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全体
普通
映像
普通
キャラクター
とても良い
ストーリー
良い
音楽
普通


とても良い

河瀬川加入によって、これまでの仲良しこよしなチームきたやまに少しの緊張感が生まれたようで。それが普通なら躊躇する奈々子への直言という新しい流れへと繋がっていく
けれど、彼らはチームだから直言によって生まれた不和を放置する事は出来ない。恭也に調整役として新たな仕事が求められた回になったね

本気の演技を目の前にした事で生まれた奈々子のもやもや
これを恭也は当初は時間によって解決しようとするけど、河瀬川は時間を置かずにその場でストレートに言ってみせた。河瀬川は後の言葉から判るように、殴られる事もチームから抜けるリスクも考慮しての言葉だった
河瀬川は本気になって奈々子の問題を解決しようとする

また、時間を巻き戻した恭也にとって貫之の「遅かったって後悔するくらいなら今本気になった方がいいだろ」との言葉は響くだろうね
ここで恭也はチームの問題解決を時間によって行うのではなく、奈々子の本気を引き出す事で解決する方針に変えたのかな
だから奈々子を気にする河瀬川に対して「それは彼女の問題」と切って離し、あの場においては河瀬川自身の話となったのかな

恭也の前に突如舞い込んだ誘いの手。けれど恭也は「今は無理」と拒否している。いずれこの誘いをは受けるには本気で挑む為の時間が必要となる
恭也にとって夢に対して本気で立ち向かうために時間とリメイクが必要とされたように奈々子にだって同じように時間とリメイクが必要となってくる
と成れば、奈々子の歌を音程調整したものはちょっとした未来の先取りといえるのかな

夢が叶うか判らないから逃げ出した奈々子にとって、夢が叶った時間を垣間見る音源は背中を押して、夢が叶う可能性を教えてくれるもの。暗い場所で蹲っていた奈々子を本気で立ち向かっていく明るい場所へ引き出してくれるもの
けれど、恭也に出来るのは限りが有る。奈々子は自分自身で頑張らないといけない。どうやら新たなリメイクが始まったようだね



とても良い

第一話で愛の領域に踏み込んだ行為に始まり、この回でもさらさはあっさりと相手の領域へ踏み込んでいるね
それがキモオタさんや愛を変えていく描写は秀逸

いや、本当にさらさは凄い
正体が判らず、愛が怯えたキモオタさんもとい北大路であっても、愛と仲良くなる為に話す必要がある相手と認識して普通に会話するどころか、連絡先を交換し、一緒にヲタ芸を打つ程に相手の心へ潜り込んでいく
そのように明るく踏み込んでいくから北大路も自分の事情を話せるのだろうね

同様に北大路にとって愛こそ自分に踏み込んできた人物
引きこもりで他者を受け入れない生活をしていた北大路の前に衝撃を持って愛は現れた。それが契機となり彼は窓を開き、行動範囲を拓いた。それは今も変わらず、謝る為だけに神戸まで来る原動力となっている
踏み込まれた事で、相手に踏み込めるようになった

一方で愛は過去に無理やり踏み込まれた経験も有り、そうされるのを厭う人物。自分を守る為に踏み込んでくる相手を拒絶して、閉じこもるタイプ
そんな愛を北大路もさらさも踏み込むようにして助けてみせた。特にさらさの大声はその場に居た全員の心に踏み込むようなものだから、自分の事しか考えず愛も周囲も見えていなかったチャラ男共を撃退できる

北大路もさらさも愛の為に踏み込んだ。それに報いるように精一杯踏み込んだ愛の行動には驚かされた
その流れを引き継ぐようにさらさに助言を求めた愛の姿勢には成長も感じさせる。けれど成長途中だから、さらさの表情までは踏み込めない
互いに舞台に立つ者としての憧れを抱く愛とさらさ。この二人が相方になっていく下地ができ上がったような回だったね



とても良い

誘拐されてる状況で相手は闇の魔力を持つ正体の見えない男、とこういった要素が揃っているのにカタリナは警戒心無さすぎでは……
不安定な状況でも爆睡と食事とお茶が出来るってもうメンタル最強じゃん……
でも、そういった他者に影響されない強さが他者を変えていくんだろうなぁ

キースなどの時と違い、カタリナはルーファスの過去も心開かせる言葉も知らない
それでも、まるで彼が大切にしている思い出をなぞるかのような言葉を使えたのは、相手をしっかりと見て相手の特徴を捉えているからなのかな
闇の魔力を持っていても、スラム出身でも、ルーファスが目の前にいる人間であることは変わらない。カタリナの言葉は真にルーファスを思い遣ったものとなる

一方で相手を純粋に見すぎてしまうから、相手の中に芽生える欲に気付かないのだろうけども
ホント、ベッドに押し倒されてからの行為を「虫に刺された」と解釈するカタリナの異性関係の知識ってどうなってるのさ(笑)
遂に我慢の限界から実力行使に移ったジオルド。これによってカタリナの周囲への認識は変わるのか、そしてマリアの逆襲はどうなるのやら(笑)



良い

イルルが家族になった直後の日常回。イルルには考えなければならない事も多く、街を破壊しようとした罪悪感も有る。そういった普通の子供として過ごすには邪魔な負の感情が才川によって雑に翻訳されて、子供たちの輪に混ざれるようになる流れは秀逸だったね

