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とても良い

バッジテスト初級という話が前回出たから司がどれだけ滑れるのかと疑問だったのだけど、予想以上というか滑りの綺麗さだけなら本アニメで描かれた誰よりも上だったんじゃなかろうか
始まりが遅くまともな指導も受けられなかった彼は誰よりも不利だったかもしれない。だとしても、その状況でも出来る一歩一歩を積み重ね前へと進んできた道程は彼の凄みの源泉となっているように思えたよ

理凰は境遇に見合った才能を持たない事に絶望を覚えていたかもしれない
けれど理凰の模倣をしつつ、彼の先まで滑ってみせた司は才能とは別の指標に拠って向上した己の実力を披露した。その姿は才能に沈んでいた理凰にとって目指すべき形
というか、主要人物すら朧気な司の苗字を呼んだ上で彼に自分の進みたい目標を提示した彼の変心には思わず嬉しくなってしまったよ

ちゃらい不良っぽいのにバレエが巧いって何なの…と言いたくなる白根の在り方がいのり達の指標になるかは兎も角、教えそのものは大切なものばかり
スケート選手の彼女らにはバレエなんて異分野かもしれない、必要と思えないかもしれない。けれどバレエを通し培った綺麗な姿勢は彼女らのスケートにおける実力を向上させるもの。同じ回で司の綺麗なスケーティングが描かれているだけに姿勢制御の重要性は納得しやすい
でも、彼女らが学んだのは一歩一歩を意識して進んでいく姿勢だったのかも

成長の遅れという意味ではいのりだけでなく、バレエをサボった涼佳にも才能から逃げた理凰にも言える事。けれど、彼女らは今積み重ねを意識して練習に身を捧げた事で技の習得という報酬で返ってきた。彼女らは間違いなく成長している
一方でいのりが成長による以前の自分からの変化を寂しいと捉えているとは驚きだったな
勿論それは停滞の為ではなく前に進む為の寂しさ。嫌いだった自分を認めた上で前に進む為の寂しさ。そうした一歩一歩を踏まえて彼女らは成長していくのだろうと思えたよ



良い

視聴者的には壬氏の正体はほぼ明かされているようなものだけど、それを考えないようにしている猫猫はまだ知らぬまま
これは猫猫が普段している謎解きと構図は同じだね。事件の真相は探偵役が明らかにしない限り聴衆が知る事はない。同様に壬氏の正体も彼が明らかにしない限り猫猫が知る事はない
ただ、これって勇気を持って打ち明ければ済む話なのだけれど、猫猫を「薬屋」としか呼べない壬氏は関係を変える真相を伝えられない
そうしたもどかしさが遂に…!という回だったね

というか、ここまで来れば少し考えるだけで壬氏の正体なんて判りそうなものなんだけど、全く考えない猫猫は異質すぎる
けど、壬氏に興味がないと云う訳ではなく、彼が体調を崩せばすぐに気付くくらいの注意は払っている。そこに憶測を交えないから必要以上を気付かないだけで
そう捉えると、何者かの急襲により壬氏以外への注意が不必要になった状況は猫猫の認識を変えるものとなりそうな

ただ、真相を知らず、そこに解くべき謎があるのだと知らない猫猫はどうしても無防備になる。彼女は壬氏の水分不足を責めるけれど、壬氏にすれば猫猫の考え足りずを責めたくなるだろうね
そもそも今回の壬氏は明かしたい真相が有るのに、明かせないままにずるずる来てしまった高ストレスな状態。それに加えて密閉空間と来れば……
遂に壬氏は猫猫に対して踏み込んだ。これに対して猫猫がどこまで彼の真相に気付いてやれるか?とても期待してしまいますよ



とても良い

雛の恋が終わりを迎えた今回、恋愛を好く側と好かれる側に分けて考える節が見られたような
大喜達3人を掻き回す菖蒲は好かれる側としての恋愛に高揚を覚えるタイプで、大喜からの返事を待つつもりで居た雛は好く恋愛をしていたタイプか。対して大喜は千夏を好く恋愛によりバドに関わるエネルギーを貰ってきた
大喜と雛は好む恋愛の形が上手く噛み合っていなかった。互いの恋愛を見せあい続ければいずれ破綻を迎える。そうして雛の恋愛は遂に終わってしまったわけか……

好かれる状況に高揚を覚える菖蒲はそれ故にこんな娘に好かれるなんて最高だと思える雛を応援し彼女が好かれない状況を変えたいと行動してきた。でも、それは余計なお節介
大喜が千夏を好きだと、つまりは決定的な迫り方をして関係の破綻を望んでいなかった雛にとって、大喜との関係は待ち続ける事で成立していた面があるだけに、雛への恋心を明確には抱いていない大喜に雛との関係を進めさせようとすれば、誠意ある大喜は必然的に望む関係性を口にせねばならなくなる
菖蒲の行為は雛へのアシストではなく、大喜に決断を促す行いとなってしまったわけだ

菖蒲と違い大喜の恋愛とは好く行為だからこそ、自分が好いていない自覚がある雛に好かれる状況は彼を大いに悩ませてきた
けど、前回にて大喜が自覚を得たように既に彼は自分が何を「わかっている」かが判った。その感情の先に雛は居ない
そして、キャンプファイヤーを二人で観るという友達なら変哲のない状況が好かれている為に大喜にすれば気不味い沈黙が生まれてしまうなら、彼は決断せざるを得ない訳で……
大喜の好く人が変わらない内に行われてしまった決断によって終わりを迎えてしまった雛の恋心があまりに哀しい……



