新たな絆を始めると決めたペコリーヌ。それでも変わることへの恐れ、というか緊張は消せないのか
タイミングを計って、相手の気持ちを考えて、それでもようやく勇気を出せたというのに、強制的な外圧に拠って別の変化が加えられるだなんて残酷過ぎる……
ペコリーヌの勇気が気になると同時にキャルとカイザーインサイトの関係変化も気になる回だったね
これまでは玉座を見上げるしかなく、心が寄り添うなんて無いように思えた二人がおにぎりを穏やかに頬張っている。それはこれまでに無い変化の絵だね
……まあ、これも一つの伏線だったのかもしれないけど
ラビリスタとカイザーインサイトの激闘。強者同士の戦いはこれまで描かれた戦いとは次元が異なるものだから、本作も新たな局面に突入したのだと感じさせる
ラビリスタが見込んでいたのはカイザーインサイトの変調か。変わらないものはないからこそ、変わった場所に勝機を見出そうとしたわけか。でもその変化こそが罠だとは……
ユウキは今度こそ皆との絆を守ると決めた。ペコリーヌは正体を明かしても絆は守られると考えた。コッコロは美食殿の絆を見守ってきた。そして、今はもう美食殿の大事な一員であるキャルに訪れた絶望……
美食殿の絆はずっと続いていくのか、それとも新たな絆を紡ぎ直す事になるのか。ここが正念場だね
敵対していた陣営が協力し、かつての仲間が一堂に。そうして挑むは人類共通の敵……だとしてもそう簡単に全てを納得できる筈がないわけで
命を奪い合う森を抜けたはずのジャン達。それでも彼らは憎しみの連鎖からは抜けきれていない。だからこそ、会話が必要となってくるわけか
エレンを止めた後に平和が有るか判らない事を考えればこのまま利口に過ごしていれば多くが手に入る。その選択を諦める為には自分を様々な方法で納得させなければならない
そこでハンジが示したのは調査兵団の理念だね。ハンジも前回のジャン同様、死んだ仲間達が自分を見ていると考える。だから止まらずに壁の外を目指し続けるのか
イェレナが誘発する両陣営の遺恨。これをジャンは「心を整理しようとしている」と解釈して流そうとする。無理な解釈でも説明がつく
だからこそ、現状に符合した上で無残に無視されたマルコの主張を引き出されると激高せざるを得なかったわけだ
まずは話し合う。そういう落とし所では納得しきれない後悔がライナーの中にあり、それを無碍にした彼をジャンは許せない
ガビが身を挺して示した言葉は後悔も守りたいものも籠めた誰の心にも響くもの。それは解釈の必要なく誰をも納得させるものだね
ガビには謝ったジャンはライナーには謝らなかった。つまり謝ったくらいじゃ納得できない遺恨が有ると二人は納得して、それを受け入れたのかな
今は同じ荷台に乗る二人。このような光景へ至れただけでもかなりの功績と言える、そのような回だったね
今回は見ず知らずの他人ではなく、友人の過去へ。これまでと勝手が違うダイブは当然のように過去での行動も違うものに
董易の言葉を聞くという目的は有る。けれど目的以上にトキを翻弄するのは姗姗の本気の恋心だね
最初はからかいの気持ち強めで過去へ行ったトキが姗姗の本気に影響される。ヒカルが完璧と褒める擬態は姗姗になったトキにとっても本気の時間だったわけだ。だから歌も美しいものになる
けど、トキにとって殺人犯を追うのだって本気。だから董易を放置し、小さなずれを生んでしまった
ヒカルの補助に拠って董易の言葉は姗姗に伝わった。けれど……
関係を進められない臆病さから踏み出せなかった姗姗と董易、待ちの姿勢を崩せない二人に訪れたのは予想外の悪意であり、突然の別離となるのか……?
