サービス開始日: 2016-04-05 (3611日目)
“純真で愚かな者たちの物語”
スピアヘッドの命運をなんとか変えようと作戦の撤回を訴えるレーナ。彼女は再び正義に訴えかける。しかしジェロームが言うように理想(だけ)では誰も動かせない。彼女は目的の為に汚い手段を含めあらゆる手を尽くすべきなのです。例えば戦争における共和国の立場が危うい事を訴えれば話は変わってくるはず。またはジェロームの弱みを握ることを考えてもいい。しかし正義は当然の如く為されるべきであると信じて疑わない彼女には、そんな搦手は想像だにしないのかもしれません。
一方で現実を見てきたはずの86。”決して豚には成り下がらない”と誓う彼らもレーナ同様に汚い現実にまみれる事を忌避している。彼らは抗う事を、自分たちの意思を伝えようとする事を諦めるべきではないのです。反乱を起こせば、例え成功しなくとも何かが変わるかもしれない。彼らに続く86を鼓舞して全面的な反乱を導けるかもしれない。国際世論の目に止まるかもしれない。誇り高くこの世を去れば自分たちは満足かもしれませんが、彼らの兄弟が依然住む世界は決して何も変わらないのです。
彼らに同意できない。しかし同時に、そんな彼らに何処か心を打たれるのです。それは、大人になった自分が忘れてしまった何か、理想や正義を信じて疑わない姿に少年の純真さを見るからであり、彼らの運命の刹那に、永遠に過ぎ去った少年時代の一瞬を重ね合わせるからかもしれません。
そして今話は、現実を象徴するような重々しい扉の音、レーナがジェロームの絶望という現実を突き付けられるシーンの不穏な弦楽曲、86が“ピクニック”の準備をするシーンで流れる優しく少し切ない英詩曲など、劇伴や挿入歌の選曲、使い方の旨さが際立っていたように思います。
不思議な印象の残る回。
道端で倒れたレントンはウィルに助けられる。ウィルのマーサとの向き合い方を目の当たりにしてエウレカへの想いを再確認するレントン。
「君にはいるかい?世界の終わりが来ようとも一緒にいようと思える人が。」
ウィルの中の人は古川登志夫さん。
巨大なキノコ雲のごとく吹き上がる紅塵に覆い尽くされた光景は終末感溢れていて素晴らしい。紅塵はSFミステリ部分で重要なファクタである事に加え、破局に向かって緊張感が高まっていく様子を視聴者に端的に見せる、という映像面でも効果的に使っていて、上手い設定だなと思います。
そして、ジェット・ジャガー、初期の頃のぎこちない動きが嘘のように、剣舞を踊るがごとく槍を自在に操り、蜘蛛を斬っては捨て斬っては捨てと獅子奮迅の大活躍。正直なところ初めてカッコいいと思いましたw 強面の顔と釘宮理恵さんの可愛らしい声とのギャップがコミカルで愛着が湧きます。
エウレカもレントンと離れたことで彼の存在の大切さを痛感しているよう。エウレカ(タルホ曰く世界)が彼を選んだということは何を意味するのだろう。ホランドもエウレカに選ばれ無かったことをようやく受け入れたように見える。
レントンとチャールズ、レイとの別れ。包み隠さず真実を伝えた上でレントンの決断を尊重するチャールズに父の愛を感じる。
アバンのゴジラが炎を吐くシーン最高!圧倒的な迫力と街をなぎ倒すように破壊していく様の爽快さときたら。これまでゴジラ作品全く観た事なかったんですけど、これが怪獣映画の魅力ってやつなのかしら。
アーキタイプの究明パートでは、色々な科学的な考え方をモチーフにして解明を進めていくのが、科学ドキュメンタリを観ているようでワクワクして楽しいですね。そして、OP冒頭の不気味な渦巻の意味がようやく見えてきたわけですが、いよいよ真相に近づいてきたということでしょうか。
それにしても本作、怪獣の迫力や禍々しさ、アニメーションのポップさ、SFや科学のマニアックさ等々をミックスして凝縮したような、圧倒的サブカル感がたまりませんね。
何か不思議な印象の回。いつもと違って怪獣は操られているわけでなく自分で動いている。決して破壊を目的としているわけでなかったけど、成長して巨大化してしまったら結果として破壊は起こり、倒すしかなくなる訳で。何か怪獣という存在の悲哀を感じさせます。
