冒頭の父親の台詞「知識によって腹を満たし前に進む力を得られる」に倣うようにサバイバル環境で活きる数多の知識が披露される。同時にほまれのファザコン具合もこれでもかと示される
そうだよね、よくよく考えてみれば極度のファザコンでもない限り実生活では絶対に活きないような奇妙奇天烈なサバイバル知識ばかり習熟させる父親に付いて何回も遭難したりとかしないよね。というか、トイレをしたくなったらズボンの中にすれば良いと断言する父を格好良いと言ってしまうほまれの感覚は絶対にずれている
ただ、父から学んだ知識や経験が今の明日香達を助けているわけで。世の中、一見役に立たないような知識がどこで役に立つかなんて案外判らないものです
それにしたって、幼い娘を砂漠やら湿地帯やら崖につれていく父親はやはり如何なものかと思ってしまうが
前回、信長には情がないと考え裏切りに至った信勝が今回は情のない行動をする羽目になり、情より大義を優先しなければならなかった信長が部下に慕われる人間として描かれる皮肉
信勝は家族や部下など手の届く者の幸福を最優先に考えてしまいそれを守るためなら、手の届かぬ者を害すのも仕方ないと考えるタイプか
対して信長は領主として大局的に動く必要が有るため時には非情に見える決断をしなければならないが、その代わり領内に居る者を等しく守ろうとする
信勝の近くに居る者からすれば信勝こそ部下を考える人物に見える。しかし、いざ戦になれば刈り取り前の稲に手を出す行為を平然と許す領主としてありえない側面を見せてしまう。この時代で自領の稲を無理やり刈ってしまうって本当に悪手だよなぁ……
そういった諸々もあり信勝の戦いには大義が無くなっていく。信長の代わりに領主となる、といっても領主として相応しくない行動を取り、使う兵も金で雇った者ばかりとなれば信頼すら失っていく
対して信長の行動は恒興の支えもあり一貫しているね
陳情を述べてきた村に対して御触れを出して庇護下に有ると宣言し、そこに攻め入った信勝軍に対して迅速に対応、戦う際も自分が積極的に前線に出ている点は高評価となるか
また、恒興が「信長様の為に!」と明確なスローガンを掲げて戦うために軍の士気も高まる
そうなれば寡兵であっても敵兵を打ち破ることも出来る
この回だけで信長と信勝の格の違いが存分に描かれてしまった印象
最終的な信勝の扱いは母からの助命嘆願、家臣からの厳罰要求を受けて信長は「今回だけは赦してやってくれ」と頭を下げて頼む。これこそ信勝がずっと信長に望んでいた情となるわけだけど、人が変わってしまった信勝にとって生き恥を晒す時間が伸びただけとしかならず、津々木の毒牙が更に及ぶというのは悲しい話
「そんなだから皆に嫌われるんですよ」「俺は嫌われてない」の遣り取りがあまりに面白すぎて(笑)
冒頭、累は雪の中に倒れ仰向けになる。普通なら雪の冷たさが辛い行為だが累は平気そう。冷たさが平気とはあの時点の累はぬくもりを全く持っていない、寒々しい境遇に身を置いているからだろうね
寒々しい想いでいるから親が傾ける愛情にも気付け無い。鬼になり累は更にぬくもりを失ってしまう。だから、子供の為に命をなげうった親の話を感動したなんて言ってしまい、それが親に求められる役割だなんて考えてしまう
累は子供である自分を守ってくれることを絆と考えていたようだけど、家族との描写を見る限り、累が求めた絆はぬくもりだよなぁ。だから、死に際の累が炭治郎達に手を伸ばしたのは二人が発するぬくもりを求めてのこと。
それを思えば、炭治郎が累の身体に手を伸ばしぬくもりを与えた描写は本当に素晴らしいね
多くの命を理不尽に奪った累を赦す者なんて誰も居ないが、それでも死に際に両親に会い「ごめんなさい」を言えたなら、それは一種の赦しであるように思えた描写だった
炭治郎は累の絆論を許せない為に刀を振るい首を斬ろうとしてきた。しかし、それは首を斬るまでの話。
勝負が決し悲しみの匂いを発する累には炭治郎は情けを見せる。それは鬼の妹を持つ炭治郎だからこそ向けられる優しさなのだろうね
それを否定する冨岡の言動は少し過剰。冨岡はこの少し前で炭治郎達を目指す累の身体を止めない。これは冨岡なりの情けなのだろうね。
だから、つい情けを見せてしまった自分を、同時に過剰な情けを見せる炭治郎を叱責する為に敢えて厳しい態度に出ているわけだね
Bパートで禰豆子を巡って描かれるのは第一話の焼き直しのようなもの
あの時、炭治郎は力が無く禰豆子に庇われる形で冨岡に認めてもらえた
今回は冨岡が炭治郎の代わりに禰豆子を庇う。しのぶに抜刀して対抗する。冨岡は竈門兄妹のいきさつを知っているから禰豆子を斬るのは間違いだと知っている。が、冨岡はあまりに寡黙だし話の論点もずれてるからしのぶを抑えるにはちょっと役者不足。しのぶを抑えるのは本部からの伝令となる。
伝令が届いた途端に取っ組み合いを止めた二人。それだけ伝令元の人物は柱から尊崇の念を抱かれているということになる。次回はそんな人物に対し炭治郎と禰豆子が旅の中で何を手にしたかが示される訳だね。
毒電波の館って何だ……。無茶苦茶な夢だったけど、咲ならああいった黒魔術も遣りかねないと思えてしまう辺り恐ろしいね
好きな人や大切な人が居れば独占したいと思う人はいるが、それが叶わないなら遠くから見守る他無い。そんな想いをしている人が多数居ればプリユキなんてものも形成されてしまうのだろうね