心寿を男性キャラにコスプレするの巻。男装コスプレはただ男物の衣装を着せるだけではなく、体型も男っぽくする必要があるから、これまで以上に見た目を誤魔化す、見た目と内面を遠ざける処理が行われているね
その中で姉に憧れる心寿、海夢に憧れる新菜についての深堀りが行われているのは好印象
海夢と紗寿叶は殆どのシーンでコス衣装だったけど、こちらは性別を変えないから見た目と内面は乖離せず。紗寿叶は意匠を深堀り出来るが、海夢は出来ないし、二人の自撮りもコス撮影にならず普通の自撮りの枠を超えない
でも、普段と変わらないから、心寿が驚きの変貌を遂げた時の褒め言葉が心寿にとても届くものになっているね
心寿は姉に憧れるからコスプレしたいけど、姉に憧れているからおいそれと並び立てると思わない。心寿のままではコスプレ出来ない
イベント参加の経験から「なりたいものになれる」と知った新菜が良い手助けをしたね。この時点で心寿を「なりたい自分になろうとする自分」に変えてみせたわけだ
工夫を凝らして心寿を次々と変えていく新菜は心寿から見れば「出来ない事なんてない人」に見える。でも実際の新菜はこの状況に一杯一杯だし、新菜は以前は海夢にこそ、そういった認識を持っていた。でも、関わって内面を知る中で見た目が実態と全て一致するわけではないと知ったわけだね
そして新菜の認識変化が心寿に対しても、姉に憧れすぎる自分の認識を変えるきっかけとなるのかな?
海夢と紗寿叶を大興奮させる心寿の変貌
見た目を変えるコスプレという行為。今回は性別の見た目すら変える程の
紗寿叶からの褒め言葉、海夢が写真を撮りたいとの申し出。それらはコスプレしたいと言い出せず、踏み留まっていた心寿の内面を何よりも温かくする言葉になったのだろうね
内容としてはキャッチボールがメインなのに、どうしてここまで面白くなるのか…!
敵スタンドは積極的に攻撃してくるわけではない。けれど、軽い気持ちで結んだ賭けの条件が真綿で首を絞めるように徐倫達を苦しめる。いわば彼女らは自分自身に追い詰められていくわけだ
エルメェスを信じるのと同じくらい、F・Fを信じる徐倫。これは軽々と信じているわけではなく信念を持って信頼しているからディスクを預けられる。
対しミラションは信頼できる限度を超えた賭けを提示したから、徐倫はそれ以上信じなかったわけだ
信頼があれば取引が成立するが、無ければ逆に奪われる
ミラションがプッチに利用されたのも、謝罪は信頼できないが性悪な本性は信頼できるから
エルメェスは金を信頼しているから、金が手に入るミラションの賭けを信頼してしまう
金を信頼しているから、看守に金を握らせれば時間稼ぎも出来ると思う。その信頼は誤りだからエルメェスは奪われてしまったのだけど
逆に徐倫はミラションを信頼せず、ミラションは賭けの条件を信頼しすぎてしまったという所かな
条件を破ったように見えた徐倫。でも徐倫は条件を組み替えてみせたね。最終的にキャッチボールの意味合いをオラオララッシュに変えてみせた!
