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良い

イノ先輩が地学オリンピック、あおの転居問題
どちらも未知への世界に対する不安に満ちているのだけど、そこから導き出される感情は全く別物

地質を愛する者として地学オリンピックに挑んだイノ先輩。桜先輩にとっては別世界の話だった地学オリンピック。名前の仰々しさからして、ただ好きなだけじゃ踏み入れてはいけないような気がしてしてしまう
でも、第一歩を踏み出す決意をしたイノ先輩だからこそ踏み込めた世界なのかもね

でも、別の世界と思われたそこは結局は地質が面白くて仕方ないと思う者達が集まる場所で別世界などではなかった
そこで出会った冴木もイノ先輩と同じタイプだからこそ、一緒に小道探索ができる。写真の同じフレームに収まれる

イノ先輩が自己採点では駄目だったと言いつつ、楽しそうな顔を隠さないのは新しい世界を知ったと同時に自分と同じような趣味を持つ者が大勢居ると知れた高揚感が有るからだろうね

でも未知の世界に挑戦していたのはイノ先輩だけでなく、桜先輩も同じ
地質研だった彼女が空を見上げ、星の名前を上げるなんて以前なら考えられなかった行為
その楽しさを教えてくれた地学部に向けてのプレゼントはモンロー先輩含め自分達が味わった未知の世界の楽しさが凝縮されたものなのだろうね

そして明かされるあおの悩み。子供にとっては如何ともし難い親の転勤問題
あおにとっては行く場所も未知ならば、地学部にとってもその問題は未知の領域
だけど、解決するのは無理だと決めつけずに何とかしようとアイディアを出し続ける様からは彼女らの成長を感じられた

まともな解決策が見つからない中で示されたみさの一発逆転の手。それは状況を打開する手であると同時に視聴者的には美味しい展開に繋がりそうだけど…
みらとあおが同居するかもしれないという未知の展開。この先どうなるのか読めず、つい期待してしまう



とても良い

本人にはどうしようもない境遇の不利。施しを受けて夢を諦めるしか許されない絶望的な状況で育人を救ってくれたのは他人ではなく過去の自分
なんて感動的な展開

突然降って湧いた母の治療費問題。でもそれは母の「大丈夫」を鵜呑みにしていたことに因る先送り
育人の母は病に臥せっているが、それでも母の言葉によって育人は母の病状よりも自分の夢を優先できていた
それは母の庇護下に有ったも同じ

だから、母が本格的に倒れ庇護を受けられない育人は最早夢を追いかけるなんて出来ない。治療費を稼ぐので精一杯になってしまう
でも、育人は全てを捨てないからその状況でも夢を追おうとする
それは遠からすれば愚者の妄言

庇護を失った育人に迫られるのは大切なものを決めて別の何かを捨てること
遠からはデザイナーの夢、五十嵐からは心の夢。それらを諦めないなら家族の平和
高校生の育人が選ぶにはどれもキツイ選択肢

同様に千雪も辛い現状。数年かけて貯めたお金でパリに出向くも身長を理由に歩く事すら出来なかった
千雪が低身長により望んだ舞台に立てない描写はこれまでも有ったけど今回のは輪をかけて辛い
育人も千雪も自分の力ではどうしようもない壁を突きつけられて夢を諦めろと迫られている

だからこそ、誰かの施しではなく自分の行いで救われる展開には胸を打たれる
過去の自分の行いがあるから救われるに値する。服の価値が育人にはまだデザイナーとしてやっていけるのだと教えてくれる
あの服を着て自分と育人の可能性を示した千雪も同時に救われる

他者の庇護や施しではなく自分達の行いによって道を切り開いた育人と千雪
なんて最高の展開なんだろう、と思うと同時にラストの千雪の台詞があまりに素晴らしすぎるね



良い

異なる存在の者が歩み寄る難しさを感じさせた回
本作は異形集団の中で人間が生きる難しさを描くシーンが多いけれど、今回はその逆が描かれている

魔女のフェオドラが迷い込んでしまったのは人間の村。
村人達は異形を非常に警戒している。だからフェオドラは彼らの中で過ごす為には正体を隠さなければいけない
ただ、やり過ごすだけなら彼らと親しくなる必要はない。けれど、フェオドラはミヤを始め村人達に馴染もうとする。少女達の髪の毛を結い、染め物を共にする
そこには彼らに歩み寄ろうとするフェオドラの心が見える