とても良い

皆での合宿、鞠緒の指導参加。普段と異なる環境や指導を受けるのは普段では得られない成長のヒントを得るため
そこでは勿論いのりの強化が図られるし、預かった理凰へ近づく試みも行われる
一方でそうした集中的な環境は指導者である司の人間性も普段より出てくるものになるようで。これは司を拒絶する理凰にとって彼を理解する機会と成り得たような

司って加護一家との付き合い方から見えるように、ポジティブ全開な人間ではない。それは少し触れ合っただけの人間には見えてこない部分
司が理凰を知る為には彼に近づく必要があるが、理凰が司を知ろうとすれば必然的に近付いてしまう。その第一段階が浴場での語らい
司が理凰の掲げる高い目標を知ろうとしたように、理凰は司がどれだけ低い人間か知ろうとした。けど、司の低さは理凰の想定以下。悪意を持って知ろうとした後ろめたさ、そこで理凰が「いのりががっかりする」と気にしたのは、理凰自身に生じた心の動きによるものかな
でも、司は既にいのりに伝達済み。きっと後ろめたいからこそいのりに伝えたのだと見えてくる

そのような関係であっても、司が誰にも見せないのは後ろ暗い部分か
理凰を「クソガキ!」と呼び、叫び走る彼の姿には驚きしか無い。あれだって司の一面だけど、司はそういう姿を見せるのではなく、ジャンプを跳ばせす結果を以て見せると選んだ。ここにこそ、司の人間性が詰まっている気がするよ
直後のいのりと涼佳の語らいは良かったな。二人は競い合った事で理解し合う仲となった。だから他者から見えないよう視線を防いだ布団の中で不安や目標を話し合う。その姿には良い友達関係を見えるね

司といのりの目標はリンクした。だから難しい新技も跳べたのかな
だとしたら、理凰がもう少しを跳べなかったのは司とのリンクが少ないから?
けど、結果に現れたその差を理凰は単純に選手の差としか思えない。自身が否定された気になる
そのままでは司がどれだけ持ち上げても彼の心は掴めない。もっと深い処を知らなければ
理凰が打ち明けた卑屈さ、夜鷹から受けた影響。それを理解した上で司が選ぶ挑戦はどのような意味を持つのだろうか?



良い

洪水…!情報量の洪水が凄いっ……!
前回出逢ったゆり達はコピーかと思いきや、これまで戦ってきたゆり達がコピーであちらが本物なんてね…
信じていたものが全て崩れ落ちるアイデンティティの喪失状態。おまけにれんげの未来は戦うならば限られてしまう
そうして自分達は何者かという答えを失ったからこそ、何をしたいかという問答が前面に出るのだろうね

コピーであるあやめ達は人を攻撃する為に造られた存在。けれど、製作者達が行動を中止した事であやめ達は生存目的を失った状態に
そこで本来なら連動するべき存在のワイルドハントを狩り始めた点には自発的な自我が見えるね
動揺にれんげも衝撃の事実を知ってなお、変わらずに割烹する気持ちを失わない
真相を告げられて彼女らのアイデンティティは揺らいだかもしれない。けれど、自分達が何をしたいかを拠り所にして己がどのような存在であるかを失わない
崩壊した世界、崩壊した自我を知ってもなお割烹という日常行為を通して明るさを保つ彼女らの根源を見た気がしたよ



良い

翡翠宮に新しい侍女が3人もやってきた。けれど、皆同郷だから裏も表も知っている。却って前からいる猫猫が裏も表も判らない人物として浮いてしまうのは愉快な光景だね
だから桜花は猫猫の馴染み具合を気にするのだけど、その行動には裏があり…という導入は表向きは怪談を行いつつ、その裏には恐ろしい狙いが有った今回のエピソードを象徴するものと思えたよ

皆が語る怪談話、けれど怪談の裏側や真相が判る猫猫には退屈な集まり。というか、猫猫は表層に見える事実だけを怖がるという趣向を理解してないから、病気が広まるかもしれない墓暴きを恐ろしい話と解していたのだろうし
それでも猫猫が一酸化炭素中毒直前まで追い詰められたのは、彼女とてこれが怪談の集まりであるという表向きの話に騙されていたからだね。だから気付くのが遅れた

怪談を楽しむ回はどのような企図で行われたのか?また主催者は本当に亡者なのか?
それは推理出来ても裏側を正しく読み解く事は難しい諸々。下手に表層の事実ばかり見て怖がらず「よくわからない話があるものだ」で収められる猫猫は表と裏の分離が出来ている人物と言えるね
そう思えば、今回は出番が無く裏側に居た壬氏は一人何を考えていたのだろうと考えてしまうが…
というか、もしかして次回か次々回ってあの『蛙』が登場する回?それは楽しみだ



