颯太によって創作されたシマザキセツナがどう見ても本人そのもので、観客置いてけぼりな展開であっても受け入れているのは通常なら有り得ない事なんだけど、そこには颯太と真鍳による嘘の裏返しという背景があり、ここに至るまでの創作者達の努力、被造物達の戦いがあることを知っているからこちらとしてもこの奇跡の物語を受け入れ易いし、受け入れたくなる
セツナはアルタイルを作り上げた時に願いだけでなく呪いも込めてしまった事を、アルタイルはセツナの為に何も出来なかった事を。同じ時間を生きることが出来なかった二人がこの奇跡の空間でそれぞれの後悔を伝えあう情景はとても美しく感じた。
考えてみればアルタイルの力は反則的なまでに強力だったけれど、つまりはそれだけ世界中の人々から愛されていた証でも有ったのか。そして世界を壊すため、セツナを害した人々に復讐するため走り続けたアルタイルが創作者のセツナによって世界を作る者として再定義されることで破壊者アルタイルを倒し、セツナを救いたいと願うアルタイル誕生へと繋がると。
どこまでが颯太の考えた作戦だったのか判らないけれど、颯太の眼鏡によって二人がリンクしたのは驚きだった。セツナは颯太に見て貰いたくて願いと呪いの中でアルタイルを描き、セツナを助けられず止まったままだった颯太はセツナと同じものを見るために松原やセレジア達に助けられてここまで来た
「僕は、君を作った僕は君に追いつけたんだろうか」という独白に込められた意味は非常に重いな。やはり今回登場したセツナは偽物なんだろうか?それでも、限りなく本物に近づけようと作ったセツナを通して、颯太はセツナの見ていたものや想いを正しく受け取る事ができたのかな?
長かったチャンバーフェスも終幕。ならば、物語が終わった後の次回は創作者、被造物それぞれの身の振り方について描かれるのだろうか
遂に始まったサバイバル編。Sポイントで物資等を用意するはずが、余ったポイントがクラスポイントへ変換されることも有りできるだけポイントを残したい男子とサバイバルに不安を覚える女子で意見に隔たりが生じる様は面白い
そこで溝を埋めるのが平田であるのはいつもの事だけど、アウトドアに手慣れていた池が水質への認識の違いや薪への着火に驚く周囲との温度差を知ることで、初めてキャンプした時の気持ちを思い出し女子との和解に一役買う描写も面白い
以前のテストの際は大きく足を引っ張っていた池だけど、ここに来て意外な能力を持っていることが明らかに。
逆に全く目立たなくなってしまったのが堀北。「私向きの試験じゃない」と自分に出来ることは何も無いと早い段階で諦めてしまうのはちと情けない
おまけに体調不良であることを隠そうとしているようだし、今回の特別試験では足を引っ張る存在になってしまいそう。そんな堀北をリーダーに押した櫛田も何か意図が有りそうで怖いな
先生があれだけ意味深に言ってくれた他クラスのリーダーを当てることによるボーナスポイントについては皆忘れているのだろうか?Cクラスから追い出されたという伊吹は前回の描写と併せて考えれば、かなりあからさまな行動を取っている気もするのだけど
あっさり伊吹を受け入れ食料も分けてしまうDクラスのお人好しは果たして武器になるのか、それとも弱点になるのだろうか?
皆が協力しなければならない特別試験で勝手にリタイアしてしまう高円寺のフリーダムさは度を越している気がする……
カミーユにとって、アムロに対するマチルダの如き存在だったレコアの様子が……。ここに来て裏切りフラグが成立直前といった印象
シャアに対して自分の悩みを話したのは引き止めて欲しいとか、異性としてのシャアを試した意味合いが在ったんだろうか?
