アイドルをしたいかのん達とアイドルを許さない恋、普通科と音楽科、それぞれの対立が主軸となる今回。アイドル活動を巡る話は選挙によって学校全体を巻き込む話へ
それもあってか対立を単純な敵対として扱わず、敵であっても味方であり、味方であっても敵であると示しているかのよう
普通科は音楽科の3倍。これだけ考えれば勝てる選挙。だけど恋がしたように対立する普通科を抱き込む政策を打ち出せば票は取れる
また、アイドル活動の為にすみれを手伝うかのん達も結局は恋の方が会長に相応しいと考えていた。アイドル活動よりも学校の会長としての責務を考えてのものだね
かのんは幾度かに渡って対立するすみれと意見を合わせられる場所を探しているね
アイドル活動に反対されていても、それに理由があれば対立を越えた解決策を思いつくかもしれない
まあ、恋の反応はジュースによる橋渡しも意味を為さない取り付く島もないものだったけど……
恋は対立も味方も無視して物事を進めている。だから学校の為に公約破りも宣言してしまう。それは孤軍奮闘であり、豪邸でありながら自身を気遣うお手伝いすら手放そうとする空っぽの家とリンクしているかのよう
彼女は学校の危機に対して、全てと戦おうとしているのかな?これに対してかのん達は味方になる余地はあるのだろうか?
ジオルドが語るカタリナの魅力、「助けを求める人が居たら、ただ真っ直ぐ走っていく」点。今回はそれが遺憾なく発揮されていたね
カタリナが突っ走って進む有様ははジオルドを改めて魅了すると共に、キースが救い出させる理由にもなっているね
だとしてもキースに取り付いた魔力を千切っては投げ千切っては投げする様は驚かされたけども(笑)
不思議パワーのお陰とはいえ掴めるんだ、アレ……
でも、そうした解決策を手に出来たのも弟を大切に思う心が有るからかな
カタリナの声は要らない子の烙印を押されたキースに届く
昔とは違ってキースを必要としてくれる人達が居て、キースが傍に居たいと願う相手がいる。それらはキースが帰る理由になる
カタリナが差し出さした手を取らず、後ろから抱きしめた行為は守られる存在からの脱却を示しているかのよう
寝惚けた意識のまましてしまった口付け。それを間違いとせず、無かった事とせずに愛を告げたキース。ジオルドへの敵対宣言までしていたね
まるでカタリナの「真っ直ぐ走っていく」特徴をキースも手にしたかのようだ
これで二人目攻略ってことは、もしかしてアランやニコルも恋心を表明する展開が今度有るんだろうか?
冒頭からダイナミックにアメリカへの家出が描かれる今回、けれどその動機になった喧嘩の経緯は描かれないまま
そのお陰か家出でありつつもお出掛けの様相を呈し、子供視点での小旅行を味わえるようになっているね
家出の気不味さを誤魔化すように遊ぶ彼女らにとって、初めて目にする景色は刺激的だから自分達が家出しているという意識を忘れさせ、遊びに来ているかのように
けど、本当に気にしてない訳じゃないから小林似の女性を見たり誘拐されれば、家族と離れている点を意識せざるを得ない
でも、子供にとって親と喧嘩するのは怖いし、その怖さを解決しないまま家に帰るのも恐ろしい
その反面、帰れないのも怖い。だからその怖さが無くなるまで、何を言っても一緒に居てくれる親を求めてしまうのかもしれないね
また、カンナの小旅行をもう一人の親であるトールが何も言わず陰から見守っていたのも良かったね
