第二期で出番は多くてもヘマも多いティア。彼女の面目躍如となるEPであると同時にグレーテ以外からはあまり感じられない恋愛について触れたEPでもあるね
『灯』の中で最も引っ込み思案で恋愛に疎く見えるサラに訪れた罠。これを単純な復讐劇とせず、サラに自信を掴ませる過程としたのは工夫在る構成
当初、ティアが仕立てた衣装は過度に背伸びをさせずそのままの魅力重視。今のサラでもすぐに恋愛志向に成るのではないかと思えるもの
でも実態は恋愛詐欺。恋愛に未熟なサラだから騙せると踏んだ卑劣な罠
このままでは引っ掛かったサラが悪かったという話になってしまう
次にティアが仕立てたのはサラに背伸びをさせ、他者を魅了する姿。それは今の姿で無くても未来の姿かもしれない恋模様
詐欺師を恋愛詐欺に掛ける逆襲は恋愛に自信を持てずに居たサラの認識を変えるもの
また、クラウスに拠るフォローも良かったね
『灯』の少女達は恋愛志向に変わったわけではない
それでもサラの未来の恋心が守れた事は確実。その点に関しては恋愛マスターたるティアの実力が披露されたと言えるのかな
…だからこそ、グレーテの恋愛指南においてはポンコツになるギャップが今回の成果を台無しにしているのが勿体ない(笑)
失ったもの、取り戻したいもの、それは何だったのか問われるレオとフェンリルの決闘。それはきっと己を振り絞る中でしか見つけられないものだから、対等な条件で死力を尽くし邪魔を入れずに闘う
王位という立場を求め始まった筈の決闘は単純で原始的な願望へと集約したような
優位な立場を捨て対等にレオと闘うフェンリル。それは誇りだとかレオに屈辱を味合わせたい等ではなく、失ったものを取り戻す為か
かつての自分は対等な力比べで負けた。その時に失ったものを取り戻そうとするなら有利な立場で勝っても意味はない
この段に来て、フェンリルは取り戻す事と勝つ事が同じ意味を持つようになる
だから強さを否定する弱い王様であるレオは一度は負けそうになる
その彼に力を与えるのはやはりサリフィだね。彼が失いたくないもの、取り戻したいもの。その頂上に有るのはサリフィ
愛する者の為に立ち上がるレオの覚悟は誰にでもある原始的な闘争本能。それは復讐に生涯を捧げたフェンリルに匹敵するもの
そして、最期に己の命を与えたフェンリルの意図を考えると…
奪われた為に何も持たなかったフェンリルとニル。けれど、それでも二人が二人として生きてきたなら持ち続けた何かは有る筈で
国の王には成れなかったフェンリル。それでも最初から最期までニルの王様である点は決して変わらない事実だったんだろうなぁ……
聖女と牧師が働くレストランって何……
兎も角あのレストランは店員が一人だから忙しそうに見えた。でもそこに一人二人と加われば幸福度が上がる。人も集まる
今回はそういう趣旨のEPだったのかな
セシリアとへーゼリッタの女子会
ヘーゼリッタは独り哀しく死んだ聖女しか知らなかったからセシリアにはローレンと結ばれ一人で無くなって欲しいと願う
でも人に囲まれたセシリアは既に幸福なわけで。むしろヘーゼリッタの幸福を探るのは聖女ならでは
視える為に孤独だったアベルに声を掛けたのは彼が関わりたくなかったローレン。彼はアベルの力なんて知らなかったのに、関わるべきはアベルと確信していた
そこにあるのはアベルは嫌い、ローレンは気にしない見えない何か。それが二人を悪友として今も繋いでいるのだから面白い。お陰でアベルとローレンも幸せそう
「無言のフィッツ」から乙女成分が溢れ過ぎてて、いつルディは気付くんだ?って気持ちになってしまうね
シルフィとは異なるフィッツとの触れ合い方。ルディからは異性と認識されないが故に機能不全問題とは関係ないと思える相手との交流。それがどう変化するのか見守りたいね
ルディが「先輩」と呼び慕うフィッツ。彼女の言葉は視聴者的にヒントに満ちているからこそルディを鈍いと感じてしまう
でもルディの病が急に治せるものではない点を思えば、あのようにゆっくりとした穏やかな交流がきっと何らかの解決へ導くのだろうと思えるね
今は少し異なる道の二人、それが合流する日が待ち遠しい
ストーリー的に脇道に思える人形制作、でもストレートな遣り方だけが問題解決に繋がるとは限らない
例えば人形を魔術でも手先でも作れないザノバには修行よりも奴隷を使った方が良いように
