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とても良い

生きてた!あの5人が生きてた!
いや、第一期ラストの描写からてっきり全滅したものと思いこんでいただけに、この展開は驚き。一見、ご都合主義的であるけれど、死の世界に突き進むしかなかった彼らに生きる道が残っていた点をとても嬉しく感じてしまうね

共和国軍が掲げる道理に従わず孤軍奮闘するレーナの傾向は更に強まっているね。
一房だけ染めた髪は見た目だけ綺麗な世界に染まりきらない自分を体現しているかのよう
変わらない絶望的な戦況、それを前にしてもシンエイ達から遺された物を胸に戦い続ける彼女の行く先が気になるね

連邦に受け入れられたシンエイ達、状況をあまり喜ばしく思っていない?
エルンストは彼らが戦場しか知らないからだと解釈しているけど、都合よく自分達を助ける存在への不信感が有るように見える
連邦の風景は理想そのもので、自分達に共感してくれる声もある。でも、それを居場所とは思えないのだろうな

エルンストがこだわる人の理想。この言葉は第一期8話の共和国理念を思い出させるね
あれも結局は自分達の利と欲の為に聖女を処刑した事で理念は地に落ちた
今回はシンエイ達を助けるものとなった理想。けど、いつまで理想が味方で居てくれるのか、そしてシンエイ達はそれを受け入れ続けるのか。一抹の不安を感じてしまうね……



良い

不良ぶるのも優等生ぶるのも定められた努力に則っての結果。認められても満たされない、単調で深みがない世界。
それが変わるのは肌色の下地に緑が有ると知った瞬間から。運命のような出逢いによって八虎の感情が変わっていく流れは良いね

空の青さの深さを知り、美術が才能だけで成り立たないと知り……
そうして描き上げた複雑な青で構成された絵は、けれどそれだけを持って八虎を変えてはくれない。本当に八虎が変わるのは好きの気持ちによって。止まる事を知らない衝動によって深められていく絵と手は八虎の感情の複雑さを明確にさせていく

何をすべきか判っているし、定められたノルマも知っている。その上で「美大って、俺、入れると思います?」と聞いた際の八虎の表情変化とその直後の覚悟はとても素晴らしいものだね
200倍の狭い門。ヤバいと判っていても止まらない八虎の心臓がこれから彩っていくだろう複雑な色の数々が楽しみになる初回だったね



普通


良い

2期を見た後に見る1期のボーナスエピソード。2期とはテーマ等に対するアプローチの違いが各所に見られて面白かったね
バレンタインを通して色々な人が誰かに贈り物。そこに込められた想いの多様性には本作の懐の深さが感じられるね

バレンタインは恋心を伝えるイベントのイメージが強いけれど、友チョコ等が有るように他の想いだって伝えられる。だから会社でも男性が配っていたり、エルマが貰う側に居たり。そして小林は仕事で人を助けているからその感謝で多くの人から貰う
対してトールがチョコを通して渡そうとしてのは想いではなく情欲だから小林の注意一つで渡せなくなった

でも、小林もちゃんとトールから受け取っているものが有ると判る前半部終盤は良いね。カンナを通して食べてしまった薬入りチョコ。傍迷惑なトラブルだけど、去年は傍迷惑な事すら無かった
だから、こうして騒がしいのは誰かとの繋がりを手にしたからだとも言えるんだよね。まあ、普通に迷惑だけど

滝谷主催の温泉親睦会。これも一種の贈り物だね。何か大変な事があった小林を慰労する為のさり気ない贈り物
他にも翔太に小さなプレゼントを贈っていたり滝谷は本当に気遣いのできる大人だね。
そしてこの親睦会は余計なものをチョコに混ぜて渡せなかったトールにとってリベンジの機会になったようで

今度は何も混ぜていない普通のチョコ。だからこそ、大きな想いが籠もっている。小林はその想いを受け取りすぎる事はなかったけど、代わりに疑うことなく口に含んだ。それこそきちんと受け取った証
その後はふざけ合いながら手を取って帰り道へ。2人のこういう姿を改めて見れた事はとても嬉しい機会だと感じられるボーナスエピソードだったね



普通

メンバーが集り、ラブライブが開幕する事で意識する事になった自分達は何者かという点。それをグループ名やラブライブ用の楽曲作りを通して描いていたね
単純に結ヶ丘のアイドル部と名乗ったのでは味気ないし、名前を繋げてもつまらない。そこにはアイドルとして何をやりたいかという課題が絡んでくるわけだね

初期案は迷走だらけ。それぞれの好みを主張しているだけだから決まらないし、他の生徒も案を返せない
どういう存在かというイメージを自分も、そしてファンも持っていないと名前もあやふや
ステージを学校の皆と作ったサニパは名前もファンから。彼女らは支えてくれる相手とアイドルを作り上げていったタイプなのだろうね

なら、新設校でアイドルになろうとしているかのん達はどうなりたいかといえば、まずは自分達が真っ白であると知る事から。何色でもないからどんな色も結び付けられる
気付きや下校風景、異国の言葉を結びつけて『Liella!』という名前と歌詞を作り上げる展開は良かったね