彼女の信念とどのような状況でも勝ちを見つけようとする強さが見える回だったね
平家の落ち行く様がこれでもかと……
これまでは平家凋落の兆しはありつつも、人間の暮らしが様々に描かれていたように思う。けれど、多くの兵を失い、住む家を焼き、栄華を捨てゆく彼らは平家としてのアイデンティティすら失っているかのよう
対し輝きを見せる義仲の姿に時代の変遷を感じてしまう
負けているのに情けない棟梁という意味では頼朝と宗盛は同じ。けれど、頼朝には雄々しい政子が傍にいて、宗盛を支える重衡は慎重さを崩さない。また、義仲陣営は一致団結して義仲を支え世に乗り出そうとしている
これらの様子から時代を掴もうとしているのはどちらか明白であり、同時に平家陣営は清盛や重盛など屋台骨となる人材を失い過ぎたとも感じてしまう
清経達は維盛が人が変わったと言う。確かに雅さに背を向け戦に邁進する彼は以前の彼を失ったかのよう
でもその瞬間、真剣にしているのは戦化粧。対峙した義仲が野性味溢れる格好をしていたことを思えば、維盛は舞を失っても武を得ていない。だから戦場でも義仲の名乗りに感心し、肝心の戦で情けない負けを喫してしまう
都落ちする際の維盛の憔悴しきった顔はどれだけのものを失ったのかと思ってしまう。
前回は維盛にきつい言葉を投げた資盛が今回は彼の顔を見て言葉を控えた様子が何よりも維盛の中にはもう何も残っていないのだと感じられてしまう
また、京を焼き、福原を焼いた平家に一体何が残るというのか……
印象的だったのは義仲陣営から清盛を思い起こす「面白くなってきたなぁ!」なんて発言が飛び出た点。最後に清盛がこの言葉を使ったのもいつの話だったか…。既に世の趨勢は源氏に移っている
他にも徳子の「帝がいらっしゃる所が都」発言もなぁ……。子を守ろうとする気丈な言葉には徳子の強さを感じられる。けれど後のことを思えば……
珍しく美食殿の面々はバラバラに行動。それはいつもの賑やかさを離れて、自分の内面と会話しているかのよう
失うことを恐れて後ろ向きな選択をするか、それとも今持っているものに目を向けられるか。そういったものを問う回になっていたね
恩あるイオに迷惑を掛けまいと学校を辞めようとしたスズナとミサキ。でも、二人の表情が語るようにそれを最善と思っているわけではない。それでもイオの信頼を失うならとの消極的な選択
どんな自分達でも変わらずにイオが寄り添ってくれると知れたから、二人は後ろ向きな選択を改められたのだろうね
かつての仲間を守れなかった後悔に囚われるユウキ。でも、それにばかり目を向けていたら今の仲間を蔑ろにしてしまう。後悔は有っても今を守ると決めたユウキは一応前を向いている
対して、美食殿を大切に思ってはいるのだろうけど、カイザーインサイトを見かければすぐに追ってしまうキャルはまだ囚われたままのような…
カイザーインサイトには強く言えても、失う恐怖から逃げられないペコリーヌ
そんな彼女を中心に美食殿どころか、絆を築いた仲間達が集まる展開はエンディングかのよう
それはペコリーヌにとって恐怖の終わりであり、後ろ向きな日々の終わりであり、そして新たな絆の始まりになる。そういった事を感じさせるラストだったね
今回面白いのはエレンに拠る進撃が始まった事で多くの者の立場が変わった事かな。
ハンジが語る「順番が来た」、かつてサネスを裁いたハンジが今は追われる立場。でも考えてみればサネスを裁く前は中央憲兵から追われる側だった。まるで立場が以前に立ち返ったかのよう
それは他の面々にも見られる事だね
ファルコを食わせようとするコニー。それは母想いの息子としてせざるを得ない行いだが、アルミンからすれば間違った行為。それが自分が喰われるという誤った行動をアルミンが取る事で是正されるわけだ
母に誇れる兵士に、団長になれる兵士に。兵士になったばかりに掲げただろう目標へ二人は立ち返ったかのよう
巨人を用いた世界蹂躙を正しいとするイェーガー派。でもイェーガー派の遣り口はオニャンコポンが言うようにかつて壁内人類が散々やられていた事
だからジャンが彼に語るのも兵士になったばかりの頃に掲げた意志。燃えカスに誓って調査兵団に入ったジャンは巨人に抗うと決めている。立場が立ち返る
そうして遂に手を結ぶエルディア人とマーレ人、ライナーとコニー達
どうしようもない戦争と復讐の連鎖に拠って命を奪い合う森の中に居た彼らが巨人を駆逐するという物語の本文に立ち返るラスト
状況は絶望的で希望なんてまだ見えないけれど、ようやく訪れた「皆で力を合わせよう」がこれからどのような逆転劇を見せてくれるのか期待が膨らむよ
児童誘拐、崩壊した家庭、冒頭で任務失敗…。そういう重苦しい内容だっただけに新たな写真から奇跡のような救出へ繋がる展開は気持ちいいの一言!
