原作既読
『迷い込んだ天使様に駄目人間を直されていた件』と改題したくなる内容だけど、天使であるとわが一方的に温厚な性格をしているだけでなく、森太郎だってとわに引けを取らないくらい温厚な性格をしているからとわの不安定な部分を直してやれる
偶然出逢った2人がどのようなワンルームを形作っていくのか、その路線が見えるからこそ穏やかな気持ちで見られる作品となっているね
人間を勉強するは良いけれど不安を抱えていたとわにとって、一人暮らしにより他者の温もりが恋しくなっていた森太郎にとって
足りないものを埋めるという意味で2人の同棲開始は良い収まり具合となるね
人をすぐに信じてしまう天使のとわの信頼に応えてやれる森太郎とて天使的な性格をしている。突如舞い降りた同居人なんて迷惑を感じても可怪しくないのに、彼女の日用品を買ってやれる
でも、それは森太郎からの一方的なものでなく、まずとわが森太郎にお粥の形で温もりを与えていたから返したくなった温もりで
互いに温もりを与え会える素敵な関係、早くもそういった繋がりを作れたから、とわも森太郎を幸せにしたいと思えたのかな
森太郎ととわの優しく温かな二人暮らしを見守る作品として、合格点を挙げたくなる初回でしたよ
高校辞めて東京目指すなんてかなりロックな生き方。でも、それは彼女の音楽性を体現してはなく、むしろ行き詰まっていたから別の場所を目指しただけかもしれなくて
マイクもギターも持たなかった仁菜が本物のロックに手を伸ばすまでを描いた初回、既に興奮度の高い内容になっているように思えましたよ
道を間違え時間に間に合わず人から逃げ。それは上京したと云うより追い詰められてしまった人の行動そのもの
何も頼れない彼女がそれでも拠り所としたのは初期衝動を模したかのような歌とその歌手
一方で追い詰められていた桃香も最後の夜に彼女を拠り所としたわけか
目指すもの無く行き止まりに居着けば進めないから帰り道しか選べない
桃香はそれに納得していた。納得せず反抗を初めたのが仁菜で、更に言えば仁菜はもっと前から反抗していた訳か
でも仁菜には居場所がないからその反抗を表現する場を持たなかった
そんな彼女に最後のトリガーを与えたのが諦めた桃香の言葉という流れが良いね
桃香の決断に納得せず、彼女が去るしか無い現実も己の負けも受け容れず。そうした彼女の反抗心が、天を衝く中指が桃香だけでなくロックという何かを呼び寄せるものになっていたかのよう
聞き届けてくれる誰かの為でなく、溢れ出る衝動を表現するように雑踏の中で歌い上げた彼女の姿には感銘を覚えてしまったよ
自分より格上の野禅を倒す為に力を求めに求めた迅火が辿り着いてしまった果ては人ならざる領域
正体を無くした彼は闇に成るでもなく人と闇の中間に成るでもなく筆舌に尽くし難い何かに成り果てた。野禅を上回るだけを望むべきだった力が迅火を滅ぼしてしまう構図には因果なものを感じるね
野禅は精霊転化で九尾の力を使うけれど、力に呑まれること無く人の知恵も使う。だから山の神にも対抗できる
対して迅火は知恵も力も足りないから力だけを求めた。普通の手段で到達できない境地は人を喪失させるもの
そうなった迅火が結局己自身のコントロールすら失うのはその境地が過ぎた力の証明であるように思えるよ
他方で真介は己のままで野禅を斬ってみせたね。また、人を愛するたまも闇である己を受け容れている
そんな2人が己を肯定する帰結に辿り着いた描写があるだけに、迅火の行き着いた場所は己の否定だと感じてしまう
過ぎた己ではなく有りの儘の己を肯定するたまの愛を含めた言葉が迅火に届いていない点は哀しいね…
原作を知っているからこのような展開に成る事は知っていた筈なのに、それでも道を踏み外す迅火と道を定めるたまという対比には鮮烈な印象を覚えてしまったよ
でも、これは3部構成の1部目なわけで。新たな主人公が目覚める事で始まる2部以降の話も充分に期待できる、そう思える世直し姉弟編でしたよ
夫婦漫才を経ても友崎はみみみを選ばなかった。風香が書いた脚本を通して友崎が見せられたのは舞台の形を採った想いの返答
明示はされていないけれど、彼女の想いを仮託した舞台は彼女の言葉を明確にする
風香の言葉を受けた友崎がどのような言葉を返すか?それと向き合った最終回となったね
友崎は振られたと消沈していたのに、それを以って人生をクソゲー呼ばわりしなかったのは印象深い
