前半恐ろしく見えた山神様やお面の付き人が、後半になるととても寂しく優しい存在に見えてくる不思議。こういった描写が出来るのが夏目友人帳シリーズの強みか
社を管理する男性、付き人、山神様、そして山神様が愛した男性。相手を想う気持ちはあれど何か足りない部分があったり存在が消えてしまったりと個々の繋がりは薄くなり、事情も断片的にしか見えてこなくなる。だから最初は夏目も「判らないことが恐い」と表現していたりする。
けれどそれぞれと触れ合い事情を知ることで、山神様の本当の姿が見えてくる展開は素晴らしいね。これは夏目が人でありながら妖怪と触れ合える存在だからこそ出来る展開なんだろうな
フォウと出会い惹かれていくカミーユにその道の先達であるアムロが近づくなと忠告。それでも惹かれ合ってしまうのがニュータイプという存在なんだろうね。フォウは強化人間では有るけれど、サイコガンダムを外部から意志の力で動かしたりとかなりニュータイプ寄りな存在であるみたい
それにしてもシャアにとってララァが忘れがたい存在であることは何度も示されていたけど、ミライから見ればアムロにとってもララァは別格の存在だったのか。「アムロを現実世界から決定的に引き離してしまった人」なんて評はあまり聞いた試しがないな
フォウはティターンズとエゥーゴをユニフォームが違うだけと表現したけど、その「だけ」の部分は非常に大きいように思う。連邦の攻撃を見てエゥーゴはこんなことしないとカミーユが発したように自分が何者かと認識することは小さな違いであっても行動の大きな根拠にはなる。
ベン・ウッダーは自分がティターンズではなく連邦に属していると知っているからこそ、あんな無茶な攻撃をしてアピールをする。ミライは自分が軍人ではなく母親と知っているからインドへ向かうし、ベルトーチカはアムロの恋人であろうとするからミライに突っかかる
そうした人々とは別に名前もなく思い出もなく自分が何者かわからないフォウの行動は非常に中途半端。ベンからサイコガンダムを取り戻しても意味のない攻撃ばかりして、研究所のあまりに稚拙な嘘を拠り所にし、遂にはカミーユの前から逃げ出してしまう
サイコガンダムの中に記憶があるとフォウは言うけれど、そこにあるのはどう見ても空っぽの空間
最早完全にフォウに魅了されてしまったカミーユはこれからどうやってフォウや味方達と向き合っていくのだろうか?
羽鳥は家に留まる決意をしたのか。ただ、モノローグで魔女は火炙りにされたと語るように紗名によって自身の悪行を突きつけられたことで、不遇な境遇に敗北したことを受け入れざるを得なかったからという理由が大きいように感じられる
嘘で出来た家の中で昔の両親の幻想に包まれながらひっそりと暮らすと決めてしまったから、学校に行かなくなり警察(というより救援に来た内藤たち)を受け入れもせず幸福になるあらゆるチャンスを諦めてしまったのだろうね。
小学生でそんな結論に行き着くのは不幸という他無い。それを見た歩が事態の打開を願ってぼろぼろに泣きながら紗名を探し始めた行動からはとても勇気が感じられた。一時的に羽鳥の魔法の恩恵を受けていたからこそ、事態を重くした責任を感じてこその行動なんだろうね。
……歩を悪者と勘違いした紗名に捕らわれてしまったけどどうなってしまうのだろう
一方の紗名は昏睡状態に陥っていたの?早苗達が起きるのを待っていたと言っていたけど、前回の力の相殺が影響したのだろうか?