でも、人間の臆病さがそれを不可能に……
見た目は恐ろしくても実害のない異形を問答無用で殺した村人達。「俺は何もしてない!」の言葉に耳を貸さず、むしろ言葉を発したことを「気持ち悪い」と思ってしまう感覚
それはフェオドラとは判り合えない断絶

だからフェオドラも怯え隠れ出ていこうとする。それでもミヤにもし私が異形だったら?と聞いてしまったのはまだ期待したい気持ちがあったからだろうね
結局はフェオドラは村人の前で正体を表すことになったけど、それによってミヤはフェオドラの必死の想いにも気付けたわけで

最後の最後、フェオドラを異形ではなく「友達だ!」と言い放ったミヤ。小さな彼女に出来るたった一つの、けれどとても尊い歩み寄りであるように思えた

そう思えば、ゴーレムとソマリが半ば侵入のような形で館長の傍まで行ったのは意味があったのだろうと想う
ハライソの伝記を読めば、魔女と人間の顛末を知ることは出来る。でも、フェオドラの願いやイゾルダの悔いに寄り添うことはできなくなる

異形を忌み嫌う人間達の中でミヤの想いを受け取ったフェオドラの心がイゾルダを通して異形の中で生きる人間のソマリに伝えられた
この先、ソマリが寄り添う相手となるのは人間となるのか、異形となるのか、それともどちらとも歩み寄ろうとするのか気になるね



良くない


とても良い

視聴者を容易く翻弄してくるあおいのホラに笑顔が止まらない
足湯でのホラは「ああ、いつものが始まった」と身構えられたのにラストのホラは予想外過ぎて……(笑)

なでしこはホラを人を笑顔にするものだと受け取ったけど、あおいの場合は他人の都合よりも単純に自分が楽しいと感じる最高のタイミングでホラを吹いているような気がするよ…?
まあ、それが結果的に周囲を楽しませているのだけどね



良い

前回、鋼人七瀬を倒す為に人々を合理的解釈で納得させる手法が示された
それが寺田の死によって時間的な制約がつくと共に整合性を取るハードルが凄まじく上がってしまう

人はどうしても衝撃的な真相や「もしかしたら」というものを想像してしまうし期待してしまう。紗季が馬鹿な質問と言いつつ寺田が幽霊になっていやしないかと期待していたように
そういった想像や期待は簡単に止められるものではない。止めようと思えば反論が不可能な別の真相をぶち当てるしか無い
そうまでしないと人々は想像や期待が思い違いであったと納得しない

琴子は事件の真相を目撃者を介して知っている。それでも合理的虚構を求める彼女はただ真相を求めるには不要である情報さえも知ろうとする
そうすることで真相とは異なる虚構を組み上げることが出来る
紗季が呆れているようにこれは最早推理ではなくトンチだね(笑)

でも、真相を求めるのでなければ可能になる方法がある。それが九郎の示した真実の積み重ねだね
何も一度に万人を納得させる必要はない。万人のそれぞれが最終的に納得できるなら偽りの真相は一つである必要性はない
分割された虚構はそれぞれにとって納得できる真相へと構築されていくわけだ

本作も役割の分割が行われ、それぞれがそれぞれの立場で必要な行動をとってきた
探偵役の琴子は事件の解決策を推理し、助手兼彼氏の九郎は鋼人と戦いつつも琴子を支えたり。紗季は探偵と警察を繋ぐ役として琴子に情報を。寺田は怪異を信じない者として現実的な手法で鋼人と対峙した
それらが最終的に鋼人を倒す虚構へ繋がっていく

そもそも、今回の九郎の行動は何かと琴子を支える描写が目立つ
琴子の前では嫌そうな顔を隠さない彼だけど、疲れている琴子にチョコを差し入れ、琴子がだらしない格好をしていても何も言わず、紗季の来訪時にも琴子が身繕いをするまで待った
何よりも琴子に最後の閃きを与え、彼女が寝た後には鋼人と対決する算段を立てた
彼氏として立派な振る舞いだね

そうこうしつつ物語は最終局面に入るわけだけど、そんな鋼人との対決前に示されるのは黒幕である六花の事情
ここまで伏されてきた九郎の従姉の存在は物語に別種のスパイスを加えることになりそうだ



良い

世代交代で新部長となったイノ先輩。部長に向いてないと考える彼女の今回の行動はどころそわそわうろうろしたものばかり
写真がぶれたように彼女は自分のやるべきことがはっきりせずぼやけている

