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とても良い

私はこの回を見る為に『戦国妖狐』を好きで居続けたのかもしれないと思える程に満足感を得られる回でしたよ
人か闇か曖昧な己を生きて、時には人間と認められ時には化け物と恐れられ。多くの迷いを内包する千夜が辿り着いた境地は作品のテーマ性を表したものであるように思えるだけにこの感動はひとしお

人や闇が共存する世界である為に登場人物は己が何者かを問い続けてきた
道錬は霊力も無いのに神雲に勝つ為に化け物のような姿まで登り詰めた。断怪衆の僧侶達は戦線に加勢する為に何か変な兵器まで持ち出した
他の者達もこの決戦場に辿り着く為に己を高め続けた
それらは己の在り方を突き詰めた究極の姿

千夜は己が何者であるかを問い続け、時には多くの人から差し伸べられた手によって救われてきた
救われた彼だからこそ命すら危うい戦場で多くの命を救おうとする。でも、対象の闇達は彼に害意を向ける
戦っているのか救っているのか曖昧な戦場にて血を流しつつ、笑う彼はもはや戦鬼の如き

でも衆生を救うのは鬼ではなく仏のような存在となる筈で
千夜の本願を体現する在り方は彼の究極の姿であり、この作品が辿り着いた境地だね
一方でそれは千夜一人だけが無理をしている姿である事に変わりはない。だから千夜へと必死に手を差し伸べようとする者がいるのもまた良い展開

あれだけ力を求めたムドが猩々の酒という力で計れない物に敵わないと無力な彼等を助けようとする光景は目頭が熱くなるもの
彼とて自身の在り方の究極系に辿り着いたと判る

そして間違った在り方へ行き着いてしまった灼岩に手を差し伸べるのはやはりかつての仲間であるべきで
復讐を遂げる為ではなく、仲間を救う為に戦場へ戻った真介の涙にこちらまで涙ぐんでしまったよ…



良い

古本屋という旧きモノに出会える場所は北本にとって昔の思い出を探る場所になったようで
曖昧な話だから探し物へは簡単に辿り着けない。それは他者に対する心も同様。だから夏目は珍しく北本が話してくれた昔話を大事に思うし、彼が少しでも関わった場所を守ろうとしたのかな

夏目にとって通り掛かっただけで危険に自ら近づく理由もない。でも、北本がそこで家族の思い出を探そうとしていて、店を必死に守るカエダがいるなら関わる動機になる
また、悪鬼探しは別のものを見つけさせる工程となるね。ぶっきらぼうなカエダは北本の純朴さを尊く思っている様子が感じられる
夏目が危険に関わるように、カエダにも危険に関わる理由があると判る

悪鬼から店を守ったカエダが次に守ろうとしたのは北本の優しさかな
彼女が本を読めたのかは判らない。けれど、目を通そうとしたのは確かな話で
見つかるかは判らないけれど、探そうとする事が一番大事。受け渡した本によって互いの想いを少しだけ探し当てられた北本とカエダの交流には静かな温かさを感じてしまったよ



良い

自宅に居る筈のメイドがクラスメイトとしてやってきた!⋯とかサプライズ要素としては満点だけど、それは人好を驚かせたいと云うより雪が普通の生活に憧れた結果
なのだけれど、肝心の雪が普通を名乗るのがどう見ても難しそうなのはどうなんだろうね(笑)
ただ、傍に人好が居ればまあまあ穏やかな学校生活は過ごせるのかな

早くも雪の普通じゃなさが披露されたパン買い競争。普通なら出遅れたから買うのは無理となるものを大胆なショートカットをして悠々と購入するのは飛び抜けている
むしろ折角の美味しいパンだからと一緒に食べる選択をした雪にとっては、普通に買うよりも人好と普通に食べるという点の方が重要なイベントとなったような

従者としてのメイドではなく共に居る人としてメイドを求めたなら、当然夢想してしまうのは家族になった姿
その点について李恋の方が進んでいるのは納得。ただ、人好が感じているように李恋との接触により普通への憧れを強くする雪の姿が良いのはその通りで
その意味では単純に人好と雪が結婚すれば良いという話ではなく、あの3人が一緒に居られる空間が作られれば良いなと感じてしまう