自分の想いが叶う事を最上とせず、数多の想いが交差する人生の良さを尊重出来ている
なら人生の主人公は友崎以外にも居る訳で。己の想いを他所に友崎を奮起させたみみみの言葉はとても素晴らしいね
風香が抱えるのは己という檻から抜けられない苦しみと作者として尊重したいキャラの幸福
みみみの言葉を受けてあの場に来た友崎だから風香の想いに向き合える。でも、その前から友崎は己自身の想いに向き合って生きてきた訳で
悩む風香を解き放つは想いを形にした言葉となるのか
友崎が言葉にした嘘偽り無い想いは風香の言葉を越えて想いを引き出すものになったようで
友崎としては大きな難関を越えた形。けれど彼の人生攻略はまだまだ続いていく訳で。その傍でみみみとて己の想いを越えて生きようとしているのは良いね
また、ラストにちょっとした我儘を見せた風香はあれはあれで人生を変える小さな飛躍を見せたのだと感じられたよ
時期としては1年生編最後のEPという事もあってか、それぞれが己の学園生活を踏まえつつ、これからを志向する姿が見られたかな
それらは成功と失敗を経ての学習だから自然さがある。対して綾小路だけは成功も失敗もあるのに何処か機械的
現在の境地に至るのも全ては計算通りと言わんばかりの姿勢が彼の異質さを強調していたよ
これから始まる2年生に向け色々考える生徒達の中で不安に押し潰されそうになっていたのが一之瀬か
一度は心折れた事で立ち上がれたが、それは前に進める力ではないから別に動力が必要となる
あそこで約束を与えた綾小路は優しいというよりも、あれはあれで計略の一部ではないかと恐ろしい気持ちになってしまう
他にも龍園を焚き付け、堀北と賭けをしている様子は独特
これからの生活を意識しているようで居て、一之瀬の件を合わせ、各クラスリーダーの成長を導こうとしているかのよう
その意味では綾小路は学生離れしていて、だから理事長代理との勝負も様になる。むしろそちらの方が自然であるかのよう
綾小路は何処まで行っても普通じゃなくて
だから軽井沢相手に恋愛ごっこを始めても、そこには学生らしさは微塵もない
軽井沢が恋愛感情を表に出せば出すほど冷めて見える綾小路の表情。そんな彼の祈りを聞き届ける神様など居るのだろうかと歪さを覚える1年生編の締めでしたよ…
極限の力を用いる戦いは相手を上回ればそれが果てとなる筈なのに、更に上の力が現れる為に結局は果てが無くなる
自らを壊す程の力を手にしても、上位の登場によって無意味となる力は果たして意味があるのかと問う内容と感じてしまったよ
道錬を上回る力を求めた迅火が辿り着いたのは人から逸脱する行い
尾が増えたのは強化の証。けれど際限が有った筈の強さに風穴を開けてしまったのは不吉
また真介は荒吹を使えるようになり強者の仲間入りを叶えたのに、見せられたのは空や死の絶対性
極めつけはやはり泰山を上回る山の闇の出現だろうね
強大な力も上位者の前では無力に等しい。力を求めた誰も彼もを嘲笑うかのよう
だとしたら迅火と同じ精霊天化を使う野禅の登場は力の在り方にどのような波紋を起こすのだろうね
最初はただ同じ電車に乗り合わせただけで、そこで終わって可怪しくなかった2人が互いの世界を擦り合わせ繋がりを深めてきた
そうして描かれた最終回は本当に2人の世界を1つの世界にするかのような素晴らしいものとなりましたよ
雪発案のデートプランは、彼女の好きを逸臣に教えるものになったようで
それは間違いなく逸臣が更に雪を好きになるきっかけとなる
また、この段になっても2人に小さな擦れ違いが起きるのはそれはそれで逆に良いね
雪にとってはNGサインは逸臣にはOKサイン。そうした擦れ違いで不和が生じるのではなく、世界の違いを楽しむかのように触れ合う様子は本当に麗しい
逸見が語るは彼の世界が形成された経緯
最初からコミュ強だったのではなく、言葉が通じる喜びが最初に有ったから彼は会話を楽しむように世界を旅するようになった
こちらも雪が逸臣を更に好きになる話となっている
互いを知る事で二人はまだまだ好きになれる
2人の世界には幾つもの違いがあって、でもその違いは互いを切り離すのではなく好きを深めるものになっている
また雪達だけでなく、他の組み合わせでも世界を擦り合わせ恋の息吹を感じさせる描写が
異なる世界を擦り合わせて新たな世界を作る雪と逸臣を中心とした恋物語は様々なコミュニケーションが描かれたからこそ素晴らしい作品になったように思えますよ