カンナと小林の穏やかな休日が描かれるBパートでは前半に喧嘩があった事を一切感じさせない。何はなくとも一緒に居る様子が感じられる
麦茶の為の買い物はいつの間にか小冒険へ。背の低い子供の視点を通して見つかる様々な楽しみは小林に普段気にする事のないマンホールへの興味を持たせてしまうほど
虹は雨上がりの空ではなく、水たまりの中に。カンナが見上げるのは「おうち帰ろ」と言ってくれる小林の顔。それこそが家に帰る合図。そして家に帰れば迎えてくれる家族の声に夕ご飯の時間
小林とカンナだけが共有した秘密の時間。穏やかで静かで壮大な事は何もなくて。けれど、とても尊い遣り取りが描かれた良いエピソードだったね
恭也が辿り着いた未来は恭也だけの夢が叶い、プラチナ世代や河瀬川が沈んだ状態か
恭也は自身の夢を、そして皆の夢を叶えようと必死に奮闘した。その結果がこれとは皮肉めいているね
ただし、原因は恭也の存在というよりモチベーションを与えなかった点に有るような気もするけれど
美乃梨だけでなく亜貴や奈々子が活動停止の理由としてあげたのが、目的・目標の不在
恭也はゲーム制作の中でこうすれば上手くいくと遣り方を示したけど、それは効率重視で本人の目指す夢から離れてしまうものだった
だから恭也だけがやりたい夢だけが成就して他の皆は夢を失ってしまったのかもしれないね
恭也としては己の未熟を後悔するこの未来
けれど、自分の夢が叶っている事は事実だし、亜貴も恭也を恨まず今の生活を楽しんでいる
ここから恭也が自分だけでなく皆のリメイクを望むとして、その時の動機は果たしてどのようなものになるのだろうか?
ラブコメのド定番である『離れて初めて判る相方の大切さ』。カタリナは転生後の人生は殆どの時間をキースと共に過ごしてきた
そう考えると、ジオルドとのフラグがリセットされたのもキース失踪で頭が一杯だけでなく、半身のような存在が傍に居ない事で不安定になっていたのかもしれないね
マリアが語るのはカタリナと一緒に居て得られる楽しさについて。ソラも似たような事を語っていたね
彼、彼女らがカタリナの傍に居る事で得られる幸福感は様々に語られてきたけど、それはカタリナ自身にも有るのかもしれないね
カタリナの楽しさを支えるキースは無事に彼女の傍に戻れるのだろうか?
それはそれとして、今回はカタリナの近くに居ないのに強烈な存在感を醸し出すメアリは本当に流石ですよ(笑)
恭也は貫之の学費問題を解決する目的の為に、執筆という手段を含む同人ゲーム作りを選んだ
でも、これに恭也が情熱を注いでしまった時点で、目的は夢のリメイクになり、手段もゲームの完成そのものになってしまったんだろうなぁ
だから貫之がどう考えているかなんて考慮できなかった
慣れないゲーム制作、得意分野と異なる方向性、そして恭也しかギャルゲーの何たるかを理解していなかった点
それらが合わさって、恭也だけが正解を知っているかのような状態で制作は進んでしまった。だから他の意見が有っても恭也の意見で捻じ伏せられる。恭也の意見だけが正解になってしまう
それは貫之の未来含め他の正解を押し潰してしまうものになってしまう。恭也が自分のヴィジョンに従って動いてしまったが故に、恭也と貫之は協同ではなく侵食になってしまった
突如辿り着いた未来。これは恭也の夢だけが叶った世界?ここで恭也は何を見るのだろうか?
キースの家出理由は可愛らしいものかと勝手に思い込んでいただけにラストの展開には驚愕。
冗談では済まなそうな事態だけに、これは久々のシリアス展開に突入する感じだろうか?