良い

ナーカルの話が集中的に描かれた事で過去に何が有って、現世へどう繋がっているか朧気ながら見えてきた印象。行き詰まりを見せた神話の世界、対立する家柄の二人…
特にナヌークとセドナの関係はまるで『ロミオとジュリエット』を思わせるものがあるね。太陽と月として相容れない筈だった二人は惹かれ合い、判り合った
けれど、これが1万2千年前の物語であるならば現世に繋がる悲劇として終わってしまうわけで
ならば本作は過去の悲劇を乗り越える事にこそ要点が有るのかな

どうやら前回ラストはサッコ達が神話宇宙に旅立ってから3ヶ月経過していたようで。なら、トシは突如イタイ感じになったのではなく、戦う仲間が居ない中で孤軍奮闘した結果としてあのように成ったと言えるのか
つまりトシは追い詰められ選択の余地を無くした状態。だからこそ、時間を飛び越えたが為に余裕を残したモモヒメ達は過去を超える異なる道を選ぼうと決意できるわけだ

モモヒメ達が乗り越えるのは何もトシの暴走や合体しようとする宇宙だけではないね
モモヒメもサッコも神話宇宙で一時的に欠けた感情を取り戻した。或いはあの時の記憶を頼りにしたり、再び神話宇宙へ行けば欠けた感情を取り戻す術は有るかもしれない
でも、宇宙の合体を防ぐなら欠けた感情を手にする術は永遠に失われるかもしれず
それでも多くを救う為に己より宇宙を優先するモモヒメは勇ましいね…と思っていたらラストにトンデモ展開が起こりました?



とても良い

以前の大喜にとって自分が誰を好きかなんてはっきりした答えを持つ問いだった筈だけれど、雛からの告白やアピールは大喜の考えを揺らがせるものとなったようで。またライトな恋愛を肯定する菖蒲の考え方も大喜に影響を及ぼしている
そうして生じた迷いは王様カードゲームの際に彼の答えを躊躇させるものに。以前の大喜なら迷わずに出せた何かしらの答えが形を失っていると判る
一方でこの状況は大喜だけがぐるぐる迷っているわけでもないと見えてくるのは面白いね

自分は誰が好きか、自分は誰に好かれているかなんて、楽な答えだったそれが明白でなくなった時に人はどうしても集中力を欠いてしまう
大喜の練習時の姿勢がそうだし、雛が忘れ物をしたのだって関連しているかもしれない。もしかしたら、千夏が夜に走りに行ったのも前夜における大喜の答える姿に何かしら思う処があったのかもしれないし
また、大喜としては千夏の傍にお似合いイケメンな松岡が居る状況も思考をぐるぐる掻き回す要因となっているような
大喜が抱いていた恋愛感情は千夏にだけ向けられていた筈。それが揺らいでしまっている

迷いに迷った末に大喜が走りながら行うのは自分の思考の整理かな
告白された事で揺らいだ雛への認識、憧れから始まった千夏への恋心。考えに考えてもしっくり来ないのは彼が考えて迷いを抜けるタイプでは無いから
クマ注意の看板を見た後、彼は進む道を変えた。それは明確な理由の無い直感的な行動。そうしたら千夏を見つけられた。同じように千夏の優しさに満ちた表情を見て直感的に抱いただろう感情が大喜の答えなわけで
それが「わかっている」に繋がるのだろうね

だとしたら、わかった際に見せた暗い表情は千夏ではない側に対する答えなのかな…
ラストで雛は「好きになってくれるまで、返事は要らないの」と言うけれど、大喜をよく見ており、また彼の負担になりたくないと考える雛がこのように言うのはつまり……
こうなってくると気になるのは大喜や雛が迷いの先で何らかの答えを手にしているのに対し、お婆さんを拾う的外れな行動をしてしまった千夏がどのような答えに至ろうとしているのかという点
ぐるぐるする頭で感情をゆっくり育てているだろう千夏は大喜に対する感情にどのような名前を付けるのだろうね?



良い

折角の合同練習で他校の生徒から何を学ぶかが問われる機会なのだけど、花奈は先輩の真似に否定的だし、競争の本質を理解していなかった
あの場は仲良しになれる友達を見つける場ではなく、他者を蹴落とす実力を身に着ける場。その意味では巧者から何かを得るのは当然なのだけど、放送部に入って朗読の楽しさを共有できる者達と出会えた花奈にそれは難しかったようで
今回は他者から何を得られるか、という点を軸にしつつ同時に自分は何を持っているかを再確認する話となったような

香玲の向上心は良いし牡丹鉾の指摘も的確。けれど、競争的な朗読に馴染めていない花奈にはしっくり来ない
そのような状況では気遣ってくれる瑞希に自分は頑張れるのだと主張しても納得させられやしない。まず、花奈の場合は朗読を用いて競争する者達に共感できていないのだから
柊谷の指摘も花奈が持つべきものを持っていない点を指摘するもの。花奈は朗読の技量を上げる前に自分は何を持っていないかを知らなければならなかった訳だ

他方で持てない為に他者と分かち合える様子が描かれたのが杏と林か
林は報われない恋、いわば他者から奪い取れない恋をしている。その状況は少し杏に似ている
持ち得ない恋の要素は二人に共感を齎しているね。容易に得られはしない、同じようなもやもやを互いが持っている。自分が何を持っているかを知る二人は相手にどのような共感を与えられるかを判っていた、なんて言えてしまうのかもしれない