シャアもそんなレコアの迷う心を察しているだろうに「人の心の中に踏み込むには相応の資格が要る」と逃げを打つのは少し情けなく感じてしまう。以前アムロのことを散々に詰っていたけど、この人はこの人で隠しきれない弱さを持つ人なんだろうな
粗暴な振る舞いが目立っていたヤザン。唯我独尊な彼だったけど、あっさりシロッコに取り込まれてしまう描写からはシロッコの底知れなさを感じた。いつものように勝手に出撃しようとしたヤザンを口八丁で思いとどまらせてしまうシロッコは流石
ラストで戦場を掻き乱した大量のMS。シロッコが言うようにまさしく時代の変わり目が実体を持って現れたようなおどろおどろしさを感じた
MS群を率いていたのが有名なハマーン・カーン?
前回、それぞれが主人公としての矜持を示したわけだけど、それら全てを合わせてもアルタイルのシナリオの内にあったとは恐ろしい。この段階で設定リセットなんて奥の手を出したりと、ラスボスとしてこれ程相応しいキャラクターは居ないね
ここに来て観客もどちらかと言えばアルタイルを応援する空気の方が優勢のようだし、鳥籠を作ったことが仇になった印象すらある
創作者達が隠し玉として用意していたシリウスもあっさり乗っ取られる展開には唖然としてしまった。
メテオラの策が通じないのも、弥勒寺達が全く敵わないのも、シリウスが敗れるのもアルタイルが言うようにそれらは理知によって行動しているから。アルタイルが抱える破滅的な情動に敵わない。
もし、鳥籠の中で観客から求められているのが正当性であるならメテオラ達に勝機はあるんだろうけど、承認力という名が示すように観客にとっては単純にどうなれば納得できるのか、面白いのかという点のみ。そういった意味では多勢に対し圧倒的な立ち回りを演じるアルタイルの活躍を更に見たいと観客が望んでしまうのは当然なのかもしれない
ラストに登場したシマザキセツナ。これはアルタイルを大いに動揺させたようだけど、所詮このセツナは颯太が創作した紛い物。嘘の存在でアルタイルを打ち砕くにはやはり奇跡に比類する何かが必要になる気がするのだけど、ここからどう展開するのかな?
又、観客の誰も知らない人物が突如乱入する展開を、観客は果たして承認することはあるのだろうか?
まさか島への移動だけで一話使うとは思わなかった
次回からの特別試験に向けて人間関係を整理し直す回だったのかな?それなら前回やればよかったのに
外部圧力によって綾小路の退学が仄めかされ、綾小路としてはこれからの自由を護るために現状の自由を制限する必要が出てくる。けれどもそれは新たな災難を呼び込む可能性があるわけで。
Aクラスを目指すために極楽の生活は終わりを告げ本格的にサバイバルが始まる事は今回の描写から示されているけれど、綾小路ってそんなに学生生活満喫してたっけ?とも思ってしまう。
綾小路っていつも目が死んでるから、どうにも今の生活を大事にしているようには見えないんだよなぁ
それにしても、豪華客船に乗船している点は原作で示されていたけれど、ここまで豪華とは思わなかったな。池たちのような落ちこぼれ生徒にも等しく恩恵を与えてしまうこの学校の姿勢は本当によく判らない
セラのアーガマ潜入回って何の意味があったんだろうと疑問に思っていたんだけど、カツに決定的な挫折を経験させるためと、今回のカミーユとの遭遇の布石とするためだったのかな
シロッコのために忠実な軍人であろうとするサラとそれを押しとどめようとするカミーユ。サラは逃げようがない状況に追い詰められているというよりも、自分で選択肢を封じているような印象があるなぁ。少しでもカミーユの提案に歩み寄ってみれば見えてくる世界も変わるだろうに。
それとも別の道を選べないと思い込んでしまう程、シロッコに囚われているということだろうか?
