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サービス開始日: 2016-04-05 (3609日目)

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やまびこは孤独な旅の末にこだまという陽だまりを知り、その安らぎの中いつまでもいたいと望むように。それゆえこだまに太陽という女神でいてくれる事を暗に求め続けたように思います。彼女はその優しさゆえ彼の、皆の期待に応え続けた。いつか一人の唯の女の子になれる事を願いながら。

辛いことを忘れ穏やかな安らぎに心委ねることは心地の良い事です。しかしそれで外にある辛いことやそこから来る心配や恐れが解消するわけではなく、むしろ時が経つにつれ心の中でどんどん肥大してしまいかねず。こだまの優しすぎる優しさはそれを助長してしまったのかもしれません。そしてそんな心模様が疫病という形で具現化したようにも思えました。

今話は、前回のバベルの塔に続き、希望が見えない現実下におかれた人間の在り様が描かれ、その中を漂う閉塞感や登場人物の心の奥に潜む絶望や不安が心にズシリと響きました。そして希望とは、現実と向き合うとはどういうことなのか、強いメッセージとして表現されているように思えました。



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くくると知夢は、自分の目標に前のめりになるあまり異なる見方に寄り添う余裕が無いという点で似た者同士にも思えます。その二人が出会えば諍いも必然ですが、結果としてくくるにこれまで見えていなかったモノを突きつけ、心境に変化をもたらしているようにも見えました。

そしてどうやら風花にも心を揺さぶられる事態が訪れそう。ここまでの物語は奮闘するくくるにそれを支える仲間たちという水族館の”内側”が描かれてきましたが、今話はくくるにせよ風化にせよこの先その”外側”と対峙するような新たな展開の予兆を感じさせますが果たして。



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「くだらない事をどこまで信じられるか、なんだから」
希望を失った漂流者たちのその後。皆偽りの希望に縋る事で生きる目的を保っている。無意味な労働、二つ星の諦観漂う言葉、バベルの塔という壮大な空っぽ。まるで現実を一皮剥いた姿を覗き見しているような生々しさを感じました。

そしてその失望の渦の中で、何事も人生の”当事者”になろうとせず、常に”観測者”に留まっていた長良が抗い自分の道を歩もうとしている。彼の変化には驚くばかりですが、自分が自分を諦めてきた事で実は多くの人を巻き込んできたという事実を知った重みが彼に腹を括らせている気がしました。

「みんなわかってるはずだ。結局何処に居たって僕らは抗い続けなきゃいけないって」
らじたにがアリの観測を通して復活した様に、逃避は必ずしも悪いものとは言えません。しかしバベルの塔のように永遠に逃げ込む事も出来ないわけで。希望と逃避は表裏一体、紙一重なのかもしれません。



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くくる、夏凛、うみやん、愛梨とたくさんのがまがまへの想いを感じさせる回。闘病に挫けそうな愛梨をはじめ病院の子供たちが移動水族館で命と触れ合う事で生きる事への喜びや意志を取り戻していく姿に「水族館は命を育む所」というテーマが垣間見えたような気がします。

またラストにて、二人が帰り道すがら密室のエレベーターに乗り込んで、到着後開いた出口から光が差し込み、そして開放感溢れる青空の下へ歩き出すと、その道程が飼育員の夢を諦めた事が心の隅で燻っていた夏凜の気持ちの変化を巧みに表現しているようで印象深いシーンでした。

奇跡を望むならば、くくるのように理想を諦めず追い続ける事が不可欠な一方で、如何にそれを実現するかという点では夏凜のような現実的な視点を持てる人も必ず必要になってくるはず。彼女もまたこの先くくるが夢を目指す上で大きな助力となるのではないかと感じました。



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正味20分の間にこれだけ心揺さぶられる物語が描かれていることに驚かされます。ひと夏という瞬く間に過ぎてしまう季節の眩さや刹那さの中で、決して多くは語らないけれど一言一言情感豊かな会話とモノローグと。劇伴等を上手く効かせてメリハリをつけつつ、魅せるところはきちんと見せるなど、文学的な情感を伴って視聴者を引きつけてゆく物語の構成が素晴らしかったです。



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今話は一気にお話が進んで驚かされる展開に。抽象的で付いていくのが大変でしたが、漂流した長良たちは”選ばれなかった”人生の可能性のひとつだったということなのかな。

たとえ実現がどれほど困難にみえようとも、元の世界で自分は唯一無二の存在である、という確かな居場所があったからこその希望(=希のいう光?)だったわけで、そもそもその帰る場所が無かったという。未来は決まっていると言って憚らなかった明星さえ最後には希望の可能性を信じたというのに、突然訪れた元の世界からの卒業(別れ)がなんともやるせなく切ないです。

これで物語の第1章が幕を閉じた感がありますが、次回以降、彼らがどこに再びの光を見つけるのか、物語としてどこに落とし所を求めるのか気になるところです。

あと下ネタ失礼になりますが、卵子を目指した競争に負け受精に到らなかった精子たちはこんな心情なんだろうか、なんてしょうもない事を思いながら観てました。限りなく低い可能性を信じ勝負するもオリジナルとして受肉出来なかった、みたいな。



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皆で和気藹々と過ごす休日の楽しげな雰囲気の一方で、淡々と閉館へ向かっているようにみえるおじい。穏やかだがブレない彼の態度は決意がかなり堅い事を伺わせ、くくるの努力の成果の如何に関わらず彼女の希望は遂げられないのだろうという悲しい未来を予感させました。

そして今話の風花は可愛らしい水着姿といい優しさ溢れる振る舞いといいまるで天女さまのよう。物語序盤は沖縄に避難してきた風花がくくるに頼りきりでしたが、馴染むにつれ逆に風花がくくるを支えるお姉さん的存在に変化しつつある?のが面白いところ。母子手帳は…まさかね。

一方、今回空也のがまがまに対する想いが描かれますが、どうもエピソードとしての引力が弱く感じてしまいます。水族館をめぐるお話が佳境へ向かっていく中で存続への想いへ視聴者を感情的に巻き込んでいきたいところではないかと思いますが、淡白な印象が拭えずやや残念な気も。



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自分を卑下して自己完結することで問題を回避してきたようにみえる長良ですが、涙ぐむ瑞穂を見て自分にも心配してくれる人たちがいた事、そして自分自身を貶める事はそんな人たちを悲しませる事になるのだと気付いたのかもしれません。自分に閉じこもっていた長良が瑞穂の呼び掛けをきっかけに顔を上げるのは、ちょうど2話の逆の関係/お話になっていて面白いですね。

そして、俺は簡単に心を許さねーぞとでも言いたげにいつも虚勢を張っていた朝風君、おっぱいで簡単に落ちましたね。中学生だものね…。



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うどんちゃんの料理に対する情熱が丹念に描かれていて印象に残ります。一方アイス屋でバニラしか頼まないくくるの拘りの無さよ(ここは引き立て役なのね)。田中秀幸さんの優しく深みのある声が神里のエピソードに長い時間を経てきた歴史と想いを感じさせて良かったのです。

本作品、お話やキャラクタの描写は相変わらず淡白な印象で、強く興味が惹かれたりは今のところありませんが、何かと閉塞しがちな現実の中で、そのおおらかさで全てを包み込んでくれるような安らぎと解放感のひとときを求めて、毎週の穏やかな楽しみになりつつある気がします。



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