良子が花奈にした話もそのような方向性かな
良子の話は直接的に花奈の悩みの回答となるものではない。けれど花奈が抱いている瑞希は凄い、彼女は全国に行けるとか自分は争えないという感覚に共感するもの
良子が抱いた悔しさはいずれ花奈が抱くものかもしれず、良子が焦がれた瑞希への憧れは今の花奈が抱いているもの。だから良子が覚悟した想いは花奈が共感できる、良子から得られる指針となるわけだ
改めて覚悟を固めた花奈、そして神様から合格の力を得た放送部。これから彼女らが厳しい競争をどこまで勝ち抜けられるか楽しみですよ



良い


良い

前回から1年経過してもう5級になっている事が驚きなら、いのりが学ぶルクスに理凰がやってくる事も驚き
雌伏の期間が飛ばされた事は少し勿体なく感じられてしまうけど、その分だけ飛躍を感じさせる内容となっている。あの頃は出来なかった様々な技を使えるようになったいのりの目標はその分だけ高くなる、光に近付いていく
そのような状況だからこそ、同様に光へと手を伸ばした理凰の人柄が描かれる運びとなったのかな

理凰は家庭環境に理由が有ったとしてもかなりふてぶてしいタイプ。大人にも平然と失礼で、友達以外は目に入らない
一方で理凰の実力は折り紙付き、司が手放しで褒める程。けれど彼は褒め言葉の受容を望まなかった。それは涼佳とは別ベクトルの大人への不信であり己への絶望か
父親や光という強大過ぎる選手の傍に身を置き続けた彼は光などと同様の結果を残せない事で一足飛びに己を才能ないなんて決めつけてしまっているね

理凰はいのりを視界に収めず強者ばかりを見る。故にいのりが何を見ているかを計れない
いのりも光を見ているけど、それ以外の選手だって司の頑張りだって見ている。だから司だけでなく間接的に己や多くの選手を馬鹿にするかのような理凰に激しく反発する。慣れない大声で気勢を上げるいのりの姿には驚かされたよ
今のいのりには高すぎるようでいて、実は届く余地がありそうな6級。視野が狭い理凰の目を覚ます成績を収められるのだろうか?



とても良い

猫猫が自分の立場を判らなくなっているという独り言は今回のキーの一つとなっている印象
本当の猫猫はただの下女に過ぎないが、壬氏に利用され玉葉妃に取り立てられ、帝や皇太后の依頼を受ける。何重にも貼り固められた立場は元の姿を判らなくさせてしまうもの
同様に女帝が匿う形で隠された先帝の真実も猫猫が開けるまで誰も知らなかった。そして、猫猫ですら知れないのは物静かな表情に隠された皇太后の想いか

絵を前に佇む皇太后の姿に猫猫は親しみ有る問い掛けを想像したようだけど、実態はもっと憎々しいもの。というより、皇太后の心情変化は容易に理解できないものだね
当初は野心から近付いた。けれど、先帝が自身に興味を覚えず他の娘に目を掛けるようになると憎しみを向けるように。それは憎しみを向ける前には別の感情が隠されていたと示唆している
だからきっと、先帝をいたぶった件にも表に見えるものとは別の感情がその下に隠されていた筈で
けれど、閉じ籠もってしまった先帝と彼との繋がりを断ち切ってしまった皇太后は互いにどのような感情が有ったかを知れなくなってしまった訳だ

その答えの一欠片を提示したのが二人から生まれたであろう壬氏であった点は印象深い
絵に遺された黄色の意味等について皇太后は知らないと答えたけれど、理解できないとは違う返しに彼女の想いが潜んでいるような
貼り固められてきた様々な感情の奥底から、己は先帝を呪ったわけではなく、また先帝も己を呪っていないと悟れたのではないかと思えたよ
でも、それは遅すぎる悔恨。だからこそ自分のお気に入りに対し正直な向き合い方が出来ていない壬氏へとアドバイスをしたのかな
昔話は終わり今の物語へ。と云う前に一風変わった話が差し込まれるようで



良い

死んだ筈のゆりが皆の前に現れ、これはれんげと似たようなパターンなのかな?この世界には死者を蘇らせる何かがあるのかな?と思っていたら、まさか他の者達に関しても同一人物が現れるなんてね
こうなってくると、死者の代替が出現するなんてオカルトではなく、えりか達のコピーが無数に存在しているのではないか、これまで活躍してきた彼女らもコピーなのではないかと、そのようなSF的な疑惑に陥ってしまう
ワイルドハントが突如現れ、人々が消えた世界。そのように思っていただけの物語世界観が突如恐ろしい姿に見えてきたよ…

もう一つの新事実として衝撃的となったれんげとねりねの繋がり
自分を知る為に一歩を踏み出した筈なのに、そうして出会ったのはより己の正体に不安を抱かせる事実
それでも己が何者かを見定める為に前へ進み続けるれんげの勇気は素晴らしいね。彼女が状況を変える発言をするからチームもそれに従って動ける。いつの間にかれんげがチームに中心になっていると判るね
ただ、あのちゃらんぽらんなAIはれんげ達の知りたい真実を何処まで教えてくれるのかな、と信頼性に不安が…(笑)



