冬の試練はその長さにあるという事だけど、その意味は冬の厳しさに一つの対策を立ててもまた次の厳しさがやってくるという意味なのだろうね
寒さ対策が完了したと思ったら次は積雪ですか。カブ乗りにとって冬がいかに厳しい季節か伝わってくる描写ばかり
雪道を走る小熊の様子は非常に危なっかしい。重大な事故でも起きるんじゃないかとハラハラさせられる程
だからこそ、その後に登場するタイヤチェーンの頼もしさったらないね。そりゃ礼子も小熊もテンションが上がって雪中で遊び尽くしてしまうというもの
厳しい冬であろうがカブで楽しみ尽くす二人の様子は輝いている。そんな二人に影響されて椎が走る楽しみに目覚めるのは納得の展開。更にイタリアの領土拡大計画も順調に進んでいる点は微笑ましいね
でも小熊達の楽しいカブ生活は様々な冬対策の上に立脚する楽しさなわけで…
危機的状況に陥ってしまった椎の為に小熊が出来る事は何があるのだろう……
これまで個別エピソードを積み重ねてきた本作。仕上げとなったのは同好会の代表としてステージに立つ事を意識した状態でのソロライブ
そこには責任やプレッシャーが伴う。だから生半可な覚悟では挑めない
今回は果林や同好会の絆が見えるエピソードとなったね
誰がステージに立つのか、と選ぶ段での果林の言葉は厳しい。それは3年生としての責任も感じさせるし、既にモデルとして活動している実績に基づく認識も有るのだろうね
ただ、あの場では果林がはっきり言い過ぎたせいで果林がハズレくじを引いてしまった感もある。それをきちんとフォローする後の場面や侑の発言は良いね
果林はしっかりしているように見えて実は方向音痴な側面が見えたり、他のメンバーに追いつくためにこっそり練習していたり
仲間たちに物を言うだけの努力をしているし、時には仲間の助言が必要なタイプである点も見えてくるよう
だから、侑達は果林が忠告してくれた事に感謝を伝えられるし、同好会がステップアップする為に皆で相談しあおうと提案できるのだろうね
代表としてステージに立つ事になった果林。一人だからプレッシャーに一人で立ち向かわなければならないように思えてしまう
でも、同好会の代表として立つならそこには支えてくれる仲間がいる。そして仲間達はライバルだから、情けない姿は見せたくないと思う
果林も、そして同好会も大きく成長した話となったようだね
ああ、いつの間にか審判の日になっていたのか
ヴィヴィとマツモトが100年掛けても変えられなかったものを既に戦争が始まってしまった段階から何かを変えられるのだろうか、と思ってしまう程に絶望的な状況ですよ……
変わらなかった悲劇が目に付いてしまうけれど、一方で変わったものも目立つようになっているね
博士は生存し、マツモトやエリザベスが存在する。何よりも100年を旅してきたヴィヴィが居る
それらは大きな惨劇の中で小さくても意味を持っているように思えてしまう
サルベージされたエリザベス。けれど今の彼女はサンライズ事件直前の状態。だから人間への対立意識を持った状態のままだった筈が垣谷の言葉が有ったから今は人間を助ける立場に変化している
そうして変わったエリザベスは今もエステラの最期を気にしていた。変わった彼女の変わらない部分が少し見えた気がしたね
そして……
正史から変わった存在、ヴィヴィとエリザベスが暴走していない事からマツモトや博士が物語の黒幕を暴き出す展開は良いね
「貴方を待っていた」と告げるアーカイブは何故人類を滅ぼそうとするのか。そこにAIと人類の対立は存在するのか。するのならば、ヴィヴィには何が出来るのか
ここから最終回までの話がどうなるのか楽しみだね
影だけ残し次々と消えていく光景には恐怖しか感じない……
今回の怪獣は街への破壊行為は行わない代わりに行っているのは現代の侵食。今を削り取られてしまうから夢芽達は過去に囚われてしまったのかな
そしてその過去は夢芽達にとって悔いの残る時間でも有ったというのは因縁めいている
ただ、悔いは悔いでも囚われた五人の過去風景は方向性が異なっているね
アンチやガウマの過去は史実とそれほど変わらないものになったようだけど、暦はあの時出来なかった選択をした。けれど、それによって何かが変わる事はないと理解したから現代に戻れたのかな?
対して蓬は軽々しく食事に付いて行った事を後悔しているが、迷わずに過去よりも現代を選んだから皆を導くことが出来た
最近は香乃が事故死ではなく自殺ではないかと探る展開になっていたから忘れていたけど、そういえば夢芽は姉を理解したくて過去への探求を始めたんだっけ
結局、姉がどうして死んだのかは判らない。けれど、ああして話し合えたことで後悔を懐きながらとか自分を嫌ったまま死んでのではないと判ったことは夢芽にとって大きな意味の有る対話となったのだろうね
夢芽達は過去を踏まえつつも現代を選び取ったから、現代に戻れて怪獣も倒せた
その中でガウマだけは少々毛色が違うような…
ガウマは過去の世界でも変わらぬ選択をしたから史実と変わらず優生思想を裏切ったのか?