異なるアプローチが問題解決に繋がる場合もある
だとしたら人形制作くらいにしか関係なさそうな奴隷購入も、ジュリエットとの出逢いとしてまた異なる問題の解決へ繋がっていくのではないかと思える。
同時に、フィッツやザノバとの交流も別の何かに繋がっていくのではないかと期待してしまうね
霊障を身に宿す螢多朗は霊に囚われた人間だから、これ以上危険な目に遭うとか身近な人を危険に晒す事を厭う
でも、悪霊に囚われた詠子を助ける為に奔走した今回、囚われの状態から抜け出す必然性に気付けたのだろうね。…それが真逆の結果を呼び込んでいるのは不幸としか言えないけど
これまでは自分の為に自分や詠子を守りたいという意思だったろうけど、詠子が螢多朗を求めるなら、詠子の為に自分や彼女を守るという意思へ変化する
それは螢多朗にとってオカルトとの向き合い方を変えるものであり、同時に社会復帰とは何か?の答えを彼に授けるものになっているね
…だというのに、螢多朗が大切な女性の為に出した答えが詠子によって誘導された答えというのが本当にもう……
螢多朗は呪いに打ち克つ為にオカルトを学び勝つ必要が有るけど、もう少しだけでも詠子の闇を知っておいた方が良いんじゃないかなぁ(笑)
『ホリミヤ』の登場人物って既に全員が友達みたいなものだけど、それでも珍しい組み合わせは存在するもの
桜と柳、接点の薄い二人がマンガきっかけで仲良しに。桜は柳の見た目に負けるけど、柳は桜の心に負ける。釣り合いの取れて無さが逆に釣り合うという不思議な関係
由紀の手を熱いと評す柳、柳の手を冷たいと評す由紀。温度の違いは何の違いか
また、由紀より自分の方が冷たいと評しながらそれでも手を繋ごうとした石川の温かさは何処から来るものなんだろうね
そしてそれを求めてしまう由紀の心とは…。色々と深く考えたくなる掌編
『ホリミヤ』において孤立気味な沢田は繋がる相手が居ない。でも逆にこれから多くの人と繋がるかもしれない可能性もある。それこそかつての宮村が堀をきっかけに友達が増えたように
自分の体験を語らずに沢田を励ました宮村はまさしく導入路
沢田を寒い場所から逃げさせた由紀とレミ。沢田のスペースを確保した仙石とレミ
そういった些細な手助けが最終的に沢田がクラスメイトと話す時間へ繋がったのだと思うと感慨深いね
それはそれとしてあの特殊EDは突然どうしたのか…(笑)
教育が終わりきらない前に襲いかかる敵。極限状態を前に総士以外の者も実は教育が未遂な面が見えてくるのは面白い
誰だって完璧ではない。だから学び続ける必要があって、その為には生きる必要もあって
なら逆に死を理解した者は物事をどう見ているのかと想像してしまう…
来主にとって死も学び。それが辛うじて哀しいものと理解しているが故に哀しさの真髄までは思い至らない
でも自分の言動が争いを呼んだ事は判るから反省し悲しむ。これもまた一つの学び
厳しく躾けてしまった羽佐間容子に対しどちらの立場も知る真矢がフォローするのは良いね
多数の子の誕生に関わった千鶴は皆の母であると同時に咎人
その他方で史彦とは良い雰囲気。それは母とも咎人とも異なる姿
いわば彼女は様々な愛を知る人。だから最期の瞬間には自分より史彦を優先出来て、更に微笑みながら彼を送り出せたのだろうな……
いや、本当に驚きの最期でしたよ…
『灯』において最も才能を有するモニカ。けど『灯』に居るという事は同時に彼女が落ちこぼれだと示唆している
天才なのに落ちこぼれ。今回はその背景を描きつつ、『灯』に入った今ではその落ちこぼれを脱しつつ有るという点も描いたEPだったね
才能、夢、生まれ。そういったものの限界を二度に亘り体験した彼女は天井に押し潰された人間と言える
けど、天井が見えない者にはモニカは大きな才能を有しているように見える。そのギャップがモニカを尚更に冷めた性格とさせていたのかな
またハイジの指摘も大きかったようで
でも『灯』に居る彼女に何の炎も存在しない訳がなくて
クラウスに全く届かなくても諦めない仲間達の炎がいつの間にかモニカにも情熱を宿させていたのはチームワークを感じさせる展開
あと、他のスパイを全く知らなかったとはいえモニカを「世界一のスパイ」と評したマテルの言葉は彼女にかなり響いたんじゃなかろうか