皆が停止していたことで予定が繰り下がり雛霧姉妹がお泊りになったのは嬉しかったようだけど、その反面蔵六は夜間に出勤し休日返上にもなってしまったのはかなり寂しかったようで
紗名にとってようやく手に入れた日常を壊す存在に思える羽鳥とどう対峙していくのか、そして羽鳥は壊してしまった日常をどうやって取り戻すのか今後の展開が非常に気になる
アリステリアに最後の力を振り絞り大事な言葉を伝えようとしたまみかだけど、真鍳が仲介したせいでとんでもないことに。
真鍳は登場以来状況を引っ掻き回してばかりだけど、今回の悪行は流石に酷すぎる。まみかの言葉を順序を変えただけで事実と全く逆の事をアリステリアに信じさせてしまった。まみかが前回アリステリアと話した際にアルタイルの真実を話していればこのような事にはならなかったのにと思うと本当にやるせない
そしてその流れで颯太にも真鍳の毒牙が及ぶかと思っていたから、弥勒寺が邪魔したシーンは心から盛り上がった。……その後で弥勒寺の武器が封じられた辺りでちと盛り下がってはしまったが。
真鍳が使う武器は言葉だけなのに、どうしてここまで無双できるのやら。真鍳の言葉をはねのけているように見えた弥勒寺ですら術中に陥ってしまうのだから、メテオラのように言葉を交わさずひたすら攻撃するしか攻略法が無いのだろうか
もし真鍳の強さを言葉以外に見つけるとすれば、彼女が言うように仕掛け通りに人が転がるのを見るのが楽しく、それを伸び伸びと自分のしたいようにやっているからなのかな。他の被造物達には強い信念がありそれに従う事を至上としていると感じられるけど、真鍳にとって状況を楽しいものにしたい感情が全てであり、それに無理なく従う事を至上としている印象。
そういった意味では信念の果てに倒れたまみかの言葉を真鍳が歪んだ形に変えてしまったのはやはり悲しいな
まみかの死の引き金を引いてしまったことを自覚し、セツナを死なせてしまったと涙ながらにメテオラに伝えることが出来た颯太へのメテオラの言葉が素晴らしい。
これまでの事態にはただ巻き込まれていただけだった颯太がセツナとまみかの死に向き合い、自分に何が出来るか考え行動することで本当の意味で事態に関わり始めるのだろうね。ここから彼がどのような信念を見つけ、それがどのように事態を動かしていくのかとても気になる
今回は倫也と加藤の会話がメイン。というかそれしかない
倫也の暑すぎる語りがウザかったけど、それだけ久しぶりの加藤との対話に緊張していたということかな?
倫也が加藤の前で長々と新作の企画を説明していたけど、一作目の企画書からあまり成長が見られないような……。加藤が指摘するように倫也が列挙した特徴は既に先人たちが何度も挑戦してきた部分なんだよね。ここに詩羽や英梨々が居たらもっと激しく突っ込んでいたんだろうな~と思うけれど、こうやって倫也と加藤が意見をぶつけ合って企画を練り上げることこそもっと早くにやっておかなければならなかったことで、倫也と加藤のリベンジのためには必要な工程なんだろうなとも思う
放送室での倫也のいつにない踏み込んだ発言に思わず涙ぐみ、いつものフラットさをかなぐり捨て感情を露わに倫也に詰め寄った加藤は本当に珍しかった。こんな風に感情豊かな加藤を引き出せただけでも今回の倫也はよくやったといえるのかもしれない。ここでの会話を通してようやく互いの本気を認識し合えたのかな?
そしてお互い分かり合えた後の展開が企画会議の名を借りたイチャイチャ……!
加藤は倫也を全く意識してないようだけど、それでも目の前で下着を購入したり同じ小皿で味見させたり入浴中に会話したりは刺激が強すぎると思うのですが…。最早加藤にとって倫也は男女の関係とか越えた相手の扱いなんだろうか?
クトリはレプラカーンで無くなったどころか、記憶障害まで……。
今回は人目を憚らずイチャイチャするヴィレムとクトリにニヤニヤしていたいのに、その裏で侵攻していくクトリの侵食が不穏すぎるよ……
地上に有るらしいラピデムシビルスは心身のコンディションを最善に保つ効能があるというけどそれで抑えられる状態をとっくに過ぎているような…
クトリが地上に同行すると言い出した時にヴィレムが軽い気持ちで行くようなところじゃない等と更にクトリをムキにさせてしまう言葉で反対していたけれど、それだけヴィレムはクトリを心配し依存している証なのかも。
いつ命を落としてもおかしくない兵器として使われている過去に留まらず、現状ではレプラカーンですらない謎の状態に陥っているクトリ。そんな状態だから、ヴィレムは飄々とした見た目以上にクトリを心配しているのだろうね。落ちた子を助けるためにクトリが力を使った後なんてみっともない程に涙を流してたもんなぁ
ヴィレムが心配している心情のもう一つの証としてラピデムシビルスについて徹夜で調べていた訳だけど……。何故そこでネフレンも一緒に寝ているのです?