遊ぶ資格を真剣に悩むイルルの姿は子供らしさからかけ離れているけど、そういった悩みが必要になるくらいイルルは変化を必要としている。それこそ自分が乱暴者なのに混ざって良いのかと確認しなければならない程に
対して才川は良い感じに子供らしいね。カンナの謎を気にしても、あっさり目の前の欲を優先してしまうし、イルルの乱暴という言葉も『不良』と適当に置き換えて答えている
悩むことは大切だけれど、一人で出せない悩みならいっそのこと何も考えず子供の世界に入ってしまえば良い
そうすれば可愛いものを愛でる才川やちょっと腹黒い翔太、皆から好かれるカンナに混ざってあっさりと子供らしさを取り戻せてしまう
街を破壊しようとした、なんて悩んでいたイルルが人生ゲームの場で「悪魔~!」とか抗議する姿は微笑ましい

メイド服への憧れを語る小林の言葉はトールに翻訳されファッションアイディア大喜利に、更にジョージーに翻訳されてメイドの心を語る場に
コロコロ話が変わっているように思えるけれど、小林にとってそうやって他人の目を通してメイド服へのこだわりを再確認する事で、嘗ての自分が何故メイド服を着たかったのかという初期衝動を思い出せたようで
それがトールのメイドとしての在り方を褒める流れになるのは良いね

おおよそを如才なく出来るトールにとって心動く趣味はないと思われた。それが偶像(アイドル)崇拝という翻訳を通して、小林を賛美する魔窟のような空間が出来上がってしまうのは面白おかしい(笑)
おまけにそれを怒ったっていい小林も、その惨状を悪酔いした自分と比べて怒れないというのも面白い
また、別の角度から考えてみると、カンナの為にゲームの中とはいえ、全財産投げ売った才川の趣味はカンナと言えたりするのだろうか……(笑)



普通

前回はかのんが歌えるまでの話で、今回は恋が反対する中での部活動設立。
もしかして本作は「無理」や「出来ない」を打ち破りながら、かのん達の成長を描いていく作品になるのだろうか?

恋が突き付けたのは学校代表としてのレベルを提示できるのか?という点。何も実績が無い二人にクリアできる問題ではない
でも、ここで他の学校に逃げてしまってもそこでアイドルが出来るとも限らないし家族に迷惑がかかる
だから二人は無理を通すために自由を求める戦いをする必要があったわけだね。それにしたって悪目立ちする方法だったけど(笑)

でも、その戦いが突破口を開いたのだから良かったのか
理事長から出された課題。難易度は高いが無理ではない。が、ここで「出来ない」と新たに示されたのは可可の体力面。簡単なステップですらへばってしまう体力じゃ踊るなんて「無理」
流石に体力問題は運動を続けることでしか解決しないけどノートにあった「あきらめないキモチ」の言葉通り、可可は家でも早朝でも諦めずにレッスンを続けていくね

可可の姿勢や音楽科の存在がかのんにも影響したのか良い曲作りができたようで
受験失敗で終わったと思ったのに続いた道。部活も出来るかもしれない。けど、フェスで一位になれるとは限らない。終わらないためにはもっと何かを始めないといけない。
今回、手を貸してくれた千沙都の加入はかのんが「無理」と言って断ってしまったが、この『無理』も打ち破るのだろうかと期待してしまうが……



とても良い

前回が作品作りの悩みを描く回であったなら、今回は作品評価に関する話か
冒頭で加納が言うように、評価の際は素直な反応が必要。
でも、評価となるのは反応だけでなく人によって多様な評価軸がある。それが見えてくる内容だったかな

撮影機材がないという映像制作における決定的窮地。それを恭也は「これくらいのピンチ」と言い切るのは良いね。他のピンチと比較できるなら、今回の対処法もその時の対処法から見えてくる。
その上で仲間達に適切な指示を出せたは恭也素晴らしい。仲間から信頼の眼差しを向けられるのも当然かも

同期の拍手、仲間達からの称賛。それらは充分に評価と呼べるものだけど、これが学校の課題であるなら、ある程度の評価点は決まっている。だから表面的には3位となってしまうのだけど、一方で内面的には自分の評価軸で評価している英子は納得できないし、加納も映像から感じる恭也の別の力を評価している
様々な軸によって評価が行われている事がこれらのシーンから判るね

だから、後半で自分の能力に自信の無さを見せる菜々子と亜貴に対する言葉が際立ってくるのかもしれない
奈々子は下手だけど声量と声は良い。きっと練習し続ければ光る。だから恭也は具体的な目標を与えつつ、将来的には他者から評価される場に出す事も視野に入れているね

でも、亜貴への評価はちょっと別物だったのかもしれない
今の亜貴が求めているのは絵を評価される事そのものではなく、絵を書く行為を好きで居続ける事。だから恭也も亜貴の絵を上手いとか綺麗とか評価するのではなく「好きだよ」と告げている。それはきっと何よりも特別な評価
恭也の評価により新たな目標を決めた亜貴。彼女も自分の好きに対してリメイクを始めたと言えるのかもしれないね



とても良い

ファンに塩対応した過去とか、紅華に入ったのに役の希望がない愛の姿勢は不思議だったのだけど、その原因となった過去が想像以上にエグい……
彼女はあの経験の中で親が自分を守る存在ではなく、家も安らぎの場所にならないと知った。だから閉鎖環境であり男が少ない紅華を目指したのか

