本人にはどうしようもない残酷な境遇に立ち向かう二人の物語と見せかけて、ラストにまた別の残酷さが顔を見せる構成が堪らない
千雪が夢見るパリコレに出るには高身長が要求されるが、今の身長では無理だしこれから伸びる余地はない。つまり、千雪の夢への道は既に閉じている
なら、後はいつ諦めるかという問題だけ。そういった意味では父や雫の温情は千雪に無理な現実を受け入れさせるためのもの
けれど、逆境に負けず足掻き続ける千雪の姿勢は良いね
だからといって「諦められない人」に理解が有るわけではないのだけど。
逆境の中で夢を目指そうとする育人に無理だと告げる千雪の言葉はそのまま自分に返ってくる
育人が受けた辛辣さは千雪が受けた辛辣さと同一
そういった意味では育人との会話は千雪に夢を諦めさせる踏ん切りとなるはずだったのだけど、そうは問屋が卸さず
もう一人の千雪である「ミルネージュ」が存在する限り、千雪に夢を諦めるタイミングなど無く人生が続く限り千雪は夢に向かって進み続けるのだろうね
こうして千雪は育人の繕った服を着て1%の壁をこじ開けたのだけど……
ここに来て雫が言った「ショーモデルの仕事は――服を見せるの」との台詞が活きてくる。千雪をパリコレに飛び立たせるはずの服は育人を舞台に引き上げる為のアイテムとなってしまう
千雪は育人を踏み台に使ったつもりが、育人に踏み台にされ、物語の主役すら譲り渡すことになった。
この主人公交代のギミックが今後物語にどのように影響してくるのか、そして千雪が再び物語主役の座を奪い返す日は来るのか。ワクワクしながら見守りたい
原作の良い部分を存分に伸ばした結果、作品の魅力が大幅に増した印象。何よりも子供らしさに溢れるソマリの姿が愛らしいのもグッド
1話を見てアニメ化は大成功だと思える作品ってなかなか無い
普通、異形といえば人間に対しての人外が相当するけど、本作に於いて人外に対する人間が異形に相当してしまう。だからソマリは人外に扮し正体を隠している
異形が異物として認識されればそれこそ話に出たように市場に並ぶ羽目になる
一方でゴーレムもあの街においては異物として存在する
森の守り人である筈が子供を連れて旅をし、食堂に入っても何も食べず、商人に騙されず真贋を言い当ててしまう姿は普通の有り様から浮いている
また、感情豊かなソマリの傍にいるからこそ、彼の無機質さもはっきりとした異物感を伝えてくる
異物であるかどうかは見て判ってしまうもの。かつての人間が人外を許容できなかったのも同じ理由
だから、ソマリが同じ目に合わないようにするには見た目を変えて異物であると詐称するしか無い
ゴーレムはソマリの安全を確保する為に手を繋いだ。それは奇しくもソマリが望んだ親子の風景であり、その光景が擬似的に彼らを呼び方だけでなく見た目からも親子であると認識される一歩となるのは面白い
穏やかで平和だけど、弱者である人間にとっては危険に溢れる世界でゴーレムと人間という異物同士の偽物親子がどのような旅をすることになるのか。
本作の道行きを楽しみにしつつ次週を待ちたくなる
盗品蔵におけるスバルは完全に部外者でしか無いのだけど、邪心無く純粋な想いと勇気だけでエルザに立ち向かう彼の姿には裏表がない。だからフェルトもエミリアもパックもいつの間にかスバルのペースに巻き込まれてしまう
スバルは部外者であり、もはや彼の知る状況ではないし、いざとなれば死に戻りなんて切り札も有るけれど彼は逃げない
生きている限り足掻くしか無いし、エミリアが言及したように一生懸命頑張っているならまだ切り札は使うタイミングではないというわけだね
最後、スバルの腹は再び切られてしまうがそれで死ぬことはなく。
繰り返しのようでいて以前と異なる事象が彼が今回の騒動を切り抜けられた証であるように思えた
遂に自分が死に戻りをしていると理解したスバルの行動は的確
チンピラに出会った際の対処、フェルトの住処の探し方、そして徽章を取り戻す交渉術
でも、彼は全知になったわけでも全能になったわけでもない。あっさりとフェルトに疑われてしまうのは仕方ない。そして、スバルの本当の武器は未来を知っていることではなくてその気質だと思う。
正義感ではなくエミリアが死ぬのを見過ごせないという純粋な気持ちで動く彼の姿は気持ち良い
短い放送時間の中で諦観した状態から希望ある状態への変化を上手く描いているのは好印象
義足の足で健常者の兄と同じようにバスケをしようとすれば当然限界は見えてしまう。そして限界を前にすれば自分には可能性なんて無い、なんて思い込んでもしまう
けれど、場所を変えてみれば可能性なんて案外簡単に広がってしまうもので。
今の海は上手く車椅子も操れないしシュートも届かない。しかし、目の前には自分と同じような姿で苦もなくそれが出来る者達が居る
なら、海が目指すのは兄のようにバスケをすることではなく、自分にしか出来ないバスケをすること。それを突き進めて行けば、いずれは兄のようにコート上で活躍し拳を突き上げる選手になれると示唆される冒頭シーンに繋がっていく展開は素晴らしい。
