互いに滅ぼし合うしか、犠牲を重ね合うしか無いと思われた人類とフェストゥム。それが総士と美羽によって祝福を誰しもに分け与え誰も知らなかった未来に辿り着けたという事なのかな…
『蒼穹のファフナー』という作品がこれ程までの完全無欠な終幕へ辿り着けるとは見始めた頃は想像もしなかったなぁ…
美羽の祝福は戦闘の終わりを齎すと共に対立も終わらせ、更に彷徨ってきた者達を竜宮島へ帰還させるもの
過去の美しさと比較すれば今の竜宮島は命なき島に思える。けど、これからは戦いではなく復興という大仕事にひたむきになれるならそれは終わりではなく始まり
「ただいま」の言葉に籠められた意味はとても感慨深い
竜宮島帰還に合わせ、帰らぬ人と思われた仲間達が戻ってくる様は本当に良いなぁ
犠牲の多い旅路だったけど、全てを喪った訳では無いと判るよ
それでも喪失しない事が正しい訳では無いから、帰還後の島から旅立つ者も居る。その一番手が初代から登場していたショコラとなったか……
弔いと再出発の灯籠流しは死者を意識させる為に彼らの存在を再認識させるもの
また、新たな出発を前にした一騎と真矢はけれど終わりではないから、始まりを前提としたものになる。旅に誘う一騎と帰る場所の真矢
誰も彼も一緒に居なくても共に在るのだと感じられたよ
ラストに❝Shangri-La❞が流れた時は感無量になってしまったよ……
多くの犠牲を含みつつも、犠牲を犠牲として終わらせまいと進み続けた本作だからこそ辿り着けた境地
長い時間に亘って視聴してきた事もあって、この完結で得られた感慨にじっくりと浸りたい気分ですよ…
ヒューマノイド故に調整した誕生が可能だし、生誕後も調整可能という事か。子の調整の主体が大人である以上、子は大人の勝手に拠り人生が様変わりする
リサとトゥー・フィーという同じ脳紋を持つ二人の人生が全く異なるものになったように、須藤が母のコピーを探し続けるように
大事故に遭っていたり、髪を書き換えた母を身勝手と思いつつも、リサはそれなりの人生を過ごせているね
というより不可抗力により母を喪った事で、自分の人生は自分で選ぶ感覚を強く持ったように感じられる
対してトゥー・フィーは父により人生を定義付けられ、己をそもそも持てなかったヒューマノイドか
リサの代用品として作られたトゥー・フィーは最初から己が無かった
彼女が人生を手にしたのは自分の意志で父を喪ってから。でも罪過により人生は積んでしまうから、リサに成り済まし別の人生を手にするしか無いがそれも選べなかった
同じ脳紋を持つのに、同じ父を持つのに。全く異なる生を辿った二人の在り方は悲哀が満ちているね
リサもトゥー・フィーも親が居なくなってから人生を得たけど、須藤は母と離れても母の人生の面倒を見続けている感じなのか
きっと須藤がすべき事ではないし、母のコピーを見つけた処で何をするかも決めていない
その点では彼は自分の意志で大人に合わせて己の人生を選んでいる。だから彼がリサと離れてでも母を見つけようとするならそれは相当の覚悟の上なんだろうなと伝わってくるよ…
働き蟻にとって王と言えるティアと紫蟻は対立する存在。けど、どちらも直接的な戦闘力は無いから、互いには言葉で、そして働き蟻に対しては支配力で勝負する事になる
けど、王は他にも居たわけだ。紅炉も働き蟻に噂という支配を残した。それは紅炉に勝利は齎さなくても時を超えた勝利を『灯』に与えたわけだ
紅炉がティアに残した僅かな希望、『灯』がティアに投げ掛けた温もり
どちらが欠けても自信喪失状態だったティアを王の器に変えはしない。そしてティアが王になったからには働き蟻は彼女を助けるし、クラウスもティアを助けに現れる
また、クラウス自身も王と呼ばれていた事で、王に別の意味も見えてくるね
クラウスは王であっても『灯』を支配していたとは言い難い
でも彼女らとの交流がクラウスに成長を齎したなら、クラウスは支配せずとも王として彼女らを自らの力としていた事になる
他者を力とするのが王の別の在り方なら、ローランドにより英雄として覚醒し彼を力としたティアも同様と言えるのかな
結局、紫蟻は働き蟻や将軍蟻を支配できてもそれ以上は出来なかった
王としてはクラウスにもティアにも劣るから勝てる道理は無かった訳だ
無事に紅炉の復讐は成功し、ティアは彼女の遺産を受け取った
このミータリオ編はティアという王を中心に『灯』そのものを大きく成長させるエピソードとなったように思えるね
遂に明かされたレオ出生の秘密、歪な経緯があったとしてもレオが間違って生まれてきた訳では無く、レオが正しく人と魔族の血を引いているとも判るもの
人と魔族が混ざったレオの姿に間違いがないと言えるなら、生まれで身分を分けようとするセトの遣り方は間違いと言える
姿に基づく個を変える真実はそのまま反逆の構図も変えるもの
セトが目指すのは秩序による支配。けど、サーブルが拒絶したようにその秩序は全てが望む世の中ではない。対するレオが目指すのはより多くの者がそれぞれ望んだ姿で生きられる世界