ひと目見てヤベェと判る保健医ってそりゃヤバいんだけど、それはそれで魅力的⋯
さておき、新田は様々な面で人好の脅威になる人物。人好を誘惑した点も暗殺者だという点も
これは雪が担う領域なんだけど、学校にそのような人物が居ると雪が目指す普通が脅かされているとも受け取れて
新田の排除に務める行為は果たして雪に普通を齎すものになるのだろうかと懸念⋯



普通


普通

魔法使いになろうとしたら普通科に入れられて授業中はお絵描きしてた前々回も凄かったけど、自然に戻るとのテーマで芋煮会をする今回も凄いな
求められるはシステム化された機械的な魔法ではなく、自然に活きる魔法。ミナミが現代魔術と対立しているとの背景が明かされた事でクルミ達に何を求めているかが少し見えてきた気がするよ

マ組が使う手帳魔法は便利だけど、確かにどのような仕組みで魔法を使っているかは曖昧。それは現代文明を生きる私達にも突き刺さる部分があるね
ただ、そうなると魔法陣ではなく地道な遣り方で火熾しをしたユズ達の遣り方も方向性としては間違いではない気もするけど⋯
それだけに古代魔法にこだわるミナミの思惑が気になってくるところ

気になると言えば、クルミの祖母も古代魔法に精通しているらしき点も。その意味では忘れ去られていても古代魔法の叡智は現代に活きていると言える。ミナミがそれでも目指すのは古代魔法使いそのものの復活?
教師の方針によって子供の未来は様変わりする。それだけにミナミの意図は気になるし、ここで離脱する意味も判らない。クルミ達の普通なのか可怪しいのか曖昧な学園生活はどうなるのだろうね



とても良い

当初の緊張感は何処へやら大喜は千夏との共同生活に慣れてきたようで。それは気の緩みとなりジャージの取り違いも発生してしまうと
そんな状態だから千夏に男として見られていないとか、大会を前にした際に過度な緊張に襲われるとかまともな対応が出来ない
その意味で大喜は時間の使い方が未熟なのかもしれない

そんな大喜に適度なリラックスや緊張感を齎すのは千夏となるわけだ
屋上で千夏の笑顔に出会って落ち着いて、着替えを前に緊張して
百会を押して貰いリラックスして、再来年との言葉にやる気を取り戻して
やはり大喜にとって千夏はモチベーションと成り得る存在。だからこそ、彼の次なる課題は千夏を理由にやって来るのだろうね

針生相手の勘違いと違い、自分より凄そうではないけれど同じく千夏狙いな岸は今の大喜を試す良いベンチマーク
その戦いを前に千夏へ自身のモチベーションを宣言できたなら、彼から余計な緩みは消えていく
逆にそんな大喜の姿勢が千夏にとってもモチベーションとなるなら、二人の間には良い相性が有ると言えるのだろうね

試合では時間を使う事によって相手からモチベーションを奪う戦術。短い間に大喜は成長したのだと判るね
だから彼には更なるモチベーションの為に褒美が必要となる
ここで千夏にとって岸が連絡先を知るのに比べたら、嫌な要求とならなそうな感じが割りと大喜に対して脈アリじゃないかと想像させてしまうが、果たして試合の結果や水族館デートはどうなるのだろうね?



良い

遂に訪れた決戦の舞台はいわば旅の総決算のようなもの。これまでに千夜達は何を磨き何を成長させてきたかが試される
だからか、無の民を止める目的よりも自己の望みが優先されてしまうのかな。そうしてバラバラに戦う千夜達の有り様は未熟を示すようなもの

自身の命を狙う闇の大群を前にして千夜が思うは如何に犠牲を少なく出来るか。それは戦場を舐めた考え方だけど、ムドにも同様の傾向が見られるね。人魚を追って戦場離脱なんて
また道錬も女体を見てダウンするなんて修行不足…。いやこっちは修行のし過ぎか?