そして規則によって身内の抜け駆けを禁止した彼女らからすれば、規則に関係なく由希と仲良く接する透は不快なもの。だからといって自分達も透のように由希と関わる勇気はないし、そうしたらプリユキから叩かれるのは目に見えている
ならば、自分の感情を守るために透をバッシングするのはある意味仕方ないのかもしれない
一方、今回判明するのは咲の不満感。彼女もプリユキの面々と同じように、透・ありさ・咲3人の時間に割り込むかのように透と仲良くする草摩の人達に思うところが無いわけじゃない
でも咲がプリユキと異なるのは、感情に任せ由希達に嫌がらせをしなかった点。そこにあるのは透への思い遣りだね。嫌がらせなんてしたら透が哀しむと知っているから何もしない
そして、相手に対し思い遣りの心を持っていれば、それは別の形で帰ってくる。今回のように透がバイトの時間を遅らせ家を訪ねてくるなんてことも有る。
思いも依らぬ形で咲の不満を解消してくれた透。このように感情を容易に揺さぶってくるというなら、確かに咲にとっての弱点は透になってしまうのだろうね。
あの親友三人組が揃う光景はやはり心が温かい気持ちになるんだよなぁ
ゲーム世界にまで来て学園生活が始まったと思ったら今度は文化祭とは。本当に色々な面でフリーダムな作品だね
事前準備もなしに文化祭が始まる展開は唐突だね。積み重ねが無い。
そんな文化祭と同じくメディ母の対応も積み重ねが無い理不尽なものばかり
メディ母は真々子が模擬店をすると聞けば勝負と思い対抗するが、真々子はそんなつもりは無かったからピンと来ない
真々子の食事処が人気と見ればメディを脱がせ客寄せパンダにしようとする。それはカフェとしての積み重ねの無い行為だね
更にメディを使って真人を籠絡しようとするが恋人らしい積み重ね無き交際は虚しいだけ。真人には通じない
メディ母の無茶な遣り様は敗者のそれだけど、自分ではなくメディを負けさせているメディ母の中に敗北感は積み重ならない
自分には痛みが無いから、メディに無理強いをさせ続けてしまう。
対してメディの中には様々な感情が積み上げられていく。母を信じついて行こうとしたこれまでを裏切るような母の仕打ちに不満と共に本当の望みが顔を出す。
既にメディを何とかしたいとの想いを準備していた真人達は直ぐに応えたね
その後の腕を組む動作は友達としての関係性を始める為のもの
そんな明るい場所に向かって変化し始めたメディを邪魔するに留まらず首を掴み、自分本位な願望を露わにしたメディ母は本当に酷い……
積み重なり過ぎて遂に暴発したメディの闇。メディ母は母親としてこれに向き合う事は出来るのかな?
饅頭怖いならぬ大福怖いに引っかかってしまうシャミ子可愛い
月4万円生活の呪いが解けたお祝いにたくさん買ったタイミングで冷蔵庫が駄目になるとか吉田家の不運っぷりはもう呪いとか関係なくなってきてる気が……
ただ、その余波によってシャミ子は桃に食材を届ける流れになったのだから結果的に良かったと見るべきか
他にもシャミ子は最近習っている料理を桃に食べさせようとしていたりと、二人のの距離はどんどん近づいていくね。今回はお決まりの「これで勝ったと思うなよ!」もなかったし、二人の仲はこれから更に縮まっていく流れか
苦手克服の為に頑張るシャミ子と桃がいじらしいね
シャミ子にとって最初の頃の桃は苦手な相手だった。夢に侵入する時も「調子が狂う」なんて言っていた。
けど、今は料理を届けに行くし、一緒にベンチに座って話もする。前回は脅迫気味だったけど、既に自分の意志で街を守る気でも居る。
シャミ子はいつの間にかちょっと苦手だった桃と友達のように接する術を身に着けていたんだね
桃は苦手な物なんて無いように見えるし「大福が~」なんて言い出した時はギャグにしか見えなかった。けど、姉が居た昔を思い出してしまうからと何年も食べていなかった苦手な物であるのは事実
だというのに桃が苦手な大福に向き合う気になったのは弱った自分のためにシャミ子が色々と頑張ってくれていることを知っているからなのだろうね。もしくは姉が居ない寂しさを埋めるような繋がりを見つけたからなのかな、なんて邪推もしてしまう
最後は二人並んで仲良く大福を実食。もう二人は親友のようにしか見えないね
……だとしても夜になっても巨大タイヤにシャミ子を縛り付ける桃はやはり怖いが
小さい頃の約束を覚えているどころか今もそのつもりで居たザックがとてもピュア(笑)
ルカは驚きの植生について「曖昧でいいんすよ」と自分の体を指して言うけれど、「それはさておき」と流されたように今回の状況は曖昧さを許さないものばかりであるように思えた
冷凍睡眠から目覚めたポリーナは当然地球帰還の希望を抱く。その空気の前にカナタ達は曖昧に誤魔化すことを許されない。自分達も動けないことを明かさざるを得ない
この星の植物は心臓のようなものがある曖昧な存在だが、結局は植物であるために光合成を遮られたら動けなくなる。それはあの怪物のような植物が何物であるか示す証拠でも有るね
ザックから似顔絵を貰っても何の反応も返さない父親の表情は曖昧だが、後でゴミ箱に捨てられた似顔絵を見れば父親がどう思っていたか判ってしまう。子供心には残酷な真実
