23話も22話と同じ構図が続く。
スバルは望む場所に至る為に更にユリウスに踏み込みつつ、ペテルギウスの指先に懐に挑み続けなければならない
それだけでなくハーフエルフを恐れる村人達の心にも踏み込まなければならない
それらを越えないと手に入らないものが有る
流石にこれらは難行となったけど、ここでも助言をくれるフェリスやスバルの言葉を補強するラムの存在が力強い
諦めず、下を向かず、戦い続けたスバルだからこそ到れる局面
遂にはユリウスと曖昧な言葉だけで意思疎通が図れるようになった描写からはスバルの著しい成長を感じさせたね
遺恨ある相手との和解、ペテルギウスや指先との戦い。幾つもの試練を越えた先に待っていたのはまさかのスバルが操られるという展開
ようやくエミリアの前まで来たというのに……
スバルは自分が死ぬしかない状況を越えられるのだろうか?
因縁有るユリウスと行動を共にすることになったスバルが向かうのはこれまた因縁有るペテルギウスの元
けれどそれらを越えた先に待つエミリアにこそスバルは謝らなければいけないわけで
スバルにとって試練となる回
スバルがまず踏み込んだのはユリウス相手だね
ただ、この場面は先に礼を口にしたユリウスの方が大人か。彼の言葉があったから、スバルも彼に対して以前の非礼を詫びることが出来る
両者が互いに譲り合い、そして踏み込んだ為に越えられた遺恨
大嫌いだと伝えあった事で二人の丁度いい距離感は定まったようで
次にスバルが対峙したのはペテルギウス。恐怖も憎しみも有るはずなのに、それらを越えて囮となる道を選んだスバル
ここでも彼が相手の懐に踏み込んだお陰で奇襲は成立する
スバルの姿勢が打倒ペテルギウスへと繋がったわけだ
ただ、ここで終わらないのが厄介な驚きであったけど……
因縁が終わらないなら、味方を死地に追いやった悔恨があってもスバルは姿勢を変えてはいけない。変わらずに戦い続けなければならない
ヴィルヘルムの言葉は俯きかけてしまったスバルに必要なものだったね
最終回ではどんなキャンプをするのかと思いきや……
良い意味で野クルらしい、へやキャンらしいキャンプになりましたな
場所は校庭で、食べるのもツナ缶鍋にマシュマロと手が込んでいるわけではない
それでもいつもと変わらず温かいキャンプ模様に見えるのは梨っ子スタンプラリーでの蓄積が有ったからこそ。ぱっと見は寂しいキャンプでも、ラリーに関する思い出話や裏話をするだけで楽しい空間になる。想いがこもったキャンプになる
楽しいをたくさん教えてもらったなら、今度は自分が知ってる楽しいをたくさん教えたくなる
野クルがなぜこれ程までに「楽しい」に満ちた空間であるか、伝わってくるかのような最終回だった
白鯨が三匹になってもスバルの戦意は消えないまま
多少の強がりは有るだろうけど、「このくらいの絶望で」と豪語できるのはこれまでに歩んだ道があったからこそ
そして最も弱い彼だから、天高く避難する本体を見つけられるし、兵士たちの士気を取り戻す象徴にもなれる
スバルの抵抗と同時に描かれるヴィルヘルムの過去。
守るために剣を手にしたヴィルヘルム。だというのに彼の前に現れたか弱いように見えたテレシアは彼よりずっと強く、剣の運命に囚われた存在
ヴィルヘルムは現在で白鯨の支配に抗いつつ、過去ではテレシアを縛る運命にも抗う
閉ざされかけた未来を手にすべく先陣切って戦うスバルが居るから、ヴィルヘルムもあるテレシアとの遣り取りを回顧しながら初期衝動を掴み直し白鯨へと挑む
この瞬間、ヴィルヘルムにとってテレシアとの逢瀬は過去ではなく現在となり、愛の言葉を捧げる未来へ繋がるわけだね
白鯨の消滅と共に終わる夜
なら次にスバルが向かうべきは魔女教の脅威
スバルを奮い立たせてくれたレムは傍に居ないまま旅立つことになるとは。
遺恨有るユリウスやこれから対峙するペテルギウスにスバルは何処まで抗い、未来を掴めるのかな?