一方で充分に己を熟達させていても動揺を抑えられない時があるのが戦場の常
颯爽と助けに入ったたまが灼岩を見て戦えなくなり、不安になり千夜に助けを請うのは象徴的
その意味では戦士として熟しているかに関わらず戦場であっても誰かを助けたいと思うのは当然なのかもしれない

ならば戻ってきたムドや道錬が猩々を助ける為に戦場に向き直るのに不思議はなくて
ただ、そう考えると救いを求める無の民に対しては「滅びて当然」と考えてしまう千夜は正しい視点で戦場を俯瞰できているのかと疑問も湧いてしまう
まあ、今は神雲や道錬等の強者が前に出た事で始まるだろう激闘を楽しみたいものですよ



良い

謎の言葉を呟くばかりで何が目的か判らない案山子の在り様が友人帳と繋がってくるとは思わなかったな
必要とされない案山子なんて誰が気にするでもない。でも存在として成立してしまったら、居着く場所を求めてしまうもの
そこが元々別の誰かの居場所なら競ってでも手にしようという話になるのかな⋯

案山子はまともに喋らないから彼らがどのような存在であったかは推測するしか無い
それだけに知らぬ内に繋がってしまったという考え方に着目してしまう。これは友人帳にも言える事
元々はレイコが妖と競う中で出来てしまった繋がりが因縁のように今の夏目へと至っている。でも、夏目はレイコの思惑を知る事は出来やしない

夏目は友人帳を通して妖達と時には衝突したりお願いを聞いたりと関わり続けている。それは押し付けられた呪いのような役目だろうけど、友人帳を持つ事で彼は知れなかった想いの数々との繋がりを紡げた
その意味ではあの屋敷の主人も怖い夢を見続ける事で案山子の想いに触れ、彼らが何を求めているかを知ったのかもしれない
それは呪いであっても繋がりである証拠

だから最後には追い返した案山子の解放を願ってしまったのかな⋯
なら呪いのように突然出来てしまった繋がりであっても、それが繋がりであるならば、相手の想いを汲み取りたくなるもの
夏目にとって良い事もあれば悪い事もある。それでも関わるしか無い。そこへ夏目と様々な繋がりを紡いできた名取が解放を誓うというのは良いラストに思えたよ



普通


良い

穴開けに対して「怖い」ではなく恐れ多くて折檻かと震え出す雪の感性⋯というか人好との関係性はズレている
それもあってか、人好の妹・李恋が登場し、人好の普通の兄貴っぽさが強調、釣られ3人が並んだ姿が家族っぽくなるのは面白い
そうした変化が最終的に暗殺者らしからぬ天誅へと繋がったのかな

人好が雪の暗殺術にビビったのに対し、李恋は雪の顔から入った為か彼女に興味津々。それどころか暗殺術に関しても肯定的に受け入れているのは懐の広さと云うより興味が勝っている感じかな
それはそれで年相応な普通の反応といった印象。⋯ただ、ウィリアム・テルごっこをして目がしいたけになるのは流石にズレている気がしないでもない(笑)

夏祭りは積極的に楽しむ李恋に同調するかのように暗殺者としての前職やメイド姿も年の差も関係なく、3人共にとても楽しそう
それは雪が体験してきた祭とは全く異なるもので有りながら、場違い感を覚えず多幸感を得られる。それは彼女が人好や李恋の居る普通の日常に慣れてきた証かもしれない

だから、かつての雪の日常に近い騒動が起きた時は少し心配になってしまったな
人好の発言は不注意だけど、彼は思うだけで実行できない人間。対して雪は実行できる人間。だからこそ、雪が暗殺術を行使せず普通の日常的な遣り方に近い方法で天誅を下すシーンには驚いたり
彼女は今の普通を本当に大切にしているんだね

そして人好の不注意発言パート2
思った事を悪気なく優しさを伴って言える彼の性質は本当に良いと思うのだけど、雪は暗殺者として実行できる側の人間であるという認識が圧倒的に足りてない⋯⋯!
家でメイドさんしている女性が突然同級生としてやって来る超展開、次回に何が起きてしまうかが手に取るように見えるよ⋯(笑)