それがクトリにバレたあとの一連の会話が意外の連続。クトリがナイグラートをライバル視しているのは驚きだけど、ナイグラートはヴィレムと家族になってもいいと思ってたのか。ヴィレムが言うように食欲的な意味で迫っているのかと思ってたよ。
ナイグラートの想いを聞いた後のヴィレムの返しは酷いけれど、それだけ自身の中でクトリとの関係が一番になっているからなんだろうか。ナイグラートも最低と言いつつヴィレムの提案を受け入れる辺りは良き理解者と感じられる。
そういったツーカーの仲になっているヴィレムとナイグラートの関係性を感じとったならクトリが危険視するのも納得。てか、ヴィレムとくっついていることが多いネフレンはライバルではないのね
ヴィレムからクトリの侵食を止める方法を調べていると聞いた時や落下騒動の際のアイセアの反応がどこか妙だったように思うけれど、彼女は彼女で何か隠しているんだろうか?
人と妖怪による恋愛譚、結婚式への招待状、それがいつ投函されたか判らないと不吉なフラグを幾つも立てていたのに最後はめでたしめでたしになる展開は本当に見事
香に会いたいけれど、離れなければもっと悲しい想いをしてしまうという葵の心理が非常に丁寧に描写されていた。
会ったばかりの夏目を利用して学校に連れてきてもらったのに、いざ校門まで来て「俺はアホか何やってんだ」と自問したり、「あんな手紙如きで動揺して」と言い放ち、残してはいけないと手紙を焼けば膝を抱えて顔を埋める。
理性では人間と妖怪なんだからと判っていても、香の泣き顔を見てしまった最後には「だから嫌なんだ」と言いつつ香を抱き返した行為からは理性で抑えきれない心からの感情が伝わってきた。あそこで香に発した言葉は葵自身にも当てはまるものなんだろうね
一方の香は描写されていない部分があるのが少し気になるところ。葵を遊びに誘った際に飴で釣ろうとしたのは、香の友人関係は既に危うくなっていてそこまでしないと新しい友達が出来ないと思い込んでしまうような状態だっということ?
だとすれば葵は自分と関わり続けるために、香の友人との関係性が危うくなると心配していたけど、当時の香にとっては葵との関係が全てだったということだろうか?
夏目のこれまでを思い返せば妖怪が見える人が普通の暮らしをしていくのが難しいことは当たり前か。そういえば塾でも一人で食事していたっけ。
だとすれば葵と会った際に「あたし妖怪が見える力があって本当に良かった」と言い、それからも葵と関わり続けたのも葵との関係性がそれだけ大切だっということかもしれない
葵の「人の作る物の味を覚えると面倒です」に対してニャンコ先生が「私は面白可笑しく暇つぶしを楽しんでいるのだ」と返した流れは印象的。どちらも人間の傍に居続けることを選んだ者であるだけに、そこに含まれた意味はとても暖かく感じる
主人には会いたいがその為に子供を戦いに巻き込む訳にはいかないと言っていたミライ一家がベン・ウッダーの計略により人質にされる展開は、地球連邦軍が最早正義なき存在に成り下がったことを感じさせる
それどころかニューホンコンに無差別攻撃を仕掛けるとまで言及してしまうのはアウトすぎる。何故これで反乱の芽がもっと広がらないんだろう?
アムロはミライ一家と自身を人質交換……と思いきや、そうは上手くいかない。どうにも『Zガンダム』におけるアムロって毎回戦闘するわけではないからMSに登場していない時のダメダメっぷりが強調されてしまい評価に困る
今回の行動も義侠心を褒めることは出来ても、あんな卑劣な条件を出してきたベン・ウッダーが誠実な対応をしてくれるわけがないと読めなかった点はマイナス
フォウとカミーユ初対面。と言ってもこの時点でフォウはガンダムの操縦者はアムロだと思ってるのか。まあ、大戦の英雄差し置いて心の狭そうな少年が乗っているとは想像しないよなぁ
ただ、カミーユがエゥーゴのパイロットであるとは知っているし、カミーユの方も何かしらフォウに感じるものが有るようだから次回以降にどのような関係性を築いていくのか楽しみ
絵に描いたようにギクシャクした家庭環境で魔法の言葉を手に入れてしまった少女羽鳥が登場。母親の小言に小さな声でごめんなさいと言う羽鳥の姿を見れば悲しくなってしまうが、その羽鳥を庇護すべき両親は互いに責任の擦り付け合い。
そんな状況下で羽鳥が発したあゆちゃんの試合を見に行かない?との言葉は命令ではなく願いのはずだったのに……。どうしてあのタイミングでアリスの夢が発言してしまったのか。私魔女になってしまったという言葉があまりに悲しい
その後の羽鳥と歩の行動はとても自分勝手だが、帰る家を無くしてしまった点を考えれば仕方ないとも言えるか。親を持たず安息できる場所を求めて研究所を脱走した紗名と、親を人形のようにしてしまい安息できる場所を守るために家から離れた羽鳥の在り方は非常に対照的
紗名は雛霧姉妹が遊びに来るとはしゃぎながら蔵六の手伝い。雛菊姉妹が早速遊びに来たことも驚きだが、紗名がダンボールを纏める際に力を使っていたことも驚き。蔵六に言われたとおり作業によって考えて力を使うようになったことがよく判る
そんな変化を感じさせる紗名の日常を突如、羽鳥は止めてしまったのだから敵認定され攻撃されるのも当然というもの。けれど二人の能力が相殺されたのは何故だろう?紗名と雛菊姉妹と争った際はそんなことなかったと思うけど、羽鳥の能力は何か特殊なんだろうか?
