オリヴィアの慟哭に向き合えないリオンの弱さが目立つ回。ルクシオンやミレーヌの力を借りて好き勝手してきた彼はだから成長していないからオリヴィアと向き合えない
対してリオンに負けて駄目駄目になったブラッド達に成長の萌芽が見えるのは面白い構図かも
オリヴィアに挑戦や失敗をさせなかった為に成長が阻害された
見方を変えるとマリエの愛を得る挑戦を手にし、リオンにより大きな敗北を得たブラッド達は成長が促進されたという事になる
苦手分野に挑戦しリオンにすら頭を下げた。それは以前の彼らなら考えられない行為
まあ、ユリウスは変わらず酷い有様だったけど(笑)
状況を変える為に甲板に飛び出たオリヴィアの決意、そしてブラッド達の成長はゲームにおける理想の在り方に近付いたかのようにリオンに映るのは残酷
ゲームのキャラとダブらせて目の前の人間を見てしまうから、自分をモブだなんて扱ってしまう。オリヴィアとの間に壁を作ってしまう
ブラッド達に功績を譲ろうとしたのは自分に失敗を与えようとした動きとも取れるのかな。オリヴィアを慰められず、アンジェリカから平手され、おまけに功績すら手に入れられないとしたら、それは大きな失敗となる
でも願い虚しくそれすら昇格へ。他者の力を借りるばかりで成長を得られないリオンに求められるのはモブから脱却しようとする挑戦なのかもしれないね
兄のファッションに散々文句を言い放つ圭。白銀を気落ちさせるその言動はけれど、「白銀御行は格好良い」と見せたいし言われたいとのブラコン的な想いがそこに有ると思うとニヤニヤしてしまう
センス皆無な兄を着飾る苦労、望んだ一つを得る為なら圭は厭わないわけだ
遂に白銀への好意を自認し早坂にも打ち明けたかぐやの変化は驚き
自覚したばかりの恋を叶えたくなるが、告白の勇気を持つのは難しい。だからって諦められる程、欲していないわけじゃない
白銀への告白に悩むかぐやの様子はそれだけの恋心を抱いているのだと伝わってくるね
団長と大仏の件は驚きというか、普通に子安と付き合っているものかと……
それを知って直情的に動くのではなく、子安に告白出来る特別な人間になってから動くという石上の姿には覚悟を感じさせるね
出遅れる可能性があっても、彼女に相応しい人間に成りたいという本気の想いが見て取れる
皆が皆、望むたった一つの月を手にする為に動き出した文化祭。
「告らせたい」という意地から始まった物語は「告りたい」という本気へ
副題の『ウルトラロマンティック』が決して軽い気持ちで付けられたものでないと判る展開にこれから文化祭がどのような場になるのか楽しみで仕方ないよ
大きなエピソードが終わった後は整理する時間が必要。それは絵日記だったり小休止だったり
それなら学生らしく夏休みを満喫したい。けど、夏は独りで満喫できるものではない。そうして満喫を分かち合いたい相手、桃やミカンを求めるシャミ子にはニヤニヤしてしまうね
独りでは夏エネルギーの行き場はない。誰かと分け合ってこそ。独りで夏アイテムをフル装備するより、桃やミカンと屋台巡りをした方が楽しいに決まっている
それは夏祭りだけでなく、夏休みの宿題にも当て嵌められる点は学生の夏休みっぽさに溢れていて良いね
一人と一人では宿題に対する意見が分かれて進まない。けどそこにトラの赤ちゃんという別の要素を加える事で夏を楽しめると知れる。宿題も頑張れる
途端に桃に宿題を勧めていたシャミ子が引っ張られる側に回ってしまうのはモチベーションの違いが見えて面白いというか、桃ってそんなに猫科の動物が好きなんだ(笑)
そんな賑やかな中で見えた寂しさ。孤児として一人だった頃の桃が抱えていただろう感情
なかなか素直じゃない桃がポロリと零した望み。これを眷属とか桜に頼まれたとかそういう理由ではなく、桃が笑顔になれる日々を取り戻せるようにと奮起するシャミ子の様子には心温まるね
奇妙な世界構造ながら第一話から確かに存在した身分格差、それが遂に牙を剥いた印象
人間扱いされたいとか自分はモブだとか嘆いてきたリオンがオリヴィアから「私は人間です!」と訴えられる衝撃。自分への卑下がいつしか大切な相手をゲームキャラと扱ってしまっていたわけだ
空賊退治に挑む理由を説明する際などから明らかなように、リオンは完全にあの世界をゲームと捉えているし、王子達もオリヴィアもゲームキャラと捉えている。だから自分もモブ扱い