諦めない事が希望を手繰り寄せる。それを証明するかのような内容だったね
リンは過ちを償う為に依頼を受けた。でも、考えてみれば謝れなかったからと原因となった事件を解決するって少し順序がおかしい
謝れなかった事はちゃんと謝った方が良い
謝罪を諦めていたリンが李亮にきちんと謝罪できたのは謝りたいとの気持ちを諦めなかった為だろうね
諦めない想いは閉じた手掛かりへ至る新たな道を作り出しているね
また、一見荒唐無稽に見える『あの世送り』での誘拐犯撃退だって劉思文の諦めきれない想いが結実した奥義
何か一つでも諦めていたら繋がらなかった解決
やっと再会できた親子。その時の言葉がこれまた良いね
ヒーローを探していたから遅くなった、なんて言い訳として酷いものだけど、あの一瞬において李亮は決して諦めなかったヒーローだった。だから豆豆も安心して抱きつけたのかもしれない
もう揃わないかに思われた家族が無事に集結できた姿は心温まるものだね
祖父母の家での話という内輪の集まり。その為か今回は互いを想い合う家族の面が強調されていた印象だね
小春にとって初めて訪れるだろう祖父母の家。でもそんな事を感じさせないのは、流れる空気が家族想いの愛情に満ちたものだからなのかもしれないね
ひよりと小春の家庭は再婚したばかり。だから知らない事は有るし、初めて見る面も有る。でも、それは血が繋がった相手である祖父相手でもそうだし、自分の母親だって長らく見ていない顔が有るほど
家族は強い繋がりだけど、家族だからって無条件に全てが通じ合えるわけではない
それは一緒に暮らして数ヶ月経つひよりと小春も同様。ひよりは小春が渓流釣りの後輩に当たるから、小春がお姉ちゃんとして頑張ろうとしていた事に気付けなかったし、寝込むと気弱な姿を見せる事も知らなかった
家族は自動的になれるわけではない。相手を想う行動が有って初めて家族になれる。祖父の行動や母の提案、そしてひよりの料理にそれらは現れているね
また、すぐ帰って来られなくても小春に愛情を向けてくれた母、小春の為に会社を切り上げすぐに向かってくれた父。小春は愛されているね
それはひよりが小春に向けるものも同じ。ひよりは小春を家族として想いたいから小春から想いを向けられる事を望んだ
ここで良い、ここが良いという遣り取り。二人はより家族らしくなれたようだね
シュウタにとってモラトリアムの終わりとなる回か
ランやコウキ、そして周囲の人間達はシュウタに大人になれと促しているかのよう。だと言うのに、何かを諦めるのではなく、初期衝動に立ち返るのはシュウタらしいね
……その過程で女性の胸をガン見してるのはズッコケ要素では有るけども(笑)
シュウタが悩んでいたのはヒーローになるか、家業を継いでパン屋になるか。いわば理想を取るか現実を取るかの二択かな
ヒーローを選んだのがランで、家業を継いだのがコウキ。シュウタは明確な指針がないからどっちつかずになってしまう。パンの味も微妙なものになってしまう。だから悩んでしまう
でも、突っ走って事態を変えるシュウタが悩んでいる時点で間違いなんだよね。
必要な答えは全てが始まる前にあったようで。ヒーローもパン屋も人を救う。ならシュウタがどちらかを選ぶ必要なんて無いわけだ
まあ、ここでもアスミが関わってくるのかと思わなくもないけれど……。シュウタにとってアスミと無関係に未来を選ぶ事が出来た時が本当のモラトリアムの終わりになる気がしないでもない
記憶を司る精霊とはこれまたストレートな……
記憶はその人の基軸となる部分。それがあるから自分自身で居られる。逆に奪われてしまえばチカ達のように頓珍漢な事態となってしまう
人格入れ替えネタみたいになっていただけに深刻さよりも面白さが目立つ回だったけども(笑)
印象的なのはペコリーヌとキャルの微笑ましいを通り越して尊いと言いたくなる絡みかな
足手まといを嫌がって痛みを我慢したキャルに対して、無理やり抱え走ったペコリーヌは頼りになるけど少し抜けている