回想で明かされたようにセトもレオのように生まれ持った姿により苦悩したタイプ。でも見出した答えは全く異なるもの
レオは他者への寛容を懐き、セトは王者への否定を懐いた
アヌビスがサリフィに問うのは姿というアイデンティティの問題
前回、アヌビスはレオの姿が思っていたものと違う為に立場を変えた。対するサリフィは姿が変わるからとアイデンティティまで変わるのではなく、異なる姿を持つというレオの個を見ている
個を見るという点ではアヌビスにも通じるもの。だから彼は仕えるべき王への忠誠を変えずに済む
サリフィがこれまで関わった者達が救援に現れる流れは良いね
ガロアを始めとして彼らは魔族と姿の異なるサリフィを介して友好を結んだ。そういった者達がセトの秩序を否定し、レオとサリフィという異なる個を持つ者の助けになる構図は本作が目指した終着点を明確にしているね
それ故に、魔族王の姿を取り戻したレオの帰還は皆が望んだものであると同時にオズマルゴの王に相応しい個なのだと感じられたよ
牧師と聖女ではない時間を旅行先で得て、久々に二人の時間を過ごしても変わらない二人の距離
その理由は出逢った時からローレンは牧師でセシリアは聖女だったという点も関係しているのだろうなと思えるEPだったよ。それだけに屋根裏部屋での会話はその関係を距離を可能性が有ったと言えるのかな
聖女呼びを変えないのはセシリアとの間に壁を作りたい訳じゃなく気恥ずかしさが先立ってしまうだけ
誰も取り合わない大雨の件を必死に訴える彼女はあの時点で特別な存在だった。また今は居ない祖父の教えもローレンを縛る一因なのかもしれない
彼は聖女を大切にし過ぎている
でも、星空を見上げて綺麗だと言い、一緒の時間を過ごしてくれる少女が触れる事すら許されない相手の筈がなくて
ローレンが認めるべき感情は色々とあるけれど、結局の処はセシリアとどうしていきたいかという点を自分の中で明確化することなのだろうね
エピローグ部分で示されたように彼の望みそのものは既に明らかなのだし
心霊スポット巡りでもオカルトに巻き込まれたわけでもなく、自ら悪霊の居城へ乗り込む今回
いわば自分達は攻城側で相手は籠城側。だから生半可な覚悟や準備では太刀打ちできないのは当然
何も出来ぬ内に追い込まれる様子はホラー感たっぷりだが、だからこそ逆転するだろう夜宵の活躍も待ち遠しいね
ルディとしては不能治療の手掛かりを得た段階。けどフィッツとしてはいよいよ正体を明かさねばと追い込まれた段階
フィッツ視点で進行する事で淡い恋物語の様相を守れているね
子供時代から続きながら一旦途切れてしまった二人の関係。それがようやく有るべき形に戻れたように思えたよ
自ら踏み出せないシルフィの背を押すアリエルが良いね。友人を幸せにしてあげたい、友人だから助言を信じられる。そういった尊い関係性
それでも結局はシルフィの努力次第。……けど、まあアリエル達をドン引きさせたように彼女はきちんと望むべき未来を思い描いているから一歩踏み出せば大丈夫だったのだろうけど(笑)
作戦はさておき、関係復活の要は途切れた繋がりを思い出すこと
だから子供時代から持つ杖、子供時代の経験が鍵となる。でも思い出さなきゃならないのはルディの側だからシルフィは待つしかない
震えは寒さによるものであり緊張によるものであり。同時に途切れた過去と現在を繋げる代償だったとも言えるのかな
少年期を繰り返すかのような脱衣。行為は同じでも、あの時はシルフィが女性とは知らなかったが今はフィッツを女性と知っている違いが有る
脱がされる際の反応は既知のものである為にその意味が現在と繋がる。自然とフィッツとシルフィは繋がった存在となる
ようやく名前を明かす事が出来て想いが報われた彼女の様子は本当に喜ばしいものだったね
おお、堀両親の学生時代だ
欠片達の物語だから描ける過去の掌編。あれだけだと短すぎるが、現代の堀家を繋げ描く事であの掌編が活きているように思えるね
京介と百合子の出会いが根底にある堀家は今も変わらず愛が満ちている
堀や宮村、学校の話が主体になるとどうしても脇役になる創太、でも彼こそが堀と宮村を結びつけた張本人なわけで
また、京介と百合子の物語、そして堀と宮村の物語、それらの先にいる彼は賑やかな堀家を最も味わっている存在と言えるのかもしれない
かといって手厚く育てられているというわけではなくて
時には遊ばれて時には怒られて、そういう環境で育てられた彼の健全さは堀家の良さを誰よりも体現しているね
…なのに、彼が最も懐いているのは宮村でしかも彼をお兄ちゃん扱いしているのは、未来を先取りしているという事で収められないだろうか(笑)
社会を支配する超高度AIに疑問を呈するEP
超高度AIの運用は信頼に拠って成り立っている為に人々は無意識的に超高度AIを信じている。AIなら間違いないと考えている
逆に言えばAIに歯向かう者は社会のはみ出し者になる。それがテツヤや勅使河原になるのかな?
