サービス開始日: 2016-04-05 (3722日目)
「世界はどうせ変えられない」
以前と変わらぬ灰色の日常が描かれ意外にも嬉しかった。奇跡やハッピーで終わるなら綺麗でスッキリするのかもしれない。けど現実の僕には今日も何気ない一日がやってきて人生は続きいつまでも割り切れはしない。いや割り切れてはいけないものなのだから。
変わらぬ灰色の日常の中で鳥の雛を気にかけるという長良の小さな変化。物語を通して遥かな長い旅路を経てたったそれだけの小さな変化。けどそれがたまらなく愛おしい。彼が生きる世界を自ら選び取り、その場所で自分から世界に関わろうとしている確かな証、漂流の全てが詰まっていると、そう思えたから。
製作側としてもドラマチックに綺麗に終わらせたい、のような誘惑もあったのではないかと思います。けど「どうせ世界は変えられない」というある意味セカイ系のアンチテーゼとしての命題から始まったテーマを誠実に描いてくれたことが嬉しいし、制作者の皆さんに感謝と敬意を表したいです。
冒頭5分を繰り返し観てしまう。「Lightship」この曲をOSTで聴いた時からアニメで流れたら感極まるなと思っていたけれど、長良と希の友情に思いを馳せながら歌詞に聴き入るとやっぱり。手作りのお葬式が凄く素敵。瑞穂も長良も涙が溢れた時に隣に誰かがいてくれて良かった。
「命の誕生も死も無意味だからこそ生きているこの瞬間その輝きは尊い。それはその時その人だけのものだから。」この言葉が心に残ります。たとえ静止した世界でも、戦争も希もラジダニも、美しい過去の思い出に閉じこもった者も、死を発明した者も、等しくいつかは意識が消えて”死んで”いく。世界に意味はないしどうせ世界は変えられない。けれど漂流先に様々な「この世界」があってどのような生き方であれ皆それぞれの居場所を見つけたように、どの世界でどう生きるかは本質的にはあなたが選ぶ事ができる。なぜならあなただけの人生なのだから。それはとても素敵な事だと思います。
くくるの夢が終わると共に「今度は私が風花の夢を応援する」と、これまでの二人の立場の交代が一旦は示唆されますが、結局のところ最後は風花がくくるを支え、くくるは希望へ向かうという元々の関係に戻っていく事で二人が元気を取り戻していくのが印象に残ります。
風花は結局アイドルに復帰しませんでしたが、沖縄でくくるを支える事で自分が元気になっていくという経験を通して、自分の夢を追いかけ誰かに夢を見せる表舞台の仕事より、誰かを支える事に生き甲斐を見出すようになったのかなと感じました。
そういう視点からすると、新しいキービジュアルやPVからはティンガーラで奮闘するくくるの様子が想像される一方、全く姿が見えない風花がくくるを支える”姉”として、どういう立ち位置で描かれるのか楽しみなところです。(まさかの途中退場はあるまいと思いますが一抹の不安…)
詩「おわりのない海」の言葉に触れ、くくると風花共に夢破れても未来は続いてゆく姿を重ね、人は人生悲喜交々何が起ころうと結局はそれを心の奥の静けさの中に溶かし込んでゆける心の海を持っているのかなと、だから生きている事そのものが希望たりえるのかも、そう感じました。雄大な海や景色を見ると自分の存在や悩みがちっぽけなものに思えて気が晴れる、というようなことがありますが、近視眼的になっている自意識が心の海を思い出すからなのかもしれません。
骨折さん健気で可愛い。朝風のことを本気で心配して希を連れてくるあたりとてもいじらしい。朝風の希に対する恋は憧れも多分に含まれていたよう。性格悪い所もあるけどちゃんと振られてもう追いかけない自分の道を行くと心に決めた姿には男気を感じ一歩成長したようにみえました。
そう思った矢先、魔が刺したように突然の出来事。能力遺物となったピストルを握って深層心理にあった攻撃性が具現してしまったとか?? 心の奥底は自分でもわからない。骨折さんが聞いていたのも心の表層意識部分だけだったということかな。
それにしても今話はよくわからないシーンが多かった。特に謎なのが突然ウインナー?が映されたシーン。これは一体なんだろ。ニワトリを絞めるシーンもよく分からなかった。次回への布石なのかもしれませんが。