観望会でもイノ先輩は空回り。まあ、地質班だから仕方ないけど……
代わりに他の面々はやるべきことをしっかりやってる印象
得意の絵を使って子供たちに星の知識を教えるみら
小難しい話から少女に一歩進んだ星の魅力を教えたあお
美味しいパンで子供たちの気を引いたすず

観望会を楽しいものに出来たみらとあおの気持ちは通じ合ってるように見える。別の場所に居ながら同じ星を眺める事でまるで一緒にいるかのように錯覚するのは第一話でもやったこと
けれど、今回みらは布団であおはベランダ。その身に纏う温かさの違いはそのまま熱量の違いに繋がりそうな予感……

役を降りた三年生は受験の真っ最中。
彼女達が志望校を教えなかったのは後輩たちに余計な心配をかけさせないため。桜先輩の気の利いた優しさは尊敬してしまう
モンロー先輩は厳しい状況のようだけど、彼女も彼女で自分のやるべきことに全力なのだろうと伝わってくる

そうした中でイノ先輩なりの部長像が垣間見えた気がした
休んだあおに対して「大丈夫ですか?」と問いかけ、翌日には「何かあったらいつでも話して下さいね」と。あおの異変を感じつつ、無理に問いただしたりはしない。けれど、気にかけている
小さいことに気付くイノ先輩の特性と部長像が繋がったような気がした

イノ先輩が進む部長像は何も三年生に倣ったものでなくてもいいし、まずは自分に出来ることをやってもいい
モンロー先輩の苦戦を見つつ、小惑星関連の纏めをするみらとあお。地学オリンピックを目指すイノ先輩
それら、踏み出した一歩の先に素敵な事があって欲しいと願ってしまう



良い

それぞれの流儀や戦い方が示される第7話
自分に不向きなフィールドであっても戦い方を心得ればやれないことはない
それでも……といった内容

身長が低くし撮影の趣旨にも有っていないが、それでも気持ちから溢れ出るオーラを纏ってやり遂げようとした千雪
しかし、心はそんな千雪をあっさりと、しかもモデルを辞めたいと思いながら上回ってしまう
そこにあるのはごく単純な持つ者と持たざる者の差
終いには舞台からも……

無理にでも心にモデルの仕事をさせようとする五十嵐も元はモデル。ショーモデルに向かなかった彼女は戦い方を選ばなかったせいで望んだ舞台も色褪せたものになってしまった
だからこそ、モデルとして天性の資質を持つ心が服飾の道に進むことを許さない
結局は彼女も心に「本気でやってよ」と思っている一人なのかもね

五十嵐が自身の経験から学んだ「人はやれることしかやれない」という考え
これは自分の限界は超えられず、型から抜け出せないという意味
だから同じ道を先に歩んだ者として引導を渡せと雫に要求する
なのに、雫は千雪が歩んだ道を後ろから歩いていき、いざとなれば慰める気で居る
五十嵐が言うのは道を歩く者の戦い方について、雫が言っているのは歩み終わった者が出来る支え方の話
戦いが終わった者は戦っている時とは違うことが出来る事が雫の発言からは見えてくる

だからこそ注目される育人の戦い方。
芸華祭は勝ち抜きたいが、心は応援したい。なら、優しくて全てを捨てない育人が心を支えようとする気持ちで選ぶ戦い方とは……
というタイミングでそもそも無事に戦えるの?と言いたくなるトラブルが……



良い

嘘や罪を乗り越えて、絆を取り戻しより強固にしたウゾイとハイトラの様子に胸が温かくなる
一種の帰結を得た二人を前にしてゴーレムとソマリも思う所があったようで

ウゾイは弱っていくハイトラのためにソマリを手に掛けようとしたし、ハイトラの罪を知ってもなお一緒に生きる道を選んだ。
そこには大切な者の傍に居たいという想いが有る
それを見せつけられたからこそ、ソマリもゴーレムと自分の有り様を見つめ直す。旅の目的である人間探しに目を向ける

ゴーレムはハイトラと同じようにソマリが大きくなるまで共に生きることは難しい。
ソマリに自身の限界を教えず、共に居ることはある種の嘘である
それでも同じように「子育て」に苦労したハイトラの言葉を受けて、ソマリが幸せに生きていると理解できた
少し安心したという事はそれだけ自分の嘘を気にしていたのだろうね