テツヤに殺されそうになった女性は紙幣を差し出し逃れようとした。紙幣とは社会における信用取引により成り立つ。社会を支配する超高度AIに挑むテツヤに効く筈がない
取り調べでのテツヤの発言は支離滅裂と思えるが、終盤の言い分を聞くと見えてくるのは彼自身がバタフライエフェクトを狙っているのではないかという点
そう考えると、殺害シーンや恋人との会話は理知的に感じられる。彼はそこまで狂っているとは感じられない
AIにより殺人の方法や動機は判明するだろうけど、彼の主張である超高度AIが正しい存在かをAIは教えてくれない
結局、彼は社会から抹殺される。それを見送った須藤は何を思うのか…
勅使河原の活動を詐欺と疑う中野は彼女を社会から爪弾きにすべきと考えている。その為の告発
AIによって社会は管理されようと死後の世界は社会に含まれない。それを説く勅使河原は全てを詳らかにするAI社会に反する存在、信用すべきではない
でも未知が未知のままでは救われない者が居るなら一種の必要悪
ヒューマノイドにも等しく訪れる死をひっくり返すのは勅使河原に言わせれば「人を不死にするより難しい」。神が定めた人間の死より難しいMICHIの仕組みだなんて、それではまるでMICHIは神を超越した存在かのよう
今回のEPを見ると、超高度AIを信用する・スピリチュアルを信用する。両者に果たして違いなんて有るのだろうかと考えてしまうよ
事前の想定と異なる展開だったけど、その相違が今回のサブタイトルに深い意味を持たせているような
EXODUSでは絶望的な戦場に降り立ち全てを一変させた一騎と総士を『英雄』と呼んだ。今回は犠牲を受け容れた一騎と犠牲を否定する総士という新旧を指して『英雄』と言ったかのよう
一方で美羽だって一騎側の英雄として犠牲を許容した。それを代えたのは総士の思うが儘の言葉。マリスが救えなかった彼女を救ったのはある意味で総士が二人の英雄となったとも言える
そうなると、一騎という英雄と別の道を選ぶ総士と美羽の二人を新たな英雄と指しているようでもある
英雄を超えた総士と美羽が導く可能性、それは『蒼穹のファフナー』という作品が新たな地平線に辿り着いた事そのものを表しているかのよう
長い長い物語の果てに示される若い世代の祝福がどのようなものか見届けたいね
分断されても連携により働き蟻を撃破する『灯』に襲いかかる新たな働き蟻。守るより攻めが得意な彼女らを攻め尽くす無限の敵
終わらない敵の嵐は一方で働き蟻にとっても無限の苦痛の嵐に居るのだと判る
だからこそ倒すべき敵は働き蟻ではないとも見えてくる
無限の嵐の中で己が遣るべき事に突き進む『灯』の中で唯一迷い続けるのはティア
指揮者として皆を導く筈が己の弱さに負け俯く彼女を励ますのがアネットなんてね。チームの中で異物と言えるアネットが伝える英雄の物語とリーダー・リリィが示すティアの出来る事
それは弱さを自覚させた敵との対話
けれど、ティアは弱さを完全に克服できたわけではないからローランドにより更なる闇へ落とされる
そして繋がる過去の英雄とこれからの英雄
働き蟻を統べる紫蟻、『灯』を統べる夢語。両者の対話は嵐渦巻くミータリオにどのような英雄を顕現させるのだろうね
王の正体が国民に分かってしまった事で生じる国の分断は人々すら分けてしまうもの。
魔族と人間の血を引くレオが推し進めた人との融和が全く異なる意味に変わった状況。それは人々に何を信じ、何を受け容れるかを問い掛けるものになったようで。誰にとっても大きな試練
正体が人であった為に主を代えたアヌビスのように、相手が自分と分かたれた存在と判れば共に居るのは難しい。同じ側に居る者としか結べない
種族差別に拠る秩序、同種族のみで固まる者は理想を得るが、異種族で暮らす者は非道を味わう