自分達を姉妹と喩えた二人。それは基軸に別の人格を被せるかのような行為。でも元の基軸は失ってないから二人らしさも失わない
前々回で示されたように記憶を失う前のユウキは多くの絆を抱えていたようだけど、今だって新たな絆を築いている。記憶を失ってから永いユウキは基軸に別の人格を得てしまったと言える
コッコロはチカ達を「元に戻って良かった」と言ったけど、それは果たしてユウキにも当てはまるのだろうか、とふと考えてしまった……
過去の行いに後悔を持つそれぞれが交わる事で生まれる人間ドラマが面白いね
過去は変えられない。けれど未来は変えられる。だからトキ達が過去に潜るのは未来を良い方へ変えるため。今回は依頼主だけでなく自分達の未来すら変えようとしているね
児童誘拐という重いテーマだけど、 ダイブのルールからして過去の世界で子供を救うのは許されない。だから見つけようとしているのは夫妻の未来を良い方へ変える為の手掛かりだね
何度騙されても占いに縋っても、それでも諦められないくらいに今の夫妻は過去に囚われている
過去に囚われているのはリンも同じか。見たと言えなかった、後ろめたさから逃げてしまった。だというのにその過去が現れたからリンを苦しめる
また、過去に潜って欲しいという依頼もトキを苦しめるものになっているね。過去を変えられず誰も救えないなら何の為に潜るのか…
トキがそのままの姿で潜る事になった今回のダイブ。これまでは他人の姿を模していたからその人を演じれば良かった。でも今回はトキはトキ自身として過去を体験するしかない。その影響は計り知れないね
そうして生じた過去を変える一幕。この邂逅をトキとヒカルは良い未来へ繋げられるのだろうか?
地ならしが始まった事でパラディ島の住人は自由を得ると確定した
でも、自由になったのなら自分で行動指針を決めないといけない。今回は大虐殺が行われる極限の環境でそれに悩まされる面々が描かれていたね
硬質化が解かれ自由になったアニ。彼女が語るのはこれまでとこれからの自分
養父に技を仕込まれていた頃のアニは不自由で、養父の足を砕き戦士隊に選ばれた時にようやく自由になった。だというのに今の彼女が考えるのは養父の下に帰ること。アニは自由を手にした後に不自由かもしれない繋がりを失えなくなったわけだ
いつもは事態打開策を示すアルミンがパニクっている点が何よりも事態の深刻さを物語っているね…
味方と思ったエレンが虐殺を始め他の全てが狂った事で彼もどうすれば良いか判らない。自由が過ぎて不自由になっている
遂にはエルヴィンが助かれば良かっただなんて、自分が得た命の自由を否定するかのような言葉を……
友人の死を見て以来、屈する事を許さず進み続けていたジャンはある意味不自由だった。それに対しフロックが示したのは戦いから解放される自由
自由への誘惑を前に膝を屈したジャンは何を思うのか……
また、アルミンから突き放され自分で考えろと促されたミカサ、ファルコという餌を持って母を自由にしようとするコニーはこれからどう行動するのだろうね
一つの物事に他の要素を加える事で見えてくる魅力
たった一つの事、それだけに専従すればそれについては上手くなるかもしれない。でも、実際は他の要素や経験を持ち込む事で魅力は磨かれる。そういった事を感じる回だったかな
その最たる例は新菜の面相描き
新菜は面相描きの練習をしていないから腕が落ちたと思っていた。でも、祖父に言わせれば海夢の化粧という経験を積んだ事で評価が上がった
面相描きにコスプレ化粧の要素が持ち込まれる事でより磨きがかかった
作中アニメも同様だね。一面的には女児向けアニメだけど、そこに姉の悪堕ちとか男友達が出来てるとか、他の要素が存在する事で放送が終わって大分経つのに魅了される者が止まらない
だから海夢だけでなく新菜も作品を見て泣いてしまうし、書き起こした三面図もみっちりしたものになってしまうのだろうね(笑)