普通

第3話にして普通の学校らしさ、部活動要素を出してきたけど、そこにも普通科とマ組による格差を出してくるなんてね
普通科でも様々な夢を目指し実現することはできる。けれど魔法使いだけは成れやしない
そこで裏の遣り口が出てくるのは面白い

魔術研究部だから魔法使いの手帳が必要、無い者は入部不可。けどマジック研究会なら誰でも可
裏技めいたその遣り方は部室が勝手に作られたものである点とも符合するし、普通科の生徒を魔法使いにさせようとするミナミの方針とも一致する
でもそれは正しい遣り方から外れている

マジック研究会の在り方は正当な手段では魔法使いに成れないと強調しているも同じ
でも正統な魔法使いとは何なのかという点を考える上でミナミが企図する古代魔法の継承者なる要素は、もしかするとクルミ達に魔法使いの常識を一変させるものになりそうな…



良くない


普通


とても良い

恋愛物語に恋のライバルは付きものだからって針生は嫌な程に千夏との距離が近いね
大喜よりも千夏と仲が良くてバドも優秀で。それは一年と二年という年齢差だけでなく、様々な面での経験値が両者に大差を生み出している
大喜は千夏への恋を叶える為に己に勝ってインターハイを目指すだけでなく、針生よりも千夏に相応しいと示さなければならない訳だ

好きな人の傍には自分よりも凄い人が、なんて光景は心を凹ませる。おまけに針生はインターハイを目指す上で必ず障壁となる人物
そのような相手を前にしたら嫌な感情を覚えておかしくないだろうに、大喜はバドはバドとして区別出来ているね
だから彼のバドは眩しさを放ち、恋物語も青春らしさに満ち溢れて見えてくるのかもしれない

針生が積み重ねた経験値は千夏にも見る事が出来るのかな。大喜が千夏に魅せられたのもそういった部分だし
大喜の頑張りを見守り、凹んだ時にはバド遊びに誘ってくれる。その振る舞いはとても先輩らしい
他方で千夏が経験者として全て満ちているとも言い切れない。彼女とて同じ家に帰るまでの時間等に何も感じてない訳じゃないと感じ取れる

千夏がそうなのだから針生だって全て完璧という訳じゃない
勝ち試合でも大喜の追い上げに悔しさを滲ませるし、大喜は千夏が好きと知ればからかうような素振りを見せる
何よりもそこに勘違いが含まれるのを判った上で大喜を掌で転がした点にはいい性格してるよ!と言いたくなるね
こうなったら大喜は様々な意味で彼を上回らなきゃね(笑)



普通

姿も心構えも変わり以前よりも大きく成長したムドが登場した事で時間経過を感じさせる内容となっていたね
けど、同時に全く姿も心持ちも変わらない道錬や村から出た途端に昔のような言動を示した真介が描かれた事で必ずしも時間経過だけが人を変えるわけでは無いとも伝わってくる内容になってきたかな

回想当初時点でのムドは千夜と戦っていた頃そのまま。彼が大きく変わったのは道錬と出会ってから
その出会いは一目惚れかのよう。道錬の語る武に魅せられた時を契機にムドからは以前の粗暴さは消え仁義を意識するかのような人物に
その変化は時間経過というよりも何を内に取り込んだかという話なのかな

だとしたら、真介や村の闇も似たような話かな
人間ではなくお握り等を食す事で村に順応し真介への恩を感じるようになった。それこそ内に取り込んだ物による変化
だとしたら真介が村で過ごした時間が無かったかのように飲んだくれに戻り、更には闇に関する異変を聞いた際にあの頃の面影を見せたのは真介の中にはあの頃取り込んだものが変わらず残っているのだと推測してしまう

真介が内に残しているのは灼岩達と過ごした旅の日々だね。その時間はまだ彼の中に残っているからバリーを倒した事も昨日のように覚えている。あれから有った事も灼岩に報告したくなる
だとしたら真介の中では変わらぬ光景が有ったのに、時間経過の象徴かのように灼岩の砕けた姿が眼前に広がっていた時に彼が覚えた苦痛と絶望はどれ程のものだったのだろうね⋯



