を可能性と置き換えて語る事が許されるならば司が言うように絶対は無いわけで
でも、眼の前に居るのは夜鷹・光だけではないね。強化練習に訪れた選手がどれも全日本やその先を狙える可能性があるならば、いのりは光だけでなくそれらの選手とも競っていなかければならない
司と夜鷹の因縁が改められた今回、いのりがトップ選手へと上り詰める為にどれだけの可能性と覚悟を必要としているかが再び示された気がするよ
鏡花はすんなりと送り出された印象。その中で彼女が示したのは零への特別な感謝か
また、星野と雪が特別な関係にある事が知れたり、トバリの正体が零へ特別に教えられた今回は「特別感」というものを強く意識させる構成と成っていたような
そして、特別な相手へ向ける特別な感情の最たるものと言えばやはり恋愛感情となるわけで。教師である零に恋心を寄せるカリンの出現は、零が教え子を公平に見るか特別に見るかを試されたかのよう
零へ恋愛感情を向けるカリンの感情は突然過ぎて特別に思う事は難しい。でも、感情の源には零がした特別な行為が潜んでいたね
零は彗の願いを叶える為にルールから逸脱する特別を行った。それが回り回ってカリンに特別な感情を齎した訳だ。その意味で零はカリンの感情に責任の一端がある。無碍にするなど許されない
そうして向き合った零が返した表向きの答えは変わらないまでも、籠められた意味は変わっていたね
カリンが語る過去話は特別として扱った一人が別の一人を特別として扱った為に生じた寂しさ
カリンが人間に成りたい理由は面白いね。今の自分は強すぎるから対等な強さの人間に成りたい、そうして特別な相手を見つけたい
カリンの根底には特別と対等が隣り合って存在している。だとしたら、零が教師として生徒を”対等”に見る為にカリンの告白を断ったのはカリンの想いを無碍にしない断り方だったんじゃなかろうか
カリンは失恋した。それでも零の特別に成りたいと好きを発するカリンの姿は愛らしいものでしたよ
子供であるゆうの視点を通して大人の格好良さを描きつつも、ゆうを近くに置く事で透乃眼としずかの子供な部分も露わになったような
友達と上手く遊べないゆうに誰もが満足できる遊び方を教えるしずかの姿には格好良さが有ったね。おまけに自分は教える以上は過度に関わらず少し見守ってから去るだなんて
探偵業を営む透乃眼は言わずもがな。ゆうの子供らしい尾行に気がついた上で煙に巻く姿は手慣れている
けど、ゆうが近くにいる為か、透乃眼の子供な要素も顔を出していたね
子供の頃のトラウマで暗闇が苦手な彼はゆうの前だからどうにか平静を装うが、きっと透明人間故に誤魔化せている部分もあって
そんな彼を落ち着ける為の話が妙ちきりんな昔話になってしまうしずかもちょっと子供らしい。でも、そうした子供のような昔話が哀しさを子供時代に残したままだった透乃眼を癒してくれるように思えたよ
…それはそれとして、子供のような素振りで大人顔負けのアクションを繰り広げる写螺子は別世界の住人のようだったな……(笑)
あと、恋人達の時間を目撃された透乃眼としずかの慌てようがまるで親に秘密が見つかってしまった子供のように見えたのも面白かったな
冒頭で改良型バリスタの常識外れな威力が描かれたものだから、どのような魔物が現れてもあの村に危機と呼べるものなんて訪れないだろうと思っていたら…
流石に機動力と耐久力があるドラゴンが相手だと話が変わってくるのか
ヴァンの能力だけでは跳ね返せない強敵を前に問われるのは村の底力。それが逆にヴァンの真価を示す結果と成ったようで
ヴァンは生産系魔術に拠って村の防衛機能を高める事は出来る。けれど、村の攻撃力なんてバリスタくらいしか無いのだから、それが躱されればヴァンの役立つ機会なんて少ない
だからこそ、他の者達の力も必要となってくる。パナメラやエスパーダの高威力魔術には驚かされたけど、彼女らを始めとして多くの者が村の防衛に力を貸してくれるのはヴァンの人徳有ってこそ