出張にバレンタイン、常とは異なる情景だから見えてくる常とは異なる姿
ローレンの鈍感さは通常営業、けど対するセシリアは常より積極的
そういった勢いが聖女としての姿や一人の女の子としての姿をローレンに見せる。それはノロノロとしていても確かな進展となるのかもね
教会とは異なる湖で見せたセシリアの聖女としての側面はローレンにとって昔の庇護者である祖父と重なるものである為に、今のローレンはセシリアにを守られているのだと察せられるもの
セシリアは聖女だから守らねばとローレンは思う。けどセシリアは見えない方法でローレンを守っている
ならセシリアがチョコを作りたいと言い出したのは、ローレンの庇護からセシリアが脱しようとしているのかと思えてしまう
関係性が変わるかと思えるのは常とは異なる日だからか。でもセシリアがチョコを渡したい相手はローレンなわけで
常とは異なる情景でも行き着く先は常と同じ。変わらぬセシリアとローレンの仲はニヤニヤ出来るものだね
魔法大学への入学はルディの実力が評価されたから
実力とはこれまでの積み重ね。ルディがルキシーに学んで家を出て魔大陸を彷徨って
そうして培った力が評価された。だから同様に大学で出会う人も様々を積み重ねてきた者ばかり。その代表がフィッツかな
ルディが気付け無いフィッツの正体。それはルディが知らない長い道を彼女が歩んできた証拠
フィッツはこれからもルディと異なる道を歩むつもりだから、彼に正体を明かさない
それは魔法大学が積み重ねの果てにある場所ではなく、これから先を歩む為の場所だからだろうね
積み重ねが有った上の今だから、過去はルディやフィッツの中に在るまま
威圧的に囲まれた際にルディはトラウマが蘇るし、彼を助ける為にフィッツは力を行使しようとする
過去とは異なる新たな関係。それは今を通してきっと未来へ通じるものであり
魔法大学で起こるだろう様々に期待せずに居られないEPだったよ
新しい環境で新しい繋がりを作る大変さは多くの人が経験しているだろうけど、螢多朗の場合は霊媒体質が災いして尚更に難しい感じか
…一方で愛が重すぎる詠子の保護下にある事も良くないんじゃない?と思惑もないが(笑)
螢多朗としては思い切った一歩な新歓参加。独り行動の筈が裏実況のせいで初めてのお遣いに見えなくもない
詠子や夜宵からしたら彼はまだまだひよっ子。助けを入れるべきポイントが山のように見える。それは対人関係としてはコミュ力の弱さを示すものであり、オカルト的には霊への備え不足であり
だからこそ、今回の失敗は螢多朗にオカルトへの自分なりの向き合い方を理解させるものになるわけだ
オカルトを回避するよりオカルトと接する方法へと舵を切るきっかけ
ただまあ、螢多朗の場合は詠子のヤバさを少しでも感じ取った方が良い気がしないでもないけど(笑)
男子四人が「何故集まったか」より「どう寝るか」に主軸を置いて面白いEPになるってその状態がもう面白い
また、その余波で仙石が宮村の裸体に興味を持つ流れが自然なんだけど、不自然でそれもまた笑えてしまう
こういう話が出来るってズルいなぁ(笑)
『ホリミヤ』だと仙石・レミの組み合わせが一番好きな自分的に嬉しいBパート
何処かに寄り道したいわけではない。でも相手と居る時間・空間はもっと温かいものにしたい。そんな小さな我儘を叶えてやる仙石は彼氏してるね
…それでも路上キスはNGなんだ(笑)
仙石・レミ・桜って本当に特殊だけど当たり前のように在る関係だから内1人が欠けると何か変わって見える
勿論真相は妙な事が起きていたわけじゃないのも当たり前。
また、特別なお祝いとしてではなく「偶々」生じた互いを想う日常のワンシーンは微笑ましいものだったね
これは随分難しい話だな……
ヒューマノイドだから普通の人間のように長期の投薬ではなく、短期施術により心の問題が解決可能なのか。でも副作用がないわけじゃないし、そもそも治療の対象となるか曖昧な時があるのは人と変わらない
今回のEPはそうした点を追求していたね
松村の件、記憶消去は良くないが『おじさん』を利用して人生を切り替えるとは面白い遣り方であるのは確か
人生の転換点や成功体験を持つ人は強い。生に行き詰まっていた松村にはそれが在った事にする。施術としては無茶苦茶だけど、結果として幸福になれるなら正しいと言える…のか?