自分が人間の事を何も知らないと知ったソマリは魔女の村で随分積極的
でも、子供が積極的に動けば危険に鉢合わせることもあるし、それによって親が危険な目に遭うこともある
親が子供を守るなんて当たり前だけど、ウゾイとの関わりを経て庇護されるだけの存在から脱却しようとしているソマリには納得できない
ゴーレムが傷付いたことでソマリが涙を流すとは……

原作と話の順番が入れ替わっていることでソマリのリアクションが原作と比べて所々変わっている点は興味深い。
次回、人間に繋がるかもしれない記録に接してソマリがどう反応するのか気になるね



普通

王城の中はスバルの理解していないルールばかり。これまでは無理解のままでも成功してきた啖呵や口上もここでは不利に働く。騎士団を侮辱してしまうし、エミリアの望まぬ言葉を口にしてしまう
スバルの無理解さはエミリアを恐るべき存在ではないと示す言葉となるが慰めにもならない

王城のルールを理解せず、そしてエミリアの胸中も理解できず。だからスバルが口に出来るのは自分が知っている、これまでの行動の成果だけ
でも、そんな驕りを口にして「何故か」自分の為に助けになりたいというスバルをエミリアは理解できない
二人の擦れ違いは決定的となってしまう

お人好しすぎて損する性格な二人がここに来て互いの為を思って行動したことで結果的に相手の望まぬ行動をしてしまう
これからも無理解の連鎖が続いて更に擦れ違ってしまうのか、それとも相手の行動の根幹を理解することはあるのか。物語の分岐点であるように思えた



普通

王選を前にして王都に行くことになったエミリア。彼女の為になりたいと考えるスバルは必死に彼女に付いていこうとするのだけど……
擦れ違いが積み重なっていく二人の様子があまりに辛い

そもそも二人のすれ違いは早い段階から始まっている。
魔獣騒動の有った村への貢献を自覚していないスバルとそんな事はない、判っている人は居ると否定するエミリア。この程度の違いはまだ微笑ましい
けれど、二人の見えているものの違いが垣間見えるシーンでもある

エミリアはスバルに王選の事を何も話さない。遠ざけ、知らせない事で王選の中で生じるだろうゴタゴタからスバルを守ろうとしている
対してスバルはまずエミリアの傍に居ようとする。そして王選の事を知らなくても無理が出来れば助けになれると思っている

この二人の認識の違いはこの回でずっと続く。擦れ違ったまま状況は進んでいくものだから、王選を理解しているエミリアと理解していないスバルの間には分厚い壁が作られていく
遂にエミリアは「私を信じさせて」なんて言ってしまう。つまりスバルを信じられなくなる直前ということ



普通


良い

亡霊が鉄骨を持って跋扈する現実に勝る、鋼人七瀬など存在しないという虚構を求められる琴子
推理モノである本作で必要とされるのは真相ではなく、真相を覆す嘘であるという点は面白いね

琴子は虚構を立ち上げるために事前に事件について調べ、紗季から警察の捜査状況も知った。更に現場を見ていた亡霊の証言も得ている。普通の推理モノなら充分すぎる証拠だが、琴子が求めるのは真相ではなく虚構。
真相に繋がる物証よりも虚構をぶち上げる論拠を探している。極論、犯人すら必要としない

人々の納得を必要とするのだから、そこには合理的な解釈が求められる。合理的であれば人々は信じてしまう
そもそも、私達はニュースや本で見る情報のそれらが真相だから信じているのではなく、合理的だと感じたから信じているわけで
それを考えると琴子の狙いも充分成立しそうな気もする。これもある意味、視聴者が琴子の主張を「合理的だ」と感じたから納得できる展開とも言える

けれど、怪異なんて頭から信じないと決めている人間は別なわけで
寺田は怪異が跋扈する現実を信じず、人間が起こしているという虚構を信じ行動した。だからこそ、鋼人が本物の亡霊であった為に寺田は倒れた
生半可な虚構では立ち向かえないという突きつけられたシーンであるように思えた

これまでは現実に鋼人を見た者は少ないから、怪異の存在する現実を打ち破る道も容易かった。けれど、寺田の死によって怪異が人を殺す現実を虚構によって別のものに塗り替えねばならなくなった
鋼人七瀬対策が難事件に跳ね上がった事で物語は益々面白さを増していくね



良い

勝負に勝つためには様々な条件を必要とするけど、肝心なものを持っていない育人と千雪
二人の戦いは苦しく勝利の難しいものばかり

冒頭、千雪は全くタイプの違う育人を尊敬してると言う。それは千雪には無い、全てを捨てず両立する覚悟を持っているからだね
そこでは数多の努力を必要とするけど、時には努力をしても同しようもないものもある。今回の描写からはその辺りの厳しさも感じられた