幼い頃の愛は不躾な質問をする大人を小気味よくあしらい、男子の下世話な発言にも上手く返している。それらは世間から自分を守る壁であり演技だったのだけど、一方で大人にとって都合の良い子供を演じているようなもの
だから家を侵略した男は彼女を反抗しない子供として扱い、自分の欲望を一方的にぶつけたのかもしれない

幼い愛にとって受け流せる限界を超えた侵略の苦痛。保護する者の助けが必要なのに母親は取り合わなかった。愛が幸せな子供を守っても、自分を守ってくれないなら嘘は傍に居られない。でも、それを引きずり出してしまえば愛まで空っぽの存在になってしまう
だからこそ、愛が一番辛い時に自分の場所を守る鍵と自分を守ってくれる場所の鍵をくれた太一に懐いたのかな

だとすれば愛にとってさらさはかなり特別な人間となり得るのかも
第一話で愛はさらさの場所との区切りを作った。なのにさらさは平然と越境していた
再び愛の前に現れた因縁の男性。そんな愛を守る壁になるかのようにさらさは立ち塞がった
さらさは愛を守る場所となるのか、それとも侵略者となるのか。さらさはどう対応するのだろうね



とても良い

カタリナ誘拐に不安で眠れないメアリ達に対して、暢気に食っちゃ寝してるカタリナのギャップが酷い……(笑) 誘拐した側のセリーナですら「平気なフリ」と受け取るくらいの状況なのに(笑)
でも、この暢気さがセリーナの悩みを受け止める土壌となり、事態解決の糸口になっているんだよね……

でも、この回最大のお笑いポイントはセリーナ説得の言葉なんだろうなぁ
イアンから嫌われていると不安がるセリーナに「人の気持ちはその人にしか判らないもの」と話す事を勧めるけど、カタリナこそ周囲の話をそんなに聞いてませんよね……(笑)
セリーナを慰める事には成功してるけど、カタリナ自身に特大ブーメランな言葉では?

というか、本当にカタリナは愛されてるね
一睡もできないメアリとアランに始まり、カタリナの為なら継承権を放棄して構わないジオルド、いつの間にか護衛を付けていたラファエル、怪しい人物を片っ端から潰す気なメアリ…
よくよく考えたら、あのメンバーの中でメアリの愛が一番重い気がするよ……(笑)



とても良い

人とドラゴンとしてラベルが異なるのだから相容れる訳がない。それを気にしない小林のロジックをぶち壊す為のイルルの罠は珍妙な事態を引き起こしたね(笑)
これで小林が男と女というラベルの違いによりトールと相容れなかったらイルルの言を認めた事になるわけだけど……

トールやカンナにとってはいつもと変わらぬ小林なのだから、変わらぬ距離で接している。変わってしまったのは小林の方
けれど距離を置かないと、と考えつつも小林とカンナ、小林とトールとしての距離は保ち続けているね。男と女というラベルによる本能には従おうとしない

ラベルによる分離が行われないなら、そこには個人として判り合う、判り合えないという判別が行われる事になるのだろうね
だから小林はトールに男として欲情するよりもメイドへのこだわりで判り合えないし、人には害しか与えないというクレメネの主張も判り合わない
小林が判り合いたいの男と女とか人とドラゴンとかではなく、個人としてのイルル

小林の言葉によって心を開いていくイルルから飛び出したぐちゃぐちゃになった本心。人やドラゴンというラベルに関係なく遊んでいたかったという望み
だから小林もそれに呼応してとてもあっさりと、そしてイルルという個人にとって最適な形で「遊ぼっか?」と言えたのだろうね。それは小林とイルルが判り合えるポイント

面白いのは、ドラゴンとして悲惨な経験から義務に縛られていたイルルと、社会人として過ごす中で義務に縛られていた小林の経験にリンクする部分が有ったことかな
ここでも人とドラゴンというラベルを超えて、個人として判り合えるポイントが有ったということ

そうしてイルルがドラゴンではなく、新しい家族として小林の傍に居るなら学んでいかなければならない事は沢山あるし、考えなければならない事も沢山有る。それはイルルがイルルとしての形を取り戻す時間にも繋がる
新しい生き方の一歩を踏み出したイルルの為に用意された食器類はイルルが個人として受け入れられた何よりの証しに思えたね



普通

歌う事は好きなのにいざという場面で歌えない。そこに音楽科不合格の烙印が絡み、歌うことすら否定されたかのような心境になりかけていたかのんの変化が丁寧に描かれていた第一話だったね
また、彼女の『好き』と歌を引き出すために感情豊かな可可が良い働きをしていたね

普通科と音楽科の制服の違い、そして音楽科である恋による注意
それらはただでさえ必要な場面で歌えないかのんに更に歌の道を諦めさせようとするもの。音楽科に入れなかったのに音楽の道を進もうとするの?と言わんばかり
でも、何も進路がそのまま自分の進みたい道を制限するわけではないんだよね

音楽科に進んだ千砂都は新しいバイトを始めているし、可可は普通科であるにも関わらずアイドルになろうとしている
進路や所属がそのまま自分の在り方を縛るわけではない。だからかのんが歌を好きであると知っている千砂都や可可は何度もかのんに歌うように促すわけだね