ユウタの件はもっと難しいね…
大事を為した偉人には性格や言動に難のある人は珍しくない。むしろ何かが外れている為に大物になれた人もいるのかも
ユウタがそのパターンかはさておき、カッと成りやすい傾向も広い度量で見れば性格の一つと言える
そもそもユウタの問題を彼だけに求めるのは可怪しい気もするし
ただ、周囲と衝突し「苦しくなる」と自覚するユウタは『治療』の対象
そして治療後のユウタは友人・家族関係を改善し明るい表情になっているのだから治療は正しかったと言える
術後、音色が違うと言うユウタ。それが悪い意味か良い意味か明かされない点が医療に正解がないという点を何よりも象徴しているよ…
知らなかった様々を知ろうとする総士を教える島の皆。マリスとてそれは同じ
『教える』というのは下手すれば自分の答えで相手を塗り固めてしまう行為。逆に言えば、教えの際には相手の答えを尊重するのが大切。だからこそ総士は皆城総士だけが持つ答えを探す必要があるわけだ
総士に与えられた仮初の家と部屋。島という大枠ではなく、島に住む人を教わる工程。それは同時に島に住む自分を教わる過程でも有るのか
また、別の面では島の面々が今の総士はどのような者か教えられる段取りにもなる
それが互いを知るという事なのだろうね
でも総士が総士だけの答えを探すなら皆が予想しない道を辿る時もある。その象徴が一騎の否定であり美羽を泣かせた点
それでも彼は自分で靴を返し、美羽に謝った。拙い第一歩としてはまずまず
そんな彼の前に現れた新たな試練は総士に何を教える事になるのかな?
ヒーローを目指すティアに欠けている冷酷さを補う者こそティアが情けを掛けようとしていたアネットだなんてね
それはどうしょうもないズレ。けれどズレているからこそ『灯』はチームとして成立している。そう思える強烈なEPだったね
マティルダを逃がす局面も同じ。ティア、モニカ、エルナ、それぞれのズレが強みとなり困難な脱出劇を成立させているけど白蜘蛛が厭う程の邪性を隠し通したマティルダには及ばない。敗北してしまう
それは中心となったティアが他人の善性を容易に信じてしまうから。なら、彼女の弱点を補う存在が必要になってくるわけだ
マティルダでさえ理解の及ばない邪性を持つアネットは味方にすら気取られずに暗殺を為した
それはお友達集団の『灯』において異端。けど、そのズレが『灯』を強固にする
それらのズレはいずれ、今回の件を失敗と感じるティアをすら強くするものかもしれないね
前半部、最近にしては珍しく行動を共にするサリフィとレオ。二人が一緒に居られる理由は互いを想い合っているから
一方で二人は王と王妃だから一緒に居られるとも言えるし、王と王妃なら国難に際し一緒に居るべきではない。それでも二人は二人のままだとも感じられるEPだったかな
レオは王だから国の危機に公務を切り上げて帰らねばならぬ時がある。同様にサリフィも兵士の危機に王妃として前に出なければならぬ時がある
王と王妃だから国や民の危機に共に居られない。二人が余人を以って代え難い立場である点の証明
でも代理でしかないサリフィは本当の意味ではまだ価値が低い
立場による重要性は他の者によって保証されるものであると端的に示しているのはアヌビスの諫言かな
誤りそうになったレオを止める為に自分を殺せと言った。宰相の立場は王が居なければ成立しない。また、宰相が居ないなら王は王として成立しない
同様にレオはサリフィが王妃として振る舞うから王で居られるわけだ
レオが王として有り続けるならサリフィも王妃として価値が生まれ生き延びる余地が生まれる
そうなると気になるのはラントかな。親衛隊長として守護者としてサリフィを守るべきだった彼は無惨に破れた。守るべき主の居ない騎士に価値は無い
彼は己の立場を取り戻す中でどのようにサリフィを取り戻すのかな?