敵方だったとはいえ、主人公が女の子を腹パンしてしまうシーンを平然と描きつつ、別の場面では母性に目覚めつつあるファが子供たちをどれだけ大切に想っているか再認識させる描写を入れてくる本作のバランスは絶妙
表と裏、見えるものと見えないものによる対比が中心となっていたように思う
人馬にとって弓道をする意味とか、綾香の態度の裏表具合とか、魚人の興奮ポイント、エリが執り行った祭の効果、すえとオセロしていた父親からは見えない存在などなど
裏側や見えない部分が必要とされる理由は見栄を張るためとか、何かを隠すためとかあるけれど、その意味合いが最も強かったのは神様に見せかけたロボだろうな。ケツァルコアトルの質問からすると、蛇族が神とは何かを調べるために仕掛けたものみたいだけど何故そんなことをする必要があったのだろう?
おじいさん人魚の「本当に居たりするのは神様じゃない」という発言とすえ父には見えない女の子の存在を併せて考えると、何かとんでもない展開が始まろうとしているような気がしてしまう
それにしても人魚の暮らす環境が想像の斜め上で光渡しだらけになっていた点は衝撃だった。目の前の絶景を無視して他種族の水着写真やエリの恥ずかしがる姿に興奮する姿勢は、別の意味で悟りの境地に達しているような……
そうか、多々良って他者のダンスをコピーできるけどそれに見合った体力を持っている訳じゃなかったのか。
体力切れでベタ足になってしまったり、マナー悪く床座りになった状態を睨まれてしまう描写からは、多々良がまだまだ他人からダンサーとして認められる粋にはまだまだ達していないを再確認させられる描写だった。
仙石にダンスを止められ大泣きする多々良の姿は予想外だったな。これまで多々良がダンスに本気で向き合っている事は足裏の傷や自室の床によって示されていたけど、今回はその感情が遂に涙になって現れたかのよう
そんな多々良の本気を傍に居る仙石や真子だけでなく、天平も気付いていたのは驚き。視聴者からすればほぼ素人の多々良が決勝まで残るのは、どうしても違和感が生じてしまうものだけど、今回示した多々良の本気と彼の言葉によってある程度納得できるようになっているね
兵藤が療養に入り賀寿が登場した辺りから、相手に向き合っていない人が増えていた印象だったけど、多々良は兵藤や雫の言葉を受け本当の意味で真子と向き合えたのかな
同じく真子も多々良の言葉で自分が賀寿と向き合っていなかったことを自覚し、どうなりたいかを伝えるまでの流れは良かった。
次回の決勝で二人の反撃が始まるのかな?
主人公は物語の中心にいるから主人公なのではなく、自ら主人公で在ることを選んだからこそ主人公になり得るのだろうなと今回の話を見て感じた
これまでのセレジア達、創作の世界からやってきたキャラクターは被造物と呼ばれ創造主達と対になるように描かれていたけれど、今回はそれぞれが主人公としての覚悟を示し背負っているものを示したことで独立した存在になったように思う。
更に言えば元から物語では主人公として設定されていた者だけでなく、創造主の世界に来てから段々と自分の覚悟や背負っているものを手にしてきた弥勒寺やひかゆもまるで主人公のように見えてくるのは面白い。
アルタイルはアリステリアに対し「ここは君の物語ではない」「只の脇役だ」と言う。確かにアルタイルと闘う物語においては主人公ではなかったかもしれないけれど、まみかのために最期まで戦い続けた彼女は紛れもなくもう一つの物語の主人公だといえるだろうね
そういった意味ではカロンの在り方は特徴的。カロンは物語の中では主人公だけれど、悲惨な世界に疲れ背負っているものを捨てアルタイルの考えに身を委ねてしまったことで主人公ではなくなってしまう。だからこそ既に主人公としての覚悟を示し、自分の物語を選んだセレジアと対立してしまう
それにしてもアリステリアだけでなく、セレジアまで消滅してしまうとは思わなかったな。セレジアは颯太の前に最初に現れたキャラクターだったから、被造物サイドの主役と見ていたんだけどな
通常は主人公が物語の途中で居なくなるなんて有り得ない。なら、『Re:CREATORS』の主人公は一体誰なんだろう?セレジアから後を託されたメテオラか、それともこれまでの全てを見届けてきた颯太なのか?それとも、それぞれが主人公として扱われる群像劇?