いちいち覚えてないと言いつつ姫にこだわり続ける彼の心はまだ過去に囚われたままであるように思えてしまう
これまでは単純な居眠りキャラに見えていた彼方。けれど、その裏では夢を追うため家計を支えるため遥を助けるため奮闘していたようで
それは長女として当たり前の姿だったのかもしれないけど、今は彼方も遥も同じようにアイドルとして頑張っている
二人の境遇は瓜二つなのに彼方だけが遥を支えている
遥の決断は突然で極端。でも、あれっていずれ彼方がしていたかもしれない選択なんだよね。遥の決断を見て彼方が遥が辞めるくらいならいっそ自分がと思ったように、負担が大きすぎて遥を思うように助けられなくなったらいずれ彼方が決断していただろう事
それを遥が先んじて決断した
彼方も遥もとても似ている。似た意味を持つ名前であるだけに留まらず、境遇も夢も姉妹を想い合う様子も
それは本来なら素敵な関係の筈だけど、あまりに似ているから擦れ違う
だからあの局面で必要だったのは彼方が遥の想いを知ると同時に、遥に夢を追う気持ちは負けていないと見せる事だったのだろうね
似たもの姉妹は片方だけが支えるのではなく助け合う形に。そして姉と妹からアイドルの夢を追うライバルへ
これまでは似ているから衝突してしまった。でも並び立つ形なら支え合える
遥が作った卵焼きは不格好。でも、それを彼方は食べると言った。それに夕飯を作る際には助け合う約束までした
二人の姉妹愛が確かな成長を見せたエピソードだったね
季節は秋に。という事は小熊がカブに乗り続けてそれなりの期間が経ち、カブによって広がった世界に身を置くことに慣れた頃。つまり今の小熊は一端のカブ乗りとしての矜持を持っている
そこでカブへの憧れを口にする椎が登場する事で小熊の新たな一面が見える構図は面白いね
秋になって周囲は文化祭の準備に励んでいるというのに、カブの乗り心地や装備品にばかり目を向けている二人は何ともらしいね(笑)
そんな二人がカブ意外に目を向ける理由があるとすれば、それこそカブが関わる必要がある。だからって「原付きなんかで~」と言っているのを聞いてムキになる小熊は随分変わったと言うか、カブの事になると目の色が変わるようになったと言うか
クラスの一員として手伝ったのではなく、カブ乗りとして手伝った小熊だから椎への助言もカブ乗りの先輩としての含蓄を備えたものになる。あれらの言葉は小熊がカブに乗ることで世界の見え方が変わったから言える事なのだろうね
その一方で人生の先輩である先生の「困らせて欲しいのよ」という言葉にピンと来ていなかったのはちょっと面白かったかな(笑)
小熊からは抜けた部分があるように見えた椎。けれど、彼女は体の冷えた小熊達に最も必要な温かいコーヒーを持ってきた。それに文化祭のバールを立派に仕切っても居る
椎は小さな見た目に夏空のような大きな中身を持っていた
そんな彼女が今後どのようにしてカブを手に入れて、自分の世界を広げていくのか興味を持ってしまうね
この作品では86達の命が軽く消費されてしまう事はカイエの一件などで充分に判っていた筈なのに、ダイヤやレッカが為す術なく命散らす描写に衝撃を受けてしまう……
こんな環境だからシンエイに課せられた役割の重さを感じられるし、それに寄り添おうとするレーナの覚悟も感じられるね
それでもスピアヘッド自身は自分達の命を出来る限り尊重しようとしているね
「笑えなくなったら負けだもんな!」と花見を楽しむスピアヘッド。また、レッカが死に、もぬけとなったベッドに心を痛めつつも「ダーツしよ」と今を楽しもうとするクレナ
スピアヘッドにとって生きるとは笑みを失わないことなのだろうね
そしてもう一方の死に抗おうとする動きが隊員を忘れないこと
隊員が減って余った食事をアンジュは「一人で持てるから」と抱え上げた
また、シンエイは死んだ者達の名前を拾い上げた
そこに新たに加わろうとしているのがレーナだね。彼女は86には会った事はないけれど、メモの形で86達を忘れないようにしているね
それが時にはシンエイすら忘れていた人を覚えていたのは印象的
ショーレイの首に囚われ過ぎたシンエイには優しかった兄など思い出せない。けれど、レーナはちゃんと覚えていた。シンエイが拾い上げることが出来なかった者をレーナは生きている者に伝えてみせた
そういった記憶の連鎖がいずれ隔絶を超えた愛へと昇華されるのかと興味を覚えるね
原付二種を取得したことで更に行動の自由度が上がった小熊
上昇した自由度を修学旅行に参加する為に早速披露してくるとは……
話が進む毎に行動範囲が広がっていく小熊の様子には良い意味で驚かされるね
発熱は旅行を諦めざるを得ないから連絡したのにあっさり熱が下がってしまう理不尽
発熱が自由を束縛する現象であるなら、解熱は束縛からの解放か。それでも普通はそこから修学旅行に参加なんて出来る筈がない