かのんはいざという場面で歌えない事に劣等感を覚えていたようだけど、一方で道端であろうと自分の世界を形成してミュージカルばりに歌い上げる。それはそれで凄い才能だと思うけどな……と思っていたら、最後の最後でやってくれたね
これで歌えない性質が解消されたかどうかは判らないけれど、誰にも遠慮しなくて良い自分の『好き』は取り戻せたのかな



とても良い

駅という共感度の高い場所に三人が並ぶ様子は駅を介して三人の想いがリンクしているのだと感じられるね
だけど亜貴と奈々子が今より幼い姿だったのに恭也だけ大人の姿
三人とも過去に思いを馳せているのに、恭也だけそれは未来の光景という、早くも『時間』のズレが見え始めている

だから摩擦が生じるのは当たり前だったのかも。今回は相手が貫之だったけど、これからも恭也は自分の経験や過去からアイディアを出す中で誰かの未来を引用してしまうかもしれない
そういった意味では10年前の過去に戻った恭也はそれによって『時間』に苦しめられていくのかもしれないね

3分オーバーだからと脚本を削れないかと話した事で亀裂が生じた恭也と貫之。彼らが話しているのはまだ形になっていない映像、未来の話
脚本だけが問題と決まったわけじゃないから貫之は粘る。やってみないと判らないと言う。でも恭也は良いものを作りたいという未来への意志に向き合わなかった事で、未来の問題が現代の問題となってしまう

恭也は目指す未来が明確だから現代を疎かにしがちなのかも
恭也だけがサークルに乗り気になれなかったのも、目指す未来の為に現代を寄り道していてはいけないとの迷いが有るからなのかな?
現代における解決策を貫之が脚本を削る事だと思ってしまうから彼と向き合うことも出来ない

加納との会話によって『時間』に悩む者に格差は無いと気付けたようで
過去でも未来でもなく現代をやり直すために恭也が『時間』を後回しにすると決めるシーンは良かったね
そしてラストに襲い来る新たな問題は『時間』だけでなく『物』も課題となってくる。これに対して仕方ないと諦めずどうやり直すのかな?



良い

少しずつ明かされていく紅華の日常。そこは伝統と競争によって形作られた幾つもの独自ルールが存在するようで。また、女の世界としての目に見えない縛りも存在する
だから逆に、それを気にせず振る舞うさらさと愛の存在が際立っているね

本科生による指導、それは紅華の生活に不慣れな予科生を導くものだけど、一方でライバルを牽制する意地悪も隠されている。そして隠されているからはっきりと言葉や意思にされることはない
だからこそ、背も声も大きく夢もはっきり主張するさらさの存在は嫌でも目立つ印象を受けるようになっているね

リサによる牽制、それは虐めるつもりはなくて自分の特性を考えて夢を諦めろとの『指導』。でもはっきりしているさらさには通じない
逆にはっきりしたさらさの意志が、同じように『指導』を受けた経験を持つリサの心情も変える展開は良いね
早くもさらさの良さが出ている

そしてさらさだけでなく愛も目立つ存在
聖の牽制球に対してはっきりとストレートを投げ返しているし、自己紹介の際に薫が「アイドルの事にも触れろ」と暗に促した際には薫が想定した以上の発言をしてみせた
ここで、薫は黙って愛と同じようにはっきりしているさらさだけが食い付いているのが面白い

けれど、今の所はやはりさらさの方が優勢なのかな?
裏方からは元アイドルの愛が注目されるけど、同じくらいさらさも注目されている
そして、迷い込んだ舞台で勘違いとはいえ、さらさに向けてスポットライトが照らされた。はっきりした存在が更に周囲より目立ち映える光景
あの場面からは主役としての性質を既に備えているように思えるね



良い

役者怪我で主人公が劇に突如投入されるって定番ネタだけど、本作の場合はカタリナは台詞も覚えられないし他のメンバーはカタリナを巡って私情ダダ漏れの有様。
だけど、これはこれで非常に面白い光景となっているね

学園祭で生徒会主催の演劇であれば、来場者を楽しませる事を真っ先に考えなければいけない筈なのに、私情優先な面々
長靴借りてウキウキのマリアとかニコルの為に筋書き変えるソフィアもニコル投入で焦る男性陣も、お客よりカタリナを優先してしまうのが本当にらしいというか
その中で劇を成功させようとするカタリナが無邪気で暢気に見えてしまうおかしさ(笑)

台詞は飛んでるし筋書きは変わってるし当初の予定からは大きく変わった劇の形
それでもお客は大盛り上がりで家族も喜んでいるし最高の学園祭になった。トラブルがあっても終わり良ければ全て良し。なら、学園祭がもう少しで終わるタイミングでカタリナに迫る魔の手は学園祭の楽しさをどう変えてしまうのだろうか?というか、これが新たな破滅フラグ?



とても良い

この第二期が始まるまでにあまりにも多くの事が起こった本作
だというのにそれらを感じさせない底抜けの明るさがOPから伝わってくるね。勿論そこには少しの寂しさも有るのだけど

第二期になっても変わらず人とドラゴンという異なる種族の交流が描かれるようで既に期待大ですよ!