アルタイルの元ネタはシロツメクサというキャラなのか。と言っても元のキャラの面影はあまり感じられないから、メテオラが言うように完全に分岐した別個の存在なんだろうけど
正規キャラではなく二次創作キャラのアルタイルが創作世界から呼び出したのは自分の物語を持つ正規キャラであり、互いに殺し合いをさせていることの意味を考えると彼女が抱えた闇はとても深いように感じる。
颯太とメテオラ、まみかとアリステリアの会話が対比になっているようで面白い
本心を隠した会話、手を握る動作、自分は貴方の友人だと訴える姿勢は共通しているが、会話の中身はかなり異なっている。
颯太はメテオラを呼び出したが、大事なことは何も話せずメテオラも助言はしても追求はしない。これはメテオラが導き手のような存在だから生じる限界なんだけど、それゆえに颯太が抱える悩みの本質やそこから発生する問題に気付くことが出来ない。颯太も話に出した友人が既に死んでいる事やそれがメテオラ達が追っているアルタイルの創作者であることを告げられない
対して自分の力不足を嘆き、創作者達の不出来に不満を持つアリステリアはだからこそ自分に敵対してでも信義を貫いたまみかの姿勢を褒め称える。対して全てを信じ救うことを確固たる信条としたまみかにとってまだ迷い続けているように見えるアリステリアは問題を共有する相手と見ることができなかったのかもしれない。
そんなふわふわした会話の結果、颯太は真鍳に脅されてしまい、まみかはアルタイルに一人で挑むことになり……
また、まみかがアルタイルと対峙した際に何が問題だったかと言えば、やはりまみかの考え方が綺麗でまっすぐすぎるという点。
アルタイルを大切な友達であり助けたい、救ってあげたいと訴えるまみかと全て消え失せるまで全てを倒すと吐き捨て貴様に何が判ると叫ぶアルタイルとでは考え方に差がありすぎて話し合いで着地点を見つけるのはどうやっても無理。だからこそアルタイルは会話を切り上げまみかを刺してしまうし、まみかも大技で対抗する羽目になる
けれども、あれだけの剣に刺し貫かれながらもアルタイルを救うための行動を辞めようとしなかったのも、まみかの信念の現れであるわけで。
まみかが抱えた決意に気付くことが出来ず、「何が有っても私を信じてほしい」と想いを託されたアリステリアは今後どうするのだろうか?