良くない

過去の世界でやるべき事をいつの間にか勘違いしていた恭也が、何もかも不味い方へ進んでしまった未来を経験して改めて芸大生としての日々を焦がれる最終回
ここまでの紆余曲折に思う所が無い訳ではないけれど、それでも本来の目的であった自分達の夢をリメイクする道へ戻れたのは良かったかな

改めて芸大の日々に戻っても恭也がゲーム制作の中で犯した失態は消えやしない。貫之は居ないし奈々子や亜貴も以前と違う。でも、失態が全て無駄でないなら悪い事ばかりじゃなく、挽回の余地が有ると言える。それが本来望んだ未来へ繋がるのかな

それはそれとして、赤面する奈々子や河瀬川がとても可愛らしい最終回でしたね



とても良い

さらさのティボルトが披露される前半、紗和の個別エピソードと呼べる後半。最終回にしてはちょっと風変わりな構成かもしれないけれど、本作はさらさ・愛による自己実現の物語と紅華予科生によるデビューを目指す物語が並列的に描かれてきたのだから、これはこれで良かったのかも

情け容赦ない安藤のロミオが混ざる事で呑まれてしまう危機的状況。ここでさらさが求めたのは過去の記憶。自身の経験からティボルトに寄り添える部分を見つけた時と同じ手法だね
幼いさらさに歌鷗が教えたのは芝居の極意。遊びの芝居が無いのなら、求められる芝居は常に一種類。それを理解できていれば安藤のプレッシャーが有っても変わらない演技が出来る

披露されたさらさのティボルトは紗和と大きく違うものだったね
紗和が憎しみを振り回すティボルトであったなら、さらさのティボルトはジュリエットへの美しき愛を保ち続けるもの
それは歌舞伎への愛、自分の方が上だったという悔しさ、そして暁也へ助六を託す複雑な感情を反映したものだったから、人を魅了する演技になったのかもしれないね

オーディションの結果は合格者の表情に興味が湧くけれど、それと同じくらい落選者の感情も目立つね
特に、合格に嫉妬する学友を叱咤しつつも落選した悔しさも彩子を祝う気持ちも同居した忙しい感情に号泣する薫の姿は印象的だったな
学友はライバルだけど仲間という点が感じられるシーンだったね

落選した紗和は他の子達のように悔しさを振り乱したりしない。求めているのは納得だけ
紗和は当初、さらさ天才で自身は秀才だから負けたと感じていたようで安藤に愚痴っても納得は得られない。むしろ安藤が慰めに明かした同票の件は紗和を余計に苦しめる
仮想ロミオをさらさに設定していた紗和にとって、努力で越えられないと余計に思わされるから

だからこそ、同じような人間性で似た苦しみを抱く竹井の言葉にこそ紗和は報われるわけだね。役は得られなくても、合格に匹敵する納得と慰労を得られた
また、大木が明かすさらさを選んだ理由も紗和を納得させる。お客に見て貰う以上は切っては切れない概念とはいえ、大真面目に『萌え』と表現されるのは面白い(笑)
落選の納得が出来たから紗和もさらさの合格を称賛できたのだろうね

さらさ達がようやく掴んだ寸劇は余興で、むしろ主役は雪景色を前に憂い顔を見せていた聖を筆頭とする本科生達
彼女らの苦悩も見たかったけど、本アニメで描かれたのは未来や銀橋を夢見る予科生達の物語なわけで。そんな彼女らが次なる予科生を呼び込むモデルとなるラストは見得が決まった良いラストシーンだったね

原作買ってもう一度本作の空気感に浸りたくなってしまったな



とても良い

様々な手法で異種の共存を描いてきた本作、最終回は夏祭りの後に花見を描くという大胆な手法に出ましたか!
普通はその順番で共存出来ないイベント。けれど、それが当たり前のように成立している日常風景こそ、本作が最も大切にしている部分なのかもしれないね

前回の重さをまだ残したままの小林
彼女が知ったのはトールが傷つき救われた物語。それを意識したままでは相手との関係が気不味くなる
だからこそ、小林には心も関係性も日常に揺り戻す何かしらが必要だったわけだ
そこへ当のトールが夏祭りの準備を手伝っていたのは印象深い描写

本来はトールこそ異種を象徴するドラゴンだけど、街の人と準備をして本番でも屋台を営む姿は夏祭りの風景によく馴染んでいる
小林をきっかけに街や人に馴染んだトールが日常の象徴へと変化したと言えるのかもしれない
だからトールが手伝う祭は人を楽しませるものになり、ドラゴンも受け入れられる場所になる

でも、小林を一番癒やしてくれるのはトール本人だし、トールも小林の存在に癒やされている。
互いが互いを必要としているから重い話が出来るけど、二人の時間にそればっかりは味気ない。
胸の内を明かし合って2人の中にあった重くてザワザワするものが、しっかりした質量有る愛情と笑顔に変わる様は素晴らしいね