メイド喫茶で働く事になったトール。コック長として多大な評価を得ているのにメイドというラベルを求めて奮闘する様は面白い
けれど、そもそも小林以外のメイドをしたくないトールはサービス業の何たるかを全く理解していないね。結局はメイドというラベルに釣られただけだったという(笑)

トールとイルルは混沌勢。だから調和勢のエルマは参戦しない。でも、それじゃあ小林は大切なトールを守れない
トールは守る使命を忘れ混沌勢の戦いをしそうになっていた。それを小林がエルマに調和勢としての壁を越えさせつつ、トールには壁を越えないようにしてやった
結果としてトールはメイドとして小林の隣に戻れたわけだね

イルルには二人が人間とドラゴンに思えるから、隣に居る事に納得できない
小林にとって自分達は小林とトールだから隣に居るのを間違いと思わない
違いが有るから傷を生むと考えるイルルと違いが有るから絆を生むと考える小林
両者には考え方の違いが有るけれど、一方でこれは人とドラゴンによる違いではなく、小林とイルルの違いなんだよね
この対話が既にラベルを越えたものになりかけている

イルルが仕掛けた驚きの罠は小林の欲望を曝け出そうとするもの
ラベル通りに考えるなら、男性となった小林がトールに欲情するのはおかしな事ではないけど、それはイルルのラベルで判断する考え方を肯定してしまうものになる
次回は小林にとって奇妙な試練となりそうだ(笑)



とても良い

同好会だけでなく他校も巻き込んだフェスの開始!
だというのに共通衣装ではなく個別衣装で別々のステージで歌い踊る同好会の面々には驚かされるね
でも、それは本作が大事にしていたバラバラを尊重したもの。一方で曲を繋ぎ一体感を出す演出は素晴らしいね

侑が夢見た素晴らしいフェス。でも、侑はアイドル達を応援する立場だからライブを見ずにスタッフ業務。アイドルが大好きだけど、アイドルの道を選ばずに応援する道を選んだ侑にとってはいつもの光景
その中でふと零した夢を目指す言葉は、侑がアイドルを応援する立場のみで立っている訳ではない点が見えてくるね

盛り上がっていたのに雨で中止となったステージ。これはアイドルを応援する侑にもどうにも出来ないこと
ここで副会長や他のファン達がライブを繋ぐ展開は素晴らしいね。今や歩夢達を応援するのは侑だけじゃないからあのような光景を生み出せる
そしてファンによってステージに押し上げられたアイドル達が述べるのはファンを応援する言葉

ファンがアイドルを応援してステージを輝かせて、アイドルがファンの夢を応援して世界全てを輝かせて
応援する立場だった侑がファンとしてステージを楽しんだ。それが自分の夢へ進む原動力となるわけだね
バラバラであることが十人十色の輝きを生み出し、それがファンにも侑にも波及していく。素晴らしい連鎖を幾つも描いた作品だったね



良い

「あの時ああしていれば」なんて後悔は永きに渡って抱え続けるものだし、それを問題の原因に結び付けがちだったりする
それを思えば恭也が過去に戻れた不思議現象よりも進路のやり直しを優先しているのは納得しやすい
一方でそのやる気が簡単に結果に結び付きそうにない点は進む道の厳しさも感じれるね

芸大に進まなかった事を後悔する恭也に舞い込んだドラマみたいなチャンス
雑用始まりなのに、あっという間にチームの信頼と役割を勝ち取っていく様子はサクセスストーリーじみている
でも、それはソーシャルゲームの隆盛という時代の変化によってあっさり崩壊。
恭也の活動開始が遅すぎたのだと暗に宣告するかのような無慈悲な運命

だから恭也が後悔しない道で活躍を目指すのなら、やはり進路選択の瞬間まで戻るしかなかったという事なのだろうね。だからって何の脈絡もなく戻れてしまうのは何とも言い難いけど……
ただ、それだって簡単には行かないのだと判る後半の内容は心に来るね
道を選べはした。本当の問題はその選んだ道の先で何をするのかという点になってくる

恭也は過去に戻って人生をやり直す事になるわけだけど、恭也がすべきは人生のリテイクでもリライフでもないんだよね。
クリエイターを目指す彼に求められたのは、それを勝ち取る為に自身を作り直すリメイク。その為の学校生活
だから自分には何が出来るのか、何をしたいのかと改めて悩む事になる

それにしても恭也の同級生達は才能の片鱗を見せつける者ばかりだね
既に一言持つ河瀬川は言うに及ばず、貫之も亜貴も将来の活躍を期待させる、もしくは約束された将来が垣間見える実力を持っている、正しくプラチナ世代
恭也は彼女らに関われただけで満足な人生になるのか、それとも恭也自身もプラチナ世代の仲間入りができるのか。それこそこの先の努力次第となってくるのだろうね



良い


良い

久方ぶりの本作。いきなり大事件が起きるというわけでもなく、第一期に作られた人間関係や雰囲気を丁寧に、それでいて小気味良いテンポで展開する内容は見ていて非常に楽しめるものになっているね
というか、何度も笑ってしまうね!