アベルの登場はローレンを深掘りするものになり、ヘーゼリッタの登場はセシリアを深掘りするものになったような。というか聖女という存在についてか
また、不幸に終わった西の聖女の逸話は、ローレンの傍にいるセシリアがどれだけ幸福かを示すものになっていたね
一方でアベルよりも常識度の高いヘーゼリッタは若い男女が二人暮らしをしている点への懸念と課題を性格に嗅ぎ取っていたね
何も問題が起こらないのはローレンの安全性の証。けど、セシリアは何か起きる事を期待しているわけで
そのズレが不和に繋がるのではなく、それはそれで穏やかな空気感を醸成しているのは面白いところ
ヘーゼリッタがどれだけ疑い見定めようとも、ローレンとセシリアは穏やかで幸福な関係を築いている
それはセシリアが西の聖女のような道程を歩まない事を示している
登場人物の追加が物語を広げると云うより、ローレンとセシリアの深掘りに繋がりつつ、同時にコミカルな会話劇にも繋がるのだから本作は上手い作りになっているよ
詠子の存在は間違いなく螢多朗を社会復帰に近付ける存在なんだけど、同時にオカルトに近寄せる存在でも有るという……
でも、螢多朗は詠子の闇を知らないから彼女を守る対象と見ている。それが良い関係に見える理由なのかな
大学での人気ぶりから判るように詠子は螢多朗に構わなければ最高の学生生活を送れる。でも彼女は螢多朗の隣に居続ける
それは彼女の存在の尊さを余計に螢多朗に感じさせるもの。だから守りたいし、彼女の支えを受け続けたいと思うのだろうね
…その実態にかなり歪んだ愛情が有るのが本作の特徴と言えるんだけど
螢多朗の隣に居続けるから、彼を危険に落とせばその時に彼は自分を守ってくる
それを期待するなんて真っ当な愛ではないんだけど、詠子の場合はそれが怪しい美しさに繋がっている気がするよ……
病への対処は為されないままでも不安定ながらに安定していたルディに舞い込むは家族発見の報と倫理観がぶっ壊れた女性の来訪ですか
ルディを導くのはこういうタイプが多いね。それだけに彼の閉じ籠もった意識もぶん殴ってくれるのだろうけど
エリナリーゼの朗報はルディに重く伸し掛かっていた不安定さを一つ晴らしてくれるもの
その一方で男性的不満足についてはこれでもかと刺激してくるのだから堪らない。彼女の存在はルディが諦めていた病理へ少しずつ目を向けさせるものになる
魔法大学からの誘いはそれに連動したものだね
家族探しが一段落したならルディが自分の為に次の目的を見付けたって良い。自分のために生きたって良い
…それにしては男としての自信を取り戻す為に大学へ特待生で入るって奇妙にも程がある話だけどね(笑)
次へ進むなら今までを見守ってくれたゾルダートとはお別れ
正式加入の誘いや別れ際の言葉など、彼がルディを相当に気に入り且つ気遣ってくれていたのは明白
彼との別離は寂しいけれど、だからこそルディが新しい道へ進むのだと意識させるね。不満足だったルディの新しい物語が始まるわけだ
兄が妹の恋路を応援しないはまだ判るとして、邪魔どころか想い人から好かれてしまうってどんな超展開だ(笑)
こんなしょうもない展開も主となるのが井浦である事で更に面白くなるのだから卑怯。ただ、それに巻き込まれる基子が本当に可哀想(笑)
あと、「おにい…、先輩」と言い直す北原の重症度が地味にヤバくて逆に好き
「遅刻遅刻~!」が重なる様はコメディを通り越して漫才のワンシーンかと突っ込みたくなる。特に遅刻の認識が有るのにコンビニ寄ってる宮村はオチとして最高(笑)
ボッコボコにされるニヒトってかなりレアなのでは…?