花見も日常を象徴するシーンだけど、花は肉片だし集う面々も異世界寄りの者ばかりで本当は非日常の場。けれど、そうした異種だと感じさせない振る舞いばかりで人とドラゴンを分ける境界など見えない日常の風景が広がっている
まあ、流石に腕相撲を人とドラゴンが競うのは無理があったようだけど(笑)

明日の仕事も重い過去も、そして種族の違いも気にならなくなる花見酒。それを言葉にしてくれる小林。だからトールも小林の傍に居たがるし結婚まで求めてしまう
ただ、それはやり過ぎだし恥ずかしい。逃げてしまうけど、逃げたいわけじゃないから追いかけられると嬉しい

祭では人とドラゴンの境なしに食べて遊んで並んで花火を見上げていた
花見でも人とドラゴンの境なしに食べて遊んで一緒に腕相撲をした
人とドラゴンの違いはたくさんあるけれど、違わない部分もちゃんと有る。本作では様々な手法でそれを描いてきたから、共に在る風景も違和感なく描かれている
最後はよく判らないままに皆で走る。そんな日常がとても尊いと感じられる作品だったね



良くない


とても良い

話の構図としては前回と似ているね
どのように役に寄り添うか?彩子も紗和も役と同じ経験を持っているわけではない。だから自身が持つ要素から役に寄り添える感情へと昇華させている
どちらもその熱演ぶりは鳥肌が立つような代物だったね

ジュリエットは自分と似ても似つかない、説得力皆無と彩子は恐れている
でも恋は叶うだけが全てじゃない。叶わない事だって立派な恋
平山から友達と言われた自分、明日香に振られた平山、想いが伝わらなかった明日香。ままならない想いを彩子は見てきた。そして、平山や明日香は恋の為に精一杯のアピールをした
なら紅華の生徒として試練に立ち向かおうとする彩子だって、想いを誰かに届ける為にアピールしなければならない

紗和の演技は本当に凄まじい……
事前に言及されたように紗和に人殺しの経験は無い。その要素はどうやったって自身から抽出できない
それをさらさへの敵愾心を中心に据えてあれだけの演技を出来たのだから、元々の演技力が素晴らしかったと言えるのだろうね

煌三郎に2つの釘を差される暁也。歌鷗の為に要求されるのは恋仲への変化
でも、暁也は切り出せず、あの話を聞いてしまったさらさが代わりに切り出さなければならなかった
あの瞬間にさらさは子供から大人へ。歌舞伎を卒業し、助六を完全に諦めざるを得なかったのだろうなぁ……

暁也はさらさには手の届かない歌舞伎を手に入れられる者であり、自分はそれを手助けしなければならなかった。そこには前回示唆されたようにロミオとティボルトの関係性を見出す事が出来るのかもしれない
さらさの真骨頂が明かされるだろう最終回、そこへ立ち塞がるのがまさかの安藤ですか……!これは期待しか無い



良くない


普通

もう卒業の時期とは早いことで
カタリナの思い出は食べ物ばかりだったけど、彼女に話しかける人の多さや多様性がカタリナが在学中に作り上げた思い出を代わりに表しているかのようだったね
その一方で気になるのは誰がカタリナの心を射止めるか、という点だったのだけど……

その点に関してはジオルドが先行しつつ、まだまだカタリナは心を決めかねているという感じなんだろうか?
ジオルドに迫られ、キースに押し倒され。ワタワタするものの決定的な何かはなく
ただ、好みのタイプについて答えが無いのではなく答えられないという辺りに変化を感じさせると言った所だろうか

最後は皆で収穫作業。やっぱり土いじりしている時が最もカタリナらしさに溢れているね。また、こうして皆も一緒に土いじりする様子が入る事で、皆もカタリナの世界に染まっているし、その状態を好ましく捉えている点が感じられて良かったな

それにしても恋愛ゲームの続編で主人公続投って凄いな(笑)



良い

前半部ではトールが小林の腰痛に絡むこの世界の常識に悩み、後半部ではトールが自身の世界の常識に悩む
大きな壁にぶつかって孤独になった時に小林に出逢ったのかと思うと、今回はトールの長い旅が描かれた回だったと言えるのかもしれないね

トールは最初、腰痛の理由すら判らない。それを滝谷やエルマを通して少しずつ理解していく
腰痛はトールの肉やトールの世界の物を食べさせれば一発で治るかもしれないが、小林が何に苦労しているのかは判らなくなってしまう。相手と自分の常識が違う点を抑えておかなければ相手を押し潰してしまう

だから相手の常識を壊さず今の在り方を守ろうとするならば、相手の自由を尊重して少しずつ寄り添っていくのが最も良い
リラクゼーショングッズを求めていた小林の為に、自身の尻尾を提供したトールは小林の世界の常識と共存できたと言えるのかもしれないね

様々な常識がぶつかり合う後半は手始めに普段通う会社が異世界の空気へ
専務の部屋に居るのは魔法使いに終焉帝で彼らが語るのも異界の話というちぐはぐ。更に異界の存在であるトールの由来がこちらの世界の作家から取られているちぐはぐ
常識がぐちゃぐちゃになりそうだ……