新菜のお宅訪問は海夢らしい内装により緊張を和らげるものに。一方で海夢は一緒にアニメを見る行為に好きな人という要素が加わる事でおうちデートとして楽しめたのか
また、失敗したオムライスもそこに鶏ガラという和食にない要素が加わる事で新菜を感心させるものに。まあ、それ以上にオムライスと理解されなかった事も要因の一つなのだろうけど(笑)
まるでミステリーのような内容だ。正体の見えぬ黒幕、隠された記憶とディスク。そして限られた空間に増える囚人……
徐倫が探すのは父の記憶ディスク、エルメェスが探すのはスタンドとは何か。それぞれの探しものが別の探しものを誘発する展開だ
ただ、徐倫の探しものはトラクターに近づかない事にはどうしようもない。だから進むのはエルメェスの探しものだね
手錠の虐めに抗弁するしか出来なかったエルメェスを徐倫は糸を使って救援した。これは徐倫のスタンドがどのようなものか教えると共にスタンドの使い方を教えるものになっているね
でも、スタンド使いとして初心者なエルメェスはまだ警戒心が薄い。敵の姿が見えないだけで何でもないと思ってしまった。逆に徐倫は見える姿を利用して相手の攻撃を捕まえた
スタンドの何たるかを教える攻防。探しものを見つけたから、エルメェスは相手に一杯食わせられたわけだ
5人の筈が6人居る囚人。そして看守から離れられない密室空間のような場所で殺されゆく彼女ら。どうにかして犯人(スタンド使い)を探さなければならないのだけど…
ミステリーなら定石のような考え方が有ったりするんだけど、これもそのパターンだったりするんだろうか?
釣り趣味を藍子に明かすか悩む二葉。自分の大切な一部を相手に話すとは、つまり相手と何かを共有する行為に繋がるのかもしれないね。逆に何かを共有できるのは大切な話し合いが出来ている証拠
二葉は藍子と趣味を、そしてひよりと小春は両親と家族を。そういった共有を感じた回だったな
藍子に秘密をいきなり打ち明けるのではなく遊園地を挟んでから。秘密を明かす準備運動は二葉に心の準備をさせるものに。だから頑張って明かせた
藍子の返しは意外でむしろ二葉が明かせない事で無理していたのではと気にする程。これは二葉のやりたい事をを大切に共有したいとの想いがあった為かな
指輪かペンダント、これは大切な人と想いを共有する媒介になっているね。二葉はネックレスを通じて姉に感謝を伝えた。一花が嬉しそうにこれをつけているのも、その時に受け取った想いを二葉と共有し続けたいからか
そういった意味ではひよりと小春の両親が指輪を付けられないのは共有を阻害してしまうかもしれない
娘達に気を遣って指輪も式も無い両親。そういった事情を話せないなら、ひよりと小春は両親と『家族』を共有できていなかったと考えられるかもしれない
だから二人が両親の為に結婚式を挙げる必要があって、それはドレスで着飾るよりも両親を、そして自分達を『家族』にする大切な一夜になったようだね
福原への遷都、世は平家の衰退へ向け変わり続ける。けれど、清経などは以前のような風雅さから変わらないまま
これは平家が貴族化してしまった為なのだろうね。清盛が打倒した筈の貴族に平家は成ってしまった。だから武士から変わらない源氏の圧を流せない
月見をしながらの笛。まるで貴族のような振る舞い。そこでは戦の話は避けられる
場所も世も変わっていくのに、変わらないものがこの平家か。ただ、一方で変わらない事で見えたのが高倉帝の真意かな
ようやく明かした徳子の印象。それにより彼の中で徳子への愛が出会った頃から変わっていない点が見えたのは良かったね
異変が見える福原の中心に居る清盛は変わらない。びわの音を聴きながら思うのは既に世に居ない重盛のこと、自身が変えた世のこと
清盛は世を変える側だから彼が変わる必要はない。だから周囲の者が過剰な影響を受ける。重盛の影を求めるように総大将の役を任じられた維盛は最大の被害者か