良い

事前に予想された通り、菖蒲は大喜達の関係を大いに掻き回しそうな印象
恋に軽い彼女は慎重過ぎて奥手な大喜達とは別ベクトルの考え方を持つ。勿論そこでは「付き合ってみたら好きになるかも」なんて大喜が気付いていなかった考え方を提示してくれてはいるが…
大喜達と混ざらない色を持つ彼女の存在はこれまでにない恋の可能性を引き出すもの。けれど可能性である為か彼女とて容易に正しい恋に辿り着けるわけでは無いという点も見えた気がするよ

千夏の好きな人を探る菖蒲は早速勘違い。花恋の嘘を契機に千夏と松岡がお似合いだなんて考え始めてしまう。千夏はそんなシグナル示してないのに
反面、恋多き菖蒲は雛の想いはすぐに見抜いたね。自分の恋をゆっくり育む千夏の恋心は当てられない菖蒲は、自分の恋を自覚する雛の恋心は見事に当ててみせた。そして多くの恋を知る菖蒲は雛という存在がどれだけ貴重かもすぐに判るわけだ
菖蒲の存在は確かに千夏や雛にとって波乱となりえる存在だけど、同時に彼女らでは手の届かない何かを掴み取る可能性を秘めているね

ただ、やはり彼女は全てを当てられる訳ではないという点がネックに成りそうな
王様カードゲームにて必勝法を見抜いたのに、あっさりご破産。だから大喜が引いたのは当たりのようで当たりじゃないカード。ここで好きな人を言うなんて慎重な恋愛をする大喜達らしくない展開
一方で菖蒲が提示した「好きって言ってくれる人が居たら付き合う」という考え方もまだ記憶に新しい筈
大喜が次回に放つ言葉は果たして当たりとなるのか、それとも別の可能性を引き当てるのか。ワクワクしてしまうよ



良い

神話宇宙を訪れた事はこれまで見えなかった様々な事実を提示してくれた…のはその通りなんだけど、自分の理解力が低いためか彼らの主張はよく判らないしサンの台詞も本質が掴めなかったり
それだけに神話宇宙にてサッコ達が一時的に感情を取り戻した単純な事実が際立つような
人の世界では欠けている為に馴染めない事もある彼らが別世界では欠けを埋められた。でも、それはエレメントとして戦う為には間違った埋め方だったようで

事ある毎に怖がるサッコ、ちょっとした触れ合いで顔を赤らめるモモヒメ、仲間と解り合える状況を捨てたくないリミヤ
人の世界では得られなかった欠けた諸々をあのまま育てられれば彼らは代替の難しい貴重な感情を手に入れられる。でも、それは欠けを埋め合う合体をする彼らには不似合いで
欠けという痛みを知りながら、戦う為に改めて感情を欠いたサッコ達がそれでも互いに感情が在った事を覚え続けるという別の形での埋め方をしたのは印象深い展開でしたよ
……まあ、それもイタイ感じの変貌を遂げていたトシの登場で吹き飛んだんだけどさ。トシ、どうしてそっち方面に進んじゃったの…



良い

合同練習の場はまだ見ぬ強敵達と出会う場所に。それは花奈が島で一人朗読していた状態から放送部に入る流れと似ているね。けれど、あの時が放送部という一つの集団に飛び込んだのに対して、今回は複数の学校の部が集う場所に飛び込んだ点はかなり異なるかな
だからか、これまで知らなかった人間関係が露わになるし、花奈も新たな関係を築き上げる
故にその過程で杏が表に出してこなかった問題も出て来てしまうわけだ

牡丹鉾という名前の強烈さが際立つ彼女の実力は確かに一級品だと判るもの。これまで読み上げが披露された花奈や修羅とは異なる読み方だけれど、聴いていて気持ち良いと思えるタイプ
そのような読みが披露されたからこそ、花奈の朗読に指導が入る展開は驚かされつつ納得できるものであるね。花奈の朗読は他者を自分の世界に引き込むタイプ。言い換えれば世界観という演劇的素養で勝負していると言えるかもしれなくて
牡丹鉾の朗読が描かれた事でコンクールで評価される読み方とはどのようなものか?という点が明らかになり、同時に花奈の課題も明確になったように思えるよ

もう一つ表出したのは杏の交友関係と美咲の課題か
杏がアナウンスへと鞍替えする事になった遠因、負けを嫌う杏にとって自分以上の実力を持つ親友なんて向き合うのは難しい。でも、それは杏側の事情でしかないから美咲に杏の理由は伝わらない。そうした不和は美咲の実力を低下されてしまうもの
ただ、それを理由に二人の仲が元通りになるわけではないという点に競技者としての性質を見てしまった気がするよ
互いに相手の実力を尊敬している二人が望むのは昔のように隣り合う事ではなく、競い合える関係に成る事だったのかな。だから杏の拒絶は美咲に実力や上昇志向を取り戻させる
二人の関係は以前とは異なるものになってしまったかもしれない。それでも変わらず二人が持つキーホルダーが二人の今を教えてくれるね



とても良い

前回終盤の流れを見た時は司による「ノーミスなら優勝」との指導がいのりのプレッシャーになるのではないかと不安だったのだけど、あれは別の効能を生み出したようで
演技の中でいのりが実践したのはいわば完成された滑りの再現。司の教えを滑り方に活かし、失敗しそうな局面も司の演技をトレースした
それは現状の最高値から外れない素晴らしい滑り、それがノーミス。故にノーミスより高い景色を目指した絵馬が優勝を掻っ攫うのは当然だったのかもしれない