自由を勝ち取ろうとした戦いがやがて勢力の枠を作ってしまったのだから面白い
自分が〇〇勢ならそれに相応しい振る舞いを求められる。けれど、それに従ってしまえば自身の常識を狭め自由を失う。
だから終焉帝はトールに枠に縛られない自由を教える為に自由に行動させたのだろうね

でも混沌勢の代表格、終焉帝の娘としての立場からは逃げられないし、他のドラゴンが教える話もそれぞれの常識を備えたもの。それらはトールが欲した自由を与えてはくれない
自由を求めて神と闘っても何も得られなかった。何も無い事は一種の自由と言えるのだろうけど、自分を満たすものもない

だからこそ、小林との出逢いはトールにとって最大の自由へ繋がる
メイドになれば相手に縛られてしまうかもしれない。けれど、そこにはトールが自らの意思でメイドを選んだ自由があった
自身を縛る常識を壊し、大切な人に寄り添える自由を手にしたトールの笑顔、頭を撫でて欲しいと欲する仕草はとても良いものだったね



普通

アイドルをしたいかのん達とアイドルを許さない恋、普通科と音楽科、それぞれの対立が主軸となる今回。アイドル活動を巡る話は選挙によって学校全体を巻き込む話へ
それもあってか対立を単純な敵対として扱わず、敵であっても味方であり、味方であっても敵であると示しているかのよう

普通科は音楽科の3倍。これだけ考えれば勝てる選挙。だけど恋がしたように対立する普通科を抱き込む政策を打ち出せば票は取れる
また、アイドル活動の為にすみれを手伝うかのん達も結局は恋の方が会長に相応しいと考えていた。アイドル活動よりも学校の会長としての責務を考えてのものだね

かのんは幾度かに渡って対立するすみれと意見を合わせられる場所を探しているね
アイドル活動に反対されていても、それに理由があれば対立を越えた解決策を思いつくかもしれない
まあ、恋の反応はジュースによる橋渡しも意味を為さない取り付く島もないものだったけど……

恋は対立も味方も無視して物事を進めている。だから学校の為に公約破りも宣言してしまう。それは孤軍奮闘であり、豪邸でありながら自身を気遣うお手伝いすら手放そうとする空っぽの家とリンクしているかのよう
彼女は学校の危機に対して、全てと戦おうとしているのかな?これに対してかのん達は味方になる余地はあるのだろうか?



普通


とても良い

降って湧いたチャンスにギラつく予科生。でもこれは公演だから見るお客が居て、求められる演技が有る。その上で演じる自分という個性を表現しなければならない
この難題への対応法や克服法にそれぞれのスタンスの違いが見えて面白いね

薫と彩子などはこの事態に「自分が何を見せたいか」を中心に考え、対してさらさに助言する愛や愛の母、そして聖は「客が何を見たいか」を中心に物事を考えているのかな
愛の「もう一度さらさのロミオを見てみたい」というのもさらさの演技を見たい客の立場としての発言だね

聖は本科生として予科生にとってのチャンスを冷徹に見つめているね
文化祭の本番は本科生の卒業公演であって、予科生の寸劇はおまけ。これに興味を持って見に来る者なんて、それこそ既に知名度がある奈良田愛が目当ての程度
だから、持って生まれた美を持つ愛にジュリエットを勧めるわけだね

さらさは様々な角度から今回の件を考えているね
当初はティボルトに対し「自分が何を見せられるか」に自信が無いから避けようとした。でも一度やった役に自信が無いとは、以前の演技に不満が有ったということ
逆に言えば、その不満を克服してこそ役者として成長できる

自分が見せたいもの、客が見たいもの。このバランスを取りつつ個性を持って役に寄り添う
でも異なる時代・環境の人間に寄り添うのは簡単ではない。それをさらさと愛は自身の中にヒントを見つけたね。単純に役の気持ちになるのではなく、自分と重なる部分を通して寄り添っている

手の届かない者への嫉妬と羨望、掛け替えのない出会いによって得た宝物のような思い出。それらを土台とした演技こそ個性を打ち出した唯一無二のもの
愛は恋を理解しきれなかったが、ジュリエットを演じきり称賛を得た。なら、同じように天啓を得たさらさがどのようなティボルトを見せつけるのか、次回が楽しみだね



良い

ジオルドが語るカタリナの魅力、「助けを求める人が居たら、ただ真っ直ぐ走っていく」点。今回はそれが遺憾なく発揮されていたね
カタリナが突っ走って進む有様ははジオルドを改めて魅了すると共に、キースが救い出させる理由にもなっているね

だとしてもキースに取り付いた魔力を千切っては投げ千切っては投げする様は驚かされたけども(笑)
不思議パワーのお陰とはいえ掴めるんだ、アレ……
でも、そうした解決策を手に出来たのも弟を大切に思う心が有るからかな

カタリナの声は要らない子の烙印を押されたキースに届く
昔とは違ってキースを必要としてくれる人達が居て、キースが傍に居たいと願う相手がいる。それらはキースが帰る理由になる
カタリナが差し出さした手を取らず、後ろから抱きしめた行為は守られる存在からの脱却を示しているかのよう

寝惚けた意識のまましてしまった口付け。それを間違いとせず、無かった事とせずに愛を告げたキース。ジオルドへの敵対宣言までしていたね
まるでカタリナの「真っ直ぐ走っていく」特徴をキースも手にしたかのようだ

これで二人目攻略ってことは、もしかしてアランやニコルも恋心を表明する展開が今度有るんだろうか?