ポリーナの仲間を探した先では死体は見つからなかった。それでは生死は確認できないが、IDタグと植物により間接的に仲間の死が判る。それは悲しみと共にポリーナに旅立つ決断をさせるものになる
一方で曖昧さが許されないことで好転する場合もある。
自分の夢を明るく語るザックから夢は無いと思われているキトリーはそんな鈍感さに自分の夢は叶いそうにないと感じてしまう。それは夢を曖昧にしているからこその通じない会話、キトリーは苛立ちをぶつけるように本当の夢を明確にしてしまう。……それにピュア度前回で返したザックにはやはり笑ってしまうが
この旅は辛いものであり命を懸けたもの。それだけに宇宙に対しどう思うかという答えを曖昧には出来ない。困難を乗り越えれば希望が見えてこの旅も悪くないと思える部分もある。
再び宇宙に出たいという想いを明確にしたカナタはやはりキャプテンの器が有るね
一方でキトリーとフニシアのDNA鑑定は曖昧さを一切許さない。同一人物なんてありえない真実が明らかになる。ここに記憶移植とか不穏なワードを絡めて考えると嫌な予感が……
それはさておき、あの鑑定結果が示されたシーンでは年の離れた双子なんて懐かしいネタを思い出してしまったよ
遂に街雄が服を破っても驚かれない日が来るとは
どんどん広がるジム仲間の輪。今回は先生二人が加入ですか。呉先生とかこれ以上鍛える必要なさそうに見えるんですけど……
Bパートの登山、早速バテていたが山登りに相応しい歩き方を教わってからはグングン歩き出した三人。が、そもそも登山は山を楽しむ事が目的であって、歩く行為に楽しみを見出してしまったら周りの風景なん見えないし、道を間違えてしまうのも仕方ないというものである。
また、遭難した際も大人しくするとか元の道を探すのではなく気に登る選択…
ひびき達はいつの間にか判断力まで筋肉に支配されてきたような気がするよ?
ストーカー少女にロリコン少年と変態同士の恋愛模様のはずなのに、普通に見れる内容になっているのは驚き
これも全ては小春がストーカーしつつも翔馬に純愛しているからなんだろうなぁ
小春は今回のWデートの中でもこっそり撮影してしまうし、以前は翔馬に近づくことより影から撮影する行為に嵌ってしまったりと色々なヤバさを感じるのだけど、自分の想いを伝えるというその一点においては真っ直ぐな想いを持っているね
慧輝に後押しされなくても告白する決意を固めていたし、ジンクスアイテムはしっかり装備済み、翔馬に告白する際も正面から相対しリボンの色を明かした上でのもの
それだけに翔馬の「僕はロリコンだから」というのは小春の想いに向き合っていない卑怯な振り方。でも、そこに苦しさがないわけではなく。
慧輝がきちんとその感情を突いた上で再び小春のフォローに回る動きは良かったなぁ
最終的に翔馬は「友達から始めませんか」とこれまた評価に困る返し。更にそのタイミングで大量の隠し撮りが発覚。ちゃんと恋人になるにはかなり難しそうに見えるストーカー少女とロリコン少年の組み合わせ。
ちょっとどうしようもない組み合わせでは有るけれど、二人の想いの始まりにある風景は飛んでいった帽子を拾った、なんてごくありふれたものであるのはこれまた面白い点
探検が終わったけど刃物以外の大きな発見はなく、煙を辿れど他人を見つけられもせず。そういった拍子抜けからか、今回はちょっと息抜きのような雰囲気を感じさせる回。久しぶりの入浴もしているしね
ただ、息抜きする空気の中でもサバイバル環境らしく命の危機に繋がる要素もあるのはきっちりしているね
紫音達は柚子湯を楽しむけど、そもそも柚子は食糧のはず。厳しい環境下で食糧を使って娯楽を楽しむのはどこか危うい考え
ほまれはロープを拾うためにひょいと落ちるけど、それだって紐付き石で水の深さを慎重に測ってからの飛び込み。ほまれだから大丈夫だけど、下手したら大怪我したかもしれない行為
明日香がどうせ濡れてしまったからと軽い気持ちで海に入って二度も感電してしまうのは判りやすい油断だね。こちらは本当に命の危険に繋がったかもしれない事案
こういった危険があっても何だかんだ呑気な雰囲気を維持できているのはやはりほまれが皆の行動を管理しているからなんだろうね。それだけに奔放な明日香や紫音がやらかせばやらかすほど、ほまれの心労が溜まっていきそうな予感(笑)
織田三兄弟の見ているものの違いがこれでもかと描かれた回
信長は気になる生駒の屋敷に来てもそこに貿易商が居ると知ればそちらとの話に夢中になってしまう。また、弟の死を知っても軍を動かす大義を気にする。
信長は対外的な関係を重視するタイプだから、信勝の内面でどのような感情が荒れ狂ってるか知らないまま
信勝は秀孝の部屋に居るシーンでは小さな籠に入った小さな虫に興味を示した。また、信長への叛意を示す家臣を宥める際には兄弟の絆を重視して反対する
だから秀孝が死に自分の手紙が信長に読まれていないと知れば、大局を見ている信長を許せない心が上回ってしまう
秀孝は戦の世において虫を愛でるなど浮世離れして現実を見ていない。そんな彼だからこそ手紙をこっそり渡してもらったり、謀略の切っ掛けなどの役割を与えられたりする。
そんな彼が現実的な営みの場である狩場で殺されてしまうのは何とも因果な話
織田家が揺らぐ中顔も合わせられなかった兄弟が見ているものの違いから遂に対立関係へ。結局、信長の味方になってくれる人はとても少ないという構造は変わらないのね