かといってそれを助けたサリフィ達に礼を言えない辺り、種族の分断は人の情では簡単に越えられない
一方で分断されない者も居るね
ヨルムンガンドにラント、そしてアミト。彼らは種族ではなく相手その人を見ているから相手との違いを重く見ない
でも民に仕えてきたレオは違う。自身の違いにより民が分断したならレオはオズマルゴに居られない
でもサリフィがレオという個を見て関わりを変えないように、正体がバレてもレオは変わりはしない
民から非難されてもレオがオズマルゴの王である事実は変わらない。そしてサリフィが自身を信じてくれるのも変わらない。そこへ分断に惑わされない者が集えば目指すべき場所は明確
国を追われた王が国に帰るが、そこは自身を歓迎しない。それでもレオが改めて王と認められれば国の分断は終わる
レオとサリフィ、最大の試練を迎えたね
ああまでセシリアに色々言われて気づかないローレンって、どうなんですかね……
アベル・ヘーゼリッタと別れて、久々に二人きりの空間。以前に戻った形だけど賑やかさを知ったから寂しさをより感じてしまう
それに乗じて急接近できた筈なのに…
旅行先で聖女の悲劇を知り、呼び方を一時的に変え、ネックレスもプレゼントし…
二人は関係を大きく変えられる筈。セシリアだって気合を入れてる。なのにローレンの鈍感さが全ての邪魔に……
そりゃ何も起きないままヘーゼリッタ帰還の時となるのも仕方ないというものですよ(笑)
学園での地位に魔法陣研究、クリフの恋模様、人形制作、ゾルダートとの交流等々…
どれもまずまずの成果を出している。でもルディが学園に来たのは全く別の理由から
本願を示すべき矢印は大人しいままでルディの行動が方向性を見失いつつ有るように思えた処で待ってましたな展開となったね
当初、転移事件調査が中心だった頃はフィッツとの交流は多かった。それが減ってしまったのはルディのタスクが増えた背景に留まらずナナホシにより転移事件の鍵を得てしまったから
ルディの矢印が他へ向いてしまえば当然関わりも減る
だから転移事件を理由とせずフィッツとの交流を再開させるには直接フィッツ向かう矢印が必要だったわけだ
フィッツに無視されたという疑惑はルディの心を刺激するものに
当然導き出される結論、望む可能性。そこで偶然得た真実
示すべき対象を示さなかったルディの矢印が遂に反応した展開。これでフィッツの正体を知った時にはルディがどのような反応を示すのか俄然楽しみになってきたよ
あの夜宵が神様に喧嘩売った件を反省していたのは意外。彼女にも一応の自制心は有ったのか。その後、既に神殺しを達成している事で更に驚かされたけど
心霊スポット巡りの意味が変わった今回、それは同時に夜宵と螢多朗の関係変化の意味も併せ持っていたようで
愛依を救う為の神殺しに必要な準備は果てしない。命を失う恐れはこれまで以上
それでも螢多朗は引かずに同行すると腹を括った。それは夜宵と関わり始めた頃の彼には見られなかった傾向
ヤバさは跳ね上がっても彼はもう逃げない。夜宵と一蓮托生のつもりでいる
だから夜宵は彼を相棒と感じられたわけだね
元々多くの無茶をしてきた夜宵。今は螢多朗がその無茶を支えつつも彼女を守る相棒となっている。だから夜宵は無謀な神殺しへ向かえるのだろうね
…その勢いで最恐心霊スポットに連れ込まれてしまった螢多朗は可哀想としか言い様がないけど(笑)
気になる人にチョコを渡すイベントにてどう行動するかで相手へ向ける感情が見えてくる
沢田は堀が喜ぶ物を渡したがるし、堀は宮村に渡すハードルの高さに悩む
他にも特別なイベントへ向けて様々な葛藤を見せる面々が描かれたね
チョコを渡したら相手が喜ぶなら渡したくなる