「パラアスリートは可能性の宝庫だからな」という台詞が象徴的な本作の方向性。視聴を続ける中でそれを存分に味わっていきたいと思える、そんな第一話だった
雑然としているようで味のある建物群を背景に、古き良きアニメーションへのリスペクトを骨格としつつ、浅草と水崎が思い描く想像が重なった瞬間から広がっていく世界描写には眼を見張るものが有るね
初回放送に1時間も使っているだけあって、本作がどのような作品か知るには充分な要素が揃っているように感じられた
ドアラみたいな着ぐるみに追われる前半だけで終わっていたら本作の魅力は判らなかったけど、シュカとも戦う後半部分が有ることでこの作品の方向性が判るようになっている
真紅のドレスで鎖を振り回し飛ぶシュカの姿はアニメ映えしているし、そんなシュカに対して知恵と勇気で立ち向かうカナメの姿は主人公然としている
更にラストの朝チュン描写で視聴者の気を引いてくるのだから、上手い作り方をしているね
天文部と地質研究会が合併していたという衝撃的な展開から始まる本作。あまり関係性のない2つの集いが「KiRAKiRA」というキーワードから共通項を見つけられたように、どれだけ離れたものでもどこかで繋がっていると感じられる第一話だった
まず、みらとあおの描写が判りやすい
キャンプ場で出会い子供らしい約束をしただけの二人は、時間や距離が離れても約束を忘れなかった。
それが天文部での偶然の再会に繋がっていくわけだね
ただ、二人の交流経験は少なくみらのペースでLINEしようとすれば上手く行かない。みらは嫌われているかと思ってしまう
あおはあおで過去の失敗から言い間違いに気を付けすぎてしまって…
二人は折角再会できた相手から嫌われたくないと思うあまり踏み込めない
でも、二人は同じ夢によって結び付けられているから仲良く成れないなんて無い。星について話し始めればあっという間に仲良く成れてしまう
離れた場所で電話を使って会話するラストシーン。二人の距離はやはり離れているけど、同じ空を見上げ同じ約束を叶えたいと思っている二人の絆は既に確かなものになっているわけで
二人を中心として地学部がどのようなキラキラを見つけられるか気になる所
新編集版が出るということでこれを機に初視聴
お人好しすぎて損する性格なスバルとエミリアが出会い探しものをする物語が死に戻りを機にスバルが徽章を手に入れる物語になり、再びの死に戻りで全てがリセットされる構造は衝撃的
リセットされる世界の中でリセットされないスバル。彼の中には蓄積される出会いや経験が他の人の中には蓄積されない。それらの認識の差はスバルに何を齎すのか、そしてここからエミリアとどのような関係性を築いていくのか。
先の展開が読めない第一話だね
カオスすぎる状態が続いた文化祭の諸々の要素がそれぞれにとって良い形になって落ち着くべき所に導いていく構図は結構好き
だからこそ、ラストの流れが少しズレている気がしなくもないが
着ぐるみを利用してキスしなければならない状況を回避した文乃。それどころか感動的な文句を述べて無理やり劇を終わらせてしまう
文乃にとっては不本意なキスをカオスな事態を利用することで文乃が望む状況を作り出す
けれど、キスの相手が不明である為にもやもやが残った文乃はちょっと可哀相ではある
真冬のお硬い講義を少しでも賑やかにしようと奔走した同僚たち。
けれど、その講義はコスプレライブというカオスを経ることで満員の集客となる
でも、そこに集ったのは講義目当てではなく真冬目当てである点は真冬的にどうなのだろうね?
捌くのは無理筋だったうどんは成幸がカオスな舞台に撒いたチラシを呼び水にとんでもない集客となった。更に恋人関係のジンクスが絡まり、コスプレしたままのうるかやOBのあすみが宣伝することでカオスな状況ながらも売れる事態に
うどん販売が完売へ落ち着いてく様子は面白い
そして、花火を一緒に見るジンクス。これは何人もの意図が絡んだ結果、もみくちゃな状態に
花火は不発だし、打ち上げ寸前まで成幸は皆と触れ合っていたし、実際に手を取った者の顔は明かされない
成幸にとっても視聴者にとってもカオスな状況。
しかし、ラブコメ的にはここで手を取った相手が成幸と結ばれる訳で。成幸にとって落ち着くべき相手が示されるシーン
これでほぼ全ての話が落ち着くわけだが、本アニメは先に進む予想外な展開を見せる
皆が志望校に合格して卒業してしまう描写は驚きだが、成幸の手を取ったのがうるかであると示唆する描写には本当に驚き
原作者はラストの描写に含みを持たせているけど、視聴者を混乱させていることには変わらない
第三期を作らないならこういう終わり方も有りだろうなと思う反面、随分踏み込んだものだと思わずに居られない
この終わり方はスッキリした部分とそうでない部分が同居しているから、しばらくの間はザワザワした心境のままになりそうだ
兎にも角にも全体的に安定したクオリティで原作の要素を上手くアニメにしてキャラクターを動かし、視聴者に賑やかな日々を提供してくれたことについてはアニメスタッフの皆さんに感謝したいかな