いのりの演技には何も悪い点なんて無い。いのりと司というバディが作り上げた完成形と判る
対して絵馬の演技はこれまでを超えるもの。いのり・司に対して絵馬・蛇崩間のコミュニケーションが過度に秀でていたとは思わない。けれど、思うように実力を発揮できなかった絵馬を優勝台に立たせようと、不遇なこれまでを卒業させようとする蛇崩の教えや同級の者には難しい構成を組み込む絵馬の気概からは明確に現状以上へ羽ばたこうとする強い意志が感じられた
いのりは絵馬に負けたと云うより、現状の己に負けたと言える

だとしたら、故障から練習中断となった事はいのりに練習以外の時間を与えるものと成るような
練習すれば先行する同年代に追いつけるなんて考えは、これまでの積み重ねから飛翔し優勝を手にした絵馬によって否定された。そもそも他の競技者達だって練習に練習を重ねている
なら、いのりが勝利を手にする為には練習だけじゃきっと足りなくて。銀メダルを前にいのりが新たに掲げた考え方、今回の大会で出会った強者達、またテレビに映り込む高き場所にいる光…
様々を吸収できた今大会、そして練習が制限された時間はいのりに通常の練習では手に入らない何かを手にする期間となりそうだ



良い

猫猫にとってお仕置き部屋がご褒美部屋になってしまうのは上の者からするとドン引きする要素だろうなぁ(笑)
このように通常なら違和感の無い考え方が通じないというのは厄介な話。他の女官からは虫を集めるのなんて猫猫くらいだという発想は猫猫からすると濡れ衣だから何とかせねばと成る。また、子翠の虫って可愛いよね!という盲目的な考えは猫猫を辟易させる
一方で堕胎剤を作る為にわざわざ違和感の有る方法を用いた杏の遣り口は猫猫にとって残された謎となってしまうのか

堕胎剤を用いた杏の発想に違和感はない。けれどキャラバンが持ってきた香を活用する遣り方は堕胎剤の作り方を知る者には違和感ばかり。それは猫猫にまだ見ぬ厄介な黒幕の存在を予感させるもの
同様に皇太后が持ってきた謎掛けは違和感が先走るもの。人は亡くなれば腐り骨と果て土に還る。そうならない存在は通常と異なる死を迎えたのではないかと想像するのは当然というもの
違和感の有る死には違和感の有る呪いを。この謎に違和感の無い真相を猫猫はどのように提示するのだろうね?



普通

前回にて作中の常識や正しさが変容してしまったと感じたけれど、今回は変容した常識が更に捻じ変わってしまった印象ですよ…
怪しさ満点だったサンも新興宗教のような集団も話を聞いてみれば、彼ら彼女らなりの事情があった、背景が有った。それは聞きようによっては彼らの行動にも正義を見ることが出来る。また、神さま扱いされるおじさんも喪失に構わず正義にひた走る人物と改めて知れた
それは視聴者の認識が修正されるような事態であるが為に、作中で進展する修正能力の奪い合いとリンクするかのようだったよ

エレメントを守る修正がされていた状況が弱まり、堕天翅族が知れ渡り始めた。これまで落ち着いていた天秤が一方に揺らぎ始めた状況、完全に天秤が傾けば相手の常識に世界が塗り替わる
逆に言えば、その状況に達していないからエレメント達も揺らぎ続ける事ができると言えるのかな。サッコが持つ好意、戦えなくなるハナ、怪しい目覚めを迎えるトシ…
ここに未だ方向性の見えない前世や、遂に完成したトライアングルが天秤にどう影響するのだろうね?



良い

キスをしたのではないかと思わせる舞台の余波は大きいね。見た者も見てない者も大喜と雛の仲を邪推してしまうのはそれだけあの舞台が恋愛を想起させるものだったからか
大喜は千夏の反応を過剰に気にしてしまうし、雛もこの状況を活かせるだなんて口にする。他の面々も多かれ少なかれ反応する
それだけに渦中に近い場所に居ながら目立った反応を示さない千夏の恋愛観が気になっていたのだけど…
ようやく明かされた千夏の恋愛観、それは彼女という人間性に紐づいたものと感じられたよ

同居人である大喜には読めず、友人の渚も誤解する。そんな千夏の恋愛観を唯一見抜けるのが花恋であるというのは良いな。花恋とて面倒な恋愛をしているタイプだからか、簡単に済ませられない恋愛観を持つ千夏の心を打ち明ける相手と成るのか
花恋が言うように、恋愛なんて個人差が有るもの。千夏の恋愛観が特殊という話ではなく、千夏はそういう人柄であるという話
厄介なのはこの世に存在するのは千夏と大喜だけではないから、千夏がゆったりと花を育てている間にその花を掻っ攫ってしまう者が現れてしまうかもしれない懸念点

そう考えると、突風のように物語に乱入した菖蒲は懸念が現実化した存在か
他者に理解できない脈絡でバド部のマネージャーに就任し、あれよあれよと大喜にボディタッチ。大喜も菖蒲も互いに恋愛感情を向ける事は無さそうだけど、大喜に想いを持つ者が見て気持ちの良い光景ではない
と云うか、軽い恋愛ができる菖蒲はそれこそ何が起きてもおかしくない可能性とてあるかもしれない
雛のように勝ち負けで考えるか、千夏のように見ないフリをしてしまうか。俄に騒がしくなった大喜の周囲で菖蒲はとんだ劇薬と成りそうだ



