本作の魅力として、体感時間が短い=心地よい時間が流れていることを挙げる方は多いと思うが、自分からはもう一つ、人間関係、特になでしことリンの距離感の微妙かつ繊細な変化を見事に描ききっていることを挙げたい。
人間関係の変化が柱であるはずの恋愛物でさえ、イベントを1個消化したら好感度が最大値に、みたいなドラスティックな変化をする作品が多いというのに、本作は、小さな変化を12話かけて丁寧に積み上げて、第1話の頃がウソみたいに二人の距離が近づいている、というところまで至っている。それが端的に表れているのが、第1話と同じ場所で二人がキャンプする、最終話のCパートだろう。最終話で言えば、他には二人が並んで寝転んで星を見上げながらとりとめもなく話すシーンとか、めっちゃキュンキュンする。
言葉やリアクションの選択を少し誤っただけで、そうした小さな変化が台無しになるというのに、多くのスタッフが関わるアニメ制作で、どうすればそんな繊細なコントロールが可能だったのか。本当に不思議。
3ヶ月間、とても心地よい時間を過ごさせてもらった。終わってしまうのが寂しい。スタッフのみなさんに、心より感謝を。
涙、滂沱。
さすがメインタイトルがつけられた回、脚本も、演出も、フィルムを構成する何もかも、全てが一体となって素晴らしかった。
特に、キャスト陣の演技には、それはもう強烈に心を揺さぶられた。花澤香菜さんによる報瀬の号泣に圧倒されたのは言うまでもなく、水瀬いのりさんによるシュラフに包まったキマリの静かな語りは心に沁みたし、能登麻美子さんによる吟の精妙極まるニュアンスの表現には唸らされた。
この作品に出会えて、ここまで見続けてきてよかったと、心から思う。スタッフのみなさんに心からの感謝を。
人口生体という存在によって浮かび上がる、人とは何か、心とは何か、という根源的問い。こんなド直球なSFアニメに出会ったのは久しぶり。是非、一人でも多くの方に見て欲しい。
脚本が非常によく練られており、謎の提示と解明の手際も上手く、意外な展開と真相に何度も驚かされた。その分情報量が多くて、ついていくのがたいへんではあるが(自分は理解しきれた自信はない……)、ついていきたいと思える面白さは十分にある。もちろん、キャラもとても魅力的だ。
メカについても、設定倒れに終わることなく、ストーリーにしっかりと生かされ、どういうメカであるかが映像で描き出されている点も好感。そういう、メカ物としての基本ができていないメカ物、枚挙にいとまがないよね……。
Netflixで視聴する場合、OPとEDを手軽にスキップできるようになっているが、OPはストーリーの進展に合わせて少しずつ変化していくので、スキップしないことを推奨。
ダムを始めとする巨大建造物とか、多脚戦車とか、スリップが好きな方にもオススメ。