とても良い

花壇作りも箱庭作りもどちらも大変な労力を要する作業。それでも完成させたいと思うのは偏に大切な人の喜ぶ顔を見たいからだね
その意味では夏目と箱守り達の方向性は一致している。突然やってきて正体もよく判らない相手だったけど、その想いに怪しさはない。だから不思議な共同作業が成立したわけだ

自分の為ではなく大切な人の為に作るわけだから、どれだけ完成度を求めたって足りやしない
夏目の作った花壇は少し見ただけで想いが籠もった素晴らしいものと判る。石を盗まれた際に見張ろうとする程だし
箱守り達の細かすぎる要求も言ってしまえば、しだ姫に喜んで貰いたいとの想いがあるから。だから、夏目も何だかんだ協力的になる

大切な人への想いが籠められた作品は相手に嬉しさを齎すもの、その嬉しさにはお返しが有るものだし、それは他者にお裾分けも出来る。
夏目がお返しとして貰った種を箱守り達に分け与えたのもそういうもの。作業に加われなかった彼らに活躍の場を与えた
嬉しさのお裾分けとして得た花の種はしだ姫への想いを表現する作品の一分となるね

素晴らしい出来にあつらえられた箱庭はしだ姫に喜びを齎すものに。彼女が覚えた喜びや感謝が舞い踊る花びらの形でお返しされるというのは良いね
それは皆の労力に報いるものだけど、一方で夏目自身もあの庭を楽しめた。幼い頃の記憶の件を含め、夏目にとってはあの空間に身を置いた時間が何よりも褒美となったように感じられたよ



良い


とても良い

メイドを拾った次の回で犬を拾うなら次回は何を拾うの?ってなるけど、兎も角メイドさんも犬も人好にとって突然の来訪者であり彼に入居を許された立場という点は共通している
その意味では人好は両者に別け隔てなく接する。だからこそ今回は犬を苦手とするメイドさんが持つ様々な壁を優しく取り払おうとしてくれたのかもしれない

捨て犬に厳しい考えのメイドさんに対して、彼女の考えを否定しないままに彼女の行動にこそ答えを見る人好は良い奴だなぁ
自身の考えを自身が否定していたなら、寄辺とする人好が犬を好くのであれば自分とて無碍に扱いたくない。自分を許してくれた彼の想いを尊重したい
そして、両者を無理なく同居させる人好の気持ちが見えれば見えるほど、そこに温かさを感じられる

ただ、人好の温かさを直視すれば、メイドさんは犬に同じように接してやれない自身の冷たさを見ずに居られない
なのに人好はこれまた否定せず、むしろ彼女の言葉から温かみを見出すね
捨て犬の件を含め、人好はメイドさんが自覚していなかった心を次々と見出してやれる。だからこそメイドさんも自分の心に温かさの痕跡を見つけられる、眼に温かな光を映せるようになる

普通を目指し始めたメイドさんが思うは失敗しても良い自分。つまりそれって慣れぬ分野に挑戦するも同義
キャベツを千切りしたり、あげもちに餌を与えたり、触ってみたり。1人だったら出来ないそれも自分を信じる人好が居るなら挑もうと思える
そうすれば知らなかった他者の温かみを知る事も出来る。苦手を克服できる

極めつけが名付けのシーンかな
彼女にとっては引け目のある名前。当てる言葉は同じでも籠められた意味は大違い。冷たいイメージだったそれに温かさをイメージして貰えた
それは人好が彼女に温かさを見出しているとも言えるね
数々の遣り取りを通して、最初は怖かったメイドさん改め雪から温かい微笑みを見つけられた人好は雪にとって温もりの象徴となるのだと感じられたよ



普通

マ組と普通科で夢の実現具合に大きな差が有るかと思いきや、普通科でも自分の夢を叶えようと努力する者が集っているというのは印象が変わる話
普通科の皆は魔法使い以外の夢を抱いている。そこでは魔法使いを夢見るクルミは浮くのではなく、魔法を夢の為に役立てる手段とするミナミが呈した魔法理論が面白いね

