暗殺者に必要な諸々を手に入れていくルーグ
それが必ずしも暗殺技術や力でないのは面白い。父はどちらかと言えば、人間性を重視しているように見える。ルーグもこれに応えるべく暗殺者以外の面で成長を見せていると感じられる描写が多かったね
象徴的だったのはロナハが突っかかってきたシーン。ルーグは相手を捻じ伏せるけど、ルーグの父は強さは重要でないと語る
それを証明するようにルーグのアフターフォローこそ重要。もしもの力として騎士のロナハを勧誘している
そういった見極めが出来る人間性こそ暗殺者として求められるものかな
そんなルーグが次に手に入れるのは商人としての資質ですか
それも必ずしも暗殺技術に繋がるものではないが、人間らしさの育みに繋がる経験
既に異なる人生を歩んでいるルーグが更に体感する別の人生。暗殺者の本分は失わないままに彼の人生は華やかなものになっていくね
ワルキューレ含め登場した新キャラ達はどこかテンプレ感に満ちた言動が見えるけど、それは他者をチェスの駒と捉え枠に収めようとするシントラーが居る事で余計にそう感じるのかな
それにより、逆に枠に収まらないタクトと運命が際立って見えるように思う
シントラーは中ボス的な黒幕、ワルキューレはチョロイン的なツンデレ、地獄は狂キャラ的な底知れ無さをそれぞれ感じる。それらは枠に収められそうな人物像
反面、外壁を破壊して外に出る運命も組織への従属を拒むタクトも枠に収まらないタイプだね
枠に収まらないから、戦場でも敵そのものを狙うのではなく戦場を壊すという戦術が取れる。枠そのものを破壊する
また、自分達を枠に収めようとする動きに反発するのも印象的。運命を兵器扱いしたシントラーに反発したタクト。コゼットが変質した運命を彼がどう捉えているか、明確な描写はこれまで少なかったけどその一端が見れたね
ただ、地獄は狂キャラらしい狂キャラだけど、本当にその枠に収まっているのかと疑問に思う。運命の目を欲しながらすぐに諦め、タクトにはワルキューレと契約すれば良いと真っ当な助言をした。どこか底が知れない……
何はともあれ、規格外に翻弄されるアンナは少し可哀想だ(笑)
ルディが思い付かなかった点、至らない部分がまさかの形で提示される胸の痛い回
これ、視聴者もルディの不作為が気にならないノリが続いていたからこそ、この回で突きつけられるあまりにも当たり前な事実の数々が衝撃的に映るんだよね……
ルディは別に大変な思いをしてこなかったわけではない。1年以上も見知らぬ土地でエリスを守ってきたのだから
でもルディ以上の苦難を味わってきた者達からすれば、それは余裕があるようにしか見えない。また、これはルディへの期待が高かったからこそ、それが反転されてパウロの怒りに繋がった面もあるのだろうね
母よりシルフィを心配してしまったように、転生者であるルディは家族や領民への愛が足りてないのではないかと思えてしまう。
ノルンがルディに逆らって父を庇う姿が描かれ、ルディから目を逸らす捜索団の姿が有るからこそ、ルディが家族や領民を全く心配していなかった事実が浮き彫りになってしまう
打ちのめされ、過去のトラウマも蘇ったルディは不出来な人間である自分に直面したかのよう。更には守ってきたつもりのエリスから慰められてしまう始末
異世界でルディを形作ってきたものが足元から崩れてしまったような逆転の構図。それでもここから本気出す事も出来る筈
ルディがここで終わってしまうのか、ここから始められるのか。これも一つのターニングポイントになるのかな?
今回は神回か!マジで迫力が凄すぎたんですが!
想定以上の大攻勢という絶望的な状況に対して、前線で縦横無尽の活躍を見せるノルトリヒト戦隊が格好良すぎる!