かと言って、王子達に一欠片も人間性を見出していない訳では無い点は少し面白いかもしれない
ブラッド達は恵まれた特別な立場のキャラではなく、彼らなりの苦労が有ると認識できている
また空賊も人間だと認識し、それを殺す事で自分が普通じゃ居られなくなる事を気にしている
後少し認識を変えればリオンは世界すら捉え直せるのだと思わせる
それが出来ないのはゲームの知識が有る為だね
ゲームでオリヴィアは主人公だった。ゲームに自分は居なかった。それが認識の歪みを生んでいたのかな
キャラは何でも知っている。でも人間を知ろうとしなかった
オリヴィアの糾弾はリオンにオリヴィア達と向き合う必要をこれでもかと訴えているね
文化祭という大イベントを前にしての準備回。けど、準備の意味を飾り付けだけの意味に留めず、本番へ向け意識も整え直しているように思えるね
これまで蓄積してきた経験を研ぎ澄まし、そうして文化祭をより良いものにしようとしている
実行委、というより子安の雰囲気に同調しつつ補足意見を出せる石上は経験の蓄積が活きている。けど馴染みないミコは雰囲気から浮き針のむしろ
そのまま終わるかと思いきや、キャンプファイヤーという本音から変わるのが面白い
避難されるのはいつもの事。そこで突っ走るのもいつもの事
けど突っ走った果てにこれまでの経験の蓄積を元手に報われる展開は良いね
誰もがやりたいとは思っていた。でも無理だからと諦めていた。それをミコの本音と実直さが切り開く描写は確かにアガる
白銀は風船すらあのザマなのか……
でも普通の人が普通に出来る事を出来るようにする為に孤軍奮闘してきた白銀はいわば経験蓄積の宝庫。それは経験の蓄積ではなく理想の再現にて好成績を残しているかぐやにとって魅力的に映り、惹かれる理由となるのかな
婚活や世界構造の珍妙さよりも人間関係にフォーカスされた分、リオンの小物感が目立つ内容になっていたね
けど小物は小物でも気持ちの良い小物。ルクシオン頼りで無双しつつも最終的にはピンチに陥る。このバランスが彼を嫌味な人物にしない要因となっているのかも
リオンは小物だけど一応の弁えはあるんだよね。カーラを助ける理由はオリヴィアの為だし、レースに出るのもアンジェリカを困らせない為。
リオンは傍若無人に振る舞うけど、守るべき者の為なら理不尽も受け容れている
そういった理不尽を受け容れつつ、その先で自分勝手に振る舞うから気持ち良いキャラになるのだろうけど
またリオンの良い点は自分勝手に振る舞った先でジルクに拠って理不尽な目に遭っていたクラリスにけりを付ける機会を与えた事か
また、他にもオリヴィアとアンジェリカとの仲が戻るように助言もしている
悪役のように振る舞いつつ嫌味にならない程度に誰かを助ける彼は主役ではないかもしれないけど主人公としての貫禄は付けつつ有るように思えるね
そういや、もう一人の小物として台頭して来たのがマリエかな。こちらはこちらで笑えるタイプの小物に成りつつ有るような
ハーレムは完成している。けれどそのハーレムによって苦労している。おまけに前世の恋愛でも厄介な男を引っ掛けていたようで
リオンもマリエも大物になれないタイプなのに、厄介事の中心に居てしまうのはどういう運命に生まれたのやら(笑)
規模を拡大し不可能を可能に変えた合同フェス、それは大勢から夢を託されたから実現した形。その形が回り回って来場者や関係者に夢を与える構図になっているね
その中で栞子はフェスを支える側だったけど、フェスに夢を託しているわけではなかった。その夢の行き先が描かれた回だったと言えるのかな
栞子の挫折と言うか、諦めは少し特殊な形
栞子は自分の夢を姉に託す形で応援していた。「高校生になったらアイドルに」というのも姉の道をなぞる形
だからこそ姉の夢が叶わぬ形で終わった瞬間を自分事として捉えて夢が止まり、応援する要素だけが残ってしまったのかな
『適正』を盾に自分の可能性や夢から目を逸らす栞子の様子に付け入る隙は無いように思える。けど栞子の諦めは自身の諦めじゃないから、実は余地が有る
夢に不義理な形で蓋をしている栞子の諦めに納得がいかないから、大勢の人々から夢を託されてステージを彩る同好会は栞子の夢の為に動き始めるわけだ