魔法使いとそれ以外、法律レベルで定められた壁は簡単に敗れるものじゃない。だからこそ、手帳ではなく自筆の魔法陣なら問題ないという論法は普通科の皆を惹き付ける
一方でマキが伝統について話すシーンも印象的。ルールが有るなら何でもかんでも破ればいいというわけではなく、ルールに従って別の可能性を探す事も否定していない

ただ、肝心の授業が凄いのか酷いのか判断に困る…(笑)
魔法陣の理論を図形を通して理解させるのは良いけど、難関校の授業がお絵かきに終止するってどうなの……
でも、それによってクルミは魔法陣の真髄の端緒を掴めたのかな?
既存のルールに従っていなさそうなミナミの授業、これを受け続ける事で本当にクルミは魔法使いに成れたりするのだろうか



普通


良くない


とても良い

突然の同居というラブコメ状態だけれど、すぐ恋愛に結び付かない構図は良いね
千夏と一緒の空間にドギマギしつつも大喜はそれに溺れるを良しとしない。むしろ、より深い仲になる為インターハイを目指そうとする考えは好感を持てるものだね
ただ、近づいた事で却って大喜を悩ませるのは千夏を読み切れない点かな

同じ家に住む事になっても千夏とすぐ恋仲になれると思わない。むしろ千夏がバスケに対し本気であるという点は知っている大喜はその考えを尊重し自らもそこに並び立とうとするわけだ
でも、それ以外ではまだ千夏の考えを知れていない。だから無防備な接近を繰り返す彼女にやはりドギマギしてしまう。その光景はとても甘酸っぱいものだね

他方でこの同居は千夏に大喜を知る機会ともなっているね
同じ家に住まなければ見えないストイックな筋トレや思考は大喜への認識を改めさせるものとなっていそうな
また、擦れ違いに拠る誤解も大喜は自分の為じゃなく千夏の為を考えてのものだと教えるものになるね
この状況は大喜が認識している以上に二人を近付けている

そうなると気になるのは雛の現状
匡の「素直な奴が強い」との台詞を採るなら、大喜の恋を応援する雛は果たして素直なのだろうかと考えてしまう
親友を名乗る彼女の考えにあるのは本当にそれだけなのか?というのは深読みし過ぎだとしても、大喜の現状を知らない雛は危うい境界に居るような…



普通


とても良い

もはやド安定と言えるシリーズで居ながらこちらが求める水準を毎度満たした逸品を提供してくれるのだから嬉しい処
新シリーズ初回は想いの優しさを感じる話となったかな
普通は物が動き出すなんて思わない、物は物。でも動かないからといって情が湧かないわけじゃないのが『想い入れ』の面白い点

夏目の作ったミニ先生は滑稽だけど可愛らしい。それが無くなってしまった時は惜しむ気持ちが湧いた程。動かなくても夏目は情が湧いていた
なら動けば余計に情が湧くのかというとそうでは無いような
夏目はミニ先生が動かなくても罅割れに手当しただろうし、叶えたい何かがあれば手伝ったように思う
対象が物であってもきっと想い入れがあれば情が湧く

似た要素は神主にも言えるね。彼とて動かぬ物を慈しみ、壊れた時には悲しみを抱いた
夏目のように妖が見えない人間でもそうなら、物が動かなくても情が湧いてしまうのは想いが有る何よりの証拠で
ミニ先生に宿った妖もそうなるのが面白い。動く振り子時計よりも動かない時計に愛着を覚えたのは彼とて人と同じように情を物に抱いたのだと感じさせる

情を持てるほどの想いが有るから、彼は自分を慈しんでくれた神主への情も同じように湧いたのだろうね。そういった繋がりはとても尊いものであるように思えたよ
なら、別の見方としての多くの名前が残された友人帳もただの物ではなく沢山の情が詰まった想いの入れ物と考えられるのかもしれない
友人帳を中心としたこれからの物語を再び味わうには丁度よい初回と感じれたよ



とても良い

一人暮らし少年の家に突然メイドがやって来るとか、それどんなご都合展開…と思ったらむしろメイドさんにとって都合の良すぎる相手だったというね…
人好もメイドさんも誰かと一緒に居られる温もりを求めていた。二人の出会いは互いに良すぎる相手となったけど、条件など求めていなかった筈のメイドさんにとって何よりも破格の主となったような