戦神と呼びたくなるシンエイの無双ぶりに惚れる。ただ、戦に呑まれておかしくなるシンエイに恐れも抱いてしまうが……
一般人にとってレギオンは屑鉄と呼ばれる程に無機質な存在。でもレギオンに宿る亡霊の声が聞こえるシンエイにとってそれは人殺しに似ているのかな。人殺しに塗れ過ぎたシンエイはそれこそキリヤと同じ
戦いの中で笑みを浮かべる彼は化け物めいている。雨によってその像がブレたように、人を辞めかけているのかもしれない
一方でレーナも重大局面に差し掛かったようで
共和国に迫る大攻勢。けれど、戦ってこなかった軍人は戦えないし、人間として扱ってこなかった86も信じられない。ジェロームがしたレーナのへの反論は国の総意と言える
生き残る力の有無ではなく誇りの面で共和国は詰んでいる
だからこそ86を信じ、この大攻勢に向け準備してきたレーナの存在が光るね
彼女は生き残る力を持っているからではなく、誇りの為に詰んでいない。8話において子供として見下されていたレーナは、子供でありながらジェロームと同じ目線に立ち理想を貫いた
誇りの為に戦いへ向かう彼女の女王陛下然とした振る舞いから目を離せないね
受験日程が明らかになり課題に向かい合う八虎。これは難しい時間だね
好きな事として絵を描きたい。その為には藝大に受かる必要があって、合格水準に達する絵を描けならなければならない。初期衝動が薄れていく
前回は死語と切り捨てられた『受験絵画』が纏わり付いているかのよう
目の前の物を切り取って描いてきた八虎にとって、見えない物を描くのは苦手で望んだ方向性ではない。でも、受験の為には必須技能
苦手で課題の攻略法が見えないから迷う。見えない答えは八虎の描き方すら駄目にしていくね
壁にぶつかったタイミングで森の絵やそれと出逢った感動を思い出させるイベントが有ったのは良かったね
大学では森に逢えなかった。けれど、方向性は変わっても主張が一貫した森の絵は八虎に初期衝動を取り戻させるものになっている
森の絵に込められた祈りが八虎の向かう道を教えてくれる
自分が何を得て、何と出逢ってきたのか。それを思い出した八虎の絵は良い物になったね
けれど『受験絵画』からは抜け出せていないから、結局良い描き方をそのまま答えとしてしまっている。
受験と好きの間で苦悩する八虎に世田介からの連絡は何を教えてくれるものになるのかな?
ルーグが求めた優秀な助手、それが女神の手引によって見つかった上にルーグを完全に慕う状態へ
この辺りはちょっと都合が良すぎる感が有ったけど、暗殺業に無関係の少女を巻き込む為にはこれくらいの強引さが無いと難しいのかもしれないな、なんて思ったり
一方で洗脳完了なんてほくそ笑むルーグを見ているとイケオジだった頃のニヒルな彼は何処へ…?と寂しく思ってしまう部分はあるのだけど、それ以上にルーグを心底信頼して全てを預けるタルトが可愛すぎるので、もうそれだけで良い気もしてきた
平和になった世界が完成品であるならば、それを作り上げようとするシンフォニカは一種の作り手、人々がシンフォニカの苦労を知る事はない
果たしてタクトはそれに加わるのか?運命と向き合えるのか?コンダクターになる道もならない道も選べるタクトの分岐点を彩るよいエピソードになったね
タクトに様々を教えるレニー。でもラスベガスの裏で飛び交う悪事は教えなかった。それはコンダクターとしての完成形をタクトと運命に見せたいとの想いが有ったからかな。
D2を粗方倒しても悪事はなくならない、平和は未完成。未完成品をお客に見せることはない
作り続ける事が完成への道なら、知ることだって完成への道なのかも
D2の気配をコゼットを通じて知ったタクトは見て見ぬ振りせずにカジノ場へ。また、戦闘中もレニーの指導に従ってコンダクターとしての自分を作り上げていたね
そして遂にやってきた開演の合図!タクトと運命の関係が完成されたのだと感じられたね
第一話で完成されたタクトと運命の関係を見た視聴者に対し、特別に2~4話を掛けて提供されたのは関係を作り上げるまでの工程。どのようにしてタクトと運命が今の姿になったのかが描かれた
こうしてコンダクターとムジカートとして完成されたなら、次回からは再び旅の続きが描かれることになるのかな?