今回の話、どういうテンションで見るのが正しかったんだ…まるで判らない……
最終決戦の地にやって来たのに始まるのはキャンプの如き和気藹々。そして謎の敵は謎のまま死んでまさかのライバル対決…からの怒涛展開はこちらの心情をぶん回してくるよ…
イサミ・ブレイバーン、ルル・スペルビア。それぞれの組み合わせでは良い関係は築けているが、4人組として見た時にはまだ微妙な部分がある
最終決戦に挑むなら絆は盤石にしておきたい。…だからってあんなトンデモ展開が始まっちゃうのか……
私は一体何を見せられたんだ…
また、大物感を漂わせて登場したセグニティスが特に何もなく倒れるとか意味不明だし、その後に始まるライバル対決も唐突すぎてこちらの感情を置いてけぼりにしてくる
それでもブレイバーンとスペルビアがライバルのまま和解できた展開は良かったのだけどね……
ルルは悲劇を回避する為に戻ってきた。なのに起きたのはまた別の悲劇
けれどイサミはまだ生きているし、あの場にはスペルビアも居るわけで
試されるのはイサミの勇気。ブレイバーンに乗るからヒーローなのか、乗れなくてもヒーローに成れるのか
最終回では勇気が爆発するような展開を見たいものですよ
理想に身を委ねようとした風香を変える友崎の言葉、あれは面白いね
友崎は自身の経験から作者ではなくキャラの素晴らしさを説く事だって出来た筈。でも彼は作者としての考え方を理解した上で言葉を使っている。だから友崎の言葉は風香に届いたのだろうね
結局、風香が抱えていたのは自身の否定だったのかな?今の自分は間違いだから理想的にならなければならない
でもそれこそ風香が好むアンディ作品にて描かれた理想と異なる立場となってしまうわけで
世界にとって理想の存在なる者は居るかもしれないけれど、理想の世界にとって要らない存在はない
風香が思うが儘に炎人の世界で生きて行くのが正しいなら。友崎だってそのような選択は出来る筈で
みみみとの漫才はまあまあの出来と2人の息が合っている点が現れた良い舞台になったようで
でもそれが果たして友崎という人間が望んだ舞台だったかというと、少し疑問を覚えてしまう
みみみももその点を理解していたような気がしてしまうね
思うが儘に世界を変える友崎を見てきた。ならみみみが友崎を引き止めるには「夫婦」という言葉を使うしか無くて。彼女の舞台が終わってしまえばその言葉はもう使えない
そして上がるは風香の舞台。彼女が自身を仮託して作り上げた演劇はどのような言葉が飛び交うのだろうね
山での修業を経て奇跡の体現者となった3人だけど、その後の受け止め方が3人の方向性を変えたような気がしてしまうね
迅火は全能感に満ち更なる高みを目指し、たまは不安感に襲われるものの迅火を否定できず追従の姿勢。真介は失ったものばかりを重視
3人の見ているものは異なる
だからか、断怪衆を前にしても3人が心に掲げるものは何処か異なるね
成長した迅火は眼の前の勝利どころかたまとの未来すら夢見る。でもたまはこの断怪衆襲撃に関し出来る事は何もないから迅火を見守るだけ
真介は更に失わないように見えない筈の死角からの攻撃を防いだ
違いが交わる事はなさそう
迅火はその全能感のまま道錬と武の極みに向かう
真介は復讐心を抱えたままバリーと地獄の底へと墜ちていく
奇跡が彼らを強くした筈なのに、身についた強さがそれぞれの目指す方向を変えてしまった
先を見通せない限界バトルは彼らにどのような結末を用意しているのだろうね
雪と逸臣の間には手話だけでなく口話やラインも有る。今回はドイツの励まし方なんて教えてるし、想いを伝える方法は様々。それは二人の仲が成熟し始めたからで
それだけに、同じように成熟させられなかった桜志、これから成熟させる心、それぞれの想いの伝え方に注目してしまったな
雪はハンデの為に人から言葉が伝わらない時が有って
それを今回のような場面で桜志が守ってきた。桜志には雪の想いが伝わっている
だから、伝わり過ぎてしまう手話を止めてしまう訳で
でも雪の回想により桜志の手話だって雪に伝わっていたと判るのは良いな
桜志が伝えたかったのは「それ」ではないかもしれない。でも桜志の手話が有ったから雪は前向きに大学を過ごせた。別の形で桜志の想いが成就したと言えるのかもしれない
ならそれまで伝わらなかった想いだとしても、別の形を取れば別の想いが届く事が有るかもしれなくて
心とエマ、こちらはどうなるのかな?