衆人環視の中で倫也に話しかけたり、チョコを渡したりして詩羽も英梨々もどこか浮足立っている。これまで築いてきた周囲へのイメージや倫也との関係性と反した行動を取っているように思える。また、伊織とも喫茶店で仲良く会話(店員にも勘違いされる程)していたりして再会当初のギスギスした雰囲気は最早ない。
これは詩羽が言うように卒業するためだったり、長年の不仲から仲直りした事情が関係しているのかな。他にもゲーム制作の重圧から開放されたというのもあるかもしれないけど
そして英梨々は再びのスランプ突入。英梨々の創作意欲は倫也と同じ趣味の世界に居たい、と同時に倫也や世間を見返してやりたいという気持ちから来るものだったから、前回倫也に認められ仲直りした事でその意欲が薄れてしまったのだろうね。だから「もうちょっとゆっくりさせて」なんて言ってしまう
伊織がわざわざサークルを続けろと忠告して来たのはそれなりの意図があるんだけど、倫也はどこまで彼の忠告の意味に気付けたのかな?現状の倫也からは「cherry blessing」を無事作り上げ評価も上々だったことで燃え尽きてる印象を受けるけど。
そもそも倫也がゲーム制作を始めた動機は加藤との出会いに感動した一点にあるからなぁ。その出会いを作品化出来たことで倫也の目的って達成されてるんだよね。だからこれ以上詩羽や英梨々に負担を掛けて良いのだろうかと迷いが生じてしまう。
そんな風に悩んでいる倫也からの電話を取らずメールを返そうとしなかった加藤。それは前回言ったように許せないからなんだけど、同時に視線をやったり何度も画面を表示させてしまうのは消化しきれない、許せないだけではない部分もあるからなんだろうね
それを確認できたからこそ倫也も再び走り出すことが出来たわけで
伊織は今までの詩羽と英梨々なら勝算があったと言うし、倫也も彼女たちが居たことで傑作ができたと言う。
そんな二人が全く気づくことがなかったのが加藤の貢献。それはスクリプトの面だったり、食事を作ってくれたことだったり、倫也と一緒に何度も悩んでくれたことだったり。それらが示す加藤の気持ちを今更になって知った倫也は本当に遅かった訳だけど、だからこそ新作の企画をすぐに書き上げることが出来たのだろうね
クトリの髪に赤が混じったのは前世らしき少女の影響?レプラカーンではなくなってしまったと言うし、もしかして前世の少女に侵食されてる?だとしたらこれからクトリの身に何が起こってしまうんだろう?
ナイグラードにヴィレムとくっつけとけしかけられていたことやダグウェポンを握れなくなった事などからクトリが妖精兵じゃなくなる未来をこれまでは想像していたけど、この変化を思うにまだまだ悲劇は続きそう…
前回のクトリ復活でキツイ話は落ち着いたのか、妖精倉庫はどこかほんわかした雰囲気。ラキシュにお父さんみたいと言われたヴィレムが「半分くらいはお前らの親のつもりで居る」と返した場面は好きだなぁ。
ならお母さんは誰?とラキシュは考えていたけど、ケーキを皆に振る舞うヴィレムの様子はどう見てもお母さんだったね!
クトリだけ他の場所で食べるのは本人的には真っ当な理由があるようだけど、どうしてもクトリの体質のせいで他の皆と異なる存在になっていく事の暗喩のように思えてしまう
けれども二人っきりで食べたことによって、ヴィレムはようやくお帰りと言えてクトリもただいまと言うことが出来た。あんな風に感情を露わに泣くことが出来たのは他に誰も見てなかったからだよなぁ。……まあアイセアに見られていたようだけど
で、地上調査隊組の方は大変なことになってるのかな?それに妖精倉庫の面々が救助に向かうんだろうか?
紗名にとって初めての遠出であり初めて見る物が沢山ある場所として横浜が選ばれたのは印象的。中華街や外国人墓地などを含んだ町並みは紗名が言うところのもしゃもしゃした心の内を代弁しているようだった
遣り方も答えも決まっている数学は得意でも自身を含めて人の気持ちを考えるのは苦手らしい紗名。思い返してみれば研究所で生まれて何でも好きに出来るワンダーランドに居たのだから感受性を育てる機会が少なかったのか
そんな紗名だからこそ知っているけど知らない部分もある雛菊姉妹と再会したのは変化のきっかけになったのかもしれない
紗名と再会して直ぐ様逃げておきながら「何で逃げちゃったんだろう」と後悔し、何故逃げたかと問われれば「会いたくないからに決まってる!」と返す。けれど落ち着いて話せるようになったら「ずっと会いたかった、ずっと謝りたかった」と話す雛菊姉妹から正しい心の動きを測ることは難しい。多分当の本人たちだって判ってないだろうね
それでもその後に双子が語った研究所に居た頃の想いやそれが無くなってしまったショック、そこから始まった新しい日々への感想は紛れもない真実である訳で。
雛菊姉妹の感情の吐露とごめんねの言葉に対してその場では「よし仲直りだ」と返していた紗名だったけど、夜になって泣き出してしまったのは自分のその言葉に足りないものを無意識に感じたからかな?早苗との会話を通じて翌朝には「研究所なくしてごめんな。あさひとよながは友達だ。またあそぼう」と返せた紗名からは小さな成長を感じられた
今回も心が暖かくなるような良いエピソードだった
前回アムロを見直したかと思ったらそうでもなかったらしいカミーユ。もしかして前回のアムロ・レイ大佐って呼び方皮肉だったのか?対してアムロの方もカミーユの戦い方に苛ついてしまう状況。
てっきりアムロとともに戦うことでカミーユが戦場の様々を学んでいく展開かと思いきや、そんな展開在りえないのが富野ガンダムか……。終いには宇宙へ帰ることを勧めてくるアムロ。……どうしてカミーユが地上に残る展開になったのかと問い掛けたくなる。むしろカミーユではなくアムロを成長させるための展開なんだろうか?