温和な維盛は貴族平家の象徴、武より舞が似合う人物。
水鳥に驚き逃げ出す兵を檄せなかった維盛に重盛のような大将の器はない。また、木を切りつけても彼が武士に成れるわけもなく
変わる世で変わらぬ者、変われぬ者。そこから予感される後の悲劇が今から叫び声を発しているかのような終わりだった
外から入り込んだスパイ、中から守る騎士団、2つの面を通してランドソルがどのような場所であるかを描くエピソードか
スパイは当然の事として、鎧騒動で騎士団も街の害として扱われていた。受け入れられているわけではないから、街とどう関わっているかが焦点になってくる
モニカは面白キャラだけど、橋の破壊やぷにぷに騒動の原因になったりして街の害。騎士団も似たようなもの
でも、トモやマツリは街を守る為に鎧が団長であろうと立ち向かった。その瞬間に騎士団は街の守護者に返り咲くわけだね
また、街の人々もモニカ達を助ける為に奮闘。街全体が一つになっていた
最後は姫であるペコリーヌの必殺技で締めるというのは気持ち良い構成
また、ペコリーヌがモニカに渡したスープは彼女を街の一員であると認めるかのようだったね
それにしてもクウカの変態趣味に対していつになく強硬策に出たユウキの姿は珍しい。まだミツキの一件がトラウマになってるんだなぁ(笑)
素敵な小品…。
劉思文は欧陽を娶る為に彼女の父に勝たなければならない。負ければ認められない
この話のミソは敗北条件を決めていなかった点だね。敗北条件は誰もが自分で決められた。それが勝利の分水嶺となった
判りやすいのが兄弟子。彼は欧陽父の力に屈服した。恐怖を敗北条件とした
けど、劉思文は敗北条件を設定しなかったわけだ。幾ら勝てなくても負けを認めなかった。挑み続けた
なら彼は勝てなくても負けていない
敗北条件は欧陽父にも関わる話。打ち倒されたら負けとなる。でも、それは絶対ではないから変えられる
劉思文が負けなかったなら、欧陽父が負けるしかない。
また、一方で感じ入るのは劉思文を待ち続けた欧陽の姿か。彼女も状況に負けず彼を待ち続けた。なら、そんな二人はずっと勝ち続けていたと言えるのかもしれないね
エレンによる地ならしの理由が自分達を守る為かもしれないとか……
仲間想いと言えるかもしれないその行為。でも自分達の為に世界全てを皆殺しにして良いと思える人間なんて居るわけない
ユミルの民に突きつけられたのはこの大虐殺をどう捉えるかという点だね
ジャンのように外の連中が招いた結果と考える事は出来る。単純にエレンを悪と考える事も出来る
でも誰かが悪いとばかり考えていたら、命の奪い合いは止まらない。ニコロが言っているのはそういう事だし、奪い合いの連鎖を抜けられるかもしれないと証明できたのが、互いに庇い合えたガビとカヤであると言えるわけだね
それでもまだガビに突きつけられる過去の罪。4年前に奪った命が形を変えて今まさにファルコの命を奪おうとしている。
そのタイミングで現れるのはアルミンにとって過去の罪と言える女性か……。彼女の再誕はこの状況で何を意味するのだろうね
死が目前に迫る激闘を越えて遂に上弦の鬼を倒した炭治郎達。それは死への道から生還したようなもの
対して鬼である妓夫太郎と堕姫は死の道から戻る事はなく。むしろ生まれた時から死中に居た兄妹だったんだろうなぁという点が見えてくる回想だったよ……
醜い容貌のせいで人間らしい生き方が出来なかった妓夫太郎にとって、輝く美しさの梅を守る兄に成れたのはこの世に生を受けたと同じようなものだったんだろうなぁ…
だから醜い容貌のままでも、仕事や醜さを誇りに思えた。梅が居たから妓夫太郎は生きていられた。だから梅が死に追い遣る世界に報復する為なら鬼に成るのも躊躇わない
死への道で梅の姿が昔のままだったのは純粋さの現れか。なら醜い妓夫太郎とは別の道を行ける。だと言うのに、梅は離れず
兄が妹の為にした行動を後悔しないように、妹も兄の為に一緒に居る事を後悔しないというね……