カタリナとキースの会話シーンは印象的
カタリナへのジオルド接近に焦りを覚えつつ、弟として接する事しか出来ないキース。ジオルドやカタリナの心理に言及できないから当たり障りのない会話しかできない
夕日により明度の落ちる室内は想いを告げる時間切れが迫っている事を暗示しているかのようだったね
けれど、カタリナはキースの想いに気づく様子は全く無く。落ち込みの理由をお守りが負担になったと解釈してしまうのはどうなの……。まあ、これは母親のせいも有るけど
また、ジオルドの想いの深さを理解していない点も今後どう左右してくるのだろうか…
序盤からかのんや可可に協力的だけど、音楽科としての立場を優先していた千砂都。いわば壁を作っているとも感じられる状態だったのだけど、そこには幼い頃の約束も関わっていたようで、これは簡単にはメンバー入りしてくれなさそうだと感じてしまう
元々普通科と音楽科という壁が存在する学園が舞台の作品だったけど、今回は更に壁を感じさせる描写が見られたね
炎天下はかのん達の練習を阻む壁となるし、可可とすみれの間には反発する壁が見える。音楽科レッスン室の使用にも科としての壁を意識せざるを得ない
また、アイドルではない千砂都は一緒にランニング出来ない
でも、壁があれば分離された異なる世界かと言えばそんな事はないんだよね
南の島からやってきたサニパは別世界のスターに思える。また、すみれは旅行をバカンス扱いし皆で避暑を満喫するけど、神津島は本物の南国じゃなく同じ東京都
壁が有っても分離を意味しない場合もある
なら、大枠としてはアイドル活動に含まれるダンスを学ぶ千砂都もアイドルになれるかと思いきや、そうはならないようで
かのんと千砂都は目標を分け合った存在。だから壁で分離されたのではなく、分担したと言える。かのんがアイドル活動を頑張るなら、同じくらい千砂都もダンスを頑張るという話になるのだろうね
だからダンスに専念する為にあの退学届けが登場してしまうのだろうけど……
かのん達のダンスが千砂都に頼り切りになっているという点、歌詞の為に千砂都との関係性に悩むかのん
どうやら、かのんと千砂都にとって目標の分担とその為の行動を見直す機会になりそうだ
前回のさらさの話と今回の薫の話を繋ぐ愛の不器用な言葉が印象的
さらさは花道を失っても、銀橋を目指す事が出来る。異なる道がある
なら、親子3代で紅華を目指す薫には果たして銀橋以外の道を選ぶ機会は何処まで有ったのだろうか?と気になってしまう
バス停やバスを中心に触れ合いを重ねていく薫と辻の様子は一つの青春写真のよう
二人は家族が自分の進む道で輝かしい功績を残している事でプレッシャーに晒され続けている
似た苦しみを持っているから、他人から判りにくい境遇を共有出来る。それが互いに惹かれていくきっかけとなる
けれど、白と黒の二人はオセロだから隣り合う事が本来難しい。同色の恋愛をしている内は隣に居られても、進路への向き合い方が異色なら隣に居られない
薫は母と祖母が居るから紅華を目指しているように見えて、彼女が目指すのは男役。母や祖母と違う道を志す彼女はその時点で自らの意思で道を選んでいると言える
空を彩り落ちる花火を人々は見上げる。でも、銀橋を目指す薫は綺麗な華を見上げる者になってはいけないんだよね。見上げられる人間になれるよう人々が空を見る間も努力し続けなければならない
それを理解した薫の道は揺らがない。祖母との会話では異なる道を示されてコーヒーは揺らいだが、自分の進む道をこれと決めた後は波が幾らぶつかってもまっすぐ伸びたまま
薫と辻の道は分かれた。だからって知らぬ他人になったわけではなく、薫は辻の活躍に涙を流すくらい想い入れを持ち続けていたし、辻だってあのようなメッセージを後に残した
二人は恋の道を選ばなかった。けれど、それぞれプロとして活躍する中で再び交わり、その想いが告げられる日がくればいいなと願ってしまうような、そんな素晴らしいラストだったね
チームを上手く動かしてゲーム制作を進める恭也。ただ、その中で生じる恋愛問題への対処は何処か危うさが有るような……
彼はゲーム制作の夢をやり直す為に過去を過ごしているから、それに関わらない事象への関心が低いのだろうか……?