予選を勝ち抜く為にお洒落な服を作る参加者たち。当然、参加者が審査員になれば他者をダサいなどとこき下ろす
でも、学園長が言ったようにお洒落に客観的な点数をつけるなんて難しい。そこで必要とされたのはお洒落な服を作れるかではなく、自分のお洒落を信じられるか

育人は自分の感性と千雪の言葉を信じたために勝ち進んだ。
けれど、お金というファッションを作る上で削ってはいけない部分を削ってしまったから最高の成績とはならない
育人にとって勝つためにお金は必要なんだけど、同時に長男として家族も大切としたい。どっちつかずで捨てられない彼は予選で一位にはなれない

一方の千雪はやはり身長が足りないからそもそも応募すら難しい
そんな状況では2年掛けて貯めた大金も有効活用できる目算はない。
かといって千雪が素晴らしいのは腐ること無く、自分にできることを最大限行っている点だね

そんな精一杯努力している千雪の前に現れるのが心とは……
持たないゆえにショーモデルへの道が狭い千雪、持っているがモデルへの道を志さない心
この相反する二人が出会ったことで生じるバチバチがどうなるか……



とても良い

ハイトラの為にソマリの血を欲したウゾイ。この瞬間、確かに彼女は人を襲う人外となったのだけど、結局は水に落ちたソマリを助けてしまう
なろうとした姿になれず、欲したものを手に入れられない

ウゾイとハイトラは、望んだものを手に入れられない描写が目立つ
ソマリを殺せなかったことでウゾイはハイトラが生き残る方法も手に入れられない。それはハイトラが死ぬも同じこと

対するハイトラも守りたかった者を守れず、欲したものを手に入れられなかった人間
人外が支配する世界での慎ましい生活を守れず、家族と生き残る為に化け物になろうとしてもなれず。
果てに知ったのは化け物と思った人外も子供を守る親であったという事実

ハイトラがウゾイの親の命を奪っておきながら、ウゾイの親のように振る舞っていたのは罪滅ぼしのため。けれど、罪を明らかにしないままの罪滅ぼしなんて意味はない
かといって審判役となるウゾイも望んだ形の断罪が出来ず悩む

ウゾイは他者の命を奪う無慈悲さを知ったばかりだし、ソマリの裏表ない言葉で自分の気持ちにも気付いた
だから、ウゾイは母を食ったハイトラを許しはしないが彼の死も良しとしない。両者とも苦しみながらも一緒に生きるという道を選ぶ
二人の哀しい選択は同時にとても尊いものだね

二人の選択はソマリ達への示唆ともなる
親役のハイトラは子供役のウゾイに嘘をついていた。これはゴーレムにも当てはまる。
ウゾイは罰の形でハイトラが変わらず傍に居ることを求めたけど、ソマリはゴーレムの嘘を知った時にどうするのだろうね?



全体
普通
映像
良い
キャラクター
良い
ストーリー
良くない
音楽
普通


とても良い

あおいと千明の馴れ初めが明かされる回
なんてことのない、小さな事故から始まったと思われた二人の関係。その実、もっと前に踊るような気持ちの中で出会いが有ったというのは胸が温かくなる描写
本当に大切な思い出ってそうそう口に出さないものだよな~、なんて思ってしまった

自販機のラッキーチャンスは嬉しい出来事だったけど、覚えていたのは千明だけ。けれど、今はラッキーチャンスなんて無くても三人は並んでジュースを楽しそうに味わう。そんな野クル三人組の姿に思わずほっこりとした気分になるね



良い

役者が揃ってきた事で物語の全容が見えてくると同時に普通の人間でしか無い紗季とそれ以外の差も見えてきてしまった印象
今回は異なる世界を隔てる境界線が明確に見えてきたように思える

冒頭、琴子と紗季は九郎と鋼人七瀬が織りなす戦いを見守るしか出来ない
鉄骨を操る怪物の前に出られるのは頭を潰される覚悟のある者だけ
身体的には普通の人間でしか無い琴子と紗季は自販機の向こう側の世界に入れない

そこでは九郎と怪物の違いはなく、紗季は両者を平等に恐れる。琴子は怪物の世界を見慣れているためか、九郎の不死性を保険の心配をしなくて良いなんて呑気に考えるが、人間の世界に居る紗季は九郎との子供や結婚を考えられず別れるに至った事情が話される