ずっと一緒と約束した兄妹が地獄の業火へ足を踏み入れる姿には涙が止まらないよ……
天元は死の道から辛うじて生き残れたけど、戦線は離脱。かといってその判断は鬼殺隊の弱体化を覚悟してというわけではなく、この戦いを通して後進が育っていると知って安心できたから離脱できるという
生き残れたと喜ぶ炭治郎達。短い間に彼らは濃密な成長を遂げたようだ。まだ彼らの活躍を楽しめると思うととても喜ばしいね
コスプレとは外見を繕い望ましいキャラに成りきるもの
恋をした海夢が新菜の横顔に見惚れて自分の恋を自覚したり、未来を夢想しつつも窓ガラスに映る自分の顔を見て照れてしまったり、なんてシーンは本作の主題に沿った淡い恋を感じさせるものになっているね
特異な外見的要素を持つ紗寿叶はその時点でインパクト有る可愛らしいキャラクター。それに反して、ストーキングしたり衣装製作を要求したりと内面も強烈なものを持っている
キャラクターは外見を取り繕うけど、それだけにどういう内面を持っているかは判りにくい
紗寿叶が海夢を本気でコスしてないと決めつけていたのはギャルっぽい外見のためかな
でもアニメ内容に滅茶苦茶詳しかったり、好きだからイメージを壊すコスをしたくないとの言葉から海夢の内面を知って見直したんだろうね
その際、半泣きになって謝ってしまう辺り、紗寿叶もキツイ内面だけの人物ではないと判るね
紗寿叶からは付き合っているように見える新菜と海夢。勿論そんな事実は無いから新菜は否定するけど、未来を夢想していた海夢としてはまるで未来を保証してくれるような言葉だし、新菜に彼女居ないとも判る言葉
海夢が恋心に目覚めたことで本作の内容もよりキラキラしたものに変わり始めたね
暑いから涼しい店内に留まるのは判りやすい行為。けど、今回しているのは敢えて日差しを遮るものがない海釣りに行くという発想
発想を変える事で、シイラのように色を変える事で別の楽しみが見えてくる。今回はそういった面が強く見える回だったね
太陽が照り付けるから暑いかと思いきや、海上は海風も有るしトビウオも見られる涼しい場所
それは釣りも似ている。魚を入手するだけなら方法は他に幾らでもある。でも敢えて釣りという色を用いる事で釣り人ならではの楽しみを味わえるのだろうね
「難しい」が楽しい。まあ、そこには多少の強がりも混ざっているのだけど(笑)
狩猟をする楓に魚を捌かせる事で味わえる幾つもの色。それはシイラの味だけでなく、狩りによって得た鳥毛、果ては自然の中で生きてきた人間の浪漫まで
陸で生きる人間が海で釣りをする事で得られる単色では済まない多くの楽しみ。一回だけで満足できるものではないから、再び味わいたくなる
小春はどんどん釣りに魅了されているようだね
4部でも癖の強い敵が数多く登場したけど、6部も癖強い人が多すぎない?今回の敵なんて、相手の隙を見出す為に会話しているのかカウンセリングの為に会話しているのか判らないレベルだったよ(笑)
エルメェスに求められたのはルールの理解よりも現状を受け入れる事かな。エルメェスは不可思議現象の原因を理解するより先に能力を使いこなしている
金を重視する即物的なエルメェスは異常な現実を受け入れる資質を持っている。そんなエルメェスでも難しい相手となったのがマックイイーンか(笑)
テンションのアップダウンが激しすぎる男。自殺行為に他者を巻き込む彼はいわば相手を強制的に受け入れさせる能力者。エルメェスに求められるのは彼の能力を拒みつつ、自分の能力や常識を受け入れさせること
だから会話がカウンセリングのようなものになってしまう
無罪の主張が受け入れられず絶望した彼を様々な手で懐柔しようとするエルメェスの醜態には笑ってしまうが本人は真剣
懐柔は届かなくてもギリギリ届いたシール。それによって得た勝利で真っ先に考えるのが金の回収だったのは本当にエルメェスらしい
この回は視聴者にエルメェスという人物を受け入れさせるものになったね