全体
普通
映像
普通
キャラクター
良い
ストーリー
良い
音楽
普通

TVシリーズにてまことの話がある程度の決着を見ていたとはいえ、ここまでガッツリと咲の話になるとは少し驚き
まこととは違う方向性から自分だけの特別を求めた彼女、そこに至る足掻きは彼女自身の問題に留まらず家族との深い繋がりすら左右するものだから容易な判断を許してくれない。また、そこに咲自身の望みを言えない傾向が拍車を掛けて迷いの打破を難しくしていたね

咲に訪れた難しい進路選択はどちらが正しいという趣旨で選べないもの。父か母か、咲の意志を尊重しているようでいて実態はほぼ無視している二者択一は自分の意志で選ぶ事を不得手とする彼女にとってあまりに難しいもの
また、その選択を容易とさせない要素が彼女は両親の全てを知っている訳では無いという点でもあるね。本当の鯨を知らなかったように、時には父だって仕事よりも自分を優先してくれると知らなかった。母の家を訪れた事が無かったように、現在の母がどのような暮らしをしているかを知らなかった
自分が無知であり、特別と思っていたものが特別ではないと突きつけて来る真実は余計に選択を難しくさせる

そんな咲に対して、これまで寄り添ってきたまことや竜二に何を出来るかと云うと、過度に踏み込んだりしなかったのは印象的。というか、ここでも咲の自分の意志を発揮し辛い素質が助けを求められない状態へと押し固めてしまう
打開策は咲自身が見出すしか無いのか、と危惧していた辺りで彼女の友人である佳奈子や美代が咲の悩みを引き出す展開は想像の外からやって来るような展開だったかも。あの二人って咲の友人として前々から登場していたけど、まことや竜二との接点が無いから物語への絡みがなかった。マイノリティを扱う本作にて、そういった要素も接点もない彼女らがこれまで重要な役どころを担う事もなかっただけに私の中での印象も薄かったのだけど、彼女らって実は咲の祖母に次ぐくらいの距離感で咲を見続けてきた人間と言えるんだよね
だから咲から本心を引き出すには強引にでも踏み込まなければならないと判っていたんだろうなぁ…。ただ、その後の解決策まで強引だったのはすげぇ…となってしまったが

こう書くと、自力で決断できなかった咲に落ち度が有ったように思えてしまうけれど、そもそも体調面に不安のある祖母と二人暮らしをしている少女に突然、父か母か?なんて選択を突きつける周囲の大人の方が可怪しい
母親の無理解に直面していたまことが、親と向き合い直す事で事態打開を図れたのが珍しいくらいの話で
けど、まことだって最初からそのような力が有ったわけじゃなくて、咲と接する中で又は竜二と衝突する中で身につけた力。ならば咲だってまことや竜二と接する中で手に入るかもしれない
その為に必要だったのが恋敵のような竜二と何でもない時間を過ごす事で、まことの告白を受け止める事で。彼女にとって家族の問題を乗り越える事とまことや竜二とどのような関係を築きたいかという将来は繋がった進路選択だったと言えるのだろうね

二者択一の選択肢から自分が望んだ道を選び取った咲の笑顔はとても朗らかなものでしたよ
また、星を見上げに行ったのに曇り空でも何だかんだ楽しい思い出になるし、その後に続く晴れの日を期待できる恋人や友人が隣に居る3人の様子にはこちらまで温かな気持ちとなれるラストでしたよ



良い

冒頭で演じられた修羅の朗読は未熟な花奈や杏が求める完成形に近いものだったのかな。だからか、それまで充分だと無意識下で思っていた己の慢心に気付ける
満足しているなら完成と言える。けれど不満足を覚えるなら、それは少しでも完成していない。花奈が修羅の舞台を見て、冬賀が花奈の演技を見て、直面した完成形はそれぞれに不満足を覚えさせるものとなったようで

花奈の不満足は個人としての向上心が主となるから気持ちが良い。川辺りで決意を叫んだように、その不満足にはどこか美しさがある
対して冬賀の不満足は集団活動において不協和音を齎すものだね。ドラマ作りを始める際に指摘されたように、こだわれば終わりがない。けれど締め切りを目前に控えた中でも、不満足だから作り直したいなんて言うのはとんでもない我儘なわけだ

折衷案は提示されたものの、冬賀の不満足が集団において我儘である点は変わりない
それだけに自己主張が弱い箱山が彼を羨ましがり褒めて、その上で彼の根底を知って向上策を授けるのは少し意外だったかも
箱山にも不満足はある。だからと羨ましい冬賀を完成形と思わずに寄り添う対象としたのは良かったな
箱山がそう接してくれたから、かつては部員と対立した彼も集団の中で満足いく音へと辿り着けた