だから栞子に必要だったのはかつての自分が姉を応援していたように、踏み出せない自分を応援してくれる存在であり、夢を託した姉も後悔していないという事実であり
また、「やりたい気持ちが貴方にあるんならそれだって充分適性」との台詞は良かったな。栞子を夢から遠ざけた『適正』が一転してアイドルへ進ませる後押しになった
一方、人気は高まっているのに孤独感を強める嵐珠の様子は気になるね
栞子もミアも夢や好きを与えたり与えられたりして繋がりを増やしている。「与えるだけでいい」と言い放っていた嵐珠の夢は誰の為に何処へ行けるのだろうね
前半で描かれた三者面談は夢や進路を問われる場。でもそれを真に問うているのは教師ではなく自分自身
自分に問い答える事で他人に教えられる。かぐやは自分に問い掛けないから答えがない。白銀はきちんと問うているから進路だけでない答えも欲するようになる
白銀は自分で答えを決めた。告白も自分の力で進み始める
すぐに自分から告白できないのは変わらないけど、期限を決めていずれは自分から告ると決めた。それは大きな成長だけど、そもそもは自己への問い掛けが行われなければ得られない成長だろうね
ただ、自分への問い掛けなんて普通は上手く行かない。藤原が言うように客観視、他者からの問い掛けと答えの方が自分を正しく表す場合もある
そういった意味では白銀が他者から自分がどう見ているか聞くのは珍しい姿でありつつ、これまた彼の成長を感じさせるシーン
かぐやだけが良い答えを返したのは、かぐやは白銀に問い掛け続けているからかな
三者面談でも自分より白銀の進路を問うていた。だから白銀が求める答えを持っていた
でも飛躍を遂げようとする白銀と変わらないで欲しいと願うかぐやの認識がズレている点は気になるけれど……
真ヒロインミレーヌ登場!……はさておき、前回の決闘が嘘のような変わらぬ学園模様には唖然とするね
虐げられる男性陣、マリエに群がる王子達、虐められるオリヴィア、穢される茶会。こんな状況だからリオンも変わらず自分をモブだと認識し続ける
こうなってしまうのも結局リオンが王宮から評価された流れで秩序が守られてしまったから。だから壊れるべき風習は壊れず、学園は変わらず男性への扱いは変わらない。リオンにとってオリヴィアもアンジェリカも手の届かぬ高嶺の花という認識のまま
後ろ盾が無ければ吠える事も出来ない
それでも変化した点が有るならリオンの評価かな
圧倒的な力を持つリオンを周囲は放っておかない。だから王妃は訪れるし、カーラは近付いてくる。変わらぬ秩序の中で変わるリオンの周囲
何はともあれ、一般的な感覚を持つミレーヌとくっ付くのが一番だと思いますけどね。まあ、色々な意味で茨道になるけど
しずくとせつ菜はユニットを組む事になったわけだけど、こうして見るとしずくとせつ菜は似たような課題を持っていたんだなぁ
生徒会長の自分とアイドルの自分、どちらが偽というわけではなく並立する在り方。それが学園祭とフェスティバルの両立という問題にリンクする話と見ると面白い
皆の夢と自分の大好きを守る為に正体秘匿を望むせつ菜。それは母や生徒達に自分の並立を受け容れてもらえるキャパシティが有ると確信できていなかった為かな
けど、合同文化祭がキャパオーバーになったように、二つの存在を二つのまま扱おうとすれば何かと問題が生じてしまう
両立させようとすれば、両立を受け容れられるキャパが求めれれる
学園にて合同学園祭に対する意見が割れたのも似たような背景から。学生達はファンとしての自分と生徒としての自分を両立させられなかったから騒ぎになった
学園の騒ぎに対してせつ菜が判断を下せばそれは生徒会長としてものしか成立しない。でもアイドルとしての自分は納得しないから悩む
この判断を説明する際、同好会に対しても生徒会長として説明している辺り、せつ菜はキャパオーバー状態
そんな彼女に歩夢達は生徒会長・アイドルという個だけでなく、生徒会・同好会としての集団を持ち出してキャパを広げた。更に他校も巻き込めばそりゃ解決の道は見つかるというもの
母と生徒に自身の正体を明かした優木せつ菜。これは母や生徒達に自分や自分の大好きを受け容れてもらえるキャパシティが出来たと確信したからかな
遂に始まった合同学園祭。この中で変化の予兆が見え隠れする栞子やミアはどういった一歩を踏み出す事に成るのかな?