真子との電話を通じて自分のためにダンスしたい気持ちが高まったのか、賀寿の言葉によって傷付く真子を気にしつつも賀寿への対抗心で強く負けたくないと思い始めた多々良。他の共演者の髪型を見て自分で襟足を剃り、更には印象的な眼力も幾つか見受けられる程彼の中で覚悟は決まってきたようで
しかし、多々良に強い想いは有ったとしても賀寿との実力差は一目瞭然。賀寿は口と態度は非常に悪いけれどやはりダンスの実力は非常に高いらしく、観客の視線を一手に引き寄せてしまう。踊り始める前のシルエットの段階で高評価貰える程の相手にどうやったら勝てるんだろう?
対する多々良のダンスが圧倒的に実力不足で有ることを、賀寿によって改めて示された描写は残酷だった。三笠宮杯で仙石達を驚かせる踊りを見せていたのは、兵藤のコピーが出来ていた点に対してで身体の動かし方が出来ていない素人と。確かに賀寿の言うことって否定しようのない正論なんだけど、「ダンス舐めてるんかい」とまで言われて黙っていられる程、今の多々良は大人しくなく仙石に向けた視線は第一話の頃とは比べられないほど強いものだった
まさかまさかの兵藤登場は驚愕。彼の前で多々良は実力を出し切ることが出来るんだろうか?
マウアー撃墜回。ジェリドが益々カミーユとの因縁を深くした回だった
出撃前ですら「オレはカミーユを倒さない限り一歩も進めない男になっちまった」「あいつはオレにとって壁なんだ」と悔しげに吐き捨てていたと言うのに、その苦しみの言葉を聞いてくれていたマウアーが自分を庇うために死んだとなれば、ジェリドは他の全てを犠牲にしてでもカミーユを倒す必要が出てくるのだろうね
ただ、マウアーを失った直後には機体を大破させつつもカミーユに立ち向かった姿には惚れ惚れとしたけど、結局あっさり撤退することに……。心意気は激しくても実力が全くカミーユに及ばないのは悲しいな
思い返せばカミーユとジェリドが初対面した時には、現在のような因縁まみれの関係に移り変わるとは思ってなかったな
前回辺りから子供たちの面倒を見る中で母親のような態度を見せるようになったファ。遂には勝手に戦線を離脱して子供たちの元へと
それについてブライトは感謝の言葉を伝えていたけど、つまりはパイロット扱いされなくなったということだろうね。
さらっと囮として使われるようになってしまったヤザン。他人にしたことが自分に返ってくる好例か
ブリッツの娘はメテオラの世界から復活か。ある意味ご都合展開では有るけれど、そこまで辿り着く為に観客の承認力を得られるよう試行錯誤した上での復活なのだから文句はつけられないか。
又、駿河がブリッツに撃たれるのを予期して実は防弾チョッキを付けていたり、自衛隊の突入や娘の登場を遅らせたフシが有るのは、一連の流れを観客に面白い展開であると認識させると共にブリッツをより効率的に寝返らせるための布石だったのだろうな
颯太があれだけメンタルコテンパンにされた真鍳と向き合い自分の想いや考えを話せるようになるとは、短い期間で随分変化したものだ。特に周囲を利用する真鍳と同じ怪物であると言われても開き直る強さを身に着けた点はは驚き
そして変化したのは真鍳も同じだったのかな。面白いことが好きという本質の部分は変わっていないけれど、これまでの真鍳であればこの計画を引っ掻き回していたように思う。けれど今回は颯太達が企む事態に手は貸してもそれを乗っ取ったりはしないどころか、板額を弥勒寺に返し更には私を楽しませておくれと、つまりは観客側に回ることをあの真鍳が宣言するとは思わなかった
ブリッツが娘復活により、アリステリアが暗黙の打ち合わせ通り、白亜がまさかのネタバレでアルタイルと道を分かつことになり、最後は皆の力を合わせた大技でアルタイルを追い詰めたかと思いきやここでカロン登場。
彼はかつてセレジアと仲間だったはずなのに、アルタイルと組みセレジアの敵に回った理由は何なんだろうか?物語は最終局面に入っているはずなのに何が起こるか全く予想できないストーリーは、本当に素晴らしくて目を離せない
Cクラスの三人が偽の監視カメラに騙されて訴えを取り下げる流れがあっさりとしすぎていて、あまり納得できなかった。
龍園への電話を妨害されたまま三人の意思で取り下げを決めてしまったけど、もう少し三人の精神を追い込む描写が必要だったんじゃなかろうか?