一般人の人好には暗殺術が得意なメイドなんて不必要、雇う余地は無い
けれど、掃除を一緒にしてくれる人という条件なら彼女を引き止められる。それは言葉の言い換え。でも1人じゃ掃除が出来ない人好やメイドさんにとって、二人が一緒に居る最上の理由になる
ここでもメイドさんの方が得る量が多いのは面白い。美味しく味わって欲しいとの想いが詰められた豚カツはメイドさんにかつて無い温もりを与えるものになるね

だからって夜中にソース舐めてるのはちょっと酷いけど(笑)
ただ、ここでも人好は分け合う遣り方を選んでいるね。夜中に起きて夜食なんて駄目生活を美味しい食事を共にする時間とした
メイドさんは人好から食事も夢も温かい物を与えられている。だからこそ、自分がそのような想いをしている時に人好がそれを分かち合えていない点を気にしたのだろうね

与えられてばかりで暗殺だけが得意なメイドさんが人好に返せるものは少ない。だからこの身一つで与えられる膝枕は格好。でも、受け取って貰えなかったら…というタイミングで人好の飛び込みはとても良かった……
二人が分かち合ったとても尊い温もり。それがどのように家族となり、与え合っていくのか。興味をそそられる初回でしたよ



とても良い

まるで絵画を見ているかのような気分にさせる素晴らしい作品…
好きになった人は高嶺の花、告白以前に名前を覚えて貰うのすら一大事。そのような境遇だからこそ、一歩一歩彼女に近付いていく工程がとても尊く感じられる
それは話の展開だけでなく、一つ一つのシーンがとても緻密に描かれているからなのだろうね

大喜と千夏の接点はせいぜい朝練の時間くらいで遠くから見遣るしか出来ない。だから彼女が監督と何か話していても内容を知れやしない
大喜の恋がきらめきを失わないのは、スポーツ選手らしく挑戦心を保ち続けるから。その感情が千夏のくしゃみに接した際に過剰な行動をさせる原動力になった
それは確かな一歩だね

大きな変化の一歩となったのは1on1で向き合った時かな
相手の挙動に注視する競技は大喜がどれだけ千夏を見ているかを示すものになるね。また、千夏に大喜の人となりを教えるものともなっている
本作が良いのはここで大喜が知らず知らずして千夏に最も大切な事を知らせている、思い出させている点だろうね

一歩ずつ踏みしめていた大喜が大きく駆け出すのは千夏が遠くに行ってしまうと思い込んだから。でも、それだって告白できないという理由でなく彼女が遣りたい事を出来なくなる虞から
結局勘違いだったそれは、けれど千夏に大喜という人となりをアピールする最高のシーンになったような
そのように綺麗なオチが付いた後にまさかの同居エンドとか吃驚させられたよ……
この事態に今回は活躍が控え目だった雛がどう絡んでくるのか楽しみすぎる…!



良い

これは童話的と云うか、一昔前の少女向けアニメのような雰囲気を持つ作品だね
けれど、落としてから上げていたり、緊張感有るシーンを高いレベルで描くものだから誰でも楽しめる作品になっている
魔法使いに憧れていたのに落第してしまったクルミが夢を諦めない中でどのように彼女だけの魔法を手にするのか楽しみですよ

さらっと描かされていたけど、どうやらクルミは努力家タイプのようで。小さな頃の憧れを胸に日夜勉学を熟してきた彼女は夢を叶える側の人間であるように思える。なのにマ組不合格…
不思議なのは他にも理由が見えない不合格者が居る点か
穿った見方をすれば、不合格には何か理由があるかもしれなくて、それは夢を叶える道へと繋がっているのかもしれない

普通科とマ組は住む世界が違うかのよう。クラスは分けられ、輝きも異なる。その状態で歓迎会を見ても自分には関係ない世界
だからこそマ組の騒動を収めたミナミが担任として普通科にやってきた挙げ句、生徒を魔法使いにさせるというのは世界が引っ繰り返るような話
これから彼女らの学園生活はどうなるのかな?



良い


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