先週の素晴らしい動ある回から、静が支配する回へ。
その中でも柱である冨岡としのぶの戦いぶりは強者の力を感じさせるね。二人共前回描かれた炭治郎のような熱い強さとは違い、冷たく静かな強さは逆に二人の柱としての実力を強調しているように思えた
前回、炭治郎と禰豆子の絆によって累が示した偽物の絆が打ち破られた。それを受けて、今回は累が理想とした偽物の絆の形が再び描かれた感じかな?特に蜘蛛家族の描写は原作に無いものだったので、この様な形で描かれたのは意外な驚き
この回を見て改めて思うのは累がとことん絆の本質を理解していないこと。累は見た目が整っていれば、それがそのまま本質に結びつくと思っているフシが有る。
炭治郎に追い詰められて逃げるため自分の首を切ったことを「負けてない」と考えている。首が繋がっている見た目は確かに累が敗北したように見えないが、そもそもそんな逃げを打たねばならなかった時点で実質は負けのようなもの
累はそれを徹底的に理解していない
元々は全く別の顔だった鬼達と血の盃を交わし無理やり顔を変え食卓を囲む蜘蛛一家。けれど、食器に何も入っていないようにその絆の中身は空っぽだ
同じ様な見た目の者が揃って座っている光景には家族らしさを感じるが、その実は強い鬼である累に守ってもらいたいという非常に利己的な考えによる集団
そこには絆なんてものはない
ただ、姉蜘蛛と共に逃亡しようとした鬼だけはまだ人情を備えていたのかな?しかし、姉蜘蛛だって絆を理解していない鬼の一人。誘いを平然と裏切り保身を図る
姉蜘蛛が自己保身の為に行動する傾向は他にも描かれているね
累につい逃亡を勧めてしまったのは鬼狩りの驚異に晒されもしかしたら累でも敵わないかもと思ったからだし、しのぶに嘘をついて許されようとしたのも少しでも助かる余地を増やそうとした為
累だけでなく姉蜘蛛だって絆を理解していない。きっとこれは鬼全体に共通していることなのだろうね
母蜘蛛の問いによって累は自分が求めていたものが家族の絆そのものではなく、絆を通して記憶を取り戻したかったのだと気付く
そして、再び首を飛ばされた累が目を向けるのは妹に覆い被さるようにして守る兄の姿。本物の絆を示す姿
次回は累が家族ごっこを始めるに至る動機が描かれるのか。鬼滅の刃は敵のこういう部分をきっちり描いてくれるから好きなんだよね
今回の話を見て「燈路うぜぇ……」とか思ったら負けなんだろうな。というか、嫌味連発な燈路を前にしてあたふたとしつつも嫌な顔を一切しない透って何なの?天使なの?
一時大変なことになっていた杞紗、彼女を心配していたのは他にも居たんだよと判ると同時に十二支が特定の誰かに想いを寄せる大変さが改めて見える話
燈路は邂逅早々から透に攻撃的。靴を拾わせたり、手帳を奪ったりとかなり酷い行動
ただ、これは杞紗が大変な時に何もしてやれなかった自分への憤りの裏返しでもあるんだよね。自分への義憤を自分の中で消化しきれないから他人への攻撃として現れてしまう。相手がぽっと出でありながらあっという間に杞紗の支えになってしまった透であるなら尚更のこと
そんな行動がガキでしか無いことは燈路も判っているけど、自分を許せないから他人に当たるしか無い。
ただ、今回ばかりは色々仕方なかった気もしてしまう。自分の気持ちをはっきりさせたくて慊人に杞紗を好きだと伝えたら杞紗がボコボコにされ、申し訳なくて近づかないでいたら虐めにあっていたなんて子供の力じゃどうしようもない
でも、燈路はここでどうしようもなかったのだから仕方ないと自分を許さずに、自分に問題があったとしてもっと立派な大人になりたいと考える姿勢はとても素晴らしいもの
それこそ透が言うように勇気を持った好意であり、杞紗を守る王子様としての心得となる。
透が支払うはずだったクレープ代、それを変わりに支払った燈路。彼は年上の女性に奢った。それは背伸びであっても尊い一歩であるのだろうね
真々子に対抗するようにメディ母もセーラー服に……。それに留まらずプールの授業でもかなりヤバい水着を纏う母親達。
他人事だから笑って見られるけど、もし身内だったら相当キツイな……
相変わらず真々子とメディ母は対象的な描かれ方をしているね
メディ母はひたすら自分の子だけを活躍させようとする。そのためなら実際は不味い食事だって幻覚で素晴らしいものに見せようとする。又、メディが他の子を褒めることすら許さない
真々子は皆を活躍させようとする。そこで成果を出せば真人を褒めるのは勿論他の子だって褒める
連携が鍵となるプールの授業でもそれは変わらず。それどころか、別の面も見えてくる
真々子は真人が一番だと知っているからと応援し、最終的には真人を引き立てるような形でボス撃破に成功する。授業後は真人に抱きついて喜ぶ
メディ母はその逆。一番になりなさいときつく言いメディの動きを止めてしまう。授業後には「恥ずかしいと思いなさい」と叱責。堪らずメディは暗黒面が噴出する
メディ母の他人からどう見られているか気付かない視野が狭い教育の根幹に有るのは、真々子を見て放った「この私があんなのに負けるなんて」という発言にあるように思えたよ
自分を輝かせる為に子供を利用するなら、そりゃ子供の気持ちなんて見えなくなるわな
麺つゆも出汁も知らずに今まで生きてきた桃の生活環境ってどうなってるの……?