様々な伝え方が有る雪と逸臣の想いが遮られそうになった瞬間、雪が近づいていくのは良いな
離れた形の会話ではなく、限られた光でも接する形で。そうしたから擦れ違いの可能性を潰せた
提案された雪から想いを伝えるデートの行き先探し。微笑ましくも温かい交流に胸が一杯になるね
猫猫が羅漢の弱みを知った状態で成立した勝負は羅漢にそのつもりが無くても出来レースに近い
猫猫は自分の盤面がどのような結果を生むか理解していた。その意味では眼前の盤面の意味を理解していなかった若い羅漢との対比になっているような
人の顔を判別できない羅漢にとって、きっと他人は全て等しく他人
顔が駒に見えるなら羅漢にシャンチーや碁と人に違いは無い
だとしたら盤面を通して触れ合えた鳳仙は羅漢にとって唯一の人間だったのかもしれない
また、一方の鳳仙にとっても羅漢は薄っぺらい愛を求めてこない唯一の人間だったのかもしれない
相手を唯一としていたのに、鳳仙は妓女で羅漢は武官であるが故に恋物語は成立しない
不幸だったのは盤面を変える行為をしてしまった事か
羅漢はその意味を察せず、鳳仙は伝えられなかった。擦れ違いが悲劇に至ってしまった二人にとってあの時の事など全てが今更
だとしたら、枯れても形を保つ薔薇は何の意味を持って羅漢に届けられたのだろうね
魔法はイメージの世界、想像できた者が強い。二次試験が終わり三次試験へ移る今回は相手を想像する行為が描かれたのかな
中心となるフリーレンは他者の心情理解に秀でているわけではない。それでも想像を辞めない。それが彼女の魔法使いとしての、また師匠としての強さを示したように感じられたよ
フリーレンは杖を大事にするフェルンの心を想像できず喧嘩になった。でも、そこでフリーレンは想像を辞めなかったわけだ。直感では新調するのがベストな壊れた杖の修理を頼もうとした
結局杖を受け取ったフェルンの心情までは想像出来ていなかった気がするけど、そこには寄り添おうとした過程がある。だから改めてフェルンはフリーレンを師と認められたのだろうね
デンケンとリヒター、カンネとラヴィーネの間柄も同じ。二次試験に落ちた相方に対し相手の心情を想像し寄り添っている。それは何よりの力だろうね
それだけに想像を不要とし直感で正しく合格者を決めるゼーリエは魔法使いとしての高みに居る超越的存在であると見えてくる
それを理解しているからフリーレンも彼女から合格を取れると思わない。でも残念がらないのはゼーリエが与える以上の合格をかつて貰った経験があるからかな
フランメから受け継いだ花畑を出す魔法がヒンメルの心に届き、彼の想像を刺激した。あの時からきっとヒンメルにとってフリーレンは最高の魔法使い
なら今更ゼーリエに認められ必要はなくて
そして自身が認めたフェルンが認められるかどうかをフリーレンは正しく想像できていた。エルフの想像を超えた人間の誕生、それは正しく時代の移り変わりを感じさせたよ
ここ数話衝撃的な展開が続いたと思ったら、今回もかなりの衝撃が
スミスは現在から過去へ行き未来をやり直した。そしてルルは未来から現在へ戻り過去をやり直すのか…
イサミ一人では本物のヒーローに成れないから支えが必要で。それが時間に逆らう二人となるのは面白い
ルルが行った時間遡行は大いなる勇気が必要な行為
そもそも本当に過去をやり直せるかも判らないし、スペルビアの協力も得られるか判らない
それでも守りたい人達を守る為に時間を超えた彼女はその時点でヒーローと言えるのかもしれない
だからスミスでも無理だったスペルビアへの搭乗もルルは勇気の果てに叶えられるようになる。勿論そこにはスペルビア自身の勇気も在ってこそ
ルルの勇気とスペルビアの勇気が溶け合う事で新たなヒーローが誕生したわけだ
でも、だからってそれをOMIAIと呼ぶかなぁ(笑)
新たな力が手に入り、皆で最終決戦に向かうかと思いきや、イサミ・ブレイバーンとルル・スペルビアだけですか
でも、それは無謀さから来る行動ではなく、皆を守るヒーローとして意識が生み出した行動。なら、最終決戦では本物のヒーローが存分に見られるのかな?