両者を隔てる境界線が壊れるのは琴子が自販機の向こう側に踏み出してから。鋼人は消え、九郎は朴訥した青年に戻る
かといって琴子はペースを握れない。紗季は境界線として機能した自販機からコーヒーを購入し九郎に渡す。この瞬間に九郎は怪物の世界から人間の世界に戻り、元恋人の世界を作り出す。
そうなると今カノの琴子はその世界に簡単に入れなくなる

紗季の部屋で展開される話も基本的に人間の世界での話。となると、元恋仲である紗季と九郎の間に微妙な空気が流れたっておかしくないが、紗季はベッドに、琴子は椅子に、九郎はその隣に座ることで両者の間に境界線ができ、紗季を必要以上に警戒させない空間となる
琴子はそういった二人の空気に気付いたから人間の世界に居ながら、紗季に九郎を諦めさせるために怪物の世界の話をする

人々の想像を媒介にして形を得る”想像力の怪物”。本来は噂話などの不確かなものに名と形が与えられて怪異となるわけだけど、鋼人七瀬はまとめサイトによって名と形を与えられ不確かな怪異となった鋼人七瀬。
このネットの世界に居る存在に対して現実の世界に居る琴子達がどう対処していくのか、そしてそれをどのように描いていくのか楽しみだね



良い

モデル活動をしながらもデザイナーを目指す心。初めてのショーが綾野麻衣であることから彼女のモデルとしての才能はかなりのものと推察できる
だから、彼女のマネージャーは心がデザイナーを志すことを気の迷いだと断じる
きちんと才能があるのに別の道に踏み入るのは誰に対しても失礼だと思える。けど、心はノートや部屋の様子から判るように恐ろしい程に本気。でも、その本気度は内面的なものだから他人には伝わらない
人に伝える為にはショーにデザイナーとして出るしか無い

育人は芸華祭参加者から貧乏だと笑われる。また、庇われたお礼をしたいと言えば甘いと批判される。育人の在り様は浮いてしまう
それでも育人は自分の遣り方を変えない。参加費が生地購入費と知れば切り詰める気で居るし、感謝を伝える気持ちも変えようとしない
言われたから辞めてしまうなんて流儀は育人にはない

それは千雪にも言えること
背が低いからとモデルの道を絶たれかけた彼女だけど、ショーモデルとしては小柄と言われたセイラを手本とする道を選び、家でウォーキング練習を繰り返す
171センチですら小柄と言われる世界へ挑戦することを千雪はまだ止めようとしない

誰に何を言われても自分の夢を叶える為に努力と挑戦を止められない三人が揃ったことで物語が本格的に動き出したように感じられるね



とても良い

星咲祭、それは地学部の活動成果を示す場所であると共に皆に地学に興味を持ってもらう場所となる
学生が主体となるから大規模なものは出来ないけど、それでも工夫に溢れたものになったね

勿論、活動成果は本番だけでなく直前の準備にも表れる
地質班が行う疑似ボーリング調査、そこでは野球部に協力して貰った。その光景は「よく判んないけど面白い」と評される
謎多きクールキャラとして見られていた桜先輩の部活動に打ち込む姿は一種の成果となる
同時に桜先輩も協力して貰い、無事にボーリングが出来た事で「無理って決めちゃうのは勿体ないな」と認識させるに至る。
そういった経験を味わえたからこそ新聞部に素直に感謝の言葉を挙げさせたり、先生の失敗を大笑いしたり。そういった変化を桜先輩に齎したのかもね

惑星を手作りする天文班。あおは木星、モンロー先輩は月をこだわって作る。こだわって細かく作れるのは普段から観察しているからで
また、目の前にある月がモンロー先輩に天文を志す夢を話させるきっかけとなるのは印象的

本番の星咲祭では様々なパネル展示に実物展示、お菓子や飾り付けが登場する
それらはごちゃまぜで纏まりがないように見えるけれど、地質・天文と遠いようで近い別ジャンルが混ざり合っていることで結果的に楽しい空間が出来上がったのだろうなと思える

それらは学生だけでなく家族達も観覧する。両親などはこういった展示を通して地学部に居る我が子の活動成果を見られるというわけだね。
とりわけ、口下手なあおの成果を両親に見せられたのは良かったのでは

そしてラストには三年生陣から驚きの発言。時期や地学部としての成果を纏められた今なら妥当とも言えるけど唐突ではある。
イノ先輩は先輩から後輩への受け渡しをどこまで受け取れるのかな?でも彼女なら問題なくできそうだ

そういや、クラスメートが来た途端にメイド服を脱いでジャージに着替えた桜先輩の挙動が気になるのだけど、あれはクラスメートに飾り付けた自分よりも普段に近い自分を見せたかったとかそういう意味なんだろうか…?