だとしたら、デミグラスハンバーグを失敗でもあの形まで作ったのなら、桃は相当頑張ったのだろうね
ほのぼのしつつも伏線多めな本作、今回の話でシャミ子と桃の関係性が大きく変わりそうな要素が幾つも
シャミ子、魔力絶好調につき桃の潜在意識に潜ることに。この時、シャミ子が桃はそんな事言わないと反発したり、桃を洗脳することへの忌避感を示したりと珍しい反応
対立する陣営の桃にペースを崩されてばかりのシャミ子だけど、かといって桃を単純な敵とせず桃のアイデンティティを尊重している面が見えるね
桃も魔力がガッツリ減った影響から対立関係のシャミ子に協力を乞う流れに
これはシャミ子と関わる内にシャミ子が危険な存在ではなく、本質は皆が仲良くなることを願っているとか、自分を看病するために甲斐甲斐しく色々してくれる優しい性格であるとかそういう点を理解したからだろうね。
……もしかしたら、シャミ子が潜在意識を大掃除した事も関係しているかもだけど
相手と関わることで普段の調子を維持できない描写は今回も変わらずあるね
シャミ子は言わずもがなだけど、象徴的なのは桃の潜在意識に潜る闇ネタが「貴様と一緒にいると調子が狂うんだ!」。
桃は桃でシャミ子の為に試行錯誤したハンバーグを見られまいと慌てて走り出したら転んでしまうなんて珍しい一面が
相手と関わると碌な事にならない二人。でも、だからといって反発ばかりじゃ何も変わらない。ペースを崩してくる相手であっても関わり続けることで得られるものも有るんだろうね。「自分の駄目な所が人にバレることを怖がっていたら何時まで経っても前に進めません」というシャミ子の台詞はそれをよく表しているように思えた
シャミ子お決まりの台詞である「これで勝ったと思うなよ」を小声で言った桃は魔力吸収で弱り、看病されている。いつもと逆の光景。
ひっくり返り始めた二人の関係、それが今後どの様になっていくのか垣間見えるシーンだったね
ザックの「今までが順調過ぎただけだ」というセリフが酷く象徴的。彼の言う通り、子供だけで突然遭難したにしてはカナタ達ってかなり順調な旅をしてるんだよね。何か問題が発生しても力を合わせてその問題を解決してきた。
ただし、今回の問題ばかりは最早どうしようもない。まさに行き止まりの様相
シャルスが嘘の理由を説明する冒頭のパート。
シャルスは貴族の生まれでありながら平民の子と仲良くなった。塀の穴を抜けて身分の違う二人が仲良く遊ぶシーンは身分を超えての繋がりを感じさせる。けれど、その行為によってセイラは事故に遭い離れ離れに。
何処に行ったか判らなくなってしまえばもう繋がることは出来ない。最早行き止まり
また、あの話でカナタ達はシャルスの話に泣いてしまいそれ以上の追求ができなくなってしまった。裏切り者探しの行き止まりとなる
惑星イクリスは訪れた者を拒むかのような死の惑星。唯一着陸できそうな地帯を飛行しても食虫植物や突風によって航行が邪魔されてしまう。それによってアリエス号は不時着、航行不能に。突然訪れた旅の行き止まりだね
旅の行き止まりは同時に地球に帰れないという事でも有る。それはキトリーからすればやりたかった事が何も出来なくなってしまう意味も指す
ただ、行き止まりに陥ったからといって何も出来ないわけではなく、食糧確保などで目の前の作業で気を紛らわす事はできるし、冷凍睡眠装置で待ち続けるという究極の選択も残されている
同じように、どうにもならない行き止まりの中でも良い変化は見られたね
家族や友人を失い人生をやり直したシャルスはセイラの為に泣いてくれた仲間達を見て「家族」だと感じられた。
冷静で居ることが役割だと自分に課したザックは泣き喚くキトリーに冷たい道を示しながらも、「一緒に生きよう」と寄り添う道を選んだ
また、同じ様な境遇で冷凍睡眠を選んだ女性を見つけた事でカナタ達の行き止まりに変化を齎す事はあるのかな?
それにしてもシャルスの「済まないセイラ」という台詞は何を意味するのかな?
嘘がバレた際には目を開く動作、先の台詞を言う際には目を閉じる動作。これは何かの繋がりを意味するのだろうか?