以前の総士が操るニヒトのイメージが強いから、あっさりやられるニヒトには違和感しか抱けない。それは今の総士がかつての総士と全くの別人である証拠であり、同時に彼がとても幼い子供なのだとも示しているね
戦いが終わった後に描かれるのは島の平和な日常風景
面白いのはそこにあるのが平和だけでない点
意見の対立が有れば、ピリピリした空気も有る。思うように行かない流れもあれば良い感じの雰囲気も有る
総士が居た平和だけが有った島とは全く異なる風景
2つの島の違和が描かれた事で総士が知らなければならない事も明確になる
ただ、総士の前に立ち塞がる真矢が覚悟ガン決まり状態で困難の度合いが高過ぎるんですけど……
一騎の前では普通に乙女の表情をするのにねぇ(笑)
マティルダの正体により対立を深めるティアとモニカ。彼女らはスパイという本分において協力できる筈なのに、会ったばかりの他人の為に激しくズレて対立してしまう二人
その一方でティアの原点が描かれた事で対立の先に何を求めているかが判るEPになっていたね
娘の為にスパイとなったマティルダ、記憶喪失の為に母を忘れたアネット
哀れな母娘を前にして悩むティア。スパイであれば悩む余地は無い。けど、彼女が紅炉に憧れヒーローを目指したなら話は変わってくる
スパイとしてどうしようもなくズレているティアだからモニカと異なる道を選ぶ
そして、モニカを仲間に引き込むには彼女もズレさせれば良いわけだ
果てに見つけたのが秘した恋心なんてね。これによりモニカがマティルダを排そうとしている理由がスパイとしてではなく、自分本位な理由だと示された
ならティアとモニカには協力する余地が生まれるわけだ
スパイとしては甘々な判断。でも、哀れな母娘を助けるためなら正当化されるかもしれない判断
けれど、それは…
原作既読組なのでこの先の展開は知っているのだけど、それだけにアレが分岐点とか堪ったもんじゃないなと思ってしまうよ……
アミトとヨルムンガンドの恋物語は、ヨルムンガンドが誠実だからこそ映えるEPだね
アミトを気遣い傷付けまいとする、武人だからこそ引かねばならない一線
それを越えようと思うなら生半可な覚悟では許されない
彼に相応しい者になる為に「命を懸けます」と言い切ったアミトは凛々しいね
久々登場のイリヤに変化が訪れるEP
前より笑えるようになったが、魔族への嫌悪は捨てきれない。けど、マアロはイリヤが知る魔族と全く異なる純真さを見せるから、彼の嫌悪は揺らぐ
マアロはまるで人間の方が間違っていると思わせる
それを明確に突き付けるのがマアロこそ虐げられる側だったという点
弱い者を助ける為に強くなったイリヤにすれば、魔族を助け人間に刃を向けざるを得ない状況。それは彼の矜持を更に揺らがせる
でも、それはイリヤが本来目指した強さでもある筈。サリフィの言葉が改めて響いて「有難う」と言わせたのは良かったな
今回の件が有ったからと魔族全てが良い存在になるわけじゃない。でも悪いだけでもないと認識できたのは彼にとって大きな経験となっただろうね
今回は前回よりも恋愛面を強調しているかのようなEP。けど、肝心のローレンが自分の気持ちに気付いてないという
それでもセシリアは可愛いし二人のほのぼのとした会話には癒やされてしまう、そういった良いEPでもあったね
前回はあまり障害とならなかったアベルの存在。けどいつも傍に居るなら流石に思う所はある筈で
普通、友達以上恋人未満な関係に別の男が入れば関係が変化しそうなものだけど、ローレンは激ニブなのでモヤっても勘違いして終わり
こうなるとアベルにはもっと二人を刺激して貰いたい所だけど、そういった茶々を入れないから二人の傍に居られるとも言える
なら、アベルでもない更なる第三者の出現が待たれるわけだ
占い師の言葉は今は役に立たなくてもいずれ二人の感情が形を変えれば大きな意味を持ってきそう
服屋に集う人々はローレンに大きな一言を告げさせる後押しをした
そして聖女を訪ねやって来た新たなお客。彼女の登場はローレンやセシリアにどう影響するのかな
夜宵と関わり続けると決めても、悪霊とは関わりたくない。既に命の危険を体感した螢多朗にすれば何ら可怪しくない判断
そこで夜宵の方は螢多朗達をどう思っているの?という方面に話を展開するのは良い構成だね
心霊スポットに向かう夜宵は霊に対して強者でも無敵ではない。それでも彼女が悪霊の前に立つのはそれなりの理由があったわけだ
もう少し頑張れば大切な人を守れたかもしれない。その悔やみが夜宵を動かし、そして今は螢多朗達の為の行動へと繋がっているわけだ
夜宵が自分達を助ける為に無茶をしているなら、詠子を助けたい螢多朗だって無茶をする理由になる
オカルトへの向き合い方の他にも多くが異なる螢多朗と夜宵。そんな二人が共同戦線を張る展開の下地となるエピソードとなったね