桜を探す過去への旅路、それは手掛かり少ない道だからこそ厄介。手を変え品を変える必要はあるけれど、遣り方を変え過ぎれば行き着かないかもしれない
それは桜探しだけでなく、桃の中にあるシャミ子を心配する気持ちにも言える事だね。今回の桃は桜とシャミ子への心配が並び立ち妙な感じになっている
冒頭、シャミ子の欲しい物を尋ねる桃だけど、元々は自分の頼みがシャミ子のプレッシャーになっているかもという懸念から。でも懸念と質問の形を変えすぎたから伝わらない
でも桃がシャミ子を心配する気持ちは変わらないからバイト継続にも反対する。けどやっぱり伝わらない
桜が何処へ行ったか知る者は居ない。それでも情報の欠片を擦り合わせて一つの形へ変えれば真実へ近付ける。ほんの少し前まで誰も知らなかった真実へと行き着いたわけだ
でも、十年前の記憶なんて形のないものだから思い出せるものではない。だからシャミ子には危険を冒して記憶の形を確かめる事になってしまう
この状況に桃の反応は煮えきらないね。姉を探したい、シャミ子を危険に晒したくない
姉の行方が知れると思った瞬間はシャミ子が懐かしむ以前の調子に戻るけど、シャミ子が夢で危険と知ればやはり調子が変わる
桃にはどちらも大事で疎かにできないから判断は明確な形とならない
桃がどちらを今大切にしたいか定まるのは悪夢を引き合いに出してから
夢の中で助けられたなんてあやふやな根拠。でも、煮え切らない状況を抜けるには明確過ぎる形よりも多少ぼんやりしている方が良いのかもね
なかなか素直になれない今の桃にはそういった理由の方がシャミ子を助ける行動に繋げやすいのかもね
リオンにとっては気に入らない全てを壊しつつ、一応アンジェリカを守る行動を取っただけ。後の事なんて考えない暴れ方
既に崩壊している秩序を破壊する暴虐。でも、それが別の見方をすると秩序を取り戻そうとする動きに見えてしまうのは面白い
前回の戦闘にも言える事だけど、リオンは王子達をボコボコにしつつ彼らの誤った部分を指摘し、その誤りを利用して圧勝した。それは弱点を突く行為なのだけど、別の見方では彼らの傲慢さを目の前に突き付けているように見える
ただ、問題だったのは彼らに改心の余地がなかった事。だからリオンの暴虐は一方的なもので終わってしまう
彼らの覚悟が頑なだからユリウスとアンジェリカの仲が戻る事はないとはっきりしてしまう
あの状況でもマリエへの愛を貫いたユリウスは本気。ならアンジェリカが何をしようとユリウスの心は戻らない
ユリウスを諦めきれず決闘まで挑んでしまったアンジェリカはようやく諦めるきっかけを得たわけだ
まあ、こんな状況だからこそ大まかに見てしまえば秩序を破壊するリオンの行動は忠義の行動となってしまうのだけど(笑)
壊れた秩序を壊して全てを失う筈が秩序を守ったと評価されてしまった。だというのにリオンの手に残ったのは簡単に手が出せない高嶺の花
彼の女難の人生はまだまだ続きそうだね