ミライは母親となりブライトとの確固とした絆を築き7年間の確かな変化を感じさせるというのに、アムロからは戦闘時にはエースパイロットの風格を感じさせるものの、それ以外の場面では少年時代の歪みを引き摺ったままの印象ばかり受ける。
ベルトーチカという心を寄せてくれる相手に出会えたことは貴重ではあるけれど、そのベルトーチカはアムロの居ないところでカミーユにガンダムを譲れと迫っているのだから何とも言えない
そう言えば前作では頑なに軍人であることを否定し続けていたアムロがステファニーに対して軍人だと名乗ったことは少し意外だった
フォウ・ムラサメ登場。軍属でありながら開口一番自分の好きにやらせろと要求するインパクトは絶大
また、前作含めてこれまでのMS同士の戦闘は比較的民間人の少ないエリアで行われていたことを考えると街中で平然と戦い始める姿勢、アムロとカミーユの専売特許であったガンダムに乗っている点など異質さは充分。MSの名前もサイコガンダムと来れば尚の事。
前回のまみかの行動は主人公然としていて驚かされたのだけど、元の作品のシナリオに縛られなくなったという弥勒寺の発言を聞いて少し納得出来た。
初登場時のまみかは力押しであり、戦いに勝てば相手は自分の理論に納得する世界の論理を持ち出していたけどセレジアに心で負けアリステリアと話したことで以前の自分の遣り方では問題を解決できないと気付いたことが前回や今回の行動に繋がったのか。銃弾の前に身を躍らす魔法少女なんてあまり見たこと無いなぁ
それでいて煌樹まみかとしての本質、自分や相手を信じようとする姿勢がブレていないのは素晴らしいね。ただ、その分まみかと颯太の会話を詐術と嘘を操り自身の創造主さえ殺してしまう真鍳が聞いていたのは空恐ろしく感じてしまうが
軍服の姫君の正体に気付いてからはあまり自分の考えを語らなくなった颯太。改めて考えてみればまだ何者にもなっていない彼が既に商業分野で活躍している松原達と同席しているのも不思議な光景。そんな颯太が絵を見せるのを遠慮した時の松原の言葉がなかなか良いね
創造主ではあるけれど普通の人間でしか無い彼らが事件に関わり、頭がおかしくなったと周囲に思われようと軍服の姫君の正体を探り続けるのも、それが出来るからではなく腹を括っているからとも言える。その覚悟がセレジア達にも通じているから被造物による戦闘や殺人が起きても松原達との協力関係を辞めないのかもしれない。真鍳の創造主の死をまず松原達に伝えるメテオラや軍服の姫君の正体を全員で共有しようとする中乃鐘の姿勢からは確かな信頼を感じることが出来る
ただ、メテオラの連絡は颯太が帰った後であり中乃鐘の召集にも颯太は応えることが出来ず、更には軍服の姫君の正体を告げられなければ絵を見せることも出来ない。ある意味彼らの仲間になりきれていない宙ぶらりんな立場の颯太はどうやら過去にトレス騒動に直面したようで。それが颯太が絵を描けなくなった理由、シマザキセツナの自殺、被造物の登場に関係しているのだろうか?