と言うか、この作品が終わってしまうのがとても寂しいのですが何とか続いてくれやしないものか……
恋を探る友崎が同時に探るのは日南の人間性。親友であるみみみにも見通せないそれは弱キャラでしか無い彼の力では容易に見通せない
ここで同じく日南を探っていた風香がブレ始めるのは印象的。日南を探る事で風香が元々持っていた人間性が影響されたような…
演劇のキャラであるアルシアを深める為に風香は日南という人間を分析した。けれど、クリスというキャラが風香の写し身である為か、あの物語に相応しい結末がどのようなものかを突き詰めていく行為は風香自身を突き詰めていく行為に繋がるようで
日南を探り風香を探り。そうする内に風香が日南や友崎を見倣い始めるのは面白い
風香が繰り返し主張する世界の理想
理想的な人間を敢えて日南のようなパーフェクトヒロインと定義した場合、日南のように成るのが理想的という話になる
思い返せば友崎だって日南を参考に自分磨きをしてきた。でも友崎がどうなりたいかを意識しつつ自分を変えたのに、風香には自分がどうなりたいかという意識が希薄なような気がしてしまう
風香自身が選んだ道だから他人が変えるのは難しい
一方でポイントとなるのはその人にどう在って欲しいかという一種の我儘かな?
友崎にとって風香はどのような人間であって欲しいかという点は迷走を見せる風香と接する上で重要なキーとなってくる気がするよ
他にも、台本が無くても夫婦漫才っぽくなるみみみとの仲が文化祭へ向け、どう変化して行くのかという点も気になるね
天才とは人より秀でた者で人の上に立つ者で。そのような綾小路と坂柳が司令塔としてぶつかった。今回の試験は彼らに相応しい構図
ただ2人が求めたものはそれぞれ違ったかな。綾小路はただクラスの勝利を、坂柳は天才の証明を。そして坂柳の目的が途中で変わるからこそ、彼女の表情は注目に値するものとなったね
特別試験の種目はバラエティに富み様々な生徒が活躍する。けど全ては司令塔次第。生徒達の成長は見えても、結局は司令塔による戦いの前座でしかない。人の上に立つ綾小路と坂柳によって彼らは踊らされている
だから堀北や橋本がチェス盤に向かい実力を発揮しようと天才の前では大した価値を持たない
堀北や橋本が見ても理解できないチェスを綾小路と坂柳が披露する事で二人の実力は桁外れだと証明してくれるね
そのショーは素晴らしいけれど、結局は彼らも踊らされる側というのが何とも言えない…。更なる上位者である月城によって2人の勝負は穢された
二人は大人であり理事長代理である月城の前ではどうとでもなる存在
それでも勝負した2人が証明したものは何だったのか
坂柳は綾小路の天才性を否定する為に勝負を仕掛けた筈だった。けれど、今は綾小路が本物の天才である事に喜びを感じているかのよう
憧れの存在と対面しその天才性を温もりとして味わい、自身の温もりを返した彼女はとても愛らしい表情をしていたよ
迅火と真介は神雲や千夜にはとても敵いやしない弱い存在
勝つ為には常識にない途轍もない奇跡が必要。偶然によって引き起こせる奇跡は強者の証かもだけど、それを人為的に引き起こしたら何が起こるか?という点を面白い視点で描いた回となったよ
真介は千夜の首に刃を掛けた。迅火は神運から逃げ延びた
人為的であっても途轍もない奇跡は彼らに己を再定義させるものとなったようで
真介は断怪衆の霊力改造人間であっても子供には手をかけない男となった。迅火は龍に負けない己を現実のものとした
そうして、奇跡を人為的に操れるなら超常の存在である山の神も操れるわけか
でも、それとて迅火が己を超えて神雲とある程度戦える事を前提としている。本物の奇跡を手繰り寄せて神雲と痛み分けとした迅火は大きく成長したね
ただし、奇跡を安く扱った代償は高く付いたようで。力を得て破滅を逃れたのに別の破滅へ繋がってしまった。迅火達の旅はどこへ向かっているのだろうね