今回の防衛でヴァンが役立った部分は少ないけれど、多くの人々が尽力した状況こそ彼の実力と言えるかも知れず。そう思えば、彼が最後に評され同盟を手にしたのは当然の報酬だったと言えるのかもしれないね
いのりの勝ち方はかなり予想と異なるものと成ったなぁ…。それもこれも全てはこれまでに滑った少女達の在り方により思い込まされていた部分があるんだろうけど
瀬古間が賭けと喩え、少女達はミスを避けられず、時には指導以上の何かを発揮し…。そうした印象が強かっただけに”失敗しない技”を前提に演技を構成した司、それを実現できる実力を持ついのりの組み合わせには想定を超えるものを見た気がしたよ……
賭けであるのは変わらない。けれど、それは不安定を指すのではなく、安定を実現する為の賭けといった処か……
演技中の他選手とコーチ陣の反応の違いが印象的。滑り終えた少女達はほぼ無反応に近く静かに見守っている。対してコーチ達はいのりと司が実現した奇跡に戦慄している
きっとどちらもいのりのスケーティングやコンビネーションを実行する為にはどれだけの練習や賭けが必要か判っているから、そういう反応になる。滑る方と滑りを教える方で立場が異なるから反応の違いに出るだけで
そう思えばこそ、滑り終わった際に司が見せた反応が何よりも実現した奇跡の難しさと実行してくれたいのりへの感謝に満ちているように思えたよ
けど、司はいのりの前では過度に「これは奇跡だ!」なんて反応は見せないね
むしろ、キス・アンド・クライに居る自分を夢に重ねて不安定になりそうないのりに対して、「今日でお願いも終わりだね」と安定へと導いている
実際に滑ったのはいのりであっても、いのりの滑りは司が支えている。そのように感じられるシーンだったよ。だからあの得点と順位は2人で掴み取ったものと言えるのだろうね
……それで居ながらメダルを前にしたら一緒に「夢じゃないよね?」と確認し合うのはどこかユーモラスなんだけどさ
いのりと司というコンビが描かれたからこそ、他のコンビの思惑が気になってくる。Bパートはそうした描写が随所に現れていたね
どの選手もここで負けたとしても上を目指す心の炎が消えたわけじゃないから、再び挑戦する為の何かをあの場においても掴もうとしている。コーチ達も教え子をより高みへと導く為に改善策を練っている
その高みというのが今回の中部ブロックを飛び越して全日本であるのは当然かもだけど、それによって改めてこの先の壁は高いと感じられ、だからこそ先の壁をも意識した構成をいのりにさせた司の判断の頼もしさを改めて感じられたよ
けど、司にだって壁を超える何かは必要な筈で。慎一郎により開かれた扉の先に待つものは何なのだろうね?
もう卒業の時期なんて随分と早い…
最終課題が卒業資格の無さそうな彗やトバリにも同様に課されていたのは印象的。これは人間に成る最終段階の資格を問うだけに留まらず、それこそ授業で教えきれないものを教える課題となったような
だからこそ、見た目優等生な鏡花にこの課題は刺さるものと成ったのだろうね
宝探し、署名集め、作詞作曲、短編小説。どれも聞く限りでは簡単そうな課題。けれど、意外な奥深さがあったようで
慣れた調子なトバリはさておき、彗は署名させる為に字を教えるなんて一苦労が挟まり、一咲は2万字書けば良いものがキャラが動き更に伸び、といった調子で問題を問題文の通りに解く事が出来ない課題
それだけに「これは自分に課された試練なのだ」と重く受け止めて、自分で問題を解こうとした鏡花には苦しいものとなってしまう
頑なになった鏡花に解き方を教えるのも難しい課題。彗のようにストレートにぶつかっても拒絶される。対していさきはタコパでの雑談を通して鏡花の頑なさを解きほぐしたね
鏡花の課題は硬い頭では解けない問題。問題の先に別の問題を見付けて、問題を解く際には別の解き方を考えて。そうして友達と協力して発揮された柔軟性が宝箱へと至り、卒業へと至るなんてね
鏡花は人間に成れる。でも、鏡花しか人間に成れない。この問題を人外少女達はどう解きほぐすのかな?