堀のチョコは人を選ぶビターなものになり自信は持てず。ていうか、友達に配れる宮村に勝てるチョコなんて初めから作れないわけで
なら、結局は相手に渡すという行為が肝心要、むしろ籠める意味や緊張が特別な味になる
綺麗で美味しいケーキを作った宮村だってちょっと失敗していて、堀の反応に安心していた
だから似た意味が籠められた堀のチョコだって宮村は喜ぶわけだ。二人がチョコに籠めた味は同じ。だから二人の遣り取りはいつだって微笑ましいし、ニヤニヤしてしまう
桜のは少し悲しいチョコだったなぁ…
透だけには渡せないけど、渡したくないわけじゃない。だから由紀を介して、彼女にも渡す事でチョコの意味を友達へのものにした
というより、由紀に渡す事で彼女へのメッセージにもなっているように感じられて…
とても未来志向の有るチョコだったのかも
沢田は井浦を優良物件と思わないが、それでも渡したい野上を応援する。「誰かに話を聞いて欲しかった」なんてまるで自分かのよう
結局野上は渡せなかった。でも気持ちを渡したい別の人には渡せたわけで
沢田と野上の間で遣り取りされる「友チョコ」は尊いものだったよ
ディストピア的なエピソードを重ね描いた回だったね
AIの進歩で様々を容易に調整可能な世界だから、都合の悪い又は我慢のならない物を許容できない
かといって思いの儘に規制するのも間違いではないかと問い掛ける内容と感じられたよ
親にとって許容し難い不健全アニメ。子供の視聴を制限すれば無理解な親と思われるから健全な番組だけ流れるよう規制したくなる。それが良い社会に繋がると思い込む
小山田の主張は別物。健全を突き詰めると人間の居場所すら無くなると言う
これは不良の登場によって補足されているね
暴力を振りまく不良は不健全の極みに思える。しかし血を見て逃げたならそれは小物だし、不良に怯えた田口も小物、両者は同類
社会からそのような不健全な悪を排除するならどちらも排除される。不健全や悪を許容すべきとは思わないが、人が人で居られる社会の為には安易な排除は宜しく無いと言えるのかな
篠原が勤める学校はいわば田口が求めた不健全を完全に排除した世界かな
親が批判する要素を排除・否定した学校。その状況を維持する為に決まりは多くなるし、決まりを破る者は不健全の烙印を捺される
親が喜ぶ学校社会、それは果たして子供を真に思い遣るものなのか?不健全を完璧に排除すれば健全を実現できるのか?
望む学校教育が行われていると感じる親は社会を肯定するだろうし、大人の押しつけに反発する子供は社会を否定する
結局、その意味では社会に集う全ての者のコミュニケーションによってしか健全なんて実現できないのかも
だからこそ、学校社会の軋轢を体感したパーマが児童ケアに当たっている様子に希望を感じてしまうよ
敵のトリックを見破った事で見えた逆転への道。総士と美羽が作戦の要となるのは変わらずだけど、ここに来て気になる雰囲気も生まれた…?でも、あの総士だしなぁ……
一騎との会話シーンに代表されるように、今の総士は人として様々を学ぶ方が優先される気がする…
作戦を控えた壮行会の様子はとてもほのぼのとしたもの
「必勝」なんて掲げられていても、メインは誕生日祝いとなるし、食べるのが終われば子供達は雪遊びに夢中になる
とても平和な光景、これこそ島の皆がずっと大切にして来たものだと改めて感じられたよ
そして始まる蒼穹作戦は毎度の如く厳しいものに
一つの局面を有利にできても敵は常にこちらを上回り犠牲は嵩んできた。操もその一つに加わるかと思いきや…
いや、まさかあのタイミングで来てくれるとは!遂に辿り着いた竜宮島、再起した芹。あまりの感慨深さに感動してしまったよ!
これで次回タイトルがあれなのだから本当に堪らないね!