話の内容に関係ない場所に居る筈なのにいちいちコメント付けてくる街雄が面白い(笑)
何時だって大食らいなひびき。焼肉屋の賄いを食べるシーンで一瞬「あれ?肉少ない?」と思わせてからの可怪しい食事量に吹いてしまった。数えてみたらカロリー量が5000超えてたんですけど……
あれを賄いと呼び、あの量を食べても太らない女子高生って何……
意外なところからジーナと里美に繋がりが。生徒にレイヤー身バレとか悲惨な……
一方でジーナが加入したことで話の広がりが多角的になったなーという印象。今回のアイドル描写だってジーナが居なかったら出来ないものだったろうし。…ただ、ジーナだからこそ筋肉アイドルなんてヤバイ方向性に行ってしまったわけだが
アイドルとしてどうのこうのよりもデッドリフト完遂に沸く会場や里美に笑ってしまった
そういや、牛肉って一口に言っても部位によってカロリーや栄養素はかなり異なるのね。特にカロリーの違いとか勉強になったな
今回は島内探索回。だから、今まで見つからなかったあれやこれやを発見していく
探索の中で色々発見するけど、発見したものについての本人の反応、皆の反応がそれぞれの立ち位置をよく表しているようで面白い
睦は船着き場を発見。人が居た形跡では有るけれど、それ以上のものではないからほまれの反応は限定的。睦もそれが判るから発見にこだわらない
明日香はゆずを発見。食欲に正直な彼女らしく食べ物を見つけられてご満悦。他の人も味わえるからゆず発見は笑顔を齎すものに
紫音は人家を発見。しかし、発見時の反応が過剰だったから、逆にボロ屋だと判ると逆に皆を落胆させてしまう。
そして、作品的に大発見と言えるのはほまれが見つけた刃物。ここまでテンション高いほまれって初めてみたような……。ただ、その発見はサバイバル上級者にしか判らないから、皆はほまれを変な物を見るような目で見る展開に
最後に皆で煙を目撃。これまでの発見と別ベクトルの発見は次回への惹きとして充分だね
信勝が遂にあっちの世界の住人に……
そろそろ織田家内部の抗争が表面化し、今川による侵略も現実味を帯びてきた頃。内憂外患の様相だからこそ、兄弟は信頼しあわなければならないが周囲の人間が単純な信頼を許してくれない
正月の宴に招いても今川の侵攻でおじゃんとなり、何度手紙を出しても信勝からの返答は一向にない。
ようやく返ってきた手紙の誕生祝いに信長は信勝の顔さえ見れればと思っても、場所が戦場で土田御前の影響もあるだけに信勝は挨拶もできない
信頼ある交流が上手く行かず、不穏な空気が立ち込める
ただ、信長も信勝も互いが裏切るなんて欠片も思って無さそうな点はやはり変わらぬ兄弟愛を感じさせるね。…一方でその行き過ぎた信頼が実際に裏切られた時、どうなるのかと心配になるが。
吉乃と再開した信長、津々木に籠絡される信勝。状況が大きく変わりそうな予感
…あんまり自分には判らないが、この回はBL的視点で見れば美味しい展開てんこ盛り…だったりするんだろうか……?
ヒノカミ神楽演舞~特殊EDまでの流れや演出があまりに神懸かっていて、心が震えてしまったよ
前半で善逸の状況を通して走馬灯について説明し、終盤でそれを活かした形で炭治郎の過去から逆転の一手を引き寄せる。更にそれが竈門一家の絆を表す展開にも結びつくのだから堪らない
あれは今年放送するアニメの中で1,2を争う名シーンになるのではないだろうか?
鬼でありながら家族の絆を求めた累の在り方はかなり異常なもの
十二鬼月として最も強いのに、家族を求め自身は弟として存在する。親は子を守り、兄姉は下の弟妹を守るべきと言う彼は姉に対して辛辣に当たる。力で従わせようとする。
彼が求めているのは目に見える絆。家族であるとか、命を懸けて庇うとかそういうもの。それがあれば強い絆であると信じている
これはかなり本末顛倒的。相手の意志を無視しているから、蜘蛛の糸で無理やり従わせている。己が望む振る舞いを強要している
ここでは蜘蛛の糸は偽物の絆の象徴として存在している
対して炭治郎は相手の意志を何より尊重する
母蜘蛛が自ら死を望んだ際には優しい太刀筋でその首を断った。姉蜘蛛が酷い目に有っている場面を見ればその絆は偽物と断じた。禰豆子の意志を無視して妹にしたいという要求には怒り心頭になる
炭治郎の方には明確に本物の絆と呼べるような象徴は存在しない。でも、だからこそ逆説的に絆で結ばれていると見ることも出来る
しかし、十二鬼月である累は圧倒的だから多少の覚悟や強さでは倒せはしない。禰豆子は宙吊りにされてしまうし、炭治郎は血鬼術により死が目前に迫る。二人共に偽物の絆の象徴である蜘蛛の糸で思うような振る舞いができなくなってしまう
なら、偽物の絆を打ち破るのは本物の絆となる。炭治郎が走馬灯の中から取り出したヒノカミ神楽は代々継承してきた技であり、継承した行為そのものが家族の絆だ
そして、母の幻覚から「今なら出来るはず」と血鬼術発動を後押しされた禰豆子を支えたのもやはり家族の絆だ。
累にはきっと認識することすら出来ないような見えない絆が、他者に振る舞いを強要する偽物の絆である糸を分断し、累の首すら切断する展開は爽快そのもの!
本当にこの回は素晴らしい内容だったよ。
少年少女にとって夢や希望が叶いそうな異世界まで来て、親の監視下で学校に通うという地獄模様
特にメディのストレスは割と限界っぽい印象。次回あたり親への反抗が描かれたりするのだろうか?
メディの母親が他人の邪魔をして自分の子供だけが活躍できる環境を用意しようとするのに対して、真々子は外部からの邪魔が入らない環境を作り誰でも活躍できるようにする対比
……その割に真々子が一番ポイントを取得してしまうのは本末転倒気味だけど
我が子の為という理由で他者の妨害を平然と行ってしまうメディの母親。その傲岸不遜な態度が打ち砕かれるシーンが早く見たいね
何でもネガティブに捉えてしまい、すぐ謝罪行動に移る利津と満を手玉に取る紫呉が本当に鬼
紫呉から離れてしまえば、そんな鬼の所業から逃れられるんだろうけど紫呉は離れられない状況を作ってからイジっているんだよなぁ……
その癖、何の文句も言わず原稿を書き直したり満を気遣って利津に送らせたりと配慮もしているのだから尚の事厄介なのだけど
そういう訳で利津登場回。怒涛の謝罪芸はある意味キャラクターが立っていると見るべきか。
そういや、こういう中性的キャラクターって一昔前は女性声優が演じるものだったけど、今は普通に男性の河西健吾さんが演じてるんだね
過度な謝罪癖は自己否定や他人へ与えるネガティブな影響に感性が敏感である事が原因かなと思っているんだけど、利津はその傾向が強いのかな?
