アニメの品質が全体的に安定してきている2020年代という時代に生まれたのが奇跡とも言える、10年に一度の大駄作。
アニメーションとしても物語としてもあらゆる部分が破綻しており、そのグズグズさは一周回ってギャグに昇華されているといってもいいレベルに達している。
アニメーションとしては昨今の大作アニメの足元にも及ばない出来で、作画そのものは「なんとか見れる」程度で安定しておりメチャクチャに崩壊している部分は少ないものの、とにかく動きが少なく、紙芝居同然になっているシーンが多い。細かい作画を嫌ってかキャラクターをアップにしたシーンも頻発する。
特にバトルシーンは冗長そのもので、「主人公たちの攻撃→攻撃が防御される→敵の攻撃を主人公たちがかわす→再度主人公たちの攻撃~」というワンパターンなアニメを数分にわたって会話などを挟んで繰り返した7話などを筆頭に出来は最悪。主人公の一行には「二刀流の達人である仙水」「ワイヤーなど数々の暗器を使いこなす忍者・兼六」とアニメにしたら非常に映えそうなメンツが揃っているが、彼らが最強の戦士であるという設定はアニメーションを通して少しも伝わってこない。
この手の低予算アニメのお決まりである「回想シーンを使った引き延ばし」も中盤以降多用されており、否が応にも「作画チームの苦しさ」を画面から感じてしまう。
一応最終盤ではバトルシーンに関してはちょっと改善されていたものの、それでも大作クラスのアニメには逆立ちしても届かないクオリティ。
また、敵であるジビエを中心にCGも使われているのだがその出来もよろしくなく、特に本作を通してのボスキャラクターである、謎の人型ジビエ「メテオラ」が7話で変身した恐竜のようなモンスターなどは「3Dモデルにテクスチャを貼り付けただけ」感が全くぬぐえておらず、カラオケボックスで流れる汎用映像のCGを思わせる低クオリティに思わず爆笑してしまった。
総合して、アニメーションは制作チームの「予算も時間もない」という事情が透けて見えてしまう低クオリティで、見どころと言える部分は「皆無」と言わざるを得ない。
シナリオに関しても「メチャクチャ」の一言。
「戦国時代からタイムスリップしてきた主人公たちのことを、ヒロインら現代の人間がほとんど疑うことなく信じる」
「『敵に追われている最中に車のタイヤがパンクしてピンチ』という展開のはずなのに、味方の一人が敵を道連れに自爆する展開のあと何の描写もなく車のタイヤが直っている」
(「仲間が自爆して時間を稼いでいる間に車を直す!」といった演出は一切ない)
「ヒロインが敵に捕まり、人質を盾に主人公たちが何か要求されるかと思いきや、敵の一人が何故か主人公とタイマンを要求し、負けるとヒロインを解放して去っていく」
「目を開けたまま死んだキャラクターに、ヒロインが必死に『目を開けて!』と呼びかける」
など、大小問わずツッコミどころが異常に多い。というかシナリオの9割はツッコミどころだ。
これらを列挙するときりがないので、特に大きな瑕疵である「ジビエ」関連の設定と、本作のラスボスである「ヨシナガ博士とメテオラ」について、ツッコミどころの代表として解説する。
まず前者の「ジビエ」関連の設定だが、2話では避難所を襲うジビエに対して「銃は効かず、主人公の持つ刀は効く」という描写がされる。
しかし、「なぜ銃が効かずに刀では殺せるのか」という設定に関して何もアンサーはなされず、それどころか後の回では主要人物の持っている銃やヒロインの持つテーザー銃で普通にジビエが倒せてしまう。
これだけでも噴飯ものだが、ジビエの弱点として序盤から語られてきた「ジビエは強い光を嫌う」という設定が後にあっさり覆り、白昼堂々ジビエの集団と戦う展開になったり、最終盤になるとご都合主義的に「ジビエには電気が効く」という設定が出現したりと、ジビエに関する設定はブレブレ。
ヘリを激突させてビルから突き落そうが、車を全速でぶつけて川に叩き落そうがピンピンしていたメテオラが、終盤では2階程度の高さから即席の爆弾で叩き落しただけで絶命するなど、ジビエの強さに関しても全く一定していない。
後者はもっとヤバい。
ヨシナガ博士は「ジビエ災害を終わらせるため、ジビエを人間に戻すワクチンを開発している」という設定で、ワクチンに必要なジビエの検体を採取するために主人公らに同行している。そして、新たな避難所を目指す主人公らを襲ってくるのが、前述の人型ジビエ・メテオラである。
主人公らは旅の途中、何度も襲い来るメテオラを撃退し、終盤になってようやくメテオラを倒すことに成功するのだが、メテオラの死体を見たヨシナガは急に激高し、主人公らに向かって
「よくもメテオラを殺したな!」
と怒りをぶつけてくる。