ミータリオで『灯』に求められるはクラウスを頼らない形での諜報活動。実力は足りないのだから当然、敵に気付かれてはいけない。
個々に活動しているからクラウス襲撃のような連携は取れない
だからこそ足りない部分を補う必要があって。それが早くも見える回だったね
今回、メインとなったのはモニカか
『灯』の中では実力が頭一つ抜けている彼女を追い込む大学生
簡単に最高得点を採るモニカは凄いが、同じように最高得点を採り続けるミランダも凄い
突然訪れた極限の闘争はモニカを追い詰める。でも的に刺さった結果だけが全てとなるなら過程は問われない
その意味ではミランダが努力を振りかざし、モニカに勝とうとしたのが間違いと言えるのかな
モニカの悔しさなんて的には反映されない。同様にミランダの努力とて反映されない。だからモニカのイカサマやサラの反則がまかり通るわけだ
モニカだけでなく日常に紛れた相手がジビアを襲ってくる。誰がどのタイミングで襲ってくるか判らない敵。ラストシーン含め、これが紫蟻の力なのかと感服する
だからこそ、真っ当に働き蟻に追い詰められるスパイ少女達を他所に警察に捕まってしまうリリィが面白すぎるよ(笑)
アナスタシアという人の手を介しサリフィによって届けられた魔族の親書、それはとても象徴的な出来事
また、サリフィが王の前で語った魔族の普遍性、そして人の王に見出したレオとの共通項
これらを踏まえれば、人と魔族は大きく変わらないから手を取り合えるのかもしれない。サリフィの功績によって人と魔族が結び合う未来が少し見えたような気がするよ
人から魔女と排斥されていたアナスタシアは原因であるルーツを探っていたのに、今では自分を受け止めるオセロットによって正体に悩む愚かさを知った
彼女を通してレオのルーツは知れなかったけど、他方でレオが目指すべき心構えを教えてくれるもの
かといって、レオだけに構えさせるものではないから、サリフィは彼の隣に立つ為に努力するわけだ
その決意を新たにしたタイミングであのような陰謀が起きるとは…
人との和平交渉、サリフィの王妃認定。人が魔族に、レオの本当の姿が魔族に受け容れられる余地が生まれそうな、様々が明るい方へ向かっていた裏で王の正体を暴こうとするセトの暗躍
レオが王として立つバルコニーがまるで処刑台かのように様変わりしたラスト、これまではサリフィに与えられてきた試練がレオに投げつけられた形となったね…
セシリアとギーゼルベルトによって語られる「聖女とは何か」は聖女がどれだけ尊い存在であるかを補填するもの
踏まえるとセシリアを聖女呼びするローレンは正しいように思うけど、一方で彼は彼女個人を見ていると言う
特別な聖女と普通の少女、改めて彼女をどう扱うべきかが問われた回だね
ギーゼルベルト達が語る聖女や加護はセシリアが常人と異なる存在であると告げている
他方でカミラを前にして恋バナに花を咲かせる様子は普通の女の子といった処
そもそもあの街に居たフレデリカが聖女として扱われ過ぎ悲劇を迎えた件を思えば、セシリアを聖女として扱い過ぎない方が正しいのだろうね。まあ、その為にはローレンの鈍感さをどうにかしないといけないのだけど
セシリアを普通の女の子として扱うなら想い人のローレンだけが居れば良いという訳ではなくて
本来なら此処でお別れのヘーゼリッタが再びセシリアと共に過ごせるように手を回していたのは彼女が既にセシリアの友達だから
そう考えるとセシリアは本当に周囲から愛されていると感じられるね
螢多朗達だけでなく、視聴者にも恐怖を振り撒く悪霊はヤバい存在という他ない。だからこそ圧倒できる夜宵という異常な少女の活躍に魅せられる
特に彼女の場合、悪霊の心理を読んだ上で行動しているという点が何よりも強みとなっているね
脳幹を弄って霊を従わせる悪霊なんて異常そのもの。でも観察すれば強くないと知れる。また、被害者から見える傾向は性格のヒントとなる
正しく考察すれば悪霊は恐ろしくない。夜宵はそれが出来たから悪霊を捕らえられたわけで、螢多朗も察したから協力できたわけだ
夜宵が仕掛けた罠は霊の性質を理解していないと仕掛けられないもの。この点からも彼女が普通の枠から大きく外れた人間と判るね
そんな夜宵の前に立ち塞がるは霊と全く異なる神様。愛依を守る為に異常な神様に異常な夜宵がどこまで立ち向かえるか見ものだよ
今回は一挙に幾つもの境界線が登場したな…
ルディ以外に日本を知るナナホシが登場した事で物語は大きな転機を迎え境界を越えたと言える。でも、この事実は現世と前世の境界を意識させるもの
同時、そのルディを前にする事はフィッツに彼との境界も感じさせてしまうわけか…
ナナホシ登場時の境界線を踏み越えたと感じさせる激しい切り替えは凄まじいが、それだけに静かに切り替わる気絶後の遣り取りもインパクト充分
あの世界では目にする筈がない文字、聞く筈のない言語。境界を越えて別世界からやって来たナナホシの存在は逆にルディ自身が境界を越えて来た異物と突き付ける
ナナホシが語る転移者の物語、元の世界に戻ろうとする渇望。それらはルディの知らないものばかり
ルディが現世における事件を調べる上で前進する手掛かりとなるけど、一方で彼女が求める前世への後進は望まない
ルディとナナホシの間に境界線が有ると判るし、またルディ自身が前世に対して境界線を引いていると判る
物語としては大きく動いたが、接しながらフィッツは理解できなかった
転移事件について怒りを迸らせてもそれは無理解の証となりルディと協調できない
少し前まではルディと特別な関係に成れそうだったのにナナホシの登場で境界線が引かれた。彼女の遣り場のない気持ちはここからどうすれば良いのだろうね?