とても良い

冒頭からダイナミックにアメリカへの家出が描かれる今回、けれどその動機になった喧嘩の経緯は描かれないまま
そのお陰か家出でありつつもお出掛けの様相を呈し、子供視点での小旅行を味わえるようになっているね

家出の気不味さを誤魔化すように遊ぶ彼女らにとって、初めて目にする景色は刺激的だから自分達が家出しているという意識を忘れさせ、遊びに来ているかのように
けど、本当に気にしてない訳じゃないから小林似の女性を見たり誘拐されれば、家族と離れている点を意識せざるを得ない

でも、子供にとって親と喧嘩するのは怖いし、その怖さを解決しないまま家に帰るのも恐ろしい
その反面、帰れないのも怖い。だからその怖さが無くなるまで、何を言っても一緒に居てくれる親を求めてしまうのかもしれないね
また、カンナの小旅行をもう一人の親であるトールが何も言わず陰から見守っていたのも良かったね

カンナと小林の穏やかな休日が描かれるBパートでは前半に喧嘩があった事を一切感じさせない。何はなくとも一緒に居る様子が感じられる
麦茶の為の買い物はいつの間にか小冒険へ。背の低い子供の視点を通して見つかる様々な楽しみは小林に普段気にする事のないマンホールへの興味を持たせてしまうほど

虹は雨上がりの空ではなく、水たまりの中に。カンナが見上げるのは「おうち帰ろ」と言ってくれる小林の顔。それこそが家に帰る合図。そして家に帰れば迎えてくれる家族の声に夕ご飯の時間
小林とカンナだけが共有した秘密の時間。穏やかで静かで壮大な事は何もなくて。けれど、とても尊い遣り取りが描かれた良いエピソードだったね



良い

かのんと千砂都は歌とダンスに分かれてそれぞれの道を目指した存在かと思いきや、想像以上に深い感情を胸に秘めていたようで
助けられたから助けたい、助けられる自分になりたい。補い合おうとする双方向の想いはとても麗しいものだったね

ただし、ここで助けられる自分というものが必ずしも強さを指していない点は内容の良さに繋がっているね
かのんは歌が好き。なら自分はダンスが出来る人間になろう。それは並大抵な決意じゃないし、そこから始まるレッスンの数々はきっと簡単に出来るものではない
でも、それは一方で孤独な戦いでも有るんだよね

誰かを助ける、それは双方向的なものが望ましいのではないかと思えてしまう
サニパは島を盛り上げる為に活動しているけど、学校の皆と協力する部分もある
可可はお礼に夕食を用意しようとした。すみれはその意を汲んで2人で作ったと主張する
夕食の一件を借りと考える可可は代わりにステージを素晴らしいものへ作り上げた
助けられたら助け返したくなる

だから綺麗な月を見て同時に教え合おうとしたかのんと千砂都が助け合えないなんて有り得ないんだよね
千砂都は当初、かのんが不在のままに泣き言を漏らさず大会に臨もうとした。それこそが強さだと感じていた
でも、かのんが千砂都を助ける理由はそんなものじゃないと判る終盤は良いね。かのんが千砂都を助けるのは千砂都に助けられたとの想いがあるから

かのんが千砂都に直接伝える言葉は千砂都の頑張りが報われた事を示している。大会優勝以上の成果となる。だから電話の際には何も伝えられなかったのに、あの時は「待っててね」と返せた。返せる自分になれた
相手に出来ない部分を補い合って、そうして一緒に作り上げたステージはとても素晴らしいものになったね



とても良い

紅華の運動会は普通の運動会ではなくこれも一種の舞台
そこに立つ者を見る為に観客が集まるわけだから、紅華乙女達は自分がどう見られるかを意識しなければならない
演技に個性が無いと言われたさらさにとって一種の試練となる回だったね

まだ自分の演技を手に入れていないさらさにとっていきなりの舞台は厳しいもの。緊張に負けそうになるし、小さなミスの後は萎縮してリコーダーを吹けなくなる
そして本科と予科、成績による序列はさらさに、分不相応な舞台に立つ事になるとの思いを更に抱かせるものになる。素の自分のままぶつかれば壊れてしまいそうな恐ろしさ

ただし、演技が必要と言ってもさらさの立場はちょっと特殊なんだよね
聖の「無になりなさい!」は嫌みだけど、真理を突いている。運動会を見に来る人達はトップスター達や専科を見たいのであって、予科生のさらさなんて知られてもいない
だからさらさに求められる役割は自身は目立たず、他を目立たせること