わざわざ軍服の姫君の正体を話し合うメンバーを2つに分けた構図にどうにも嫌な予感を感じてしまうな……
伊織のツンデレ度に益々磨きがかかっているね。真夜中に交通費貸してくれと呼び出されれば、車を手配し那須高原まで同乗、更には印刷所の手配までしてくれるなんて。そこまでしておいて嫌味ったらしい口調を維持しているのは何の頑張りなんだと問いかけたくなる
そんな伊織からしても倫也が作ったサークルとそのゲームは異様なものに見え、だからこそ今回の倫也の行動は納得がいかないのか。メンバーに業界有名人を引き込んだ上で普通の同人サークルが作れるボリュームを優に超えている。
そのような化物めいた高校生サークルを破綻すること無く引っ張ってきた倫也が、最後の最後に作品ではなく英梨々の体調を優先したのは矛盾している。しかも加藤を頼るって手段を意図的に捨ててるんだもんなぁ
結局倫也にとって英梨々はあれだけの絵を描き上げてもクリエイターとして見えて貰えなかったという事かな?仲間を頼らず自分で那須高原に向かったのも期限ギリギリまで足掻かなかったのも幼馴染である英梨々を放って置いたら死んでしまうのではないかと幼少期の恐れを引き摺ってしまい、英梨々の傍を離れることができなかったからかな
出海の絵よりも勝っていると倫也は言うけれど、出海の絵を見たときのように走り出さなかったのは、倫也の中で傑作を見た事で生じるクリエイターへの尊敬にも似た感情よりも英梨々をか弱い幼馴染として扱う感情が勝ってしまったのだろうね
カップ焼きそばを共に食べ、肩を並べてゲームする姿は疎遠になっていた彼らの距離が縮まったことがよく判るけれど、果たしてそれでよかったのかと思ってしまう
ただ、英梨々としてはようやく自分の描いた絵で倫也を感動させたのだから、長い間抱き続けていた目標を達成できたのは確かなんだけど。だからこそその後の英梨々の言葉は力に満ちているんだろうね
そしてラストに起きた加藤の反逆。ここで倫也が謝るのは作品を完成させられなかった点であり、加藤が求める何故相談しなかったのかという点に思い至らなかったのがなぁ……。倫也の中で英梨々がクリエイターになりきれなかったように、倫也の中で加藤はサークルを共に支える相方ではなくヒロインのままだったということかな
遂にゲームは完成したというのに第二期はまだ半分残っている辺りに少し恐怖を感じてしまう
スウォン・カンデルは見た目は老人なのにヴィレムの前では少年のようなはしゃぎようになるのが何とも意外。
しかし、以前に戻ったのは口調だけでそれ以外の殆どが大きく変化しているのがもう戻りようのない時間の変化を感じさせる。
ヴィレムが人間で在り続けるのに対しスウォンは既に人間を辞めている。スウォンが楽園の創造主であるのに対しヴィレムは妖精倉庫の管理人。スウォンが妖精を使い捨ての道具と捉えているのに対し、ヴィレムはクトリ達を帰るべき居場所と捉えている。そういった諸々の変化の象徴がドクロだけになったかつての敵イーボンキャンドルであり、それがヴィレムとスウォンと共に同席していると考えるとちょっと面白い
精神崩壊が進んでいくクトリの頭に響く声の主はクトリの前世?それにしては不思議な少女だったけど何者なんだろう?あまりにもあっさりと人格破壊が始まったと告げられた時は驚いた。結局目覚めることは出来たけど完治したわけじゃないから何も安心できないなぁ…
スウォンが隠した獣の真実。クトリが支払ったどでかい代償。話としては一段落ついたはずなのに次回以降の話に全く希望を持てないってどういうことなのさ
女はここまで男を変えてしまうものなのか……
前回、元主人公としては在りえないレベルの醜態を晒していたアムロがベルトーチカという理解者を得たことで輝かしいまでの働きぶり。リック・ディアスでアッシマーに対し圧倒的な戦いを仕掛ける姿は既に全盛期を越えている感すらある
それにしてもベルトーチカという女性はかなり特徴的だね。ガンダムシリーズに登場する女性は精神面が強かな印象があるけれど、ベルトーチカは群を抜いている。ライバルであるシャアですら理解出来なかったアムロの心情を初登場回にして察し、その次の回では不意の口付けと男を奮い立たせる言葉でアムロの恋人ポジションを手に入れてしまうとは。
今でこそこういうタイプはアニメヒロインの中でありふれたタイプではあるけれど、当時としては斬新過ぎたんだろうか?勿体無い
カミーユもアムロの醜態や戦闘中にベルトーチカを心配する姿勢を見て、アムロを軽蔑していたようだけど戦闘が終わった途端に態度豹変。自分には見えない敵を完全に掌握していた姿を見れば当然か。カミーユが素直に大人を讃えている絵って珍しく感じるなぁ。
シャアとカツは宇宙へ上がり、アムロとカミーユは地上に残ることに。カミーユはアムロから多くを学べると良いのだけれど、果たしてどうなるのかな?