物の怪憑きである自己の在り方を否定するかのように女装しつつも、同時に女装する自分を恥ずかしいと思っている。原稿を汚した際には、原稿を担当さんにとって命より大事と言い自分の命で償おうとする
そんな利津が欲しているのは自分を恥ずかしいと思わない自分なんだよね。でも、そう考えてしまうことが現状の自分の否定でも有り……
利津に捧げられた透の言葉が素敵だね
利津が現状の自分を完成されたものでありこれ以上変化しようがないものとして扱ったのに対して、透は利津の在り方を生きている、藻掻いている途中のものだとして扱う。変化の可能性を滲ませる
利津に言葉を投げかける中で透は足を滑らせ落ちかける。しかし、みっともない姿になっても屋根の縁に留まった。そこから自分の力で立ち上がり言葉を続けた
その透の言葉を裏付けるような一生懸命に藻掻く姿勢は利津の心に響く。そして今の利津を肯定し、これからの利津の在り方に目を向けさせる言葉に利津は同調できる。
その同調は利津だけでなく、利津と同じようにネガティブに自分を否定していた満にも届く。二人の気が合っていく
一人だったら大変な自己改革も二人なら実行できる。特にその先に同じ望みが有るのなら
謝罪芸持ちの二人が気分を入れ替え、未来へ目を向ける様子が優しさに溢れた情景で描かれた回だったように思う
危機的事態に対応するはずの危機管理フォームが別の危機を呼びそうなカオス。あの格好で町中を歩くのはどうやっても無理ですよね……
シャミ子はとてもポンコツですぐ桃の手の上で踊らされてしまうけど、簡単に負けを認めようとはしない。ポンコツであってもシャミ子なりのプライドが有るということだろうね
そして、シャミ子が格好をつけたい相手はもう一人いて、それが妹の良子となる訳だね。
初めてのバイト代が手に入れば桃への返済も行うが、それと同じくらいの重大行事として妹へのプレゼントも用意しようとする。良子がシャミ子の為になりそうなものばかりチョイスしても、それを制止して良子が本当に欲しい物を買ってあげようとする
これは姉の鑑の様な行動だね
ただ、良子は既に優子より優秀そうなのが悲しいところだけど……
Bパート、シャミ子がPCをきっと落としてしまうだろうと予測して衝撃対策した上で上で、敢えて「絶対に落とさないでね」と念押しする桃のサドっぷりに笑ってしまった
腕相撲とアームレスリングが別物って初めて知ったよ
本作は筋トレ知識だけじゃなくて、意外な知識も披露してくれるね
新キャラのジーナ・ボイド登場回
登場してすぐにポンコツな空気感を醸し出しつつも自信を持ってひびきに挑んだらあっさりやられてしまうとは災難な……
と言うか、アームレスリングシーンでのひびきの顔が変わり過ぎじゃない…?ちょくちょく顔芸をする作品では有ったけど、あのシーンでは最早格闘マンガの雰囲気すら有ったよ!?
そして、この敗戦からジーナはひびきのストーカーと化すわけだけど、単純な復讐タイプになるのではなく気に入られる為にキャラを作ったり知っている筋トレを披露したりと結構フレンドリーなタイプ?
だからといって騙し討ち気味にひびきの家にホームステイする姿勢はやっぱり怖いけど
そういや、筋トレで鍛える部位を説明するシーンではお色気度の高い映像が流れる本作だけど、今回は特にお色気度が高い映像でしたね…
復讐者としては割とオーソドックスなタイプであったウルガーに対して、あまりにも複雑な家庭環境を持っていたルカは驚き。
と、同時に親と確執を持つ者がこの班に集められたのかもしれないという推論が気になる。前回登場した親たちのイメージが更に変わりそう
目の前に現れた不条理にどう対応するかが問われた回であったように思う
ウルガーは優しく接してくれた兄貴の不条理な死に対して、怒りを覚え銃の扱いを身に着けた。銃に因る復讐を考えた訳だね。
そして、マルコの息子であるルカを目の前にして自分と同じように家族の喪失を味わうべきと、相手にも不条理を押し付けようとする
しかし、既にルカは不条理の中にいる存在
跡継ぎにする為にと引き取られたのに、インターセクシャルな身の上から疎まれ更には後から生まれた弟が家を継ぐと決まってしまった
そんな生き様でも「オイラはオイラ」と明るく言うルカ。終盤のシーンでは自身の不条理を利用してウルガーをイジっているほど。だけど、同時に自分の死で父は悲しまないと考えている
それは不条理を生きてきたウルガーからしても「畜生!」と叫びたくなるほどの不条理
ここで二人を襲う津波も一種の不条理
この不条理に対してルカは枝に掴まって耐えるが、ウルガーは耐えず流される道を選ぶ。自分が死んでカナタが再び不条理な想いを抱えないようにと、自分だけが不条理の中に沈む道を選ぶ
ここでカナタが空からやってきて更にはウルガーを引き上げるほどの筋肉を見せつけたのは素晴らしいシーンだった
カナタはカナタで先生を助けられなかった不条理に打ち勝つためにずっと鍛えていたんだね