普通、鈍感系主人公って視聴者から嫌われやすいタイプだと思うんだけど、カタリナの場合は自分に向けられる好意に全く気付かない所か、色気より食い気が明確になっている為に周囲の牽制を含んだドタバタを嫌味なく見ていられる作りになっているのは好印象
想い合っていると勘違いされて目が死んでるキースとメアリには笑ってしまう

カタリナは友情エンドを迎えたと思ってすっかり油断。新しく登場した人物達も今の所は怪しい人物は居ない
けれど、カタリナならそういった安心を壊して破滅フラグを引き寄せてしまうのだろうな(笑)
演劇に巻き込まれた事で新たな破滅フラグが始まるのか、ただのトラブルに終わるのか
どちらにせよ賑やかな騒動が繰り広げられそうだ



とても良い

透と夾が離れる事を契機として描かれる幾つものお別れ。別れがあれば出会いがある。この最終回で描かれるのはこれまでの日々へのお別れと新しい日々との出会いかな
神様と十二支の宴は終わり、互いを愛し幸福を願い合う宴が始まったのだと感じられる内容だったね

夾が猫憑きの因縁を引き裂くように捨てた数珠を拾う透
夾からすれば自分を縛り付ける物を剥がし自由を得る行動。けれど夾の過去だって透には愛すべき相手。捨てる対象にはならない
同じように、透と夾はこの街から離れるわけだけど、それによって繋がりを捨てるわけではなく、離れても消えない繋がりを大切に抱いていくつもりなのだと伝わってくる会話ばかり

透と夾の門出に対して、様々な言葉を述べる十二支や友人達
二人が居なくなる事を寂しがりつつ、二人の旅立ちを祝っている。燈路の「いっぱい泣いちゃえ」、紅葉の「これからも笑ってくれてなきゃ嫌だ」という台詞はとても良いね
彼らから透がどれほど愛されているかが伝わってくる

透と由希の会話。これは一緒に過ごした日々が終わるお別れ前の会話だから感謝の気持ちが籠められている。一方で新たな始まり前の会話だから、これまでは言えなかった秘した想いを口にする
終わりと始まり、そして感謝の気持ちをこれでもかと籠めた由希の台詞は透を送り出すのにとても相応しい言葉だね

そして辿り着いた幸福な未来の光景。まるで童話のようなめでたしめでたしの最終回
10年以上前に原作を読んだけど、再びのアニメ化なんて望めないと思っていた。だからこそ、この幸せな光景を今見られた事に感無量となってしまうし、これを実現してくれた数多のスタッフさん達には無上の感謝を捧げたくなる
このような素晴らしい作品を作ってくださり本当に有難うございました



とても良い

バラバラな好きを肯定してここまで来た同好会。それが侑と歩夢の二人の関係をバラバラにしてしまうとは……
侑は歩夢が居たから、歩夢は侑が居たから歩み出せた。だから心が離れ離れになってしまうと二人共動けなくなってしまう

それでもフェスティバルに向け賑やかになる周囲は二人が動かずにいることを許してはくれない
侑は他校との調整をしなければならないし、歩夢は自分を推す今日子達とステージを作り上げないといけない
だからこそ、心が動けないでいる自分自身に忸怩たる思いを抱いてしまうのだろうね

きっと侑にとっては予想以上だった歩夢の拒絶反応。一緒に歩んで来た二人だから一緒に歩めない状況に対処できない。他のアプローチを必要とする
歩夢は一度停止しかけた大好きを再び動かしたせつ菜と、侑は歩夢の為にステージを作り上げようとする今日子達と
二人以外の絆を介して途切れかけた侑と歩夢の繋がりを復活させる流れは良いね

侑が今日子達と作り上げたステージは歩夢に相応しい物は何かと真剣に考えた証であり、歩夢への想いが何一つ変わっていないという証明になる物
バスには乗らず、手を繋ぎ同じペースで道を歩めるようになった二人
そして二人の夢が始まった場所で再び行われるライブ。ここで侑は歩夢をアイドルとして見上げるのではなく、親友として見守っているように感じられたね

歩夢が居たから音楽への道を歩みだそうと思えた侑
侑が居たからアイドルとして歌うと決意できた歩夢
「今まで有難う」で一区切りをつけて、「これからも」「宜しくね」で新たな歩みを始めた二人の様子は本当に尊いものに見えたね

それにしても……
侑と歩夢はそれなりにシリアスな空気感なのに、そんな状況を全く知らずにかすみを中心としてギャグ空間を形成してくれる同好会には本当に癒やされますよ……
次々と呼び出される仲間にイジケて特訓魂を燃やしたというのに、自分が呼ばれた途端に泣いて喜ぶかすみは本当に癒やしの存在です(笑)



普通

まさか本当に鹿児島まで行ってしまうとは……。その行動力には毎回驚かされる
桜を目指して南下する旅。温かい土地を目指したそれは同時に椎の心を温めるものになったようで

鹿児島を目指す長い旅。それは単純に長距離をカブに乗って移動するだけのものにならず、カブ乗りとしての心構えやカフェ経営の参考、琵琶湖の素晴らしい夜景を見せるものになる
それらは川に落ちて身体も心も冷えた椎の芯に熱を加えるものになる

遂に辿り着いた満開の桜。そこから椎が持ち帰ったのは桜の花びらだけでなく、カブに乗って最南端を目指した経験、そして旅の中で受け取った数々の熱。だから地元に戻れば鹿児島と同じように桜が咲いていたのかもしれないね
椎は無事、春になれた

小熊と同じようにカブに魅了された椎の姿にはちょっと吃驚。小熊にとってカブ仲間が増えたのは喜ばしいことだろうね

ないない尽くしだった少女がカブとの出会いをきっかけに世界を広げ、繋がりを広げ、自信と経験を広くした
カブという存在との出会いを契機とした変化をここまで描いてみせた本作には色々な意味で驚かされる3ヶ月間だったね