亜貴とも奈々子とも中途半端。おまけにそれを河瀬川に相談してしまう情けなさ
貫之は主人公が誰を選ぶべきか真剣に悩んでいたが、恭也はキャラの個性で分岐を選ぼうとした
今の恭也はゲーム完成へ向けチームを導く頼り甲斐の有るキャラに見える。けれど、彼の個性に含まれない役割においては何処まで正しい振る舞いが出来ているのかと不安を覚えてしまう
第一話でかのんは歌えたし、第二話でも歌を取り戻しているように見えた。でも、第三話にして再び巻き起こる歌えない問題
この展開にする事でかのんは何の為に、誰の為に歌うのかという点がクローズアップされ、クライマックスに気持ちよく繋がるようになっているね
第一話でかのんが歌えた時は内面的な変化があり、そしてかのん自身も理由を理解できているわけではないから、今回は様々なアプローチで歌への挑戦が為されているね。でも、かなり迷走している
では、迷走状態でも何故続けるかといえば、可可が「かのんは絶対に歌える」と信じているからだね
可可はかのんの為にフェスでは一人で歌うなんて提案するけど、それはフェスの後なら歌えるだろうという信頼が有るから。また、ユニット名も二人の名前を合わせたもの。可可はかのんが歌えるようになると欠片も疑っていない
それだけの信頼を寄せるのは可可の中でかのんがサニパと同じくらいのスターだから
一方でこうしてかのんを信じてくれる可可だって一種のスター。彼女が信じてくれるからかのんも自分を諦めないでいられる
でも、かのんが緊張で一杯だったように可可だって緊張に負けないよう踏ん張っていた。自分を引っ張り上げてくれた可可にだって引っ張り上げる手は必要
それを理解できたかのんは「独りじゃない」
かのんにとって可可はファンでスター。可可にとってかのんはスターでファン。そんな二人を包み込む満開の光
それは最早結果を求めるステージではないのだろうね。結局、一位は取れなかった。でも、約束を果たすと共に自分を信じてくれた可可という最高のファンの為にかのんは最高のスターになれた
かのんが歌を取り戻しアイドルとなっていく物語としては最高の序幕だったね
お金を稼ぎたいからってゲーム制作って果たしてどうなのだろう……?どうにも今回ばかりは悪手のように思えてしまうけれど
ただ、未来でプラチナ世代はゲーム制作に関わっているようだから、 必ずしも間違っているとも言えないのか…?
今回は表面的には解決に向かっているけれど、実態は何だか袋小路に入り込んでいないか?と危惧するような描写が多かった気が
今回の騒動の始まりは貫之の個人的な問題に首を突っ込んだ事から始まる。本来は他者の学費工面なんて解決するものではない。でも、後悔やピンチを否定する恭也は貫之の境遇も何とかしなければ、と考える。でも、それは大きな間違いであるように思えてしまう
加納は恭也の判断を「制作に関わるもの全てが勉強」「いい経験になる」と言うけれど、一方で以前に恭也の制作物を見た時のように良い評価はしていないんだよね
加納は言外に恭也の選択がどのような結果を導くことになるのか想定済み、というのは流石に穿った見方か
結局、ゲーム制作は仲間達に無理をさせ、河瀬川も巻き込むことになった。これは既にディレクションが破綻している証であるように思えてしまう。なのに河瀬川の心配に問題ないと答えてしまう危うさ
そんな状況でやってくる貫之の婚約者。これは事態の破綻度合いが更に増す事になりそうだ
ジオルドからの求愛、卒業後の進路。これらが重なればカタリナはどうしてもこれからの自分の振る舞いを考えてしまう
そんなタイミングで描かれた今回の話は、変わりゆくものの中にも変わらないものがあるという点を明確に伝えてくるようで素敵なエピソードだったね
マリアに語る形で描かれる今回の回想。幼少期のカタリナ達の行動は子供らしさに溢れているけれど、どこか今の関係性に通じるものも見えるね。特にカタリナを巡って張り合うジオルドとキースの構図はこの頃から変わらなかったのかと思ってしまったり(笑)
他にも木登りするカタリナやアラン、妄想たくましいソフィア等々昔も今も変わらないなと思えてしまう
それでも今はもう幽霊や雷を怖がったりしない。そういった面からは成長という変化を感じさせ、その変化を共有しているカタリナ達はこれからも変わらない絆も共有して行くのだろうと思える
ただ、そうなってくると学園入学後に知り合ったマリアとの絆が薄いという事になりかねないのだけど、マリアとは昔から一緒だったよと言わんばかりの思い出の改良は良い演出だったね