これまでの話が嘘だったのかのように穏やかな話だった。これからもこんな感じが続けば良いのだけど、そうならないんだろうな……
第一話の時は力を無闇に使うなと注意していた蔵六が、「力を使うんだったら考えて使え」とか迷子になった際には「前みたいに俺を呼べ」と発言するようになるとは思わなかったなぁ。
これは前回までの騒動を体験したことで紗名の在り方やアリスの力が紗名に一生ついてまわる切り離せないものであると理解したためかな。「それも含めてお前さんだろう」との言葉からは紗名にとって蔵六が良き理解者になったことがよく判る
また第一話で小さな花を持って告白に挑んでいたヤクザ屋さんが再登場。あの女学生がその時の相手かな。あんな可愛い女の子へ告白するためにがちがちになっていたかと思うとなんとも微笑ましくなってしまう
見るからに訳ありだけど「色々あってな」と一言で済ませたり、会場を蔵六の花で飾らせたりする辺りに彼の人の良さが見えてくる気がする。だからこそ蔵六も彼に対して紗名との関係を同じ言葉で返せるのだろうね
蔵六と正式な養子縁組をした紗名。あの書類そのものは家族になった証明では有るけれど、やはりただの紙であり第三話の時に内藤が提案したことの延長に過ぎない。今回紗名があそこまで喜んだのはその直前に蔵六が家族らしい行動を取ったことも大きいだろうね
紗名が美容院に居ないと気付き大慌てで出てきて、そのままずっと探し回っていた蔵六。紗名が特異な力を持っているから狙われやすい存在であると理解しているのもあるんだろうけど、あの光景は単純に親が無邪気な子供を心配して探す姿に見えてしまう。
早苗が紗名に家族ってなんだ?と聞かれた際に抱きつきながら「紗名ちゃんは早苗の家族だよ」と伝えていたように、書類に書かれた内容以上に蔵六の言動は紗名が家族であると認めているように感じられた
だからこそ、紗名の紙に何度も新しい名前を書いたり、新聞紙を取る際に横着せずにきちんと取った行動は自分が樫村家の人間であると認めた証なんだろうなと思えた。
新キャラ真鍳の見た目からして癖の強いキャラであろうとは判っていたけど予想以上の食わせ者だった。坂本真綾さんの演技により更に不快さが増していたのも印象深い。ていうか解説役が登場したなかった為とはいえ本編中で一度も名乗らなかった?
攻撃方法がやや遠回りな印象を受けるけれど、その分口撃は流石というべきか。河川敷での対峙も最初はアリステリアが真鍳を勧誘していたはずが、真鍳の挑発に乗り攻撃しようとしたらセレジア達が介入、終いには真鍳関係なしの戦いが始まっていたのは真鍳の持つ不気味さが関係しているように思えてしまう
真鍳が使う「嘘」。それは事実の否定な訳だから信じようとしない事は正しいのだけれど、嘘が事実になってしまう場合、つまりは「嘘の嘘」が成立してしまった場合、それを信じられるかどうかは非常に難しいと思える内容だった
そもそもアリステリアはこちらの世界に来ても線路下で焚き火していたり警察署に騎乗して突撃したりと全くこちらの世界の常識に順応する気がない。又、創造主の無能さを見たはずなのに未だに世界改変を望んでいる。それは彼女が目の前の事実を認める事が出来ていないからのように思える。
だから真鍳やメテオラの言葉にも負けてしまうし、まみかの真っ直ぐな発言も最初は好意的だったのに暴走時には受け入れることが出来なくなってしまう。つまりアリステリアは真鍳達の言葉を信じられず嘘と決めつけ軍服の姫君の言葉を事実とした訳だけど、まみかがメテオラを庇ったのは軍服の姫君が言う嘘を更に嘘にするためと捉えると面白いかもしれない
初登場時は頭の中がお花畑のように見えたまみかがここに来て最も信念を持ったキャラクターに変化していたのは驚き。「良い人なら、考え方が違っても必ず私達の強い味方になってくれる、それは目的が正しいことよりずっと大事」「こんな事を黙って見ていたら私の世界に戻った時、友達皆に恥ずかしくて会えなくなっちゃうから」と言う言葉は彼女の中で絶対に嘘になることのない感情なんだろうね
颯太がセレジアに軍服の姫君の正体を教えなかったのはそれを嘘だと思い信じることが出来ずに居るからか。嘘の嘘が成立した際にはどのような衝撃の事実が明るみに出るのかな?