リサと星の激励はさらさに何をすべきか、そしてトップの人達が舞台以外の場所でもどう振る舞っているかを教え示しているね
そして赤薔薇は誰も見てくれる人なんて居ないと落ち込んでいたさらさに観客の存在を教えてくれる
……その果てに得た解決策がEカップの自分というのはちょっと凄い発想だったけど(笑)

ただ、Eカップの理想像はさらさを舞台に立たせる大枠でしかないんだよね。Eカップになったからってさらさの役割が変わるわけではない。自分に求められるものを考えなければならない
咄嗟の判断で、あの場面で観客が見たい役割を星に与えたさらさは素晴らしいね

あの土壇場で自分の役割だけでなく、他者の役割まで推し量ったさらさは大きな成長を見せたんじゃなかろうか
予科生の中から特別にバトンを受け取る役割を与えられたさらさ。彼女はきちんと先輩達の教えを受け取ったのではないかと思えてしまう

あと、愛は助言に失敗したと思っていたのに、意外とさらさの役に立っていたようで良かったね(笑)



普通

恭也が辿り着いた未来は恭也だけの夢が叶い、プラチナ世代や河瀬川が沈んだ状態か
恭也は自身の夢を、そして皆の夢を叶えようと必死に奮闘した。その結果がこれとは皮肉めいているね
ただし、原因は恭也の存在というよりモチベーションを与えなかった点に有るような気もするけれど

美乃梨だけでなく亜貴や奈々子が活動停止の理由としてあげたのが、目的・目標の不在
恭也はゲーム制作の中でこうすれば上手くいくと遣り方を示したけど、それは効率重視で本人の目指す夢から離れてしまうものだった
だから恭也だけがやりたい夢だけが成就して他の皆は夢を失ってしまったのかもしれないね

恭也としては己の未熟を後悔するこの未来
けれど、自分の夢が叶っている事は事実だし、亜貴も恭也を恨まず今の生活を楽しんでいる
ここから恭也が自分だけでなく皆のリメイクを望むとして、その時の動機は果たしてどのようなものになるのだろうか?



良い

ラブコメのド定番である『離れて初めて判る相方の大切さ』。カタリナは転生後の人生は殆どの時間をキースと共に過ごしてきた
そう考えると、ジオルドとのフラグがリセットされたのもキース失踪で頭が一杯だけでなく、半身のような存在が傍に居ない事で不安定になっていたのかもしれないね

マリアが語るのはカタリナと一緒に居て得られる楽しさについて。ソラも似たような事を語っていたね
彼、彼女らがカタリナの傍に居る事で得られる幸福感は様々に語られてきたけど、それはカタリナ自身にも有るのかもしれないね
カタリナの楽しさを支えるキースは無事に彼女の傍に戻れるのだろうか?

それはそれとして、今回はカタリナの近くに居ないのに強烈な存在感を醸し出すメアリは本当に流石ですよ(笑)



良い

エルマ回。だけれど、前半部と後半部では描かれる話の内容が大きく異なるから、テンションのバランスが難しい回
話の構造がそのようなものになっている為に、同様にバランスを保つ難しさも伝わってくる内容になっているね

待遇改善を求めるエルマの案は様々な理由で却下される。最初の案は小林から無知を指摘される形で却下されたけど、その後は会社の収支や他部署からの不満等が壁となる
まあ、そのように要求が通らないのはエルマの目的が会社を良くしたいからではなく、スイーツを食べたいという自分本意な動機だったからなんだろうけど(笑)

子供達を連れてのピクニック。最初は大人としてカンナ達に接していたから、釣り含め上手く回っていた
けれど、子供みたいに水遊びを始めた瞬間にカンナ達を見失ってしまう。おまけにドラゴンの姿を現す大失態
これを収めたのは翔太の眠り魔法やカンナの贈り物。特にカンナは才川宛にも用意する周到さを見せているね
エルマが子供みたいに成ってしまったから、子供が大人の如く事態を収拾した

そしてBパート
冒頭、エルマはファフニールに見届け役を依頼している。つまり、調和を保つ者としての役割を放棄ししている
だからその後の行動もバランスを欠いたものとなり、結果的に自分本意なエルマの本心が溢れ出すものとなる。エルマは言いたくても言えなかった怒りを思う存分言う為、意図的にバランスを失った

でも、エルマが求めていたのは納得できる、バランス有る答え。トールの態度への怒り、そして自分達の間にあった不誠実の清算
それが通じた事で緊迫感有る決闘は、ファフニールが馬鹿馬鹿しく思い、小林がホッとするものに
二人の間で心のバランスが取れたから破滅的なぶつかり合いは終わった。
オチが擽り我慢対決となるのは微笑ましく、それでいて安心感の有るものだったね



とても良い

千夏と千秋メイン回。双子だから同じ部分・異なる部分を見つけようとしてしまうけれど、その発想は双子ならそっくりな筈という思い込みが土台にある
でも双子だからそっくりだなんて、当たり前なわけがないんだよね。それが見えてくる丁寧な内容だったかな