冬賀が言うピアノは普通、それを物足りないとの意味に解釈すれば、インスピレーションを求めて街を彷徨う時点で間違いだったのかも
彼に必要だったのは集団で得られる完成形、いわばたった一つの楽器から鳴る音ではなく人の声も環境音も奏で合うシンフォニー
それはもしかしたら部活動では当たり前で普通かもしれない遣り方。そうして満足いくものを作り上げられたなら、冬賀にとって、そして放送部にとってもあのドラマは完成形に至ったと言えるのだろうね



良い

バッグ紛失という重大事にどう対処するかと思えば司の体力が無双してた…凄い……
失敗が明確化された今回の事態はいのりだけでなくのぞみにも反省を意識させるものに。けど、そのような後ろ向きな心に飲まれること無く、今自分に出来る事を!と意識し直すのは良いね
失敗への対処を司に一任した形になったからこそ、司に託した二人は自分の役割に集中できた。人は相互に影響するものだからこそ、いのりを出場させる為の司の頑張りがいのり達に返ってきた訳だ

ただ、相互の影響と言えば聞こえは良いけれど、同量の影響を与え合えるとは限らない
いのり個人の失敗に対して司が無理をした為に、いのりは必要以上に気負ってしまったような。勿論、その気負いが勝ちへの執着に繋がっていると感じられる。けど、蛇崩が言うように大人が醸す雰囲気に拠る影響は時に大人が思う以上に子供への影響を生じさせる
だから、スケート選手と褒め称えつつ子供でしか無い彼女らに対してコーチは適切な距離感での指導が求められるのだろうね

だとしたら、23点台が連発する状況で「ノーミスなら優勝」と伝える司の指導はどうなのだろうね……
司の言葉に在るのはいのりへの信頼。だから彼女の指導を始めたわけだし、今回も汗だくになる程に走った。いのりからの影響が司に全幅の信頼により成立する指導を行わせている
ならば、そのような指導をバッグ紛失という失敗の直後に受けたいのりは司からどのよう影響を受けたと言えて、そしてどのように滑りへ反映されるのだろうかと少し不安になってしまう…



良い

選択肢が複数存在しているようで居て特定の者には限られた選択肢しか見えない面白い廟が舞台となった今回。話の方向性も選択肢の多寡に関わるものとなったような
小蘭が通う手習い所も下女に将来の選択肢を増やそうとするものだけど、まずはあそこに通う選択をしなければ将来は増えはしない。そもそも後宮に居る時点で将来の選択肢を増やそうなんて発想は難しい。だから、壬氏は娯楽小説の流布をしたわけだし
そう思えば王の選定に関わる廟は誰を招き寄せようとしていたのかという話になるのか

帝は既に廟を通った事がある人間だから彼が再び選択を行っても結果は変わらない
他の人間に拠る選択が必要とされて、その対象に猫猫が選ばれたのは興味深いね。それで居ながら猫猫が真相を掴んだ際、彼女は壬氏に選ばれて通ったと云う形を取っている
それは帝として選択されるべきは誰なのかを間接的に示しているかのよう

廟の仕掛けは面白いね。自分の意志で選んだ者は正解を掴めない、選ばされた者だけが正解に辿り着く。それは王母等が仕込んだ罠、伝統に従い続ける限りは後継者は誰かが望んだ通りに選ばれ続け、長大な乗っ取り計画を成就させる
他者の選択肢を限る事で望んだ通りに動かす。それは数ある選択肢に己の利に則したものが存在するから
だとしたら、猫猫に自分の正体を明かす選択を取れず、また猫猫の方も壬氏の正体を知る選択をしない現状は誰にとって得と成り得て、損と成り得る可能性を秘めているのだろうね?また、二人が選択を行うのはどのような時となるのだろうか?



普通

初回からほんのりと見えていた現実の変容が此処に至り恐ろしさすら覚える規模となってきたね
エレメント達の前世、オカルトと新興宗教が入り混じる駅前、そして仲間として加えられたサンの異質…
少しずつ広まるからあまり気に留めて居なかったそれらは一旦在ると認識してしまえば存在を無視できなくなる。それこそがサッコ達にとって堕天翅族よりも侵食と呼ぶに相応しいものだったのかもしれない

第一話から登場しつつもやべぇ人としか認識されていなかったビラ配りのおじさん
けれど此処に来て更にヤバそうな集団が現れ、反比例しておじさんが冷静に物事を見つつエレメント達の知る真実の一端を語るものだから彼への信頼が上がる面白い構図
また当初は無機物的な見た目だった堕天翅族が人語を話し人の形を取るものだから、エレメント達の戦いも正体不明の敵を倒すというより生存圏の奪い合いをしているような錯覚に陥る。結果、あのハナが堕天翅族相手に「殺す」なんて表現を使った上で戦えなくなるなんてね……

そして現実の変容が最も起きたのはサッコか
これまでサッコ達に起きる異変は堕天翅族に拠るものばかりだったけれど学内で生徒がサンがしているのは全くの別種。また、正体が見えないだけに彼も彼によって起きる変容も理解が難しい
そのようにサンへの理解を難しくする展開が続いたと思ったら、ラストにサッコはトンデモ発言をしてみせたね!いや、まあアクエリオンシリーズだからこういう要素が有るのは少し納得なんだけど、それにしては唐突!
ただ、気になるのは前世シーンにて彼の前世に相当する人物が見当たらない気がするのだけど、一万二千年前から現在までで彼らにどのような変容が挟まっているのだろうか?



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