流石に花を咲かせるのは薬屋の領分では無いのでは?と思ってしまうが、そこでも冴え渡る結果を見せてくれるのが猫猫か
存在しない青い薔薇を求める羅漢に唆された壬氏は操られる側。だというのに猫猫はそこに反攻の色を見たのかな。相手の思惑通りに動いてやるものかという精神が薔薇を狂わせたようで
オチとしては青い薔薇なんて咲かせられないと白を青に染める処置を行った訳だが、そこで薔薇まで偽物にしなかった点には猫猫の意地を感じるね
相手に操られる必要はない。それでも要求から逃れるのも腹立たしい。だから、存在しない色は無理でも季節外れ程度なら咲かせてみせる
ただ、そこで容易に自分を追い詰めてしまうのが猫猫の悪い癖だね
自分を大事しない、自分に色を見ない
対して羅漢は人を見ないタイプか。見えないから悪戯するような真似を繰り返し反応を見て人となりを察する
なら、そんな彼をして見る事が出来る猫猫とは、そして鳳仙花の紅とはどのような繋がりが潜んでいるのだろうね。次回が本当に楽しみだ
複製体を前にしたデンケン達の戦いは素晴らしいけれど、今回はそれ以上のものが描かれたね
イメージすれば一級魔法使いでさえ切れるユーベルが目立つが、それ以上にフリーレンの魔法は至高の領域にあると感じさせた
この第二次試験は改めて魔法使いの高みとはどのようなものかを示すものとなったように感じられるよ
魔法は相性のようなものだから連携して苦手をぶつければ簡単に倒せる。それでも相性だけでどうにかなる相手じゃなく、勝てるイメージがそもそも沸かない程の実力差が有る要注意人物だけは別枠
それを覆したユーベルの考え方は至ってシンプル。切れると思ったから切れる。知覚では切れないと判っている筈なのに、感覚だけで切っている。イメージに容易に到達するその感性は彼女の魔法使いとしての優秀さを示している
ただ、イメージすら引っ繰り返したのがフリーレンか
フリーレンはフェルンに負けるイメージが無かった。対するフェルンは既知の隙や作戦でフリーレンに勝つイメージを見出したからこそ勝機が生まれた。超常的な魔法使いを倒すイメージをフェルンは充分に持っていた
だというのにイメージすら及ばない領域の魔法を見せつけてくるなんてフリーレンはとんでもない存在ですよ
この二次試験は様々な人間の強さを見せつけたけど、やはり最後はフリーレンの強さへと収束したね。魔法かすら理解できない魔法、至高の真髄
それ程の格好良さを見せつけたというのに、最後にはフリーレンのイメージに沿ったミック喰われ芸で締めるというのが何とも乙な展開ですよ
前々から予想する向き自体は有ったものの、まさか本当にその通りだったなんて
てか、あの気持ち悪い言動を繰り広げるブレイバーンとスミスが同一人物だったと知りちょいショックが……
絶望の後に明かされた新たなる希望。それはヒーローになれなかった男がヒーローに転じた事で輝いている
前回に続き語られるはスミスがヒーローになれなかった事に伴う思考の切り替え
両親は守られず、そしてブレイバーンに乗る役目さえ貰えなかった。それでも彼は折れる事なくヒーローであるイサミの隣に居続けた
そうして起こったのは自身がブレイバーンになる奇跡。彼は正真正銘のヒーローになった
それによりブレイバーンという存在が持つ意味も変わってくるわけだ
これまではイサミを乗せたがる変態でしかなかった。でも正体がスミスと知れた事でそこには勇気が在ると伝わってくる。イサミと共に戦う為に彼は魂すら変化させたのだと判る
だからこそ奇跡が示された後で新たなる勇気の姿、バーンブレイバーンが登場するわけだ
スミスは戻って来ない。それでもイサミとスミスがバーンブレイバーンとして新たなるヒーローの姿を刻んだ。それはとても輝かしいものだったよ
それだけに気になってしまうのはスミスを失ったルルがスペルビアと何をしようとしているのかという点だね。ていうか、流石にルルだけには正体を明かしてやったりしないのかな?