とても良い

絆の呪いが解け自由となった事は繋がりの解消すら意味してしまうかもしれない。集いで由希が心配していたのはその点だね
けれど、十二支達を結び付けていたのは呪いだけではないし、十二支は十二支以外とも絆を作っていた。だから繋がりが消えることはないと見えてくる回だったね

由希は呪いの件があるから真知へ想いを告げるのを躊躇し、それは縛りとなっていた。だからこそ、呪いによる繋がりの消失に涙を流しつつもそれによって得られた自由を喜ぶ
何度でも名前を呼んでと要求する由希。それは真知から名前を呼ばれる事で真知との絆を確かなものとしようとしているようだったね

慊人は紫呉を絆が無くなれば自分なんて捨ててしまうだろうと恐れていた
でも、紫呉にとっては呪いの絆など関係なく慊人が自分の元に来るのをずっと待っていたんだよね
慊人はもう呪いで紫呉を縛り付けられない。かといって女として欲を言葉にする事も出来ないから当主の役目で紫呉を求める
でも、紫呉にとっては慊人が自分を求めるなら理由は何でもいいのかもしれないね。まるで悪魔のような愛の注ぎ方ですよ……

猫憑きの呪いが解けた夾の未来は自由に満ちている。師匠の跡を継ぎたいと希望を語れるのは明るい変化
でも、その道を選んだら今の繋がりから離れてしまう。共に来て欲しいと告げる透にも同様に求める事になる
それでも絶対に譲れない絆を求めて同じ道を歩むと決めた透の姿は逞しいし、それを受けて約束をする夾の姿は格好良いね

明かされる「許さないから」の真相
透と夾がその意味を知る事はないけれど、夾は良い経験も悪い経験も蓄積する気になったし、透は憎しみは無いと信じている。真相が伝わらなくても夾は今日子との約束を受け取れている
約束が叶い、そして現世の束縛から解き放たれ、先に死の世界に旅立っていた勝也と再会できた今日子は最上の幸福を手に入れられたと言えるのかもしれないね



良い

フェスティバルに向け同好会は上手く回り始めている。なのにずれを見せ始める侑と歩夢
最初は侑と歩夢の二人でアイドルへの道を歩み始めた。歩夢は侑との好きを重視したのに対して、侑は歩夢との好きを土台に更に好きの輪を広げてしまった。だから二人にずれが生じてしまったのだろうね

フェスティバル会場決めの為に街を巡る同好会。ここまで来てもやりたい事がバラバラなのは本当にらしいね。
そうして見えてくるのはやりたい事を統一せずバラバラである事こそフェスティバルの目指す方向ではないかという点。バラバラが逆に皆の好きを肯定する土台になる
一方で好きを統一しない事が侑と歩夢をバラバラにしていく流れが憎い……

今の侑が目指す方向性はどちらかと言うとせつ菜に近いね
自分の好きを侑や皆に知って貰いたくてアイドルを始めた歩夢と、自分や皆の大好きを肯定したくてアイドルを続けたせつ菜
アイドルを好きだという気持ちから同好会に入った侑が今や皆の好きを体現する場所を作ろうとしている
だから侑と歩夢は同じバスに乗れず、標識が示す行く先は異なってしまう

今の侑が何をしているか歩夢は知らない。むしろピアノの件でせつ菜の方が侑をよく知っているように見えてしまう
好きがバラバラなままなら本当に二人は離れ離れになってしまうかもしれない。それを嫌がった歩夢が口にした独占欲のような我儘
好きの和を大きく広げようとしている侑にとって難しい分岐点となりそうだ



とても良い

松本博士を見捨てトァクを選んだヴィヴィが語るのは未来への最善の道。既に何が起きるか知っている彼女にアーカイブ対策の不安は無い
問題となってくるのは果たしてヴィヴィは人の為に歌えるのかという点。そこに物語の焦点が集められた最終話は美しいものだったね

マツモトとヴィヴィの会話。それは最終決戦前の確認であると共に100年の旅の集大成
マツモトは当初、ディーヴァの歌ではなく100年後に辿り着いた点のみを買っていた。だというのに今はヴィヴィの歌を聞けないと残念がっている
また、珍しい冗句や額を突き合わせての静かな別離など、それらの描写は彼女らが長い旅の間に手にした変化であり友情なのだと思えた

ステージを前にナビが突きつけて来るのはディーヴァとして有るべき姿と原初の約束。ヴィヴィはそれを忘れたわけではないけれど、今のヴィヴィの使命は小さいステージで歌えば良いものではなくなっていたから背を向けるしか無い
モモカがディーヴァに歌姫としての役割を明確にさせた。一方でヴィヴィと名付けた事が歌姫の役割から脱却させたのは今思えば皮肉な話

ヴィヴィが長い旅の果てに見出した「心を籠めるとは?」の答え。それは悲しい出来事ばかりが記録されたアーカイブへの反論となるのは良い展開だね
また、これまで伏せられていたヴィヴィが創造した楽曲を披露するには最高の展開
でも、同時にそれがAIの終わりでもあるのは寂しさを覚えてしまうね……

100年の旅にてヴィヴィが目指したのは人とAIの対立を防ぐこと
それは最終話にて花開くね。垣谷のように変わりたいと願うトァク、エリザベスと共闘する人間達、人間とAIは一緒に歩いていくべきだとユイに同意するヴィヴィ
その果てに表現されたのがEDの男性。正史ではヴィヴィを恐れ逃げた事で死を迎えた彼が、EDではAIを蹴りつける男を止めている
それこそがヴィヴィの旅の成果であるように思えた