宮村は柳と違う方向で人から好かれる人間となったけど、宮村を好む人間が堀に始まり渡部や堀父など厄介な人間ばかりというのはどういう巡り合わせやら
堀家は理解できるけど、渡部は宮村を好む理由が判然としない点が余計にキモさに拍車をかけているね(笑)
宮村に纏わりつく痕跡から浮気を疑う堀。宮村の男友達の匂いを把握しているのは厄介過ぎる癖だけど、つまりは好きな人なら実体だけでなく匂いまで好きとの感覚かな
その点では宮村が浮気対策に自分の男友達の匂いを覚えるのは意味が無いし、渡部が実物より写真や声を収集しているのは結局は触れられない間柄だから
宮村と堀のマジ喧嘩、原因は忘れる程に些細なのに意地になって仲直り出来ない
これはこれで恋人のイチャコラと捉えられるけど、下手に放置すれば破局に繋がるのも事実
堀が突如持ち出した「嫌いになったんでしょ」なんて暴論、宮村からの返しが少ないから思い込んでしまう罠
だから堀と和解する為には、宮村だって堀を厄介な程好きだと伝える事が必要
仲直り後には再び宮村に纏わりつく痕跡に舞い戻った堀だけど、そこに宮村が返したのは驚きの行為
色々有ったけど、やはりこの二人は互いをきちんと好き合っている厄介なカップルだと思えるよ
バレンタインとホワイトデーという甘いイベントを描いた後に始まるのは苦々しい恋物語
チョコやケーキに関し美味しさを求めるなら既製品を買えば良い。でも美味しさ以外を伝えたいなら手作りの品となる
それは恋においても似たようなものだったと言えるのかな?
リサが須藤に渡したケーキは失敗したが一纏まりのストーリーとして評価された。それはロボが作ったものなら叶わないもの
でもそれは手作りと話していたから通じる話で。須藤のお返しは美味でも手作りと知られないから美味しさ以外は伝わらない
でも須藤はそれで良かったようで
リサに店のケーキを奢ったレオンは気持ちを伝える気が無かったのだろうね。けど気持ちが存在しないわけじゃないから、押し殺すしか無い
恋を向ける相手が「友達」を求めるなら、面倒さ等を楽しむ余地も無いなら、生の気持ちを消すしか無いか…
その発想は手作り感のないロボット的なもの
レオンの「手作り」に相当するのはきっと須藤新医院に来院した点かな
施術を行うなら他の医者でも出来る。リサとの接触を回避せず来院したのは施術以外に伝えたいものが有ったから
リサはレオンの気持ちに応えられはしない。それでもリサに伝わったレオンの生の気持ちがレオンの選択を変えたのかな……
手札が相手に筒抜け且つ包囲された状況では普段守れる者も守るのが難しくなる
限界の状況でも守りたい者は何か、その為に何が出来るか?
何もかもが極限だからこそ、それらが際立ってくる印象を覚えるEPだったね
美羽に行われたセレノアの精神攻撃は彼女の安息を利用するもの。守りたい者、守られたかった人
それはまさしく卑怯な手段。総士が言うように怒るべき状況
そして怒りは奪おうとする敵への最大の抵抗手段に成り得る
限界を迎えようとしていた零央と美三香は二人で居られる自分達を守る為に生を諦めようとした。それを許さないのが総士だね。というより彼はずっと怒っていた
その怒りは零央達を取り戻し、更なるザルヴァートル化すら呼び起こすのか
守れたけど守れなかった者、対してこれから守れるだろう者。全てに納得できるわけでないからそれにも怒りは覚える
でも怒りなんていつまで続けて良いわけではないから、怒りを解いての赦し合いも必要になってくるわけで
絶望や犠牲は有っても次の段階へ進む面々。これがマリスへの逆襲になると良いのだけど…
ミータリオ編開幕のEPはこれまで着実に培った努力や成長が表出した形に
クラウスから任務の一翼を任されるようになり、直前の襲撃でもクラウスを降参一歩手前まで追い込んだ。だからこそ目立つのはティアの不足か…
再びズレを強調するクラウス
チームのズレが個性として機能しているなら確かに問題ない。けど、それが特定個人の不調に拠るものなら別問題
ティアの認識は後者に近いのかな。ローランド、クラウス襲撃と自信喪失させる出来事が続いた事で彼女の火は消えかけている
そんな状態だから新天地での夢も展望も抱けない。他者の活躍ばかり目に入り、自分の停滞を意識してしまう
不調のティアが対峙する事に成った自分に敗北感を味合わせたローランドとの接触。ここに彼女の抱える甘さやヒーロー願望はどう活きるのかな?