A・Bパートで得られた方向性は真逆に近いというのに、結果として辿り着いた光景が似通っているのは印象的
Aパート、ファスは最上の酒を求めたのに得られたのは不味い酒。けど、それによって笑顔を街の皆は笑顔に成った
Bパート、フリーレン達はまともな食事を求めたが得られたのはフリーレンの拘束。けど、それによって柔らかいパンがこの先の道中でも食べられる事になった
食事は笑顔の源と言わんばかりだけど、皇帝酒の勘違いを引き起こした長命のミリアルデには全く笑顔が無かったのは印象的
ファスは皇帝酒を呑む為に人生を懸けてきたと評しても過言ではない。街で見つけたフリーレンをすぐに碑文の前まで連れ出し、金貨20枚も渡すと言ってきた。彼の並々ならぬ情熱が見える
フリーレンが乗り気でないのは、皇帝酒なんて迷信は長命に敗北し笑顔を忘れたミリアルデによる嫌がらせと知っているから
実際に酒は不味かった。けれど楽しい旅をしていた頃にハイターから聞いた”酒の呑み方”を広めて楽しい酒へと変えてみせたフリーレン、受けてのファスの切り替え方は良かったな
北部高原は流通に問題が有るようで。望ましい飲食物が必ずしも手に入るとは限らない。だから物資を入手する為の金貨は貴重となりファスの依頼を受ける根拠と成った。そう思えば困窮した商会から取り立てを受けるのは当然で
けど、実態は商会らしい取引か。ノルムは銀鉱発掘、フリーレンは借金帳消し。互いに利益を与え合う取引
フリーレンが借金返済の為に鉱山送りという楽しくない状況を端緒に、北部高原に流通が戻り人々の暮らしに笑顔が満ち柔らかいパンが食べられる未来へ
前回、北部高原の厳しさを魔物の形で示したけど、今回はネガティブな要素に抗う人間の強かさを見た気がしたよ
結構昔に一度見た覚えがあるのだけど、ストーリーの大半を忘れていた為に再鑑賞
見て真っ先に感じた事は「本作はこれまでに様々な『時をかける少女』作品が存在した為に成立した作品なのだろう」という点だったかな。それは決して悪い意味ではなく
そもそも本作で描かれる世界観が原作の20年後というのだから、その意味でも他作品の存在を前提にしていると言える。だからか本作が描くのはタイムリープ能力の可能性を試すものではないんだよね。あくまでも普通の高校生が能力を得てしまったら?その能力がある為に青春模様に影響が生じてしまったら?という非常にミニマムな世界の中でお話が構成されていると感じられる
そう思えたのも作中で芳山和子が真琴のタイムリープ能力の使い方を聞いて、悪事に使わなくてよかった、みたいに受け取るシーンがあるからかな。私は他の『時をかける少女』作品を知らないので何とも言えないけど、考えてみればタイムリープ能力があれば様々な悪事に使えるだろう事は容易に想像がつく。けど、真琴はそういった悪事は考えないんだよね。彼女の使い方はあくまでも美味しい物を食べたいとかカラオケでいつまでも歌いたいとか野球を巧くやって驚かせたいとか、そういう身近な自己満足に収められている
作中でも言及があるけど、ちょっと真琴っておバカさんなんだよね。難しい事に能力を使えないし、先読みに秀でている訳でもないからタイムリープによってどのような影響が生じるかもあまり想像できていない。その意味ではタイムリープ能力を有しても危険性のない人物
かといって、真琴がタイムリープをしても何の影響もないという意味に成らないのは和子が言及する通り
真琴が高瀬を身代わりにし自分の身に起きる災難を回避する事で高瀬が虐められたり彼が暴力行為に走ったりする。真琴が千昭の告白を無かった事にした為に彼は友梨と交際を始める。何よりも大きい影響としては真琴が何度もタイムリープを繰り返す事で功介が壊れた自転車に乗ってしまい、事故を回避する為に千昭がなけなしのタイムリープ能力を使う羽目に陥る点か