ここで、ヨシナガによって「ヨシナガとメテオラは異星の住人であり、母星からの脱出行の果てに地球に漂着した」「ヨシナガがジビエワクチンを作っていたのは、母星にいた時にジビエ化した恋人のメテオラを救うためで、人類を救うのは二の次だった」「だが、主人公らがメテオラを殺したことでワクチンは無意味となってしまった」という事情が語られるのだが、それに至る伏線は終盤に至るまで全く存在せず、ヨシナガ関連の設定は唐突に出現する。
怒っているくせにそうした事情を丁寧に説明してくれるヨシナガの姿だけで笑えてくるのだが、その後ヨシナガが主人公らを「メテオラの仇」と一方的に恨み、復讐を決意するシーンもツッコミどころの塊である。
今までメテオラは主人公らによって散々痛めつけられているのだが、その時にはヨシナガはまるでリアクションしていない。普通なら怪物になったとはいえ恋人が痛めつけられていたら平静ではいられないだろう。というか、何かしら理由をつけて主人公らに「メテオラが襲ってきても、応戦せずに逃げろ」とか周知しておくだけでこの事態は防げたというのに、ヨシナガがそうした布石を打っている様子は一切ない。あまりにも間抜けと言わざるを得ない。
そして激高したヨシナガは八つ当たりで主人公の仲間の一人にジビエウイルスを投与してジビエ化させ、自身にも「知性を保ったままジビエになれる薬」を打ち込んでジビエとなり、主人公らに戦いを挑んでくる。
(この際に主人公の仲間の一人が言った「そんなのとばっちりじゃないか!」というセリフは、全視聴者の心情を代弁しているといってもいい迷台詞である)
これがこの作品のラストバトルとなるのだが、先ほど言った通りヨシナガの動機は単なる八つ当たりでありヨシナガはジビエウイルスの元凶でも何でもないので、ヨシナガの間抜けさもあってラストバトルのはずなのに全く盛り上がらない。
ヨシナガを倒すために、今まで旅を共にしてきた人々が力を結集する…という絵面自体はいいのだが、ラスボスがこれでは興ざめだ。
また、
「作画枚数を極力少なくしたいのかシーンの一つ一つが長く、まるで物語が引き延ばされているようで全体的にダレる」
「主にタイムスリップ組の過去を描くための回想シーンが多く、しかも現代のストーリーの流れを断ち切るように回想が入ることも多い」
「長々と回想をした割に、回想でもたらされた情報が現代におけるストーリー展開に一切関わらない」
などの欠点もあり、シナリオに関しても見どころと言える部分は「皆無」と言える。
総合すると、あまりに不出来すぎて、作品そのものがシュールな笑いに昇華されているある意味稀有な作品。
これを見る時間で素直に別の1クールアニメを見たほうが人生が豊かになるだろう。
これまでの登場人物が力を結集して大ボスを倒す&今まで戦ってきたパートナーといっときの別れ…って流れ自体は王道なのだが、いかんせんそこに至るまでの流れがメチャクチャ極まりないので当たり前だが乗り切れない。仙水たちのタイムスリップに一応の説明がなされたが、結局は「ヨシナガの宇宙船は精神の力で動いていた→宇宙船の残骸がキャスリーンの願い(精神波)を感知してタイムスリップ組の3人を現代に呼び寄せていた」という唐突かつご都合極まりない設定なので納得もクソもない。
一番突っ込みたかったのは今更出てきた「ジビエには電撃が効く」設定。だったらそれをモブにも周知して電気を放つ武器かなんかを持たせろや!
これが伝説の「こういう結末もありってことだ」かぁ!
タイムスリップものに重ねてエイリアンものSFの二段重ねという荒業オブ荒業を最終話一つ前のタイミングでぶちかましてくるとは油断していた。とばっちりでジビエにされたアヤメと、そのアヤメに殺されたガリアンズの皆様が可哀想過ぎて思わず笑っちゃったけど草も生えない。というか博士がちゃんとみんなに「メテオラには手を出すな」的なことを説明しておけばこんなことにはならなかったのに。
いやいやヤクザの親分、「一緒にいれば通じ合えるさァ」じゃないよ。あんたはアヤメにさんざ迷惑かけてきた側なんだからもっと謙虚にしなきゃだめでしょ。ていうかそもそもアヤメ母はなんでヤクザと真剣に愛し合うようになったんだろうね。そこがわからん。
ジビエが「光に弱い」という設定を無視してお天道さまのもとで暴れだしたのには思わず爆笑。設定を守らんかーっ!
これ以前から言えることだが、ヨシナガ一行の脱出行、タイムスリップ組の過去、ガリアンズ一行の日常を並行して描いているせいでテンポが悪い。
そして雪之丞とキャスリーンママは予想通り死亡。キャスリーンママの化けたジビエの存在はもっと強調してよかったかも。
雪之丞の「泣かないでくれ」という説得からの「タイムスリップ組はもっと過酷な体験をしてきたんだから、私もしっかりしなきゃ」っていうキャスリーンの帰結はしっくりこないなあ。もっとうまい説得〜帰結の流れがあったような。
とはいえ、今までのツッコミどころの乱打から考えればマトモな回。まさかここから盛り返すのか?