悲劇の聖女フレデリカと接していたギーゼルベルトの関係は想いのベクトルが似通っている点からセシリアとローレンの関係を想起してしまうもの
他の部分は大いに異なっている2組を比較する事でそれぞれが何を今でも大切に思っているかが見えてくるような…
セシリアとローレンは異なる土地でも平常運転に戻ったよう
名前呼びは一時的なものに限定され、代わりにアクセサリーの贈り物。少し近づいても決定的な一歩には成らず
でも、変化の薄い穏やかな関係が二人にとって大切な日々であり失われないものなのだと判る
それはギーゼルベルト達とは全く異なるもの
フレデリカとギーゼルベルトの交流は限定されたもの。恋を思わせる雰囲気はあっても、それ以上を望めるようなものでは無かったのかな
だから変化は二人に制御出来ない方向からやってきて仲を引き裂いたわけだ。それはギーゼルベルトやヘーゼリッタにとって喪失以外の何物でもなかったから今でも悔いとして残っていたと
後悔を変えるのは類似関係のセシリア達。ローレンはギーゼルベルトの、セシリアはフレデリカの想いの残滓を指摘出来る
今でも幸せの渦中に居るセシリア達がかつて幸せの中に居たフレデリカ達の想いの尊さを思い起こさせる
悲劇が残る街にセシリア達が訪れた価値が見えるEPとなったね
これまで魔族の国にて異物として扱われてきたサリフィが今度は人の国にて異物として扱われる不可思議な構図
人の国でサリフィは魔族と繋がりある怪しい者として扱われる。それは理不尽故に同じように理不尽な扱いを受ける魔女と関わる土台となるわけだ
先祖の過ち、魔族文字の理解。それだけを以って魔女扱いされるアナスタシアは人の異物。かつてのサリフィと待遇は似ているものの、サリフィが彼女と関わろうとする動機そのものはレオに関する理由ともっと単純な理由が重なっている
それで居ながら、他者と関わる際に正しく相手を知った上で関わろうとするサリフィの姿勢は好印象を抱かせるもの
それはアナスタシアにとってかつての友人と重なるものだったのかな?
その時は開けなかった心を代わりに開くかのようにサリフィへの態度を変えたのは代償行為のようだけど、これによって二人は異物同士を理由として和解する訳じゃなくなる
サリフィは人の国で思わぬ繋がりを手にしたわけだ
思わぬ繋がりはレオに通じるもの。人の国で見つけたレオのルーツ、また魔族の国では法官セトが王の正体について疑念を呈す
レオとサリフィが別々の場所にいるタイミングで出現した魔族王レオの存在が揺らぎかねない事実。本作がクライマックスに近づいているのだと感じさせるよ
魔法大学編に入ってから人と人との繋がりが広がる様を描いたEPが続いているね。今回の話はそれを深掘りするものになっているんだけど、「どうしてそうなった?」と突っ込みたくなる流ればかりだからどう解釈していいやら困るな…(笑)
その意味では未来はどうなるか判らないを如実に現しているよ
エリナリーゼの本性を知らないまま淡い恋心を抱くクリフという時点で突っ込み処しか無いんだけど、無謀に過ぎる告白が成功するなんて意味不明だ(笑)
いや、クリフは恋心が叶いエリナリーゼは愛しい人に出会えたのだから良い筈なのだけど、流れが滅茶苦茶過ぎて納得できない……
「どうしてそうなった?」PartⅡ、リニア達の代わりに決闘を受ける流れにどうして魔王が介在するの……?
意味不明にも程が有るけど、これまでも流れを無視した出会いを幾つも経てきたルディなら逆に日常茶飯かもと思えてしまう
ルディには他者に理解できない運命が有るのかも
こういった経緯や流れに沿わない出会いがルディを襲うなら、今の関係を続ければ未来は安泰だなんて言える筈がない
フィッツはルディと再会してから色々な表情を見せてくれるようになったけど、そろそろ正体を明かして進展させないと何処の誰とも知れない人にルディを奪われてしまうんじゃないかなぁ…