千夏と千秋の道を考える上で、専科の存在はヒントになるね
里見を始めとした歌劇団トップはキラキラした存在。専科は里見達とは異なる雰囲気を持つけれど、里見達トップからも一目置かれている特別な存在
同じ歌劇団だけど、全く同じではない。異なる道に進んだ者達

千夏と千秋、紅華への夢を抱いた瞬間は同じで他の多くも同じ。だけど、あの瞬間に千秋(?)だけ前歯が欠けているように常に何もかもが同じとは限らない。そもそも別個の人間なのだから
その違いが明確に出てしまったのが紅華の合否判定。二人の間に蟠った哀しみは一緒に合格できなかったことではなく、違いが見えてしまったことへの哀しみなのかな

あの経験によって2人に違いが生じたのではなく、そもそも違いを持っていたというのが正しいのだろうね。
ジュリエットを選んだ千秋、選べなかった千夏。ミレイに話しかけられる千秋と話せない千夏
探せばもっと二人の違いは見えてくる。でも、それはズレているから違うのではなく、個性が有るから違う

一緒の合格、シンメトリーな部屋。それらは双子だからそうなるのではなく、ある意味足掻きだったのかもしれない。さらさが言うように2人は双子になろうとしていた
それが無理だと突き付けられたのが嫉妬であり喧嘩だったのだろうね。

準備も出来ないままに訪れた分かれ道に翻弄され苦しんだ千夏と千秋
でも、道が異なったとしても違うままではない。それこそ、組に所属する里見達と専科のミレイ達が同じ舞台を構成できるように
千夏と千秋も異なる道の先で頑張ってもう一度交われば、望む額縁は形作られるのかもしれないね



普通

恭也は貫之の学費問題を解決する目的の為に、執筆という手段を含む同人ゲーム作りを選んだ
でも、これに恭也が情熱を注いでしまった時点で、目的は夢のリメイクになり、手段もゲームの完成そのものになってしまったんだろうなぁ
だから貫之がどう考えているかなんて考慮できなかった

慣れないゲーム制作、得意分野と異なる方向性、そして恭也しかギャルゲーの何たるかを理解していなかった点
それらが合わさって、恭也だけが正解を知っているかのような状態で制作は進んでしまった。だから他の意見が有っても恭也の意見で捻じ伏せられる。恭也の意見だけが正解になってしまう

それは貫之の未来含め他の正解を押し潰してしまうものになってしまう。恭也が自分のヴィジョンに従って動いてしまったが故に、恭也と貫之は協同ではなく侵食になってしまった
突如辿り着いた未来。これは恭也の夢だけが叶った世界?ここで恭也は何を見るのだろうか?



普通

キースの家出理由は可愛らしいものかと勝手に思い込んでいただけにラストの展開には驚愕。
冗談では済まなそうな事態だけに、これは久々のシリアス展開に突入する感じだろうか?

カタリナとキースの会話シーンは印象的
カタリナへのジオルド接近に焦りを覚えつつ、弟として接する事しか出来ないキース。ジオルドやカタリナの心理に言及できないから当たり障りのない会話しかできない
夕日により明度の落ちる室内は想いを告げる時間切れが迫っている事を暗示しているかのようだったね

けれど、カタリナはキースの想いに気づく様子は全く無く。落ち込みの理由をお守りが負担になったと解釈してしまうのはどうなの……。まあ、これは母親のせいも有るけど
また、ジオルドの想いの深さを理解していない点も今後どう左右してくるのだろうか…



とても良い

今回は異種族やら大人と子供やらの大きな括りではなく、異なる素性を持つ相手の立場になり考える事で成長を促す、満足を得るというとても素直な話になっているね
それだけに見終わった後の気分が心地良い話

父に実力を見せたいとの翔太の主張はつまり、大人から見て納得の出来の品にしたいとの欲求が有るから。だから大人と認める滝谷に相談している
でも、大人に認められる出来の物をいきなり作るなんて無理な話。だから滝谷の助言はタリスマンの作り方ではなく、翔太に成長を促すもの
教科書どおりに作るだけでなく、教科書に無い部分、製作者の気持ちにも想像を働かせろという助言
これを受けて作られたタリスマンを父が褒めてくれたというのは、単純に贈り物が嬉しかったというだけでなく、そこに翔太の成長を感じられたからだろうね
また、父の反応を受けて、「もっと頑張らないと」と気張る翔太の姿は気持ちいいね

トールから見ればいつもしっかりしている小林がダウンする様子は否応なく不安になってしまうもの
看病が必要な小林の姿はまるで退化したかのように見え、滅んだ村や国を思い浮かべてしまう。それが小林にも当て嵌まると思ってしまう
一方でトールが不死の薬を求めない点には成長を感じられるね。不安で仕方なくても小林が嫌がる物は避けようと慮っている

でも、小林は文明社会に生きてるから薬を飲んで寝れば風邪くらい普通に治る。だからトールが入手した薬は完全に蛇足
けれど、不安で一杯なトールの心を癒やす為には小林による治療が必要。それは小林がトールの薬を飲む行為に繋がる
トールが見つけた薬は小林やトールの病を吹き飛ばすものになったようだね

