サービス開始日: 2016-04-05 (3609日目)
すみれ回。挫折続きで傷付いている彼女は主役という夢を求め続けているのはもちろんですが、もっとシンプルに誰かに認められたい必要とされたいと切望していたのかもしれません。かのんのスカウトはそんな気持ちに応えてくれ、燻っていたプライドを夢へ挑戦するポジティブな闘志に向かわせてくれたように思います。そして、すみれと可可は Liella! の漫才担当になりそうね。あとギャラクシー!ってマクロスのヤックデカルチャー!みたいだと思いました笑
また本作のクラシックな劇伴の使われ方や天候の変化などによる心理描写は作品にリズムやライブ感、生き生きしたドラマを演出していて、ミュージカルやディズニー映画のような臨場感が感じられて好きです。
打ちのめされている時って自分のことは全て色褪せて見えてしまうけど、小野寺先生の想いを受けて、人と比べてどうというよりも自分自身の好きという気持ち、こうしたいという想いを取り戻すしなやかな強さが繊細で優しい彩の内に芽生える様は胸を打ちました。
彩を応援する姉、あえて厳しい橘先生、優しく温かい小野寺先生、それから手を差し伸べる同級生達と、彼女見つめる周りの人々の多様な視点が描かれているのもお話に深みを与えていて良いなと。
ラストで彩が歌うMy Sunsetも、彼女の歌に対する美しい祈りのような想いを感じさせる曲ながら、どこか切なさを湛えていて彼女が子供の自分にさよならして一歩成長したような、そんな印象を感じさせて素晴らしかったです。
今回の彩に通ずるお話として「りゅうおうのおしごと!」7話の桂香さんのエピソードや「響け!ユーフォニアム」10、11話の香織先輩のエピソードなんかもとても好きです。
仲間たちでの水族館運営が回り始めてストーリー進行にもテンポが出て来たのが心地良く。風花は地味な努力を積み重ねることの出来る真面目な子だなと。反面その裏返しとしてちょっと思い込みがちだったりズレた所があるのが愛嬌があって可愛らしいですね。
「百聞は一触に如かず」を風花とくくるの想いとして回収するお話が素敵。本作、お仕事を中心に現実感あるお話を描く中でここぞという心情表現をロマンチックに描くのが印象に残ります。要所で差し込んでいる沖縄のおおらかで美しい情景のイメージがここで活きている気がします。
ところで、今提示されている舞台や伏線、ストーリーの描き方等を勘案するとこのまま順当に進んでも2クールは割りに合わない気がします。水族館の閉館期限も夏の終わりという話でしたし、季節的にも後半からは沖縄の海から舞台を移し別の物語が始まる可能性もありそう。
貨幣が導入されたことで無限に富を増やせる瑞穂を頂点として、日差しを浴びながら重労働しなければならない生徒がいる一方、超能力のある子はテントの日陰で座ったまま手を動かすだけと、あからさまな格差社会の構図になってきてるのはエグいなと苦笑しつつも興味を惹かれるところ。
仲良くなりたいのについきつく当たってしまう瑞穂、意見を言えなくて卑屈になってしまう長良、そして暗幕に引きこもる生徒と、気持ちを素直に表現出来ずそれぞれ四苦八苦している姿が、当人たちは切実なんだけどなんとも思春期らしい初々しさや不器用さを感じてほっこりしてしまったり。
特殊な環境を使って思春期の不器用さや登場人物それぞれの人間味を上手く描き出しているのが、今のところ本作の大きな魅力になっているかなと思います。
それから前回の島のリセットもそうだったけど、暗幕を一気に捲ってしまうシーンはそれぞれ淀んでいた心模様がぱっと晴れ渡るような爽快感を感じさせて心地良いですね。
間違っている事が許せない、自分が正しいと思う事ならば世界もそうあるべきだと考えたり、説明しなくても周りは分かるはず、分からないならもういいと思ったり、どこか周りの”世界”に対して甘えている、”自分”と”世界”の境界が曖昧で分離していないようにみえる瑞穂。
赤ちゃんは泣くだけで周りがよしなにしてくれる事を必要とする、”自分”と”世界”が一体でないと生きられない存在ですけど、成長して経験を積むにつれて”世界”は自分の自由にならない存在であり、自ら動かなければ、言葉にしなければ望んだものは手に入らない事を学んでゆく。それが自立していくという事だと思うけれど、「分かってるけど自分じゃどうにもならないの」と言っていたように、瑞穂は成長の過程で何かトラウマを抱え、”自分”と”世界”が分離する事が怖くなって一歩踏み出せずがんじがらめになっていたのかもしれません。
けれど「どうせ僕達に世界は変えられないんだ。だから大丈夫だよ。」という長良の台詞にあるように、追い詰められて自分がめちゃくちゃにしたはずの世界が何にも変わっていないのを目の当たりにして、瑞穂は初めて”自分”と”世界”は別物なんだとはっきり実感出来たのかなと、そう感じました。
3話にてようやく作品のリズムと自分の波長が合ってきた感じがします。性急に面白さや結果を求めるのでなく、沖縄の空と海や琉球語の響きから感じるようにゆったりとおおらかに。
今回くくるの気持ちの強さや余裕のなさがトラブルに繋がってしまったけれど、彼女が館長という誰もやりたがらなかった、17歳の身には重すぎる責任のある仕事を引き受けていること、そのこと自体はとても勇気のある決断で尊敬に値すると思います。
一方で責任ある立場にいる時に自分の限界を認めたり、誰かを信頼して任せることは時に勇気が必要で、今回のような経験を積んでいくことで、そして支えてくれる友達の存在によって、彼女も自分に出来る事と出来ない事を知り、きっと少しずつ肩の力が抜けていくのかなと思います。
気になる点としては、2話の金貸もそうですが今回の破水の件もお話としてかなりベタで先が読めてしまうのは如何にも作ったお話ですという感じがして少々残念な気もします。彼女たちの生活や仕事に根を下ろした物語としてもう少し工夫やリアリティが欲しい気もしますがはたして。