号泣ではなく気づけばほろりと涙がこぼれている、端正な佇まいでそっとあたたかい、心に沁みる映画だった。
所作まで含めた和服の描写のリアリティと美しさが、自分が見たアニメの中でも最高峰という点も特筆しておきたい。特に、1シーンだけではあるが、たすきがけ&裾からげ&スパッツのおっこには、なんというかこう、新しい可能性を感じた。
それから、眼鏡の描写も最高峰レベル。ようやく「風立ちぬ」に並ぶ作品が出てきてくれた。レンズ部分の輪郭のズレ、顔に落ちるフレームの影、といったディテールが全編に渡って徹底されている。
和服だけでなく、画面に小さく映る小動物まで、ちゃんと「らしい」動きで隙がない。映画に相応しいレイアウトと芝居で、作画面での満足度も高い。原画に本田雄氏の名前があってびっくり。
原作の読者層は、おそらくおっこと同じ歳くらいの小学生が中心だと思うが、過剰に大げさだったりくどかったり説明的だったりすることなく、わかりにくくならないギリギリまで刈り込まれた脚本も驚き。この映画を見る子供達を信じていなければこれはできない。幽霊のような非現実的な存在も登場するが、起こる出来事はあくまでも現実的な範囲で、ドラマの軸は終始おっこに置かれており、揺るぎない。
物語は、おっこが自分の身に降りかかった大きな悲しみを受け容れるまで、とまとめらるだろうか。そんなおっこを見つめるカメラの、彼女が倒れそうになったらすぐに手を延ばせるくらいの、突き放すでもなくべったりでもない距離感が、とても好ましい。そう感じるのは、おっこの両親よりも歳上な自分の年齢ゆえであろうか。おっこと同じ歳くらいの子供達がどう感じるか、聞いてみたいかも。
原作はWeb版を既読。キャラクターデザイン・総作画監督を江畑諒真さんが務めるということで楽しみにしていた。まあ、第1話は冒頭6分以降は線の少ないスライムとあまり動かない竜しか出てこないんですけども!でも、氏の手によるOPを堪能できたのでホクホク。
第1話ではヴェルドラと友達になるところまでしか進まなかったけど、たしか原作もリムルが洞窟を出るまでが結構長かった記憶があるので、原作に忠実なのではないかと思う。できれば第2話ぐらいまでいっぺんに見たかったかも。
放映中に原作マンガを読んだが、原作ファンはこのアニメ版にキレていいと思う。あの原作がどうしてこういうアニメになるのか、皆目わからない。
自分が一番いかがなものかと思ったのは、登場人物の心情変化の脈絡が追えないこと。心情が変化したという結果だけがあって、どんな出来事がどんなふうに作用して変化したのかがわからないことが、本当に多かった。みんな突然言うことが変わり過ぎ。
なんちゅうとこで切るんじゃあああ!! 続編の告知がなかったらヤバかった……。
自分は格ゲーブームとは距離を置いていたが、毎回面白く見ることができた。作品に普遍的な魅力があったということだろう。繊細な感情描写に、胸がキュンキュンしまくり。またアニメでこんな感情を味わえるなんて、幸せだ。
白タイツ目当てで見始めたが、思った以上にちゃんと楽しめた。もちろん、アニメ史上かつてないほど大量の白タイツも心ゆくまで堪能した。
レヴューというモチーフを上手く生かして、この作品ならではのテイストを獲得できていたと思う。最終話で、一度終わったはずのところからその先の未来を切り開くことを、アンコールという形で表現していたのには、「そうきたか!」と思わず膝を打った。