今回の怪獣、キモさ加減が絶妙でイイですね。手をスリスリしてるとこなんかゾクゾクしちゃうけど何処か愛嬌もあって。そんな所に蓬も情を感じ、心の可能性を考えたのかも。最後に目がギョロっと出てきて蓬と目線が重なるシーンはエヴァ2話のシンジと初号機のシーンを思い出しました。
バス車内の蓬と夢芽のシーン。二人とも感情をあまり表に出さないけれど、その分ちょっとした言葉にそっと感情を乗せて、静かに距離が縮まっていく感じがたまらないですね。とても好き。
信じて疑わなかった正義が実は独りよがりで誰かを傷つけていたのかもしれないこと、そして自分が何も知らない子供なんだという事実を突きつけられ打ちひしがれるレントン。エウレカへの気持ちが重なる。けどその少年の青さと純粋さがとても愛おしく感じる。
チャールズとレイも同じ事を感じていたのかもしれない。年頃の息子を持つのは悪くないって言葉、愛情に溢れていて心が温かくなる。
秋になり紅葉彩る背景美術が綺麗で良いです。子熊と礼子、当初は礼子の気まぐれに振り回されてた子熊ですが、すっかり彼女のいなし方を覚え、礼子の手綱を握るカカア天下のよう関係になっているのが面白いです。ぶっきらぼうな話し方といい、ボス然とした貫禄すら感じます笑。当初、カブを見せる礼子との約束に臆して教室から逃げ出していた子と同じ人なのかと目を疑います。カブ効果恐るべし。小熊が小さな椎を見誤っていたのと同様、小熊サンも実は大熊で僕が見誤ってたのかもしれません。ただちょっと人見知りな大熊さんなのかもしれません。
それから一高の教師の「困らせて欲しいのよ」というセリフ、とても先生らしい言葉だなと思い印象的でした。手がかかる子ほど愛着が湧くって言いますしね。
レントンとチャールズ、レイとの出会い。ゲッコーステイトを離れた事でこれまでの自分を客観的に振り返られるように。チャールズとレイとの間に感じる家族のような安らぎ。GET IT BY YOUR HANDSはカッコいいなあ。
エウレカのことで対立するレントンとホランド。これまでもホランドに当たられてきたけど、とうとう面と向かって反抗するように。二人ともエウレカを思っているのに、正直になれないホランドと何も知らないレントンはぶつかってしまうのね。そしてホランドの想いを知り、自分が何もわかっていなかった事にショックを受け悔しさを敵にぶつけるが、それは暴走と化してしまい。
一度だけのみんなでのお花見。まだ出会ったばかりで各々のキョリ感に慣れていなくてみんな初々しい。元気なクジョーやカイエの姿も。白豚姫の絵を覗き込むスピアヘッド一同の顔が揃ったシーンは、今となっては見ているだけでジーンとしてしまいます。
そして、またしても…。本作品、死に対して過剰な前振りや演出をせず、突然にあっさりとやってくるのが、物語を盛り上げるための装置としてだけ描くのではなく、きちんと戦争による結果としての死として扱っているという印象を受け、作品としての姿勢に好感が持てます。
そして、今回一番印象的だったのは、描かれた事よりむしろそうでない事。前回判明した真相に対するレーナの反応が全く描かれなかった事てす。彼女が知った事実は戦局に対する認識が一変する内容だったはずで、たとえジリ貧でも86に任せて2年戦線を維持すれば良かったものが、相手を粛滅せねば滅びるという自分たちアルバが直面する深刻な問題になったはずです。もはや一人のハンドラーの仕事でどうにか出来る問題でないはず。にも関わらず、前回から一月近く経つのにジェロームどころかアネットにも話していないようにみえるのは正直不可解に思えました。仮に話して誰も真面目に取り合わないにしても、今のレーナの人柄を考えればこの辺りの行動の描写はマストであったと思うのです。ここを描かないとなれば、今後、物語は世界全体を描く事はなく、レーナと86の関係性に閉じたお話として終始するのを示唆している気がしますが果たして。