置き去られた人形の持ち主を探すイルル。でも、探し方なんて交番に届けるとか、ネットに上げるとか遣り方は他にもある
でも、あのシーンにおいてはイルル自身が持ち主を探すという点が最も大事だったのだろうね。自分で見つけたいとのイルルの気持ちを尊重しているから、タケも小林も探す主体をイルルから奪おうとしない

イルルは自身の経験と人形の綺麗さから持ち主が望んで捨てたとは思わない。持ち主の立場になり、後悔があるのでは?と考える
大切な人形を捨てて、ずっと後悔しているイルルの言葉だからこそ、人形の持ち主に深く響き、一度捨てた人形にお帰りと言える
持ち主と一緒に涙を浮かべるイルルも大切な何かを拾い直せたかのようだったね

それはそれとして、男女の違いに全く気付け無いイルルに向き合うタケは色々と大変そうだ(笑)



良い

序盤からかのんや可可に協力的だけど、音楽科としての立場を優先していた千砂都。いわば壁を作っているとも感じられる状態だったのだけど、そこには幼い頃の約束も関わっていたようで、これは簡単にはメンバー入りしてくれなさそうだと感じてしまう

元々普通科と音楽科という壁が存在する学園が舞台の作品だったけど、今回は更に壁を感じさせる描写が見られたね
炎天下はかのん達の練習を阻む壁となるし、可可とすみれの間には反発する壁が見える。音楽科レッスン室の使用にも科としての壁を意識せざるを得ない
また、アイドルではない千砂都は一緒にランニング出来ない

でも、壁があれば分離された異なる世界かと言えばそんな事はないんだよね
南の島からやってきたサニパは別世界のスターに思える。また、すみれは旅行をバカンス扱いし皆で避暑を満喫するけど、神津島は本物の南国じゃなく同じ東京都
壁が有っても分離を意味しない場合もある

なら、大枠としてはアイドル活動に含まれるダンスを学ぶ千砂都もアイドルになれるかと思いきや、そうはならないようで
かのんと千砂都は目標を分け合った存在。だから壁で分離されたのではなく、分担したと言える。かのんがアイドル活動を頑張るなら、同じくらい千砂都もダンスを頑張るという話になるのだろうね

だからダンスに専念する為にあの退学届けが登場してしまうのだろうけど……
かのん達のダンスが千砂都に頼り切りになっているという点、歌詞の為に千砂都との関係性に悩むかのん
どうやら、かのんと千砂都にとって目標の分担とその為の行動を見直す機会になりそうだ



とても良い

前回のさらさの話と今回の薫の話を繋ぐ愛の不器用な言葉が印象的
さらさは花道を失っても、銀橋を目指す事が出来る。異なる道がある
なら、親子3代で紅華を目指す薫には果たして銀橋以外の道を選ぶ機会は何処まで有ったのだろうか?と気になってしまう

バス停やバスを中心に触れ合いを重ねていく薫と辻の様子は一つの青春写真のよう
二人は家族が自分の進む道で輝かしい功績を残している事でプレッシャーに晒され続けている
似た苦しみを持っているから、他人から判りにくい境遇を共有出来る。それが互いに惹かれていくきっかけとなる

けれど、白と黒の二人はオセロだから隣り合う事が本来難しい。同色の恋愛をしている内は隣に居られても、進路への向き合い方が異色なら隣に居られない
薫は母と祖母が居るから紅華を目指しているように見えて、彼女が目指すのは男役。母や祖母と違う道を志す彼女はその時点で自らの意思で道を選んでいると言える

空を彩り落ちる花火を人々は見上げる。でも、銀橋を目指す薫は綺麗な華を見上げる者になってはいけないんだよね。見上げられる人間になれるよう人々が空を見る間も努力し続けなければならない
それを理解した薫の道は揺らがない。祖母との会話では異なる道を示されてコーヒーは揺らいだが、自分の進む道をこれと決めた後は波が幾らぶつかってもまっすぐ伸びたまま

薫と辻の道は分かれた。だからって知らぬ他人になったわけではなく、薫は辻の活躍に涙を流すくらい想い入れを持ち続けていたし、辻だってあのようなメッセージを後に残した
二人は恋の道を選ばなかった。けれど、それぞれプロとして活躍する中で再び交わり、その想いが告げられる日がくればいいなと願ってしまうような、そんな素晴らしいラストだったね



普通

チームを上手く動かしてゲーム制作を進める恭也。ただ、その中で生じる恋愛問題への対処は何処か危うさが有るような……
彼はゲーム制作の夢をやり直す為に過去を過ごしているから、それに関わらない事象への関心が低いのだろうか……?

亜貴とも奈々子とも中途半端。おまけにそれを河瀬川に相談してしまう情けなさ
貫之は主人公が誰を選ぶべきか真剣に悩んでいたが、恭也はキャラの個性で分岐を選ぼうとした
今の恭也はゲーム完成へ向けチームを導く頼り甲斐の有るキャラに見える。けれど、彼の個性に含まれない役割においては何処まで正しい振る舞いが出来ているのかと不安を覚えてしまう



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