全てにおいて真琴が悪かった等と言うつもりはないけれど、真琴が動かした運命が回り回って別の人物へと作用する典型例と言える。和子は真琴が千昭の告白を回避するタイムリープの使い方を「無かった事にしたいんだ」等と言っていたが、天ぷらの油が必ず跳ねるように、千昭の想いは消えないし壊れた自転車も消えはしない。時間を巻き戻してもそれらは何処かのタイミングで必ず発生する
何故なら真琴のタイムリープは事象の発生タイミングをずらしているだけであって、事象そのものを消している訳では無いから
この時になって初めて真琴は自分のため以外の理由でタイムリープを使おうとするわけだ。それまでは詰まらない目的でタイムリープを使用していた彼女が、千昭を未来に返すなんて彼女にとって得の無い目的の為に
これこそが青春模様だと感じられたよ。自分が良ければそれで良い、悪いものは誤魔化して目を逸らして、な勢いで過ごしていた真琴が好きな人の為に、おまけにタイムリープを使えば千昭は未来に帰ってしまうと判っていて。これこそ愛ですよ……
本作ってモチーフの使い方が上手いなと思ってしまったり
判り易い点だと運命の分岐点とも言える踏切のシーンかな。からくり時計、ぶつかった事に文句を言うおばさん、空を進む飛行機。特におばさんなんて巧く使われている。彼女が登場すれば時間は繰り返されていると否が応でも感じられるし、また真琴の不注意でぶつかった事への文句で鑑賞者まで申し訳なさというストレスを抱える、それが踏切への緊迫感を増して感じられる
またタイムリープを扱った作品なだけに時計を効果的に使用しているし、タイムリープによって時間の進む先が変わる様子を道路標識や信号機等で判り易く示してくれているね
あと、タイムリープの効果を深く考えさせるシーンでは学校空間の日常風景と共にゴルトベルク変奏曲によって彩っているのも良いね。真琴がタイムリープを繰り返す事であのような何の変哲もない風景も少しずつ変わってしまったのではないかと考えさせてくる
本作は真琴が体験するタイムリープという現象を大袈裟なものとすること無く、それでも彷徨える青春において真琴の人生を変えてくれるものとして作用しているのがそれこそ青春だなぁなんて感じさせてくれる、そんな作品だと思えましたよ
アポロの言葉がしのぶを通して伝えられた事で山吹の心は揺らいでいるけど、どうやら六花達も揺らいでいるようで。教師宅での打ち上げという話なのに気合が抜けているようには見えない服装で揃った彼女らは明確に山吹を狙っている。でも六花以外は山吹を狙っているとは他の部員達に知られたくない恥ずかしさがあるから、どうにも水面下での駆け引きに終止すると
ただ、現状では山吹の側に彼女らを恋愛対象として見る気が無いから、彼女らの駆け引きは空回り感が拭えない。いわば、山吹が行動を起こすのを皆して待っている状態と言えるのかな?それはまるで山吹が己の正体へと辿り着くのをアポロが待っている現状かのよう
視聴者的には六花達の恋愛感情だけでなく、アポロの正体も気になる所。そもそも山吹自身がアポロ探しであの高校に入った事を考えると、アポロを探るのが本作の方向性と言える
けど、山吹はその方針に背を向けたね。少しでも手を伸ばせばアポロに届く、眼を開けば彼女が見える。だというのに山吹は与えられた答えではなく己で掴む未来を答えとした。それは山吹自身が恋愛とは異なる意味で六花達とどう関わっていくかを決めていく方針
ただ、少女達がこれから何者に成れるか判らないように山吹の未来も判らない。これが正解だと引き抜いた答えが実は全体を崩してしまうように。それでも山吹がアポロの言葉を大切にしている限り取り敢えず放送部としては満足行く何かには辿り着けるのかな?とは思えたよ
前回ラストの宣言、そしていのりに対する威圧。それらの印象が強かっただけにトイレで一人芝居をする夕凪には一時不安を抱いてしまったけど、それが杞憂であると理解させられるくらいに夕凪の滑りは素晴らしいものだったね!