良い

似ているようで居てかなり違う二組。どちらも人間と人外、大人と子供という組み合わせは同じなのに、その内実はとても異なっている

ソマリとゴーレムの組み合わせはソマリの溌剌さから判るように、無邪気な子供役となるソマリ、ソマリを見守る大人役のゴーレムという組み合わせ
ソマリがゴーレムをお父さんと呼び、ゴーレムがソマリを庇護する関係から二人は擬似的な親子となっている

対してウゾイとハイトラの組み合わせは何処かしっくり来ない
サイズ感の違いは大人と子供のように見えるけれど、ウゾイがしっかり者であり病気を抱えたハイトラを気にかけているために大人と子供の関係性がすぐに当てはまらない

そう考えると、ウゾイがハイトラのために無邪気なソマリに手をかけようとするのも親鳥が雛のために餌をとってくる行為のように見えてしまう
けれど、ウゾイがただの親鳥にならないのはやはり彼女は子供役の部分もあって、同じ子供役であるソマリとどこか波長が合ってしまうからだろうね

性分か、ソマリの「どうして?どうして?」という質問攻勢に答えずには居られないウゾイ。二人の姿は姉妹のようにも見えてしまうし、本当の親をなくして変わりの存在と旅をしている境遇も瓜二つ
二人が仲良く慣れる余地は充分あるように感じられる

けれど、完全な子供役ではないからウゾイは大切なハイトラの為に別の存在を切り捨てることが出来る
自身に向けられる害意にソマリはどう思うのか、自分のために子供を手に掛けようとするウゾイにハイトラはどう対処するのか。
次回をどう描くのか気になるね



とても良い

レムはひたすら自分が持っていないものを求めてきた少女
姉のようになりたいと願い、役に立つ者になりたいと願い、最後には姉の角が折れたことに喜んでしまった少女

姉ならこう出来たはずだ、姉ならもっと上手く、姉の角さえあればと存在しないものを求め続けても際限が無い。

スバルにすぐに手を伸ばさなかったことを悔やんで暴走した果てにスバルとラムに助けられてしまったレム
その有り様は成長していないと本人を更に悔やませるものだけど、そんなことはスバルには関係ない
レム達の経緯を知らず、レムに助けられた経験を持つスバルは今のレムを肯定する
レムが拘泥するラムの姿を知らないと言い切り、爽やかな表情でレムの価値を認め、笑えと促してくるスバルは格好良い

小さい頃「見てて」と言って森で食料を取ろうとして失敗して以来、何もしなくてもいいと感じてしまった少女。けれど、スバルは今のレムだけを見て、今のレムが成した成果を基に彼女の努力を褒め、感謝の言葉を伝えた
ようやく笑えた少女の表情はとても素晴らしいものだったね



良い

魔獣から子供を取り返してスバルも助かってハッピーエンド!……とならないのがこの作品の厳しさ
逆にスバルの余命が明確になったことでレムが追い詰められてしまう理不尽

助かった筈なのに余命幾許もない。それは命を失いかけているも同様
けれど、スバルはこれまで何度も命を失ってきた。そこでスバルは決して死に慣れるなんてことはなく、むしろ命の大事さや「その後」に至る尊さを知った
スバルには失いゆく中で得たものがある

ラムは鬼でありながら角がない。鬼のアイデンティティである筈のそれがないことをラムはあまり気にした様子はない。レムに頼りっきりの現状も「頼るしか無い」ではなく「頼ることにしている」と言う
その様子はラムの言葉通り「無くしたことで得たものもある」状況なのだろうね

失ったことで別のものを得た二人が死物狂いでスバルを失うまいと戦うレムを止めようとする構図は印象的



良い

「カチカチ山」の話があっという間に「ウサギとカメ」と混同されてしまう描写には笑ってしまうし、写真撮影と見せかけてモノボケに走ってしまう三人娘にも思わず笑ってしまうね



良い

先週に引き続き相手を納得させる方法を模索する琴子と紗季
琴子は九郎が自分を放って行方知れずである現状を納得できず、紗季も琴子が九郎の彼女だと納得することが出来ない