でも、小熊には自由の象徴であるカブが有ると(笑)
だからって単身旅行先に向かってしまうのは破天荒にも程があると思うのだけど、こうした行為を迷いなくするようになった状態こそ小熊がカブを手にした事によって得られた自由なのかも知れないね
自由な小熊は単純に目的に向かうだけでなく、寄り道だって出来てしまう。これは小熊だけが出来る自由な旅行だね
翌日の自由時間も先生の忠告を無視して礼子と共にツーリング。誰かが求めるルールが有ったとしても従順に従おうとするのではなく、ギリギリ許される範囲で自由を謳歌する二人
カブが有るから出来ること。カブと共に居るから夢見る将来。二人の様子は青春模様に溢れていて眩しいね
紫呉によって示される呪いの終わり。あれだけ十二支を縛り苦しめてきた呪いが放っておいても解けるというのは衝撃的
ただ、こうなって来ると別の見方が出来るようになるんだよね。十二支や夾にとって呪いが問題とならないなら、別のものが問題となってくる
夾の呪いがいつ解けるのかと気にして、夾を誰からも奪われたくないと執着を見せる透。それはきっと恋愛と呼べる感情
透に夾を譲った楽羅もそれを理解しているから、夾に自身の感情を告げられずに燻る透に憤る
でも、透は既に別の相手に対する執着で一杯一杯になってるんだよね
父親の死、今日子の憔悴、そして今日子の死……
最初は母親を引き止めて独りきりにならないため。そして母を亡くしてからは心の中に母の面影を繋ぎ止めて自分を保つため
いつまでも母を一番に想い続ける透の姿勢は一種の執着と呼べるもの。こちらは親愛と呼べる感情かな
これからの透と夾にとって十二支の呪いが問題にならないなら、二人にとって問題となるのは自分の心に正直になって相手を受け入れるかどうか
夾の未来が新たな姿を見せ始めた段階で顔を出した二人の心の奥底に眠っていた別種の問題
罅の入った写真立てがあまりに不吉ですよ……
ディーヴァの性格が以前と豹変している事にも驚きだけど、前回から大変長い時が経っている事にも驚かされる。もう61歳なんだ…。それお姉様じゃなくてお婆様じゃん……
ディーヴァにもAI達にも数多くの笑顔が見え、誰もが幸せを享受しているように見える。だからこそ、そこに違和感を覚えてしまう
AIを滅ぼすAIであるヴィヴィの人格を無くした今のディーヴァは歌にだけ邁進しお客も増えていると言えば聞こえは良いけれど、正史においては博物館贈りにされる運命を持ち序盤に置いては「音階をただなぞっているだけ」と揶揄された彼女の歌が大衆に受けているという事実
何かが致命的にズレているような……
そして付き纏う疑問は前半部の殆どに見られるね。特にナビと話すシーンなどこれまでであればマツモトが介入しそうなパターンのシーンなのにそれも無かった
ディーヴァとしては正しい有り様。そしてAIの活躍が広がる世界。全てが有るべき姿を示す世界に突如現れた有るべき姿ではない垣谷の姿にはかなり驚かされたよ
そして第一話と逆の構図を魅せる後半部。あの時はマツモトがディーヴァを勧誘するために言葉を尽くしていた。今度は逆にディーヴァが言葉を尽くしてマツモトの考えを変えようとしている
再起動によって消えた筈のマツモトとヴィヴィの繋がり、それが再び生まれた意味とは?ヴィヴィを二度に渡って助けたマツモトの真意とは?そして何故オフィーリアが自殺する羽目になるのか?何もかもが気になるね
これまでのレーナは頭の中お花畑と呼ばれる程に世間知らずの正義マンに思われていたのだけど、一番辛い時に86に助けられた経験があったのね。そしてその時に86が戦う想いを聞いたと
そんな原体験があるなら86を人として扱わないなんてそりゃ無理な話なんだろうなぁ…
前回にてレーナがスピアヘッドに対して歩み寄ったことを反映してか随分穏やかな前半部だったね
革命祭に行くのを躊躇うレーナ、哨戒中と嘘をついてレーナの話に付き合っていたシンエイ。更にシンエイの兄について話を聞く様子も有ったりと、徐々に双方の心理的な壁は取り払われてきた印象
その印象をぶった切る亡霊たちの声とシンエイが語る戦争の行く末は恐ろしいものだったね
絶望的な事実を前にしてもレーナは一緒に戦おうと言おうとした。けれど結局言えなかったのは心理的が壁が減ったとしても二人の間にはまだ消しようのない空間的な壁が有る。それこそ自分の話を聞くシンエイの表情を窺い知ることが出来ないように
これまでレーナ陣営と86陣営を分ける場面転換の際にはOPEDやCMを用いる場合が多かったように思うのだけど、今回のED前後はシンエイが映ったまま
ED画像は色が反転した月、ED後にはシンエイが首の痕を晒しながら死んだ兄に言及している事から、ED後の場面は死者の世界なのかなと深読みしてしまうね