ザックから、兄貴の死について更なる黒幕の存在を示唆されたウルガーはたった一人しか殺せない銃で応じることを辞め、ジャーナリストになる決意を表明する
カナタ達の前で敢えてそれを表明することで、彼が真の意味で仲間になった瞬間であるように思えた
ラスト、カナタが自分を気にしてくれない不条理に苛立ったアリエスがシャルスにちょっかい出したら別方向の不条理を引き出してしまったという展開
本当に隠し事が多いメンツですね…
罠にかかった兎を前にしてほまれを呼ばずに自分の力で兎を殺そうとしたり、兎の解体を買って出た睦は無人島生活の中で一段も二段も成長していたようだね。何でもかんでもほまれに頼っていたら、ほまれの力を頼れなくなった時にどうしようも無くなってしまうからね
睦は結局、兎にトドメをさせなかったけど、睦の一生懸命さに触発された明日香が代わりにトドメを。
少し前まで普通の女子高生でしかなかった彼女たちが大きな勇気を見せたシーンであったように見えた
そんな勇気を見せた彼女たちにはやはりご褒美が有るべきで、紫音の無茶ぶりから始まった兎料理は意外にも美味しく出来たようだね
見ているこちらも食べてみたくなるくらいに美味しそう
他者の命を覚悟を持って奪う行為は命の大切さを知ることにも繋がる
だからこそ、か弱い兎の命を最大限味わった彼女たちの行動は称賛すべきだろうし、最後にきちんと「ご馳走様」と呟いた明日香は兎の命から得られた有り難みを理解しているように見えた
信長と道三の会見は割と逸話通りの描き方をするのか。この作品のアレンジバランスはちょっと面白いな
この回でそれぞれに求められていたのは己に相応しい生き方について。特に帰蝶についてはしっかりと描かれていたね
忍として育ちながら、ある時から道三の子供として利用されるようになった帰蝶。それが信長と出会い、信長に一人の人間としての価値を見いだされたまでは良かったがそうなると忍としての価値が薄くなる
信長を守ることばかりに気を取られて、斎藤義龍の策にまんまと嵌ってしまった点は彼女の忍としての力が弱まっていた証拠と見ることも出来るのかな?それを信長が機転を利かせて助けたのは良い展開
信長も自分の生き方を模索中であるように見える
第一話では民に貿易品を横流しし生活の足しにさせる優しさ、彼らの危機には立ち上がり庇う正義感を持っていた。
今回も同じように子供に書物を渡していたが、今の信長の有り様は既に戦国武将。子供からすれば自分の生活を奪う悪の存在
織田家内では家督争いが始まっており、信頼できる相手も限られる。信長からすれば自分の理想と今の有り様が乖離し始めた時期
そんな時期に出会ったのが斎藤道三となるわけか。義龍も嫌がる蛙や商いの話を切っ掛けに意気投合する様子は面白い
既に戦国大名として勇名を馳せている道三相手に戦の世を終わらせ誰もが望みを持てる世にしたい豪語した信長。彼の生きる道がようやく定まったようだね
もう一巻の終わりだ、という場面で現れる柱の頼もしさが素晴らしい
しのぶは謎めいた可憐さを持って瀕死の善逸のもとに降り立つし、冨岡は炭治郎と伊之助が苦戦した父蜘蛛を瞬殺してしまう。これほどまでの魅力を持っているなら、たしかにもっと早く登場してくれよと言いたくなるかもね
お婆さんの言葉、炭治郎の行動に影響されて少しずつ鬼殺隊士としての振る舞いを手に入れていた伊之助。それは確かに成長と呼べるものであるけれど、同時に外からの影響で急激に作り上げられたものでも有るから、伊之助の振る舞いとしてそのまま合うわけではない
敵を前にして考えて戦うなんて振る舞いは伊之助には似合わない。戦いの中で伊之助は「考える俺なんて俺じゃない」と自分を取り戻し、その上に炭治郎やお婆さんから掛けられた言葉を重ねていく。嘴平伊之助という人間に相応しい鬼殺隊士としての振る舞いを手に入れる。
脱皮して更に凶悪になった父蜘蛛から逃げずに立ち向かった彼の姿はとても格好いいね
一方で那田蜘蛛山の歪さを煮詰めたような鬼、累が炭治郎の前に姿を表す
那田蜘蛛山で登場した鬼は、鬼でありながら集団で存在し更に家族として振る舞っていた。母蜘蛛は子供達を守るように強要されていたし、父蜘蛛はひたすら「俺の家族に近づくな!」ばかりを繰り返す。これらの振る舞いは鬼として歪なもの。
そして、今回の描写からそういった「家族」としての振る舞いに最も拘っていたのは累であると判る
累は仲間という繋がりを薄っぺらいと馬鹿にし、自分たちは家族だから強い絆で結ばれていると主張する
けれど、そんな主張は間違っていることは明らか。特に長男として守るべき家族を持っていた炭治郎からすれば、姉の顔に平然と傷をつける累の振る舞いは「家族」として認められない。累が主張する絆など存在しない紛い物だと切り捨てる
炭治郎に言葉を取り消せと迫る累、決して取り消さないと譲らない炭治郎の戦い。二人の抱えた矜持がぶつかる戦い。その中で突然折れてしまった刀は炭治郎の力が負けていると意味するのか、それとも炭治郎の主張が負けた事を意味するのか。
次回のあれやこれやがどのように描写されるのか楽しみだ