そして、取引シーンよりも輝いてしまったであろう激キモ店員。前回の壁ドンといいスタッフは注力する場所を間違えている気がしないでもない
今回の一件によって佐倉にフラグが立ったようだし、今後はラブコメ描写も増えてくるのかな?
Cクラスの三人は監視カメラによって足を掬われた訳だけど、逆に佐倉は監視カメラと綾小路の掲げたカメラに寄って救われた。カメラはそのまま見られていることの比喩なんだろうか
Cクラスの三人は須藤に一方的に殴られたと嘘の主張を続けていたけど、真実を見られているかもしれない恐怖に負けてしまい、結局龍園に更にボコられる羽目に
佐倉は孤独で大丈夫と自分に嘘を言い誰にも救いを求められないままになっていたけど、綾小路に助けてもらった事でもう付き纏わないでと本心を訴えることが出来た
見られることにより真実が明るみに出るのなら、同時に見えないままの部分も目立ってくる訳で。遂に堀北も怪しみだした綾小路の見えない奥底。平凡を装い続ける彼は一体何を隠しているんだろうね
多々良は兵藤と雫のために賀寿に勝負を挑むのかと思いきや、真子を賀寿のパートナーに戻す事が一応の目標なのか。雫優先にしなかったのは少し意外だったけど終盤に語った両親離婚で納得できた
多々良にとってカップルとかペア成立は結婚と同じって言葉は、案外重い意味を持っていたんだなと理解
真子からすれば賀寿から見捨てられた事は自分の場所を取られたも同然であり、多々良はこれまで自分を大事に出来ていなかったから他人の場所ばかり優先していた
そんな二人がペアを組み同じように足裏に傷を作り周囲の流れを理解し、そしてダンスフロアで気持ちよく踊れる場所を見つけていく流れは良いね
……仕方ないと判っているんだけど、仙石が見本のステップを見せる場面とか練習場で気持ちよく踊る場面とか止め絵にしないで欲しかったなぁ
真奈美の父親への言葉が容赦なさすぎてちとキツイ…
真奈美から見れば絵を描くのでなく家事に勤しむ父親の今の姿は素直に尊敬できないものなんだろうな。特に自分が詐欺と取られかねないようなお祓い業をした後なら尚更に、画家を名乗っておきながら他の収入に頼っているような姿勢に一言言いたくなる気持ちは判らないでもない
画家という職業の特殊性上、父親の言うことも一理あるような気がしなくもないが、それならばもう少し強く言い返すべきだったかな。あれでは真奈美の暴言を認めているようなものだよなぁ
傍で吹きこぼれかけていた鍋は、真奈美の言葉に逆上しそうになっていた父親の心情を表しているのだろうか?