3つの規模で停滞からの進展が見られる回だったね
雨季が過ぎるのを待ってからの出発、ギュエスの中で変わるギレーヌへの印象、そして喧嘩別れしそうになったエリスとミニトーナの仲直り
どれも気持ち良い変化が感じられる描写となっているね
ギュエスの中でギレーヌの印象は停滞したまま。でも変わった後のギレーヌを知っているエリスにとっては納得出来ないギャップ
止まったものを動かすには刺激が必要。エリスを通して伝わるギレーヌの剣術、ルディから知るギレーヌの立場によってギュエスの認識が変わり、進展する様は良いね
そんなギュエスだから、停滞しかけたエリスとミニトーナの仲を取り持てるのだろうね
止まったまま別れる辛さを知っている。停滞から進展したからあの時何をすれば良かったか判る。
また、人生をやり直しているルディも戻れない辛さを身に沁みて知っている
二人の仲介を受けたエリス達が仲直りする様子は心が暖かくなるものだったね
雨季は終わってルディ達は再び旅路へ。村に留まる事は出来なかったけど、代わりに彼らを模った人形が残る事に。それは両者の絆がちゃんと存在し続けると示しているかのよう
ラストに幾つかフラグめいたものが有ったけど、やっぱりここからの旅路も安穏としたものにはならないんだろうなぁ……
以前から連邦の人間が口にする理想論。それはシンエイ達を受け入れる土台と成ったけれど、所詮は彼らが彼らの為に用意した理想だからシンエイ達を真に慮っているわけではない
共和国とは別の形でシンエイ達の形を決めつける檻となっているね
軍規、形式、兵の統率。それだけを見れば連邦軍はそこまで大きな問題のない組織であるように見える
でもサインをファイドに任せ、異なる国からやって来て、規格外のレギンレイヴを乗りこなすシンエイ達には合わない風土。だというのに連邦は自分達が保護した哀れな少年兵いう意識がある為か、シンエイ達の都合は悪い意味でお構いなしになっている
その中でフレデリカはそこまで連邦の理想に染まっていないように見える。それは理想に染まりすぎて破滅したキリヤを知っているからだろうか?
自分を守る騎士として連邦軍を殺し過ぎたキリヤは可怪しくなり、終いには死体ではなく王族を示す衣装を見てフレデリカは死んだと思い込んだ
これで滅んだなら、フレデリカが死を与えたと言えるのかもしれない
連邦を形作る理想
けれど、グレーテの説明シーンから判るようにシンエイ達は連邦の主張にそれ程耳を貸していないようで。代わりに気にしているのはレギオンの襲来。彼らはあくまでも生きる場所を戦場と定めているね
だからこそ、逆に戦場を生き延びた先を想像できずに居る
エルンスト、フレデリカの言葉から先の未来を想像するのではなく、過去の思い出を想起したシンエイはまだ過去に囚われた人間のままなのだろうか?だから今もショーレイと自身の関係をフレデリカとキリヤに見てしまっている?
どちらにせよ、全ての為には生き残る必要があるが……。レギオンの大攻勢ではまた多くの命が消えることになりそうだ
前回ラストではディアが実力差を見せつけたように思えたのに、間を置かずルーグの実力が披露されるのは爽快感が有るね。でも、勇者暗殺の任務や前世の慎重さにより強大な力を持っても奢った様子が見られないのは良いね
……それにしたって金属を代償無しで生み出してしまうのはやりすぎな気がするけれど
魔法を教えに来たのに、術式を書き出した辺りから共に魔法を探求する立場に。だというのに新しい魔法を開発できるとワクワクした表情を見せるディアの純粋さは気持ちいいね
他では味わえないだろう貴重な経験。短い期間であってもディアにとってルーグが掛け替えのない相手になったのだと判る描写だったね
暗殺者としては充分過ぎる心構えを既に持つルーグ。けれど、ルーグの父は「人間らしさは暗殺に必要」と教えるんだね
忠誠を誓ったのに道具として処分された前世を持つルーグ。この世界で力だけでなく心も学ぶ事になるのかな?
いずれ人間らしさを備えた時、彼はどのような暗殺をする事になるのだろうか?
死んだ筈のコゼットが蘇りD2相手に無双。それはどう考えても普通ではない
事実を把握して前に進もうとするタクト、少しでも運命の中にコゼットを見つけようとするアンナ、2人の動揺を意に介さない運命
三者三様で統一感のないリアクションが事態の異質さを強調しているね
パーティーみたいな豪勢な食事を客人が用意するこれまた普通でない食卓で語られるのはD2との戦いの経緯、運命が普通でないムジカートである点
時間を掛けて語られるこれらはタクト達が以前と異なる世界へ既に飛び込んでいると受け入れさせるものになっているね
異質さの中心に居るのは運命なのだけど、それと生命共同体になっているタクトも普通でないものに成りつつ有るようで
使命の為にD2殲滅を何より優先してしまう運命はタクトの都合もお構いなし。一方でタクトも自分の為に戦いを止めろとまでは言わない。自分の家を壊す許可まで与えてしまう
こうまで普通でない2人に対して、何とかして運命がコゼットに戻る可能性に縋るアンナは良い意味で普通の女性
家やこれまでの人生を捨てるように普通を捨てたタクトと運命と共に旅するアンナの存在が2人にとって僅かばかりでも日常の居場所となる事を願ってしまうね
それにしても戦闘シーンはぬるぬると激しく動いていて素晴らしいね!