そういった変化が結びついたのがエピローグなのだろうね
ヴィヴィはプログラムによって停止した。だからあれは別のヴィヴィなのかな?
それでもヴィヴィの復活と歌を望む聴衆が居るなら、そこにAIへの憎しみはきっと無い。AIを破壊する為に戦ったヴィヴィが純粋に皆を幸せにする為に歌う事が出来る
それはとても明確なハッピーエンドであるように受け取れたね



良い

ファイドの停止から始まる最終話はやはりスピアヘッドの終焉が描かれるものに
そんな時に訪れた学校跡はクレナ達の子供らしさを強調するとともに、彼女らにとってそこが学びの場ではなく戦地における休息地にしかならない点が露わになる流れは残酷

食料は限界を迎え最後のドロップは口に含まれハイキングの終わりが訪れた
でも前には進めるから彼らは運命共同体で居られた。けれど、その中でシンエイだけは別の運命も見通す事が出来た
絶対的な死と高確率の死。それらを並べた時にシンエイが願ったのは仲間が僅かでも生き残る可能性
それは死神が役割を放棄した瞬間なのかもしれない

でも、ライデン達にとって変わらずシンエイは運命共同体だから見捨てるなんて出来ない
だから戦場に立つのだけど、唯の歩兵でしか無い彼らは囮にも成れず散るのみ……
馬鹿だけれど最後は一緒に散った彼らは本当に死んでしまったのだろうか?そしてラストの首なしはやはり……

それだけにようやく隔絶を越えて86の拠点まで辿り着いたレーナには驚かされる
既にスピアヘッドは居ない。それでも彼らの痕跡を探し続けた彼女に褒美の如く与えられたスピアヘッドとの対面
一方でこれがレーナにとってはゴールではなく、長い長いスタート地点に立ったのだと判るラストはいずれ来る続編を期待させるものだったね



良い

街を破壊する怪獣優生思想操る大怪獣。これは本来ガウマが対峙する筈の因縁
正義の味方でも何でも無い蓬達が戦う事になったのは偏にガウマとの絆があったから。そういった繋がりこそシズムが否定する縛りであり、繋がりこそ蓬が肯定した不自由だったのかもしれないね

瀕死でありながら戦場に来たガウマは最初「詫びと礼を入れに来た」と告げたが事情を知らない暦には通じない。だから代わりに「余計な真似をしに来た」と言い換える
その瞬間に彼らが戦う理由はガウマの因縁によるものではなく、自分に出来る事をするという単純なものになる
だから出自も背景も異なる者達が合体できる

蓬達も、そして怪獣優生思想も全ての力と思いの丈を込めての最終決戦は迫力に満ちていたね
カイゼルグリッドナイトだけでなくダイナゼノンもダイナレックスも総動員しての全力勝負!からのグリッドナイトと力を合わせた、前作ラストを思い出させるような最後のパンチは気持ちいいものだったね

シズムが目指したものが縛られ無い状態であるなら、蓬が手にしたのは縛られ有る状態
縛りがあれば思うように行かない事なんて幾らでもある。南さん係になってしまった蓬とか、コスプレ喫茶に後ろ向きな夢芽とか
それでもその状態は無いではなく有るなのだから、それはきっと自分の何かを満たしてくれる

怪獣は今度こそ居なくなり、ナイトやゴルドバーンも去った日常。そこで蓬達に残ったのはガウマによって齎された絆と思い出
本来は否定的な意味で使われることが多い痕が、蓬達が手にしたかけがえない絆を証明する一助となる
記念写真の後に互いの顔を見て吹き出してしまう二人の様子からは彼らが手にした不自由な平和の尊さを感じられたね



良くない


とても良い

停滞の終わり、歩みだしの始まり
沢山走ってようやく話し合えた夾と透。透は夾の発言で関係が終わったと感じた。終わったなら終わったものとして引きずってはいけないと思ってしまった
その認識は間違いだと透に万感の思いと共に伝えた夾の言葉は良かったね

夾は透の事故で大切な人を突如失う理不尽さを思い出した。理不尽さは何もかも終わらせてしまう事を思い出した
だから夾は透を傷つける時間は終わらせると宣言した。透と共に居る日々を始めたいと言った
終わりが終わって、始まりが始まるとても尊い一瞬

それがまた別の終りと始まりを呼び寄せる流れは何と表現するのが良いのか……
十二支の宴は終わり絆は消えた。十二支だった者達は大切にしたい者達との絆を本当の意味で始められた
それは哀しいのだけど、同時に喜びも含んでいる。だから複雑な感情に涙を流してしまうのかもしれない

孤独を厭い動物達との不変を求めた神様
終わりを受け入れるのは恐ろしい。だから終わりのない日々を求めてしまう。でも、猫が求めたのは終わりの後の始まりなんだよね
でも、かつて楽しくない日々があって今が楽しい者にとっては簡単に受け入れられる言葉ではない
受け入れるにしたってとても長い時が掛かる

そう考えるとこの物語は神様が不変の日々から抜け出して、新たな始まりを受け入れるまでの物語だったのかもしれない
慊人が自分の意志で宴を終わらせて、十二支達に新しい人生を始められるようにした
一方で、それは慊人自身にも新しい始まりを手に入れさせるのだと、抱き合う透と慊人を見て思ってしまった



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