高い空からやってきて、スバル達の未来を押し潰し飲み込むかのように襲撃する白鯨
それに対し、未来を切り開きその手に掴むが如く突き進むスバルの姿が格好いい
巨大な白鯨に対して一番槍を取ったスバルとレム。二人を追うようにしてクルシュ達は照明弾で夜を引き裂いた
それはあたかも白鯨に支配され閉ざされていた未来への道が開かれたかのよう
だからか、照明弾で夜が消えている間はヴィルヘルム達の攻撃はよく通る
それが変わるのは白鯨の霧によって再び夜が訪れてからだね
白鯨の攻撃で存在が消される兵士が続出し、残った兵士たちは恐怖に縮こまる。
おまけに精神攻撃まで受けて阿鼻叫喚の地獄絵図。
白鯨が支配する夜の時代が訪れ、未来は閉ざされたかのよう
この状況を再びスバルが変える展開は素晴らしい。
夜に包まれたままでもスバルはレムと共に白鯨に抗う
スバルが開いた道に付き従うかのようにヴィルヘルムも再び剣を振るう
スバルの行動は白鯨に支配されていた時代への抵抗をそのまま表現している
幾つも有ったはずの空白はあっと言う間に埋められて、スタンプカードは遂に完成
と、同時にスタンプラリーの裏が明かされる展開
風変わりな場所ばかり巡ると思っていたら、そういった事情がありましたか
全ては山梨県民になったばかりのなでしこに山梨の良い所を沢山知って貰い、梨っ子にする為のちょっとした計画だったわけだね
このラリーを通してなでしこは充分に山梨の良い所や楽しい所を知れたんじゃなかろうか?
次回はへやキャンなのにキャンプに行ってしまうのかな?それはそれで有りな気もするし、いつものように野クルのメンツで駄弁っているだけでも満足な気もするし
何はともあれ、ラストはなでしことリンの会話で締めて欲しいかも
これまでのような死に戻りからのリスタートではなく、心機一転からのリスタートを始めたスバルの交渉術が輝かしい
過去の経験や見てきたものから相手の欲しているものを推測し、それに見合った対価を用意した
アナスタシアに教えられた点も正しく実践できているね
19話ではスバルだけでなく、様々な人物がリスタートを迎えようとしている点が印象的
ヴィルヘルムに始まり、かつて大切な者を奪われた老兵達
彼らは単純な復讐の為だけではなく、悲願を叶え、大切な者に顔向けできる自分になろうとしている
この状況をスバルが作り出したのかと思うと感動的
新しく何かを始める為にはそれまで蔓延っていた何かを終わらせなければならない
スバルが先頭となり、白鯨に蹂躙されてきた歴史を終わらせようとしている
その行動は同時に自分の弱さに負けてしまったスバルの過去からの脱却であり、終わりであり、新たな始まりである
この戦いを通してスバルが手にする新しい自分がどのようなものか次回が待ち遠しいね
自撮り肝試しの前フリからなでしこだけはぐれる展開。これは千明が仕掛けたイタズラだろうと思っていたら、まさかのリンの登場に驚き
リンがなでしこを安心させるに留まらず、スタンプラリーの台紙を届けてくれる展開には胸が暖かくなりますね
解決編の始まり。通常の推理モノであれば、真相が語られると共に事件は華々しく解決されるのだけど、本作はそうはならない
何故なら幾つもの虚構を積み上げて鋼人を打ち倒すシナリオだから。
そういった意味では実は今回のエピソードは本当の解決回ではない
掲示板という無責任な議会を舞台に虚構をぶち上げる琴子。それはどう見たって大げさだし無理がある。
けれど、そこには鋼人は存在せず何かから目を逸らすための囮ではないかと思わせるだけの論理はある。琴子が提示した女性警官が犯人ではないかという説は一定の説得力は有る
真相以外認められない場ならこのような説は提示できないけど、ここで行われているのは琴子と六花、どちらの虚構に納得できるかという票の取り合い
筋道だった推理しか真相だと認めない者もいれば、荒唐無稽な説を真相だと思う者も居る。
それらを同時に納得させるのは不可能だから、幾つもの虚構をぶち上げる必要があるし、一見納得しづらい説も真相の一つとして提示できる
動きは少ないけれど、「果たして琴子の語る虚構は納得できるものなのか」という点で思わず魅せられてしまう内容になっているね
またリアルタイムで掲示板を更新する公式のサービスからも目が話せない
残り3つの解決策を琴子がどの様に語るのか、気になるね
認められたいから見返したいへ。その変化が様々な覚悟を持って描かれた回
育人も千雪も心も望んだ夢ははっきりしているのに本人にはどうしようもない事情で何度も阻まれる。だから単純に「認められたい」だけでなく、認めなかった奴らを「見返したい」との想いが強くなる
それが戦う原動力になるし、千雪には自分を救ってくれた育人よりも心を選ぶ理由になってしまう
だからこそ、それが判る育人は戦う理由が無くなりかける。全てを捨てない彼は千雪にも心にも報われて欲しいと願う。自分よりも彼女らに周囲を見返して欲しいと願ってしまう
育人に必要なのは認められたい、見返したいだけでは足りない
それこそ「見て貰いたい」が必要だったのだろうね
母親に「見て貰いたい」を確かにした育人だから、千雪や心との戦いを迷わなくなる
また、すれ違い去ろうとした遠を「見返させ」、デザイナーの自分を「認めさせ」ようと勝つつもりで居ると明かした育人
いつになく挑発的だね
それぞれがこれまでに培ったものを全力で注ぎ込む芸華祭、そのファッションショーがどこまで輝かしく描かれるのかワクワクしてしまうね
それはともかく育人と千雪のラブコメシーンが大幅に削られた件については流石に言いたいことがありますよ?