特にD2相手に高速移動を連続して刃を振るう運命の躍動感とか、タイタンが射撃の反動で後方に浮く動きとか、とんでもないこだわりと注力を感じさせますよ!
戦う相手もシンエイの立ち回りも変わっていないのに、彼の呼び名である死神の意味が変わっている点が印象的だった
スピアヘッドでは仲間を死んだ後も覚え連れて行く役目として死神と呼ばれていたけど、連邦では死を呼び集める者として死神と呼ばれているように感じられたな
再び現れたファイドはスピアヘッドの始まりから終わりまで全てを見た存在だった。そんな彼が戻ってきたのはスピアヘッドの再興であるように思える
でも、中心となるシンエイの役割は大きく変わっているね。誰からも記憶されない86だからこそ、シンエイは名前を連れて行く必要が有ったけど、連邦兵士相手にその必要はない
シンエイが死神として忌み嫌われる分、マスコット扱いされるフレデリカの立ち位置が際立つね
フレデリカのようなか弱い少女なら守りたいと思う。それが兵士たちの戦う理由になる。
一方でシンエイがかつてスピアヘッドで担っていた役目はフレデリカに受け継がれた感じだね。帝国の遺児である彼女は全ての兵士を記録・記憶しようとしているのだろうか……
ユージンが最期、シンエイに死を願ったのは彼が死を運んでくれる人間だからなのだろうな。そしてシンエイも彼を連れて行く約束はないからドッグタグは自分で持ち帰らない
連邦の人間からは見えてこず、86にしか共有できないシンエイの戦う理由。連邦での死神の役割が明確化する中、共和国で存在した断絶が連邦でも別の形で出現しそうだ……
前日譚。第一話で皮肉屋でピアノ馬鹿なタクトを見ていたせいか、陰鬱さを撒き散らす今回の姿には驚かされるね
でも、これも全ては人生に豊かさを齎す音楽が世界から失われてしまった事と関係しているのだろうな。音楽を守ろうとするあまり、己の人生を失いかけていた
コゼットがウザ絡みするようにタクトの世話を焼き、外で音楽を弾かせようとするのはタクトに自分の人生を取り戻させようとしているからなのだろうね
今のタクトの人生は薄い。今の生活が変わる可能性も想像できず、傍にいるコゼットの価値に気付かないくらいに
一方で世界が音楽を捨ててしまったから、タクトの人生の中核を成す音楽の価値も不鮮明になっている点は印象的
そう考えると、コゼットも実はピアノを弾けたというのは大きな意味を持っていたのではないだろうか。タクトを外に導いたのは実はコゼットの奏でた音が大きな理由だったのかもしれない
祭りで連弾した2人。それは世界に音を満たす行為となり、タクト本人にも生の歓びを注ぎ込むもの
直後、コゼットの音を止めてしまうD2襲撃は衝撃的だったけど、本当の意味でコゼットを別の存在に変えてしまう展開には絶句してしまう
終わらせない為に続けてしまったコゼットの人生。こうしてタクトと運命の旅は始まったのか……
かのんの歌えない問題は第3話以降歌えてる事により解決済みかと思いきや、改めて掘り下げるね
Liella!は上昇志向が強いのか、ラブライブ優勝の為に出来る事は何でもしようという気概が感じられるね。それがリーダーへの荒療治に繋がる展開はちょっと意外性が有るけども
メンバーはかのんが何故歌えるようになったか理解しきれていないし、かのん自身も理解できてない。だから下見の時も気を落ち着かせなければならなかったし手を握って貰わなければならなかった
そういった意味では千砂都は友人として、かのんが苦しみの種を懐き続ける姿は思う所があったのだろうね
小さい頃からかのんは皆を引っ張り勇気を齎す少女だった。なら、かのんの手を引き勇気をくれるのは誰か?
昔の自分は「一人で怖かった」のだとかのんは知った。では今は何が変わったかと言えば「皆が居るからもう怖くない」。かのんが手を引いた仲間が今はかのんをステージに立たせてくれる
昔の、何も怖いものなんて無かった頃のかのんの言葉が今のかのんに勇気を奮い立たせ、そして昔のかのんが勇気を持てるように今のかのんは奮い立たせた。
それが念願のステージに繋がる。観客を前にして柔らかく歌い上げたかのんは本能の意味で恐怖を克服できたようだね
それを大きく喜ぶ千砂都の姿もとても良かったのですよ