琴子は自分が九郎の彼女であると証明するために一緒に居る写真を提示するが、九郎の元カノである紗季には通じない。というか琴子の出現からして納得できない
けれど、紗季が納得できていないのは琴子の存在だけでなく、九郎が人外である点にも納得できていないのだろうね

対して琴子は九郎が居ない現状には納得できていないが、居ない理由については納得している模様。また、九郎が持つ人間の範疇に収まらない在り方についても平然と受け止めている
その納得しきった姿が紗季には九郎の傍に居るに相応しい人間だと感じさせてしまう

そして肝心の鋼人七瀬、或いは七瀬かりんの顛末
あれよあれよとスターダムを駆け上がっていく筈だった彼女が足踏みして死に至ったのは父親の事故死のせい。生前の発言や日記によって世間が「彼女が犯人」なら面白いと思ってしまったことが原因
それによってかりんはアイドルとして期待される存在ではなく、犯人であればと期待される人間に変わってしまった

そんな彼女だからこそ、亡霊のような形で再び現れれば世間は納得してしまう。復讐に来たのだと思ってしまう
けれど、刑事の寺田がそう思わせる裏の意図を推察する辺りは流石といった所。しかし、そこに本物の怪異が潜んで居る点を今回も紗季は納得させられない

本物であれ偽物であれ不自然な存在である鋼人七瀬。どのようなアプローチを取るにせよ、理解し納得するためには情報が必要となる
琴子と紗季がほぼ同時にかりんの死の真相について知ろうとする流れは推理モノらしくなってきて面白さが増してきたね



普通

育人がデザイナーを志す理由を中心に据えながらも互いに想い合う家族の絆を描くAパート
優しすぎるあまり、家族のために夢を諦めていた育人。そんな育人に憤りを隠せないほのか。どちらも夢を叶えて欲しいと思うから、相手に譲ってしまう

そういった大きなすれ違いを育人が柳田の所で働くことでお金の問題も夢の問題も同時に叶え二人を和解させる
更にはほのかが自分の選択に憤っていたことを知った育人が久しぶりに自分の口で自分の夢を語るシーンは良いね

デザイナーの世界が広がるBパート
展示会は育人に服が売れる瞬間を見せるだけに留まらず、新たな出会いも齎してくれる
類まれな才能を持つ独立志向の遠、モデルをやっていたのにデザイナー志望としてやってきた心

助っ人を探していた筈が育人が助っ人として駆り出されるかもしれない事態。そこに芸華大でのファッションショーの話も絡んできて、デザイン方面の話がどんどん広がっているね



とても良い

自分はどのような方向性に進むべきか、というテーマの下に桜先輩とイノ先輩の人間性が深堀りされているように思えた

みらとあおの距離が縮まったことにヤキモチを焼いていると感じてしまうすず。彼女は混乱のあまり、勝負にならない勝負を持ちかけてしまう
そんなすずを見てイノ先輩が諭すのは「三人で親友でいいのでは?」とごく当たり前な解決法

イノ先輩は地図好きであり、小さな名付け札や前髪の変化など細かいことに気が付く性格であるためか、人に道を示すことが上手い。
迷走するすずに対して、みら達三人が一番笑顔になれる道を示してくれる

対して桜先輩は物事を難しく考えてしまうためか、道を見つけるのが上手くない
みらに小惑星を見つけた後が何に繋がるのか聞いてしまったのは、そこに意味を求めすぎてしまうから
同様にプレゼントのお礼に何を伝えるかで散々迷ってよく判らないテンションになってしまったのも桜先輩の性格が現れているね

文化祭の展示を考える際にもボーリング調査のアイディアに採用したのは良いものの、それをどう現実に落とし込むか行き詰まり、無理だと感じてしまう
次々とアイディアを出しながら立ち上がる周囲に対して一人だけ座る彼女の絵は辿るべき道へ歩み出せていない事を暗示しているかのよう。

勿論、イノ先輩は所々で桜先輩の仕草を見て、彼女の迷いを感じ取っているのだけど、先輩への遠慮があるのか桜先輩に道を示すことが出来ない
ここで更なる年長者であり学生に道を示す生業の幸が中途半端でもいい、無理と決めちゃうのは勿体ないと諭す展開は良いね

幸の言葉に思い直し、立ち上がった桜先輩。ここで彼女は自分が進むべき道を見つけたわけではない。けれど、物事は確実にしなければならないとの考えから脱することが出来た
彼女が歩き始めたその道の先に何を見つけるのか、次回の文化祭が楽しみだ



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