メテオラが恐竜みたいな姿になったが、CGの出来がカラオケの汎用映像並みなのは流石に笑えない。アヤメの父親への恨みという格好の伏線があっさり消化されたが、これはもっと引っ張ったほうが良かったのでは?二人の関係性が全然描けてないし、いきなり他人の家庭の事情に踏み込んでくるキャスリーンもKYにしか見えない。
もう慣れたが、今回も戦闘シーンはグズグズ。Aパートで散々引っ張って「アヤメが車をぶつけたら撃退できました!」じゃ盛り上がりもクソもない。
キャスリーンはご都合主義で生還。この程度のガバにはもう驚かない。まあ、今までの酷さを考えれば”ほんの少しは”マシだった回。
それより、2020年にもなってここまで緊張感もスピード感もない戦闘シーンが地上波で見られることに驚き。もう何百回も言われてきただろうが…本当にこのクオリティで世界を穫れると思っていたんだろうか…?
タイヤがパンクして絶体絶命だったはずなのになんの説明もなくタイヤが直ってたり、脱獄囚たちがせっかく人質をとったのに人質も使わずに何故か仙水とタイマン勝負したり、雑に手榴弾を投げただけで進路を塞いでいる廃車を破壊できたりと今回も突っ込みどころしかない。
爆笑ポイントは兼六がただのホイールキャップでジビエをまとめて撫で斬りにしたシーン。あのホイールキャップは気円斬か何か?
作画が少しパワーダウンしたのは残念だが、凸凹親子バディのやり取りは面白いし、ビッグトニーの軽快で時にコミカルな動きはロボットSFアニメを作り続けてきたサテライトの面目躍如。
昨今のサテライトは『重神機パンドーラ』『M3』『博多豚骨ラーメンズ』といった前科がある故先行きは若干不安ではあるが、視聴続行。
す、すげぇ。24分間、あらゆる画から「予算が!時間が!ありません!!!」というスタッフの悲鳴が聞こえてくるかのよう。2020年にもなってここまで「ヤバい」アニメが出来上がってしまったことが奇跡と言ってもいいかもしれない。天野喜孝と池田秀一を招聘するのに予算を使い果たしたんじゃあるまいな…。
偶然にもタイムスリップ組の3人が愛用していた武器を手に入れる流れには爆笑。いくら現代の人間が手入れしていたとはいえ約400年前の道具が400年前と同じように使えるわけないだろ!というか、結局ジビエは銃でも倒せるんかい!
んー、戦闘シーンの魅せ方以外全部「雑」。結局鬼ってどういう存在なんだろう?鬼は依代の人間を使って現世に現れたいらしいけど、2話や3話の冒頭では依代を雑に扱ってたくせに、今回の依代である陽子は守るような素振りを見せている。楓のケースを見るに依代の願望を叶えることで現世に出てくる…的な設定なのかもしれないが、その割に3話冒頭で依代のおじさんを殺そうとしてたりと、描写がまるで一定していない。楓の高跳びに対するトラウマとパワードスーツの飛行機能に関する結びつけも雑。楓と陽子の関係性の描き方も雑。そもそもあのパワードスーツが何なのかも未だに謎。鬼がいまさら「飛行し始めた!」って驚かれても、古代からオウカたちの組織は鬼と戦っていたらしいのに、その間一切鬼はあの「バイオハ○ード」のハンターみたいな一種類しかいなかったの?と突っ込みたくなってしまう。
総じて世界観があやふやで、まるで「自分の見せたいところだけ見せたい」専門学校の卒業制作を見ているみたい。
今季のロボット・SF枠の中では最もマークの薄い作品。正直ロボット(パワードスーツ)のアクションがそこそこイケてる以外は特に目を引く部分はない一話だった。期待薄だがとりあえず3話までは様子見。
有人宇宙飛行とはなんたるかの説明&イリナにも可愛いところがあるよ!という回。やっぱりこういうクール・ツンツンヒロインを演じさせたら林原めぐみは宇宙一。イリナのかわいいツンツンに画面の前で頬が緩む。
レフの過去やきな臭い政争の匂いといった伏線も散りばめ、今後への期待をぐっと上げてくれた2話。「牛乳は吸血の代替」という設定には目からウロコ。
アリカ姉様のお声を再び地上波で聞ける日が来るとは…!中二病時代をアリプロで過ごした者としては感無量。
アリプロのOPにヒロイン役に伝説級ベテラン・林原めぐみ起用と「ただの『今季のラノベ枠アニメ』に終わらせない」という制作側のエネルギーは感じられる。世界観も好みだし視聴続行。アニメが良ければ原作も買っちゃおうかな。
作画よし、アクションよし、そしてメインヒロインがキュート!現状、秋アニメの中ではもっとも期待値が高い作品。
1話はまだ導入、といった感じなので、次回での登場人物たちの掘り下げとロボットのアクションに期待。