印象的な要素としては彼女の戦う相手か。これまでに滑った少女達は他競技者がどれだけ得点を積み重ねられるか、5つの椅子に残れるかを気にしていた。けど夕凪が見ていたものは全くの別。他の子が「今日は光が居ないから優勝できるかも」なんて思う中で光に勝つ事を意識していた。だから5つの椅子よりも光なら掴めるだろう金メダルを意識していたのだろうね
夕凪の滑りは本当に凄かったな。いわば血を流して咲く暴力的な華のイメージが湧いてきたよ……
前回描かれたりんなや愛花の滑りによってリスクを負う危険性は重々伝わってきた。それでも慎一郎の指示に逆らう形で光に勝つ!金メダルを取る!そうした想いを抱き、キッと高く飛んだ彼女の姿には唖然とさせられましたよ……
他方で滑る前に慎一郎が重視していたのは「自分の滑りをやり切ること」。それを思えば滑り終わった夕凪に対して「やんちゃだなぁ」なんて微笑んでしまったのは、あの無謀な滑りにこそ夕凪らしさを感じたからなのだろうね
夕凪はあの滑りで自分を表現してみせた訳だ
こうなると気になってくるのはいのりが何を目指すのか、そしてどのように自分を表現するのか?
目指す先は明白だね。前々からメダリストは志向しているし光の事もライバル視している。それらの点は夕凪の相似。けど、ジャンプの技量では及ばない
それならばといのりに必要な表現のヒントが描かれたけど、ソレ以上の覚悟と志向が描かれたね!コーチの司はいのりに託すしか出来ない。でも紐や拳を通して流し込む事が出来る
「今から貴方が取りに行くのは金メダルだ」、何よりも力強いエネルギーはいのりへと渡された。この幾つもの華が咲いたリンクでいのりが咲かせるだろう金色の輝きがどのように表現されるか楽しみで仕方ないですよ!
ここ暫く担当回的な内容が続いていただけに今回はトバリ回だと単純に受け止めていたのだけど、予想していたよりも彼女は自分を語らなかった。むしろ語らない彼女を前に零は己を語る構成と成っていたね
教師が迷える生徒を導くのではなく、何かを抱える生徒・トバリが迷いと後悔を抱いたままの教師・零に光明を与える。それはどう考えても立場が引っ繰り返った関係なのだけど、教師として成長が必要な零にとって大切な時間であり、それを与えられる事でトバリという少女の個性が描かれていた気がするよ
星野のハンカチを汚し、音MAD動画による身バレ。どちらも教師が生徒に晒すにしては情けない姿。けど、トバリはからかいはすれ、貶しはしないね
それは零の人間性を肯定しているかのよう。同様の傾向は夕暮れの校舎、教師としての仕事が終わる時間になっても続く。そして始まるのはトバリが迷える零を導く時間。あの時間におけるトバリの言葉は本当に教師然としていたね。零を安心させ、彼の苦しみを受け止める温かい懐を晒してくれている。だから零も思わずトバリ相手にこれまで同僚や生徒には言ってこなかった後悔を話してしまったのかな…
こうなると気になってくるのはトバリという少女の来歴か
何年上級クラスに居るか判らない、違反行為も零の前で平然と行う。その姿勢は彼女が本当に人間に成りたいか疑念を湧かせるもの
むしろトバリは人間に成る為にあの学校に居るのではなく、あの瞬間に零を受け止める為に学校で待っていたのではないかと思えてしまうよ
トバリが何を抱えているかは判らないまま。けれど、あの時間に零が赦しを得られたように、トバリが零と過ごす時間の中で何らかの赦しを得られれば良いなと、あの歌を聴きながら思ってしまったよ