そしてあまりに対象的な羌子とその父親の関係性が残酷
あれって父親が仕事をしやすいようにフォローしつつ、父親ができなかったコメント入手をさらっとやってしまうとは。
真奈美が家事など止めて家族を切り捨てる覚悟でやれと言っているのに対し、羌子は兄が帰って来るのだから外食は止めて食事を作ると言う。
羌子と比べ見ると真奈美の言葉は正論かもしれないけれど、正しい言葉ではないように見えてしまう不思議
いけ好かない印象の市長が登場したけど、彼の言っていた「我々は檻の中に居るようなもの」という台詞は本作の特徴をよく表しているなと思った
そもそも登場人物の殆どが軍艦かコロニーで過ごしている環境は非常に閉塞感が在り、またそれぞれが持つ考えも何かしらに囚われているように思えた
ジェリドは死んでいった者たちにのため、カミーユを倒すために猛毒ガスを使用する作戦にも従事せざるを得ず、アレクサンドリアの艦長ガディは戦争を勝利で終わらせるためにコロニーの降伏を受け入れず作戦を継続する、市長はコロニーを守る姿勢は評価できるもののその考えに囚われすぎて部下を射撃し更には口封じしてしまうのはやり過ぎ
それに対してアーガマの面々は同じように軍艦の中に囚われているのだけど、これまでになく伸び伸びとした印象を受ける
子供たちの面倒を見るファからは家庭的な面や女性の強さを感じられるし、それを見たカミーユのリアクションもどことなくコメディタッチになっている
他にも細々とした点でアーガマの空気は明るいものと感じられる描写が随所に在りアーガマとアレクサンドリアは多くの部分が対極にあるように感じた
それにしてもカツは多くの局面で活躍するようになったなぁ
遂に始まった鳥籠での戦い。と言っても真剣に戦ってるのは弥勒寺と白亜のペアだけというのが何とも言えないが。
アリステリアは狙いがあるのか瑠偉と戦っているフリ、アルタイルはセレジアと相対しているものの「今現在の私ではまだ力が足りない」と言うように何かを待っている?まさかアルタイルも承認力による自身の能力強化を狙っているのだろうか?
てっきりセレジアが対決するのは元相棒だと思っていたんだけど、彼は何時登場するのだろうか
今回は自分の背景や在り方と向き合う回でも有ったのかな?
弥勒寺にとって現実世界での因縁があるブリッツが相手ではなく、元の世界でライバルだった白亜と対峙。鏡の中からの攻撃を切っ掛けに忘れていた本来の自分を思い出す弥勒寺の描写は印象的
瑠偉は本気で戦っているフリをしているんだろうけど、それでもおちょくられているようなアリステリアの対応に「僕の世界で僕の仲間を誰が守ってきたと思ってるんだ」と吠える。ここまで来た自分の在り方に誇りを持っているからこそ飛び出る台詞なんだろうな
アルタイルはそれぞれが物語の中で重要な使命を持っていたという背景を知っているから表面的にはセレジアと戦いつつも、勝利するためにその裏にいるメテオラの策略とも戦う。通常であればメタ発言として片付けられる言葉も多くの観客が見ている鳥籠の中ではメテオラにとって言って欲しくない言葉であり、それを発するアルタイルは容赦ない
そしてメインであるブリッツと駿河の会話。ブリッツにとって娘が無残に死んだことはアルタイルに協力する理由になったわけだけど、ブリッツという存在を生み出した駿河からすれとあれは話を面白くするためと残酷な返し
駿河がブリッツの言葉が判るように二人には重なる部分もあったんだろうけど、ブリッツは娘のため、駿河は読者のためと行動背景に大きな断絶が有る。ブリッツからすれば駿河の背景は理解できないから発砲するわけだけど、駿河からすればブリッツの背景を十分理解できるから娘を呼び出す荒業で対抗。駿河は来るのが遅いと言っていたけど、もしかしたら贖罪のためにわざと撃たれたのかななんて想像した
それにしてもラストに作中で死んだ娘を登場させてしまう展開は幾ら何でも卑怯だと思った。あれによって本当にブリッツは打倒アルタイルに協力することになるんだろうか?